JP2020041056A - 粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、異種の被着材を貼り合わせる用途に用いることができる粘着シートであって、耐アウトガス性に優れた粘着シートを提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有し、活性エネルギー線硬化能を有する第1の粘着剤層と、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有し、活性エネルギー線硬化能を有さない第2の粘着剤層と、を積層してなる粘着シートに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着シート、積層体及び積層体の製造方法に関する。
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの表示装置及び入力装置を組み合わせた画像表示装置が広く用いられている。これらの表示装置や入力装置においては、光学部材を貼り合せる用途に両面粘着シートが用いられている。
両面粘着シートは異種の被着材を貼り合わせる用途に用いられる場合がある。この場合、両面粘着シートには各被着材の接着特性に応じた最適な粘着力が求められる。例えば、特許文献1及び2には、粘着特性の異なる2層以上の粘着剤層を備えた両面粘着シートが開示されている。特許文献1には、各層ともに、ベースポリマーとしての(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と架橋開始剤とを含有する粘着剤組成物を架橋してなり、且つ、異なる粘弾性挙動を有する第1粘着層及び第2粘着層を積層し一体化してなる構成を備えた粘着シートが開示されている。また、特許文献2には、光学フィルムに接して配置された第一粘着剤層と、光学フィルムから最も離れて配置された第二粘着剤層とを備える積層粘着シートであって、第一粘着剤層は、150℃における貯蔵弾性率が9×103Pa以下であり、20℃における貯蔵弾性率G’20と150℃における貯蔵弾性率G’150の比G’20/G’150が20以上であり、第二粘着剤層は、20℃における貯蔵弾性率が4×105Pa以下であり、150℃における貯蔵弾性率が1×104Pa以上である積層粘着シートが開示されている。
特開2011−219665号公報 特開2016−151580号公報
このような用途に用いられる粘着シートには、粘着性能以外にも様々な特性が要求される。例えば、ポリカーボネート基材等の樹脂板は、透明性や耐熱性などに優れているため、光学部材として多用されている。このような樹脂板に粘着シートを貼合し、高温環境下に置いた場合、粘着剤層に気泡が生じ、光学性能に影響を及ぼすことがある。このため、粘着シートの用途によっては、優れた耐発泡性が要求される場合がある。
しかしながら、本発明者らが特許文献1および2に記載の粘着シートの特性を検討したところ、高温環境下においてアウトガスが発生する場合があることがわかった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、異種の被着材を貼り合わせる用途に用いることができる粘着シートであって、耐アウトガス性を有する粘着シートを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、第1の粘着剤層と第2の粘着剤層とを積層してなる粘着シートにおいて、第1の粘着剤層と第2の粘着剤層の両方にアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有させ、第1の粘着剤層にのみ活性エネルギー線硬化能を持たせることにより、異種の被着材を貼り合わせる用途に用いることができる粘着シートであって、かつ優れた耐アウトガス性を有する粘着シートが得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有し、活性エネルギー線硬化能を有する第1の粘着剤層と、
アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有し、活性エネルギー線硬化能を有さない第2の粘着剤層と、を積層してなる粘着シート。
[2] 第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量をMw1とし、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量をMw2とした場合、
Mw1<Mw2であり、かつ、
Mw1≦100万である、[1]に記載の粘着シート。
[3] 第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体におけるアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、50〜90質量%であり、
第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体におけるアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、20〜50質量%である[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4] 第1の粘着剤層は、粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層であり、
粘着剤組成物は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体、架橋剤、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体及び重合開始剤を含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5] 多官能単量体は、1分子内にビスフェノール骨格を有する[4]に記載の粘着シート。
[6] 第1の粘着剤層の厚みをPとし、第2の粘着剤層の厚みをQとした場合、Q/Pの値は、1.5以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7] ポリカーボネート板貼合用である[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の粘着シートを介して、樹脂板とガラス板を貼合した積層体であって、
粘着シートの第1の粘着剤層側に、樹脂板が貼合され、
粘着シートの第2の粘着剤層側に、ガラス板が貼合され、
第1の粘着剤層は、活性エネルギー線を照射することで硬化した粘着剤層である積層体。
[9] 樹脂板がポリカーボネート板である[8]に記載の積層体。
[10] [1]〜[7]のいずれかに記載の粘着シートの第1の粘着剤層を樹脂板に貼合し、第2の粘着剤層をガラス板に貼合した後、樹脂板側から活性エネルギー線を照射して第1の粘着剤層を硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
[11] 樹脂板がポリカーボネート板である[10]に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、異種の被着材を貼り合わせる用途に用いることができる粘着シートであって、耐アウトガス性に優れた粘着シートを得ることができる。
図1は、本発明の粘着シートの構成を説明する断面図である。 図2は、本発明の粘着シートを備える積層体の構成を説明する断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表す。また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”は同義であり、“重合体”と“ポリマー”は同義である。
<粘着シート>
本発明の粘着シートは、第1の粘着剤層と第2の粘着剤層を積層してなる粘着シートである。ここで、第1の粘着剤層は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有し、活性エネルギー線硬化能を有する。第2の粘着剤層は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有し、活性エネルギー線硬化能を有さない。本発明の粘着シートは、上述した第1の粘着剤層と第2の粘着剤層を積層してなる積層粘着シートである。
本発明の粘着シートは、上記構成を有するものであるため、優れた耐アウトガス性を発揮する。具体的には、粘着シートの第1の粘着剤層をポリカーボネート基材等の樹脂板に貼合した状態で高温条件下に短時間又は長時間置いた場合であっても、ポリカーボネート基材等の樹脂板からアウトガスが発生することを抑制することができる。
また、本発明の粘着シートは、優れた耐カール性を発揮するものでもある。具体的には、粘着シートの第1の粘着剤層をポリカーボネート基材等の樹脂板に貼合し、第2の粘着剤層をガラス板に貼合し、高温(例えば105℃)の条件に置いた場合であっても、カールの発生が抑制されている。このように本発明の粘着シートは、耐アウトガス性と耐カール性を両立し得たものでもある。
図1に示されるように、本発明の粘着シート1は、第1の粘着剤層10と第2の粘着剤層20を積層してなる粘着シートである。粘着シート1は、第1の粘着剤層10と第2の粘着剤層20に加えて、他の粘着剤層を有するものであってもよいが、粘着シート1は、第1の粘着剤層10と第2の粘着剤層20を直接積層してなる粘着シートであることが好ましい。なお、第1の粘着剤10層は、単層の粘着シートから構成されるものであってもよく、複数の粘着剤層からなる多層の粘着シートから構成されるものであってもよい。同様に、第2の粘着剤層20も、単層の粘着シートから構成されるものであってもよく、複数の粘着剤層からなる多層の粘着シートから構成されるものであってもよい。
本発明においては、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を有し、かつ活性エネルギー線硬化能を有する第1の粘着剤層は、活性エネルギー線の照射によりアルコキシアルキル基に由来するフレキシビリティを持ちつつ高硬度となる。一方で、活性エネルギー線硬化能を有さない第2の粘着剤層は、第1の粘着剤層と比較して柔らかく、応力緩和性を有している。さらに、第2の粘着剤層においてはアルコキシアルキル基に由来する分子鎖のフレキシビリティにより分子間の幅が広くなるものと考えられ、その結果、系内の気体を吸収する能力や気体を逃がす能力が高められる。このように、本発明の粘着シートは、活性エネルギー線を照射した後に、異なる硬度や粘着特性が発揮されるようにコントロールされた2層の粘着剤層を有することになる。これにより、異種の被着材を貼り合わせる用途に好適な粘着シートが得られる。特に、第1の粘着剤層を樹脂板に、第2の粘着剤層をガラス板に貼合する用途に好適に使用され、このような用途において耐アウトガス性と耐カール性が発揮されやすい。
粘着シートの厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、50μm以上であることが特に好ましい。また、粘着シートの厚みは、1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。粘着シートの厚みを上記範囲内とすることにより、耐アウトガス性と耐カール性をより効果的に高めることができる。さらに、粘着シートの厚さを上記範囲内とすることにより、粘着シートの製造が容易となる。
本発明は、粘着シートの少なくとも一方の面に剥離シートを備える剥離シート付き粘着シートに関するものであってもよい。剥離シート付き粘着シートにおいては、剥離シートは、粘着シートの両表面に備えられていることが好ましい。この場合、剥離シート付き粘着シートは、剥離力が互いに異なる1対の剥離シートを有することが好ましい。すなわち、第1の粘着剤層の表面に設けられる剥離シートと第2の粘着剤層の表面に設けられる剥離シートとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シートだけを先に剥離することが容易となる。例えば、貼合時に第1の粘着剤層が樹脂板側に接するように貼合する場合、第1の粘着剤層側の剥離シートを先に剥離できるように、各々の剥離シートの剥離性を調整すればよい。
剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH33SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
剥離性積層シートとして、市販品を用いてもよい。例えば、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである重セパレータフィルムや、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである軽セパレータフィルムを挙げることができる。
<第1の粘着剤層>
本発明の粘着シートは、第1の粘着剤層を有する。第1の粘着剤層は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有する。また、第1の粘着剤層は、活性エネルギー線硬化能を有している。ここで、活性エネルギー線硬化能を有する状態とは、活性エネルギー線の照射により、第1の粘着剤層が硬化し得る状態である。具体的には、第1の粘着剤層に活性エネルギー線(高圧水銀灯又はメタルハライドランプ)を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射した場合、第1の粘着剤層のゲル分率が10質量%以上高まった場合に、活性エネルギー線を照射する前の第1の粘着剤層は、活性エネルギー線硬化能を有していると言える。
第1の粘着剤層は、粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層であることが好ましい。半硬化状態の粘着剤層は、活性エネルギー線硬化能を有し、活性エネルギー線を照射することにより、後硬化する。粘着剤層の半硬化状態でのゲル分率は、10質量%以上70質量%未満であることが好ましく、12質量%以上70質量%未満であることが好ましく、15〜65質量%であることが特に好ましい。また、後硬化後の粘着剤層のゲル分率は、60〜100質量%であることが好ましく、65〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることがさらに好ましい。
第1の粘着剤層のゲル分率は、以下の方法で測定した値である。まず、第1の粘着剤層約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうする。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥質量(g)を測定する。得られた乾燥質量から下記式1によりゲル分率を求める。
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/第1の粘着剤層の採取質量)×100・・・式1
第1の粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、第1の粘着剤層の厚みは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。第1の粘着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、耐アウトガス性をより効果的に高めることができる。
(粘着剤組成物)
第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有する。第1の粘着剤層は、半硬化状態の粘着剤層であることが好ましく、この場合、用いられる粘着剤組成物は、デュアル硬化型粘着剤組成物であると言える。
第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物はアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体に加えて、さらに、架橋剤、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体及び重合開始剤を含有することが好ましい。
(アクリル共重合体)
アクリル共重合体は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含む。アクリル共重合体は、さらに、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位及びメチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有することが好ましい。本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
(アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート)
アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートは、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートである。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルコキシ基の炭素数が1〜12であり、アルコキシ基に結合するアルキレン基の炭素数が1〜18であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルコキシ基の炭素数は1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1もしくは2であることが特に好ましい。また、アルコキシ基に結合するアルキレン基の炭素数は1〜12であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜4であることが一層好ましく、1〜3であることが特に好ましい。
このようなアルコキシアルキル(メタ)アクリレートの例としては、2−メトキシメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−エトキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとして、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートを用いることにより、第1の粘着剤層の耐アウトガス性を高めることができる。
第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体において、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。また、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、90質量%以下であることが好ましい。アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量を上記範囲内とすることにより、耐アウトガス性及び耐カール性をより効果的に高めることができる。
(ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート)
アクリル共重合体は、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含有することが好ましい。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及び8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種は好ましく用いられる。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。また、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量を上記範囲内とすることにより、耐アウトガス性を損なうことなく粘着性能をコントロールすることができる。
(アルキル(メタ)アクリレート)
アクリル共重合体は、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有することが好ましい。メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。また、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
アクリル共重合体は、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の他にアルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有していてもよい。アルキル(メタ)アクリレートの例としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。メチル(メタ)アクリレート以外のアルキル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、メチル(メタ)アクリレート以外のアルキル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましい。
(窒素含有単量体)
アクリル共重合体は、窒素含有単量体に由来する単位をさらに含んでもよい。窒素含有単量体は、1分子内に窒素元素を含有する単量体である。窒素含有単量体としては、例えば、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド等を挙げることができる。中でも、窒素含有単量体は、アクリルアミド誘導体、アミノ基含有モノマー及び含窒素複素環含有モノマーから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アクリルアミド誘導体であることがより好ましい。アクリルアミド誘導体は、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド及びアクリロイルモルホリンから選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、ジメチルアクリルアミドであることが特に好ましい。アクリル共重合体が、上述したような窒素含有単量体に由来する単位を含むことにより、半硬化状態の粘着剤層は、基材に対して密着しやすくなる一方で、後硬化後の粘着剤層は高硬度となり、耐アウトガス性及び耐カール性をより高めることができる。
窒素含有単量体に由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、窒素含有単量体に由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましい。
(他の単量体)
アクリル共重合体は、必要に応じて、他の単量体単位を有してもよい。他の単量体は、上述したアクリル単量体と共重合可能なものであればよく、例えば(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられる。アクリル共重合体における他の単量体単位の含有量は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
また、各粘着剤層の被着対象について酸による腐食性が問題にならない場合は、アクリル共重合体は、カルボキシル基含有単量体単位を有していてもよい。この場合、クリル共重合体におけるカルボキシル基含有単量体単位の含有量は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
(架橋剤)
第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、アクリル共重合体が有する架橋性官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から選択できる。これらの中でも、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを容易に架橋できることから、イソシアネート化合物やエポキシ化合物を用いることが好ましい。すなわち、架橋剤は二官能以上のエポキシ化合物および二官能以上のイソシアネート化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましく、二官能以上のイソシアネート化合物であることがより好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。市販品の例としては、トリレンジイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)、キシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)等が挙げられる。
粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は、所望とする粘着性等に応じて適宜選択されるが、アクリル共重合体100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。架橋剤の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着シートの耐アウトガス性と耐カール性をより高めることができる。なお、架橋剤としては1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(多官能単量体)
第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体を含有することが好ましい。多官能単量体は反応性二重結合を2つ以上有するものであり、中でも、多官能単量体は反応性二重結合を2つ以上5つ未満有するものであることが好ましく、2つ以上4つ未満有するものであることがより好ましい。
多官能単量体は、1分子内にビスフェノール骨格を有する多官能単量体であることが好ましい。1分子内にビスフェノール骨格を有する多官能単量体を用いることにより、後硬化後の粘着剤層の硬度をより効果的に高めることができる。これにより、後硬化後の粘着剤層の耐アウトガス性と耐カール性をより効果的に高めることができる。また、粘着シートの加工性も高めることができる。
1分子内にビスフェノール骨格を有する多官能単量体としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAのジアクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルのジアクリレート等が挙げられる。
多官能単量体として、市販品を使用できる。市販品の例としては、東亞合成社製、二官能モノマーM211B(ビスフェノールA エチレンオキサイド変性ジアクリレート)、東亞合成社製、二官能モノマーM08(ビスフェノールF エチレンオキサイド変性ジアクリレート)、新中村化学社製、二官能モノマーA−BPP−3(プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート)等が挙げられる。
また、多官能単量体は、1分子内にアルキレングリコール基を有する多官能単量体であってもよい。このような多官能単量体を重合した場合のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は150℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。また、1分子内にアルキレングリコール基を有する多官能単量体を重合した場合のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は−35℃以上であることが好ましく、−10℃以上であることがより好ましい。
本発明においては、1分子内にアルキレングリコール基を有する多官能単量体を用いることにより、後硬化後の粘着剤層の硬度を高めると同時に応力緩和性を付与することができ、粘着シートの加工性を高めつつ耐カール性を付与することができる。さらに、ホモポリマーとした際のガラス転移温度(Tg)を150℃以下とすることにより、応力緩和性をより高め、耐カール性を良好にすることができる。
多官能単量体が有するアルキレングリコール基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、2又は3であることが特に好ましい。すなわち、多官能単量体はエチレングリコール基及びプロピレングリコール基から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。なお、エチレングリコール基は、−CH2CH2O−であり、プロピレングリコール基は、−CH2CH2CH2O−である。
多官能単量体は、1分子中にアルキレングリコール基を1つ有するものであってもよく、2つ以上有するものであってもよい。多官能単量体1分子中におけるアルキレングリコール基の数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
このような多官能単量体としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート等が挙げられる。
多官能単量体として、市販品を使用できる。市販品の例としては、東亞合成社製、三官能モノマーM321(トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、Tg50℃)、二官能モノマーM240(ポリエチレングリコールジアクリレート、Tg50℃)等が挙げられる。
多官能単量体の含有量はアクリル共重合体100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。上記多官能単量体は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。多官能単量体の含有量を上記範囲内とすることにより、後硬化後の粘着剤層の硬度をより効果的に高めることができ、粘着シートの耐アウトガス性と耐カール性をより効果的に高めることができる。
(単官能単量体)
第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体を含有することが好ましい。
単官能単量体としては、例えば、イソボルニルアクリレート、イソステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドンなどを挙げることができる。中でも、単官能単量体は、アルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、イソボルニルアクリレート及びイソステアリルアクリレートから選択される少なくとも1種であることが好ましく、イソボルニルアクリレートであることがより好ましい。単官能単量体の市販品の例としては、大阪有機化学工業社製のIBXA、大阪有機化学工業社製のISTA等が挙げられる。
単官能単量体の含有量はアクリル共重合体100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、2〜20質量部であることがより好ましい。上記単官能単量体は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
また、単官能単量体と多官能単量体の合計含有量はアクリル共重合体100質量部に対して6〜50質量部であることが好ましく、10〜45質量部であることがより好ましく、15〜40質量部であることがさらに好ましい。単官能単量体と多官能単量体の合計含有量を上記範囲内とすることにより、後硬化後に端面ベタツキが抑制され加工性に優れた粘着シートを得ることができる。また、単官能単量体と多官能単量体の合計含有量を上記範囲内とすることにより、後硬化後の粘着シートの高温耐久性をより効果的に高めることができる。
(重合開始剤)
第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、活性エネルギー線照射により多官能単量体および/または単官能単量体の重合を開始させるものであることが好ましく、活性エネルギー線照射により多官能単量体と単官能単量体の重合を開始させるものであることがより好ましい。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤など公知のものを用いることができる。
ここで、「活性エネルギー線」とは電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
重合開始剤としては、例えばアセトフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤、チオキサントン系開始剤、アミン系開始剤、アシルフォスフィンオキシド系開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン(株)製、IRGACURE184として市販)等が挙げられる。
チオキサントン系開始剤として具体的には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド系開始剤として具体的には、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASFジャパン(株)製、IRGACURE819として市販)等が挙げられる。
粘着剤組成物中の重合開始剤の含有量は、単量体の含有量や後硬化させるときの活性エネルギー線の照射量等に応じて適宜選択される。具体的には、単量体の全質量に対し、0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることがより好ましい。上記下限値以上であれば、後硬化により所望の硬さに調整することができるため加工性が優れる。上記上限値以下であれば、後硬化後の分子量が小さくならず、加工性に優れる。重合開始剤としては1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(溶剤)
第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、溶剤を含んでいてもよい。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性の向上のために用いられる。溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
粘着剤組成物中の溶剤の含有量は、特に限定されないが、アクリル共重合体100質量部に対し、25〜500質量部が好ましく、30〜400質量部がより好ましい。
また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。溶剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(他の成分)
第1の粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。また、着色を目的に染料や顔料を添加してもよい。
可塑剤としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、粘着剤の相溶性や効果の高さから、ベンゾリアゾール系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。ただし、後硬化時の活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、重合反応を阻害しない範囲で添加することが好ましい。
<第2の粘着剤層>
本発明の粘着シートは、第2の粘着剤層を有する。第2の粘着剤層は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有する。また、第2の粘着剤層は、活性エネルギー線硬化能を有していない。ここで、活性エネルギー線硬化能を有していない状態とは、第2の粘着剤層に活性エネルギー線(高圧水銀灯又はメタルハライドランプ)を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射した場合、第2の粘着剤層のゲル分率の上昇率が10質量%未満であることを言う。上記条件で第2の粘着剤層に活性エネルギー線を照射しても粘着剤層のゲル分率が実質的に変化しない場合に、第2の粘着剤層は活性エネルギー線硬化能を有していないと言える。
第2の粘着剤層は、粘着剤組成物を硬化させてなる粘着剤層であることが好ましい。第2の粘着剤層のゲル分率は、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。また、第2の粘着剤層のゲル分率は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましい。
第2の粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。また、第2の粘着剤層の厚みは、900μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、700μm以下であることがさらに好ましい。第2の粘着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、耐カール性をより効果的に高めることができる。
(粘着剤組成物)
第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有する。第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物はアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体に加えて、さらに、架橋剤を含有することが好ましい。
(アクリル共重合体)
第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に含まれるアクリル共重合体は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含む。アクリル共重合体は、さらに、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位及びアルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有することが好ましい。なお、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体において、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましい。
アクリル共重合体は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有することが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートの例としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体は、ブチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含むことが好ましい。ブチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
(架橋剤)
第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に含まれ得る架橋剤と同様のものを挙げることができる。
(溶剤)
第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に含まれ得る溶剤と同様のものを挙げることができる。
(他の成分)
第2の粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に含まれ得る他の成分と同様のものを挙げることができる。
第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、実質的に重合開始剤を含まないことが好ましい。第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に含まれる重合開始剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、0.1質量%以下であることが好ましい。なお、重合開始剤を実質的に含まない粘着剤組成物から第2の粘着剤層を形成した場合、第2の粘着剤層も当然ながら重合開始剤を実質的に含まないが、第1の粘着剤層に含まれる重合開始剤が層間移行する場合もある。このため、第1の粘着剤層が積層された第2の粘着剤層には微量の重合開始剤が含まれていてもよい。
また、第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、実質的に多官能単量体や単官能単量体を含まないことが好ましい。第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に含まれる多官能単量体の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、0.1質量%以下であることが好ましく、第2の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に含まれる単官能単量体の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、0.1質量%以下であることが好ましい。なお、多官能単量体や単官能単量体を実質的に含まない粘着剤組成物から第2の粘着剤層を形成した場合、第2の粘着剤層も当然ながらこれらの単量体を実質的に含まないが、第1の粘着剤層に含まれる単量体が層間移行する場合もある。このため、第1の粘着剤層が積層された第2の粘着剤層には微量の多官能単量体や単官能単量体が含まれていてもよい。
<各粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量>
第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量(Mw1)は、100万以下であることが好ましく、95万以下であることがより好ましく、90万以下であることがさらに好ましい。また、第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量(Mw1)は、10万以上であることが好ましく、15万以上であることがより好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。
第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量(Mw2)は、100万より大きいことが好ましく、110万以上であることがより好ましく、120万以上であることがさらに好ましい。また、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量(Mw2)は、300万以下であることが好ましく、250万以下であることがより好ましく、200万以下であることがさらに好ましい。
以上のように、第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量をMw1とし、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量をMw2とした場合、
Mw1<Mw2であり、かつ、
Mw1≦100万であることが好ましい。
第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量と、第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量を上記条件とすることにより、粘着シートの耐アウトガス性と耐カール性をより効果的に高めることができる。
アクリル共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。なお、アクリル共重合体の重量平均分子量は、架橋剤で架橋される前の分子量である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI−2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI−2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320〜2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用する。
<各粘着剤層の厚みの比>
第1の粘着剤層の厚みをPとし、第2の粘着剤層の厚みをQとした場合、Q/Pの値は、1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましく、4以上であることが一層好ましく、5以上であることが特に好ましい。なお、Q/Pの値は、20以下であることが好ましい。すなわち、本発明の粘着シートにおいては、第2の粘着剤層の厚みが、第1の粘着剤層の厚みよりも厚いことが好ましい。Q/Pの値を上記範囲内とすることにより、粘着シート全体の応力緩和性を高めることができ、粘着シートの耐カール性をより効果的に高めることができる。
<粘着シートの製造方法>
本発明の粘着シートの製造方法は、第1の剥離シート上に第1の粘着剤組成物を塗工し、第1の粘着剤層を形成する工程と、第2の剥離シート上に第2の粘着剤組成物を塗工し、第2の粘着剤層を形成する工程と、第1の粘着剤層と第2の粘着剤層を積層する工程を含むことが好ましい。第1の粘着剤層が半硬化状態である場合、第1の粘着剤層を形成する工程は、第1の剥離シート上に第1の粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱により半硬化状態の硬化物とする工程を含むことが好ましい。塗膜の加熱により、アクリル共重合体および架橋剤の反応が進行して半硬化状態の硬化物(粘着剤層)が形成される。また、第2の粘着剤層を形成する工程においても、第2の剥離シート上に第2の粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱により硬化物とする工程を含むことが好ましい。
なお、第1の粘着剤層と第2の粘着剤層を形成する工程では、塗工後溶剤を除去した後に、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理する工程を設けてもよい。エージング処理工程は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
粘着剤組成物を塗工して形成される塗膜の加熱には、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いることができる。
第1の粘着剤層が半硬化状態である場合には、第1の粘着剤層を樹脂板等の被着体に貼合した後に活性エネルギー線を照射することで後硬化することができる。これにより、第1の粘着剤層は被着体に強固に密着し、樹脂板等の被着体からアウトガスが発生しても、浮きや剥がれなどが生じることを抑制できる。
<粘着シートの用途>
本発明の粘着シートは、耐アウトガス性に優れている。このため、粘着シートの第1の粘着剤層を樹脂板等の被着体に貼合し、後硬化させた後、高湿熱環境下に曝した場合であっても、気泡の発生を抑制することができる。本発明の粘着シートは、樹脂板に貼合する用途に用いられる粘着シートであることが好ましく、樹脂板としては、ポリカーボネート板を挙げることができる。すなわち、本発明の粘着シートは、ポリカーボネート板貼合用の粘着シートであることが好ましい。ポリカーボネート板としては、例えば、射出成型用PC等を挙げることができる。
本発明の粘着シートは、第1の粘着剤層を樹脂板に直接貼合する用途に用いられる粘着シートであることが好ましいが、第1の粘着剤層を樹脂板に間接的に貼合する用途で用いられてもよい。例えば、ポリカーボネート基材を含む多層基材に貼合されてもよい。このような多層基材は、ポリカーボネート層とハードコート層を有する基材であることが好ましい。ハードコート層の組成はアクリル系、ウレタン系、シリコーン系、メラミン系、エポキシ系から選択されることが好ましく、アクリル系、シリコーン系がより好ましい。ハードコート層の組成は加工性と硬度の点からアクリル系がより好ましい。
ポリカーボネート基材を含む多層基材としては、例えば、三菱ガス化学(株)製のMR−58やIMR05等を用いることができる。ここで、MR−58の構成は、HC(ハードコート)/PMMA(ポリメチルメタクリレート)/PC(ポリカーボネート)/HC(ハードコート)である。MR−58の全体の厚みは0.3mm〜1.2mmであり、ハードコート層の1層の厚みは、0.0005mm〜0.02mmであることが好ましい。また、IMR05の構成は、HC(ハードコート)/PC(ポリカーボネート)である。
また、本発明の粘着シートは、第1の粘着剤層を偏光板などの光学部材に貼合するものであってもよい。ここで、偏光板とは、偏光子と偏光子保護フィルムを含むものであり、本発明の粘着シートは偏光子保護フィルムに貼合されることが好ましい。偏光子保護フィルムとしては、シクロオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースなどの酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなどが挙げられる。特に、偏光子保護フィルムが酢酸セルロース系樹脂フィルムである場合、本発明の粘着シートを用いることによって、気泡発生抑制効果が発揮される。
本発明の粘着シートは、第2の粘着剤層をガラス板に貼合する用途で用いられることが好ましい。なお、第2の粘着剤層はPETフィルム等の樹脂板に貼合するものであってもよい。
<積層体>
上述したように、粘着シートの第1の粘着剤層は樹脂板に貼合され、第2の粘着剤層はガラス板に貼合されることが好ましい。このように、本発明は、粘着シートを介して、樹脂板とガラス板を貼合した積層体に関するものであってもよい。この場合、粘着シートの第1の粘着剤層側に、樹脂板が貼合され、粘着シートの第2の粘着剤層側に、ガラス板が貼合される。そして、積層体の最終形態においては、第1の粘着剤層は、活性エネルギー線を照射することで硬化した粘着剤層となる。ここで、樹脂板は透明樹脂板であることが好ましく、ポリカーボネート板であることが特に好ましい。
図2は、本発明の積層体100の構成を説明する断面図である。図2に示されるように、積層体100においては、第1の粘着剤層10と、第2の粘着剤層20からなる粘着シート1を介して樹脂板50aと、ガラス板50bが貼合されている。なお、図2においては、被着体として樹脂板50aとガラス板50bを例示したが、本発明の積層体における被着体はこれらに限定されるものではない。
なお、樹脂板やガラス板は光学部材を構成する部材であることが好ましい。例えば、樹脂板やガラス板は、タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材であることが好ましい。すなわち、本発明の粘着シートは光学部材貼合用の粘着シートであることが好ましい。例えば、本発明の粘着シートは、透明光学用フィルムとガラスとの貼合、カバーガラスと透明光学用フィルムとの貼合などに用いられ、透明光学用フィルムがポリカーボネート基材である場合に好ましく用いられる。
<積層体の製造方法>
本発明は、上述した粘着シートを用いた積層体の製造方法に関するものであってもよい。積層体の製造方法は、上述した粘着シートの第1の粘着剤層を樹脂板に貼合し、第2の粘着剤層をガラス板に貼合した後、樹脂板側から活性エネルギー線を照射して第1の粘着剤層を硬化させる工程を含むことが好ましい。ここで、樹脂板は透明樹脂板であることが好ましく、ポリカーボネート板であることが特に好ましい。第1の粘着剤層は、半硬化状態で樹脂板に貼合され、その後、活性エネルギー線が照射されることで、第1の粘着剤層は後硬化する。このように、半硬化状態の第1の粘着剤層を樹脂板に貼合することにより、樹脂板への初期密着性を高めることができる。そして、第1の粘着剤層を樹脂板に貼合した後、第1の粘着剤層を活性エネルギー線で後硬化させることで、第1の粘着剤層の凝集力が高まり、樹脂板への粘着性が向上する。これにより、粘着シートの耐アウトガス性を高めることができる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられ、粘着剤層に含まれる重合開始剤に応じて適宜選択できる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種類の電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
紫外線の照射出力は、積算光量が100〜10000mJ/cm2となるようにすることが好ましく、500〜5000mJ/cm2となるようにすることがより好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
<第1の粘着剤層の形成>
アクリル共重合体A1を、酢酸エチル中での溶液重合により作製した。2−メトキシエチルアクリレートモノマー(MEA)、2−ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(2HEA)、メチルメタクリレート(MMA)、ジメチルアクリルアミド(DMAA)及びブチルアクリレート(BA)を質量比で70:10:10:5:5となるように配合し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、アクリル共重合体A1を得た。このアクリル共重合体A1の35質量%溶液の23℃における溶液粘度は2000mPa・sであった。
アクリル共重合体A1 100質量部に対して、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)を1.0質量部、多官能単量体として、ビスフェノールA エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成(株)社製、アロニックス M211B)を12質量部、単官能単量体として、イソボルニルアクリレート(大阪有機(株)社製、IBXA)を12質量部、重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン(株)製、IRGACURE184)を0.5質量部添加し、固形分濃度が35質量%となるように溶剤として酢酸エチルを添加して第1の粘着剤組成物A1を得た。
上記第1の粘着剤組成物A1を、第1の剥離シート(軽セパレータフィルム、帝人デュポンフィルム(株)製、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)上へ塗工した。塗工は、ヨシミツ精機株式会社製、ドクターブレードYD型を用いて、乾燥後の厚みが25μmとなるように行った。その後、熱風乾燥機にて100℃で3分間乾燥させて溶剤を除去し、半硬化状態の第1の粘着剤層を形成した。
<第2の粘着剤層の形成>
アクリル共重合体B1を、酢酸エチル中での溶液重合により作製した。2−メトキシエチルアクリレートモノマー(MEA)、2−ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(2HEA)及びブチルアクリレート(BA)を質量比で30:2:68となるように配合し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、アクリル共重合体B1を得た。このアクリル共重合体B1の25質量%溶液の23℃における溶液粘度は7000mPa・sであった。
アクリル共重合体B1 100質量部に対して、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)を0.8質量部添加し、固形分濃度が24質量%となるように溶剤として酢酸エチルを添加して第2の粘着剤組成物B1を得た。
上記第2の粘着剤組成物B1を、第1の剥離シートより剥離性の低い離型処理が施された第2の剥離シート(重セパレータフィルム、帝人デュポンフィルム(株)製)上へ塗工した。塗工は、ヨシミツ精機株式会社製、ドクターブレードYD型を用いて、乾燥後の厚みが150μmとなるように行った。その後、熱風乾燥機にて100℃で3分間乾燥させて溶剤を除去し、第2の粘着剤層を形成した。
<粘着シートの形成>
第1の剥離シートを備えた第1の粘着剤と、第2の剥離シートを備えた第2の粘着剤層を、粘着剤層同士が接するようにハンドローラーを用いて貼合した。このようにして、第1の粘着剤層と第2の粘着剤層が直接積層してなる粘着シートを得た。
[実施例2]
実施例1のアクリル共重合体A1の合成において、2−メトキシエチルアクリレートモノマー(MEA)、2−ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(2HEA)、メチルメタクリレート(MMA)、ジメチルアクリルアミド(DMAA)及びブチルアクリレート(BA)の質量比を50:10:15:10:15に変更した以外は、実施例1と同様にして、第1の粘着剤組成物A2を得た。第1の粘着剤層を第1の粘着剤組成物A2から形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の粘着シートを得た。
[実施例3]
実施例1のアクリル共重合体A1の合成において、2−メトキシエチルアクリレートモノマー(MEA)、2−ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(2HEA)、メチルメタクリレート(MMA)、ジメチルアクリルアミド(DMAA)及びブチルアクリレート(BA)の質量比を80:8:7:2:3に変更した以外は、実施例1と同様にして、第1の粘着剤組成物A3を得た。第1の粘着剤層を粘着剤組成物A3から形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の粘着シートを得た。
[比較例1]
第2の粘着剤層を積層せず、第1の粘着剤層の厚みを175μmに変更した以外は、実施例1と同様にして第1の粘着剤層のみからなる粘着シートを得た。
[比較例2]
実施例1のアクリル共重合体B1を第1の粘着剤層に用いて第2の粘着剤層を積層せず、第1の粘着剤層の厚みを175μmに変更した以外は、実施例1と同様にして第1の粘着剤層のみからなる粘着シートを得た。
[比較例3]
第1の剥離シート(軽セパレータフィルム、帝人デュポンフィルム(株)製、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗工する粘着剤組成物を粘着剤組成物B1とし第2の剥離シート(重セパレータフィルム、帝人デュポンフィルム(株)製)上に塗工する粘着剤組成物を粘着剤組成物A1とした以外は、実施例1と同様にして第1の粘着剤層と第2の粘着剤層が直接積層してなる粘着シートを得た。但し、各粘着剤層の厚みは表1のとおりとした。
[測定及び評価]
<耐アウトガス>
まず、粘着シートの軽セパレータフィルムである第1の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を厚み1mmのPC板(帝人(株)製のパンライトシートPC−1151)に貼合した。次に重セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を100mm×200mmの大きさのガラス板の全面に貼着した。PC板/第1の粘着剤層/第2の粘着剤層/ガラス板の構成のサンプルをオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、次いで、ガラス板側より紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、試験サンプルを得た。試験サンプルを85℃、相対湿度85%の環境下に置き、2時間後および100時間後の気泡、浮き・剥がれを観察した。
○:2時間後、および100時間後でも気泡、浮き・剥がれがない
△:2時間後に気泡または浮き・剥がれが観察されるが100時間後には気泡、浮き・剥がれがない
×:2時間後にも100時間後にも気泡、浮き・剥がれがある。
<耐カール>
耐アウトガス評価用と同様にしてPC板/第1の粘着剤層/第2の粘着剤層/ガラス板の構成の100mm×200mmの大きさの試験サンプルを作製した。試験サンプルを105℃、dry環境下に1時間置いた後、23℃、相対湿度50%の環境に置いた。23℃、相対湿度50%の環境に置いてから5分経過後に試験サンプルの各辺の浮いた高さを測定して4辺の高さの平均値を求めて下記基準で評価した。
○:4辺の平均の高さが2mm以下
×:4辺の平均の高さが2mmより大きい
Figure 2020041056
上記表1より、実施例の粘着シートは、耐アウトガス性に優れることがわかった。また、実施例の粘着シートは優れた耐カール性も有していた。一方、比較例の粘着シートにおいては、耐アウトガス性が十分ではなく、比較例1においては、耐カール性も劣っていた。
1 粘着シート
10 第1の粘着剤層
20 第2の粘着剤層
50a 樹脂板
50b ガラス板
100 積層体

Claims (11)

  1. アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有し、活性エネルギー線硬化能を有する第1の粘着剤層と、
    アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体を含有し、活性エネルギー線硬化能を有さない第2の粘着剤層と、を積層してなる粘着シート。
  2. 前記第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量をMw1とし、前記第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量をMw2とした場合、
    Mw1<Mw2であり、かつ、
    Mw1≦100万である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体におけるアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、前記第1の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、50〜90質量%であり、
    前記第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体におけるアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、前記第2の粘着剤層に含まれるアクリル共重合体の全質量に対して、20〜50質量%である請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記第1の粘着剤層は、粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層であり、
    前記粘着剤組成物は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位を含むアクリル共重合体、架橋剤、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体及び重合開始剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5. 前記多官能単量体は、1分子内にビスフェノール骨格を有する請求項4に記載の粘着シート。
  6. 前記第1の粘着剤層の厚みをPとし、前記第2の粘着剤層の厚みをQとした場合、Q/Pの値は、1.5以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着シート。
  7. ポリカーボネート板貼合用である請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着シートを介して、樹脂板とガラス板を貼合した積層体であって、
    前記粘着シートの前記第1の粘着剤層側に、樹脂板が貼合され、
    前記粘着シートの前記第2の粘着剤層側に、ガラス板が貼合され、
    前記第1の粘着剤層は、活性エネルギー線を照射することで硬化した粘着剤層である積層体。
  9. 前記樹脂板がポリカーボネート板である請求項8に記載の積層体。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着シートの第1の粘着剤層を樹脂板に貼合し、第2の粘着剤層をガラス板に貼合した後、樹脂板側から活性エネルギー線を照射して前記第1の粘着剤層を硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
  11. 前記樹脂板がポリカーボネート板である請求項10に記載の積層体の製造方法。
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