JP7412899B2 - ミクロフィブリルセルロース繊維およびこれを含有する紙 - Google Patents

ミクロフィブリルセルロース繊維およびこれを含有する紙 Download PDF

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Description

本発明はミクロフィブリルセルロース繊維およびこれを含有する紙に関する。
紙は、印刷用紙や記録用紙等の情報記録媒体用途や包装用途等の種々の分野に使用されており、いずれの用途においても使用時や加工時に十分な強度を有することが求められている。紙の強度やこわさを改善することを目的として、例えば特許文献1には酸化パルプを添加した紙基材が、特許文献2には共処理されたミクロフィブリルセルロース繊維および無機粒子組成物を含む紙製品が開示されている。
国際公開第2014/097929号 特開2017-203243号公報
特許文献1では酸化パルプを用いるが、当該酸化パルプは紙料中での分散性が十分ではなく、紙の補強効果および透気抵抗も十分なレベルとはいえなかった。特許文献2では未変性パルプを無機粒子と共に機械的に処理して得たミクロフィブリルセルロース繊維を使用する。しかし、当該ミクロフィブリルセルロース繊維も紙料中での分散性が十分ではなく紙の補強効果および透気抵抗度も十分なレベルとはいえなかった。発明者らはミクロフィブリルセルロース繊維の形状を最適化すればこれを含有する紙の特性をより向上できるとの着想を得たが、製紙用途に適したミクロフィブリルセルロース繊維の形状に着目した検討はこれまでされてこなかった。かかる事情を鑑み、本発明は、優れた機械的特性および透気抵抗度を有する紙を与えるミクロフィブリルセルロース繊維を提供することを課題とする。
パルプや各種化学変性を行ったセルロース繊維は、叩解によりフィブリル化や短繊維化が進むが、本発明においては特にフィブリル化を進めることで新たな機能、具体的には紙に添加した場合に優れた強度および透気抵抗度を発現するミクロフィブリルセルロース繊維を提供できることを見出した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
(1)繊維分析装置で測定した平均繊維長が0.2mm以上、フィブリルエリアが1.5%以上であるミクロフィブリルセルロース繊維。
(2)セルロースI型結晶化度が40%以上である(1)に記載のミクロフィブリルセルロース繊維。
(3)アニオン変性されている(1)または(2)に記載のミクロフィブリルセルロース繊維。
(4)セルラーゼ処理されたセルロース原料から得られた(1)または(2)に記載のミクロフィブリルセルロース繊維。
(5)前記平均繊維長が0.5mm以上である、(1)~(4)のいずれかに記載のミクロフィブリルセルロース繊維。
(6)前記(1)~(5)のいずれかに記載のミクロフィブリルセルロース繊維を含有する紙。
(7)セルロース原料を湿式粉砕して(1)に記載のミクロフィブリルセルロース繊維を調製する工程、および
前記ミクロフィブリルセルロース繊維を紙に含有させる工程、
を備える、紙の製造方法。
(8)前記湿式粉砕の前にセルロース原料を化学変性する工程をさらに備える、(7)に記載の製造方法。
(9)前記湿式粉砕の前にセルロース原料をセルラーゼで処理する工程をさらに備える、(7)に記載の製造方法。
本発明によって優れた機械的特性および透気抵抗度を有する紙を与えるミクロフィブリルセルロースを提供できる。
発明を実施するための態様
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X~Y」はその端値であるXおよびYを含む。
本発明は特定の繊維長およびフィブリル化度を有するミクロフィブリルセルロース繊維ならびにそれを含有する紙に関する。本発明のミクロフィブリルセルロース繊維は、セルロース系原料であるパルプ繊維をフィブリル化した微細セルロース繊維である。ミクロフィブリルセルロース繊維は、特に製紙用途において優れた強度(特に裂断長、曲げこわさ)および透気抵抗度を有する紙を提供できる。その理由は明らかではないが、次のように推察される。微細化が進みすぎたセルロースナノファイバー等の超微細繊維は、紙の製造工程において歩留まりが低くなる傾向がある。一方、本発明のミクロフィブリルセルロース繊維は繊維の形状をある程度残しているため、ミクロフィブリルセルロース繊維が添加された紙を構成する層内において歩留まりが高くなる。このため、当該ミクロフィブリルセルロース繊維を紙に添加すると、当該紙の曲げこわさを効率的に向上させることができる。さらに、本発明のミクロフィブリルセルロース繊維は高いフィブリル化率を有する(フィブリル化が促進されている)ため、ミクロフィブリルセルロース繊維同士や、原紙層にこれを内添した場合は紙中セルロース繊維(抄紙用パルプ)との結合点が多くなり、緻密なネットワークを形成する。その結果、本発明のミクロフィブリルセルロース繊維を紙に添加すると、当該紙の裂断長や透気抵抗度を効率よく向上できる。
1.ミクロフィブリルセルロース繊維
(1)ミクロフィブリルセルロース繊維
ミクロフィブリルセルロース繊維(以下「MFC」ともいう)とは、パルプ等のセルロース系原料をフィブリル化して得られる500nm以上の平均繊維径を有する繊維である。本発明のMFCは繊維径が500nm未満となるまで繊維が微細化されたセルロースナノファイバーとは異なり、パルプ繊維の形状をある程度維持したまま効率的に繊維表面のフィブリル化が促進されているので平均繊維径は500nm以上である。平均繊維径は1μmより大きいことが好ましく、2μm以上がより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。その上限は60μm以下が好ましい。本発明において平均繊維径とは長さ加重平均繊維径であり、当該繊維径はバルメット株式会社製フラクショネータ等の繊維分析装置で測定できる。
本発明のMFCは、セルロース系原料をフィブリル化する工程を経ることで得られ、具体的にはセルロース系原料に、化学的処理、酵素処理、機械的処理、またはこれらを組み合わせた処理を行うことで得られる。本発明のMFCはセルロース系原料に化学的処理または酵素処理を施して繊維間の結合を弱めた後に、機械的処理を行い微細繊維化およびフィブリル化を促進する方法で得られることが好ましい。機械的処理の詳細は後述するが、例えばビーターやディスパーザー、リファイナーなどで比較的弱く解繊または叩解などの機械的処理をすることで得られる。したがってMFCは、高圧ホモジナイザーなどでセルロース系原料を強く解繊処理して得られるセルロースナノファイバーと比較して繊維径が大きく、また繊維自体の微細化(内部フィブリル化)を抑制しながら効率的に繊維表面を毛羽立たせた(外部フィブリル化した)形状を有する。本発明のMFCは変性されていてもいなくてもよい。
上記のとおり、MFCはセルロース系原料(抄紙用パルプ)とはフィブリル化の度合いが異なる。フィブリル化の度合いを定量化することは一般に容易ではないが、本発明においては、MFCの機械的処理前後の濾水度や保水度の変化量でフィブリル化度合を定量化することが可能であることを見出した。MFCのフィブリルエリアは1.5%以上であるが、好ましくは2.0%以上である。本発明において、フィブリルエリアは、MFCを水に分散して水分散体を調製し、当該水分散体を繊維分析装置で測定して求められる。装置によって項目は異なるが、「(平均)フィブリル化率(Mean fibril area)」、「平均微細繊維率」、「フィブリルエリア」などの項目が本発明におけるフィブリルエリアに相当する。フィブリルエリアは主となる繊維のフィブリル化(毛羽立ち)の程度の指標の一つであり、バルメット社製フラクショネータ等の繊維分析装置で測定することができる。MFCが化学変性されている場合、湿式粉砕を行う際の水分散体のpHによってフィブリルエリアの値は変動しうるが、繊維分析時のpHは、フィブリルエリアの値には大きく影響しないと考えらえる。分析装置内ではMFCを含有する水分散体がさらに多量の水で希釈されるため、測定時のpHは7程度である。本発明においては繊維分析装置としてバルメット株式会社製フラクショネータを用いることが好ましい。
本発明のMFCのフィブリル化の度合いは、上述の通りパルプの保水度(H)の増加によっても定量化することができる。本発明のMFCは、機械的処理前のパルプの保水度(H0)と処理後のパルプの保水度(H)の差として定義される保水度差(ΔH=H0-H)が10pt以上上昇する程度に機械解繊または叩解して得たものが好ましく、50pt以上上昇する程度に機械解繊または叩解して得たものがより好ましい。化学変性MFCは、pHによってH型とNa型の比率が変化し、保水度が変化してしまう。そのため、保水度の測定は、機械的処理前後において同一pH条件下で行うことが好ましい。
本発明のMFCは、フィブリル化の程度が弱い場合は、濾水度でフィブリル化度合いを評価することができるが、強く解繊を行った場合、繊維のフィブリル化と同時に短繊維化も進むため、繊維がメッシュから抜けてしまい濾水度が見かけ上、上昇してしまう場合がある。このような場合、MFCの短繊維化が進みすぎていることが推測され、当該MFCは製紙用途には適さない可能性がある。
本発明において平均繊維長は長さ加重平均繊維長である。フィブリルエリアと同様にして測定された本発明のMFCの平均繊維長は0.2mm以上であるが、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上である。平均繊維長の上限は、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.1mm以下である。MFCの平均繊維径は長さ加重平均繊維径である。フィブリルエリアと同様にして測定された本発明のMFCの平均繊維径は前述のとおり500nm以上であるが、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上である。平均繊維径の上限は60μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。
本発明のMFCの平均アスペクト比は、10以上が好ましく、30以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、1000以下が好ましく、100以下がより好ましく、80以下がさらに好ましい。平均アスペクト比は、下記の式により算出できる。
平均アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
本発明のMFCのセルロースI型結晶化度が高いとMFCの強度が高くなり、ひいてはこれを含有する紙の強度も向上する。この観点から前記セルロースI型結晶化度は、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上である。当該セルロースI型結晶化度の上限は限定されないが、好ましくは90%以下である。セルロースI型結晶化度はX線回折によって測定できる。例えば、MFCを、液体窒素を用いて凍結乾燥し、これを圧縮し、錠剤型のペレットを作成する。その後、このサンプルをX線回折装置(PANalytical社製、XPert PRO MPD)で測定し、得られたグラフを、グラフ解析ソフトPeakFIt(Hulinks社製)によりピーク分離し、下記の回折角度を基準として結晶I型結晶化度を求めることができる。
結晶I型 :2θ=14.8°、16.8°、22.6°
結晶II型:2θ=12.1°、19.8°、22.0°
1)セルロース系原料
セルロース系原料は、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物に由来するものが挙げられる。植物由来のものとしては、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、インキ除去工程を経た脱墨パルプ、インキ除去工程を経ない古紙パルプ等)が挙げられる。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかまたは組合せであってもよいが、好ましくは植物または微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維であり、さらに好ましくはクラフトパルプまたは古紙パルプである。
セルロース繊維の平均繊維径は特に制限されないが、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの場合は30~60μm程度、広葉樹クラフトパルプの場合は10~30μm程度である。その他のパルプの場合、一般的な精製を経たものの平均繊維径は50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製した原料を用いる場合、リファイナー、ビーター等の離解機で機械的処理を行い、平均繊維径を50μm以下程度に調整することが好ましく、30μm以下程度とすることがより好ましい。本発明のMFCは、化学変性セルロース系原料、セルラーゼ処理セルロース系原料、未変性セルロース系原料のいずれから製造されたものでもよいが、フィブリル化の進みやすさの観点から化学変性セルロース系原料またはセルラーゼ処理セルロース系原料から製造されたものが好ましい。
2)化学変性
セルロース系原料は化学変性されていてもよい。化学変性とはセルロース系原料に官能基を導入することをいい、本発明においてはアニオン性基を導入するアニオン変性が好ましい。アニオン性基としてはカルボキシル基、カルボキシル基含有基、リン酸基、リン酸基含有基等の酸基が挙げられる。カルボキシル基含有基としては、-COOH基、-R-COOH(Rは炭素数が1~3のアルキレン基)、-O-R-COOH(Rは炭素数が1~3のアルキレン基)が挙げられる。リン酸基含有基としては、ポリリン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、ポリホスホン酸基等が挙げられる。これらの酸基は反応条件によっては、塩の形態(例えばカルボキシレート基(-COOM、Mは金属原子))で導入されることもある。本発明において化学変性は、酸化またはエーテル化が好ましい。以下、これらについて詳細に説明する。
[酸化]
セルロース原料を酸化することによって酸化セルロースが得られる。酸化方法は特に限定されないが、一例として、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物およびこれらの混合物からなる群より選択される物質との存在下で、酸化剤を用いて水中でセルロース原料を酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基、カルボキシル基、およびカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。反応時のセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。
N-オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物である。ニトロキシルラジカルとしては例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPO)が挙げられる。N-オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。N-オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol以上が好ましく、0.02mmol以上がより好ましい。上限は、10mmol以下が好ましく、1mmol以下がより好ましく、0.5mmol以下がさらに好ましい。従って、N-オキシル化合物の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.01~10mmolが好ましく、0.01~1mmolがより好ましく、0.02~0.5mmolがさらに好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、例えば、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属、例えば臭化ナトリウム等が挙げられる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、例えば、ヨウ化アルカリ金属が挙げられる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1mmol以上が好ましく、0.5mmol以上がより好ましい。当該量の上限は、100mmol以下が好ましく、10mmol以下がより好ましく、5mmol以下がさらに好ましい。従って、臭化物およびヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1~100mmolが好ましく、0.1~10mmolがより好ましく、0.5~5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、特に限定されないが例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸、これらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などが挙げられる。中でも、安価で環境負荷が少ないことから、次亜ハロゲン酸またはその塩が好ましく、次亜塩素酸またはその塩がより好ましく、次亜塩素酸ナトリウムがさらに好ましい。酸化剤の使用量は、絶乾1gのセルロースに対して、0.5mmol以上が好ましく、1mmol以上がより好ましく、3mmol以上がさらに好ましい。当該量の上限は、500mmol以下が好ましく、50mmol以下がより好ましく、25mmol以下がさらに好ましい。従って、酸化剤の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.5~500mmolが好ましく、0.5~50mmolがより好ましく、1~25mmolがさらに好ましく、3~10mmolが特に好ましい。N-オキシル化合物を用いる場合、酸化剤の使用量はN-オキシル化合物1molに対して1mol以上が好ましく、上限は40molが好ましい。従って、酸化剤の使用量はN-オキシル化合物1molに対して1~40molが好ましい。
酸化反応時のpH、温度等の条件は特に限定されず、一般に、比較的温和な条件であっても酸化反応は効率よく進行する。反応温度は4℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。当該温度の上限は40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。従って、反応温度は4~40℃が好ましく、15~30℃程度、すなわち室温であってもよい。反応液のpHは、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。pHの上限は、12以下が好ましく、11以下がより好ましい。従って、反応液のpHは、好ましくは8~12、より好ましくは10~11程度である。通常、酸化反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHは低下する傾向にある。そのため、酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを上記の範囲に維持することが好ましい。酸化の際の反応媒体は、取扱いの容易さや、副反応が生じにくいこと等の理由から、水が好ましい。
酸化における反応時間は、酸化の進行程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5時間以上であり、その上限は通常は6時間以下、好ましくは4時間以下である。従って、酸化における反応時間は通常0.5~6時間、例えば0.5~4時間程度である。酸化は、2段階以上の反応に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾン酸化が挙げられる。この酸化反応により、セルロースを構成するグルコピラノース環の少なくとも2位および6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾン処理は通常、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより行われる。気体中のオゾン濃度は、50g/m以上であることが好ましい。上限は、250g/m以下であることが好ましく、220g/m以下であることがより好ましい。従って、気体中のオゾン濃度は、50~250g/mであることが好ましく、50~220g/mであることがより好ましい。オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100重量%に対し、0.1重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましい。オゾン添加量の上限は、通常30重量%以下である。従って、オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100重量%に対し、0.1~30重量%であることが好ましく、5~30重量%であることがより好ましい。オゾン処理温度は、通常0℃以上であり、好ましくは20℃以上であり、上限は通常50℃以下である。従って、オゾン処理温度は、0~50℃であることが好ましく、20~50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、通常は1分以上であり、好ましくは30分以上であり、上限は通常360分以下である。従って、オゾン処理時間は、通常は1~360分程度であり、30~360分程度が好ましい。オゾン処理の条件が上述の範囲内であると、セルロースが過度に酸化および分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。
オゾン処理されたセルロースに対しさらに、酸化剤を用いて追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが例えば、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。追酸化処理の方法としては例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、酸化剤溶液中にセルロース原料を浸漬させる方法が挙げられる。酸化MFCに含まれるカルボキシル基、カルボキシレート基、アルデヒド基の量は、酸化剤の添加量、反応時間等の酸化条件をコントロールすることで調整できる。
カルボキシル基量の測定方法の一例を以下に説明する。酸化セルロースの0.5重量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定する。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出することができる。
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/酸化セルロース重量〔g〕
このようにして測定した酸化セルロース中のカルボキシル基の量は、絶乾重量に対して、0.1mmol/g以上が好ましく、0.5mmol/g以上がより好ましく、0.8mmol/g以上がさらに好ましい。当該量の上限は、3.0mmol/g以下が好ましく、2.5mmol/g以下がより好ましく、2.0mmol/g以下がさらに好ましい。従って、当該量は0.1~3.0mmol/gが好ましく、0.5~2.5mmol/gがより好ましく、0.8~2.0mmol/gがさらに好ましい。
[エーテル化]
エーテル化としては、カルボキシメチル(エーテル)化、メチル(エーテル)化、エチル(エーテル)化、シアノエチル(エーテル)化、ヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピル(エーテル)化、エチルヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピルメチル(エーテル)化などが挙げられる。この中から一例としてカルボキシメチル化の方法を以下に説明する。
カルボキシメチル化により得られるカルボキシメチル化セルロースまたはMFC中の無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましい。当該置換度の上限は、0.50以下が好ましく、0.40以下がより好ましく、0.35以下がさらに好ましい。従って、カルボキシメチル基置換度は、0.01~0.50が好ましく、0.05~0.40がより好ましく、0.10~0.30がさらに好ましい。
カルボキシメチル化方法は特に限定されないが、例えば、発底原料としてのセルロース原料をマーセル化し、その後エーテル化する方法が挙げられる。当該反応には、通常、溶媒が使用される。溶媒としては例えば、水、アルコール(例えば低級アルコール)およびこれらの混合溶媒が挙げられる。低級アルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、N-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N-ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノールが挙げられる。混合溶媒における低級アルコールの混合割合は通常その下限は60重量%以上、その上限は95重量%以下であり、60~95重量%であることが好ましい。溶媒の量は、セルロース原料に対し通常は3重量倍である。当該量の上限は特に限定されないが20重量倍である。従って、溶媒の量は3~20重量倍であることが好ましい。
マーセル化は通常、発底原料とマーセル化剤を混合して行う。マーセル化剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属が挙げられる。マーセル化剤の使用量は、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5倍モル以上が好ましく、1.0モル以上がより好ましく、1.5倍モル以上がさらに好ましい。当該量の上限は、通常20倍モル以下であり、10倍モル以下が好ましく、5倍モル以下がより好ましい、従って、マーセル化剤の使用量0.5~20倍モルが好ましく、1.0~10倍モルがより好ましく、1.5~5倍モルがさらに好ましい。
マーセル化の反応温度は、通常0℃以上であり、好ましくは10℃以上であり、上限は通常70℃以下、好ましくは60℃以下である。従って、反応温度は通常0~70℃、好ましくは10~60℃である。反応時間は、通常15分以上、好ましくは30分以上である。当該時間の上限は、通常8時間以下、好ましくは7時間以下である。従って、反応時間は、通常は15分~8時間、好ましくは30分~7時間である。
エーテル化反応は通常、カルボキシメチル化剤をマーセル化後に反応系に追加して行う。カルボキシメチル化剤としては例えば、モノクロロ酢酸ナトリウムが挙げられる。カルボキシメチル化剤の添加量は、セルロース原料のグルコース残基当たり通常は0.05倍モル以上が好ましく、0.5倍モル以上がより好ましく、0.8倍モル以上がさらに好ましい。当該量の上限は、通常10.0倍モル以下であり、5モル以下が好ましく、3倍モル以下がより好ましい、従って、当該量は好ましくは0.05~10.0倍モルであり、より好ましくは0.5~5であり、さらに好ましくは0.8~3倍モルである。反応温度は通常30℃以上、好ましくは40℃以上であり、上限は通常90℃以下、好ましくは80℃以下である。従って反応温度は通常30~90℃、好ましくは40~80℃である。反応時間は、通常30分以上であり、好ましくは1時間以上であり、その上限は、通常は10時間以下、好ましくは4時間以下である。従って反応時間は、通常は30分~10時間であり、好ましくは1時間~4時間である。カルボキシメチル化反応の間必要に応じて、反応液を撹拌してもよい。
カルボキシメチル化セルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度の測定は例えば、次の方法による。すなわち、1)カルボキシメチル化セルロース(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。2)硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチル化セルロース)を水素型カルボキシメチル化セルロースにする。3)水素型カルボキシメチル化セルロース(絶乾)を1.5~2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。4)80%メタノール15mLで水素型カルボキシメチル化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのHSOで過剰のNaOHを逆滴定する。6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’-(0.1NのHSO)(mL)×F)×0.1]/(水素型カルボキシメチル化セルロースの絶乾重量(g))
DS=0.162×A/(1-0.058×A)
A:水素型カルボキシメチル化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのHSOのファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター
3)セルラーゼ処理
セルロース系原料をセルラーゼで処理したものを、MFCの原料として用いてもよい。セルラーゼとは、セルロースを分解できる酵素であり、例えば、分子内部からセルロースを分解するエンドグルカナーゼ、分子末端からセルロースを分解するエクソグルカナーゼ、グリコシド結合を加水分解しセロビオースをグルコースに分解するようなβ-グルコシダーゼまたはこれらの混合物が挙げられる。セルラーゼ処理によってセルロース系原料の繊維長を過度に短くすることなくフィブリル化を促進できる。この機構は明らかでないが、セルラーゼによって分子鎖間の水素結合が弱められ、湿式粉砕において分子鎖の切断よりもフィブリル化が優位に進むためと推察される。この観点から、セルラーゼとしては、エンドグルカナーゼ、エクソグルカナーゼ、β-グルコシダーゼ、またはこれらの混合物が好ましい。
本発明に用いるセルラーゼの起源は特に限定されず、Trichoderma属、Aspergillus属、Irpex属、Aeromonas属、Clostridium属、Bacillus属、Pseudomonas属、Penicillium属、Humicola属などの各種の起源のもの、または遺伝子組み換えにより製造したものを単独もしくは二種以上を混合して用いることができ、さらには糸状菌、担子菌、細菌類等のセルラーゼを用いることができる。また、セルラーゼの形態についても限定されず、一般に市販されているセルラーゼ製剤や上記菌の培養物やその濾過液を直接使用してもよい。中でも、Trichoderma(トリコデルマ)属、Aspergillus(アスペルギルス)属由来のセルラーゼなどのようなセルロース分解力が高いセルラーゼが好ましい。一般的にセルラーゼは複数のセルラーゼおよび緩衝剤などの種々の薬品を含有するセルラーゼ系薬品として市販されている。本発明においては当該セルラーゼ系薬品を使用してもよく、その例としては、エイチピィアイ社製「セルロイシンT2」、Meiji Seikaファルマ社製「メイセラーゼ(登録商標)」、理研グリーン社製「ハーコボンド(登録商標)8922」、ノボザイム社製「ノボザイム(登録商標)188」「セルクラスト」、ジェネンコア社製「マルティファクトCX10L、B、GCc、GC、ペクチナーゼ(ヘミセルラーゼ)」「Spezyme CP」、「GC220」などが挙げられる。
[処理条件]
セルラーゼ処理はセルロース系原料の水分散体をセルラーゼと接触させることで実施できる。当該水分散体中のセルロース系原料の濃度は限定されないが、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは0.5~10重量%、さらに好ましくは1.0~4.0重量%である。また、セルラーゼのセルロース系原料に対する添加量は、0.001~10重量%が好ましく、0.05~3重量%がより好ましく、0.1~2重量%がさらに好ましい。
水分散体のpHは使用するセルラーゼによって変動しうるが、pH4~8であることが好ましい。その温度はセルラーゼの活性の観点から、15℃以上であり、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上である。また、当該温度の条件はセルラーゼが失活しない条件であれば限定されないが、好ましくは80℃未満、より好ましくは65℃以下である。
[セルラーゼ処理のタイミング]
セルロース系原料として前述のパルプを用いる場合、パルプを調製する工程においてセルラーゼ処理を実施してもよく、パルプを調製する工程からセルロース系原料を抜き出してセルラーゼ処理を実施してもよい。以下にその例を説明する。
脱墨パルプを用いる場合、脱墨パルプは、古紙を離解する離解工程、異物を除去する除塵工程、脱墨するフローテーション工程、インキを分散する分散工程、漂白工程、脱水・洗浄工程、および叩解工程を含む製造方法で調製されることが好ましい。
古紙パルプを用いる場合、古紙パルプは、古紙の離解工程、異物を除去する除塵工程、インキを分散する分散工程、脱水・洗浄工程、叩解工程を含む製造方法で調製されることが好ましい。
クラフトパルプを用いる場合、クラフトパルプは、離解工程、脱水・洗浄工程、異物を除去する除塵工程、および叩解工程を含む製造方法で調製されることが好ましい。
上記各工程は公知のとおりに実施できる。また各工程の順序は任意である。上記方法における叩解工程は、MFC製造のための湿式粉砕処理とは異なる。
セルラーゼ処理は前記の任意の工程の後に実施してもよいし、任意の工程において実施してもよいし、任意の工程または工程の後にセルロース系原料を抜き出し、セルラーゼ処理、湿式粉砕処理を行って得られたMFCを、任意の工程に戻してもよい。例えば、除塵工程以降にセルラーゼ処理工程を実施すると、セルロース系原料から夾雑物が除去されているので、処理効率を高めることができる。
[失活処理]
セルラーゼ処理後に失活処理を行うことが好ましい。セルラーゼを失活させるには、酵素の立体構造を変化させる処理を行えばよく、例えば加熱処理、pHの調整、塩濃度の調整、酸化剤の添加、溶媒の添加などが挙げられるが、本発明においては前記水分散体を80℃以上に加熱する方法、またはpHが12程度になるように水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質を添加する方法でセルラーゼを失活させることが好ましい。
4)機械解繊または叩解
本工程では、セルロース系原料を機械的に解繊または叩解する。本発明において、機械的な解繊または叩解を「機械的処理」といい、原料セルロースの水分散体に対して行う機械的処理を「湿式粉砕」ともいう。解繊または叩解処理は1回行ってもよいし、これらを単独でまたは組合せて複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊または叩解の時期はいつでもよく、使用する装置は同一でも異なってもよい。一般的にCNFは、セルロース系原料に対して強い解繊処理を行うため微細繊維化が進み、繊維幅や繊維長の低下を伴う。しかし本発明ではCNFほどの強い解繊処理を行わず、また繊維の形状を維持したままフィブリル化を行うことができるように装置、濃度、処理回数などの処理条件を調整し、比較的弱い解繊または叩解などの湿式粉砕処理によりフィブリル化を促進する処理を施す。これらに限定されないが、具体的には化学変性したセルロース系原料を湿式粉砕処理することによりフィブリル化を進めてMFCを製造する方法や、酵素処理したセルロース系原料を湿式粉砕処理することによりフィブリル化を進めてMFCを製造する方法などが挙げられる。
解繊または叩解処理に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧または超高圧ホモジナイザー、リファイナー、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザー、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、ボールミル、振動ミル、ビーズミル、コニカルリファイナー、ディスク型リファイナー、1軸、2軸または多軸の混錬機・押出機高速回転下でのホモミキサー、精製装置(refiner)、デフィブレーター(defibrator)、叩解機、摩擦グラインダー、高せん断フィブリレーター(fibrilator)(例えば、キャビトロンローター/スターター装置)、ディスパージャー(disperger)、ホモゲナイザー(例えば、微細流動化機(microfluidizer))など回転軸を中心として金属または刃物とパルプ繊維を作用させるもの、あるいはパルプ繊維同士の摩擦によるものを使用することができる。
解繊または叩解を化学変性パルプの水分散体に対して実施する場合、すなわち湿式粉砕を実施する場合、水分散体中の化学変性パルプの濃度(固形分濃度)は、通常は0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、1.0重量%以上がさらに好ましく、2.0重量%以上が最も好ましい。これにより、セルロース系原料の量に対する液量が適量となり効率的になる。当該濃度の上限は解繊または叩解を行うことができれば特に限定されないが、通常は90重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらに好ましい。
セルラーゼ処理パルプの水分散体を湿式粉砕する場合、水分散体中のセルラーゼ処理パルプの濃度(固形分濃度)は、通常は0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、1.0重量%以上がさらに好ましく、2.0重量%以上が最も好ましい。これにより、セルロース系原料の量に対する液量が適量となり効率的になる。当該濃度の上限は解繊または叩解を行うことができれば特に限定されないが、通常は90重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらに好ましい。
本発明のMFCはAg、Au、Pt、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn、Cu等の金属イオン含有量を含んでいてもよいが、その含有量(総量)はMFC重量に対し、0以上10mg/g未満であることが好ましい。当該含有量は、走査型電子顕微鏡像、および強酸による抽出液のICP発光分析によって確認できる。すなわち、金属イオンは走査型電子顕微鏡像では存在を確認できないが、ICP発光分析では確認できる。一方、金属塩等が還元されて存在している金属粒子は、走査型顕微鏡像で確認できる。本発明のMFCは、製紙工程において、他の製紙用薬品と混合して使用される。製紙用薬品には、カチオンやアニオンなどの電荷を有する薬品が多数使用されており、系内の電荷のバランスが崩れると凝集などのトラブルが発生する恐れがあるので、金属イオン含有量の高いMFCを使用すると、系内の電荷バランスを崩してしまう恐れがある。そのため、製紙工程におけるトラブル低減のために、MFCの金属イオン含有量は10mg/g未満であることが好ましい。
2.用途
本発明のMFCは、適度にフィブリル化された微細セルロース繊維であるため、従来セルロースナノファイバー等のセルロース系材料が使用されてきた種々の用途に使用できる。本発明のMFCは、一般的に添加剤が用いられる様々な分野において、増粘剤、ゲル化剤、糊剤、食品添加剤、賦形剤、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、研磨剤、ゴム・プラスチック用配合材料、保水材、保形剤、泥水調整剤、ろ過助剤、溢泥防止剤、混和剤等として使用することができる。当該分野としては、食品、飲料、化粧品、医薬、製紙、各種化学用品、塗料、スプレー、農薬、土木、建築、電子材料、難燃剤、家庭雑貨、接着剤、洗浄剤、芳香剤、潤滑用組成物等が挙げられる。
3.MFCを含有する紙
本発明のMFCは上述の各種用途に使用することができるが、製紙用添加剤として紙に含有させることで効率的に機械的特性を向上させた紙を提供することができるため、用途の一例として本発明のMFCを含有する紙の製造方法を以下に説明する。
本発明の紙は原紙層を有し、1層以上の塗工層を有してもよい。塗工層は無機顔料および接着剤を含有する顔料塗工層でもよく、無機顔料を含有せずに接着剤を主体とするクリア塗工層でもよい。本発明の紙は、当該紙を構成するいずれかの層に本発明のMFCを含んでいればよい。例えば、本発明のMFCは原紙層または顔料塗工層またはクリア塗工層に含有される。これらの層に関しては後述する。また、本発明の紙は、洋紙、板紙、段ボール、情報用紙及び産業用紙などの用途に使用することができる。
(1)原紙層
原紙層とは紙のベースとなる層でありパルプを主成分として含む。本発明においては、原紙は単層でも多層でもよい。原紙層は前記MFCを含むことが好ましい。多層の場合は原紙層のうち少なくともいずれか一層がMFCを含んでいればよく、全層がMFCを含有してもよい。MFCの含有量は各層のパルプ100重量部に対して1×10-4~10重量部であることが好ましく、3×10-4~1重量部であることがより好ましい。
本発明で用いる原紙のパルプ原料は特に限定されず、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプ、脱墨パルプ(DIP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、針葉樹クラフトパルプ(LKP)等の化学パルプ等を使用できる。脱墨(古紙)パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙由来のものを使用できる。
原紙には公知の填料を添加できるが、板紙等の不透明度や白色度を求められない用途の場合は填料を添加しなくてもよい。填料を添加する場合、填料としては、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム-シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱酸による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素-ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし併用してもよい。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料であり、高い不透明度が得られる炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが好ましい。原紙中の填料の含有率は、原紙重量に対して、5~20重量%が好ましい。本発明においては紙中灰分が高くても紙力の低下が抑制されるため、原紙中の填料の含有率は10重量%以上であることがより好ましい。
内添薬品として、嵩高剤、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、濾水性向上剤、染顔料、蛍光着色剤、中性サイズ剤等を必要に応じて使用してもよい。
原紙は、公知の抄紙方法で製造される。例えば、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、ハイブリッドフォーマー型抄紙機、オントップフォーマー型抄紙機、丸網抄紙機等を用いて行うことができるが、これらに限定されない。
本発明のMFCを原紙に添加する場合、パルプスラリーを調成する工程における任意の工程で添加してよいが、MFCの混合効率を向上させるために、パルプリファイナー工程またはミキシング工程で添加することが好ましい。ミキシング工程でMFCを添加する場合、填料や歩留剤等その他助剤とMFCを予め混合したものをパルプスラリーに添加してもよい。
(2)顔料塗工層
顔料塗工層とは白色顔料を主成分として含む層である。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、焼成カオリン、無定形シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、プラスチックピグメント等の通常使用されている顔料が挙げられる。
顔料塗工層は接着剤を含む。当該接着剤としては、酸化澱粉、陽性澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス等が挙げられる。これらは単独、あるいは2種以上併用して用いることができ、澱粉系接着剤とスチレン-ブタジエン共重合体を併用することが好ましい。
顔料塗工層は、一般の紙製造分野で使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を含んでいてもよく、本発明のMFCを顔料塗工層中に含有してもよい。本発明のMFCを顔料塗工層中に含有する場合、顔料100重量部に対して1×10-3~1重量部が好ましい。前記範囲の場合、塗工液の粘度を大幅に増大することなく、適度な保水性を持った顔料塗工液を得ることができる。
顔料塗工層は、塗工液を公知の方法で原紙の片面あるいは両面に塗工して設けることができる。塗工液中の固形分濃度は、塗工適性の観点から、30~70重量%程度が好ましい。顔料塗工層は1層でもよく、2層でもよく、3層以上でもよい。複数の顔料塗工層が存在する場合、MFCはいずれの顔料塗工層に存在してもよい。顔料塗工層の塗工量は、用途によって適宜調整してよいが、印刷用塗工紙とする場合は片面あたりトータルで5g/m以上であり、10g/m以上であることが好ましい。上限は、30g/m以下であることが好ましく、25g/m以下であることが好ましい。
(3)クリア塗工層
本発明の紙は、原紙の片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工性を向上させることができる。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1~1.0g/mが好ましく、0.2~0.8g/mがより好ましい。本発明においてクリア塗工とは、例えば、サイズプレス、ゲートロールコータ、プレメタリングサイズプレス、カーテンコータ、スプレーコータなどのコータ(塗工機)を使用して、澱粉、酸化澱粉などの各種澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を主成分とする塗布液(表面処理液)を原紙上に塗布(サイズプレス)することをいい、本発明のMFCをクリア塗工層中に含有してもよい。
(4)特性
本発明の紙は、JIS P8111に従って23℃、50±2%条件下で調湿した後の紙の含水率が10重量%以下であることが好ましい。MFCは保水率が比較的高いので製紙工程において脱水や乾燥が困難になることがある。しかしMFCの量および変性基の量を調整して紙の含水率を前記範囲とすることで、製紙工程において脱水性や乾燥性を良好にすることができるので好ましい。また、当該含水率が10重量%以下である紙は十分な強度を有する。当該含水率が10重量%より高いと、パルプのセルロース繊維間に存在する水素結合が水によって妨げられ、紙の強度、特にこわさが低下する恐れがある。この観点から、当該含水率の下限値は限定されないが4重量%以上であることが好ましい。
本発明の紙は、繊維径が比較的高くかつフィブリル化率が高いMFCを含むので、優れた強度に加え、優れた透気抵抗度を有する。この理由は明らかではないが、MFCを含有する層内において、MFC同士が強固なネットワークを形成することにより、上記の特性が発現すると考えられる。
4.紙の製造方法
本発明の紙は、セルロース原料を湿式粉砕して本発明のMFCを調製する工程1、および当該MFCを紙に含有させる工程2を備える方法で製造されることが好ましい。工程1はすでに述べたとおりである。工程2は、前記MFCを含む紙料を調製してこれを抄紙することで実施できる。紙料は公知の方法に準じて調製できる。例えばパルプを離解して得たスラリーに、MFC、填料、必要に応じて添加剤を添加して調製できる。また、工程2は、前記MFCを含むクリア塗工層または顔料塗工層を調製して、これを原紙上に塗工することで実施することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。評価は以下のとおり行った。
坪量:JIS P 8223:2006を参考とした。
紙厚および密度:JIS P 8118:2014に従った。
灰分:JIS P 8251:2003に従った。
透気抵抗度:JIS P8117:2009に従い、王研式平滑度・透気度試験機により測定した。
裂断長:JIS P 8113:1998に従った。
引張強度:JIS P8113:1998に従った。
破断伸び:JIS P 8113:1998に従った。
引張エネルギー吸収量(TEA)):JIS P 8113:1998に従った。
引張こわさ:ISO/DIS 1924-3に規定された方法で測定した。
ISO曲げこわさ:ISO 2493に従った。
平均繊維長、フィブリルエリア等:MFC濃度が0.25重量%であるMFCの分散液を用い、フラクショネータによって定法に従い平均繊維長、平均繊維径、平均微細繊維率(フィブリルエリア)、FineA(繊維径<75μm、繊維長<0.2mmの繊維の面積%)を測定した。測定時の分散液のpHは約7であった。
[実施例1]
定法に従いLBKP(日本製紙株式会社製)をカルボキシメチル化処理し、DS 0.24、結晶化度70%のカルボキシメチル化(CM化)パルプを製造した。得られたCM化パルプを水に分散し30重量%の分散液とし、平均繊維長が0.51mm、フィブリルエリアが2.7%となるようにリファイナーで処理した。
次いで、当該MFCを含有する紙を製造した。具体的には、96重量%のLBKP(日本製紙株式会社製)、4重量%の当該MFCを混合して混合パルプとした。当該混合パルプの合計量に対し、0.9重量%の硫酸バンド、0.3重量%のカチオン化澱粉、0.06重量%のポリアクリルアミド、0.01重量%の歩留り剤を添加して固形分濃度0.35重量%のパルプスラリーを調製した。得られたパルプスラリーを用いて目標坪量50g/mの手抄きシートを製造して評価した。手抄きは、JIS P 8222に従って実施した。
[実施例2]
表1に示すフィブリルエリアおよび平均繊維長を達成できるようにリファイナー処理条件を変更してMFCを製造した。得られたMFCを用いて実施例1と同様にして紙を製造し、評価した。
[実施例3]
表1に示すフィブリルエリアおよび平均繊維長を達成できるようにリファイナー処理条件を変更してMFCを製造した。得られたMFCを用いて実施例1と同様にして紙を製造し、評価した。
[比較例1]
MFC用いなかった以外は実施例1と同様にして紙を製造し、評価した。
Figure 0007412899000001
表1から、フィブリルエリアが高くかつ平均繊維長が長いMFCを配合した紙は優れたこわさと透気抵抗度を有することが明らかである。
[実施例4]
雑誌古紙を水に分散し4.5重量%の分散液を得た。当該分散液のpHは6.7であった。2700gの分散液に対して2.7gのセルラーゼ系薬品(Meiji Seikaファルマ社製、メイセラーゼ(登録商標))を添加し、45℃で30分間撹拌してセルラーゼ処理を行った。次いで、当該分散液を85℃で15分間加熱し、失活処理を行った。失活処理後の分散液をリファイナーで処理し、MFCを製造した。得られたMFCの評価結果を表2に示した。
[実施例5]
雑誌古紙の代わりに段ボール古紙を用いた以外は、実施例4と同じ方法でMFCを製造して評価した。
[実施例6、7]
セルラーゼ処理を実施しない以外は、実施例4、5とそれぞれ同じ方法でMFCを製造して評価した。これらの結果を表2に示した。
Figure 0007412899000002

Claims (5)

  1. 繊維分析装置で測定した平均繊維長が0.2mm以上1.1mm以下、フィブリルエリアが1.5%以上である、カルボキシメチル化ミクロフィブリルセルロース繊維と、パルプを含有する紙であって、
    前記パルプ100重量部に対し、前記カルボキシメチル化ミクロフィブリルセルロース繊維を1×10 -4 ~10重量部の範囲で含む、紙
  2. 前記カルボキシメチル化ミクロフィブリルセルロース繊維のセルロースI型結晶化度が40%以上である請求項1に記載の
  3. 前記カルボキシメチル化ミクロフィブリルセルロース繊維のカルボキシメチル置換度が0.1~0.3である請求項1または2に記載の
  4. 前記フィブリルエリアが1.8~2.7%である請求項1~3のいずれかに記載の
  5. カルボキシメチル化されたセルロース系原料を湿式粉砕して請求項1に記載のミクロフィブリルセルロース繊維を調製する工程、および
    パルプ100重量部に対し、前記ミクロフィブリルセルロース繊維を1×10 -4 ~10重量部の範囲で紙に含有させる工程、
    を備える、紙の製造方法。
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