JP7335929B2 - セルロース繊維含有物の製造方法、反応セルロース繊維の製造方法、及び反応微細繊維の製造方法 - Google Patents

セルロース繊維含有物の製造方法、反応セルロース繊維の製造方法、及び反応微細繊維の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロース繊維含有物の製造方法、反応セルロース繊維の製造方法、及び反応微細繊維の製造方法に関するものである。
従来からセルロースナノファイバー、マイクロ繊維セルロース(ミクロフィブリル化セルロース)等の微細繊維が脚光を浴びており、近年では、繊維にアニオン性基を導入する等の反応をさせて特有の特性を有するセルロースナノファイバーの製造方法等も提案されている(特許文献1参照。)。
しかしながら、この文献の製造方法においては、セルロース繊維にアニオン性基等を導入するにあたり、セルロース繊維を水分散液の状態にしておく必要があり、大量生産に不向きである。
特開2021-75665号公報
本発明が解決しようとする課題は、大量生産可能なセルロース繊維含有物の製造方法、反応セルロース繊維の製造方法、及び反応微細繊維の製造方法を提供することにある。
まず、本発明者等は、反応セルロース繊維、反応微細繊維等を大量生産するには抄紙の技術分野におけるパルプシートを造り出す技術が利用可能ではないかとの発想に至り、数々の研究を重ね、本発明を想到するに至った。もっとも、抄紙の技術分野においてはパルプシート自体が目的物であるのに対し、本発明においてパルプシートは、その形態、ないしは形状を一時的に利用するに過ぎない。したがって、より好ましいとする発明においては、抄紙の技術をそのまま採用することはできない。そこで、本発明の研究過程において、独自に試行錯誤することになった。このような背景のもと、想到するに至ったのが下記に示す手段である。
(請求項1記載の発明)
反応薬を含むセルロース繊維から反応セルロース繊維を得、この反応セルロース繊維を解繊するにあたり、前記反応薬を含むセルロース繊維として使用されるセルロース繊維含有物の製造方法であり、
原料パルプを抄紙してJIS P 8140に準拠して測定したコッブサイズ度が10~600g/mである帯状のパルプシートにする抄紙工程と、
前記パルプシートに前記反応薬を塗工する塗工工程とを有する、
ことを特徴とするセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項2記載の発明)
前記抄紙工程及び前記塗工工程は、オンマシン内の連続的な工程として順に組み込まれ、かつ抄紙速度が300m/分以上である、
請求項1に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項3記載の発明)
前記原料パルプがNKP及びLKPであり、かつ前記NKPの配合割合が1~99質量%である、
請求項2に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項4記載の発明)
前記原料パルプのJIS P 8121-2に準拠して測定したフリーネスが200~700ccである、
請求項2又は請求項3に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項5記載の発明)
前記抄紙工程には、プレドライヤーパートが備わり、
前記プレドライヤーパートにおける乾燥温度が80~140℃である、
請求項2~4のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項6記載の発明)
前記抄紙工程には、ワイヤーパート、プレスパート、及びプレドライヤーパートが備わり、
前記プレドライヤーパートを経たパルプシートの水分率が0.1~10%である、
請求項2~5のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項7記載の発明)
前記塗工工程に進むパルプシートは、1層抄きで、かつJIS P 8124に準拠して測定した坪量が60~800g/mである、
請求項2~6のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項8記載の発明)
前記塗工工程に進むパルプシートは、比引張強さ(JIS P 8113に準拠して測定した引張強さ/坪量)が1~10000Nm/gである、
請求項2~7のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項9記載の発明)
前記塗工工程に進むパルプシートは、比湿潤紙力強さ(JIS P 8135に準拠して測定した湿潤紙力強さ/坪量)が0.1~5000Nm/gである、
請求項2~8のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法
(請求項10記載の発明)
前記塗工工程に進むパルプシートのJIS P 8122に準拠して測定したステキヒトサイズ度が0.1~100秒で、
前記塗工工程における塗工をブレード塗工及びサイズプレス塗工の少なくともいずれか一方で行う、
請求項1~9のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項11記載の発明)
前記反応薬が濃度20~50%の尿素又は尿素の誘導体の水溶液である、
請求項1~10のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項12記載の発明)
前記反応薬が粘度2000cps以下の尿素又は尿素の誘導体の水溶液である、
請求項1~11のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項13記載の発明)
セルロース繊維に対する尿素又は尿素の誘導体の水溶液の塗工質量比(固形分換算での尿素又は尿素の誘導体の質量/セルロース繊維の質量)が10~400kg/pt(パルプトン)である、
請求項11又は請求項12に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項14記載の発明)
前記塗工工程は、コーターパート及びアフタードライヤーパートを有し、
前記アフタードライヤーパートには複数段の熱風乾燥装置が備わり、この複数段の熱風乾燥装置は80~140℃の範囲で乾燥温度が順に高くなる、
請求項1~13のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項15記載の発明)
前記アフタードライヤーパートを経たパルプシートの水分率が10%以下である、
請求項14に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項16記載の発明)
前記アフタードライヤーパートを経たパルプシートの表面温度が30~95℃である、
請求項11又は請求項12に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
(請求項17記載の発明)
請求項1~16のいずれかに記載の製造方法によって得たセルロース繊維含有物を巻き取って巻取り原反とする巻取り工程と、
前記巻取り原反からパルプシートを引き出す引出し工程と、
この引き出したパルプシートを水分率10質量%以下となるように乾燥する乾燥工程と、
この乾燥工程に連続し、前記反応薬を前記セルロース繊維に反応させる反応工程と、
を有する、
ことを特徴とする反応セルロース繊維の製造方法。
(請求項18記載の発明)
請求項1~16のいずれかに記載の製造方法によって得たセルロース繊維含有物をオンマシン内の連続的な工程として組み込まれた反応工程に送り、この反応工程において前記反応薬を前記セルロース繊維に反応させる、
ことを特徴とする反応セルロース繊維の製造方法。
(請求項19記載の発明)
請求項17又は請求項18に記載の製造方法によって得た前記原料パルプのJIS P 8251に準拠して測定した灰分が20質量%以下である反応セルロース繊維を解繊する、
ことを特徴とする反応微細繊維の製造方法。
本発明によると、大量生産可能なセルロース繊維含有物の製造方法、反応セルロース繊維の製造方法、及び反応微細繊維の製造方法になる。
原料パルプから反応微細繊維を得るまでの工程の説明図である。
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
図1に示すように、本形態の製造方法は、原料パルプP1から「反応薬を含むセルロース繊維」として使用可能なセルロース繊維含有物P2を得るまでの工程X1と、この工程X1の後に反応薬をセルロース繊維に反応させて反応セルロース繊維P3を得るまでの工程X2と、この工程X2の後に反応セルロース繊維P3を解繊して反応微細繊維P4を得るまでの工程X3とに主に区分することができる。
また、セルロース繊維含有物P2を得るまでの工程X1は、原料パルプP1を抄紙して帯状のパルプシートにする抄紙工程100と、パルプシートに反応薬を塗工する塗工工程200とに主に区分することができる。以下、順に説明する。
(原料パルプ)
原料パルプP1としては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ・バガス・綿・麻・じん皮繊維等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ただし、不純物の混入を可及的に避けるために、原料パルプP1としては、木材パルプを使用するのが好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
広葉樹クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプであっても、広葉樹未晒クラフトパルプであっても、広葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。同様に、針葉樹クラフトパルプは、針葉樹晒クラフトパルプであっても、針葉樹未晒クラフトパルプであっても、針葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。
ただし、NKP(好適には、NBKP。)及びLKP(好適には、LBKP。)を併用するのが好ましい。この点、NKPはセルロース繊維が太く長いため、セルロース繊維含有物の強度が向上するが、地合いが悪化する。他方、LKPはセルロース繊維が細く短いため、抄紙した際にパルプシートの強度は低下するが、地合いが改善される。このような特性から、NKP及びLKPを併用する場合、NKPの配合割合は、好ましくは1~99質量%、より好ましくは5~95質量%、特に好ましくは10~90質量%である。NKPの配合割合が1質量%を下回ると、引張強さや引裂強度さの不足が原因と考えられる断紙が抄紙工程や塗工工程において発生する可能性がある。他方、NKPの配合割合が99質量%を上回ると、つまり、LKPの配合割合が1質量%を下回ると、例えば、樹脂の補強効果等の特性が十分に得られない可能性がある。
一方、機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、漂白サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
原料パルプP1のJIS P 8121-2に準拠して測定したフリーネスは、好ましくは200~700cc、より好ましくは250~650cc、特に好ましくは300~600ccである。フリーネスが200cc未満であると、後述するワイヤーパートでの脱水性が悪く、抄紙速度を上げられない可能性がある。他方、フリーネスが700ccを超えると、地合いが悪く、後段の塗工工程で断紙する可能性がある。
原料パルプP1には、必要によりサイズ剤を内添及び/又は外添し、ステキヒトサイズ度(JIS P 8122)やコッブサイズ度(JIS P 8140)を調整するのが好ましい。この点、ステキヒトサイズ度は、薬液がパルプシートに浸透し呈色するまでに要する時間を測定する試験で、数値が低いほど浸透性が高い。一方、コッブサイズ度は、パルプシートの片面が一定時間、水に接触する場合の吸水量(質量)を計測する試験で、数値が高いほど吸水性が高い。したがって、サイズ剤を含んでいる場合とサイズ剤を含んでいない場合とでは、浸透性の指標となるステキヒトサイズ度や、吸水性の指標となるコッブサイズ度が大きく異なる。しかるに、サイズ剤の量が多いと、後述する塗工工程における反応薬の添加量(浸透量)が不足し、反応が不十分になる可能性がある。他方、サイズ剤の量が少ないと、湿潤紙力強さ低下による断紙の可能性がある。そこで、サイズ剤の添加量を調整する必要があるが、この量は、反応薬を塗工する前のパルプシートのステキヒトサイズ度やコッブサイズ度を基準にするとよい。
具体的には、JIS P 8122に準拠して測定したステキヒトサイズ度が、好ましくは0.1~100秒、より好ましくは0.2~80秒、特に好ましくは0.5~50秒である。また、JIS P 8140に準拠して測定したコッブサイズ度(10秒)が、好ましくは10~600g/m、より好ましくは20~580g/m、特に好ましくは30~550g/mである。
原料パルプP1のJIS P 8251に準拠して測定した灰分は、好ましくは0~20質量%、より好ましくは0~15質量%、特に好ましくは0~10質量%である。灰分が20質量%を超えると、濡れた状態にあるパルプシートの強度が下がり、特に塗工工程において断紙が発生する可能性がある。
なお、本形態の製造方法は、紙の製造方法ではなく、反応薬を効率的に反応させるうえでパルプシートという状態、ないしは形態を利用しているだけである。したがって、紙の製造技術における灰分の添加に関する知見は直接的には利用することができず、例えば、後工程で解繊する場合においては、この灰分の量が解繊の進行に影響するという側面もある。
(抄紙工程)
本形態の製造方法においては、抄紙工程100において原料パルプP1を抄紙して帯状のパルプシートにする。ここで、帯状とは、所定の幅(例えば、300~10000mm。)を有して連続する細長状のシートであり、紙の製造プロセスにおける湿紙や紙匹と同様、ないしは類似の形状を意味する。
抄紙工程100において使用する抄紙設備としては、例えば、ワイヤーパート110やプレスパート120等を有する長網フォーマや、長網フォーマにオントップフォーマを組み合わせたフォーマ、ギャップフォーマ等を例示することができる。
ただし、ヘッドボックスから噴出された紙料ジェットを2枚のワイヤーで直ちに挟み込むギャップフォーマを使用すると、表裏差が少なく、パルプシートの厚さ方向(Z軸方向)に関して反応薬をパルプシートに対して均等に浸み込ませることができるとの利点がある。
もっとも、このギャップフォーマは表裏差が少ないという利点を有するが、両面がワイヤー面なので平坦性に劣り、また、紙料をワイヤーに吹き出した瞬間に地合が決まるため地合いが劣るという特性を有する。本形態は紙の製造自体が目的ではないため平坦性や地合いが問題にならない場合もあり得るが、後段の塗工方式との関係や薬液の浸透性との関係からは、オントップのリニアフォードとする方が平坦性や地合いに優れ好ましい。特に、ワイヤーにシェーキング装置(ワイヤーを横に揺する装置)を付ければ、地合がより向上して好ましい。
ワイヤーパート110のパルプシート(紙層)は、プレスパート120に流れて(移行されて)、脱水が行われる。
プレスパート120で使用するプレス機は、例えば、ストレートスルー型、インバー型、リバース型のいずれであっても、これらの組み合わせであってもよい。ただし、オープンドローを無くしたストレートスルー型は、パルプシートを保持し易く、断紙などの操業トラブルが少ないため、好ましい。
プレスパート120を通ったパルプシート(湿紙)は、例えば、シングルデッキ方式、あるいはダブルデッキ方式のプレドライヤーパート130に移行し、乾燥を図ることができる。ただし、プレドライヤーパート130は、断紙が少なく、嵩を落とすことなく高効率に乾燥を行えることから、ノーオープンドロー形式のシングルデッキドライヤーが好ましい。
プレドライヤーパート130における乾燥温度は、好ましくは80~140℃、より好ましくは85~135℃、特に好ましくは90~130℃である。乾燥温度が140℃を超えると部分的な過乾燥が生じ、この過乾燥部分において塗工工程200における反応薬の浸透が悪くなる可能性がある。他方、乾燥温度が80℃未満であると部分的な乾燥不良が生じ、この乾燥不良部分において断紙が生じる可能性がある。
プレドライヤーパート130を経たパルプシートの水分率は、好ましくは0.1~10%、より好ましくは1~9%、特に好ましくは2~8%である。水分率が0.1%未満であると過乾燥となり、塗工工程200における反応薬の浸透が悪くなる可能性がある。他方、水分率が10%を超えると乾燥不良となり、塗工工程200において断紙が生じる可能性がある。
本形態において上記水分率は、BM計(Basis weight/Moisture)の赤外線で測定した値である。
抄紙工程100において得られる帯状のパルプシートは、JIS P 8124に準拠して測定した坪量が、好ましくは60~800g/m、より好ましくは80~750g/m、特に好ましくは100~700g/mである。坪量が50g/m未満であると、特に塗工工程200において強度不足を原因とする断紙が発生する可能性がある。他方、坪量が800g/mを超えると、塗工工程200において反応薬が十分に浸透しない可能性がある。なお、以上の坪量は、1層抄きの場合である。2層以上の多層抄きになると、薬剤が層の界面で留まる可能性がある。
塗工工程200において塗工される反応薬は、任意の抄紙薬品を含有したものであってもよい。抄紙薬品の種類に制限はなく、抄紙薬品の濃度は必要に応じて適宜調節することができる。ただし、反応薬を塗工する趣旨を害しない必要があるのは当然であり、反応薬の種類によっては調整が必要な場合もある。例えば反応薬として尿素等を使用する場合は、抄紙工程100において各種澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の水酸基を持つ抄紙薬品、コロイダルシリカ、硫酸バンド等のシラノール基等のある元素に-OHが結合した基を持つ抄紙薬品、ロジンサイズ剤、ASA(アルケニル無水コハク酸)、AKD(アルキルケテンダイマー)、各種澱粉、CMC等の抄紙薬品が、それぞれ好ましくは0~10%、より好ましくは0.1~9%、特に好ましくは0.2~8%となるように抄紙する。以上の抄紙薬品は尿素等による変性反応を受けるため、以上の抄紙薬品を多く含んでいると、その分、反応工程X2における尿素等の利用が妨げられる。以上の薬品は、内添、外添に依存しない。
一方、染料は、その後の用途に依存し、例えば、樹脂の補強材料等が用途であり、微細繊維による着色が好ましくない場合等であれば、好ましくは0~10%、より好ましくは0.1~5%、特に好ましくは0.2~3%となるように抄紙する。
また、同様の観点から、パルプシートのJIS P 8148に準拠して測定した白色度は、好ましくは80%以上、より好ましくは82%以上、特に好ましくは85%以上である。なお、前述した例のように、原料パルプP1としてLBKP及びNBKPを使用した場合は、通常、白色度が80%以上になり、白色度を調整する必要がない。
パルプシートのJIS P 8113に準拠して測定した引張強さは、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上、特に好ましくは20MPa以上である。引張強さが10MPa(1kN/m、厚み100μm)未満では塗工工程200で断紙する可能性がある。もっとも、坪量を上げれば引張強さも上がるが、前述したように坪量を多くすると塗工工程200において反応薬が浸透しにくくなる。したがって、引張強さは坪量とのバランスも重要であり、比引張強さ(引張強さ/坪量)を、好ましくは1~10000Nm/g、より好ましくは5~5000Nm/g、特に好ましくは10~1000Nm/gとすると好適である。
一方、パルプシートのJIS P 8135に準拠して測定した湿潤紙力強さは、好ましくは0.1kN/m以上、より好ましくは0.2kN/m以上、特に好ましくは0.5kN/m以上である。湿潤紙力強さが0.1kN/m未満では塗工工程200で断紙する可能性がある。もっとも、坪量を上げれば湿潤紙力強さも上がるが、前述したように坪量を多くすると塗工工程200において反応薬が浸透しにくくなる。したがって、湿潤紙力強さと坪量とのバランスも重要であり、比湿潤紙力強さ(湿潤紙力強さ/坪量)を、好ましくは0.1~5000Nm/g、より好ましくは0.5~1000Nm/g、特に好ましくは1~500Nm/gとすると好適である。
(塗工工程)
プレドライヤーパート130にて乾燥されたパルプシートは、アフタードライヤーパート220との間のコーターパート210において反応薬が塗工される。ここで、本明細書において、「塗工」とは単に「塗る」行為を意味し、塗られた後の薬品等がどのような状態になるかまでを限定する趣旨ではない。したがって、例えば、薬品等がパルプシートの表面にも残り塗工層が形成される形態の他、薬品等が全てパルプシートに浸み込みパルプシートの表面に塗工層が形成されない形態、つまり単なる含浸状態となる形態をも含む。
コーターパート210においては、例えば、ベベルブレード塗工、サイズプレス塗工、ベントブレード塗工、ロッド塗工、含浸塗工、スプレー塗工、コンマ塗工等の塗工方法によって反応薬を塗工することができる。ただし、コーターパート210における塗工は、ベントブレード塗工によるのが好ましい。この点、ベントブレード塗工はブレード塗工の一種であるが、同じくブレード塗工の一種であるベベルブレード塗工ではファウンテンで吹き付けた反応薬を掻き落とすのに対し、ベントブレード塗工では反応薬をパルプシートに押し込みながら塗工する。したがって、反応薬をパルプシートに浸透させる必要が大きい本形態に適している。
一方、含浸塗工及びコンマ塗工には、それぞれ次のような特徴が存在する。
すなわち、まず、本形態においては、含浸方式とは、反応薬が入った容器内をパルプシートが走行することで塗工を行う方式を意味する。また、コンマ塗工とは、2本のロールとブレードの間に液だまりを作り、塗工量を調整するクリアランスの間をパルプシートが走行することで塗工を行う方式を意味する。
本形態において反応薬としては、例えば、繊維をカルバメート化するのであれば尿素又は尿素の誘導体(尿素等)を、リン酸エステル化するのであればリン酸又はリン酸塩類と尿素を、硫酸エステル化するのであれば硫酸アミドと尿素を、亜リン酸エステル化するのであれば亜リン酸又は亜リン酸塩類と尿素を使用することができる。
この際、各反応薬の濃度は必要に応じて適宜調節することができるが、カルバメート化するのであれば、尿素水における尿素等の濃度が、好ましくは20~50質量%、より好ましくは25~45質量%、特に好ましくは30~40質量%である。尿素等の濃度が20質量%未満であるとカルバメート化率が不十分となり、また、乾燥困難となる可能性がある。他方、尿素等の濃度が50質量%を超えると、尿素水の作製時に尿素等の融解による吸熱反応で溶液の温度が低下し尿素等が析出する可能性がある。
尿素水(濃度40%)のJIS-Z8803(2011)に準拠して測定した粘度は、好ましくは2000cps以下、より好ましくは1700cps以下、特に好ましくは1500cps以下である。粘度が2000cpsを超えると、尿素水がパルプシートに浸透し難くなる。
本形態の製造方法においては、塗工工程200をオフラインで行うことも、オンラインで行うことも可能である。しかしながら、製造速度が300m/分以上である場合においては、抄紙工程100及び塗工工程200がオンマシン内の連続的な工程として順に組み込まれている(オンライン)と好適である。オンラインであれば、製造効率が向上するうえに、パルプシートの保存状態等による影響を受けず、塗工の均質化が図られる。
本形態の製造方法において反応薬は、パルプシートの片面にのみ塗工することも、両面に塗工することもできる。ただし、後工程で行う反応の均一化という観点からは、両面に塗工する方が好ましい。
なお、反応薬の塗工を、オフラインで、かつパルプシートの両面に行う場合は、パルプシートの特性に応じて、表裏面でそれぞれ塗工量を異なるものとすることができるとの利点がある。
セルロース繊維に対する尿素等の塗工質量比(尿素等/セルロース繊維)は、好ましくは10~400kg/pt(パルプトン)、より好ましくは20~300kg/pt、特に好ましくは45~200kg/ptである。塗工質量比が10kg/pt未満であると、十分にカルバメート化が進まない可能性がある。他方、塗工質量比が400kg/ptを上回ると、過剰塗工となり、余剰の尿素等が装置に付着する可能性がある。なお、通常、塗工量は1m当たりの質量で規定するが、本形態において尿素等は、セルロース繊維に反応させるための薬剤(反応薬)であるため、セルロース繊維単位質量当たりの尿素量で規定するのが好ましい。
コーターパート210を通り抜けたパルプシートは、アフタードライヤーパート220に進み乾燥が図られる。
アフタードライヤーパート220における乾燥においては、例えば、熱風乾燥装置、ガスヒーター乾燥装置、赤外線乾燥装置等の乾燥装置を使用することができる。ただし、赤外線乾燥装置を使用すると反応薬がパルプシートの表層において固化し、反応薬の浸透が妨げられる可能性がある。したがって、熱風乾燥装置を使用する方が好ましい。特に、熱風乾燥装置は温度制御が容易なため、熱風乾燥装置を複数段設け、徐々に温度が向上するように設計すると、反応薬の浸透を妨げることなく乾燥を進めることができる。
アフタードライヤーパート220においては、乾燥温度が、好ましくは80~140℃、より好ましくは85~135℃、特に好ましくは90~130℃である。乾燥温度が80℃未満であると、乾燥時間が短い場合に乾燥不十分となる可能性があり、したがって高速での製造に不向きである。他方、乾燥温度が140℃を超えると、反応薬から副生成物が生成される可能性がある。
アフタードライヤーパート220を経たパルプシートの水分率は、好ましくは0~10%、より好ましくは0~8%、特に好ましくは0~7%である。水分率が10%を超えると、反応工程において、反応効率が低下する可能性がある。
この工程において、上記水分率はBM計(Basis weight/Moisture)の赤外線で測定した値である。
アフタードライヤーパート220を経たパルプシートの表面温度は、好ましくは30~95℃、より好ましくは35~90℃、特に好ましくは40~85℃である。表面温度が30℃未満であると、乾燥不十分である可能性がある。他方、表面温度が95℃を超えると、反応薬から副生成物が生成される可能性がある。
なお、本形態は、紙の製造自体が目的ではなく、紙(パルプシート)という形状を一時的に利用しているに過ぎないため、この後、カレンダー工程に進んでも、このカレンダー工程を省略して反応工程に進んでもよい。
(反応工程)
アフタードライヤーパート220を通り抜けたパルプシート(パルプ繊維含有物)は、例えば、ワインダーパート(図示せず)においていったん巻取り、巻取り原反として保存することができる。その後は、この巻取り原反を、巻き取った状態のままで加熱、冷却等の処理をし、セルロース繊維に反応薬を反応させることもできるが、巻取り原反からパルプシートを引き出し、このパルプシートを処理して反応薬の反応を進めた方が好適である。ただし、この場合は、引き出したパルプシートを水分率10質量%以下となるように乾燥するのが好ましく、9質量%以下となるように乾燥するのがより好ましく、8質量%以下となるように乾燥するのが特に好ましい。この乾燥は、反応効率を高めるために行うものである。
もっとも、以上のように、いったん巻取り原反とする形態によると、製造効率が低下する。そこで、アフタードライヤーパート220を通り抜けたパルプシートは、そのまま連続して反応工程X2に進める(移行させる)のがより好ましい。この場合は、反応に先立つパルプシートの上記乾燥を省略することができる。
反応工程X2においては、パルプシート、すなわちセルロース繊維含有物に含まれている反応薬をセルロース繊維に反応させる。ここで、この反応について反応薬が尿素等であり、セルロース繊維をカルバメート化する場合を例に詳細に説明する。
まず、カルバメート化とは、セルロース繊維をカルバメート基を有するものに変性することを意味する。つまり、セルロース繊維をカルバメート(カルバミン酸のエステル)が導入された状態にすることを意味する。
カルバメート基は、-O-CO-NH-で表される基であり、例えば、-O-CO-NH、-O-CONHR、-O-CO-NR等で表わされる基である。つまり、カルバメート基は、下記の構造式(1)で示すことができる。
Figure 0007335929000001
ここでnは、1以上の整数を表す。Rは、それぞれ独立して、水素、飽和直鎖状炭化水素基、飽和分岐鎖状炭化水素基、飽和環状炭化水素基、不飽和直鎖状炭化水素基、不飽和分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基の少なくともいずれかである。加えて、カルバメート基を介する架橋構造をセルロース分子又は繊維間で形成した、架橋カルバメート化セルロースを挙げることができる。
飽和直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~10の直鎖状のアルキル基を挙げることができる。
飽和分岐鎖状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。
飽和環状炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基を挙げることができる。
不飽和直鎖状炭化水素基としては、例えば、エテニル基、プロペン-1-イル基、プロペン-3-イル基等の炭素数2~10の直鎖状のアルケニル基、エチニル基、プロピン-1-イル基、プロピン-3-イル基等の炭素数2~10の直鎖状のアルキニル基等を挙げることができる。
不飽和分岐鎖状炭化水素基としては、例えば、プロペン-2-イル基、ブテン-2-イル基、ブテン-3-イル基等の炭素数3~10の分岐鎖状アルケニル基、ブチン-3-イル基等の炭素数4~10の分岐鎖状アルキニル基等を挙げることができる。
芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
誘導基としては、上記飽和直鎖状炭化水素基、飽和分岐鎖状炭化水素基、飽和環状炭化水素基、不飽和直鎖状炭化水素基、不飽和分岐鎖状炭化水素基及び芳香族基が有する1又は複数の水素原子が、置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子等。)で置換された基を挙げることができる。
カルバメート基を有する(カルバメートが導入された)セルロース繊維においては、極性の高いヒドロキシ基の一部又は全部が、相対的に極性の低いカルバメート基に置換されている。したがって、当該セルロース繊維は、親水性が低く、極性の低い樹脂等との親和性が高い。結果、当該セルロース繊維を解繊して得た微細繊維は、樹脂との均一分散性に優れる等の特性がある。また、当該微細繊維のスラリーは、粘性が低く、ハンドリング性が良い。
セルロース繊維のヒドロキシ基に対するカルバメート基の置換度の下限は、好ましくは0.05、より好ましくは0.1、特に好ましくは0.2である。置換度を0.05以上にすると、カルバメートを導入した効果が確実に奏せられる。他方、置換度の上限は、好ましくは1、より好ましくは0.5、特に好ましくは0.4である。この点、置換度の高いセルロース繊維は、高価であるとの問題がある。
なお、セルロースは、無水グルコースを構造単位とする重合体であり、一構造単位当たり3つのヒドロキシ基を有する。したがって、全てのヒドロキシ基がカルバメート基に置換されると、置換度は3になる。
セルロース繊維に対するカルバメート基の導入量は、好ましくは0.5~4.5mmol/g、より好ましくは0.6~4.0mmol/g、特に好ましくは0.7~3.5mmol/gである。置換率が0.5mmol/g未満であると、樹脂に複合化した際に十分な補強効果が得られない可能性がある。他方、置換率が4.5mmol/gを超えると、過分な尿素が必要となる可能性がある。
セルロース繊維にカルバメートを導入する(カルバメート化)点については、セルロース繊維をカルバメート化してから微細化する方法と、セルロース繊維を微細化して微細繊維としてからカルバメート化する方法とがある。しかしながら、本形態のように、先にカルバメート化を行い、その後に、解繊をする方が好ましい。解繊する前のセルロース繊維は脱水効率が高く、また、カルバメート化に伴う加熱によってセルロース繊維が解繊され易い状態になるためである。
従来、セルロース繊維をカルバメート化する工程には、例えば、混合工程、除去工程、加熱工程等が存在した。混合工程においては、セルロース繊維と尿素又は尿素の誘導体(本明細書においては、単に「尿素等」とも言う。)とを分散媒中で混合する。しかしながら、この工程が加わると、製造効率が著しく低下する。そこで、本形態においては、帯状のパルプシートの状態にあるセルロース繊維に対して尿素等を反応させる。なお、この際、パルプシートは、巻取り原反の状態であっても、引き出された状態であってもよいが、反応効率や反応の均一性に優れるのは引き出された状態である。
まず、尿素や尿素の誘導体としては、例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素、尿素の水素原子をアルキル基で置換した化合物等を使用することができる。これらの尿素又は尿素の誘導体は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、尿素を使用するのが好ましい。
本形態の反応工程X2においては、パルプシート、すなわち、尿素等の反応薬を含むセルロース繊維含有物P2を加熱処理する。この反応工程X2においては、セルロース繊維のヒドロキシ基の一部又は全部が尿素等と反応してカルバメート基に置換される。より詳細には、尿素等が加熱されると下記の反応式(1)に示すようにイソシアン酸及びアンモニアに分解される。そして、イソシアン酸はとても反応性が高く、例えば、下記の反応式(2)に示すようにセルロースの水酸基にカルバメートを形成する。
NH-CO-NH → H-N=C=O + NH …(1)
Cell-OH + H-N=C=O → Cell-O-CO-NH …(2)
尿素等をセルロース繊維に反応させる場合、反応工程X2における加熱温度は、好ましくは150~280℃、より好ましくは160~270℃、特に好ましくは180~260℃、である。加熱温度が150℃未満であると十分に反応しない可能性がある。他方、加熱温度が280℃を超えると、尿素等が熱分解する可能性があり、また、着色が顕著になる可能性がある。
尿素等をセルロース繊維に反応させる場合、反応工程X2における加熱時間は、好ましくは1~60秒、より好ましくは1~30秒、特に好ましくは1~20秒である。加熱時間が60秒を超えると、着色が顕著になる可能性があり、また、生産性に劣る。
前述したように、パルプシートは、巻き取った状態のままで加熱することも、巻取り原反から引き出して加熱することもできる。そして、巻き取った状態のままで加熱する場合、この加熱の装置としては、例えば、熱風加熱方式、高周波加熱方式、ロータリーキルン方式等を使用することができる。他方、巻取り原反から引き出して加熱する場合、この加熱の装置としては、例えば、誘導式加熱ロール、オイル式加熱ロール、熱風加熱、遠赤外線加熱、マイクロ波加熱等を使用することができる。
ここで、以上の加熱装置を使用した場合の特徴について、説明する。
まず、加熱の方法は、大きく2種類(バッチ式、連続式(ロールtoロール式))に分けられる。バッチ式では、一度に多量のサンプルを反応できる設備である高周波加熱装置及びロータリーキルン等がある。この点、高周波加熱装置においては、電極内に被加熱物を置くと、被加熱物内部で分極を起こして電荷が生じ、周波数の速度変化により分子は激しい内部摩擦を起こして加熱される。一方、ロータリーキルンは、回転式の高温焼成装置で、製紙業界では、クラフトパルプ化工程の薬品回収工程で使用されている。
一方、連続式においては、尿素が塗工されたパルプシートの状態で連続して加熱できるよう、誘導式加熱ロール、オイル式加熱ロール、熱風加熱、遠赤外線加熱、マイクロ波加熱等がある。この点、誘導式加熱ロールは、電気がつくる磁場の作用でロール自体を発熱させる方法で、抄紙工程のカレンダー設備でも使用されている。また、オイル式加熱ロールは、加熱した油をロール内部に循環させ、ロール表面を加熱する方法である。さらに、熱風加熱は、コンベアの上下に配置されたノズルからパルプシートの上下面へ熱風を噴射し、その間を通るパルプシートを加熱する方法である。また、遠赤外線加熱は、波長が3μm~1mmの赤外線を放射して、原子間が収縮・変角運動するのを利用して加熱する方法である。また、マイクロ波加熱は、周波数(300MHz~30GHz)に応じてパルプシートを構成している分子の各分子間で摩擦熱が発生するのを利用して発熱する方法で、一般的には電子レンジが挙げられる。
ロールtoロール式とする場合は、オイル式加熱ロールに比べて、反応効率やエネルギー効率が良い誘導式加熱ロールを用いた反応設備が好ましい。一方で、バッチ式での加熱、特に高周波を用いた加熱においては、大量のサンプルを一度に加熱することから、反応ムラが発生し均一なカルバメート反応には困難である。もちろん、反応の均一性が問題にならないようであれば、大量生産可能であるという点等で、バッチ式にも利点がある。
一方、誘導式加熱ロールやオイル式加熱ロール以外の連続式での加熱、例えば、熱風式加熱や遠赤外線加熱のような非接触の加熱方法では、反応温度を高くすることでカルバメート化反応が進めることができる。
結論としては、原料パルプP1を抄紙することで帯状とした反応薬を含むパルプシートを、一対のロール間に通して加熱し、この加熱で反応を行うのが特に好ましいと言える。ただし、パルプシートのシート幅が300~10000mmである場合においては、一対のロールの少なくともいずれか一方が加熱ロールであるとより好ましいものとなる。この際、多段(一対のロールを複数組設置)で構成し、加熱ロールの加熱温度は、好ましくは180~280℃、より好ましくは200~270℃、特に好ましくは220~260℃である。
さらに、一段目の加熱温度を80~140℃(より好ましくは90~120℃)に抑え、かつ二段目以降の加熱温度を180~280℃にすると好適である。加えて、各加熱ロールの加熱温度を80~280℃の間で、段階的に加熱温度が上がっていく構成としても良い。また、この場合においては、以上のように一段目を低温にすることに変えて、少なくともいずれか一段の一対のロールのニップ線圧を1~100000N/cm、好ましくは10~50000N/cm、とするのも好適である。なお、以上によると、パルプシートの収縮を抑えることができるとの利点がある。
以上では、セルロース繊維を尿素等によってカルバメート化する場合を例に説明したが、前述したように本反応工程X2においては、加熱処理の他、リン酸エステル化、硫酸エステル化、亜リン酸エステル化等の処理をして反応を進める形態も考えられる。
(解繊工程)
本形態においては、以上のようにして得た反応セルロース繊維P3を、必要により粉砕する等し、解繊工程X3において解繊(微細化)する。この解繊により、反応微細繊維P4が得られる。
なお、本形態において微細繊維とは、平均繊維幅が0.01~19μmのセルロース繊維を意味するものとする。微細繊維には、例えば、マイクロ繊維セルロース(ミクロフィブリル化セルロース)やセルロースナノファイバーが含まれる。
また、反応セルロース繊維P3は粉砕等して直ちに解繊することもできるが、解繊に先立ってシート状、あるいは粉砕された反応セルロース繊維P3を水に離解させ、更にバルブレスフィルター等の脱水設備で脱水して反応セルロース繊維P3を洗浄するのが好ましい。また、脱水にバルブレスフィルターを使用する場合は、脱水後のマット状の反応セルロース繊維P3にシャワーを掛けることでより洗浄を完全なものとすることができる。洗浄することで未反応の反応液、反応液の副生物、あるいは水溶性の不純物を除去することができる。
本形態において、マイクロ繊維セルロースは、セルロースナノファイバーよりも平均繊維径の太い繊維を意味する。具体的には、例えば0.1~19μm、好ましくは0.2~10μmである。マイクロ繊維セルロースの平均繊維径が0.1μmを下回ると(未満になると)、セルロースナノファイバーであるのと変わらなくなり、例えば、樹脂と混練した場合において樹脂の強度(特に曲げ弾性率)向上効果が十分に得られないおそれがある。また、解繊時間が長くなり、大きなエネルギーが必要になる。さらに、セルロース繊維スラリーの脱水性が悪化する。脱水性が悪化すると、乾燥に大きなエネルギーが必要になり、乾燥に大きなエネルギーをかけるとセルロース繊維が熱劣化して、強度が低下するおそれがある。他方、マイクロ繊維セルロースの平均繊維径が19μmを上回ると(超えると)、パルプであるのと変わらなくなり、樹脂の補強効果が十分でなくなるおそれがある。
微細繊維(マイクロ繊維セルロース及びセルロースナノファイバー)の平均繊維径の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%の微細繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍~30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
反応セルロース繊維P3、あるいはその粉砕物は、解繊するに先立って化学的手法によって前処理や漂白処理等することができる。
化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)等を例示することができる。ただし、化学的手法による前処理としては、酵素処理を施すのが好ましく、加えて酸処理、アルカリ処理、及び酸化処理の中から選択された1又は2以上の処理を施すのがより好ましい。以下、酵素処理について詳細に説明する。
酵素処理に使用する酵素としては、セルラーゼ系酵素及びヘミセルラーゼ系酵素の少なくともいずれか一方を使用するのが好ましく、両方を併用するのがより好ましい。これらの酵素を使用すると、セルロース繊維の解繊がより容易になる。なお、セルラーゼ系酵素は、水共存下でセルロースの分解を惹き起こす。また、ヘミセルラーゼ系酵素は、水共存下でヘミセルロースの分解を惹き起こす。
セルラーゼ系酵素としては、例えば、トリコデルマ(Trichoderma、糸状菌)属、アクレモニウム(Acremonium、糸状菌)属、アスペルギルス(Aspergillus、糸状菌)属、ファネロケエテ(Phanerochaete、担子菌)属、トラメテス(Trametes、担子菌)属、フーミコラ(Humicola、糸状菌)属、バチルス(Bacillus、細菌)属、スエヒロタケ(Schizophyllum、担子菌)属、ストレプトミセス(Streptomyces、細菌)属、シュードモナス(Pseudomonas、細菌)属などが産生する酵素を使用することができる。これらのセルラーゼ系酵素は、試薬や市販品として購入可能である。市販品としては、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラ-ゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、セルラーゼ系酵素GC220(ジェネンコア社製)等を例示することができる。
また、セルラーゼ系酵素としては、EG(エンドグルカナーゼ)及びCBH(セロビオハイドロラーゼ)のいずれかもを使用することもできる。EG及びCBHは、それぞれを単体で使用しても、混合して使用してもよい。また、ヘミセルラーゼ系酵素と混合して使用してもよい。
ヘミセルラーゼ系酵素としては、例えば、キシランを分解する酵素であるキシラナーゼ(xylanase)、マンナンを分解する酵素であるマンナーゼ(mannase)、アラバンを分解する酵素であるアラバナーゼ(arabanase)等を使用することができる。また、ペクチンを分解する酵素であるペクチナーゼも使用することができる。
ヘミセルロースは、植物細胞壁のセルロースミクロフィブリル間にあるペクチン類を除いた多糖類である。ヘミセルロースは多種多様で木材の種類や細胞壁の壁層間でも異なる。針葉樹の2次壁では、グルコマンナンが主成分であり、広葉樹の2次壁では4-O-メチルグルクロノキシランが主成分である。そこで、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)から微細繊維を得る場合は、マンナーゼを使用するのが好ましい。また、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)から微細繊維を得る場合は、キシラナーゼを使用するのが好ましい。
セルロース繊維に対する酵素の添加量は、例えば、酵素の種類、原料となる木材の種類(針葉樹か広葉樹か)、機械パルプの種類等によって決まる。ただし、セルロース繊維に対する酵素の添加量は、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.3~2.5質量%、特に好ましくは0.5~2質量%である。酵素の添加量が0.1質量%を下回ると、酵素の添加による効果が十分に得られないおそれがある。他方、酵素の添加量が3質量%を上回ると、セルロースが糖化され、微細繊維の収率が低下するおそれがある。また、添加量の増量に見合う効果の向上を認めることができないとの問題もある。
酵素としてセルラーゼ系酵素を使用する場合、酵素処理時のpHは、酵素反応の反応性の観点から、弱酸性領域(pH=3.0~6.9)であるのが好ましい。他方、酵素としてヘミセルラーゼ系酵素を使用する場合、酵素処理時のpHは、弱アルカリ性領域(pH=7.1~10.0)であるのが好ましい。
酵素処理時の温度は、酵素としてセルラーゼ系酵素及びヘミセルラーゼ系酵素のいずれを使用する場合においても、好ましくは30~70℃、より好ましくは35~65℃、特に好ましくは40~60℃である。酵素処理時の温度が30℃以上であれば、酵素活性が低下し難くなり、処理時間の長期化を防止することができる。他方、酵素処理時の温度が70℃以下であれば、酵素の失活を防止することができる。
酵素処理の時間は、例えば、酵素の種類、酵素処理の温度、酵素処理時のpH等によって決まる。ただし、一般的な酵素処理の時間は、0.5~24時間である。
酵素処理した後には、酵素を失活させるのが好ましい。酵素を失活させる方法としては、例えば、アルカリ水溶液(好ましくはpH10以上、より好ましくはpH11以上)を添加する方法、80~100℃の熱水を添加する方法等が存在する。
次に、アルカリ処理の方法について説明する。
解繊に先立ってアルカリ処理すると、セルロース繊維が持つヘミセルロースやセルロースの水酸基が一部解離し、分子がアニオン化することで分子内及び分子間水素結合が弱まり、解繊におけるセルロース繊維の分散が促進される。
アルカリ処理に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の有機アルカリ等を使用することができる。ただし、製造コストの観点からは、水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
解繊に先立って酵素処理や酸処理、酸化処理を施すと、微細繊維の保水度を低く、結晶化度を高くすることができ、かつ均質性を高くすることができる。この点、マイクロ繊維セルロースの保水度が低いと脱水し易くなり、セルロース繊維スラリーの脱水性が向上する。
セルロース繊維を酵素処理や酸処理、酸化処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解される。結果、解繊のエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均一性や分散性を向上することができる。ただし、前処理は、マイクロ繊維セルロースのアスペクト比を低下させるため、樹脂の補強材として使用する場合には、過度の前処理を避けるのが好ましい。
一方、漂白処理としては、過酸化物漂白、次亜塩素酸塩漂白、二酸化塩素漂白、過硫酸塩類漂白、オキソン漂白及びそれらを組み合わせた多段漂白処理、ハイドロサルファイト、水素化ホウ素ナトリウム等による還元漂白を施してもよい。
セルロース繊維の解繊は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、対向衝突型のホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー、ジェットミル等を使用して原料パルプを叩解することによって行うことができる。ただし、リファイナーやジェットミルを使用して行うのが好ましい。
マイクロ繊維セルロースの平均繊維長(単繊維の長さの平均)は、好ましくは0.02~2.0mm、より好ましくは0.05~1.5mm、特に好ましくは0.1~1.0mmである。平均繊維長が0.02mmを下回ると、繊維同士の三次元ネットワークを形成できず、樹脂の補強効果が低下するおそれがある。他方、平均繊維長が2.0mmを上回ると、原料パルプと変わらない長さのため補強効果が不十分となるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの平均繊維長は、例えば、原料パルプP1の選定、前処理、解繊等で任意に調整可能である。
マイクロ繊維セルロースの繊維長は、0.2mm以下の割合(Fine率)が、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、特に好ましくは60%以上である。当該割合が20%を下回ると、樹脂の補強効果が十分に得られない可能性がある。他方、マイクロ繊維セルロースの繊維長は、0.2mm以下の割合の上限がなく、全てが0.2mm以下であっても良い。
マイクロ繊維セルロースのアスペクト比は、好ましくは2~15,000、より好ましくは10~10,000である。アスペクト比が2を下回ると、三次元ネットワークを構築できないため補強効果が不十分となるおそれがある。他方、アスペクト比が15,000を上回ると、マイクロ繊維セルロース同士の絡み合いが高くなり、樹脂中での分散が不十分となるおそれがある。
アスペクト比とは、平均繊維長を平均繊維幅で除した値である。アスペクト比が大きいほど引っかかりが生じる箇所が多くなるため補強効果が上がるが、他方で引っかかりが多くなる分、樹脂の延性が低下するものと考えられる。
マイクロ繊維セルロースのフィブリル化率は、好ましくは1.0~30.0%、より好ましくは1.5~20.0%、特に好ましくは2.0~15.0%である。フィブリル化率が30.0%を上回ると、水との接触面積が広くなり過ぎるため、たとえ平均繊維幅が0.1μm以上に留まる範囲で解繊できたとしても、脱水が困難になる可能性がある。他方、フィブリル化率が1.0%下回ると、フィブリル同士の水素結合が少なく、強硬な三次元ネットワークを形成することができなくなるおそれがある。
繊維の繊維長やフィブリル化率は、バルメット社製の繊維分析計「FS5」によって測定する。
マイクロ繊維セルロースの結晶化度は、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上である。結晶化度が50%を下回ると、パルプやセルロースナノファイバーとの混合性は向上するものの、繊維自体の強度が低下するため、樹脂の強度を向上することができなくなるおそれがある。他方、マイクロ繊維セルロースの結晶化度は、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、特に好ましくは85%以下である。結晶化度が95%を上回ると、分子内の強固な水素結合割合が多くなり、繊維自体が剛直となり、分散性が劣るようになる。
マイクロ繊維セルロースの結晶化度は、例えば、原料パルプP1の選定、前処理、微細化処理で任意に調整可能である。
結晶化度は、JIS K 0131(1996)に準拠して測定した値である。
マイクロ繊維セルロースの粘度は、好ましくは2cps以上、より好ましくは4cps以上である。マイクロ繊維セルロースのパルプ粘度が2cpsを下回ると、マイクロ繊維セルロースの凝集を抑制するのが困難になるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの粘度は、TAPPI T 230に準拠して測定した値である。
マイクロ繊維セルロースのフリーネスは、好ましくは500ml以下、より好ましくは300ml以下、特に好ましくは100ml以下である。マイクロ繊維セルロースのフリーネスが500mlを上回ると、マイクロ繊維セルロースの平均繊維径が10μmを超え、樹脂の強度向上効果が十分に得られなくなるおそれがある。
フリーネスは、JIS P8121-2(2012)に準拠して測定した値である。
マイクロ繊維セルロースのゼータ電位は、好ましくは-150~20mV、より好ましくは-100~0mV、特に好ましくは-80~-10mVである。ゼータ電位が-150mVを下回ると、樹脂との相溶性が著しく低下し補強効果が不十分となるおそれがある。他方、ゼータ電位が20mVを上回ると、分散安定性が低下するおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの保水度は、好ましくは80~400%、より好ましくは90~350%、特に好ましくは100~300%である。保水度が80%を下回ると、原料パルプと変わらないため補強効果が不十分となるおそれがある。他方、保水度が400%を上回ると、脱水性が劣る傾向にあり、また、凝集し易くなる。この点、マイクロ繊維セルロースの保水度は、当該繊維のヒドロキシ基がカルバメート基に置換されていることで、より低くすることができ、脱水性や乾燥性を高めることができる。
マイクロ繊維セルロースの保水度は、例えば、原料パルプP1の選定、前処理、解繊等で任意に調整可能である。
マイクロ繊維セルロースの保水度は、JAPAN TAPPI No.26(2000)に準拠して測定した値である。
次に、セルロースナノファイバーについて説明する。
本形態においては、セルロースナノファイバーは、マイクロ繊維セルロースと同様に微細繊維であり、樹脂の強度向上にとって特有の役割を有する。
まず、セルロースナノファイバーは、反応セルロース繊維P3を解繊(微細化)することで得ることができる。原料パルプP1としては、マイクロ繊維セルロースと同じものを使用することができ、マイクロ繊維セルロースと同じものを使用するのが好ましい。
セルロースナノファイバーの原料繊維は、マイクロ繊維セルロースの場合と同様の方法で前処理や解繊をすることができる。ただし、解繊の程度は異なり、例えば、平均繊維径が0.1μmを下回るように行う必要がある。以下、マイクロ繊維セルロースの場合と異なる点を中心に説明する。
セルロースナノファイバーの平均繊維径(平均繊維幅。単繊維の直径平均。)は、好ましくは4~100nm、より好ましくは10~80nmである。セルロースナノファイバーの平均繊維径が4nmを下回ると、脱水性が悪化するおそれがある。また、セルロースナノファイバーを分散剤と混合する形態においては、分散剤がセルロースナノファイバーを十分に覆わなくなり(に十分に纏わりつかなくなり)、分散性が十分に向上しないおそれがある。他方、セルロースナノファイバーの平均繊維径が100nmを上回ると、セルロースナノファイバーとは言えなくなる。
セルロースナノファイバーの平均繊維径は、例えば、原料パルプP1の選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
なお、セルロースナノファイバーの物性に関する計測方法は、特にこれに反する記載のない限り、マイクロ繊維セルロースの場合と同様である。
セルロースナノファイバーの平均繊維長(単繊維の長さ)は、好ましくは0.1~1,000μm、より好ましくは0.5~500μmである。セルロースナノファイバーの平均繊維長が0.1μmを下回ると、セルロースナノファイバー同士の三次元ネットワークを構築できず、補強効果が不十分となるおそれがある。他方、セルロースナノファイバーの平均繊維長が1,000μmを上回ると、繊維同士が絡み易くなり、分散性が十分に向上しないおそれがある。
セルロースナノファイバーの平均繊維長は、例えば、原料パルプP1の選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
セルロースナノファイバー結晶化度は、好ましくは95~50%、より好ましくは90~60%である。セルロースナノファイバーの結晶化度が以上の範囲内であれば、樹脂の強度を確実に向上することができる。
結晶化度は、例えば、原料パルプP1の選定、前処理、解繊等で任意に調整することができる。
セルロースナノファイバーのパルプ粘度は、好ましくは1.0cps以上、より好ましくは2.0cps以上である。パルプ粘度は、セルロースを銅エチレンジアミン液に溶解させた後の溶解液の粘度であり、パルプ粘度が大きいほどセルロースの重合度が大きいことを示している。パルプ粘度が1.0cps以上であれば、スラリーに脱水性を付与しつつ、樹脂と混練する際にセルロースナノファイバーの分解を抑えられ、十分な補強効果を得ることができる。
解繊して得られたセルロースナノファイバーは、必要により、他のセルロース繊維と混合するに先立って水系媒体中に分散して分散液としておくことができる。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましい(水溶液)。ただし、水系媒体は、一部が水と相溶性を有する他の液体であってもよい。他の液体としては、例えば、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
セルロースナノファイバーの分散液(濃度1%)のB型粘度は、好ましくは10~2,000cp、より好ましくは30~1,500cpである。分散液のB型粘度を以上の範囲内にすると、他のセルロース繊維との混合が容易になり、また、セルロース繊維スラリーの脱水性が向上する。
分散液のB型粘度(固形分濃度1%)は、JIS-Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定した値である。B型粘度は分散液を攪拌したときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多くなることを意味する。
反応微細繊維は、必要により、水系媒体中に分散して分散液(スラリー)にする。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましいが、一部が水と相溶性を有する他の液体である水系媒体も使用することができる。他の液体としては、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
スラリーの固形分濃度は、好ましくは0.1~10.0質量%、より好ましくは0.5~5.0質量%である。固形分濃度が0.1質量%を下回ると、脱水や乾燥する際に過大なエネルギーが必要となるおそれがある。他方、固形分濃度が10.0質量%を上回ると、スラリー自体の流動性が低下してしまい分散剤を均一に混合できなくなるおそれがある。
次に、本発明の実施例を説明する。
パルプスラリーにサイズ剤を添加し、所定のコッブサイズ度になるよう、ワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して、所定坪量となるようパルプシートを製造した。次いでコーターパートにて、反応薬液をパルプシートに含浸塗工(塗工の意味については前述したとおりであり、パルプシートの表面に塗工層が形成されるか否かは問題とならない。)し、アフタードライヤーパートで乾燥させ、反応薬液含浸のパルプシート(セルロース繊維含有物)を得た。得られたパルプシートは、ロールtoロール反応装置で反応させて、セルロース繊維を変性させたパルプシート(反応セルロース繊維)を得た。
次いで、離解機を用いて変性パルプシートを固形分濃度5%になるように水で希釈して離解した。離解して得られた変性セルロース繊維の水分散液は、脱水洗浄を2回繰り返した。洗浄した変性セルロース繊維は、Fine率を基準に解繊して、変性微細繊維(マイクロ繊維セルロース)を得た。結果を表1に示した。
断紙については単に、断紙が発生しなかった場合を「なし」、断紙が発生した場合を「あり」とした。
同様に、薬液含浸量については単に、50kg/パルプトン以上の場合を「○」、50kg/パルプトン未満の場合を「△」とした。
また、置換基導入量については単に、0.5mmol/g以上の場合を「○」、0.5mmol/g未満の場合を「△」とした。
Figure 0007335929000002
この結果から、パルプシートの坪量やコップサイズ度の断紙や変性率に対する影響を理解することができるが、更に針葉樹比率が断紙に影響を及ぼすことも分かる。
本発明は、セルロース繊維含有物の製造方法、反応セルロース繊維の製造方法、及び反応微細繊維の製造方法として利用可能である。
100 抄紙工程
110 ワイヤーパート
120 プレスパート
130 プレドライヤーパート
200 塗工工程
210 コーターパート
220 アフタードライヤーパート
P1 原料パルプ
P2 セルロース繊維含有物
P3 反応セルロース繊維
P4 反応微細繊維
X1 抄紙・塗工工程
X2 反応工程
X3 解繊工程

Claims (19)

  1. 反応薬を含むセルロース繊維から反応セルロース繊維を得、この反応セルロース繊維を解繊するにあたり、前記反応薬を含むセルロース繊維として使用されるセルロース繊維含有物の製造方法であり、
    原料パルプを抄紙してJIS P 8140に準拠して測定したコッブサイズ度が10~600g/mである帯状のパルプシートにする抄紙工程と、
    前記パルプシートに前記反応薬を塗工する塗工工程とを有する、
    ことを特徴とするセルロース繊維含有物の製造方法。
  2. 前記抄紙工程及び前記塗工工程は、オンマシン内の連続的な工程として順に組み込まれ、かつ抄紙速度が300m/分以上である、
    請求項1に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  3. 前記原料パルプがNKP及びLKPであり、かつ前記NKPの配合割合が1~99質量%である、
    請求項2に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  4. 前記原料パルプのJIS P 8121-2に準拠して測定したフリーネスが200~700ccである、
    請求項2又は請求項3に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  5. 前記抄紙工程には、プレドライヤーパートが備わり、
    前記プレドライヤーパートにおける乾燥温度が80~140℃である、
    請求項2~4のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  6. 前記抄紙工程には、ワイヤーパート、プレスパート、及びプレドライヤーパートが備わり、
    前記プレドライヤーパートを経たパルプシートの水分率が0.1~10%である、
    請求項2~5のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  7. 前記塗工工程に進むパルプシートは、1層抄きで、かつJIS P 8124に準拠して測定した坪量が60~800g/mである、
    請求項2~6のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  8. 前記塗工工程に進むパルプシートは、比引張強さ(JIS P 8113に準拠して測定した引張強さ/坪量)が1~10000Nm/gである、
    請求項2~7のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  9. 前記塗工工程に進むパルプシートは、比湿潤紙力強さ(JIS P 8135に準拠して測定した湿潤紙力強さ/坪量)が0.1~5000Nm/gである、
    請求項2~8のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法
  10. 前記塗工工程に進むパルプシートのJIS P 8122に準拠して測定したステキヒトサイズ度が0.1~100秒で、
    前記塗工工程における塗工をブレード塗工及びサイズプレス塗工の少なくともいずれか一方で行う、
    請求項1~9のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  11. 前記反応薬が濃度20~50%の尿素又は尿素の誘導体の水溶液である、
    請求項1~10のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  12. 前記反応薬が粘度2000cps以下の尿素又は尿素の誘導体の水溶液である、
    請求項1~11のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  13. セルロース繊維に対する尿素又は尿素の誘導体の水溶液の塗工質量比(固形分換算での尿素又は尿素の誘導体の質量/セルロース繊維の質量)が10~400kg/pt(パルプトン)である、
    請求項11又は請求項12に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  14. 前記塗工工程は、コーターパート及びアフタードライヤーパートを有し、
    前記アフタードライヤーパートには複数段の熱風乾燥装置が備わり、この複数段の熱風乾燥装置は80~140℃の範囲で乾燥温度が順に高くなる、
    請求項1~13のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  15. 前記アフタードライヤーパートを経たパルプシートの水分率が10%以下である、
    請求項14に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  16. 前記アフタードライヤーパートを経たパルプシートの表面温度が30~95℃である、
    請求項11又は請求項12に記載のセルロース繊維含有物の製造方法。
  17. 請求項1~16のいずれかに記載の製造方法によって得たセルロース繊維含有物を巻き取って巻取り原反とする巻取り工程と、
    前記巻取り原反からパルプシートを引き出す引出し工程と、
    この引き出したパルプシートを水分率10質量%以下となるように乾燥する乾燥工程と、
    この乾燥工程に連続し、前記反応薬を前記セルロース繊維に反応させる反応工程と、
    を有する、
    ことを特徴とする反応セルロース繊維の製造方法。
  18. 請求項1~16のいずれかに記載の製造方法によって得たセルロース繊維含有物をオンマシン内の連続的な工程として組み込まれた反応工程に送り、この反応工程において前記反応薬を前記セルロース繊維に反応させる、
    ことを特徴とする反応セルロース繊維の製造方法。
  19. 請求項17又は請求項18に記載の製造方法によって得た前記原料パルプのJIS P 8251に準拠して測定した灰分が20質量%以下である反応セルロース繊維を解繊する、
    ことを特徴とする反応微細繊維の製造方法。
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