JP2019077829A - 粘着剤組成物、粘着シート及び積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、特許文献3の粘着剤組成物はデュアル硬化型粘着剤組成物であるため、粘着剤層を半硬化した後に被着体と貼合し、その後、後硬化を行う。しかし、被着体との貼合様式や用途によっては、後硬化のためのエネルギー線照射や加熱工程で被着体が黄変するなどの弊害により後硬化能を有さない粘着剤層が求められる場合があり、後硬化能を有さない粘着剤層の開発も求められていた。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基及びイソシアネート基から選択される1種類又は2種類以上である、[1]に記載の粘着剤組成物。
[3] 架橋剤が、二官能性以上のエポキシ化合物及び二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類又は2種類以上である、[1]又は[2]に記載の粘着剤組成物。
[4] アクリルポリマーが、イソステアリル(メタ)アクリレートの重合体である[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[5] アクリルポリマーを架橋性アクリル重合体100質量部に対して1〜20質量部含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[6] アクリルポリマーを架橋性アクリル重合体100質量部に対して5〜15質量部含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[7] 粘着剤層を有し、粘着剤層が[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着剤組成物の硬化物である、粘着シート。
[8] 粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、粘着剤層の他方の表面に第2の剥離シートを備え、第1の剥離シート及び第2の剥離シートの剥離力が異なる、[7]に記載の粘着シート。
[9] [7]又は[8]に記載の粘着シートの少なくとも一方の表面に被着体を有し、被着体が段差部を有する、積層体。
本発明は、架橋性アクリル重合体、架橋剤及び炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを含有する粘着剤組成物に関する。ここで、炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの重量平均分子量は560〜10000である。また、本発明の粘着剤組成物は、架橋性アクリル重合体を粘着剤組成物に対して50質量%以上含有し、粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合に粘着剤層の周波数1MHzでの比誘電率は3.5以下である。
通常、光学用途に用いられる粘着シートを形成する際には、透明性に優れる架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)が用いられている。比誘電率を低くするためには、このような架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)の構造を変更することが検討されているが、比誘電率を低くすると段差追従性が劣り、逆に段差追従性を良好にすると比誘電率が高くなるなど、比誘電率を低下させることと段差追従性を両立させることは困難であった。しかし、本発明者らは、鋭意検討の末、架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)の構造を変更するのではなく、炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを、架橋性アクリル重合体と併用することにより、粘着剤層の比誘電率を低下させることができ、かつ段差追従性を良化させ得ることを見出した。このように、本発明は、特定のアクリルポリマーを、架橋性アクリル重合体と併用することにより、後硬化能を有さない粘着剤層において、比誘電率の低下と、優れた段差追従性を両立し得ることに成功したものである。
なお、粘着剤層の比誘電率は、1MHzの周波数における比誘電率であって、JIS C 2138に規定される方法で算出される値を用いる。
架橋性アクリル重合体としては、公知の架橋性アクリル重合体を用いることができる。なお、架橋性アクリル重合体は、表示装置の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。
なお、本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)は、炭素数が5以上9以下の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位である。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)として、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルを用いることが好ましい。
本発明では、架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基(好ましくはグリシジル基)及びイソシアネート基から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましい。この場合、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)が、カルボキシ基含有単量体単位、ヒドロキシ基含有単量体単位、アミノ基含有単量体単位、アミド基含有単量体単位、エポキシ基(好ましくはグリシジル基)含有単量体単位及びイソシアネート基含有単量体単位から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましい。
ヒドロキシ基含有単量体単位は、ヒドロキシ基含有単量体に由来する繰り返し単位である。ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
アミノ基含有単量体単位は、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等のアミノ基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
グリシジル基含有単量体単位は、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
カルボキシ基含有単量体単位は、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
架橋性アクリル重合体は、必要に応じて非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)及び架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体単位(a2)以外の他の単量体単位を有してもよい。他の単量体としては、炭素数が4以下、もしくは炭素数が10以上の(メタ)アクリル酸エステル単位を挙げることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等を挙げることができる。また、その他の(メタ)アクリル酸エステル単位として、炭素数が5以上9以下の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単位を含んでいてもよい。具体的には、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル等を挙げることができる。さらに、その他の(メタ)アクリル酸エステル単位としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の環状基を有する(メタ)アクリル酸エステル単位や、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられる。架橋性アクリル重合体における他の単量体単位の含有量は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
架橋性アクリル重合体の重量平均分子量は、10万以上200万以下が好ましく、30万以上150万以下がより好ましい。重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、十分な段差追従性を確保することができる。なお、架橋性アクリル重合体の重量平均分子量は架橋剤で架橋される前の値である。重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。架橋性アクリル重合体としては、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI−2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI−2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320〜2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
本発明の粘着剤組成物は、炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを含有する。該アクリルポリマーは、炭素数15〜24の分岐アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの重合体であることが好ましく、炭素数15〜24の分岐アルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレートの重合体であることがより好ましい。
また、炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。また、炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、15質量%以下であることがより好ましく、12質量%以下であることがさらに好ましい。炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの含有量を上記範囲内とすることにより、比誘電率を上げることなくまたは比誘電率を下げる効果を発現しつつ段差追従性に優れた粘着剤層を形成しやすくなる。
なお、炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーは1種類単独で含んでいてもよく、組成や重量平均分子量等が異なる2種類以上を含んでいてもよい。
架橋剤は、熱により架橋性アクリル重合体と反応する架橋剤であることが好ましい。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から、架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。たとえば架橋性官能基としてヒドロキシ基を含む場合は、ヒドロキシ基の反応性から、イソシアネート化合物を用いることができる。架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)を容易に架橋できるという観点からは、イソシアネート化合物、エポキシ化合物を用いることが好ましい。本発明では、架橋剤が二官能性以上のエポキシ化合物及び二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましく、二官能性以上のイソシアネート化合物であることがより好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
架橋剤としては、市販品を使用できる。市販品の例としては、キシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)等が挙げられる。
また、架橋剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
粘着剤組成物はさらに溶剤を含有してもよい。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性を向上させ得る。
このような溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上80質量%以下とすることがより好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、上述したアクリルポリマー以外の可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤が含まれる場合は、可塑剤の含有量は、架橋性アクリル重合体100質量部に対し、50質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましく、10質量部以下とすることがさらに好ましい。
アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位としては、例えば非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)と同様のものが挙げられる。
官能基を有しない非アクリル単量体単位としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分、例えば酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、ベンゾリアゾール系樹脂を挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有し、粘着剤層が上述した粘着剤組成物の硬化物である。本発明の粘着シートは、比誘電率が低く、段差追従性に優れる粘着剤層を有するため、タッチパネルを搭載した表示装置を構成する光学部材の接着に好ましく用いられる。
片面粘着シートとしては、支持体上に粘着剤層が積層した多層シートが挙げられる。また、支持体と粘着剤層との間には他の層が設けられていてもよい。
両面粘着シートとしては、粘着剤層からなる単層の粘着シート、粘着剤層を複数積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着シートが挙げられる。両面粘着シートが支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。このような両面粘着シートは、粘着シート全体としての透明性にも優れることから、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
本発明の粘着シートは上述した中でも、ノンキャリアタイプが好ましく、粘着剤層からなる単層の粘着シート、又は粘着剤層を複数積層した多層の粘着シートが好ましく、粘着剤層からなる単層の両面粘着シートが特に好ましい。
図1は、剥離シート付き粘着シートの構成の一例を表す断面図である。図1に示された粘着シート11は剥離シート(12a、12b)を有している。なお、図1の粘着シート11は、ノンキャリアタイプの単層の粘着シートであり、両面粘着シートである。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH3)3SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
粘着シートの製造方法は、特に限定されない。
本発明の粘着シートは、粘着剤層と他の層から構成されてもよいが、粘着剤層のみから構成されるものであることが好ましい。他の層としては、例えば上記以外の粘着剤組成物から形成される粘着剤層、支持体、剥離シート等が挙げられる。支持体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム;等が挙げられる。
塗膜の加熱により、架橋性アクリル重合体及び架橋剤の反応が進行して硬化物(粘着シート)が形成される。粘着剤組成物を硬化状態とするためには、塗工後溶剤を除去した後に、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理を施してもよい。エージング処理は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
また、塗膜の加熱は、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いて実施できる。
本発明の粘着シートを使用する場合、粘着シートの粘着剤層を露出させた状態で被着体表面に接触させる。粘着シートの粘着剤層は、炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを含むことから、被着体が段差部を有していても、粘着剤層はその段差部の凹凸に追従することができる。
本発明の積層体は、本発明の粘着シートの少なくとも一方の表面に被着体を有し、被着体が段差部または段差に由来する凹凸を有する。被着体は液晶モジュールを有する画像表示装置を構成する光学部材又はタッチパネルを構成する光学部材であることが好ましい。積層体は、粘着シートの粘着剤層を被着体表面に接触させる工程を経て得られることが好ましい。
タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。本発明の粘着シートは、タッチパネルと画像表示装置の積層用であることが好ましく、タッチペンを用いるタッチパネルと画像表示装置の積層用であることがより好ましい。この観点から、本発明の粘着シートの被着体としては、透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルムが好ましく、これらガラスやフィルムの裏面(導電層が無い面)に粘着シートを貼着することが好ましい。
画像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置に用いられる反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。なお、これらのフィルムの粘着剤層に接する側にはハードコート層などの機能層を設けていても良い。
本発明は積層体の製造方法に関するものでもある。積層体の製造方法は、上述した粘着シートを被着体の表面に接触させる工程を含むことが好ましい。
<粘着剤組成物の作製>
2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、2−エチルヘキシルメタクリレート(2−EHMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を質量比で30:60:10となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、架橋性アクリル重合体(A)を得た。架橋性アクリル重合体(A)の重量平均分子量は50万であった。
なお、架橋性アクリル重合体(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた。
ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI−2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI−2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/分
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320〜2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
なお、イソステアリルアクリレートのホモポリマーは以下の様にして重合した。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた反応装置を使用して、反応槽に溶剤としてメチルエチルケトン80質量部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル4質量部を仕込み、イソステアリルアクリレート(100質量部を滴下管から約2時間かけて滴下し、窒素雰囲気下で約80℃にて5時間重合させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈し、不揮発分50質量%、分子量5800のイソステアリルアクリレートのホモポリマー溶液を得た。
上記のように作製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の剥離シート)(王子エフテックス社製:38RL−07(2))の表面に、乾燥後の塗工量が150μm/m2になるようにアプリケーターで均一に塗工した。その後、100℃の空気循環式恒温オーブンで3分間乾燥し、第1の剥離シートの表面に粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に厚さ38μmの第2の剥離シート(王子エフテックス社製:38RL−07(L))に貼合して、粘着剤層が剥離力差のある1対の剥離シートに挟まれた第1の剥離シート/粘着剤層/第2の剥離シートの構成を備える粘着シートを得た。この粘着シートに対し、23℃、相対湿度50%の条件で7日間静置するエージング処理を施した。
ガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インクを塗布厚が5μmになるように額縁状(縦90mm×横50mm、幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射して印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させた。この工程を8回繰り返し、40μmの段差部を有する印刷段差ガラスを得た。
得られた粘着シートを、縦90mm×横50mmの形状に裁断し、第1の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO−650EMT)を用いて、粘着剤層が印刷段差ガラスの額縁状の印刷全面を覆うように貼合した。その後、第2の剥離シートを剥離し、表出した粘着剤層の面にガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)を上記ラミネーターで貼合し、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施して積層体(1)を得た。
得られた粘着シートを、縦90mm×横50mmの形状に裁断し、第1の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO−650EMT)を用いて、積層体(1)の作製時に使用した40μmの段差部を有する印刷段差ガラスの額縁状の印刷全面を覆うように貼合した。
被着体として、偏光板(ポラテクノ(株)製、SKN−18243T)を予めガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の片面と同寸法に切り出し、上記偏光板の表面に中心粒径30μmのガラスビーズを約0.05mg散布したものを作製した。
印刷段差ガラスと一体化されている積層体の第2の剥離シートを剥がし、ラミネーターで上記被着体の偏光板のガラスビーズが散布された表面と貼合した。その後、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施して積層体(2)を得た。
架橋性アクリル重合体(A)を架橋性アクリル重合体(B)に変更し、重量平均分子量5800のイソステアリルアクリレートのホモポリマー10質量部を重量平均分子量8100のイソステアリルアクリレートのホモポリマーを20質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
なお、架橋性アクリル重合体(B)の作製は、2−EHMAの代わりにn−ブチルアクリレート(BA)を用いて、BA、2−EHA、2−HEAを質量比で70:20:10となるように配合した以外は実施例1の架橋性アクリル重合体(A)の作製と同様にした。架橋性アクリル重合体(B)の重量平均分子量は70万であった。
また重量平均分子量8100のイソステアリルアクリレートのホモポリマーの作製は、開始剤であるアゾビスイソブチロニトリルの仕込み量を4質量部から3質量部に変えた以外は実施例1のイソステアリルアクリレートのホモポリマーの作製と同様にした。
炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
架橋性アクリル重合体(A)の代わりに架橋性アクリル重合体(B)を用いた以外は比較例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
架橋性アクリル重合体(A)の代わりに架橋性アクリル重合体(C)を用いて、架橋剤の配合量を0.15質量部から0.7質量部に代えた以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
なお、架橋性アクリル重合体(C)の作製は、2−EHMAの代わりにイソステアリルアクリレート(ISTA)、2−EHAの代わりに4−ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を用いて、ISTA、2−EHA、HBAを質量比で90:10:1となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の代わりに2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いた以外は実施例1の架橋性アクリル重合体(A)の作製と同様にした。架橋性アクリル重合体(C)の重量平均分子量は70万であった。
<比誘電率>
粘着剤層の比誘電率の評価は以下の手順で実施した。粘着剤層(粘着シートから第1の剥離シート及び第2の剥離シートを剥離したもの)を2枚の銅箔の間に挟み、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施した。その後、誘電体測定システム((株)東陽テクニカ製、1260型)によりJIS C 2138に基づいて比誘電率を測定した。周波数、測定環境は下記条件で測定した。
周波数:1MHz
測定環境:23℃、相対湿度55%
積層体(1)及び積層体(2)の印刷段差部をマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、粘着シートの段差追従性を以下の基準で評価した。
○:積層体(1)及び積層体(2)において完全に段差が埋まっている。
△:積層体(1)又は積層体(2)において段差部の一部に空気が残っている。
×:積層体(1)及び積層体(2)において段差部の全体に空気が残っている。
なお、実施例の粘着剤層の対ガラス粘着力は18N/25mm以上であった。
11 粘着シート(粘着剤層)
12a、12b 剥離シート
20 積層体
21 粘着シート(粘着剤層)
22 被着体
24 被着体
27a、27b、27c、27d 段差部
Claims (9)
- 架橋性アクリル重合体、架橋剤及び炭素数15〜24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを含有する粘着剤組成物であって、
前記架橋性アクリル重合体を前記粘着剤組成物に対して50質量%以上含有し、
前記アクリルポリマーの重量平均分子量が560〜10000であり、
前記粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合に前記粘着剤層の周波数1MHzでの比誘電率が3.5以下である、粘着剤組成物。 - 前記架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基及びイソシアネート基から選択される1種類又は2種類以上である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記架橋剤が、二官能性以上のエポキシ化合物及び二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類又は2種類以上である、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
- 前記アクリルポリマーが、イソステアリル(メタ)アクリレートの重合体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 前記アクリルポリマーを前記架橋性アクリル重合体100質量部に対して1〜20質量部含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 前記アクリルポリマーを前記架橋性アクリル重合体100質量部に対して5〜15質量部含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 粘着剤層を有し、
前記粘着剤層が請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物の硬化物である、粘着シート。 - 前記粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、
前記粘着剤層の他方の表面に第2の剥離シートを備え、
前記第1の剥離シート及び前記第2の剥離シートの剥離力が異なる、請求項7に記載の粘着シート。 - 請求項7又は8に記載の粘着シートの少なくとも一方の表面に被着体を有し、
前記被着体が段差部を有する、積層体。
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