JP2019073817A - セルロースナノファイバー含有シートおよびその製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー含有シートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】湿潤強度を有しつつ水解性を備えたセルロースナノファイバー含有シートおよびかかるシートを簡単に製造することができる製造方法を提供する。【解決手段】セルロースナノファイバーを原料として含む凝集体10と、繊維Fと、を含有することを特徴とする。セルロースナノファイバーを含有した凝集体10がシート中に存在しているので、接着剤を用いなくてもシート強度を向上させることができる。そして、凝集体10を分散するような構造とすれば、湿潤強度を発揮しつつ水解性を有するシートを形成することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、セルロースナノファイバー含有シートおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、強度を有しつつ水解性に優れたセルロースナノファイバー含有シートおよびその製造方法に関する。
一般的な紙の製紙工程は、パルプ繊維を水に分散させた液体からワイヤーを用いた抄紙工程の後、脱水および乾燥の各工程を順に行う構成となっている。また、パルプ繊維同士の接着性を高め紙の強度を向上させる目的でデンプン系、PAM系ポリマーなどの接着剤(いわゆる紙力増強剤)が用いられている。しかし、このような紙力増強剤は、添加量を増やせば強度も向上させることができる一方、紙の地合の悪化や不良品の発生が生じやすくなるといった問題が発生している。
近年、このような問題を解決するために、セルロースナノファイバーを用いる技術が開発されている。セルロースナノファイバーは、高強度および軽量等の優れた性質を有しているので、セルロースナノファイバーを用いてパルプ繊維同士を接着させることができれば、強度が高くかつ高品質の紙を製造できると期待されている。一方、セルロースナノファイバーは、このような優れた性質を有するものの、繊維幅が数〜数十nm、繊維長が数百nmの微小繊維であるので、一般的な製紙工程におけるワイヤーではパルプ繊維と一緒に抄くことが困難であるといった問題がある。
そこで、特許文献1〜3にはセルロースナノファイバーを内添法によってパルプ繊維に定着させる技術が、特許文献4〜5には外添法によって定着させる技術が開示されている。
特許文献1、2には、パルプ繊維表面をカチオンポリマーで覆った後、このパルプ繊維に対してセルロースナノファイバーを定着させる。そして、このセルロースナノファイバーが定着したパルプ繊維が混入した液体に水を加えて所定の濃度に調整した後、抄紙することによって、セルロースナノファイバーを含有させた紙を製造できる旨が記載されている。
特許文献3には、まず、セルロースの官能基の一部をカチオン変性させたカチオン変性セルロースを調製した後、解繊等してカチオン変性セルロースナノファイバーを調製する。そして、このカチオン変性セルロースナノファイバーを分散させた分散液を、パルプ繊維を分散させたパルプ分散液に添加した後、かかる混合液を抄紙することによって、セルロースナノファイバーを含有させた紙を製造できる旨が記載されている。
特許文献4、5には、セルロースナノファイバーを懸濁させた懸濁液を紙の表面にスプレーやロールで塗布する技術が開示されている。
特開2012−214943号公報 特開2016−166444号公報 特開2016−94680号公報 特開2012−197544号公報 特開2010−242286号公報
しかるに、特許文献1〜5の技術では、一般的な製紙工程に加えて新たな工程が必要となるので、既存の設備ではこれらの文献の紙を製造することはできないという問題がある。しかも、特許文献1、2で製造される紙は、セルロースナノファイバーの含有率が0.01%程度と非常に低いので、十分な強度が得られないという問題が生じている。さらに、特許文献4、5の技術では、セルロースナノファイバーを塗布するための特別な設備を設けなければならず、しかも、上記のごとき微細繊維を塗布することから、周囲への影響を防止するためにセルロースナノファイバーを塗布する工程をほぼ密閉状態とする必要があり、施設の大型化やさらなる設備投資が必要となるといった問題が発生している。
さらに、これらの特許文献の紙では、水解性について十分に考慮されていない。
つまり、現状の技術では、紙にセルロースナノファイバーを含有させるには、特殊な工程や設備が必要であることから、既存の製紙工程のままでは製造できないというのが実情である。
また、特許文献1〜5には、紙の強度を向上させる点についての記載はあるものの、得られる紙の水解性に関する記載はほとんどない。
本発明は上記事情に鑑み、湿潤強度を有しつつ水解性を備えたセルロースナノファイバー含有シートおよびかかるシートを簡単に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
第1発明のセルロースナノファイバー含有シートは、セルロースナノファイバーを原料として含む凝集体と、パルプ繊維と、を含有することを特徴とする。
第2発明のセルロースナノファイバー含有シートは、第1発明において、前記凝集体が、前記パルプ繊維間に分散した状態で含有していることを特徴とする。
第3発明のセルロースナノファイバー含有シートは、第1または第2発明において、前記凝集体が、カチオンポリマー、アニオンポリマーおよび両性ポリマーから選ばれる少なくとも1種以上のポリマーと直接または間接的に結合しているセルロースナノファイバーを含有していることを特徴とする。
第4発明のセルロースナノファイバー含有シートは、第3発明において、隣接する前記ポリマー同士が金属イオンで架橋されたものを含有していることを特徴とする。
(製造方法)
第5発明のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法は、セルロースナノファイバーを原料として含む凝集体と、パルプ繊維と、を水に分散させた分散液を抄紙することを特徴とする。
第6発明のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法は、第5発明において、前記セルロースナノファイバーを水に分散したセルロースナノファイバー分散液を調製した後、該セルロースナノファイバー分散液にポリマーを加えて、前記凝集体を調製することを特徴とする。
第7発明のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法は、第6発明において、前記凝集体の調製において、前記ポリマーが、アニオンポリマーおよび/または両性ポリマーの場合、該ポリマーを加える前に、前記セルロースナノファイバー分散液にカチオン性凝集補助剤を加えることを特徴とする。
第8発明のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法は、第7発明において、前記ポリマーが、カチオンポリマーであることを特徴とする。
第9発明のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法は、第6発明、第7発明、第8発明または第9発明のいずれかの発明において、前記分散液を抄紙した後、金属イオンを含有する架橋剤を付与することを特徴とする。
第10発明のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法は、第6発明、第7発明、第8発明、第9発明または第10発明のいずれかの発明において、前記凝集体の表面電荷が略同じ電荷状態となるように調整することを特徴とする。
第11発明のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法は、第6発明、第7発明、第8発明、第9発明、第10発明または第11発明のいずれかの発明において、前記凝集体の粒子径が、1000μm以下となるように調整することを特徴とする。
第12発明のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法は、第6発明、第7発明、第8発明、第9発明、第10発明、第11発明または第12発明のいずれかの発明において、前記凝集体の粒子径が、100μm以上となるように調整することを特徴とする。
第1発明によれば、セルロースナノファイバーを含有した凝集体がシート中に存在しているので、接着剤を用いなくてもシート強度を向上させることができる。
第2発明によれば、シート内において、凝集体が密集した状態とならない。このため、凝集体が存在する部分の強度を強く、凝集体が存在していない部分は凝集体が存在している部分の強度よりも弱くすることができる。つまり、強度ムラを有するシートを形成することができる。このため、シートを大量の水に接触させた状態において、シートに対して力を加えれば、簡単にほぐれる高い水解性を有するシートを形成できる。しかも、湿潤状態においては、凝集体によって高い湿潤強度を発揮させることができる。したがって、水に接触させた際、湿潤状態においては高い湿潤強度を発揮しつつ、大量の水に接触すれば高い水解性を発揮するシートを形成することができる。
第3発明によれば、セルロースナノファイバーに結合したポリマーを含有した凝集体がシート中に存在しているので、湿潤状態における湿潤強度を向上させることができる。
第4発明によれば、ポリマー同士が金属イオンで架橋されているので、湿潤状態における湿潤強度をさらに向上させることができる。しかも、大量の水に接触すれば、両者間の結合は解離するので、高い水解性を維持することができる。
(製造方法)
第5発明によれば、分散液を抄紙するだけで、セルロースナノファイバーを含む凝集体をパルプ繊維間に分散させた状態で含有したシートを簡単に製造することができる。しかも、凝集体が存在する部分の強度を強く、凝集体が存在していない部分は凝集体が存在している部分の強度よりも弱いシートを製造することができる。つまり、強度ムラを有するシートを製造することができる。このため、シートを大量の水に接触させた状態において、シートに対して力を加えれば、簡単にほぐれる高い水解性を有するシートを製造することができる。しかも、湿潤状態においては、凝集体によって高い湿潤強度を発揮させることができる。したがって、水に接触させた際、湿潤状態においては高い湿潤強度を発揮しつつ、大量の水に接触すれば高い水解性を発揮するシートを簡単に製造することができる。また、凝集体とパルプ繊維を水に分散させた分散液を抄紙するだけの簡単な工程を備えるだけなので、既存の製紙工程における設備を用いて製造できる。しかも、従来の外添法のような特別な設備等を設けなくてもよいので、従来の方法と比べて安価に製造することができるから、経済的にも優れたシートを製造することができる。
第6〜8発明によれば、凝集体を適切に凝集させることができる。
第9発明によれば、架橋剤を塗布することによって、湿潤強度をより向上させつつ、適切な水解性を維持させることができる。
第10発明によれば、分散液中に凝集体を分散した状態に維持できるので、湿潤強度および水解性を適切に発揮するシートを製造することができる。
第11発明によれば、凝集体が所定の大きさよりも小さくなるように調整されているので、水解性を適切により発揮するシートを製造することができる。
第12発明によれば、凝集体が所定の大きさよりも大きくなるように調整されているので、既存の製紙工程における設備を用いた製造が可能となる。
本実施形態のCNF含有シート1の概念図であり、(A)はシート表面の概念図であり、(B)はシートの概略断面図である。 本実施形態のCNF含有シート1の製造フロー図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。 実験結果を示した図である。
本実施形態のセルロースナノファイバー含有シートは、セルロースナノファイバーを含んだ凝集体を含有することによって、湿潤強度と水解性の両方の性質を発揮させることができるようにしたことに特徴を有している。
とくに、本実施形態のセルロースナノファイバー含有シートは、上記凝集体を分散した状態で含有していることに特徴を有している。
また、本実施形態のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法は、分散液中に分散させたセルロースナノファイバーを含んだ凝集体を繊維と共に抄紙することができるようにしたことに特徴を有している。
なお、本実施形態のセルロースナノファイバー含有シートは、後述するように、乾燥状態における強度はもちろん湿潤状態における湿潤強度を有しつつ水解性も有するので、様々な用途に使用することができる。例えば、障子やセキュリティペーパー等のほか、トイレットペーパーやティシュペーパー、トイレクリーナー、ペットシート、検便シート等使用後にトイレや下水等に廃棄することができるものとして使用することができる。
つぎに、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
以下では、本実施形態のセルロースナノファイバー含有シート(以下、単にCNF含有シートという)の概略を説明したのち、本実施形態のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法(以下、単にCNF含有シートの製造方法という)について説明する。
図1に示すように、本実施形態のCNF含有シート1は、パルプ繊維Fで形成されたシート状の基材2を備えたものであり、この基材2にセルロースナノファイバー(以下、単にCNFという)を含んだ凝集体10を含有したものである。
図1に示すように、基材2は、パルプなどのセルロースを主たる構成成分とするパルプ繊維Fがシート状に形成されたものであればとくに限定されない。
この紙基材2を構成するパルプ繊維Fは、その繊維幅や繊維長はとくに限定されないが、通常は、後述するセルロースナノファイバー(以下、単にCNFという)よりも繊維幅が太いものである。例えば、繊維幅が1〜100μm程度、繊維長は0.1〜10mm程度、好ましくは、繊維幅は5μm〜50μm程度、繊維長は0.5mm〜5.0mm程度のパルプ繊維Fを使用して形成された紙基材2であれば、後述する水解性を向上させる点で好ましい。
図2に示すように、紙基材2は、パルプ繊維F間に凝集体10を含有するように配置した構造を有するものである。この凝集体10は、CNFとポリマーPが凝集したものである。より具体的には、CNFをコアのように機能させてCNFの周囲にポリマーPを結合させて凝集させたものである。
なお、CNFとポリマーPの結合とは、両者が直接的に結合する場合のほか、両者を間接的に結合する場合も含む概念である。
ポリマーPは、CNFと結合することができるものであれば、とくに限定されない。例えば、ポリマーPとして、溶液中において、CNFの電荷と同質の性質を有するアニオンポリマーPや両性ポリマーPのほか、CNFの電荷と反対の電荷を有するカチオンポリマーPを挙げることができるが、詳細は後述する。
また、CNFとポリマーPは互いにある程度の長さを有する化合物であるので、両者が結合した結合物または/および結合物同士が互いに複雑に絡み合った状態で凝集させることができる。しかも、かかる状態において、接近したCNF同士は、互いに水素結合によっても結合した状態にできる。
そして、この凝集体10の表面においては、凝集体10の表面に露出した結合物やCNF、ポリマーPなどが周囲に存在するパルプ繊維Fと、水素結合やイオン結合、疎水性相互作用、分子間力などによって結合した状態となっている。
以上のごとく、本実施形態のCNF含有シート1の基材2は、CNFを含有した凝集体10がパルプ繊維F間に存在した構造となっている(図1参照)。言い換えれば、基材2の繊維F間にCNFを定着させた構造となっている。そして、基材2において、凝集体10が存在する部分では、凝集体10と周囲のパルプ繊維Fは、凝集体10の表面におけるCNF等と水素結合等によって強固に結合した状態となっている。しかも、図1に示すように、かかる部分においては、基材2のパルプ繊維F間の隙間は、凝集体10によって塞がれた状態となっている。つまり、この凝集体10が存在する部分では、複数のパルプ繊維F同士が凝集体10を介して互いに連結したような構造となるように形成することができる。具体的には、複数の隣接する凝集体10が周囲の複数のパルプ繊維Fと相互に連結してコロニーを形成したような状態となっている。
そして、この複数のパルプ繊維F同士を連結する凝集体10中には、高強度および軽量等の優れた性質を有するCNFが含有しており、かかるCNFが互いにポリマーPによって結合されたような構造となるように形成することができる。
しかも、ポリマーP自体もある程度の強度を有しており、両者が互いに絡まり合ったような状態で結合させることができる。
したがって、基材2において凝集体10を含有させた構造とするだけで、引張り強度等に対して高い強度を発揮するCNF含有シート1を形成することができる。
(凝集体10が分散した構造)
とくに、図1に示すように、本実施形態のCNF含有シート1の基材2中において、凝集体10が分散した構造とするのが好ましい。この場合、基材2中において、凝集体10の密度がばらつくような構造となる。すると、凝集体10の密度が高い部分や凝集体10がある程度存在する部分においては基材2の強度を強くできる。一方、凝集体10の密度が低い部分や凝集体10が存在しない部分(パルプ繊維F同士のみが絡み合ったり、連結したりした部分)では、凝集体10の密度が高い部分や凝集体10がある程度存在している部分の強度よりも基材2の強度を弱くすることができる。つまり、基材2中において、凝集体10が分散した構造とすることによって、強度が強い部分と強度が弱い部分を有する基材2(強度ムラを有する基材2)を形成することができるのである。
上記のごとき構造を有するCNF含有シート1に対して水を接触させた際、接触させる水の量によって以下のような作用を示す。
まず、CNF含有シート1に水分を含ませる(つまりCNF含有シート1を湿潤状態にする)。
ここで、上述したようにCNF含有シート1は、基材2中に複数の凝集体10が存在した構造となっている。CNF含有シート1に水分を供給すれば、凝集体10が存在しないだけで他の構造は同じシートに同量の水を供給した場合と比べて、凝集体10が存在する分、隣接する凝集体10間における水分濃度が高くなるように思われる。すると、同量の水を供給した際、後者(つまり本実施形態のCNF含有シート1)のほうが前者と比べて早くほぐれてしまうようにも思われる。
しかしながら、CNF含有シート1は、基材2中に複数の凝集体10が存在した構造となっているので、上述したように隣接する凝集体10とその周囲のパルプ繊維F同士が互いに連結した状態となっている。このため、隣接する凝集体10間における水分濃度が前者の場合と比べて高くなったとしても、かかる水分濃度が上記連結状態を保持できない程度に達しない限りその連結状態が維持される(つまりシート形状が維持される)。
つまり、CNF含有シート1に水を供給した際、凝集体10の存在により、凝集体10が存在する基材2部分では、凝集体10中におけるCNFやポリマーPの結合および凝集体10とその周囲のパルプ繊維Fとの相互作用によってある程度の強度が維持される。このため、CNF含有シート1が湿潤状態にあるときには、ある程度の湿潤強度を発揮することができるので、シート形状を保持し破れにくい状態が維持される。
なお、CNF含有シート1が湿潤状態にあるとは、シート形状を維持したまま水分を保持した状態を意味する。言い換えれば、CNF含有シート1が水分を含んだ状態(つまり隣接する繊維F間に水が存在する状態)において、かかるパルプ繊維F間における結合が存在している状態を意味する。そして、CNF含有シート1が湿潤状態にあるとは、シート形状を維持したまま、シート全体に水分を含んだ状態はもちろん、部分的に水分を含んだ状態も含む概念である。具体的には、CNF含有シート1が、シート表面に触れても水分が付着しない程度の水分を含んだ状態からシート表面に触れた際に水分が付着するぐらい水分を含んだ状態で、シート形状を維持している状態のことをいう。例えば、シート形状を維持したまま、水分率が200〜500%程度となるように水分を保持させたものは、ウェットシートとして使用することが可能となる。
一方、CNF含有シート1に水分を含ませた状態において、シート形状を維持できなくなった状態のCNF含有シート1を、解離状態にあるという。つまり、湿潤状態のCNF含有シート1に対してさらに大量の水分を接触させた際(例えば、CNF含有シート1を水中に浸漬させたような状態)、そのシート形状を保持することができなくなった状態を意味する。具体的には、CNF含有シート1に水分を含ませた状態において、かかるCNF含有シート1に対してわずかな力を加えれば、CNF含有シート1が小片(パーティクル)に分解するような状態をいう。なお、この分解した小片の多くには、凝集体10が含まれている。
この解離状態が生じるメカニズムは明確ではないが、以下のように推測される。
CNF含有シート1に対して大量の水を接触させた際、基材2において、隣接する凝集体10同士の距離が離れた部分では、パルプ繊維F同士間にさらに大量の水が浸入することになるので、多量の自由水が存在する状態となる。このような状態では、パルプ繊維F同士の結合が湿潤状態と比べてより少なくなるので、かかる部分におけるパルプ繊維F同士間の結合力もさらに低下した状態となる。このとき、かかる部分に対してわずかな引っ張り力等の力を加えれば、かかる部分におけるパルプ繊維F同士の結合が解離する。このため、このような結合力の弱まった部分で繊維F同士の解離が進行することによって、CNF含有シート1が複数の小片に分解されるものと推測される。
本実施形態のCNF含有シート1の基材2中に凝集体10が分散した構造とすることによって、湿潤状態においては、パルプ繊維Fのみの場合と比べて湿潤強度を向上させることができる一方、大量の水に接触させた状態においては、簡単にほぐすことができるシートを形成することができる。
つまり、CNF含有シート1に対して水に接触させれば、湿潤状態において高い湿潤強度を発揮しつつ、大量の水に接触した状態においては高い水解性を発揮するシートを形成することができる。
(ポリマーP)
ポリマーPは、上述したような機能を有するものであれば、とくに限定されない。
例えば、ポリマーPのアニオンポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)や、カラギーナン、グァーガム、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリエステル、ポリエチレン、メタクリル酸エステル、ポリスチレン誘導体、スチレン・アクリレート共重合体、(変性)ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリウレタンなどを挙げることができる。
また、ポリマーPの両性ポリマーとしては、例えば、両性ポリアクリルアミド(両性PAM)、でんぷんグラフトPAMなどを挙げることができる。
そして、ポリマーPのカチオンポリマーとしては、例えば、ポリスチレン誘導体、カチオン化でんぷん、カチオン化グァーガム、(変性)ポリビニルアルコール、カチオン化ポリアクリルアミド、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、メラミン樹脂、ポリビニルアミン、ポリアミン、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリダドマック、ポリ塩化アルミニウム、ポリアルキレンポリアミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミンなどを挙げることができる。
(カチオン性凝集補助剤11)
とくに、アニオンポリマーや両性ポリマーを用いる場合、かかるアニオンポリマー等とCNFとの結合性を向上させる上では、両者間にカチオン性の電荷を有するカチオン性凝集補助剤11を設けるのが好ましい。カチオン性凝集補助剤11を設ければ、両者間を電気的作用によって、かかるアニオンポリマー等とCNFをより適切に結合させることができる。
一方、このカチオン性凝集補助剤11は、上述したCNF含有シート1の解離性の観点から、大量の水に接触させた際に両者間の結合力が弱くなったり、解離したりする性質を有するものが望ましい。
このような性質を有するカチオン性凝集補助剤11としては、例えば、2−(メタクロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド重合物(PTMMAC)や、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合物(DADMAC)などを挙げることができる。
(架橋剤)
また、CNF含有シート1の基材2は、パルプ繊維Fや、凝集体10中のCNFやポリマーP等が互いにまたはそれぞれが架橋反応で結合した構造としてもよい。この架橋構造は、架橋剤を設けることによって形成することができる。
架橋剤は、湿潤状態において、ポリマーP同士間や、ポリマーPとCNF間、ポリマーPとパルプ繊維F間、CNF同士間、CNFとパルプ繊維F間などに設けることによって両者を架橋的に結合する機能を有しつつ、大量の水に接した状態ではかかる結合が解離等する性質を有するものが好ましい。
かかる構造とすれば、水解性を適切に維持しつつ、湿潤状態におけるCNF含有シート1の強度をより向上させることができる。
このような架橋剤としては、二価または三価の金属イオンを含有するものが好ましく、例えば、カルシウム塩や、アルミニウム塩、マグネシウム塩、鉄イオンを含む鉄塩などを挙げることができる。
例えば、アニオンポリマーとしてCMCを用いる場合、2価のカルシウムイオンを含有する塩化カルシウムを架橋剤として用いるのが好ましい。この場合、上述したポリマー同士等をカルシウムによって架橋結合させることができる。しかも、塩化カルシウムは安価で入手することができるので経済的にも優れている。
なお、CNF含有シート1の基材2に対して架橋剤を付与する方法はとくに限定されない。例えば、架橋剤を含む溶液をミスト状にして基材2表面に塗布してもよいし、架橋剤を含む溶液にCNF含有シート1の基材2を浸漬して含浸させてもよい。
(CNFの製造方法)
この凝集体10に含有されるCNFは、繊維径が約10nm〜500nm、繊維長が約500μm以下となるように調製されたものであればよく、その製造方法は、とくに限定されない。
例えば、機械的処理によって得られたものや、化学的処理により得られたものを用いて製造することができる。また、CNFの原料となる繊維もとくに限定されない。例えば、パルプ繊維や木粉、植物残渣、製紙残渣のように、セルロースを主たる構成成分とする繊維であればよい。
機械的処理により得る場合には、原料となる繊維を機械的処理によって微細化処理したものを使用することができる。原料となる繊維を微細化処理する方法はとくに限定されないが、例えば、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機などを使用して、原料となるパルプ繊維をナノファイバー化することができる。
機械的処理によって得られるCNFは、その繊維長や繊維径を化学的処理により得らえるものよりも長くしかも大きいCNFが含まれている。つまり、様々な繊維長や繊維径のナノファイバーを含んでいる。この場合、CNFを凝集させる際、長い繊維と短い繊維を複雑に絡み合わせることができるので、凝集体10自体の強度を向上させることが可能となる。
なお、このような性質を有するCNFであれば、生物由来のバクテリアセルロースを用いて製造することも可能である。
また、化学処理により得られたものを用いれば、機械的処理により得られるCNFに比べて、繊維径が小さく繊維長の短いCNFが略均質に含まれたCNFを製造することができる。この場合、CNFの表面積を大きくすることができるので、カチオンポリマーとの反応性を向上させやすくなるという利点が得られる。
(CNF含有シート1の製造方法)
上述したようなCNF含有シート1は、以下の方法で製造することができる。
なお、ポリマーPとしてアニオンポリマーPを使用する場合を代表として説明する。また、アニオンポリマーPとCNFの結合性を向上させるために、カチオン性凝集補助剤11を用いる場合を代表として説明する。
図2に示すように、まず、CNFを含有する凝集体10を調製する。ついで、この凝集体10とパルプ繊維Fを水に分散させた分散液DE2を調製した後、この分散液DE2を抄紙して、抄紙したシートを脱水・乾燥すれば、凝集体10がCNF含有シート1の基材2に分散した状態で保持されたCNF含有シート1を製造することができる。
(凝集体10の調製)
凝集体10の調製方法を以下説明する。
図2に示すように、凝集体10は、CNFを水に分散させたCNF分散液DE1を調製した後、このCNF分散液DE1にカチオン性凝集補助剤11を供給し、その後アニオンポリマーPを供給し撹拌して調製する。そして、所定の大きさに調製された凝集体10は、つぎの抄紙する工程へ供される。
ここで、通常のアニオンポリマーをセルロース繊維等に定着させる方法と同様の方法で、アニオンポリマーを分散させた分散液にカチオン性凝集補助剤を添加しても本発明のCNF含有シート1の製造方法における凝集体10を調製することはできない。
従来の方法によって、アニオンポリマーを分散させた分散液にカチオン性凝集補助剤を添加した場合、塊状の凝集体を形成してしまう。この塊状の凝集体は、抄紙には全く適さない大きさに形成される。しかも、この塊状の凝集体をミキサー等によって物理的に破壊や粉砕をしようとしても、抄紙に適する大きさに調整することができない。
つまり、本発明者らは、上述のごとく、CNF分散液DE1にカチオン性凝集補助剤11を供給する。ついで、CNFとカチオン性凝集補助剤11が結合した化合物を調製した後、かかる状態の化合物が分散した分散液に対してアニオンポリマーPを添加するという工程を順に行うことによって、抄紙に適した大きさの凝集体10を調製することができるということを、初めて見出したのである。しかも、本発明のCNF含有シート1の製造方法における凝集体10のコアとしてCNFを機能させるということも初めて見出した。
なお、CNF分散液DE1が、特許請求の範囲の「セルロースナノファイバー分散液」に相当する。
以下、具体的に説明する。
(CNF分散液DE1の調製)
CNF分散液DE1は、上述した方法で製造したCNFを水に分散させて調製する。
CNF分散液DE1の固形分濃度(つまりCNF濃度)は、とくに限定されないが、CNF濃度によって凝集体10の粒子径の大きさを調整することができる。
例えば、CNF乾燥固形分濃度を0.1重量%〜1.0重量%濃度で変化させれば、CNF濃度を低くすると、凝集体10の密度が低くなるので、凝集体10の粒子径を大きくできる。その逆に、CNF濃度を高くすると、凝集体10の密度が高くなるので、凝集体10の粒子径を小さくできる。
(凝集体10の粒子径)
凝集体10は、その大きさは、とくに限定されず、例えば、抄紙条件によって適宜調整すればよい。
ただし、凝集体10の粒子径が1000μmよりも大きくなると、地合が悪くなり、しかも繊維間および粒子間の結合が弱くなる。一方、凝集体10の粒子径が小さくなれば(例えば、数十〜数百μm程度)、CNF含有シート1の坪当たりの凝集体10の数を多くできるので、坪当たりの凝集体10の表面積を大きくできる。
すると、パルプ繊維Fと凝集体10の表面に位置するCNFやアニオンポリマーP等との結合数を増加させることができるので、湿潤強度を向上させることができる。このような大きさの凝集体10は、網の目開きの大きさを適宜調整すれば、通常の抄紙工程(抄紙操作)によって抄紙することができる。
したがって、凝集体10は、粒子径が1000μm程度よりも小さくなるように調整するのがよく、50μm〜1000μmが好ましく、100μm〜1000μmがより好ましく、150μm〜1000μmがさらに好ましい。
なお、粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したときの、最大長を測定して円相当径の算術平均値で表した値をいう。また、この粒子径は、目視観察で定義してもよく、この場合、目視観察したときの最大長を測定して円相当径の算術平均値で表してもよい。
つぎに、調製したCNF分散液DE1に対して、まず、カチオン性凝集補助剤11を供給した後、アニオンポリマーPを供給する。
カチオン性凝集補助剤11の供給量は、次工程で供給するアニオンポリマーPの供給量や凝集体10の表面電荷に基づいて適宜調整すればよい。例えば、カチオン性凝集補助剤11の供給量は、理論的に算出してもよいし実験的に求めてもよい。
例えば、理論的には、CNF、カチオン性凝集補助剤11、およびアニオンポリマーPの各電荷密度を測定する。そして得られた値に基づいて凝集体10の最終電荷がゼロとなるように、カチオン性凝集補助剤11の供給量を算出することができる。具体的には、CNF等の各電荷密度を測定する。そして、CNFの乾燥固形分量に対して所定量のアニオンポリマーPを供給した場合、等電点に達する濃度を算出すれば、CNFの乾燥固形分量に対するカチオン性凝集補助剤11の供給量を求めることができる。
また、実験的には、CNFの乾燥固形分量に対して所定量のアニオンポリマーPを供給した際に凝集体10の表面電荷の値がほぼゼロの状態となるようなカチオン性凝集補助剤11の供給量を求めてもよい。
供給するアニオンポリマーPの量は、とくに限定されず、製造するシートに要求される強度に応じて適宜調整すればよい。例えば、アニオンポリマーPの供給量は、CNFの乾燥固形分量に対して、1重量%〜50重量%が好ましく、より好ましくは10重量%〜20重量%となるように調整することができる。
以上をまとめると、CNF濃度を高くすれば、高密度かつ粒子径の小さい凝集体10を調製することができ、その逆に、CNF濃度を低くすれば、低密度かつ粒子径の大きい凝集体10を調製することができる。
また、アニオンポリマーPの供給量を多くすれば、より密度を向上させつつ、粒子径の大きさを向上させた凝集体10を調製することができる。
(凝集体10の表面電荷)
凝集体10は、上述したようにマイナスの表面電荷を有するCNF、マイナスの表面電荷を有するアニオンポリマーP、およびプラスの表面電荷を有するカチオン性凝集補助剤11が凝集して形成されたものである。このため、凝集体10の表面電荷は、含有するCNF等の濃度等によって変動するが、隣接する凝集体10の表面電荷が略同じ電荷状態となるように調整されていれば、とくに限定されない。
例えば、凝集体10の表面電荷が略中和状態つまり表面電荷値がゼロ付近を示すように調整する。この場合、水溶液中において、隣接する凝集体10の表面電荷が上記のように略同じ電荷状態となっていれば、撹拌しても凝集体10同士が互いにかたまったりするのを抑制することができる。そして、かかる状態の凝集体10を水に分散させれば、水中で分散した状態を維持できる。
(抄紙)
かかる状態の凝集体10とパルプ繊維Fを分散した分散液DE2を調製すれば、パルプ繊維Fと凝集体10は互いに適切に分散した状態となるので、かかる分散液DE2を抄紙すれば、基材2中に凝集体10が分散したCNF含有シート1を製造することができる。
この凝集体10とパルプ繊維Fの配合割り合は、とくに限定されず、CNF含有シート1の用途等に応じて適宜調整すればよい。
なお、調製した分散液DE2から所定の方法(例えば、JIS P 8222)によって手引きで抄紙してもよいし、既存の製紙工程における抄紙工程を使用してもよい。
分散液DE2を抄紙することによって、調製した基材2を脱水し乾燥すれば、本発明のCNF含有シート1を調製することができる。
本発明のCNF含有シート1の基材2は、分散液DE2を抄紙したシート一枚で構成してもよいし、複数のシートをエンボス加工等により一体化した構成としてもよい。
(湿潤強度)
本発明のCNF含有シート1の製造方法で製造されたCNF含有シート1は、以下の方法によって湿潤強度を測定することができる。
例えば、CNF含有シート1を幅15mm×長さ150mm以上に裁断したシートを乾燥状態にして、所定の量の溶液を含浸させたのち、テンシロン試験機でチャック間隔100mm、引張速度100mm/分で測定したときの破断時の引張力(N)を湿潤強度とする。
なお、「湿潤強度」とは、湿潤状態における破断強度を意味し、破断強度の測定は、JIS P 8113に準拠して測定したときの破断時の引張力(N)を意味する。
(水解性)
また、本発明のCNF含有シート1の製造方法で製造されたCNF含有シート1は、以下の方法によって水解性を評価することができる。
例えば、CNF含有シート1を幅114mm×長さ114mmに裁断したシートに対して所定の量の水に浸漬した際のほぐれやすさを、JIS P 4501のトイレットペーパーほぐれやすさ試験に準拠して測定したときの値が、100秒以下であることが好ましい。
以上をまとめると、本発明のCNF含有シート1の製造方法によって、CNF濃度を低くした凝集体10(つまり低密度かつ粒子径の大きい凝集体10)を基材2中に分散させることによって、湿潤強度を向上させたCNF含有シート1を製造することができる。
また、アニオンポリマーPの供給量を多くした凝集体10(密度が高くかつ粒子径を大きい凝集体10)を基材2中に分散させることによって、湿潤強度を向上させたCNF含有シート1を製造することができる。
つまり、CNF濃度を低く、アニオンポリマーPの供給量が多い凝集体10を使用すれば、より湿潤強度を向上させたCNF含有シート1を製造することができる。
しかも、湿潤強度に相反する性質の水解性(つまりほぐれ易さ)においては、一般のトイレに流すことができるレベルを十分に満たしたCNF含有シート1を製造することができる。
したがって、本発明のCNF含有シート1の製造方法を用いれば、高い湿潤強度を維持しつつ、かかる性質と相反する性質の水解性を適切に発揮さることができるCNF含有シート1を製造するこができる。
なお、CNFや凝集体10等の表面電荷の値は、粒子電荷計を用いて測定することができる。
分散液DE2が、特許請求の範囲の「凝集体と、繊維と、を水に分散させた分散液」に相当する。
また、「凝集」とは、電荷を持ったポリマーを添加して架橋反応によりコロイド粒子を集塊させることいい、コロイド粒子の表面電荷を中和して相互接着を促す凝結とは異なる現象を意味する。
なお、本実施形態のCNF含有シート1の製造方法により製造されるCNF含有シート1には、上述した効果を妨げない範囲において、一般な水解性を有するシートに用いられている界面活性剤、殺菌剤、保存剤、消臭剤、保湿剤、エタノール等のアルコール、グリセリン等の多価アルコール等を添加剤として含有してもよいし、これらのうち複数を混合した清浄薬液等を含浸させてもよい、のはいうまでもない。
(実施例)
本発明のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法およびかかる製造方法により製造されたセルロースナノファイバー含有シート(以下、CNF含有シートという)の有効性について確認した。
以下に実験に使用した装置、試薬等を示した。
パルプ繊維は、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)をJIS P 8220(パルプ・離解方法)に従って、パルプ繊維本来の性質をほとんど変えることなく解繊したものを使用した。なお、パルプ繊維は、平均繊維幅が約30μm、平均繊維長が約2mmであった。
セルロースナノファイバー(CNF)は、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)をグラインダー(スーパーマスコロイダー:MKZA10・15J、増幸産業(株))を用いて、平均繊維長が約100nm〜1000nm、平均繊維幅が約5nm〜50nmとなるように調製したものを使用した。
ポリマーとしては以下のものを使用した。
ポリマーのうちカチオンポリマーの代表として、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)を使用した。
また、アニオンポリマーの代表として、カルボキシメチルセルロース(CMC)を使用した。
CMCを用いる場合のカチオン性凝集補助剤として、2−(メタクロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド重合物(PTMMAC)を使用した。
実験では、手すきにより抄紙したシートを複数積層したものをエンボス加工したものをCNF含有シートの基材として使用した。
(手すきシートの作製方法)
パルプ繊維をJIS P 8222(パルプ・試験用手すき紙の調製方法)に従って、シートの坪量が20g/mとなるように抄紙した。この抄紙したシートを金網のワイヤーから剥がした後(つまりコーチングした後)、ワイヤー面にステンレスプレートをあてた状態で加圧した。そして、この加圧したシートをステンレスプレートから剥がした後、回転ドラム乾燥機(ROTARYDRYER:DR−200、熊谷理機工業(株)社製)を用いて乾燥した。
乾燥条件は、Speed Control:2、温度:120℃、Sub Heater:ONの条件下で行った。
なお、手すきに用いた金網の網目は、目開き104μmのものを使用した。
(エンボス加工)
エンボス加工は、加工機((株)大昌鉄工所社製)を用いて、エンボスロール温度100℃、ロール線圧70kg/cm、ロール間隙0mm、加工速度4.0mminの条件下で、上記手すきによって作製したシート(坪量20g/m)を4枚重ねてエンボス加工を行いCNF含有シートを作製した。
エンボス加工後のCNF含有シートは、JIS P 8111(調湿及び試験のための標準状態)に従って一晩以上調湿し、調湿後の全体の坪量が80g/mとなるように調整した。
坪量は、以下の方法で測定し算出した。
250mm角のシート片を調製した後、JIS P 8111に従って温度23℃±1℃、相対湿度50±2%で8時間以上調湿した後、JIS P 8124に従ってシート片の重量を測定し、次式より算出した。

坪量(g/m)=試験片の重量(g)×(10000cm/試験片の面積(cm
(湿潤強度)
CNF含有シートの湿潤強度は、以下の方法で測定し算出した。
実験では、清浄薬液(表1に示す)を含浸させた所定の大きさのCNF含有シートに対して、一定速度で張力をかけていき破断するときの最大点荷重で示した値を湿潤強度とした。
引張り強さは、TENSILON((株)エー・アンド・ディー社製)を用いた。
なお、ロードセルは、5Nのものを用いた。また、ロードセルの移動速度は、100mm/min、試験片幅15mm、チャック間距離100mmで測定した。
湿潤強度の測定値は、坪量誤差をなくすために裂断長を用いて評価した。
裂断長は一定幅の試験シートの一端を垂直に吊るした時、その試験シートが自重で切れる長さのことであり、kmで表した。
裂断長の計算式は次式に示した。

裂断長(km)=(測定サンプルの引張り強さ(kg)/(測定サンプルの巾(15mm)×坪量(g/m)))×1000
なお、トイレクリーナーにおいては、湿潤強度についてはとくに基準がなく、清掃作業に耐えうる強度であればよいので、目標値を0.30kg/15mm、最低限必要値を0.20kg/15mmと設定し、裂断長に換算して評価した。
(ほぐれ易さ)
ほぐれ易さは以下の方法によって測定した。
まず、蒸留水300ml(水温20±5℃)を入れた300mlのビーカをマグネチックスターラーに載せ、回転子(直径35mm、厚さ12mmの円盤状)の回転数を600±10回転/分になるように調整した。このビーカ内に、上記の方法で作製したCNF含有シートを一辺が114±2mm角となるように切断した試験シートを投入した。そして、この投入した試験シートがほぐれるまでの時間を計測した。
ほぐれが完了した時点とは、試験シートを投入後に回転子の回転数が約500回転に下降するが、試験シートがほぐれるに従い回転数が上昇する。そして、その回転数が540回転まで回復した時点をほぐれの完了点とした。
なお、このほぐれ易さは、JIS P 4501(トイレットペーパー4.5ほぐれやすさ)に準拠して測定したものであり、その品質基準は100秒以下である。
(電子顕微鏡による表面形態観察)
CNF含有シートの表面観察は、手すきシートに対し30秒間の白金蒸着を行った後、SEM(JSM−6010PLUSILA、日本電子(株)社製)を用いて、加速電圧5kV、作動距離10mm、スポットサイズ30の条件下、二次電子画像(SEI)にて行った。
(レーザーラマン顕微鏡による観察)
CNF含有シートの顕微鏡観察は、レーザーラマン顕微鏡(RAMAN touch、ナノフォトン(株)社製)を用いてレーザー波長785nm、レーザー強度110mW、露光時間3秒/ショット、波長範囲299〜2482cm−1でマッピングを行い観察した。
(予備実験)
まず、予備実験として、凝集体の調製とその評価を行った。
(予備実験1)
予備実験1では、CNFとPAEを凝集させた凝集体を以下の方法で調製した。
まず、CNFの乾燥固形分量0.5gのCNFを水99.5mlを入れた容器内に供給して分散させて0.5重量%のCNF分散液を調製した。そして、このCNF分散液を撹拌しながらCNFの乾燥固形分量0.5gに対して1.0重量%となるようにPAEを添加してCNF−PAE凝集体を調製した。
また、このCNF−PAE凝集体が分散した分散液を撹拌しながら、CNFの乾燥固形分量0.5gに対して2.0重量%のPTMMACを添加してCNF−PTMMAC−PAE凝集体を調製した。
得られたCNF−PAE凝集体及びCNF−PTMMAC−PAE凝集体の大きさ(粒子径)は、マイクロスコープ(VH−5500、KEYENCE社製)を用いて観察した。
図3に示すように、CNF−PAE凝集体の大きさ(粒子径)は、数μm〜50μm程度であることが確認できた。
また、図4に示すように、CNF−PTMMAC−PAE凝集体の大きさ(粒子径)は、50μm〜150μm程度であることが確認できた。
予備実験結果から、CNF分散液にPAEを添加するだけで凝集体を形成することができることが確認できた。
CNFはアニオン電荷を持っており、これにカチオン性ポリマーであるPAEを添加することによって結合が起こり、各凝集体を形成したものと推察された。そして、CNF−PAE凝集体に対して電荷密度の高いカチオン性ポリマーであるPTMMACをさらに供給することによって、CNF−PAE凝集体よりも大きなCNF−PTMMAC−PAE凝集体を調製することができることが確認できた。
一方、手すきシートの作製において使用する金網は、目開きが104μmのものである。このため、手すきシートを作製した際、上述した大きさのCNF−PTMMAC−PAE凝集体を歩留まりよくパルプ繊維間に高い状態で保持させることができにくいと考えた。なお、手すきシートの作製に使用する金網の目開きを小さくすれば凝集体の歩留りを改善できる可能性はある。
(予備実験2)
予備実験2では、CNFとCMCを凝集させた凝集体を以下の方法で調製した。
上述したのと同様に乾燥固形分量濃度0.5重量%のCNF分散液を調製した。このCNF分散液100mlを入れた容器に、CNFの乾燥固形分量0.5gに対して2.0重量%となるようにPTMMACを撹拌しながら添加した。
ついで、かかる分散液に対して、CMC1gを水99gに入れて乾燥固形分濃度1重量%となるように調製したCMC水溶液2mlを撹拌しながら加えて、CNFとPTMMACとCMCが凝集したCNF−CMC凝集体を調製した。つまり、CNFの乾燥固形分量0.5gに対して4重量%となるようにCMCを添加した。
図5(A)にCNF−CMC凝集体の状態を撮影した画像である。なお、CNF−CMC凝集体の状態を確認するため、調製時よりも濃度を約50倍に薄めた状態で撮影したものである。
(予備比較実験)
予備比較実験として、予備実験2のCNF分散液を用いない場合の凝集体の状態を確認した。
乾燥固形分濃度が約0.05重量%のCMC水溶液にカチオン性凝集補助剤であるPTMMACを添加して凝集体を調製した。
図5(B)に示すように、得られた凝集体は、大きな塊状となってシートに混抄可能な状態のものとはならなかった。このため、得られた凝集体をミキサーを用いて物理的に粉砕したが、かかる凝集体自身の粘着性により粉砕して分散させることができないことが確認できた。
上述した予備実験に基づいて、以下の(1)〜(3)の実験を行い、本発明のCNF含有シートの製造方法および得られたCNF含有シートの有効性を確認した。
(実験1)CMCおよびPTMMACの添加率
(実験2)CNF濃度およびCMC濃度が与える影響
(実験3)CNF−CMC凝集体を含有したCNF含有シートの作製とその評価
(実験1)
(CMCの添加率およびPTMMACの添加率)
実験1では、以下に示すように、CNF分散液にPTMMACの添加量を変化させた分散液を調製した後、各分散液に所定の濃度のCMCを添加して得られたCNF−CMC凝集体の表面電荷を求めた。得られた値からCNF−CMC凝集体の表面電荷がゼロに近くなるような最適なPTMMACの添加量を測定した。
乾燥固形分濃度0.5重量%のCNF分散液10mlを粒子電荷計(BTG−MUTEC社製、PCDO3)の標準試験セルに注入し、CNFの表面電荷を測定しながら乾燥固形分濃度1%のPTMMAC水溶液(0.250ml(CNFの乾燥固形分量に対して5重量%)、0.275ml(CNFの乾燥固形分量に対して5.5重量%))を添加した。その後、各分散液に乾燥固形分濃度2重量%のCMC水溶液が、各分散液のCNFの乾燥固形分量に対して10重量%と20重量%となるようにそれぞれの分散液に添加した。
そして、CMC水溶液を添加後に得られたCNF−CMC凝集体の表面電荷の値から、CMCの添加率がCNFの乾燥固形分量に対して10重量%及び20重量%のときの粒子電荷が最もゼロに近いPTMMACの添加率を測定した。
なお、CMCのCNFの乾燥固形分量に対する添加率(重量%)は、図などでは単に%で表す場合もある。
図6または図7に示すように、CNF分散液にPTMMACおよびCMCを添加する前の表面電荷はいずれも−1000mVから−1200mVであり、水溶液中でアニオン性を示した。
添加するカチオン性凝集補助剤のPTMMACは、水溶液中でカチオン性ポリマーであるため、添加量の増加に伴い生成された凝集物の表面電荷がカチオン性となる。
図6または図7に示すように、PTMMACがCNFの表面電荷を中和し、陽転するのは概ねCNFの乾燥固形分量に対して1重量%の添加率であった。
その後は徐々に凝集物の表面電荷が上昇し、PTMMACがCNFの乾燥固形分量に対して3重量%の添加時に凝集物の表面電荷が1000mV程度に達した。その後は、PTMMACの添加量を増加させても、凝集物の表面電荷は頭打ちの状態であった。しかし、この分散液に対して添加するCMCの添加率が非常に高いため、より多くのカチオン電荷が必要であることが確認できた。
なお、PTMMACのCNFの乾燥固形分量に対する添加率(重量%)は、図などでは単に%で表す場合もある。
一方、CNF、PTMMAC、CMCの電荷密度を測定したところ、それぞれ0.031meq/g、5.09meq/g、1.84meq/gであることから、理論上、CMCのCNFの乾燥固形分量に対する添加率が10重量%となるように添加した際のCNF−CMC凝集体の表面電荷が等電点に達するPTMMACのCNFの乾燥固形分量に対する添加率は4.23重量%であった。
しかし、図6に示すように、実際には、CMCのCNFの乾燥固形分量に対する添加率を10重量%とした場合、最終電荷がゼロに近く、以降の実験操作性も考慮してもっとも効率の高いと判断したPTMMACのCNFの乾燥固形分量に対する添加率は5.5重量%であった。
この値は、PTMMACをCNFの乾燥固形分量に対して5重量%添加してもカチオン電荷が足りないことを示していた。
また、図7に示すように、CNFの乾燥固形分量に対してCMCの添加率を20重量%の場合、PTMMACのCNFの乾燥固形分量に対する添加率が11.0重量%で概ね最終電荷を中和することが確認できた。
よって、以降の実験では、CMCのCNFの乾燥固形分量に対する添加率が10重量%の場合には、PTMMACのCNFの乾燥固形分量に対する添加率が5.5重量%となるように調製した。
また、CMCのCNFの乾燥固形分量に対する添加率が20重量%の場合には、PTMMACのCNFの乾燥固形分量に対する添加率が11.0重量%となるように調製した。
(実験2)
(CNF濃度およびCMC濃度が与えるCNF−CMC凝集体への影響)
実験2では、CNF濃度およびCMCの添加率が、CNF−CMC凝集体の密度と粒子径の大きさに影響を与えることが確認できた。
乾燥固形分濃度0.1重量%、0.3重量%、0.5重量%、1.0重量%に調整したCNF分散液をビーカーに各100ml入れた。この分散液を撹拌しながら、乾燥固形分濃度1%PTMMAC水溶液を、PTMMACのCNFの乾燥固形分量に対する添加率が5.5重量%あるいは11重量%となるように添加した。
PTMMACを添加して2分間撹拌した後、固形分濃度1重量%CMC水溶液を、CMCのCNFの乾燥固形分量に対する添加率が10重量%あるいは20重量%となるように添加した。その後、さらに2分間撹拌して各CNF−CMC凝集体を調製した。
各CNF−CMC凝集体のCNF濃度が0.05%となるように調製した。この調製液50mlを50mlメスシリンダーへ入れて蓋をした。このメスシリンダーを振とう撹拌した後すぐに静置して、メスシリンダー中のCNF−CMC凝集体が沈降するまでの時間と沈降したCNF−CMC凝集体の体積を測定した。
CNF−CMC凝集体が沈降し、5分以上体積の変化がなくなるまでの時間を沈降時間として測定した。また、沈降したCNF−CMC凝集体の体積を沈降体積として測定した。
そして、沈降時間によってCNF−CMC凝集体の密度を、沈降体積によってCNF−CMC凝集体の粒子径の大きさを評価した(図8(A)参照)。
(結果)
(CNF濃度について)
図8(B)に示したように、CMCをCNFの乾燥固形分量に対して10重量%添加した場合、CNF−CMC凝集体調製時のCNF濃度が低いものほど、沈降時間が遅く、沈降体積が大きくなることが確認できた。その逆に、CNF−CMC凝集体調製時のCNF濃度が高いほど、沈降時間が速く、沈降体積の小さくなることが確認できた。
沈降時間は、CNF−CMC凝集体の密度に起因することから、沈降時間の遅くなるものほどCNF−CMC凝集体の密度が低いことを示している。そして、沈降体積は、CNF−CMC凝集体の粒子径に起因することから、沈降体積が大きくなるものほどCNF−CMC凝集体の粒子径が大きくなることを示している。
実験結果から、CNF−CMC凝集体調製時のCNF濃度を高くすれば、高密度で粒子径の小さいCNF−CMC凝集体を調製することができることが確認できた。その逆に、CNF−CMC凝集体調製時のCNF濃度を低くすれば、低密度で粒子径の大きいCNF−CMC凝集体を調製することができることが確認できた。
(CMC濃度について)
図8(C)に示したように、CMCをCNFの乾燥固形分量に対して20重量%添加した場合、CNF−CMC凝集体調製時のCNF濃度が0.3重量%〜1.0重量%では、CMCをCNFの乾燥固形分量に対して10重量%添加した場合と同様の傾向を示した。
一方、図8(B)に示したCMCをCNFの乾燥固形分量に対して10重量%添加した場合と比較すると、CNF濃度が同じCNF−CMC凝集体において、沈降時間が速く、沈降体積も大きくなることが確認できた。
実験結果から、CMCの添加量を多くするとCNF−CMC凝集体の密度を高くし、かつ粒子径の大きさを大きくできることが確認できた。かかる理由として、メスシリンダーに投入したCNF量が同じでも、CNFと結合するPTMMACおよびCMCの量が倍増することが主な要因であると考えられた。
なお、図8(C)に示したように、CMCをCNFの乾燥固形分量に対して20重量%添加した場合、CNF乾燥固形分濃度0.1重量%のものだけがCMCをCNFの乾燥固形分量に対して10重量%添加した場合と異なる傾向であった。
この主な要因としては、CNF乾燥固形分濃度0.1重量%はCMCをCNFの乾燥固形分量に対して20重量%添加した場合の中では最も密度の低いCNF−CMC凝集体を形成しており、CNF表面に結合するCMC量が増加したため、CMCの粘着性によってメスシリンダーの壁面に張り付き、十分に沈降しなかったことが考えられた。
(実験3)
(CNF−CMC凝集体を含有したCNF含有シートの作製とその評価)
実験3では、上述した方法でCMCをCNFの乾燥固形分量に対して10重量%添加したものと20重量%を添加したものについて、それぞれCNF乾燥固形分濃度0.1重量%および1.0重量%となるよう調製したCNF−CMC凝集体を上述したパルプ繊維と混抄した分散液を抄紙してCNF含有シートを作製した。
作製した各シートについて、物性評価および表面観察を行った。
(CNF−CMC凝集体を混抄したCNF含有シートの調製)
乾燥固形分濃度が0.1重量%および1.0重量%のCNF分散液を、撹拌しながら1.0%PTMMAC水溶液をCNFの乾燥固形分量に対して5.5重量%または11.0重量%となるように添加して2分間撹拌し、さらに1.0%CMC水溶液をCNFの乾燥固形分量に対して10重量%または20重量%となるように添加後、2分間撹拌して計4種類のCNF−CMC凝集体を得た(試料No.1〜試料No.4、表2)。
得られたCNF−CMC凝集体を、各JIS P 8220(パルプ・離解方法)に従って解繊したNBKP100%のパルプスラリーに、対パルプ重量の10重量%を添加してよく撹拌し、上述した手すき方法に従って手すきシートを作製した。
得られた手すきシートは上述した方法でエンボス加工をした後、清浄薬液の含浸を経て各CNF含有シート(試料1(試料No.1のCNF−CMC凝集体を含有)〜試料4(試料No.4のCNF−CMC凝集体を含有))を調製した。
調製した各CNF含有シートを用いて以下の湿潤強度とほぐれやすさを測定した。
なお、ブランクとは、CNF−CMC凝集体を含有しない以外は試料1〜4と同様の方法で作製したブランクシートである。
(結果)
図9(A)には、各CNF含有シートの湿潤強度の測定結果を示した。
図9(B)には、各CNF含有シートのほぐれやすさの測定結果を示した。
試料1と試料3、試料2と試料4を比較すると、いずれもCNF−CMC凝集体調製時のCNF乾燥固形分濃度が0.1重量%の方が、湿潤強度を高くできることが確認できた。
また、試料1と試料2の比較においては、CMCの添加量は多いほど湿潤強度を高くできることが確認できた。
湿潤強度において、最大値は試料2の裂断長0.250kmであり目標値(0.250km)に達した。次点は試料1の裂断長0.186kmで、最低限必要値(0.167km)を上回ることが確認できた。
一方、CNF−CMC凝集体調製時のCNF乾燥固形分濃度が1.0重量%であった試料3と試料4では湿潤強度が低い傾向にあった。
ほぐれやすさに関しては、試料2が他のものよりも高い傾向にあるものの、すべての水準でJIS基準の100秒以下であり、十分に許容範囲内であることが確認できた。
実験結果から、CNF乾燥固形分濃度0.1重量%の条件下では、CMCをCNFの乾燥固形分量に対して20重量%添加して調製した試料2のCNF−CMC凝集体を対パルプ重量の10重量%となるように内添して調製することにより、水解性と湿潤紙力を両立したCNF含有シートを作製できることが確認できた。
(CNF含有シートのSEMによる表面観察)
調製したCNF含有シート表面をSEMを用いて観察した。
結果を図10〜図14に示す。
各CNF含有シートは、明らかにブランクのシートと表面形態が異なることが確認できた。
40倍の観察画像を比較すると、ブランクはNBKP100%のシートであるためパルプ繊維が交絡している様子やパルプ繊維間に空隙を観察することができるが、CNF−CMC凝集体を混抄したCNF含有シートでは明らかに繊維ではない物質が繊維間の空隙を埋めているのが観察できた。
この空隙を埋めている物質が、CNF−CMC凝集体である(例えば、図12または図13に丸で囲んだ部分)。
調製時のCNF乾燥固形分濃度が0.1重量%の場合(図11、図12)、CNF−CMC凝集体は、ある程度の繊維間空隙を残しつつ、比較的均一に繊維間空隙を埋めている。一方、調製時のCNF乾燥固形分濃度が高い1.0重量%の場合(図13、図14)では、CNF−CMC凝集体の分布に明確なムラが存在することが確認できた。つまり、繊維間の空隙とそうでない部分がはっきりと確認できた。
100倍の観察画像を比較すると、CNF−CMC凝集体調製時のCNF乾燥固形分濃度が0.1重量%である試料1はCNF−CMC凝集体の大きさが明確に判断できないほど無数に重なり合いながら分布することが確認できた。試料2では、150μm〜300μmのCNF−CMC凝集体(図12の丸印部分)を確認できた。
CNF−CMC凝集体調製時のCNF乾燥固形分濃度1.0重量%である試料3および試料4の場合、500μm〜1000μmの大きな塊として分布したCNF−CMC凝集体(図13の丸印部分)を確認できた。
また、図11(試料1:CNF乾燥固形分濃度0.1重量%、CNFの乾燥固形分量に対するCMC10重量%)と図12(使用2:CNF乾燥固形分濃度0.1重量%、CNFの乾燥固形分量に対するCMC20重量%)、図13(試料3:CNF乾燥固形分濃度1.0重量%、CNFの乾燥固形分量に対するCMC10重量%)と図14(試料4:CNF乾燥固形分濃度1.0重量%、CNFの乾燥固形分量に対するCMC20重量%)を比較した結果、CNF含有シート調製時のCNF濃度が同じ場合でもCMCの添加率が多いほど、CNF−CMC凝集体の粒子径が大きくなっていることが確認できた。
CNF含有シートのSEM写真の結果から、CNF−CMC凝集体調製時のCNF濃度の高いほどCNF−CMC凝集体の粒子径が大きくなっていることが確認できた。
この結果は、CNF−CMC凝集体調製時のCNF濃度の影響を確認した実験2の結果とは異なることが確認できた。
ここで、一般的に、カチオンポリマーの電気的作用による凝集は、試料濃度が高いほど粒子同士の衝突が多い為に凝集体が大きくなる傾向にある。
このため、実験2では、試料1および試料2の場合、まずカチオンポリマーにより試料3、4よりも小さな150μm〜300μm程度の粒子径を有するCNF−CMC凝集体を形成した。その後、自身の密度が低く軽いため、ファンデルワールス力による二次凝集が起こり、結果として試料3、4よりも大きな粒子径を有するCNF−CMC凝集体を形成したと考えられた。
一方、実験3では、CNF−CMC凝集体をパルプ繊維と分散した分散液の調製には、撹拌機を用いた。撹拌機を用いて分散液を撹拌したので、試料1および試料2のCNF−CMC凝集体は、ファンデルワールス力による二次凝集が抑制されたものと推察された。
このため、この分散液を抄紙したCNF含有シート中には図11、図12に示したような大きさのCNF−CMC凝集体(例えば、粒子径が約150μm〜300μm程度のもの)が多数確認されたものと推察された。
(湿潤強度との関係)
また、図9の結果では、試料2が最も高い湿潤強度を示した。
図12に示したように、試料2では、粒子径の小さなCNF−CMC凝集体が無数に重なり合いながら分布していることが確認できた。
粒子径の小さなCNF−CMC凝集体が多数分布しているほうが、粒子径の大きいCNF−CMC凝集体の数が少ないものよりも一定の領域におけるCNF−CMC凝集体の表面積が大きくなると考えられる。
また、試料2は、試料1と比べてCMCの添加率が高くなるように調製されている。
以上の結果から、試料2の湿潤強度は、CMCの添加率の高さ、および、CNF−CMC凝集体の表面積の大きさによって、CMCの架橋結合数が増加したため、他の試料と比べて強くなったものと推察された。
(CNF含有シート中のCNF−CMC凝集体の分布状態)
得られた試料2のCNF含有シートについて、セルロースおよびCNF−CMC凝集体の分布状態を分析した。
CNFの成分はパルプ繊維と同じセルロースであるためCNFとパルプ繊維を判別することはできない。そこで、CNFに結合させているCMCを検出することでCNF−CMC凝集体の分布を分析した。
予め、パルプ繊維およびCMCのラマンスペクトルを測定したところ、パルプ繊維では1100cm−1、CMCにおいては1450cm−1付近に明確なピークの差異を検出できた。この2つのピークについてパルプ繊維とCMCのマッピングを行った。
図15には、顕微鏡画像(図15の上の図)とレーザーラマンスペクトルのマッピング画像(図15の下の図)を示した。図15の下のマッピング画像では、薄いグレーで表示された箇所(図15の下の図の白丸で囲った箇所、参照)がCMCを示しており、濃いグレーから黒で表示された箇所(図15の下の図の白抜き矢印で示した箇所、参照)がパルプ繊維を示している。
マッピング画像の結果から、パルプ繊維の存在を確認することができた。
また、CMCは繊維分が少ないところ、つまり顕微画像の暗い部分に多く分布していたことが確認できた。
以上の分析結果から、CNF−CMC凝集体はCNF含有シート内に不均一に分布していることが確認できた。
(比較例)
比較例として、PAEの所定の濃度となるように調製したPAE水溶液を手すきシートにスプレーを用いて塗布した。つまり、PAEを外添したシートを作製した。
比較例では、手すき直後の湿紙にPAE水溶液をスプレー噴霧し速やかに乾燥させた。
PAE(紙に対する添加率:0.010重量%、0.025重量%、0.050重量%、0.100重量%、0.150重量%、0.200重量%)を使用したシートを調製し、上述した方法と同様の方法により湿潤強度を測定した。
その結果、ブランクの裂断長が0.100kmであるのに対し、PAEを増量していくと2.5倍以上の0.260kmまで上昇した。裂断長はPAEの紙に対する添加率に比例して上昇することが確認できた。
一方、かかるシートのほぐれやすさを測定したところ、PAEの紙に対する添加率が少ない0.010重量%〜0.050重量%までは水解時間の増加は緩やかだが、それ以上の添加率になると大幅に増加し、二次曲線状となった。ほぐれやすさの基準は100秒以内であるが、添加率0.10重量%でも100秒を大幅に超えており、少量の添加量の差でもほぐれやすさの差が大きいことが確認できた。
以上の結果から、ほぐれやすさの基準を満たす為にはPAEのシートに対する添加率が0.05重量%以下でなければならないが、添加率0.05重量%のときの裂断長は0.128kmであり、最低限必要値未満であった。
このため、PAEの外添法により作製したシートでは、湿潤強度とほぐれ易さの両方の基準を満たすことができないことが確認できた。
かかる理由としては、PAEを精製水で希釈して湿紙にスプレー噴霧した際、パルプ繊維の毛細管現象でPAE水溶液がシート全体に拡散したことに起因するものと推測した。つまり、PAEを外添法によって定着させる方法では、シートに強度ムラを発揮させることができないことが確認できた。
以上の結果から、本発明のCNF含有シートの製造方法を用いれば、凝集体の調製時のCNF濃度やポリマーの添加量に基づいて凝集体の大きさをコントロールすることができることが確認できた。そして、調製した凝集体を含有させたCNF含有シートを調製することによって、CNF含有シートの基材中に凝集体を適切に分散させることができることが確認できた。
しかも、CNF含有シートの基材中において、凝集体の分布にムラが確認できたことから、CNF含有シートの基材には、湿潤強度ムラが形成されていることが確認できた。
したがって、本発明のCNF含有シートの製造方法を用いてCNF含有シートを製造すれば、適切な水解性を維持しつつ良好な湿潤強度を発揮させることができるCNF含有シートを形成することが確認できた。
つまり、本発明では、CNF含有シートに湿潤強度ムラを形成させることによって、清掃時等に必要な湿潤強度とトイレ等に流して破棄するときに必要な水解性という、相反する性質を両立するシートを形成することができることが確認できた。
本発明のセルロースナノファイバー含有シートは、障子や、セキュリティペーパーなどの薄くてもある程度の強度が求められるシート製品として適しており、とくにトイレットペーパーやティシュペーパー、トイレクリーナー、ペットシート、検便シートなどのトイレや下水に流しても配管に詰まることなく破棄することができるシート製品として適している。
1 セルロースナノファイバー含有シート
2 基材
10 凝集体
11 カチオン性凝集補助剤
DE1 セルロースナノファイバー分散液
DE2 分散液
F 繊維
P ポリマー

Claims (12)

  1. セルロースナノファイバーを原料として含む凝集体と、パルプ繊維と、を含有する
    ことを特徴とするセルロースナノファイバー含有シート。
  2. 前記凝集体が、前記パルプ繊維間に分散した状態で含有している
    ことを特徴とする請求項1記載のセルロースナノファイバー含有シート。
  3. 前記凝集体が、
    カチオンポリマー、アニオンポリマーおよび両性ポリマーから選ばれる少なくとも1種以上のポリマーと直接または間接的に結合しているセルロースナノファイバーを含有している
    ことを特徴とする請求項1または2記載のセルロースナノファイバー含有シート。
  4. 隣接する前記ポリマー同士が金属イオンで架橋されたものを含有している
    ことを特徴とする請求項3記載のセルロースナノファイバー含有シート。
  5. セルロースナノファイバーを原料として含む凝集体と、パルプ繊維と、を水に分散させた分散液を抄紙する
    ことを特徴とするセルロースナノファイバー含有シートの製造方法。
  6. 前記セルロースナノファイバーを水に分散したセルロースナノファイバー分散液を調製した後、該セルロースナノファイバー分散液にポリマーを加えて、前記凝集体を調製する
    ことを特徴とする請求項5記載のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法。
  7. 前記凝集体の調製において、
    前記ポリマーが、アニオンポリマーおよび/または両性ポリマーの場合、
    該ポリマーを加える前に、前記セルロースナノファイバー分散液にカチオン性凝集補助剤を加える
    ことを特徴とする請求項6記載のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法。
  8. 前記ポリマーが、カチオンポリマーである
    ことを特徴とする請求項6記載のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法。
  9. 前記分散液を抄紙した後、金属イオンを含有する架橋剤を付与する
    ことを特徴とする請求項5、6、7または8記載のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法。
  10. 前記凝集体の表面電荷が略同じ電荷状態となるように調整する
    ことを特徴とする請求項5、6、7、8または9記載のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法。
  11. 前記凝集体の粒子径が、1000μm以下となるように調整する
    ことを特徴とする請求項5乃至10記載のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法。
  12. 前記凝集体の粒子径が、100μm以上となるように調整する
    ことを特徴とする請求項5乃至11記載のセルロースナノファイバー含有シートの製造方法。
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