JP7406312B2 - 水解紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水解紙及びその製造方法に関するものである。
従来より使用後の紙類を水に流せる、いわゆる水解紙については、いくつか提案されている。例えば、トイレットペーパーやトイレクリーナー、ウェットティッシュ、清掃用使い捨てシート等の紙類については、使用後、水に流せるものが提案され、現に普及している。これらの紙類は、下水配管内に詰まらないように水解性を有することが求められる。
一方で、これらの紙類は、乾いた状態下では、汚れをふき取ったり対象物を磨いたりする等の使用目的を達成するため強度物性、例えば、引張強さに優れることが求められる。
また、環境保全の観点からは、これらの紙類の原料として、プラスチック(樹脂)繊維を用いるのは望ましくなく、天然由来、例えば、植物由来の繊維を用いるのが好ましい。
紙の強度を向上させる手法としては、セルロース繊維のヒドロキシル基をリン酸基に置換し、アルミニウムイオンを結合させる手法や、パルプをフィブリル化、微細化し、繊維相互の結合をより強固にする手法、紙力増強剤(例えば、でんぷん系増強剤、ポリアクリルアミド系増強剤)を内添させる手法が挙げられる(特許文献1、2)。しかしながら、これらの手法で引張物性が向上された紙は必ずしも水解性に優れるものではない。
特許文献3は、水解紙に関するものであって、水解紙の主成分に木材パルプ繊維を使用しているが、縮物由来ではないプラスチック繊維、具体的にはポリプロピレン等の熱接着性合成繊維も使用している点で、自然環境保全の観点に欠ける。
特開2015-200033号公報 特開2016-166444号公報 特開2006-2296号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、乾燥時には引張強さに優れるものでありながら、かつ、水に浸けると水解性に優れる、自然環境保全に配慮した水解紙及びその製造方法を提供することにある。
(第1の態様)
植物由来パルプを主成分とする水解紙であって、
前記植物由来パルプは、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプを有する、
ことを特徴とする水解紙。
水解紙についてはおおむね次記のように考えられている。水解紙を形成するパルプ繊維は、相互にそのパルプ繊維を組成するヒドロキシル基やオキソ酸により水素結合している。そして、水素結合によりパルプ繊維が相互に結合されて水解紙の形態となる。すなわち、この結合力が水解紙を形成する一因とされる。
ところで、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプにおける亜リン酸エステル基もまた、酸素原子を有する。この酸素原子は分極しているので、この亜リン酸エステル基が備わる置換パルプ繊維も相互に水素結合する。結果、水素結合により同パルプを主成分とする水解紙は、乾燥時に所定の引張強さを有することになる。
一方、この水解紙を水浸させると、亜リン酸エステル基に水分子が付加され、パルプ繊維と亜リン酸エステル基とが加水分解され易くなる。そのため、水素結合が弱まり、パルプがバラバラになって、水中に遊離することになる。この機序を踏まえ、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプを主成分とする水解紙を水浸させると、水解紙が水に解けることを発明者等は知見した。
また、本発明の水解紙において、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプ繊維相互が亜リン酸エステル基を介して架橋されるものと考えられる。すなわち、亜リン酸エステル基の架橋により、同パルプ繊維相互が所定の結合力で結合され、所望の引張強さを備えたものとなると推測される。
なお、水解紙に、プラスチック樹脂繊維を使用せず、植物由来パルプを使用すると、水解したパルプ繊維が自然環境に対して低負荷であり好ましい。
(第2の態様)
第1の態様に加え、
前記置換パルプは、ヒドロキシル基の少なくとも一部が亜リン酸エステルに置換されたパルプである、
態様を挙げることができる。
理由は定かではないが、ヒドロキシル基の少なくとも一部が亜リン酸エステルに置換された置換パルプの繊維は、相互に亜リン酸エステル基を介して結合されていると考えられる。また、パルプ繊維相互における、ヒドロキシル基による結合力よりも亜リン酸エステル基による結合力が強いため、乾燥時における引張強さが相対的に大きなものとなると推定される。
(第3の態様)
第1の態様に加え、
前記植物由来パルプは、前記置換パルプ1.0質量%以上を有する、
態様を挙げることができる。
亜リン酸エステル基が備わる置換パルプ1.0質量%以上を有すると、水解紙の引張強さが相対的に大きいものとなる。
(第4の態様)
第2の態様に加え、
前記置換パルプにおける、亜リン酸エステル導入量が1.0mmоl/g以上である、
態様を挙げることができる。
この導入量以上とすることで、亜リン酸エステル基を介した結合がより強固になると推定される。
(第5の態様)
第1の態様に加え、
比引張強さが3.0Nm/g以上である、
態様を挙げることができる。
この引張強さ以上とすることで、乾燥状態で使用する際、破けにくい、という効果を有する。
(第6の態様)
第1の態様に加え、
前記水解紙は、衛生紙、紙管、機密情報印刷用紙、紙袋、及び農業用紙マルチシートのうちのいずれか一つである、
態様を挙げることができる。
トイレなどに流すことができ、固形ごみの減量化を図ることができる。また、土壌中の水分、雨などによりシート形状を崩壊させ、土壌中の微生物によるセルロースの分解促進を図ることができる。
(第7の態様)
第1植物由来パルプを主成分とする水解紙の製造方法であって、
前記第1植物由来パルプと亜リン酸化合物とを反応させて、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプを生成する生成工程を備え、この置換パルプを抄紙工程に送る、
ことを特徴とする水解紙の製造方法。
この方法により、亜リン酸エステル基を備えた水解紙が製造される。
(第8の態様)
第7の態様に加え、
前記置換パルプと第2植物由来パルプとを混合して混合パルプを得る混合工程を備え、この混合パルプを抄紙工程に送る、
態様を挙げることができる。
第2植物由来パルプを混合することで、濾水性の向上が図られる。
(第9の態様)
第8の態様に加え、
前記置換パルプと前記第2植物由来パルプとの混合比が、1:99~100:0である、
態様を挙げることができる。
この範囲とすると、濾水性と水解性が適度に良い水解紙となる。
(第10の態様)
第7の態様に加え、
前記置換パルプは、亜リン酸エステル基が1.0mmоl/g以上導入されたものである、
置換パルプに亜リン酸エステルを1.0mmоl/g以上導入することで、引張強さと水解性の向上が図られる。
本発明によると、乾燥時では引張強さに優れるものでありながら、かつ、水に浸けると水解性に優れる、植物由来の水解紙及びその製造方法となる。
工程図である。 水解性試験の結果を表す図である。
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
本形態の水解紙は、植物由来パルプを主成分とするものであり、この植物由来パルプには、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプ(置換パルプともいう。)が含まれる。ここで、「植物由来パルプを主成分とする」とは、本形態の水解紙が、植物由来パルプのみを成分とする、ということを含む概念である。
通常のパルプ繊維から湿式抄造された紙は、この紙を構成するセルロース繊維のほとんどが水素結合によって相互に固定されており、例えば、トイレの水洗程度の化学的せん断力を与えても水に解け難い(水解し難い)。従来水解性を備えた紙とする手法としては、パルプ繊維と合成繊維とを組み合わせる手法や、分散剤、粘剤、紙力増強剤、発泡抑制剤等の抄紙助剤を組み合わせて、水素結合を阻害する手法、カルボキシメチルセルロース繊維とこのカルボキシメチルセルロース繊維を紙料中の繊維分子に定着させる定着剤を配合して紙料を調整し、抄紙する手法を一例として挙げることができる。水解性を向上させる手法として、分散剤や、粘剤、紙力増強剤、発泡抑制剤等の化学薬品を使用することもあるが、化学薬品ゆえ、環境負荷のリスクを高めることになりかねない。また、石油由来の合成繊維の使用は、近年の脱プラスチック問題等の環境ニーズ上、好ましくない。
ところで、フィブリル化や微細化された繊維は、繊維間結合が強く、乾燥強度も大きいものとなる。一方で、フィブリル化や微細化された繊維の保水力は高いため抄紙時の脱水性(濾水性)がよくない。また、紙力剤の大量使用は抄紙系内の汚れや発泡の原因となる場合があり、濾水性の悪化となるおそれがある。
これらを鑑みて本発明の水解紙は、植物由来のパルプ繊維で構成され、抄紙助剤や定着剤をほとんど添加せずに製造されるものである。また、繊維の微細化をほとんどしない又はしないので微細化するエネルギー負荷を抑制できる。また、本発明の、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプは、ほぼ中性(pH6~8)のpHで抄紙できるので、中和などのpH調整をせずに済む。さらに、第1植物由来パルプに亜リン酸エステル基を導入して生成されたパルプである、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプ(以下、単に「置換パルプ」ともいう。)と、第2植物由来パルプ(未置換パルプともいう。)との混合割合を調節することで所望の水解性及び引張強さを達成できる。
(植物由来パルプ)
本形態の水解紙は、植物由来パルプを主成分とするものである。植物由来パルプとしては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ・バガス・綿・麻・じん皮繊維等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。なお、以上の各種原料は、例えば、セルロース系パウダーなどと言われる粉砕物(粉状物)の状態等であってもよい。
ただし、不純物の混入を可及的に避ける場合は、木材パルプを使用するのが好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
広葉樹クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプであっても、広葉樹未晒クラフトパルプであっても、広葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。同様に、針葉樹クラフトパルプは、針葉樹晒クラフトパルプであっても、針葉樹未晒クラフトパルプであっても、針葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、漂白サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
前述のパルプから1種又は2種以上を選択して使用することで、嵩密度、物性を調節することができる。
例えば、前述のパルプから1種又は2種以上を選択して、その選択されたパルプを、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプとして用いることができる。
また、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプと、第2植物由来パルプは、相互に同一のパルプを用いてよいし、異なるパルプを用いてもよい。
置換パルプに備わる亜リン酸エステル基は、水素結合力により、乾燥時における水解紙の強度を向上させる役割を有する。
本発明の水解紙の主成分である植物由来パルプのうち、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプを0.1質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上有するとよい。1.0質量%未満だと水解性が不十分となるおそれがある。
亜リン酸エステル化に用いるパルプの平均繊維径(平均繊維幅。単繊維の直径平均。)は、好ましくは0.1~1000μm、より好ましくは0.1~500μm、特に好ましくは0.1~50μmである。パルプの平均繊維径が以上の範囲内であれば、パルプの比表面積が相対的に大きく、亜リン酸エステル化する際の化学反応が促進される。また、このパルプから製造される水解紙の引張強さも向上する。
パルプの平均繊維径は、例えば、原料パルプの選定、軽い解繊等によって調整することができる。
パルプの平均繊維径の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%のパルプの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて100倍~1000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。あるいは、バルメット社製の繊維分析計「FS5」を使用し、平均繊維径を測定することができる。
亜リン酸エステル化に用いるパルプの平均繊維長は、好ましくは1~100,000μm、より好ましくは1~10,000μm、特に好ましくは1~5,000μmである。パルプの平均繊維長が以上の範囲内であれば、製造される水解紙は、引張強さが向上されたものとなる。
パルプの平均繊維長は、例えば、原料パルプの選定、軽い解繊等によって調整することができる。
パルプの平均繊維長の測定方法は、平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測するか、あるいは、バルメット社製の繊維分析計「FS5」を使用し、平均繊維長を測定する。
(エステル化)
セルロース繊維(パルプ繊維)のヒドロキシル基の少なくとも一部(この少なくとも一部には、全部も、もちろん含まれる。)と亜リン酸とが反応すると次記構造式(1)に示す官能基で置換された繊維が生成する。なお、セルロース繊維におけるヒドロキシル基の亜リン酸エステル化は、公知の手法で適宜行うことができる。
Figure 0007406312000001
構造式中、α及びα´は、なし、R、及びNHRのいずれかである。Rは、例えば、水素原子、窒素原子、炭素水素基(例えば、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基などから1種又は2種以上選ばれるもの)であったり、またこれら2種以上の組み合わせからなるものである。
パルプ繊維相互における亜リン酸エステル基を介した結合は、次のように推定される。亜リン酸エステルはリン酸原子にヒドロキシル基(-OH)やオキソ酸(=O)が結合している([化1]ではオキソ酸が結合している。)。リン酸原子に隣接するヒドロキシル基(-OH)やオキソ酸(=O)の酸素原子はマイナスに分極(-δ)される傾向にある。セルロース繊維には水素原子(―H)が存在し、亜リン酸エステルにおけるヒドロキシル基(-OH)やオキソ酸(=O)等のマイナスに分極されたO原子と、この水素原子(―H)と、が水素結合すると考えられる。換言すると、置換パルプにおける亜リン酸エステル基の酸素原子と、他のパルプに備わる水素原子とが水素結合する。結果、置換パルプと他のパルプ(置換パルプであっても未置換パルプであってもよい)とが亜リン酸エステル基を介して結合されていると推定される。
亜リン酸エステル基が備わる置換パルプにおける、亜リン酸エステル導入量が0.1mmоl/g以上、好ましくは1.0mmоl/g以上、より好ましくは1.5mmоl/g以上含まれる形態は好ましい。亜リン酸エステル導入量がこの範囲より小さいと、水解紙が水解性に乏しいものとなる。
亜リン酸エステルの導入量は、適宜公知の手法で測定可能であるが、例えば、元素分析に基づき測定することができる。元素分析には堀場製作所製X-Max50001を使用することができる。
構造式(1)で示す官能基の置換度(DS)は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上である。置換度が0.01未満であると、水解性に乏しいものとなるおそれがある。
なお、置換度とは、セルロース中の一グルコース単位に対する官能基(構造式(1)で
示すエステル基)の平均置換数をいう。置換度は、反応速度論のパラメータである、反応温度や反応時間の影響を受ける。例えば、反応温度や反応時間を制御することで所望の置換度とすることができる。
(水解紙)
水解紙は、1枚の原紙シートで構成されてもよいが。複数枚(例えば、2~3枚)の原紙シートがプライ(積層)加工されたものであってもよい。原紙シートの目付量は5~1000g/mとするとよい。目付量はJIS P8124に準拠して測定したものである。
使用済みの原紙シートは、トイレや排水溝に廃棄して流せるように水解性繊維の集合体で構成されている。水解性繊維の集合体は、水に流せるものであれば特に限定されず使用でき、単層、複数層を好適に使用できる。また、原紙シートは、破砕したパルプからなるシートや、粉砕パルプを水解紙で覆ったり、挟み込んだりしたシートであってもよい。
パルプ繊維の亜リン酸エステル化は公知の手法で行うことができる。一例を次記に示す。まず、溶媒として、水及び有機溶剤の少なくともいずれか一方を使用するとよい。特に水は、取り扱いが容易であり好適である。有機溶剤は、亜リン酸エステル化反応の効率性に優れ、適宜用いることができる。有機溶剤の例としては、エタノールやイソプロパノール、アセトン、酢酸エチル等がある。
(亜リン酸化合物)
パルプ繊維を亜リン酸エステル化するためのリン酸に、公知の、亜リン酸、亜リン酸化合物(例えば、亜リン酸類や亜リン酸金属塩類)を適宜使用できる。例えば、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素アンモニウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等を使用することができる。
これらの亜リン酸、亜リン酸類又は亜リン酸金属塩類は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。これら亜リン酸化合物の中でも、pH6~8の範囲で十分な反応が促進される亜リン酸化合物が好ましい。特に、亜リン酸水素ナトリウムを使用するのと好適である。一部の遷移金属からなる亜リン酸金属塩類は、繊維を亜リン酸エステル化する際、pHを中性領域(6~8)よりも酸性側(6未満)に保つ必要が生じる場合がある。
(尿素)
繊維を亜リン酸エステル化する際、前述のとおり尿素や尿素誘導体を添加するのも好ましい。添加する尿素としては、尿素や尿素誘導体等公知のものを適宜添加できる。例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素等を使用することができる。これらの尿素や尿素誘導体は、それぞれを単独使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。特に尿素を使用すると好適である。
尿素や尿素誘導体は、加熱されると、下記の反応式(2)に示すようにイソシアン酸とアンモニアに分解される。イソシアン酸は反応性が高く、下記の反応式(3)に示すようにセルロースの水酸基及びカルバメートを形成する。
NH-CO-NH → HN=C=O+NH ・・・(2)
(繊維)-OH + H-N=C=O → (繊維)-O-C-NH ・・・(3)
反応式(3)の生成物と亜リン酸化合物との存在により、亜リン酸エステル化反応が促進される。
(水解紙の製造方法)
本発明の水解紙の製造工程の一例を要すれば次のとおりである。
(1)パルプを亜リン酸エステル化して置換パルプとする置換工程10
(2)置換パルプと未置換パルプとを混合して混合パルプとする混合工程20
(3)回転するワイヤに混合パルプ(紙料)を噴出させて湿紙を形成するワイヤ工程
(4)回転するフェルトで湿紙を運び、圧力を掛けて脱水するプレス工程
(5)脱水した湿紙を、熱をかけて乾燥させるドライ工程
なお、上記、ワイヤ工程からドライ工程までの一連の工程をまとめて抄紙工程30ともいう。
水解紙の製造については、端的には以下のとおりに行うことができる。
溶媒100質量%に、亜リン酸塩Pが4.5~9.5質量%、尿素Uが16.5~33.5質量%含まれるように混合して混合溶液とする。尿素の添加率が4.5質量%未満であると、繊維に亜リン酸エステル基が十分に導入されないおそれがある。他方、尿素の添加率が33.5質量%を超えても、尿素の添加によるそれ以上の効果は見込めないおそれがある。
この混合溶液と原料パルプS1(第1植物由来パルプ)とが質量比で100:1~100:50となるように混合攪拌する。原料パルプの比率が、この範囲より少ないと、置換パルプの単位時間当たりの製造量が少なく非効率であり、この範囲より多いと、混合しにくい。混合攪拌をする時の反応温度は100~180℃とするとよい。反応温度が、この範囲より低いと、反応速度が十分ではなく生成物の生成効率が低く、この範囲より高いと置換パルプが変色(黄色)しやすくなり白色度低下などのおそれがある。この混合攪拌をすることで得られた反応生成物を水洗及び濾過して、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプが得られる。
次に、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプと、第2植物由来パルプS2とを混合して、混合パルプ(紙料)を得て、この紙料が、ワイヤパート上に均一に噴出されて湿紙とされ、ロール等による加圧(プレス)を受け湿紙に含まれる水分が濾水される。濾水された湿紙に熱を加えて乾燥させ、水解紙が得られる。なお、置換パルプと第2植物由来パルプとを混合せずに、置換パルプのみを紙料として、湿紙を形成してもよい。
プレスにおいて湿紙を十分にプレスすることで、水解紙を高密度化することができ、また、水解紙の表面性を向上させることができる。湿紙の乾燥には、例えば、ヤンキードライヤー、シリンダードライヤー、スルードライヤー、オーブン等の乾燥装置を使用することができる。乾燥の後、例えば、マシンカレンダーやスーパーカレンダー等を使用して更に高強度化することもできる。また、クレーピング処理を行う事も可能である。
(嵩密度)
水解紙の嵩密度は、0.1~1.0g/cm、好ましくは0.1~0.8g/cm、とするとよい。この範囲よりも低いと、乾燥時に所望の強度が保てず破けやすい。また、この範囲よりも高いと、水に浸したとき水解性に乏しいものとなる。
(坪量)
水解紙の坪量は、5~1000g/m、好ましくは5~500g/m、この範囲であれば、乾燥時に所望の強度が保て、また、水に浸したとき水解性に優れたものとなる。
(比引張強さ)
水解紙の比引張強さは、3Nm/g以上、好ましくは4Nm/g以上、より好ましくは5Nm/g以上とするとよい。3Nm/g未満だと、乾燥した状態で水解紙を使用するときに裂けやすい。
<引張強さ試験>
(実施例1~6)
(1)亜リン酸水素ナトリウム・5水和物6.0gと尿素22.0gとを水72gに混合させ混合溶液100gを調整した。
(2)原料パルプ(NBKP、水分98.0質量%)乾燥重量10gを、(1)の混合溶液100gに十分に混合させ105℃で乾燥させて乾燥物を得た。
(3)乾燥物を130℃、2時間反応させ、その後、その反応生成物に対して、水洗とそれに続くろ過を2回行い、無機分からなる陽イオンを含む亜リン酸エステルが導入されたセルロース繊維すなわち、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプ(置換パルプともいう。)を得た。この得られた置換パルプを実施例1~6の原料パルプとした。
(実施例7、8)
(4)亜リン酸水素ナトリウム・5水和物6.0gと尿素22.0gとを水72gに混合させ混合溶液100gを調整した。
(5)原料パルプ(NBKP、水分98.0質量%)乾燥重量10gを、(4)の混合溶液100gに十分に混合させ105℃で乾燥させて乾燥物を得た。
(6)乾燥物を140℃、2時間反応させた以外は、上記(3)と同様の操作を行い、置換パルプを得た。この得られた置換パルプを実施例7、8の原料パルプとした。
(7)上記(1)~(6)とは別に、第2植物由来パルプ(未置換パルプ(NBKP、水分98.0質量%))とマイクロフィブリルセルロース(MFC)を用意した。マイクロフィブリルセルロースについては、後述する。なお、第2植物由来パルプは、平均繊維幅10μm以下、平均繊維長10000μm以下であるものを用いた。
前述の置換パルプと第2植物由来パルプとMFCとの混合割合を表1に示すように変化させて混合し、固定分濃度0.6%となるように水で希釈し、角型シートマシーン(熊谷理機工業株式会社製の自動クーチング装置付き)でシート坪量60g/mになるようにパルプシートを作製した。このパルプシートを作製する際、脱水時間と、濾水時間の測定を行った。この後脱水及び濾水されたパルプシートを乾燥させ乾燥シートを得て、この乾燥シートについて紙重量当たりの引張強さを算出した。引張強さの測定は、JIS P8113:2006に準拠して行った。
結果を表1に示す。
Figure 0007406312000002
(考察)
未置換パルプのみ、又は未置換パルプとMFCとの混合物から作製された乾燥シートよりも、置換パルプを含有して作製された乾燥シートの方が、比引張強さの向上が認められた。
<水解性試験>
実施例1で得られた乾燥シート2gを、水100g入ったビーカーに入れ、スターラーで300rpm、30秒の条件で攪拌した。この水解性試験の操作を実施例2~8、比較例1~4についても同様に行った。
水解性試験の評価については、次記のとおりに行った。
乾燥シートが完全に水解しているもの:◎
乾燥シートの未水解部分がやや残るもの:〇
乾燥シートの未水解部分が多いもの:△
乾燥シートが水解していないもの:×
水解性試験の結果の一部を図2に示す。
図中、(1)が実施例1、(2)が実施例2、(3)が実施例3、(4)が実施例4、(5)が実施例5、(6)が比較例1である。
(考察)
置換パルプの混合割合が大きいほど、水解性の向上が認められた。
(マイクロフィブリルセルロース)
前述の実施例に使用したマイクロフィブリルセルロースについて、次記に説明する。
マイクロフィブリルセルロースは、パルプ間に分散し易く三次元ネットワークを構築し易い。マイクロフィブリルセルロースは、水解紙の強度を向上する役割を有する。マイクロフィブリルセルロースは、原料パルプを解繊(微細化)することで得ることができる。
原料パルプは、解繊するに先立って化学的手法によって前処理することもできる。化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)等を例示することができる。
解繊に先立ってアルカリ処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの水酸基が一部解離し、分子がアニオン化することで分子内及び分子間水素結合が弱まり、解繊におけるセルロース繊維の分散が促進される。
アルカリ処理に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の有機アルカリ等を使用することができる。ただし、製造コストの観点からは、水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
解繊に先立って酵素処理や酸処理、酸化処理を施すと、マイクロフィブリルセルロースの保水度を低く、結晶化度を高くすることができ、かつ均質性を高くすることができる。この点、マイクロフィブリルセルロースの保水度が低いと脱水し易くなり、セルロース繊維スラリーの脱水性が向上する。
原料パルプを酵素処理や酸処理、酸化処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解される。結果、微細化処理のエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均一性や分散性を向上することができる。ただし、前処理は、マイクロフィブリルセルロースのアスペクト比を低下させるため、過度の前処理を避けるのが好ましい。
原料パルプの解繊は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー、ジェットミル等を使用して原料パルプを叩解することによって行うことができる。ただし、リファイナーやジェットミルを使用して行うのが好ましい。
原料パルプの解繊は、得られるマイクロフィブリルセルロースの平均繊維径、平均繊維長、保水度、結晶化度、パルプ粘度が、以下に示すような所望の値又は評価となるように行うのが好ましい。
マイクロフィブリルセルロースの平均繊維径は、例えば0.1~15μm、好ましくは0.5~10μm、より好ましくは1~5μmである。
マイクロフィブリルセルロースの平均繊維径が0.1μmを下回ると、マイクロフィブリルセルロースであるのと変わらなくなり、強度(特に曲げ弾性率)向上効果が十分に得られなくなる。また、解繊時間が長くなり、大きなエネルギーが必要になる。さらに、セルロース繊維スラリーの脱水性が悪化する。脱水性が悪化すると、分散剤と混合した後に乾燥する場合において、当該乾燥に大きなエネルギーが必要になり、乾燥に大きなエネルギーをかけるとマイクロフィブリルセルロースが熱劣化して、強度が低下するおそれがある。他方、マイクロフィブリルセルロースの平均繊維径が15μmを上回ると、パルプであるのと変わらなくなり、補強効果が十分でなくなるおそれがある。
マイクロフィブリルセルロースの平均繊維径は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
マイクロフィブリルセルロースの平均繊維径の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%のマイクロフィブリルセルロースの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍~30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とするか、あるいは、バルメット社製の繊維分析計「FS5」を使用し、平均繊維径を測定する。
マイクロフィブリルセルロースは、原料パルプを解繊(微細化)することで得ることができる。原料パルプとしては、前述した公知のパルプを使用することができる。
マイクロフィブリルセルロースは原料パルプを解繊することで得られるが、解繊に先立って前処理をしてもよい。解繊は、例えば、平均繊維径が0.1μm以上に留まる範囲で行う必要がある。
マイクロフィブリルセルロースの平均繊維長(単繊維の長さの平均)は、好ましくは0.02~3.0mm、より好ましくは0.05~2.0mm、特に好ましくは0.1~1.5mmである。平均繊維長が0.02mm未満であると、抄紙工程でのパルプ繊維の歩留り性が悪化し、生産性が劣るおそれがある。
平均繊維長は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等で任意に調整可能である。
マイクロフィブリルセルロースの繊維長は、0.2mm以下の割合が50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、70%以上であるのが特に好ましい。当該割合が50%未満であると、微細繊維の生成が不十分となり、紙質の補強効果が十分に得られない可能性がある。
マイクロフィブリルセルロースの平均繊維長の測定方法は、バルメット社製の繊維分析計「FS5」を使用し、平均繊維長を測定する。
マイクロフィブリルセルロースのアスペクト比は、好ましくは2~5,000、より好ましくは100~1,000である。アスペクト比とは、平均繊維長を平均繊維幅で除した値である。アスペクト比が大きいほど、繊維間のネットワークを形成しやすく強度は向上しやすい。
マイクロフィブリルセルロースのフィブリル化率は、好ましくは1.0~30.0%、より好ましくは1.5~20.0%、特に好ましくは2.0~15.0%である。フィブリル化率が30.0%を超えると、水との接触面積が広くなり過ぎるため、たとえ平均繊維幅が0.1μm以上に留まる範囲で解繊できたとしても、脱水が困難になる可能性がある。他方、フィブリル化率が1.0%未満では、フィブリル同士の水素結合が少なく、強硬な三次元ネットワークを形成することができなくなるおそれがある。
マイクロフィブリルセルロースの結晶化度は、50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましい。結晶化度が50%未満であると、パルプやマイクロフィブリルセルロースとの混合性は向上するものの、繊維自体の強度が低下するため、強度を担保することができなくなるおそれがある。
マイクロフィブリルセルロースの結晶化度は、例えば、原料パルプの選定、前処理、微細化処理で任意に調整可能である。
マイクロフィブリルセルロースの結晶化度は、JIS K 0131(1996)に準拠して測定した値である。
解繊して得られたマイクロフィブリルセルロースは、必要により、他のセルロース繊維と混合するに先立って水系媒体中に分散して分散液としておくことができる。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましい(水溶液)。ただし、水系媒体は、一部が水と相溶性を有する他の液体であってもよい。他の液体としては、例えば、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
(その他)
本発明では、原則的には製紙用助剤を使用しなくても所望の効果が達せられる。しかしながら、必要に応じて製紙用助剤を添加してもよい。例えば、乾燥紙力剤や湿潤紙力剤を内添させて、乾燥紙力、湿潤紙力等を所定の強度に調整することができる。しかしながら、環境保全の観点より発泡性の強いものや、強酸性又は強アルカリ性のものの使用は避けるべきである。乾燥紙力剤としてカチオン化デンプンやポリアクリルアミド系コポリマー、湿潤紙力剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリビニルアミンを例示できる。
亜リン酸エステル基が備わる置換パルプ、及び/又は亜リン酸エステル化されていないパルプは、公知の手法で適宜叩解処理することができる。叩解処理の一例として、リファイナーやビーターによる処理を挙げることができる。叩解された繊維は、フィブリル化(羽毛化)され、相互の絡み合いが増加し、紙力が強化される。しかしながら、繊維の過度のフィブリル化は、抄紙時の脱水性(濾水性)を悪化させる原因となる。
本発明の水解紙は、紙力増強剤が外添されたものとしてもよいし、公知の無機顔料、バインダーを含む塗工液を適宜コーティングしたものとしてもよい。
本実施形態に係る水解紙は例えば、、トイレットペーパー、トイレクリーナー、ウェットティッシュ、清掃用使い捨てシート等の衛生紙や、印刷用紙管、トイレットペーパー用紙管、機密情報印刷用紙、紙袋、農業用紙マルチシートに利用可能である。
本発明は、水解紙及びその製造方法として利用可能である。

Claims (9)

  1. 植物由来パルプを主成分とする水解紙であって、
    前記植物由来パルプは、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプを有するものであり、
    比引張強さが3.0Nm/g以上である、
    ことを特徴とする水解紙。
  2. 前記置換パルプは、ヒドロキシル基の少なくとも一部が亜リン酸エステルに置換されたパルプである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の水解紙。
  3. 前記植物由来パルプは、前記置換パルプを1.0質量%以上を有する、
    請求項1に記載の水解紙。
  4. 前記置換パルプにおける、亜リン酸エステル導入量が1.0mmоl/g以上である、
    請求項1に記載の水解紙。
  5. 前記水解紙は、衛生紙、紙管、機密情報印刷用紙、紙袋、及び農業用紙マルチシートのうちのいずれか一つである、
    請求項1に記載の水解紙。
  6. 第1植物由来パルプを主成分とする水解紙の製造方法であって、
    前記第1植物由来パルプと亜リン酸化合物とを反応させて、亜リン酸エステル基が備わる置換パルプを生成する生成工程を備え、この置換パルプを抄紙工程に送り、
    比引張強さが3.0Nm/g以上である水解紙を製造する、
    ことを特徴とする水解紙の製造方法。
  7. 前記置換パルプと第2植物由来パルプとを混合して混合パルプを得る混合工程を備え、この混合パルプを抄紙工程に送る、
    ことを特徴とする請求項6に記載の水解紙の製造方法。
  8. 前記置換パルプと前記第2植物由来パルプとの混合比が、1:99~100:0である、
    ことを特徴とする請求項7に記載の水解紙の製造方法。
  9. 前記置換パルプは、亜リン酸エステル基が1.0mmоl/g以上導入されたものである、
    ことを特徴とする請求項6に記載の水解紙の製造方法。

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