本発明は、サイクロン式分離器からの含液分離物が供給されるスラッジポッドに関する。
従来、この種のスラッジポッドとしては、例えば特許文献1等に記載されているように、サイクロン式分離器に下流側に接続され、サイクロン式分離器からの含液分離物が順次供給されて、その供給された含液分離物が下側から引き抜かれる構成のものが知られている。
しかしながら、上述の特許文献1の構成では、スラッジポッドの含液分離物の自重を利用して下側から排出する構造であるため、特に含液分離物が固化しやすい場合には、スラッジポッド内に内容物が残留し、適切に内容物を排出できない可能性があった。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、内容物を適切に排出できるスラッジポッドを提供することを目的とする。
請求項1に記載されたスラッジポッドは、サイクロン式分離器にて被処理液から分離された含液分離物が供給されるスラッジポッドであって、上側に開口部を有するポッド本体と、このポッド本体の開口部を開閉する蓋体と、前記ポッド本体内の内容物における上澄み液をサイフォン現象を利用して前記ポッド本体外へ排出するためのサイフォン現象発生手段とを具備したものである。
請求項2に記載されたスラッジポッドは、請求項1記載のスラッジポッドにおいて、サイフォン現象発生手段は、サイクロン式分離器からの含液分離物をポッド本体へ供給するための供給手段と、前記ポッド本体内に空気を吸引するための大気開放手段と、前記ポッド本体内の上澄み液を排出するための排水手段とを有し、前記供給手段は、一端部が前記サイクロン式分離器における前記含液分離物の流出口に接続され他端部が前記ポッド本体内に連通可能に接続された供給配管部材と、この供給配管部材を開閉する供給開閉手段とを有し、前記大気開放手段は、一端部が前記ポッド本体内に連通可能に接続され他端部が大気中に開放された大気開放配管部材と、この大気開放配管部材を開閉する大気開放開閉手段とを有し、前記排水手段は、一端部が前記ポッド本体内に連通可能に接続された排水配管部材と、この排水配管部材を開閉する排水開閉手段とを有するものである。
請求項3に記載されたスラッジポッドは、請求項2記載のスラッジポッドにおいて、少なくともポッド本体内の内容物における堆積物が所定量以上となった状態において、排水配管部材は、一端部が前記ポッド本体内において内容物の上澄み液に水没し、他端部がサイクロン式分離器への被処理液が貯留された被処理液槽に接続されており、前記ポッド本体は、前記上澄み液の水面が前記被処理液槽における前記被処理液の水面より高い位置に配置されているものである。
本発明によれば、サイフォン現象発生手段を備えるため、このサイフォン現象を利用して上澄み液を排出した後、ポッド本体内の堆積物を開口部から排出できるため、内容物を適切に排出できる。
本発明の一実施の形態に係るスラッジポッドが用いられた分離システムにおいて、サイクロン式分離器から含液分離物が供給されている状態を示す配管図である。
同上スラッジポッドが用いられた分離システムにおいて、スラッジポッドから上澄み液を排出している状態を示す配管図である。
以下、本発明の一実施の形態の構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2において、1は分離システムであり、この分離システム1は、スラッジ等の固形物が混入したダーティ液である被処理液2から固形物を分離処理するものである。
すなわち、分離システム1は、被処理液槽3からの被処理液2をサイクロン式分離器4で分離処理し、固形物が分離されたクリーン液である処理液5が処理液槽6へ供給され、固形物を含む含液分離物7がスラッジポッド8に供給される。
サイクロン式分離器4は、支持体11の上側設置部12に設置されており、ポンプ13の駆動によって配管部材14を通って被処理液槽3から被処理液2が供給される。
また、サイクロン式分離器4は、その供給された被処理液2を内部で旋回させながら、その液中から固形物を遠心分離する。
そして、サイクロン式分離器4は、遠心分離により固形物が分離された処理液5を上部の流出口15から流出させるとともに、固形物を含む含液分離物7を下部の流出口16から流出させる。
また、処理液5は流出口15から配管部材17を介して処理液槽6へ供給され、含液分離物7は流出口16から供給手段25を介してスラッジポッド8に供給される。
スラッジポッド8は、サイクロン式分離器4の下方に位置するように、支持体11の上下動可能な下側設置部18に設置されている。
また、スラッジポッド8は、上側に開口部が設けられた容器状のポッド本体21と、このポッド本体21の開口部を開閉する蓋体22と、ポッド本体21内の内容物における上澄み液9をサイフォン現象を利用してポッド本体21外へ排出するサイフォン現象発生手段23とを備えている。
ポッド本体21は、上方に向けて開放した有底円筒状である。また、周面の全体または一部が透明で内部の内容物の量が確認できる構成が好ましい。
ポッド本体21の開口部が設けられた上端縁部には、例えば開閉レバー付きバンド等の固定手段24にて蓋体22を水密に固定するための図示しない固定部が設けられている。
蓋体22は、ポッド本体21の上端部に取外可能に取り付けられ、図示しない被固定部にて固定手段24によりポッド本体21に対して水密に固定される。
つまり、固定手段24でポッド本体21に蓋体22を固定して取り付けることにより、ポッド本体21の開口部が閉塞され、固定手段24による固定を解除して蓋体22をポッド本体21から取り外すことにより、ポッド本体21の開口部が開放される。
また、蓋体22には、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態にて、サイフォン現象を利用してポッド本体21から内容物の上澄み液9を排出するためのサイフォン現象発生手段23が設けられている。
このサイフォン現象発生手段23は、サイクロン式分離器4からの含液分離物7をポッド本体21へ供給するための供給手段25と、ポッド本体21内を大気開放するための大気開放手段26と、ポッド本体21内の上澄み液9を排出するための排水手段27とを有している。
供給手段25は、サイクロン式分離器4およびスラッジポッド8に接続された供給配管部材31と、この供給配管部材31を開閉する供給開閉手段としてのバルブ32とを有している。
供給配管部材31は、一端部がサイクロン式分離器4の流出口16に接続され、他端部がスラッジポッド8の蓋体22に設けられた図示しない供給接続口に接続されている。
また、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態においては、供給配管部材31がポッド本体21内に連通しており、バルブ32を操作することで、サイクロン式分離器4とスラッジポッド8とが連通した状態と連通していない状態とを切替可能である。
なお、バルブ32を開放した状態では、サイクロン式分離器4にて分離された含液分離物7が、随時供給配管部材31を通ってポッド本体21内へ供給され、ポッド本体21内において含液分離物7が、堆積物である堆積スラッジ10と上澄み液9とに沈殿分離される。
大気開放手段26は、スラッジポッド8に接続された大気開放配管部材34と、この大気開放配管部材34を開閉する大気開放開閉手段としてのバルブ35とを有している。
大気開放配管部材34は、一端部がスラッジポッド8の蓋体22に設けられた図示しない吸入接続口に接続され、他端部が外部に露出されている。
また、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態においては、大気開放配管部材34がポッド本体21内に連通しており、バルブ35を操作することで、スラッジポッド8が大気(外気)に連通した状態と連通していない状態とを切替可能である。
なお、バルブ35を開放した状態では、スラッジポッド8内が大気開放されて、大気開放配管部材34を通ってポッド本体21内へ空気を吸引可能である。
また、ポンプ13が駆動し供給手段25のバルブ32を開放した状態で大気開放手段26のバルブ35を開放するとスラッジポッド8の内容物が大気開放手段26から排出されてしまう可能性があるため、バルブ35を開放する際には供給手段25のバルブ32を閉塞する。
排水手段27は、スラッジポッド8および被処理液槽3に接続された排水配管部材37と、この排水配管部材37を開閉する排水開閉手段としてのバルブ38とを有している。
排水配管部材37は、一端部がスラッジポッド8の蓋体22に設けられた図示しない排水接続口に接続され、他端部が被処理液槽3内に連通して接続されている。
また、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態においては、排水配管部材37がポッド本体21内に連通しており、バルブ38を操作することで、スラッジポッド8と被処理液槽3とが連通した状態と連通していない状態とを切替可能である。
なお、ポッド本体21内において堆積スラッジ10が所定量(例えばポッド本体21の容積の半分)以上堆積した状態では、ポッド本体21内に連通した排水配管部材37の一端部が上澄み液9に接触するように水没しており、バルブ38を開放すると、ポッド本体21内の上澄み液9が排水配管部材37を通って被処理液槽3へ排水可能な状態となる。
そして、供給手段25のバルブ32が開放され、サイクロン式分離器4からの含液分離物7がスラッジポッド8へ所定量供給された状態(ポッド本体21内に堆積スラッジ10が所定量堆積した状態)にて、排水手段27のバルブ38を開放し排水手段27から上澄み液9を流動させて排水の流れを生じさせた上で、供給手段25のバルブ32の閉塞と、大気開放手段26のバルブ35の開放とを同時に行なうことで、ポッド本体21内の上澄み液9がサイフォン現象によって被処理液槽3へ排出される。
なお、排水手段27は、サイフォン現象を利用してポッド本体21内の上澄み液9を被処理液槽3へ排出するものであるため、ポッド本体21内の上澄み液9の水面が被処理液槽3の水面より高い位置に配置されるようにポッド本体21が設置される構成が好ましい。
次に、上記一実施の形態の作用および効果を説明する。
分離システム1では、ポンプ13の駆動により、被処理液槽3からサイクロン式分離器4へ被処理液2が供給される。
サイクロン式分離器4では、固形物が分離された処理液5と、固形物を含む含液分離物7に分離される。
また、図1に示すように、処理液5はサイクロン式分離器4から配管部材17を通って処理液槽6へ供給され、含液分離物7はサイクロン式分離器4から開放状態の供給手段25を介してスラッジポッド8へ供給される。
サイクロン式分離器4から供給された含液分離物7は、ポッド本体21内において、堆積スラッジ10と上澄み液9とに沈殿分離される。
また、含液分離物7がスラッジポッド8に所定量供給され、ポッド本体21内において堆積スラッジ10が所定量堆積したことを確認した後、排水手段27のバルブ38を開放する。
供給手段25のバルブ32を開放したまま排水手段27のバルブ38を開放すると、供給手段25からの含液分離物7の供給にともなって、排水手段27から上澄み液9が排水されて排水の流れができる。
このように排水の流れを生じさせた後で、供給手段25のバルブ32の閉塞と、大気開放手段26のバルブ35の開放とを同時に行なう。
なお、ポンプ13を駆動させかつ供給手段25のバルブ32が開放された状態で、大気開放手段26のバルブ35を開放すると、スラッジポッド8の内容物が大気開放手段26から排出されてしまう可能性があるため、供給手段25のバルブ32の閉塞と、大気開放手段26のバルブ35の開放とは同時に行なうことが好ましい。
これらバルブ32およびバルブ35の操作によって、供給手段25からの含液分離物7の供給は停止するが、大気開放手段26から空気が吸引されるため、サイフォン現象によって排水の流れが維持され、ポンプ等の動力がなくてもポッド本体21から上澄み液9が排出される。
上澄み液9の水位が排水配管部材37の一端部の高さになるまで上澄み液9が排出されたら、大気開放手段26のバルブ35および排水手段27のバルブ38を閉塞して排水を停止する。
排水を停止した状態にて、固定手段24によるポッド本体21に対する蓋体22の固定を解除し、蓋体22をポッド本体21から取り外して、主に堆積スラッジ10で構成されるポッド本体21の内容物を手動で廃棄する。
また、ポッド本体21の内容物をしっかりと廃棄した後には、蓋体22をポッド本体21にセットし、分離システム1による分離を再開する。
そして上記一実施の形態によれば、スラッジポッド8は、サイフォン現象発生手段23を備えるため、ポンプ等の動力を用いずに、サイフォン現象を利用してポッド本体21の上澄み液9を排出できるとともに、上澄み液9を排出した後にポッド本体21内の堆積スラッジ10を開口部から手動で排出できる。そのため、例えば堆積スラッジ10が固化しやすいものであったとしても、ポッド本体21に残留物が生じることなく、ポッド本体21から内容物を適切に排出できる。
また、ポッド本体21へ含液分離物7を供給するための供給手段25と、ポッド本体21を大気開放するための大気開放手段26と、ポッド本体21から上澄み液9を排出するための排水手段27とを有することにより、含液分離物7の供給と、空気の吸引と、上澄み液9の排出とを切り替えるだけで、容易かつスムーズにサイフォン現象を利用してポッド本体21から上澄み液9を排出できる。
さらに、少なくともポッド本体21内での堆積スラッジ10の堆積量が所定量以上となった状態において、排水配管部材37の一端部が上澄み液9に水没し、ポッド本体21における上澄み液9の水面が被処理液槽3における被処理液2の水面より高いことにより、サイフォン現象によって上澄み液9がポッド本体21から排出されやすくなり、よりスムーズに排水できる。
なお、上記一実施の形態では、サイフォン現象発生手段23は、供給手段25と大気開放手段26と排水手段27とを有する構成としたがこのような構成には限定されず、サイフォン現象を利用してポッド本体21内に上澄み液9を排出できる構成であればよい。
例えば、大気開放手段26を設けずに、サイクロン式分離器4からの含液分離物7の供給と、ポッド本体21からの上澄み液9の排出との関係性から、排水の流れを生じさせることができる構成にしてもよい。
また、バルブ32等の供給開閉手段が設けられておらず、供給手段25が常に連通状態である構成にしてもよい。この構成の場合には、ポンプ13が駆動しサイクロン式分離器4からスラッジポッド8へ含液分離物7が供給されている状態で、排水手段27のバルブ38を開放してポンプ13の駆動により排水手段27からの排水の流れを生じさせた後に、ポンプ13を停止するとともに大気開放手段26のバルブ35を開放することによりサイフォン現象にて上澄み液9を排出するか、または、サイクロン式分離器4からスラッジポッド8へ含液分離物7が供給された状態にて、ポンプ13を停止するとともに排水手段27のバルブ38を開放して、含液分離物7が供給配管部材31内を自重で下降してスラッジポッド8へ移動することで排水の流れを生じさせた後に、大気開放手段26のバルブ35を開放することによりサイフォン現象にて上澄み液9を排出する。
さらに、大気開放手段26では、大気開放開閉手段としてのバルブ35が設けられた構成としたがこのような構成には限定されず、例えば逆支弁等を適用してもよい。
2 被処理液
3 被処理液槽
4 サイクロン式分離器
7 含液分離物
8 スラッジポッド
9 上澄み液
10 堆積物である堆積スラッジ
16 流出口
21 ポッド本体
22 蓋体
23 サイフォン現象発生手段
25 供給手段
26 大気開放手段
27 排水手段
31 供給配管部材
32 供給開閉手段としてのバルブ
34 大気開放配管部材
35 大気開放開閉手段としてのバルブ
37 排水配管部材
38 排水開閉手段としてのバルブ
本発明は、サイクロン式分離器を用いて被処理液から固形物を分離する分離システムおよびサイクロン式分離器からの含液分離物が供給されるスラッジポッドに関する。
従来、この種のスラッジポッドとしては、例えば特許文献1等に記載されているように、サイクロン式分離器に下流側に接続され、サイクロン式分離器からの含液分離物が順次供給されて、その供給された含液分離物が下側から引き抜かれる構成のものが知られている。
しかしながら、上述の特許文献1の構成では、スラッジポッドの含液分離物の自重を利用して下側から排出する構造であるため、特に含液分離物が固化しやすい場合には、スラッジポッド内に内容物が残留し、適切に内容物を排出できない可能性があった。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、内容物を適切に排出できる分離システムおよびスラッジポッドを提供することを目的とする。
請求項1に記載された分離システムは、被処理液から固形物を分離する分離システムであって、サイクロン式分離器と、このサイクロン式分離器へ被処理液を供給するためのポンプと、前記サイクロン式分離器にて被処理液から分離された含液分離物が供給されるスラッジポッドとを備え、前記スラッジポッドは、上側に開口部を有するポッド本体と、このポッド本体の開口部を開閉する蓋体と、前記ポッド本体内の内容物における上澄み液をサイフォン現象を利用して前記ポッド本体外へ排出するためのサイフォン現象発生手段とを具備し、前記サイフォン現象発生手段は、前記サイクロン式分離器からの前記含液分離物を前記ポッド本体へ供給するために前記サイクロン式分離器と前記ポッド本体との連通状態を切替可能な供給手段と、前記ポッド本体内へ外部から空気を吸引するために前記ポッド本体内と外気との連通状態を切替可能な大気開放手段と、前記ポッド本体内から前記上澄み液を排出するために前記ポッド本体と前記上澄み液の被排出部との連通状態を切替可能な排水手段とを有し、前記ポンプの駆動力を利用して前記ポッド本体から前記被排出部への前記上澄み液の排水の流れを生じさせた上で、前記サイクロン式分離器からの前記ポッド本体への前記含液分離物の供給を停止させかつ前記ポッド本体内へ空気を吸引させることで、前記ポッド本体から前記上澄み液が排出されるものである。
請求項2に記載された分離システムは、請求項1記載の分離システムにおいて、供給手段は、一端部がサイクロン式分離器における含液分離物の流出口に接続され他端部がポッド本体内に連通可能に接続された供給配管部材と、この供給配管部材を開閉する供給開閉手段とを有し、大気開放手段は、一端部が前記ポッド本体内に連通可能に接続され他端部が大気中に開放された大気開放配管部材と、この大気開放配管部材を開閉する大気開放開閉手段とを有し、排水手段は、一端部が前記ポッド本体内に連通可能に接続された排水配管部材と、この排水配管部材を開閉する排水開閉手段とを有するものである。
請求項3に記載されたスラッジポッドは、サイクロン式分離器にて被処理液から分離された含液分離物が供給されるスラッジポッドであって、上側に開口部を有する有底筒状で、供給された前記含液分離物を上澄み液と堆積物と沈殿分離可能なポッド本体と、このポッド本体の開口部を開閉する蓋体と、前記ポッド本体内の内容物における前記上澄み液をサイフォン現象を利用して前記ポッド本体外へ排出するためのサイフォン現象発生手段とを具備したものである。
本発明によれば、サイフォン現象発生手段を備えるため、このサイフォン現象を利用して上澄み液を排出した後、ポッド本体内の堆積物を開口部から排出できるため、内容物を適切に排出できる。
本発明の一実施の形態に係るスラッジポッドが用いられた分離システムにおいて、サイクロン式分離器から含液分離物が供給されている状態を示す配管図である。
同上スラッジポッドが用いられた分離システムにおいて、スラッジポッドから上澄み液を排出している状態を示す配管図である。
以下、本発明の一実施の形態の構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2において、1は分離システムであり、この分離システム1は、スラッジ等の固形物が混入したダーティ液である被処理液2から固形物を分離処理するものである。
すなわち、分離システム1は、被処理液槽3からの被処理液2をサイクロン式分離器4で分離処理し、固形物が分離されたクリーン液である処理液5が処理液槽6へ供給され、固形物を含む含液分離物7がスラッジポッド8に供給される。
サイクロン式分離器4は、支持体11の上側設置部12に設置されており、ポンプ13の駆動によって配管部材14を通って被処理液槽3から被処理液2が供給される。
また、サイクロン式分離器4は、その供給された被処理液2を内部で旋回させながら、その液中から固形物を遠心分離する。
そして、サイクロン式分離器4は、遠心分離により固形物が分離された処理液5を上部の流出口15から流出させるとともに、固形物を含む含液分離物7を下部の流出口16から流出させる。
また、処理液5は流出口15から配管部材17を介して処理液槽6へ供給され、含液分離物7は流出口16から供給手段25を介してスラッジポッド8に供給される。
スラッジポッド8は、サイクロン式分離器4の下方に位置するように、支持体11の上下動可能な下側設置部18に設置されている。
また、スラッジポッド8は、上側に開口部が設けられた容器状のポッド本体21と、このポッド本体21の開口部を開閉する蓋体22と、ポッド本体21内の内容物における上澄み液9をサイフォン現象を利用してポッド本体21外へ排出するサイフォン現象発生手段23とを備えている。
ポッド本体21は、上方に向けて開放した有底円筒状である。また、周面の全体または一部が透明で内部の内容物の量が確認できる構成が好ましい。
ポッド本体21の開口部が設けられた上端縁部には、例えば開閉レバー付きバンド等の固定手段24にて蓋体22を水密に固定するための図示しない固定部が設けられている。
蓋体22は、ポッド本体21の上端部に取外可能に取り付けられ、図示しない被固定部にて固定手段24によりポッド本体21に対して水密に固定される。
つまり、固定手段24でポッド本体21に蓋体22を固定して取り付けることにより、ポッド本体21の開口部が閉塞され、固定手段24による固定を解除して蓋体22をポッド本体21から取り外すことにより、ポッド本体21の開口部が開放される。
また、蓋体22には、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態にて、サイフォン現象を利用してポッド本体21から内容物の上澄み液9を排出するためのサイフォン現象発生手段23が設けられている。
このサイフォン現象発生手段23は、サイクロン式分離器4からの含液分離物7をポッド本体21へ供給するための供給手段25と、ポッド本体21内を大気開放するための大気開放手段26と、ポッド本体21内の上澄み液9を排出するための排水手段27とを有している。
供給手段25は、サイクロン式分離器4およびスラッジポッド8に接続された供給配管部材31と、この供給配管部材31を開閉する供給開閉手段としてのバルブ32とを有している。
供給配管部材31は、一端部がサイクロン式分離器4の流出口16に接続され、他端部がスラッジポッド8の蓋体22に設けられた図示しない供給接続口に接続されている。
また、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態においては、供給配管部材31がポッド本体21内に連通しており、バルブ32を操作することで、サイクロン式分離器4とスラッジポッド8とが連通した状態と連通していない状態とを切替可能である。
なお、バルブ32を開放した状態では、サイクロン式分離器4にて分離された含液分離物7が、随時供給配管部材31を通ってポッド本体21内へ供給され、ポッド本体21内において含液分離物7が、堆積物である堆積スラッジ10と上澄み液9とに沈殿分離される。
大気開放手段26は、スラッジポッド8に接続された大気開放配管部材34と、この大気開放配管部材34を開閉する大気開放開閉手段としてのバルブ35とを有している。
大気開放配管部材34は、一端部がスラッジポッド8の蓋体22に設けられた図示しない吸入接続口に接続され、他端部が外部に露出されている。
また、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態においては、大気開放配管部材34がポッド本体21内に連通しており、バルブ35を操作することで、スラッジポッド8が大気(外気)に連通した状態と連通していない状態とを切替可能である。
なお、バルブ35を開放した状態では、スラッジポッド8内が大気開放されて、大気開放配管部材34を通ってポッド本体21内へ空気を吸引可能である。
また、ポンプ13が駆動し供給手段25のバルブ32を開放した状態で大気開放手段26のバルブ35を開放するとスラッジポッド8の内容物が大気開放手段26から排出されてしまう可能性があるため、バルブ35を開放する際には供給手段25のバルブ32を閉塞する。
排水手段27は、スラッジポッド8および被処理液槽3に接続された排水配管部材37と、この排水配管部材37を開閉する排水開閉手段としてのバルブ38とを有している。
排水配管部材37は、一端部がスラッジポッド8の蓋体22に設けられた図示しない排水接続口に接続され、他端部が被処理液槽3内に連通して接続されている。
また、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態においては、排水配管部材37がポッド本体21内に連通しており、バルブ38を操作することで、スラッジポッド8と被処理液槽3とが連通した状態と連通していない状態とを切替可能である。
なお、ポッド本体21内において堆積スラッジ10が所定量(例えばポッド本体21の容積の半分)以上堆積した状態では、ポッド本体21内に連通した排水配管部材37の一端部が上澄み液9に接触するように水没しており、バルブ38を開放すると、ポッド本体21内の上澄み液9が排水配管部材37を通って被処理液槽3へ排水可能な状態となる。
そして、供給手段25のバルブ32が開放され、サイクロン式分離器4からの含液分離物7がスラッジポッド8へ所定量供給された状態(ポッド本体21内に堆積スラッジ10が所定量堆積した状態)にて、排水手段27のバルブ38を開放し排水手段27から上澄み液9を流動させて排水の流れを生じさせた上で、供給手段25のバルブ32の閉塞と、大気開放手段26のバルブ35の開放とを同時に行なうことで、ポッド本体21内の上澄み液9がサイフォン現象によって被処理液槽3へ排出される。
なお、排水手段27は、サイフォン現象を利用してポッド本体21内の上澄み液9を被処理液槽3へ排出するものであるため、ポッド本体21内の上澄み液9の水面が被処理液槽3の水面より高い位置に配置されるようにポッド本体21が設置される構成が好ましい。
次に、上記一実施の形態の作用および効果を説明する。
分離システム1では、ポンプ13の駆動により、被処理液槽3からサイクロン式分離器4へ被処理液2が供給される。
サイクロン式分離器4では、固形物が分離された処理液5と、固形物を含む含液分離物7に分離される。
また、図1に示すように、処理液5はサイクロン式分離器4から配管部材17を通って処理液槽6へ供給され、含液分離物7はサイクロン式分離器4から開放状態の供給手段25を介してスラッジポッド8へ供給される。
サイクロン式分離器4から供給された含液分離物7は、ポッド本体21内において、堆積スラッジ10と上澄み液9とに沈殿分離される。
また、含液分離物7がスラッジポッド8に所定量供給され、ポッド本体21内において堆積スラッジ10が所定量堆積したことを確認した後、排水手段27のバルブ38を開放する。
供給手段25のバルブ32を開放したまま排水手段27のバルブ38を開放すると、供給手段25からの含液分離物7の供給にともなって、排水手段27から上澄み液9が排水されて排水の流れができる。
このように排水の流れを生じさせた後で、供給手段25のバルブ32の閉塞と、大気開放手段26のバルブ35の開放とを同時に行なう。
なお、ポンプ13を駆動させかつ供給手段25のバルブ32が開放された状態で、大気開放手段26のバルブ35を開放すると、スラッジポッド8の内容物が大気開放手段26から排出されてしまう可能性があるため、供給手段25のバルブ32の閉塞と、大気開放手段26のバルブ35の開放とは同時に行なうことが好ましい。
これらバルブ32およびバルブ35の操作によって、供給手段25からの含液分離物7の供給は停止するが、大気開放手段26から空気が吸引されるため、サイフォン現象によって排水の流れが維持され、ポンプ等の動力がなくてもポッド本体21から上澄み液9が排出される。
上澄み液9の水位が排水配管部材37の一端部の高さになるまで上澄み液9が排出されたら、大気開放手段26のバルブ35および排水手段27のバルブ38を閉塞して排水を停止する。
排水を停止した状態にて、固定手段24によるポッド本体21に対する蓋体22の固定を解除し、蓋体22をポッド本体21から取り外して、主に堆積スラッジ10で構成されるポッド本体21の内容物を手動で廃棄する。
また、ポッド本体21の内容物をしっかりと廃棄した後には、蓋体22をポッド本体21にセットし、分離システム1による分離を再開する。
そして上記一実施の形態によれば、スラッジポッド8は、サイフォン現象発生手段23を備えるため、ポンプ等の動力を用いずに、サイフォン現象を利用してポッド本体21の上澄み液9を排出できるとともに、上澄み液9を排出した後にポッド本体21内の堆積スラッジ10を開口部から手動で排出できる。そのため、例えば堆積スラッジ10が固化しやすいものであったとしても、ポッド本体21に残留物が生じることなく、ポッド本体21から内容物を適切に排出できる。
また、ポッド本体21へ含液分離物7を供給するための供給手段25と、ポッド本体21を大気開放するための大気開放手段26と、ポッド本体21から上澄み液9を排出するための排水手段27とを有することにより、含液分離物7の供給と、空気の吸引と、上澄み液9の排出とを切り替えるだけで、容易かつスムーズにサイフォン現象を利用してポッド本体21から上澄み液9を排出できる。
さらに、少なくともポッド本体21内での堆積スラッジ10の堆積量が所定量以上となった状態において、排水配管部材37の一端部が上澄み液9に水没し、ポッド本体21における上澄み液9の水面が被処理液槽3における被処理液2の水面より高いことにより、サイフォン現象によって上澄み液9がポッド本体21から排出されやすくなり、よりスムーズに排水できる。
なお、上記一実施の形態では、サイフォン現象発生手段23は、サイフォン現象を利用してポッド本体21内に上澄み液9を排出できる構成であればよく、例えば、バルブ32等の供給開閉手段が設けられておらず、供給手段25が常に連通状態である構成にしてもよい。この構成の場合には、ポンプ13が駆動しサイクロン式分離器4からスラッジポッド8へ含液分離物7が供給されている状態で、排水手段27のバルブ38を開放してポンプ13の駆動により排水手段27からの排水の流れを生じさせた後に、ポンプ13を停止するとともに大気開放手段26のバルブ35を開放することによりサイフォン現象にて上澄み液9を排出するか、または、サイクロン式分離器4からスラッジポッド8へ含液分離物7が供給された状態にて、ポンプ13を停止するとともに排水手段27のバルブ38を開放して、含液分離物7が供給配管部材31内を自重で下降してスラッジポッド8へ移動することで排水の流れを生じさせた後に、大気開放手段26のバルブ35を開放することによりサイフォン現象にて上澄み液9を排出する。
さらに、大気開放手段26では、大気開放開閉手段としてのバルブ35が設けられた構成としたがこのような構成には限定されず、例えば逆支弁等を適用してもよい。
1 分離システム
2 被処理液
4 サイクロン式分離器
7 含液分離物
8 スラッジポッド
9 上澄み液
10 堆積物である堆積スラッジ
13 ポンプ
16 流出口
21 ポッド本体
22 蓋体
23 サイフォン現象発生手段
25 供給手段
26 大気開放手段
27 排水手段
31 供給配管部材
32 供給開閉手段としてのバルブ
34 大気開放配管部材
35 大気開放開閉手段としてのバルブ
37 排水配管部材
38 排水開閉手段としてのバルブ
本発明は、サイクロン式分離器を用いて被処理液から固形物を分離する分離システムに関する。
従来、この種の分離システムに用いられるスラッジポッドとしては、例えば特許文献1等に記載されているように、サイクロン式分離器に下流側に接続され、サイクロン式分離器からの含液分離物が順次供給されて、その供給された含液分離物が下側から引き抜かれる構成のものが知られている。
しかしながら、上述の特許文献1の構成では、スラッジポッドの含液分離物の自重を利用して下側から排出する構造であるため、特に含液分離物が固化しやすい場合には、スラッジポッド内に内容物が残留し、適切に内容物を排出できない可能性があった。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、内容物を適切に排出できる分離システムを提供することを目的とする。
請求項1に記載された分離システムは、被処理液から固形物を分離する分離システムであって、サイクロン式分離器と、このサイクロン式分離器へ被処理液を供給するためのポンプと、前記サイクロン式分離器にて被処理液から分離された含液分離物が供給されるスラッジポッドとを備え、前記スラッジポッドは、上側に開口部を有するポッド本体と、このポッド本体の開口部を開閉する蓋体と、前記ポッド本体内の内容物における上澄み液をサイフォン現象を利用して前記ポッド本体外へ排出するためのサイフォン現象発生手段とを具備し、前記サイフォン現象発生手段は、前記サイクロン式分離器からの前記含液分離物を前記ポッド本体へ供給するために前記サイクロン式分離器と前記ポッド本体との連通状態を切替可能な供給手段と、前記ポッド本体内へ外部から空気を吸引するために前記ポッド本体内と外気との連通状態を切替可能な大気開放手段と、前記ポッド本体内から前記上澄み液を排出するために前記ポッド本体と前記上澄み液の被排出部との連通状態を切替可能な排水手段とを有し、前記ポンプの駆動力を利用して前記ポッド本体から前記被排出部への前記上澄み液の排水の流れを生じさせた上で、前記供給手段によって前記サイクロン式分離器と前記ポッド本体との連通状態を閉塞することおよび前記ポンプの駆動を停止することの少なくともいずれかによって前記サイクロン式分離器からの前記ポッド本体への前記含液分離物の供給を停止させかつ前記大気開放手段によって前記ポッド本体内と外気とを連通させて前記ポッド本体内へ空気を吸引させることで、前記ポッド本体から前記上澄み液が排出されるものである。
請求項2に記載された分離システムは、請求項1記載の分離システムにおいて、供給手段は、一端部がサイクロン式分離器における含液分離物の流出口に接続され他端部がポッド本体内に連通可能に接続された供給配管部材と、この供給配管部材を開閉する供給開閉手段とを有し、大気開放手段は、一端部が前記ポッド本体内に連通可能に接続され他端部が大気中に開放された大気開放配管部材と、この大気開放配管部材を開閉する大気開放開閉手段とを有し、排水手段は、一端部が前記ポッド本体内に連通可能に接続された排水配管部材と、この排水配管部材を開閉する排水開閉手段とを有するものである。
本発明によれば、サイフォン現象発生手段を備えるため、このサイフォン現象を利用して上澄み液を排出した後、ポッド本体内の堆積物を開口部から排出できるため、内容物を適切に排出できる。
本発明の一実施の形態に係るスラッジポッドが用いられた分離システムにおいて、サイクロン式分離器から含液分離物が供給されている状態を示す配管図である。
同上スラッジポッドが用いられた分離システムにおいて、スラッジポッドから上澄み液を排出している状態を示す配管図である。
以下、本発明の一実施の形態の構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2において、1は分離システムであり、この分離システム1は、スラッジ等の固形物が混入したダーティ液である被処理液2から固形物を分離処理するものである。
すなわち、分離システム1は、被処理液槽3からの被処理液2をサイクロン式分離器4で分離処理し、固形物が分離されたクリーン液である処理液5が処理液槽6へ供給され、固形物を含む含液分離物7がスラッジポッド8に供給される。
サイクロン式分離器4は、支持体11の上側設置部12に設置されており、ポンプ13の駆動によって配管部材14を通って被処理液槽3から被処理液2が供給される。
また、サイクロン式分離器4は、その供給された被処理液2を内部で旋回させながら、その液中から固形物を遠心分離する。
そして、サイクロン式分離器4は、遠心分離により固形物が分離された処理液5を上部の流出口15から流出させるとともに、固形物を含む含液分離物7を下部の流出口16から流出させる。
また、処理液5は流出口15から配管部材17を介して処理液槽6へ供給され、含液分離物7は流出口16から供給手段25を介してスラッジポッド8に供給される。
スラッジポッド8は、サイクロン式分離器4の下方に位置するように、支持体11の上下動可能な下側設置部18に設置されている。
また、スラッジポッド8は、上側に開口部が設けられた容器状のポッド本体21と、このポッド本体21の開口部を開閉する蓋体22と、ポッド本体21内の内容物における上澄み液9をサイフォン現象を利用してポッド本体21外へ排出するサイフォン現象発生手段23とを備えている。
ポッド本体21は、上方に向けて開放した有底円筒状である。また、周面の全体または一部が透明で内部の内容物の量が確認できる構成が好ましい。
ポッド本体21の開口部が設けられた上端縁部には、例えば開閉レバー付きバンド等の固定手段24にて蓋体22を水密に固定するための図示しない固定部が設けられている。
蓋体22は、ポッド本体21の上端部に取外可能に取り付けられ、図示しない被固定部にて固定手段24によりポッド本体21に対して水密に固定される。
つまり、固定手段24でポッド本体21に蓋体22を固定して取り付けることにより、ポッド本体21の開口部が閉塞され、固定手段24による固定を解除して蓋体22をポッド本体21から取り外すことにより、ポッド本体21の開口部が開放される。
また、蓋体22には、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態にて、サイフォン現象を利用してポッド本体21から内容物の上澄み液9を排出するためのサイフォン現象発生手段23が設けられている。
このサイフォン現象発生手段23は、サイクロン式分離器4からの含液分離物7をポッド本体21へ供給するための供給手段25と、ポッド本体21内を大気開放するための大気開放手段26と、ポッド本体21内の上澄み液9を排出するための排水手段27とを有している。
供給手段25は、サイクロン式分離器4およびスラッジポッド8に接続された供給配管部材31と、この供給配管部材31を開閉する供給開閉手段としてのバルブ32とを有している。
供給配管部材31は、一端部がサイクロン式分離器4の流出口16に接続され、他端部がスラッジポッド8の蓋体22に設けられた図示しない供給接続口に接続されている。
また、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態においては、供給配管部材31がポッド本体21内に連通しており、バルブ32を操作することで、サイクロン式分離器4とスラッジポッド8とが連通した状態と連通していない状態とを切替可能である。
なお、バルブ32を開放した状態では、サイクロン式分離器4にて分離された含液分離物7が、随時供給配管部材31を通ってポッド本体21内へ供給され、ポッド本体21内において含液分離物7が、堆積物である堆積スラッジ10と上澄み液9とに沈殿分離される。
大気開放手段26は、スラッジポッド8に接続された大気開放配管部材34と、この大気開放配管部材34を開閉する大気開放開閉手段としてのバルブ35とを有している。
大気開放配管部材34は、一端部がスラッジポッド8の蓋体22に設けられた図示しない吸入接続口に接続され、他端部が外部に露出されている。
また、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態においては、大気開放配管部材34がポッド本体21内に連通しており、バルブ35を操作することで、スラッジポッド8が大気(外気)に連通した状態と連通していない状態とを切替可能である。
なお、バルブ35を開放した状態では、スラッジポッド8内が大気開放されて、大気開放配管部材34を通ってポッド本体21内へ空気を吸引可能である。
また、ポンプ13が駆動し供給手段25のバルブ32を開放した状態で大気開放手段26のバルブ35を開放するとスラッジポッド8の内容物が大気開放手段26から排出されてしまう可能性があるため、バルブ35を開放する際には供給手段25のバルブ32を閉塞する。
排水手段27は、スラッジポッド8および被処理液槽3に接続された排水配管部材37と、この排水配管部材37を開閉する排水開閉手段としてのバルブ38とを有している。
排水配管部材37は、一端部がスラッジポッド8の蓋体22に設けられた図示しない排水接続口に接続され、他端部が被処理液槽3内に連通して接続されている。
また、蓋体22がポッド本体21に取り付けられた状態においては、排水配管部材37がポッド本体21内に連通しており、バルブ38を操作することで、スラッジポッド8と被処理液槽3とが連通した状態と連通していない状態とを切替可能である。
なお、ポッド本体21内において堆積スラッジ10が所定量(例えばポッド本体21の容積の半分)以上堆積した状態では、ポッド本体21内に連通した排水配管部材37の一端部が上澄み液9に接触するように水没しており、バルブ38を開放すると、ポッド本体21内の上澄み液9が排水配管部材37を通って被処理液槽3へ排水可能な状態となる。
そして、供給手段25のバルブ32が開放され、サイクロン式分離器4からの含液分離物7がスラッジポッド8へ所定量供給された状態(ポッド本体21内に堆積スラッジ10が所定量堆積した状態)にて、排水手段27のバルブ38を開放し排水手段27から上澄み液9を流動させて排水の流れを生じさせた上で、供給手段25のバルブ32の閉塞と、大気開放手段26のバルブ35の開放とを同時に行なうことで、ポッド本体21内の上澄み液9がサイフォン現象によって被処理液槽3へ排出される。
なお、排水手段27は、サイフォン現象を利用してポッド本体21内の上澄み液9を被処理液槽3へ排出するものであるため、ポッド本体21内の上澄み液9の水面が被処理液槽3の水面より高い位置に配置されるようにポッド本体21が設置される構成が好ましい。
次に、上記一実施の形態の作用および効果を説明する。
分離システム1では、ポンプ13の駆動により、被処理液槽3からサイクロン式分離器4へ被処理液2が供給される。
サイクロン式分離器4では、固形物が分離された処理液5と、固形物を含む含液分離物7に分離される。
また、図1に示すように、処理液5はサイクロン式分離器4から配管部材17を通って処理液槽6へ供給され、含液分離物7はサイクロン式分離器4から開放状態の供給手段25を介してスラッジポッド8へ供給される。
サイクロン式分離器4から供給された含液分離物7は、ポッド本体21内において、堆積スラッジ10と上澄み液9とに沈殿分離される。
また、含液分離物7がスラッジポッド8に所定量供給され、ポッド本体21内において堆積スラッジ10が所定量堆積したことを確認した後、排水手段27のバルブ38を開放する。
供給手段25のバルブ32を開放したまま排水手段27のバルブ38を開放すると、供給手段25からの含液分離物7の供給にともなって、排水手段27から上澄み液9が排水されて排水の流れができる。
このように排水の流れを生じさせた後で、供給手段25のバルブ32の閉塞と、大気開放手段26のバルブ35の開放とを同時に行なう。
なお、ポンプ13を駆動させかつ供給手段25のバルブ32が開放された状態で、大気開放手段26のバルブ35を開放すると、スラッジポッド8の内容物が大気開放手段26から排出されてしまう可能性があるため、供給手段25のバルブ32の閉塞と、大気開放手段26のバルブ35の開放とは同時に行なうことが好ましい。
これらバルブ32およびバルブ35の操作によって、供給手段25からの含液分離物7の供給は停止するが、大気開放手段26から空気が吸引されるため、サイフォン現象によって排水の流れが維持され、ポンプ等の動力がなくてもポッド本体21から上澄み液9が排出される。
上澄み液9の水位が排水配管部材37の一端部の高さになるまで上澄み液9が排出されたら、大気開放手段26のバルブ35および排水手段27のバルブ38を閉塞して排水を停止する。
排水を停止した状態にて、固定手段24によるポッド本体21に対する蓋体22の固定を解除し、蓋体22をポッド本体21から取り外して、主に堆積スラッジ10で構成されるポッド本体21の内容物を手動で廃棄する。
また、ポッド本体21の内容物をしっかりと廃棄した後には、蓋体22をポッド本体21にセットし、分離システム1による分離を再開する。
そして上記一実施の形態によれば、スラッジポッド8は、サイフォン現象発生手段23を備えるため、ポンプ等の動力を用いずに、サイフォン現象を利用してポッド本体21の上澄み液9を排出できるとともに、上澄み液9を排出した後にポッド本体21内の堆積スラッジ10を開口部から手動で排出できる。そのため、例えば堆積スラッジ10が固化しやすいものであったとしても、ポッド本体21に残留物が生じることなく、ポッド本体21から内容物を適切に排出できる。
また、ポッド本体21へ含液分離物7を供給するための供給手段25と、ポッド本体21を大気開放するための大気開放手段26と、ポッド本体21から上澄み液9を排出するための排水手段27とを有することにより、含液分離物7の供給と、空気の吸引と、上澄み液9の排出とを切り替えるだけで、容易かつスムーズにサイフォン現象を利用してポッド本体21から上澄み液9を排出できる。
さらに、少なくともポッド本体21内での堆積スラッジ10の堆積量が所定量以上となった状態において、排水配管部材37の一端部が上澄み液9に水没し、ポッド本体21における上澄み液9の水面が被処理液槽3における被処理液2の水面より高いことにより、サイフォン現象によって上澄み液9がポッド本体21から排出されやすくなり、よりスムーズに排水できる。
なお、上記一実施の形態では、サイフォン現象発生手段23は、サイフォン現象を利用してポッド本体21内に上澄み液9を排出できる構成であればよく、例えば、バルブ32等の供給開閉手段が設けられておらず、供給手段25が常に連通状態である構成にしてもよい。この構成の場合には、ポンプ13が駆動しサイクロン式分離器4からスラッジポッド8へ含液分離物7が供給されている状態で、排水手段27のバルブ38を開放してポンプ13の駆動により排水手段27からの排水の流れを生じさせた後に、ポンプ13を停止するとともに大気開放手段26のバルブ35を開放することによりサイフォン現象にて上澄み液9を排出するか、または、サイクロン式分離器4からスラッジポッド8へ含液分離物7が供給された状態にて、ポンプ13を停止するとともに排水手段27のバルブ38を開放して、含液分離物7が供給配管部材31内を自重で下降してスラッジポッド8へ移動することで排水の流れを生じさせた後に、大気開放手段26のバルブ35を開放することによりサイフォン現象にて上澄み液9を排出する。
さらに、大気開放手段26では、大気開放開閉手段としてのバルブ35が設けられた構成としたがこのような構成には限定されず、例えば逆支弁等を適用してもよい。
1 分離システム
2 被処理液
4 サイクロン式分離器
7 含液分離物
8 スラッジポッド
9 上澄み液
10 堆積物である堆積スラッジ
13 ポンプ
16 流出口
21 ポッド本体
22 蓋体
23 サイフォン現象発生手段
25 供給手段
26 大気開放手段
27 排水手段
31 供給配管部材
32 供給開閉手段としてのバルブ
34 大気開放配管部材
35 大気開放開閉手段としてのバルブ
37 排水配管部材
38 排水開閉手段としてのバルブ