JP4932574B2 - 乾式解砕用パルプシート - Google Patents
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Description
木材をパルプ化し、そのパルプをシート状の形態に成型し、セルロース誘導体の原料やパルプ綿の原料として供給されている。工業用原料としては、パルプはシート状に成形されて供給され、使用前に綿状に解砕され次工程に供されるのが一般的である。従って、解砕状態が不均一であると、次工程の薬品処理や成型処理にムラが発生するなど不都合が発生するため、均一に解砕することが求められる。なお、一般的に、製紙用あるいはセルロース誘導体製品用のパルプシートとも、木材チップ原料をパルプ化して、水中に分散させた繊維を抄造・乾燥して製造されている。
(1)湿式解砕では、パルプシートを水に分散・溶解して解砕するため、比較的未解砕物が少なく、かつセルロース濃度が均一な解砕物の調製が可能であるが、有機溶剤を反応溶媒とする化学処理工程では、化学処理前に水分を除去する(乾燥する)必要がある。乾燥のための熱エネルギーが莫大であるだけでなく、乾燥収縮により結束繊維などを形成してしまうため、反応が均一に起こらない。
(2)乾式解砕では、チョッパーやミルを用いて衝撃や切削によってパルプシートを細かくするため、セルロース繊維に対する機械的ダメージが大きい。また、摩擦熱が発生し熱的ダメージも発生する。さらに、輸送効率の良い高密度パルプシートの場合は、シートの強度、剛度が高いため解砕時の抵抗が大きい。さらに、乾式解砕の重要な課題として、均一な解砕が難しいため、セルロース誘導体などの原料として用いる場合は、反応が不均一となり未反応物を生じてしまう不都合が生じていた。
(3)含水軟化解砕では、前処理で含水させ、軟化処理を施すことにより解砕性向上を図っているが、(1)湿式解砕と同様に、有機溶剤を反応溶媒とする化学処理工程では、水を除去する(乾燥させる)工程が必須となってしまう。
(2)シートの幅方向の裂断長が0.87Km以下であることを特徴とする(1)に記載の乾式解砕用パルプシート。
(3)解砕後の嵩密度が20ml/g以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の乾式解砕用パルプシート。
(4)パルプシートが、亜硫酸法によって製造された木材パルプを原料としたパルプシートであること特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の乾式解砕用パルプシート。
(2)本発明で提供するパルプシートは、乾式解砕処理後のパルプ綿の状態が均一で未解砕物の発生を伴わない。
(3)本発明のパルプシートの使用により、解砕装置の負荷や使用電力を大幅に低減することが可能である。また、パルプシートを短時間で効率的に解砕できる。解砕負荷が低減するなど解砕条件が緩和できるため、解砕時に発生する熱や衝撃によるセルロースの劣化、再結束化、セルロースの重合度低下を抑制することができる。
(4)解砕後のパルプ綿の嵩密度が均一となるため、解砕後の各種反応工程において不均一反応、未反応物の発生を抑制し、反応生成物の均質化、高純度化が可能となる。本発明のパルプシートは、α−セルロースを高含有する木材パルプを原料としても、優れた解砕性を有する。
パルプを水に分散したパルプ分散溶液(以下、パルプスラリーという)を一定方向に流すことにより、流れ方向に繊維を揃えることができ、繊維の配向したパルプシートを得ることができる。さらに、整流板を平行に多数設けることにより、配向性を向上させることができる。整流板は、板状あるいは線材でも良い。
また、パルプスラリーを漉き網の上に流し出す際に、流れ方向に多数のスリットを設けることにより、繊維をスリット長手方向に沿わせた状態で整列させることができる。
さらには、パルプシートの製造条件のうち、抄紙機の選択、ジェットワイヤー比(パルプスラリーの供給スピードと抄紙スピードの比率)の変更等により、パルプシートの配向性を向上させることができる。
特に、大量に使用される製紙用パルプシートは、水に再溶解して抄造するので、従来技術ではパルプシートの繊維配向性を考慮して製造されることはなかった。このようにして得られた配向性パルプシートは、繊維間の絡み合いが少ないために、繊維が配向している方向に沿って裂けやすく、解砕機で乾式解砕したときに均一な解砕状態となる。
パルプシートの配向性に着目し、抄紙方向を調整するなど工夫を試み、解砕性に影響することは実験的に確認できたが、配向状態を電子顕微鏡で観察しても、繊維の配向性を識別することが困難であった。そこで、配向性の測定手段としてSST音速(2乗)に着目した結果、解砕性を識別できることが分かった。その結果、本発明のパルプシートの繊維配向は、SST音速(2乗)の縦横比の値が1.4以上であることが好ましいという結果が得られた。SST音速(2乗)の縦横比が1.4より小さい場合は解砕性が悪く、1.4以上の場合は解砕性が良好となる。
野村商事社製Sonic Sheet Tester 3200を用いて音速を測定した。本装置は、シート状試料の一定距離間を超音波パルスが伝播するのに要する時間を測定し、その測定値から配向性の解析を行うものである。抄紙方向や幅方向によりこの値は変わる。パルプシートの幅方向(横)とパルプシートの抄紙方向(縦)のSST音速(2乗)を測定し、縦の値を横の値で割り、これを縦横比とした。
SST音速(2乗)の縦横比が1の場合、パルプシート中の繊維配向が完全にランダムな状態であることを意味する。また、縦横比が1より大きい場合、繊維が幅方向より抄紙方向に配向していることを意味し、縦横比が大きくなるほど繊維配向性が高い、すなわち繊維が一定方向に配向していることを意味する。縦横比の最大値は論理的には無限大であるが、操業上や調整にかかる負担を考えると常識的には5程度が現実的な値である。
パルプシートの密度は、まず、坪量をJIS P 8124、厚さをJIS P 8118に従って測定し、JIS P 8118に従って密度を求めた。
パルプシートの坪量は、JIS P 8124に従って測定した。
本発明のパルプシートの重量平均繊維長は特に限定されるものではないが、0.5〜3.5mm程度が好ましい。平均繊維長が3.5mmを超える場合は、繊維間の絡みが強くなり過ぎて解砕性が低下する。平均繊維長が0.5mmに満たない場合は、抄紙網から流出する微細繊維が多くなり生産性が低下し、さらにパルプシートの強度が不足するために断紙などを生じて生産性や操業効率が低下する。なお、平均繊維長はメッツォ オートメーション社製ファイバーラボ(V3.5)を用いて測定した値である。
本発明のパルプシートの強度、剛度は、低い方が解砕性には好ましい。パルプシートの強度、及び剛度(ヤング率、こわさ)を調整するには、(1)パルプシートの原料の調整、例えば、パルプスラリー濃度、配合パルプ種類やその配合比を調整する方法、(2)パルプシートの製造条件のうち、脱水工程でのプレス線圧を調整する方法、(3)乾燥条件(蒸気圧、濃度勾配、乾燥パターンなど)を調整する方法、(4)リンス剤など各種添加剤を利用するなどの方法がある。
本明細書において、パルプシートとは、パルプを抄紙機などで抄き、シート状にしたものをいう。
本発明で用いるパルプの原料は、セルロースを含有する繊維状物質であれば、いずれのものを用いても良い。例えば、木材、綿、その他の植物、古紙(脱墨したものも含む)、ホヤセルロースおよび酢酸菌により生産されたセルロースなどが挙げられる。パルプの製造方法は、特に限定されない。例えば、木材やチップをそのまま、あるいは熱処理後、機械的に処理する機械パルプ法、木材やチップを化学的に処理する化学パルプ法(亜硫酸パルプ法、クラフトパルプ法、ソーダパルプ法など)、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明において、木材を原料として用いる場合は、針葉樹、広葉樹のいずれを用いてもよく、単独でも、任意の割合で混合しても良い。但し、原料として針葉樹を用いた場合のほうが、本発明の効果はより顕著となる。一般に、針葉樹パルプのほうが広葉樹パルプよりも繊維長が長いため、シートを形成した際の繊維どうしの絡み合いが強くなるため、従来は、解砕性という点からは針葉樹の使用は決して好ましいとは言えなかった。しかし、繊維長が長く、単繊維強度が高い針葉樹パルプは、例えば、化学修飾・化学繊維化して衣服などの用途で好んで使用されるため、従来から解砕性の高い針葉樹パルプシートが望まれていた。本発明によれば、針葉樹パルプを原料として用いても、十分に解砕性を向上することができる。
本発明のパルプシートは、フラッフ用途、セルロース誘導体を製造用途で用いるため、生産性の観点から、α−セルロース含有量が高い方がよい。α−セルロースとは、パルプを液温20℃の17.5%の水酸化ナトリウム溶液に浸漬して溶解しないで残るセルロース成分であり、全セルロース分の絶乾重量に対する百分率で表す。この含有率はパルプおよび紙の品質判定の基準となる。α−セルロース含有量は、特に限定されるものではないが、92%以上が好ましく、より好ましくは95%以上である。なお、α−セルロース含有量は、JIS8108−1976に従って測定する。一般的に、パルプのα−セルロース含有量が92%以上となると、水素結合の増加に伴い繊維間の結束が増大し、パルプシートの解砕性が急激に悪化すると経験的に言われているが、本発明のパルプシートは、α−セルロース含有量が92%以上であっても解砕性が良好である。更に言えば、α−セルロース含有量が高いほど本発明の効果は顕著となる。
本発明においては、パルプをそのまま使用してもよいが、軽度のカッティングまたは叩解処理を施してもよい。軽度のカッティングまたは叩解処理を施すことにより、パルプシートの解砕性を改善・調整したり、パルプシート強度の低下・断紙などを回避できる。軽度のカッティング処理により繊維長を適度に短くする方法は、長繊維パルプを原料とするシートの調製時に有効である。長繊維パルプに対して軽度のカッティング処理を施すことにより、繊維長が適度に短くなって繊維どうしの絡みが軽減されるため、得られたパルプシートの解砕性が改善される。一方、叩解処理は短繊維パルプを原料とするシートの調製時に有効である。例えば、短繊維パルプを原料として抄紙スピードを高速化した場合、パルプシート強度の低下・断紙が起こる可能性がある。このような場合、軽度の叩解処理を施すことによって繊維を適度にフィブリル化し、問題を回避することが可能である。
しかし、カッティング処理や叩解処理が過度な場合、新たな問題を生じる。例えば、過度に叩解すると得られたパルプシートの解砕性は大幅に悪化する。そこで、処理程度が適当か否かを判断するための指標として濾水度を用いる。一般に、カッティング処理あるいは叩解処理のみをパルプに施すことは困難であり、実際にはこれらの処理は同時に進行している。カッティング処理と叩解処理の比率は、処理機や処理刃などにより異なるため、目的に応じて処理条件を適度に変更する。従って、これら処理の進行に伴い濾水度は低下傾向を示すため、濾水度を適正に管理することによって、これら処理を適正な範囲で実施することができる。一般に、カッティング・叩解処理されてない木材パルプの濾水度は700〜800ml程度であるが、例えば濾水度750mlの針葉樹パルプを650ml以下に下げると、解砕性が大幅に低下するだけでなく、ミクロな領域で局在的に繊維間の結束が助長されているため、セルロース誘導体の原料として用いる場合には、製造反応が不均一になるばかりでなく、未反応物を生じやすい。よって、パルプの濾水度が680ml以下にならないようにごく軽度に処理したものがより好ましい。
本発明のパルプシートは、パルプを製紙用としてごく一般に使用される抄紙機で抄紙して製造する。抄紙機としては、長網抄紙機、円網抄紙機などを適宜使用することができる。本発明のパルプシートは単層抄きでも優れた解砕性を発現するが、多層抄きにより調製された場合には、更に解砕性は良好となる。
これは解砕時に紙層間剥離が起こることでさらにパルプシートの解砕が促進されるためと考えられる。その一方で、層数が多くなりすぎると、製造工程が複雑になるばかりでなく、一層あたりの乾燥坪量が小さくなるために逆に解砕装置に絡み難くなり、結果として局在的にではあるが未解砕物を生じる可能性がある。よって、多層抄紙の場合は、一層当たりの乾燥坪量は200g/m2以上であることが好ましい。多層抄紙に特に適しているのは円網抄紙機である。
本発明のパルプシートの保管、運搬のための最終的な製品形態(形状)は特に限定されない。本発明のパルプシートは、ロール状に加工された場合(以下、ロールパルプと略)でも、解砕性が良好である。これは、平板状よりもロール状である方が連続的に解砕機に投入できるため、解砕効率を高めることができるからである。しかし、従来のパルプシートをロールパルプに加工した場合、ロールの内外の緊度差が大きくなる(特にロール内側での緊度が高くなる)ため、ロールパルプを解砕するとパルプの解砕状態が不均一となるばかりでなく、未解砕物を生じてしまう。そのため、製品形態は平板シート状にすることが一般的であった。それに対し、本発明のパルプシートは、SST音速(2乗)の縦横比を調整して製造されるため、ロールパルプに加工しても解砕性が良好である。
本発明のパルプシートは、パルプ綿、またはセルロース誘導体原料として用いるので、解砕機により解砕する工程を経る。乾式解砕機としては通常使用される装置が挙げられ、例えばアトリションミル、ボールミル、ジェットミル、ハンマーミル、カッティングミルなどがある。本発明のパルプシートは乾式解砕に適しているので、解砕後に乾燥工程を設ける必要はなく、解砕された状態でそのまま原料とすることができる。ただし、嵩密度の大小がパルプ綿の性状に影響を与えることがあるので、適当な範囲に解砕制御する。なお、解砕時の本発明のパルプシートの含水量は、0.5〜8.0重量%が好ましい。
本発明のパルプシートの嵩密度は、解砕処理した後に測定するが、嵩密度の測定を実機設備を用いて行うことは困難であるため、本発明者らは実機設備での解砕性評価との相関が非常に高い簡易な解砕性評価方法を見出した。以下に詳述する。
本評価方法では、パルプシートをほぼ均一にちぎって、フラッシュ機能を備えたミルに入れて蓋をした後に、フラッシュ処理を断続的に施すことにより行う。ここでいう「フラッシュ処理」とは、パルプシートを高速回転する回転刃により、短時間処理(一回の処理時間は1〜2秒)することをいう。長時間処理すると熱の発生が伴うため、パルプに熱が蓄積しないよう十分留意しながら回転数などを制御して行う。解砕方法の具体例について詳述する。約2gのパルプシートをほぼ均一にちぎって、フラッシュ機能を備えたミルカッター(200ml,10,000回転/分、TESCOM社製、型式TM−807)に入れて蓋をした後に、フラッシュ処理を断続的に20回施してパルプ綿を調製する。この操作を数回繰り返して、1リットル(1L)容ビーカーを満たすのに十分なパルプ綿を確保する。
本発明のパルプシートには、層間強度を低くし、嵩密度を上げるため、必要であればリンス剤を添加しても良い。解砕後のパルプの使用用途に応じて、リンス剤の種類を適宜選択することができる。添加量は、本来の目的を損なわない範囲で添加することができる。パルプに対して0.01〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲が適当である。
嵩密度:本明細書[0027]に記載した方法でパルプシートを解砕した後、嵩密度を測定した。
解砕性:本明細書[0027]に記載した方法でパルプシートを解砕し、未解砕物の発生の程度を判断した。
◎非常によい:均一なパルプ綿であって未解砕物は視認されない。
○良い:均一なパルプ綿であり、未解砕物はほとんど視認されない。
△劣る:ほぼ均一なパルプ綿であるが、未解砕物が視認される。
×非常に劣る:一部パルプ綿となっているが、未解砕物が非常多く、さらにはパルプシート塊も視認される。
フリーネス:スターラーを用いて、パルプシートを約1%濃度の条件で離解し、JIS P 8121に従ってカナダ標準濾水度を測定した。
坪量:JIS P 8124に従って、坪量を測定した。
密度:JIS P 8118に従って、坪量と紙厚から密度を求めた。
SST音速(2乗):野村商事社製Sonic Sheet Tester 3200を用いて音速(2乗)を測定した。
裂断長:JIS P 8113に従って、裂断長を測定した。
繊維長:メッツォ オートメーション社製ファイバーラボを用いて、繊維長を測定した。
α−セルロース含有量:JIS8108−1976に従って測定した。
<解砕負荷の測定方法>
各パルプシートの嵩密度が20ml/gとなるフラッシュ処理回数を解砕負荷とした。
(実施例1)
カナダ標準濾水度で770ccに調整されたサルファイトパルプ(針葉樹、重量平均繊維長2.6mm)を調製し、配向性シートマシン(熊谷理機工業社製)を用いて抄速500m/minの条件で抄紙し、プレス(熊谷理機工業社製 AUTOMATIC SHEET PRESS)処理(圧力4.2 kg/cm2)を施し、シリンダードライヤー(ジャポー社製 AUTO DRYER TYPE MR-30)で乾燥後パルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。実施例1で調製したパルプシートの解砕後の状態を示す写真を図1に示す。
(実施例2)
抄速を600m/minとした以外は、実施例1と同様に抄紙し、パルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。
(実施例3)
抄速を900m/minとした以外は、実施例1と同様に抄紙し、パルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。
実施例2と同様に抄紙し、プレス条件を変更したパルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。
(実施例5)
実施例2と同様に抄紙し、プレス条件を変更したパルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。
(実施例6)
実施例2と同様に抄紙し、プレス条件を変更したパルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。実施例6で調製したパルプシートの解砕後の状態を示す写真を図2に示す。
(実施例7)
実施例2と同様に抄紙し、プレス条件を変更したパルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。
実施例2と同様に抄紙し、パルプシートを得た。その後、カレンダー(SMT社製 ラボカレンダ)処理(線圧 35 kg/cm)を施した。パルプシートの物性は表1に示す。
(実施例9)
実施例2と同様に抄紙し、パルプシートを得た。その後、実施例8のカレンダー線圧を変更し、カレンダー処理を施した。パルプシートの物性は表1に示す。
(実施例10)
実施例2と同様に抄紙し、パルプシートを得た。その後、実施例8のカレンダー線圧を変更し、カレンダー処理を施した。パルプシートの物性は表1に示す。
(実施例11)
実施例2と同様に抄紙し、パルプシートを得た。その後、実施例8のカレンダー線圧を変更し、カレンダー処理を施した。パルプシートの物性は表1に示す。
(実施例12)
実施例2と同様に抄紙し、パルプシートを得た。その後、実施例8のカレンダー線圧を変更し、カレンダー処理を施した。パルプシートの物性は表1に示す。
実施例2と同様に抄紙し、プレス条件およびカレンダー条件を変更したパルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。
(実施例14)
実施例2と同様に抄紙し、プレス条件およびカレンダー条件を変更したパルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。
(実施例15)
実施例2と同様に抄紙し、プレス条件およびカレンダー条件を変更したパルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。
抄速を1200m/minとした以外は、実施例1と同様に抄紙し、パルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。比較例1で調製したパルプシートの解砕後の状態を示す写真を図3に示す。
(比較例2)
角型手抄きシートマシンを使用した以外は、実施例1と同様に抄紙し、パルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。
(比較例3)
実施例2と同様に抄紙し、プレス条件およびカレンダー条件を変更したパルプシートを得た。パルプシートの物性は表1に示す。比較例3で調製したパルプシートの解砕後の状態を示す写真を図4に示す。
(比較例4)
比較例1と同様に抄紙し、パルプシートを得た。その後、カレンダー処理を施した。パルプシートの物性は表1に示す。
B群の結果から、プレス圧力を大きくすることで、裂断長(横)が大きくなり、解砕性が若干低下した。これは、繊維間結合の増加が影響するためと考えられる。しかし、SST音速(2乗)の縦横比が1.4以上であるため、良好な解砕性が維持されている。
C群の結果から、SST音速(2乗)の縦横比が1.4以上であれば、カレンダー処理はほとんど解砕性に影響しないことが確認された。これは、カレンダー処理が繊維間結合の増加に影響しなかったためと思われる。
D群の結果から、解砕性はB群とC群で述べたように、SST音速(2乗)の縦横比が1.4以上であれば、プレス処理すなわち裂断長の影響を若干受けることが確認された。
E群の結果から、C群の結果と同様、SST音速(2乗)の縦横比が1.4以上であれば、カレンダー処理は解砕性に影響しないことが確認された。
以上の結果から、解砕性に影響を及ぼす因子は、SST音速(2乗)の縦横比であり、さらに、SST音速(2乗)の縦横比が一定であれば、裂断長(プレス圧力)が解砕性に若干の影響を及ぼしていることが確認できた。
解砕負荷は、実施例1〜4および比較例1〜4の結果から、実施例で調製されたパルプシートの解砕負荷は、比較例で調製されたパルプシートの解砕負荷の1/4〜1/8程度で十分であることが確認できた。
Claims (4)
- SST音速(2乗)の縦横比が1.4以上、且つα−セルロース含有量が92%以上であることを特徴とする乾式解砕用パルプシート。
- シートの幅方向の裂断長が0.87Km以下であることを特徴とする請求項1に記載の乾式解砕用パルプシート。
- 解砕後の嵩密度が20ml/g以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の乾式解砕用パルプシート。
- パルプシートが、亜硫酸法によって製造された木材パルプを原料としたパルプシートであること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乾式解砕用パルプシート。
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