以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図中、同じ構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明の繰り返しは省略する。また、以下の具体的な実施例は発明の理解のためのものであり、その記載によって限定的に解釈されるべきものではない。
図2Aは、実施例1に関わるフロー型電解質濃度測定装置200のブロック図である。電解質濃度測定装置200は測定部280、記録演算部181、出力部182、制御部183、入力部184を備えている。記録演算部181は、電位測定部171で計測した起電力に基づき試薬の濃度値等の測定を行う。制御部183は装置全体の制御を実行し、例えば検体の分注処理や、測定部280におけるシリンジ動作、電位測定部171による計測等を制御する。入力部184はキーボード、バーコードリーダ等であり、装置に対する制御、分析対象に関する情報の入力がなされる。出力部182はプリンタ、モニタ等であり、分析結果の出力や制御内容の設定等に用いられる。記録演算部181や、制御部183はPC(Personal Computer)のような計算機に実装される。
図1の測定部180が各試薬ボトルと送液機構が1系統であったのに対して、図2Aの測定部280では各試薬ボトルと送液機構を複数系統備えており、各流路には試薬を流す方向を切換える切替えバルブを具備している。
具体的には、内部標準液の系統として、内部標準液ボトルA141及びそれに接続される内部標準液用シリンジA131、内部標準液用ボトルB142及びそれに接続される内部標準液用シリンジB132、そして内部標準液の流れる方向を切換える切換えバルブ201、202、203、204を備えている。同様に、希釈液の系統として、希釈液ボトルA151及びそれに接続される希釈液用シリンジA133、希釈液用ボトルB152及びそれに接続される希釈液用シリンジB134、そして希釈液の流れる方向を切換える切換えバルブ205、206、207、208を備えている。同様に、比較電極液の系統として、比較電極液ボトルA161及びそれに接続される比較電極液用送液ポンプA221、比較電極液用ボトルB162及びそれに接続される比較電極液用ポンプB222、そして比較電極液の流れる方向を切換える切換えバルブ209、210、211、212を備えている。
各試薬ボトルに対する試薬プライムについて図2B及び図2Cを用いて説明する。いずれの場合においても、試薬プライムの流れを太線で、測定用試薬の流れを破線で示すものとする。図2Bは、各試薬ボトルAの試薬プライム時の流路を纏めて示す図であり、図2Cは、各試薬ボトルBの試薬プライム時の流路を纏めて示す図である。いうまでもなく、図2Bと図2Cは各試薬の流路を纏めて示したに過ぎず、異なる試薬の流路が同時に用いられることを意味しない。具体的には、図2Bに示された1つの希釈槽110に対して、内部標準液と希釈液とを同時に吐出するような動作は現実的には行われない。
まず、内部標準液ボトルA141の内部標準液をプライムし、内部標準液ボトルB142の内部標準液を測定に用いる場合を図2Bに示す。内部標準液ボトルA141の試薬プライムを行う場合、切替え弁204及び202を作動させ、内部標準液用シリンジA131から廃液タンク111への流路を開通し、内部標準液用シリンジA131を用いて内部標準液ボトルA141の内部標準液を通導させる。このとき、切替え弁201及び203を作動させ、内部標準液用シリンジB132から内部標準液供給ノズル109への流路を開通し、内部標準液用シリンジB132を用いて内部標準液ボトルB142の内部標準液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
これに対して、内部標準液ボトルB142の内部標準液をプライムし、内部標準液ボトルA141の内部標準液を測定に用いる場合を図2Cに示す。内部標準液ボトルB142の試薬プライムを行う場合、切替え弁201及び202を作動させ、内部標準液用シリンジB132から廃液タンク111への流路を開通し、内部標準液用シリンジB132を用いて内部標準液ボトルB142の内部標準液を通導させる。このとき、切替え弁203及び204を作動させ、内部標準液用シリンジA131から内部標準液供給ノズル109への流路を開通し、内部標準液用シリンジA131を用いて内部標準液ボトルA141の内部標準液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
続いて、希釈液の試薬プライムについて説明する。同様に、試薬プライムの流れを太線で、測定用試薬の流れを破線で示す。
希釈液ボトルA151の希釈液をプライムし、希釈液ボトルB152の希釈液を測定に用いる場合を、図2Bに示す。希釈液ボトルA151の試薬プライムを行う場合、切替え弁207及び208を作動させ、希釈液用シリンジA133から廃液タンク111への流路を開通し、希釈液用シリンジA133を用いて希釈液ボトルA151の希釈液を通導させる。このとき、切替え弁205及び206を作動させ、希釈液用シリンジB134から希釈液供給ノズル108への流路を開通し、希釈液用シリンジB134を用いて希釈液ボトルB152の希釈液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
これに対して、希釈液ボトルB152の希釈液をプライムし、希釈液ボトルA151の希釈液を測定に用いる場合を図2Cに示す。希釈液ボトルB152の試薬プライムを行う場合、切替え弁206及び208を作動させ、希釈液用シリンジB134から廃液タンク111への流路を開通し、希釈液用シリンジB134を用いて希釈液ボトルB152の希釈液を通導させる。このとき、切替え弁205及び207を作動させ、希釈液用シリンジA133から希釈液供給ノズル108への流路を開通し、希釈液用シリンジA133を用いて希釈液ボトルA151の希釈液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
続いて、比較電極液の試薬プライムについて説明する。同様に、試薬プライムの流れを太線で、測定用試薬の流れを破線で示す。
比較電極液ボトルA161の比較電極液をプライムし、比較電極液ボトルB162の比較電極液を測定に用いる場合を図2Bに示す。比較電極液ボトルA161の試薬プライムを行う場合、切替え弁212及び210を作動させ、比較電極液用送液ポンプA221から廃液タンク111への流路を開通し、比較電極液用送液ポンプA221を用いて比較電極液ボトルA161の比較電極液を通導させる。このとき、切替え弁209及び211を作動させ、比較電極液用送液ポンプB222から比較電極104への流路を開通し、シッパーシリンジ135を用いて比較電極液ボトルB162の比較電極液を比較電極104へ通導させて測定に用いる。
これに対して、比較電極液ボトルB162の比較電極液をプライムし、比較電極液ボトルA161の比較電極液を測定に用いる場合を図2Cに示す。比較電極液ボトルB162の試薬プライムを行う場合、切替え弁209及び210を作動させ、比較電極用送液ポンプB222から廃液タンク111への流路を開通し、比較電極液用送液ポンプB222を用いて比較電極液ボトルB162の比較電極液を通導させる。このとき、切替え弁211及び212を作動させ、比較電極液用送液ポンプA221から比較電極104への流路を開通し、シッパーシリンジ135を用いて比較電極液ボトルA161の比較電極液を比較電極104へ通導させて測定に用いる。
次に、試薬プライムのタイミングについて説明する。一般的な検体測定装置では、電解質濃度測定部、生化学的測定部および/または免疫学的測定部を備えている。検体測定に際しては、どの項目を測定するかを診断目的に応じて検体毎に選択し、装置へ検査依頼登録を行っている。したがって、一日の検体測定において、全ての検体で電解質濃度測定を行っているのではなく、生化学的測定および/または免疫学的検査を行っているが電解質濃度測定を行わない検体もある。
そこで、試薬プライムを実行する第1のタイミングとして、上述のような検体測定の電解質項目の測定依頼が無い時期に試薬プライムを行う。そのようなタイミングでは電位測定を行っていないため、ノイズが発生しても測定に悪影響を及ぼさない。
次に、電解質濃度測定のフローを図3に示す。電解質濃度測定時は、まず内部標準液で希釈槽の洗浄(S301)を行い、次に内部標準液の測定(S302)を行う。最後に希釈液で検体を希釈し、検体測定(S303)を行う。S301からS303を1検体測定サイクルとし、各検体において電解質項目の測定依頼がある毎に、本サイクルを繰り返すことで、電解質濃度測定を行っている。
図4に、表401として図3の電解質濃度測定フローをもとに電解質濃度測定中に試薬プライム可能なタイミングを示す。希釈槽の洗浄時(S301)では電位測定を行わないため、ノイズが発生しても測定に悪影響を及ぼさず、内部標準液、希釈液、比較電極液のいずれについても試薬プライムが可能である。そこで、試薬プライムを実行する第2のタイミングとして、電解質項目の測定中において、希釈槽洗浄の時期に試薬プライムを行えるものとする。
試薬プライム全体の流れについて、図5を用いて説明する。試薬プライムは制御部183により制御される。また、試薬プライムの開始は、操作者によって指示されてもよいが、各試薬ボトル内の試薬量をモニタする試薬量モニタ機構(図示せず)を設け、試薬ボトル切替えのタイミングを管理することが望ましい。試薬量をモニタするには、試薬ボトルの重量を計測する重量センサや、流路において気泡の発生を計測する気泡センサを用いることができる。制御部は、試薬量モニタ機構の検知結果に基づき、新しい試薬ボトルがセットされたことを認識でき、また試薬ボトル交換のタイミングを判断する。なお、試薬量モニタ機構を備えずとも分析回数やシリンジの動作履歴などから試薬の消費量を管理しても良い。
まず、次試薬ボトルがあらかじめセットされる(S501)。制御部が新しい試薬ボトルがセットされたことを認識すると、次試薬ボトルの試薬プライムをタイミング1または/およびタイミング2にて行う。ここで、先に述べたように、タイミング1は検体測定において電解質項目の測定依頼が無いときであり、タイミング2は電解質項目の測定を行っているが、1検体測定サイクルの中で、内部標準液の測定及び検体測定を行っていないときである(S502)。一般に、流路が新しいボトルの試薬に適切に入れ替えられたことを保証するため、装置毎にシリンジまたはポンプの大きさや流路の容量に基づき、プライムを完了させるために必要なシリンジまたはポンプの動作回数(「プライム回数」という)が定められている。そのため、1回のタイミングでプライム回数が足りない場合は、複数タイミングに分けて試薬プライムを実施する(S503)。続いて、現在使用中の試薬ボトル中の試薬残量が少量になった場合、試薬プライム済みの次試薬ボトルに切り替える(S504)。次試薬ボトル切替え直後に、残流路分のプライムを行う(S505)。残流路分のプライムの方法は、図1に関連して説明したプライム方法と同じである。その後、空ボトルの廃棄(S506)を行い、最後に新ボトルのセット(S507)を行う。
ボトル切替え直後に残流路分の試薬プライムを行うS505の動作を実施することで、試薬供給ノズルの先端まで、試薬プライムを行うことが可能である。本動作は、特に極々微小の濃度変化が分析値に大きな影響を与える内部標準液において、非常に有効な動作である。
本実施例では各試薬流路に切替え弁を4つ備えた例を示したが、切替え弁の数及び設置位置は図示した例に限定されるものではない。
図6Aは、実施例2に関わるフロー型電解質濃度測定装置300のブロック図である。実施例1では内部標準液用シリンジ及び希釈液用シリンジを各2個ずつ備えていたが、実施例2の装置300は内部標準液用シリンジ及び希釈液用シリンジともに各1個を備えるものとし、各試薬流路を切換える切換えバルブはシリンジの手前に備えており、各試薬ボトルには送液ポンプを接続している。電解質濃度測定にあたっては流路に流す試薬の流量を精度よく制御するためシリンジを用いるが、試薬プライムの場合は測定時ほど厳密な流量制御は必要ない。このため、実施例2ではシリンジよりも安価なポンプを用いて試薬プライムを実行可能とするものである。
具体的には、内部標準液の系統として、内部標準液ボトルA141および内部標準液送液ポンプA311、内部標準液ボトルB142および内部標準液送液ポンプB312、内部標準液の流れる方向を切換える切換えバルブ303、304、305、306および、内部標準液用シリンジ301を備えている。希釈液の系統としては、希釈液ボトルA151および希釈液送液ポンプA313、希釈液ボトルB152および希釈液送液ポンプ314、希釈液の流れる方向を切換える切換えバルブ307、308、309、310および、希釈液用シリンジ302を備えている。比較電極液の系統は、実施例1と同じである。
各試薬ボトルに対する試薬プライムについて図6B及び図6Cを用いて説明する。いずれの場合においても、試薬プライムの流れを太線で、測定用試薬の流れを破線で示すものとする。図2B、図2Cと同様に、図6Bは各試薬ボトルAの試薬プライム時の流路を纏めて示す図であり、図6Cは、各試薬ボトルBの試薬プライム時の流路を纏めて示す図である。なお、比較電極液の系統については実施例1と同じであるため、説明を省略する。
まず、内部標準液ボトルA141の内部標準液をプライムし、内部標準液ボトルB142の内部標準液を測定に用いる場合を図6Bに示す。内部標準液ボトルA141の試薬プライムを行う場合、切替え弁306及び304を作動させ、内部標準液送液ポンプA311から廃液タンク111への流路を開通し、内部標準液送液ポンプA311を用いて内部標準液ボトルA141の内部標準液を通導させる。このとき、切替え弁303及び305を作動させ、内部標準液送液ポンプB312から内部標準液用シリンジ301を経て内部標準液供給ノズル109へ至る流路を開通し、内部標準液用シリンジ301を用いて内部標準液ボトルB142の内部標準液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
これに対して、内部標準液ボトルB142の内部標準液をプライムし、内部標準液ボトルA141の内部標準液を測定に用いる場合を図6Cに示す。内部標準液ボトルB142の試薬プライムを行う場合、切替え弁303及び304を作動させ、内部標準液送液ポンプB312から廃液タンク111への流路を開通し、内部標準液送液ポンプB312を用いて内部標準液ボトルB142の内部標準液を通導させる。このとき、切替え弁305及び306を作動させ、内部標準液送液ポンプA311から内部標準液用シリンジ301を経て内部標準液供給ノズル109へ至る流路を開通し、内部標準液用シリンジ301を用いて内部標準液ボトルA141の内部標準液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
続いて、希釈液の試薬プライムについて説明する。同様に、試薬プライムの流れを太線で、測定用試薬の流れを破線で示す。
希釈液ボトルA151の希釈液をプライムし、希釈液ボトルB152の希釈液を測定に用いる場合を図6Bに示す。希釈液ボトルA151の試薬プライムを行う場合、切替え弁310及び308を作動させ、希釈液送液ポンプA313から廃液タンク111への流路を開通し、希釈液送液ポンプA313を用いて希釈液ボトルA151の希釈液を通導させる。このとき、切替え弁307及び309を作動させ、希釈液送液ポンプB314から希釈液用シリンジ302を経て希釈液供給ノズル108へ至る流路を開通し、希釈液用シリンジ302を用いて希釈液ボトルB152の希釈液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
これに対して、希釈液ボトルB152の希釈液をプライムし、希釈液ボトルA151の希釈液を測定に用いる場合を図6Cに示す。希釈液ボトルB152の試薬プライムを行う場合、切替え弁307及び308を作動させ、希釈液送液ポンプB314から廃液タンク111への流路を開通し、希釈液送液ポンプB314を用いて希釈液ボトルB152の希釈液を通導させる。このとき、切替え弁310及び309を作動させ、希釈液送液ポンプA313から希釈液用シリンジ302を経て希釈液供給ノズル108へ至る流路を開通し、希釈液用シリンジ302を用いて希釈液ボトルA151の希釈液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
試薬プライムのタイミング及び試薬プライムの全体の流れについては、実施例1と同じである。また、実施例1と同じく、ボトル切替え直後に残流路分の試薬プライムを行うという動作を実施することで、試薬供給ノズルの先端まで、試薬プライムを行うことができ、これは、極々微小の濃度変化が分析値に大きな影響を与える内部標準液において、非常に有効である。本実施例においても各試薬流路に切替え弁を4つ備えた例を示したが、切替え弁の数及び設置位置は問わない。
本実施例の場合、内部標準液用シリンジおよび希釈液用シリンジが各1つでよいため、実施例1と比較して装置構造の単純化、低コスト化が可能となる。一方で、残流路分にシリンジが含まれる。このため、特に分析値に大きな影響を与える内部標準液においては、次試薬ボトル切り替え直後の残流路分のプライムにおいて、シリンジ内の試薬プライムを十分に行う必要がある。
また、本実施例は各試薬流路に送液ポンプを備えているため、試薬を加圧して送液することができる。そのため、例えば高標高地で低圧環境下にさらされる場合においても、安定した送液が可能となる利点もある。
変形例として、送液ポンプを1つとした構成を図7に示す。本変形例は、試薬ボトル毎に送液ポンプを設置するのではなく、廃液タンク111の直前に送液ポンプ315を設置するものである。本構成により、装置構造をより単純化することが可能となる。
図8Aは、実施例3に関わるフロー型電解質濃度測定装置400のブロック図である。実施例2では内部標準液及び希釈液ともに試薬ボトルに送液ポンプを接続していたのに対し、実施例3の装置400では送液ポンプを接続していない。さらに、各試薬流路を切換える切換えバルブがシリンジの手前に1系統およびシリンジの後に1系統備えている。
具体的には、内部標準液の系統として、内部標準液ボトルA141、内部標準液用ボトルB142および内部標準液の流れる方向を切換える切換えバルブ401、402および、内部標準液用シリンジ301を備えている。希釈液の系統としては、希釈液ボトルA151、希釈液ボトルB152、希釈液の流れる方向を切換える切換えバルブ403、404および、希釈液用シリンジ302を備えている。比較電極液の系統は、実施例1および実施例2と同じである。
各試薬ボトルに対する試薬プライムについて図8B及び図8Cを用いて説明する。いずれの場合においても、試薬プライムの流れを太線で、測定用試薬の流れを破線で、タイミングにより試薬プライムまたは測定用試薬両方の流れが生じる共用部を点線で示すものとする。図2B、図2Cと同様に、図8Bは各試薬ボトルAの試薬プライム時の流路を纏めて示す図であり、図8Cは、各試薬ボトルBの試薬プライム時の流路を纏めて示す図である。なお、比較電極液の系統については実施例1及び実施例2と同じであるため、説明を省略する。
まず、内部標準液ボトルA141の内部標準液をプライムし、内部標準液ボトルB142の内部標準液を測定に用いる場合を図8Bに示す。内部標準液ボトルA141の試薬プライムを行う場合、切替え弁401及び402を作動させ、内部標準液ボトルA141から内部標準液用シリンジ301を経て廃液タンク111へ至る流路を開通し、内部標準液用シリンジ301を用いて内部標準液ボトルA141の内部標準液を通導させる。このとき、測定に用いる内部標準液は、内部標準液Aの試薬プライムと全く同じタイミングでは通導できない。しかし、時間差で切替え弁401及び402を作動させ、内部標準液ボトルB142から内部標準液用シリンジ301を経て内部標準液供給ノズル109へ至る流路を開通し、内部標準液用シリンジ301を用いて内部標準液ボトルB142の内部標準液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。なお、測定を行う前に、切替え弁401及び402を作動させ、内部標準液ボトルB142から内部標準液用シリンジ301を経て廃液タンク111へ至る流路を開通し、内部標準液用シリンジ301を用いて内部標準液ボトルB142の内部標準液を通導させ、共用部について内部標準液ボトルB142による試薬プライムを行うことが望ましい。
これに対して、内部標準液ボトルB142の内部標準液をプライムし、内部標準液ボトルA141の内部標準液を測定に用いる場合を図8Cに示す。内部標準液ボトルB142の試薬プライムを行う場合、切替え弁401及び402を作動させ、内部標準液ボトルB142から内部標準液用シリンジ301を経て廃液タンク111へ至る流路を開通し、内部標準液用シリンジ301を用いて内部標準液ボトルB142の内部標準液を通導させる。このとき、測定に用いる内部標準液は、内部標準液Bの試薬プライムと全く同じタイミングでは通導できない。しかし、時間差で切替え弁401及び402を作動させ、内部標準液ボトルA141から内部標準液用シリンジ301を経て内部標準液供給ノズル109へ至る流路を開通し、内部標準液用シリンジ301を用いて内部標準液ボトルA141の内部標準液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。なお、測定を行う前に、切替え弁401及び402を作動させ、内部標準液ボトルA141から内部標準液用シリンジ301を経て廃液タンク111へ至る流路を開通し、内部標準液用シリンジ301を用いて内部標準液ボトルA141の内部標準液を通導させ、共用部について内部標準液ボトルA141による試薬プライムを行うことが望ましい。
続いて、希釈液の試薬プライムについて説明する。同様に、試薬プライムの流れを太線で、測定用試薬の流れを破線で、タイミングにより試薬プライムまたは測定用試薬両方の流れが生じる共用部を点線で示す。
希釈液ボトルA151の希釈液をプライムし、希釈液ボトルB152の希釈液を測定に用いる場合を図8Bに示す。希釈液ボトルA151の試薬プライムを行う場合、切替え弁403及び404を作動させ、希釈液ボトルA151から希釈液用シリンジ302を経て廃液タンク111へ至る流路を開通し、希釈液用シリンジ302を用いて希釈液ボトルA151の希釈液を通導させる。このとき、測定に用いる希釈液は、希釈液Aの試薬プライムと全く同じタイミングでは通導できない。しかし、時間差で切替え弁403及び404を作動させ、希釈液ボトルB152から希釈液用シリンジ302を経て希釈液供給ノズル108へ至る流路を開通し、希釈液用シリンジ302を用いて希釈液ボトルB152の希釈液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
これに対して、希釈液ボトルB152の希釈液をプライムし、希釈液ボトルA151の希釈液を測定に用いる場合を図8Cに示す。希釈液ボトルB152の試薬プライムを行う場合、切替え弁403及び404を作動させ、希釈液ボトルB152から希釈液用シリンジ302を経て廃液タンク111へ至る流路を開通し、希釈液用シリンジ302を用いて希釈液ボトルB152の希釈液を通導させる。このとき、測定に用いる希釈液は、希釈液Bの試薬プライムと全く同じタイミングでは通導できない。しかし、時間差で切替え弁403及び404を作動させ、希釈液ボトルA151から希釈液用シリンジ302を経て希釈液供給ノズル108へ至る流路を開通し、希釈液用シリンジ302を用いて希釈液ボトルA151の希釈液を希釈槽110へ吐出して測定に用いる。
希釈液の場合も測定を開始する前に、測定に用いる希釈液により共用部について試薬プライムを行うようにしてもよい。
試薬プライムのタイミング及び試薬プライムの全体の流れについては、実施例1および実施例2と同じである。また、実施例1および実施例2と同じく、ボトル切替え直後に残流路分の試薬プライムを行うという動作を実施することで、試薬供給ノズルの先端まで、試薬プライムを行うことができ、これは、極々微小の濃度変化が分析値に大きな影響を与える内部標準液において、非常に有効である。本実施例では各試薬流路に切替え弁を2つ備えた例を示したが、切替え弁の数及び設置位置は問わない。
本実施例では内部標準液用シリンジおよび希釈液用シリンジが各1つでよいため、実施例1と比較して装置構造を単純化することが可能となる。一方で、1つのシリンジを試薬プライム用と測定用とで共用使用するため、内部標準液においてはシリンジ内試薬の濃度変化が分析値に影響を与えてしまうというおそれがある。このため、次試薬ボトルの試薬プライムを行った後、測定を開始する前に、測定に用いる内部標準液により共用部(シリンジ含む)の試薬プライムを行うことが望ましい。
次に、変形例として、内部標準液用シリンジを2つとした構成を図9に示す。これは、内部標準液の系統については実施例1を採用し、それ以外は実施例3を採用した変形例である。本変形例では、極々微小の濃度変化が測定値に大きな影響を与える内部標準液については、シリンジを2つ備えている。したがって、上述のようなシリンジ内試薬の濃度変化が分析値に影響を与えてしまうというおそれを大幅に解消でき、実施例1に比べて装置構成も単純化することができる。
以上の実施例1、実施例2、実施例3では、同種の試薬ボトルは2本設置しているが、2本以上であってもよい。また、装置内で使う全種類の試薬でなく、一部の試薬のみに本発明を適用することもできる。
各試薬流路のプライムに必要な試薬量については、例えば一律流路体積の3倍量としてもよい。あるいは、電解質濃度測定の特性を鑑み、極々微小の濃度変化が測定値に大きな影響を与える内部標準液は、流路体積の3倍量以上の試薬量で試薬プライムを行い、一方、極々微小な濃度変化は、測定値に大きな影響を与えない希釈液及び比較電極液は、内部標準液よりは少ない試薬量、例えば流路体積の3倍量未満の試薬量で試薬プライムを行う、というように定めてもよい。
シリンジの駆動方法については、モーターによるものでもアクチュエータによるものでもよく、さらには1つの駆動原で複数のシリンジを動かしてもよい。
試薬ボトルの交換については、オペレーターが手作業で交換してもよく、例えば回転テーブル方式などの空になった試薬ボトルを新たな試薬ボトルに交換可能な自動試薬ボトル交換機構を備えてもよい。
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は全てのイオン種に適用可能である。