JP2019077569A - Al4SiC4粉末の製造方法 - Google Patents

Al4SiC4粉末の製造方法 Download PDF

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昌規 北垣
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星山 泰宏
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泰宏 星山
智洋 西川
Tomohiro Nishikawa
智洋 西川
高長 茂幸
Shigeyuki Takanaga
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Abstract

【課題】炭化アルミニウム(Al4C3)を実質的に含まず、かつ、大きな結晶子サイズを有するAl4SiC4粉末を製造するための製造方法を提供すること。【解決手段】アルミニウム源、ケイ素源、炭素源、及び炭化ケイ素からなる混合物を焼成して、Al4SiC4粉末を製造する工程を含み、前記アルミニウム源に含まれるアルミニウムと前記ケイ素源及び前記炭化ケイ素に含まれるケイ素とのモル比Al/Siが3.76〜3.94となる量で前記アルミニウム源、前記ケイ素源、及び前記炭化ケイ素を使用する、Al4SiC4粉末の製造方法【選択図】なし

Description

本発明は、AlSiC粉末の製造方法に関する。
一般に、レンガ等の耐火物や、耐熱塗料には、酸化による劣化の抑制を目的として、金属Al、金属Si、Al−Mg合金といった酸化防止剤が添加されている。例えば、炭素を含有した耐火物(MgO−Cレンガ)では、高温に曝された時に耐火物中の炭素が大気中の酸素と反応して、酸化炭素系の気体となって消失してしまう。このような炭素の酸化反応が進行すると、耐火物中に空隙が生じて、耐火物が損耗することになる。このような酸化反応を防止するため、耐火物に、酸化防止剤として例えば金属Alを添加しておくと、金属Alは酸化炭素を還元することができ、酸化反応による炭素の減少を抑制することができる。
しかし、金属Alは、酸化炭素を還元する際に炭化アルミニウム(Al)に変化したり、空気中の窒素と反応して窒化アルミニウム(AlN)に変化することがある。これらのアルミニウム化合物は水と反応しやすい特性を有し、これらが耐火物に含まれると、吸湿することで耐火物の崩壊につながる恐れがあった。
そこで、近年では、炭化アルミニウムや窒化アルミニウムに変化しない酸化防止剤として、AlSiCが注目されている。AlSiCは、融点が2037℃と高く、高温・構造材料としての応用が期待されており、酸化防止効果のほか、機械特性の向上も期待されている。
AlSiCは、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されているように、アルミニウム源と炭素源とケイ素源とからなる原料を混合して、これを焼成することで製造できる。特許文献1では、結晶構造が六方晶であり、粒子の形状が六角板状であるAlSiC粉末が記載され、特許文献2では、平均粒径1μm以下のAlSiC粉末が記載されている。特許文献3では、アルミナ成分またはシリカ成分の含有物と炭素原料を焼成することでAlSiC粉末を得ている。
特許第5152654号公報 特許第6131625号公報 特開2009−190961号公報
しかし、本発明者らが検討したところ、一般に、AlSiC粉末には、焼成時の副産物として炭化アルミニウム(Al)が含まれていることが判明した。上述のとおり、炭化アルミニウムは水と反応しやすい特性を持つため、炭化アルミニウムを含むAlSiC粉末は耐水性及び耐湿性が低下し、そのような粉末を酸化防止剤として耐火物や耐熱塗料に配合した場合に、耐火物や耐熱塗料の性能を低下させる恐れがある。
さらに、AlSiC粉末の結晶子サイズが小さく結晶性が低いものであると、耐火物や耐熱塗料の構成材料と反応しやすく、酸化防止剤としての効果を発揮できない恐れがあった。
本発明は、上記現状に鑑み、炭化アルミニウム(Al)を実質的に含まず、かつ、大きな結晶子サイズを有するAlSiC粉末を製造するための製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、炭化アルミニウム(Al)を実質的に含まず、かつ、大きな結晶子サイズを有するAlSiC粉末を製造することに成功した。
本発明は、アルミニウム源、ケイ素源、炭素源、及び炭化ケイ素からなる混合物を焼成して、AlSiC粉末を製造する工程を含み、前記アルミニウム源に含まれるアルミニウムと前記ケイ素源及び前記炭化ケイ素に含まれるケイ素とのモル比Al/Siが3.76〜3.94となる量で前記アルミニウム源、前記ケイ素源、及び前記炭化ケイ素を使用する、AlSiC粉末の製造方法にも関する。好ましくは、前記焼成は、不活性雰囲気下、1650〜1900℃の温度で1〜10時間実施する。
本発明により製造されるAlSiC粉末は酸化防止剤に用いられる。好ましくは、前記酸化防止剤は、耐火物または耐熱塗料に配合するために用いられる。
本発明によれば、炭化アルミニウム(Al)を実質的に含まず、かつ、大きな結晶子サイズを有するAlSiC粉末を製造することができる。本発明により得られたAlSiC粉末は炭化アルミニウム(Al)を実質的に含まないため耐水性及び耐湿性に優れており、加えて、結晶子サイズが大きく結晶性に優れており、酸化防止剤として好適に使用することができる。
実施例2で製造したAlSiCをX線回折分析して得られたチャート 比較例4で製造したAlSiCをX線回折分析して得られたチャート 実施例2で製造したAlSiCのSEM写真
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、本発明のAlSiC粉末の製造方法について説明する。
本発明によれば、アルミニウム源、ケイ素源、炭素源、及び、炭化ケイ素それぞれを秤量した後、十分に混合して、得られた混合物を焼成し、粉砕することによりAlSiC粉末を製造することができる。
原料のアルミニウム源としては、金属Alや、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物等を使用することができる。純度の面から金属Alを使用することが好ましい。
原料のケイ素源としては、金属Siや、二酸化ケイ素等のケイ素化合物等を使用することができる。純度の面から金属Siを使用することが好ましい。
原料の炭素源としては、鱗状黒鉛、合成黒鉛、カーボンブラック等を使用することができる。コストや入手しやすさの面から、鱗状黒鉛を使用することが好ましい。
これらアルミニウム源、ケイ素源、炭素源は、それぞれに含まれるアルミニウム、ケイ素、炭素のモル比が4:1:4となるような量で秤量すればよい。
本発明の製造方法によると、これらアルミニウム源、ケイ素源、炭素源に加えて、さらに、炭化ケイ素(SiC)を秤量し、添加する。炭化ケイ素を添加することで、添加後の原料全体に含まれるAlとSiのモル比Al/Siが、AlSiCにおける理論比4.0より低い値となるようにする。具体的には、アルミニウム源に含まれるアルミニウムと、ケイ素源及び炭化ケイ素に含まれる合計のケイ素のモル比Al/Siが、3.76以上3.94以下の範囲となるような量で、炭化ケイ素を添加する。炭化ケイ素を添加することで、AlSiC粉末の耐水性を悪化させるAlが残存しにくくなる。前記モル比Al/Siが3.95以上となると、Alが残存しやすくなり、3.75以下では、得られるAlSiC粉末の結晶子サイズが小さくなる。前記モル比Al/Siの下限値は3.78以上が好ましく、3.80以上がより好ましく、3.82以上がさらに好ましい。前記モル比Al/Siの上限値は3.92以下が好ましく、3.90以下がより好ましく、3.89以下がさらに好ましい。
アルミニウム源、ケイ素源、炭素源、及び、炭化ケイ素を混合するにあたっては、できるだけ均一に混合することが好ましい。具体的な混合方法は特に限定されないが、V型混合機等の容器回転型混合機、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー、プロシェアミキサー、乾式ボールミル等が使用できる。低コストで、不純物の混入を低減できることから、乾式ボールミルを用いて混合することが好ましい。乾式ボールミルでの混合条件は、特に限定されないが、混合は常温で5時間以上実施することが好ましい。混合時間が5時間より短いと、原料が均一に混合されず、得られるAlSiC粉末の性状に悪影響を与える場合がある。
次に、得られた混合原料を焼成してAlSiCを合成する。焼成は不活性雰囲気中で1650〜1900℃で焼成できるものであればよく、特に限定されないが、箱型炉、坩堝炉、管状炉、トンネル炉、真空炉、炉底昇降炉、抵抗加熱炉、誘導加熱炉、直通電型電気炉等を使用できる。焼成によるAlSiCの合成は、2段階の反応で進行する。まず、Al、Si及びCが反応して、AlとSiCが生成する(式II)。次に、1300℃以上の温度域において、AlとSiCが反応してAlSiCが合成される(式III)。
式II: 4Al(s)+Si(s)+3C(s)→Al(s)+SiC(s)
式III: Al(s)+SiC(s)→AlSiC(s)
式IIIの反応は1650℃未満では進行が遅く、反応後にAlが残存しやすいため、焼成温度は1650℃以上とすることが好ましい。焼成温度が1900℃を超えるとAlSiCの一部が熱分解することから、焼成温度の上限値は1900℃以下が好ましく、1800℃以下がより好ましく、1750℃以下がさらに好ましい。焼成時間は焼成温度に応じて適宜調整すればよいが、1〜10時間程度とすることが好ましい。
焼成炉内の雰囲気中に窒素が存在すると、該窒素が金属Alと反応し、窒化アルミニウム(AlN)が副産物として生成する場合がある。そのため、焼成は、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましく、具体的には、アルゴン等の不活性ガスを焼成炉内に流しながら焼成を行なうことがより好ましい。使用する焼成炉は、あらかじめ不活性ガスを焼成炉内に充填し、残存する窒素及び炭素を除去しておくことが好ましい。
焼成により得られたAlSiC粉末は、粉砕することにより粉末化することが好ましい。その粉砕の方法は特に限定されないが、ジョークラッシャー、コーンクラッシャー、インパクトクラッシャー、ロールクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、乾式ボールミル、振動ミル、ビーズミル等が使用できる。低コストで、不純物の混入を低減できることから、乾式ボールミルを用いることが好ましい。乾式ボールミルでの粉砕は、1時間以上行うことが好ましい。粉砕時間が1時間より短いと、得られるアルミニウムケイ素炭化物粉末の平均粒子径は大きくなり、比表面積は小さくなる傾向がある。
以上の工程により、炭化アルミニウム(Al)を実質的に含まず、かつ、大きな結晶子サイズを有するAlSiC粉末を製造することができるが、本発明の製造方法は以上で示した詳細に限定されるものではない。
次に、本発明により製造されるAlSiC粉末について説明する。
本発明におけるAlSiCは、AlとSiとCのモル比が厳密に4:1:4になることを意味するものではない。当該モル比の有効数字は1桁であり、例えば、前述したようにAl/Siが3.76以上3.94以下の範囲にある場合についても、前記組成式の範囲に含まれるものとする。
本発明により製造されるAlSiC粉末は、優れた耐水性及び耐湿性を発揮し、副産物Alを実質的に含有しないものである。この点はCuKα線による粉末X線回折分析にて、主成分AlSiCのピークの高さと、副産物Alのピークの高さを比較することで特定する。すなわち、主成分AlSiCに起因する2θ=56.03°付近のピーク高さをI56.03°とし、副産物Alに起因する2θ=55.11°付近のピーク高さをI56.03°とすると、I55.11°/I56.03°の値が、0.001以下であることが好ましく、0.0005以下であることがより好ましく、0.0001以下であることがさらに好ましい。最も好ましくはI55.11°/I56.03°の値が0であり、すなわち、副産物Alに起因する2θ=55.11°付近のピークが観察されないことである。
また、AlSiC粉末の結晶方位(0010)方向への成長は、粒子の充填性、流動性、及び分散性を良好にするため、耐火物に添加しても強度を損なうことがなく、また塗料中に均一に分散することができるため、酸化防止効果が向上する効果がある。結晶方位(0010)方向への成長は、CuKα線による粉末X線回折分析にて、(101)面に起因するピークの高さと、(0010)面に起因するピーク高さを比較することで特定する。すなわち、(101)面に起因する2θ=31.74°付近のピーク高さI31.74°とし、(0010)面に起因する2θ=41.54°付近のピーク高さをI41.54°とすると、I31.74°/I41.54°の値が、1.0より大きく1.5以下であることが好ましく、1.0より大きく1.4以下であることがより好ましく、1.0より大きく1.3以下であることがさらに好ましい。
前記CuKα線による粉末X線回折分析は、MiniFlex600(株式会社リガク製)を用いて行なった。横軸をX線入射角2θ(単位:°)、縦軸を回折強度(単位:cps)としたグラフに、測定した回折強度をプロットし、特定の入射角とその回折強度のピーク高さを読み取った。測定は、X線源CuKα線(0.154nm)、走査速度2°/分、走査範囲2θ=3〜90°、サンプリング間隔0.02°の条件で行った。
加えて、本発明により製造されるAlSiC粉末は結晶性に優れており、比較的大きな結晶子サイズを有する。具体的には、前記CuKα線による粉末X線回折分析における(101)面の結晶子サイズが800Å以上であることが好ましい。AlSiC粉末の結晶子サイズは、AlSiCの反応性と関係しており、該結晶子サイズが小さくなると、AlSiCの反応性が高くなる傾向がある。そのため、結晶子サイズが小さいAlSiC粉末は、これを配合した耐火物や耐熱塗料の母材、又は、バインダー等の熱分解によって生じる酸化炭素系ガスと反応しやすくなる。反応すると、AlSiCに期待される本来の酸化防止効果が消費されることになり、好ましくない。以上の観点から、(101)面の結晶子サイズは800Å以上であることが好ましく、810Å以上であることがより好ましく、820Å以上であることがさらに好ましい。
逆に、AlSiC粉末の結晶子サイズが大きくなると、AlSiCの反応性が低くなる傾向があるため、反応性が低くなりすぎるとAlSiCによる酸化防止効果が十分に発揮されなくなる。酸化防止剤として使用するための結晶子サイズの上限値は、1000Å未満が好ましく、980Å未満がより好ましく、950Å未満がさらに好ましい。
AlSiC粉末の結晶子サイズは、上述したCuKα線による粉末X線回折分析において、(101)面に起因する2θ=31.74°付近のピークの半価幅を測定し、Scherrerの式を利用して算出される。
本発明により製造されるAlSiC粉末の粒子径は特に限定されず、その用途に応じて適宜決定することができる。しかし、酸化防止剤として耐火物や耐熱塗料に配合する用途においては、体積基準の累積50%粒子径が5〜100μmであることが好ましく、10〜80μmであることがより好ましく、15〜50μmであることがさらに好ましい。
前記粒子径が5μm未満であると、粉末の取り扱いが困難になり、塗料に配合した際に塗料の粘度が上昇し塗料として使用できなくなり、また反応性が高くなりすぎ母材と反応し、酸化防止剤として使用できない。また、前記粒子径を100μmより大きくすると、本発明により製造されるAlSiC粉末を耐火物に添加した際に、耐火物の密度が低下し耐火物の強度が低下する。また、耐熱塗料に添加した際には、塗料中に粒子が沈降し易くなることから、塗膜の仕上がり性が悪化してその特性が低下する。
前記体積基準の累積50%粒子径は、レーザー回折散乱法により測定され、具体的には、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置MT3300(日機装株式会社製)を用いて測定される。溶媒にはメタノールを使用し、超音波ホモジナイザーUS−300T(株式会社日本精機製作所製)にて120Wで3分間、粉末の分散処理を施した後、前記粒子径を測定する。
さらに、本発明により製造されるAlSiC粉末の比表面積についても特に限定されず、その用途に応じて適宜決定することができる。しかし、酸化防止剤としての効果を十分に発揮する観点から、BET比表面積は0.01〜10m/gであることが好ましく、0.05〜5m/gであることがより好ましく、0.1〜2m/gであることがさらに好ましい。BET比表面積が0.01m/g未満であると、反応性が低くなりすぎAlSiCによる酸化防止効果が発揮されない。BET比表面積が10m/gより大きいと、粉末の取り扱いが困難になり、また反応性が高くなりすぎ母材と反応し、酸化防止剤として使用できない。
前記BET比表面積は、比表面積測定装置(商品名:Macsorb1210、Mountech Co.,Ltd.製)を使用して、ガス吸着法(BET法)により測定される。
また、本発明により製造されるAlSiC粉末の粒子形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM6510LA 日本電子株式会社製)を使用して観察した。
本発明により製造されるAlSiC粉末は、耐水性及び耐湿性に優れたものであり、これを示す指標として、当該粉末を水に懸濁した際にその懸濁液が示すpH値を用いることができる。AlSiCは水と反応しないため、AlSiCを水に懸濁してもpHの値は変化せず、中性を示す。しかし、耐水性を悪化させるAlが粉末に含まれている場合、この粉末を水に懸濁すると、下記式Iに示すようにAlが水と反応してAl(OH)が発生するため、該懸濁液のpHの値はアルカリ側に変化する。
式I:Al+12HO→4Al(OH)+3CH
従って、粉末を水に懸濁してなる懸濁液のpHが中性付近であることは、耐水性を低下させるAlが該粉末に実質的に含まれておらず、該粉末が耐水性及び耐湿性に優れたものであることを示す指標となる。以上の観点から、本発明により製造されるAlSiC粉末を25℃の純水に懸濁させた際に当該懸濁液が示すpHの値は6.5〜7.5であることが好ましく、6.5〜7.3であることがより好ましく、6.5〜7.0であることがさらに好ましい。
前記pHの値は、具体的には、以下の方法により測定される。100ccの耐薬品性ガラスビーカーに純水50mlを入れ、温度25℃に保持する。ここに試料粉末5gを投入し、撹拌子を用いて1分間撹拌し、5分間静置する。5分後のpH値を、pHメータ(ガラス電極式水素イオン濃度指示計D−54、株式会社堀場エステック製)を用いて測定する。なお、pHメータは、既知の緩衝液で校正したものを使用した。
(用途)
本発明により製造されるAlSiC粉末は、MgO−Cレンガ等の耐火物に添加する酸化防止剤として使用することができる。また、鋼材(特に鋼片スラブ)等の表面に塗布して、高温酸化雰囲気下でのスケールの発生を防止するために使用される耐熱塗料に添加する酸化防止剤としても使用することができる。あるいは、カーボン/カーボン複合材料に配合する酸化防止剤としても使用することができる。
これら用途におけるAlSiC粉末の添加量は特に限定されず、目的に応じて適宜設定することができるが、例えば、耐火物に添加する酸化防止剤として使用する場合には、1〜10重量%の範囲が好ましい。本発明により製造されるAlSiC粉末を配合した耐火物の製造方法は、公知の方法、例えば特許文献2に開示の方法に従うことができる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、各物性の測定方法は上述の方法に従った。
<実施例1>
金属Al(純度99%、粒度50μm以下)、金属Si(純度98%、粒度50μm以下)、及び鱗状黒鉛(純度98%、粒度100μm以下)からなる原料をモル換算でAl:Si:C=44.44mol%:11.11mol%:44.44mol%となるように秤量した。さらに、原料全体におけるAl/Siモル比が3.82となるよう、SiC(純度99%、粒度50μm以下)を秤量した。
これらの原料を、ボールミルを用いて10時間乾式混合した。得られた混合原料を焼成炉に投入し、アルゴンガスを流しながら、1700℃で5時間焼成した。焼成後、乾式ボールミルで10時間粉砕を行うことで、AlSiC粉末を得た。
得られたAlSiC粉末は、I55.11°/I56.03°=0、I31.74°/I41.54°=1.17、(101)面の結晶子サイズ817Å、体積基準の累積50%粒子径21.18μm、BET比表面積0.40m/gであった。
<実施例2>
原料全体におけるAl/Siモル比が3.89となるよう、SiCの添加量を変えた以外は、実施例1と同様の方法を用いてAlSiC粉末を得た。
得られたAlSiC粉末は、I55.11°/I56.03°=0、I31.74°/I41.54°=1.04、(101)面の結晶子サイズ949Å、体積基準の累積50%粒子径19.49μm、BET比表面積0.48m/gであった。
<実施例3>
焼成温度を1650℃とした以外は、実施例2と同様の方法を用いてAlSiC粉末を得た。
得られたAlSiC粉末は、I55.11°/I56.03°=0、I31.74°/I41.54°=1.14、(101)面の結晶子サイズ937Å、体積基準の累積50%粒子径20.93μm、BET比表面積0.53m/gであった。
<比較例1>
金属Al、金属Si、及び鱗状黒鉛からなる原料をモル換算でAl:Si:C=44.44mol%:11.11mol%:44.44mol%となるように秤量した。原料全体におけるAl/Siモル比は4.0である。
これら3種の原料を、ボールミルを用いて10時間乾式混合した。得られた混合原料を、焼成炉に投入し、アルゴンガスを流しながら、1700℃で5時間焼成した。焼成後、乾式ボールミルで10時間粉砕を行うことで、AlSiC粉末を得た。
得られたAlSiC粉末は、I55.11°/I56.03°=0.0043、I31.74°/I41.54°=1.18、(101)面の結晶子サイズ911Å、体積基準の累積50%粒子径20.81μm、BET比表面積0.47m/gであった。
<比較例2>
原料全体におけるAl/Siモル比が3.95となるよう、SiCの添加量を変えた以外は、実施例1と同様の方法を用いてAlSiC粉末を得た。
得られたAlSiC粉末は、I55.11°/I56.03°=0.0024、I31.74°/I41.54°=1.12、(101)面の結晶子サイズ832Å、体積基準の累積50%粒子径20.99μm、BET比表面積0.40m/gであった。
<比較例3>
原料全体におけるAl/Siモル比が3.75となるよう、SiCの添加量を変えた以外は、実施例1と同様の方法を用いてAlSiC粉末を得た。
得られたAlSiC粉末は、I55.11°/I56.03°=0、I31.74°/I41.54°=1.04、(101)面の結晶子サイズ790Å、体積基準の累積50%粒子径21.71μm、BET比表面積0.38m/gであった。
<比較例4>
焼成温度を1600℃とした以外は、実施例2と同様の方法を用いてAlSiC粉末を得た。
得られたAlSiC粉末は、I55.11°/I56.03°=0.0088、I31.74°/I41.54°=0.95、(101)面の結晶子サイズ762Å、体積基準の累積50%粒子径20.29μm、BET比表面積0.62m/gであった。
以上の結果を表1にまとめた。
実施例1〜3で得られたAlSiC粉末は、粉末X線回折においてAlのピークが観察されず、I55.11°/I56.03°が0であり、かつ、(101)面の結晶子サイズが800Å以上と、結晶性に優れたものであった。
一方、比較例1、2及び4で得られたAlSiC粉末は、I55.11°/I56.03°が0.001を超え、Alが相当量含まれていると判断され、また、比較例3及び4で得られたAlSiC粉末は(101)面の結晶子サイズが800Å未満で、結晶性に劣るものであった。

Claims (2)

  1. アルミニウム源、ケイ素源、炭素源、及び炭化ケイ素からなる混合物を焼成して、AlSiC粉末を製造する工程を含み、
    前記アルミニウム源に含まれるアルミニウムと前記ケイ素源及び前記炭化ケイ素に含まれるケイ素とのモル比Al/Siが3.76〜3.94となる量で前記アルミニウム源、前記ケイ素源、及び前記炭化ケイ素を使用する、AlSiC粉末の製造方法。
  2. 前記焼成は、不活性雰囲気下、1650〜1900℃の温度で1〜10時間実施する、請求項1に記載のAlSiC粉末の製造方法。
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Citations (3)

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