以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのインクジェットプリンタについて説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態におけるインクジェットプリンタの要部を示す斜視図である。
図において、10はインクジェットプリンタ、Frは該インクジェットプリンタ10のフレームである。
該フレームFrは、インクジェットプリンタ10を前側(図において手前側)から見たときの左端から右端にかけて延在させて配設された受け板PB、該受け板PBの左端から立ち上げて形成された第1の主フレームとしてのサイドプレートPL1、受け板PBの右端から立ち上げて形成された第2の主フレームとしてのサイドプレートPR1、前記サイドプレートPL1より所定の距離だけ右方において受け板PBから立ち上げて形成された第1の副フレームとしての枠体PL2、前記サイドプレートPR1より所定の距離だけ左方において受け板PBから立ち上げて形成された第2の副フレームとしての枠体PR2、並びに各サイドプレートPL1、PR1及び枠体PL2、PR2の各上端を連結する上板PTを備える。
前記サイドプレートPL1、PR1間にレール15が配設(架設)され、該レール15に沿ってキャリッジ17が左右方向、すなわち、主走査方向に移動自在に配設される。そのために、前記サイドプレートPR1に駆動側のプーリ18が、サイドプレートPL1に従動側のプーリ19が回転自在に配設され、駆動側のプーリ18と従動側のプーリ19とによって無端ベルト21が走行自在に張設され、該無端ベルト21の所定の箇所に前記キャリッジ17が取り付けられる。該キャリッジ17内には、一つ又は複数の、本実施の形態においては、カラーの画像を形成することができるように、複数の後述される記録ヘッドHdi(i=1、2、…)(図4)がノズル面を下方に向けて配設され、インクジェットプリンタ10の所定の箇所に配設された後述されるインクカートリッジ50(図1)から各色のインクが記録ヘッドHdiに供給される。また、駆動側のプーリ18に近接させてキャリッジ走行用の駆動部としてのキャリッジモータ24が配設される。
前記レール15に沿って、かつ、レール15と平行に延在させてリニアスケール23が配設され、該リニアスケール23の目盛りが、キャリッジ17に配設された図示されないエンコーダによって読み取られ、該エンコーダのセンサ出力に基づいてキャリッジ17の位置が検出される。また、キャリッジ17の位置の変化及び時間に基づいてキャリッジ17の移動速度が算出される。
したがって、前記キャリッジモータ24を駆動することによって前記駆動側のプーリ18を回転させ、無端ベルト21を走行させると、キャリッジ17を主走査方向に移動させ、各記録ヘッドHdiを主走査方向に移動させることができる。このとき、キャリッジ17の移動に伴って各記録ヘッドHdiから各色のインク滴が記録媒体Pに向けて吐出され、記録媒体Pに付着させられることによって、記録媒体Pに文字、イメージ等の画像が形成される。なお、記録媒体Pとしては、用紙のほかに、塩化ビニル、PET等の樹脂製のフィルム等を使用することができる。
このようにして、記録ヘッドHdiによる記録が行われ、印刷が行われる。
また、前記レール15に沿って、かつ、レール15と平行に、すなわち、主走査方向に延在させて、プレート状の形状を有するプラテン25が配設される。該プラテン25は、前記受け板PB上における枠体PL2、PR2間に延在させて配設され、プラテン25上を搬送される記録媒体Pを支持する。
そして、前記プラテン25の下方に、記録媒体Pを負圧によってプラテン25に引き寄せるための図示されない空気吸引装置が配設される。該空気吸引装置は、プラテン25の下方の全域に形成され、吸引室、吸引用のファン等から成る。前記プラテン25には複数の孔が形成され、吸引用のファンによって前記各孔を介してプラテン25上の空気が吸引され、これにより、記録媒体Pはプラテン25によって平坦に支持される。
また、前記プラテン25より後方に、第1の媒体案内部としての図示されないリヤペーパガイドが配設され、該リヤペーパガイドは、図示されない繰出しロールから繰り出された記録媒体Pを前記プラテン25に向けて案内する。そのために、前記リヤペーパガイドとプラテン25との間に、搬送部材としての搬送ローラ対30が回転自在に配設される。
該搬送ローラ対30は、プラテン25に隣接させて、インクジェットプリンタ10の走査方向に延在させて回転自在に配設された第1のローラとしての搬送ローラ31、及び該搬送ローラ31より上方において、所定のピッチで複数箇所に回転自在に配設され、記録媒体Pを搬送ローラ31に押し付ける第2のローラとしてのピンチローラ32から成る。搬送用の駆動部としての後述される搬送モータMt(図4)を駆動し、搬送ローラ31を回転させると、ピンチローラ32が連れ回りで回転させられる。
これにより、記録媒体Pは、搬送ローラ31とピンチローラ32とによって挟まれた状態で前記繰出しロールから繰り出され、リヤペーパガイド上をプラテン25に向けて送られる。そして、プラテン25上を搬送されている間に、記録媒体Pと記録ヘッドHdiのノズル面とが対向させられ、記録ヘッドHdiからインク滴が吐出され、記録媒体Pに付着させられる。
この場合、前記搬送モータMtを駆動して記録媒体Pを所定の距離搬送した後、搬送モータMtを停止させ、その状態でキャリッジ17を移動させ、記録ヘッドHdiからインク滴を吐出させることによって、1走査が行われ、1ライン分の画像が形成される。1走査が終了すると、前記搬送モータMtを再び駆動して記録媒体Pを所定の距離搬送した後、搬送モータMtを停止させ、その状態でキャリッジ17を移動させ、記録ヘッドHdiからインク滴を吐出させることによって、1走査が行われ、1ライン分の画像が形成される。この動作を繰り返すことによって、記録媒体Pに画像が形成され、印刷が行われる。
なお、本実施の形態においては、シングルパス方式によって印刷が行われるようになっているが、マルチパス方式によって印刷を行う場合は、前記記録媒体Pを搬送する距離が記録ヘッドHdiのノズル列より短くされ、複数の走査を行うことによって1ライン分の画像が形成される。
そして、前記プラテン25より前方に、印刷が行われた後の記録媒体Pを案内し、排出するための第2の媒体案内部としてのフロントペーパガイド33が配設される。該フロントペーパガイド33は、前記プラテン25から水平方向に排出された記録媒体Pを下方に向けて案内するために、湾曲した形状を有する。
したがって、記録媒体Pは、リヤペーパガイドによって案内されてプラテン25に送られ、プラテン25上において、記録ヘッドHdiから吐出されたインク滴が付着させられて印刷が行われ、印刷が行われた後、フロントペーパガイド33によって案内され、フレームFrに配設された図示されない巻取装置に送られて、巻き取られる。
なお、前記リヤペーパガイド、プラテン25及びフロントペーパガイド33には加熱部材としての図示されないヒータが埋設され、記録媒体Pが、リヤペーパガイドにおいて予熱され、プラテン25及びフロントペーパガイド33において加熱され、これにより、記録媒体Pに付着したインク滴が乾燥するのが促進される。
また、枠体PR2とサイドプレートPR1との間には、記録ヘッドHdiのノズルを良好な状態に保持するために、各記録ヘッドHdiのノズル面を払拭する第1のメンテナンス装置としてのワイプユニット41が、サイドプレートPL1と枠体PL2との間には、ノズルの乾燥を防止するとともに、ノズル内で粘度が高くなったインクを吸引する吸引機構等から成る第2のメンテナンス装置としてのキャップユニット42が配設される。
次に、インクカートリッジ50について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるインクカートリッジの平面図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるインク袋の斜視図である。
図において、50はインクカートリッジであり、該インクカートリッジ50は、インクジェットプリンタ10(図2)の本体、すなわち、後述される装置本体Bd(図4)に対して着脱自在に配設される。
また、インクカートリッジ50は、矩形の形状を有し、上縁が開口させられた箱状体から成るインク袋支持部材としてのケース(トレイ)51、及び該ケース51に対して着脱自在に配設されたインク収容部材としてのインク袋52を備える。
そして、該インク袋52は、未使用のインクが充填され、収容される袋本体54、及び該袋本体54に取り付けられ、袋本体54内のインクを吐出し、記録ヘッドHdiに供給するための吐出口としてのスパウト55を備える。
前記袋本体54は、可撓性材料から成る2枚のシートStの周縁部Pegを互いに溶着することによって形成され、該周縁部Pegの内側にインクを収容するための密封された空間を備える。また、袋本体54は、矩形の形状を有し、前記スパウト55が取り付けられた第1の縁部eg1、該第1の縁部eg1と対向させて形成された第2の縁部eg2、及び第1、第2の縁部eg1、eg2間を接続する第3、第4の縁部eg3、eg4を備える。
そして、前記第1の縁部eg1におけるスパウト55の根元に、インク袋52をケース51に取り付け、固定するためのインク袋52側の第1の係止部としての襟部57が突出させて形成される。また、前記第2の縁部eg2における複数箇所、本実施の形態においては、2箇所に、インク袋52をケース51に取り付け、固定するためのインク袋52側の第2の係止部としての固定孔h1が形成される。
前記袋本体54は、強度、耐インク性及びガスバリヤ性を高くする必要があり、そのために、前記シートStは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフレート、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、共重合体エチレンビニルアルコール等の樹脂のうちの、少なくとも一種類の樹脂のフィルムを複数積層することによって形成される。なお、ガスバリヤ性を十分に高くするために、中間層として、例えば、アルミニウムから成る金属箔、金属蒸着膜等が配設される。
また、前記ケース51は、底壁部Wb、及び該底壁部Wbから立ち上げて形成され、インク袋52が取り付けられたときに、前記第1〜第4の縁部eg1〜eg4と対向させられる第1〜第4の側壁部W1〜W4を備える。該各第1〜第4の側壁部W1〜W4の上縁は、開放されていて、インク袋52をケース51に対して着脱することができるように、開口を形成する。
そして、前記第1の側壁部W1に、ケース51側の第1の被係止部としての溝59、及び開口61が形成され、前記第2の側壁部W2に、インク袋52を保持する保持部材としての保持板66が付勢部材としての板ばね67を介して移動自在に配設され、前記保持板66における2箇所に、ケース51側の第2の被係止部としてのフックk1が揺動自在に突出させて形成される。
したがって、襟部57を溝59に嵌入し、係止させ、スパウト55を開口61に挿入し、ケース51外に突出させるとともに、フックk1を固定孔h1に挿入し、係止させることによって、インク袋52をケース51に取り付け、セットすることができる。
このようにして形成されたインクカートリッジ50は、ケース51の第4の側壁部W4を下方に、第3の側壁部W3を上方に置き、直立させて、すなわち、インクカートリッジ50の短手方向が鉛直方向になるように、装置本体Bdに取り付けられる。
このとき、インク袋52は前記板ばね67の付勢力によって第2の側壁部W2に向けて付勢されるので、袋本体54が引き伸ばされ、袋本体54に折れが生じるのが防止される。
また、装置本体Bdに取り付けられたインクカートリッジ50から記録ヘッドHdiにインクを供給し、記録ヘッドHdiのノズルからインク滴を吐出させることができるように、前記ケース51の第1の側壁部W1に、インクカートリッジ50側の係合部としての凸部63、及びインクカートリッジ50側の端子としてのコネクタ部64が外方に向けて突出させて形成される。
そして、前記凸部63には、図示されない凹溝が形成され、インクカートリッジ50が装置本体Bdに取り付けられると、前記凹溝に、装置本体Bdに配設された被係合部としての図示されないピンが嵌入される。インクカートリッジ50は、凸部63の先端が装置本体Bdの対応箇所に当接し、あらかじめ設定された位置に取り付けられると、装置本体Bdに対して位置決めされる。
また、前記コネクタ部64には、図示されない凹溝が形成され、該凹溝に、装置本体Bdに配設された端子としての後述されるピンPn(図4)が嵌入される。さらに、インクカートリッジ50において、前記コネクタ部64が後述される回路基板65(図4)に接続される。
したがって、インクカートリッジ50を装置本体Bdに取り付けることによってピンPnとコネクタ部64とが接続されると、装置本体Bdに配設された後述される制御部Cn(図4)と、前記回路基板65に配設された図示されない回路基板メモリとが電気的に接続される。なお、装置本体Bd側の端子として、ピンPnに代えて、板バネ状のリード端子を使用することができる。
また、ケース51の第3、第4の側壁部W3、W4の外側面に、第1、第2の側壁部W1、W2間に延在させて被案内部材としての図示されない溝が形成され、装置本体Bdに、前記溝に対応させて案内部材としてのレールが配設され、溝にレールを嵌入させることによって、レールに沿ってインクカートリッジ50を移動させることができる。
さらに、前記装置本体Bdには、インクカートリッジ50内のインクを記録ヘッドHdiに供給するための図示されないインクチューブが配設され、該インクチューブの端部に針が突出させて配設される。したがって、インクカートリッジ50が装置本体Bdに取り付けられると、前記針がスパウト55内に挿入され、スパウト55が開口させられる。なお、インク袋52内は真空にされるので、袋本体54のインクが記録ヘッドHdiに供給されるのに伴って袋本体54は収縮する。
ところで、袋本体54は、可撓性材料で形成されるので、袋本体54内のインクの量に応じて変形する。
そこで、本実施の形態においては、収容されるインクの量に応じて袋本体54が変形しても、袋本体54内のインクを安定させてスパウト55から吐出させることができるように、袋本体54におけるケース51の底壁部Wbと対向する面に固定板70が取り付けられ、該固定板70によってインク袋52がケース51に押し付けられて固定される。
そのために、前記固定板70は、ほぼ矩形の形状を有するプレートから成り、袋本体54の第1〜第4の縁部eg1〜eg4に対応させて形成された第1〜第4の縁f1〜f4を備え、袋本体54における第2の縁部eg2側の半分以上の領域を覆うように、取付部材としての両面テープ71、72によって袋本体54に貼付される。
なお、インクカートリッジ50は、短手方向が鉛直方向になるように装置本体Bdに取り付けられるので、袋本体54は、インクが下方側に溜り、第4の縁f4側が第3の縁f3側より厚くなる傾向にある。そこで、前記固定板70は、袋本体54の上半部で長手方向の寸法が小さく、袋本体54の下半部で長手方向の寸法が大きくされる。
すなわち、前記第1の縁f1は、第3の縁f3側から第4の縁f4側にかけて傾斜させて形成された傾斜縁fa、及び該傾斜縁faの下端から第4の縁f4側にかけて前記第1の縁部eg1と平行に形成された張出縁fbを備え、傾斜縁fa及び張出縁fbによって、第1の側壁部W1に向けて張出部70aが形成される。また、前記両面テープ71は、第3の縁f3に沿って配設され、第1の縁部eg1側の端部71aが傾斜縁faの近傍に、第2の縁部eg2側の端部71bが第2の縁f2の近傍に置かれ、前記両面テープ72は、第4の縁f4に沿って配設され、第1の縁部eg1側の端部72aが張出縁fbの近傍に、第2の縁部eg2側の端部72bが第2の縁f2の近傍に置かれる。そして、両面テープ71の端部71aと両面テープ72の端部72aとを結んで、後述される非規制領域と規制領域とを区分する境界線LNが設定される。
また、固定板70における複数箇所、本実施の形態においては、4箇所に、インク袋52をケース51に押し付けて固定するための固定板70側の係止部としての凸部73〜76が形成される。すなわち、凸部73は、第3の縁f3における第1の縁f1の近傍において第3の側壁部W3に向けて突出させて形成され、凸部74は、第3の縁f3における第2の縁f2の近傍において第3の側壁部W3に向けて突出させて形成され、凸部75は、第4の縁f4における第1の縁f1の近傍において第4の側壁部W4に向けて突出させて形成され、凸部76は、第4の縁f4における第2の縁f2の近傍において、第4の側壁部W4に向けて突出させて形成される。
そして、前記ケース51における複数箇所、本実施の形態においては、4箇所に、インク袋52をケース51に取り付けるためのケース51側の第3の被係止部としての突起78〜81が形成される。すなわち、突起78、79は、第3の側壁部W3に、インク袋52に向けて突出させて、突起80、81は、第4の側壁部W4に、インク袋52に向けて突出させて形成され、インク袋52が底壁部Wb上に載置されたときに、前記固定板70の凸部73〜76がそれぞれ突起78〜81に係止させられる。これにより、固定板70は、底壁部Wbと密接させられた状態でインク袋52をケース51に押し付けて固定する。なお、この場合、凸部73〜76は、底壁部Wbと突起78〜81との間に挟持されるようにして突起78〜81に係止させられる。
前記固定板70が袋本体54に取り付けられた状態で、凸部73、74は袋本体54の第3の縁部eg3より、凸部75、76は袋本体54の第4の縁部eg4より突出させられるので、凸部73〜76は袋本体54と干渉することなく突起78〜81に係止させられる。したがって、インク袋52をケース51に安定させて取り付けることができる。
また、本実施の形態においては、袋本体54内のインクの量を検出することができるように、袋本体54における底壁部Wbと対向する面(固定板70が取り付けられた面)と反対側の面に検出板85が取り付けられる。
該検出板85は、ほぼ矩形の形状を有するプレートから成り、袋本体54の第1〜第4の縁部eg1〜eg4と対応させて形成された第1〜第4の縁g1〜g4を備え、袋本体54における第2の縁部eg2側の半分程度を覆うように、図示されない両面テープによって袋本体54に貼付される。
そして、検出板85における複数箇所、本実施の形態においては、2箇所に凸部87、88が形成される。すなわち、凸部87は、第3の縁g3に、第3の側壁部W3に向けて突出させて形成され、凸部88は、第4の縁g4に、第4の側壁部W4に向けて突出させて形成される。
前記凸部88の先端縁88eに、袋本体54内のインクの量を検出するための被検出部位としての被検出子92が突出させて配設される。また、前記ケース51の第4の側壁部W4における前記被検出子92と対向する箇所に窓部94が形成され、底壁部Wbにおける窓部94の上方に、検出板85側に向けて突出させて反射板93が配設される。そして、装置本体Bdに、前記窓部94と対向させて、後述される検出センサ96(図4)が配設される。前記袋本体54内のインクの量に応じて袋本体54の膨らみ量が変化すると、固定板70と検出板85との距離が変化する。これに伴って、被検出子92が窓部94と反射板93との間を移動し、袋本体54内にインクがある場合、前記検出センサ96が窓部94を介して反射板93と対向させられ、袋本体54内にインクがない場合、検出センサ96が窓部94を介して被検出子92と対向させられる。したがって、前記制御部Cnは、検出センサ96の出力に基づいて袋本体54内のインクの有無を判断することができる。
なお、インクの量が変化したときに、検出板85を固定板70に対して円滑に移動させることができるように、前記凸部87が形成される位置は、凸部88の先端縁88eに被検出子92が形成されることを考慮して設定される。
ところで、インクカートリッジ50が輸送されているとき等においてインク袋52が振動を受けた場合、インク袋52が大きく変形し、損傷することがある。特に、袋本体54とスパウト55との境界が損傷しやすく、インクカートリッジ50の耐久性が低下してしまう。
そこで、本実施の形態においては、袋本体54とスパウト55との境界が損傷するのを防止するために、袋本体54が第1の縁部eg1と検出板85との間で補強されるようになっている。そのために、第1の縁部eg1と検出板85との間のほぼ全体にわたって、複数の、本実施の形態においては、2個の第1、第2の補強部としての補強帯46、47が、袋本体54の長手方向に延在させて互いに平行に配設される。
前記補強帯46、47は、樹脂材料、金属材料等から成る帯状体又は棒状体であり、取付部材としての接着剤、溶着、両面テープ等によって貼付する、取付部材としてのテープで覆う等して袋本体54に取り付けられる。
また、前記補強帯46、47は、一方の端部46a、47aが、シートStが溶着された周縁部Pegと重なるように袋本体54の第1の縁部eg1に隣接させられ、他方の端部46b、47bが検出板85の第1の縁g1に隣接させられる。さらに、補強帯46、47は、袋本体54の短手方向において、スパウト55を挟むように、両面テープ71、72間に互いに所定の間隔を置いて、両面テープ71、72の位置に対応させて配設され、補強帯46が両面テープ71に隣接させられ、補強帯47が両面テープ72に隣接させられる。
このように、本実施の形態においては、袋本体54が第1の縁部eg1と検出板85との間で補強されるので、インクカートリッジ50が輸送されているとき等においてインク袋52が振動を受けても、袋本体54とスパウト55との境界が損傷することがなく、インクカートリッジ50の耐久性を向上させることができる。
次に、インクジェットプリンタ10の制御装置について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態におけるインクジェットプリンタの制御ブロック図である。
図において、10はインクジェットプリンタ、Bdは装置本体、50はインクカートリッジである。
前記装置本体Bdに、制御部Cn、記録ヘッドHdi、搬送モータMt、検出センサ96、ピンPn等が配設され、インクカートリッジ50に、被検出部91、回路基板65等が配設され、該回路基板65にコネクタ部64が配設される。前記被検出部91は、被検出子92、反射板93及び窓部94から成る。
前記制御部Cnは、インクジェットプリンタ10の全体の制御を行い、記録ヘッドHdiを駆動して印刷を行うための印刷処理部Pr1、記録媒体P(図2)を搬送するための搬送処理部Pr2、及び袋本体54(図1)のインクの有無を判断するためのインク有無判断処理部Pr3を備える。
前記印刷処理部Pr1は、ピンPnとコネクタ部64とが接続されると、回路基板65に配設された前記回路基板メモリから、インクカートリッジ50に収容されたインクの色、量等のインクの情報を読み出し、該インクの情報に基づいて所定の記録ヘッドHdiを駆動し、印刷を行う。このとき、搬送処理部Pr2は記録媒体Pを前記プラテン25に向けて搬送する。
なお、前記印刷処理部Pr1は、例えば、前記インクの情報に基づいて、インクカートリッジ50が正しい位置に取り付けられているかどうかを判断したり、インクカートリッジ50が未使用のものであるかどうかを判断したりすることができる。
前記検出センサ96は、発光部及び受光部を備え、発光部で発光させた光をインクカートリッジ50に送り、インクカートリッジ50において反射された光、すなわち、反射光が受光部で受光されたかどうかによって、袋本体54内のインクの量を検出する。
前記反射板93の反射率は被検出子92の反射率より高くされる。したがって、発光部で発光させた光が窓部94を介して反射板93を照射し、反射板93で反射され、受光部で受光された光の強度が大きいのに対して、発光部で発光させた光が窓部94を介して被検出子92を照射し、被検出子92で反射され、受光部で受光された光の強度は小さい。
そして、前記受光部で受光された光の強度が大きい場合、検出センサ96の出力は大きく、受光部で受光された光の強度が小さい場合、検出センサ96の出力は小さいので、前記インク有無判断処理部Pr3は、検出センサ96の出力が大きい場合、袋本体54内にインクがあると判断し、受光部の出力が小さい場合、袋本体54内にインクがないと判断する。
次に、インク袋52をケース51に取り付け、インクカートリッジ50を装置本体Bdに取り付けたときの袋本体54の状態について説明する。
図5は本発明の第1の実施の形態における袋本体の状態を説明するための図、図6は補強帯が取り付けられていない場合の袋本体の状態を説明するための参考図である。
図において、50はインクカートリッジ、51はケース、W1、W2は第1、第2の側壁部、Wbは底壁部、52はインク袋、54は袋本体、SLは、該袋本体54における底壁部Wbと対向する面側の前記シートSt(図3)であるシート部、SUは、袋本体54における前記シート部SLと反対側のシートStであるシート部、55はスパウト、64はコネクタ部、66は保持板、70は固定板、85は検出板、h1は固定孔、k1はフックである。
該フックk1は、実線で示される第1の位置において固定孔h1に係止させられ、破線で示される第2の位置において固定孔h1への係止が解除される。
フックk1を第2の位置に置き、スパウト55を開口61に挿入してケース51外に突出させ、インク袋52をケース51上に載置し、フックk1を前記第1の位置に置き、固定孔h1に係止させることによって、インク袋52をケース51に取り付けることができる。
インク袋52がケース51に取り付けられると、固定板70が底壁部Wbに密接させられ、両面テープ71、72(図1)を介して袋本体54のシート部SLが底壁部Wb側に引き寄せられる。その結果、シート部SLは、長手方向における、両面テープ71、72の端部71a、72aを結ぶ前記境界線LNより前方において、固定板70によって底壁部Wbに押し付けられず、変形が規制されず、境界線LNより後方において、固定板70によって底壁部Wbに押し付けられ、変形が規制される。
したがって、シート部SLの、袋本体54の第1の縁部eg1から境界線LNまでの、変形が規制されない領域を非規制領域とし、境界線LNから袋本体54の第2の縁部eg2までの、変形が規制される領域を規制領域としたとき、インク袋52がケース51に取り付けられると、図5に示されるように、シート部SLは、非規制領域で傾斜させられて傾斜部SLaを形成し、規制領域で底壁部Wbに沿って平坦に延在させられる。
なお、前記境界線LNは、固定板70を袋本体54に取り付ける両面テープ71、72の位置に応じて設定される。
袋本体54内に十分な量のインクがある場合、インクの圧力がシート部SU、SLに加わるので、シート部SUは、図5の実線で示されるように、シート部SLから離れた位置に置かれ、シート部SLは底壁部Wb側に押され、シート部SU、SLに折れが生じることがない。
そして、インクカートリッジ50から記録ヘッドHdiにインクが供給され、印刷が行われるのに伴って袋本体54内のインクが少なくなると、シート部SU、SLに加わるインクの圧力が低くなり、シート部SU、SLに弛みが生じる。
このとき、前記境界線LNを境に、非規制領域と規制領域とでシート部SLの延びる方向が異なるので、シート部SLに折れが生じやすくなるが、本実施の形態においては、袋本体54の第1の縁部eg1と検出板85との間において、境界線LNと交差するように補強帯46、47が配設されているので、図5の破線で示されるように、シート部SUに折れが生じるのが防止され、それに伴って、シート部SLにも折れが生じるのが防止される。
すなわち、前記袋本体54は、2枚のシートSt(図3)の周縁部Pegを互いに溶着することによって形成されるので、シート部SU、SLのうちの一方のシート部に折れが生じると、他方のシート部にも折れが生じてしまうが、本実施の形態のように、一方のシート部SUに折れが生じないように補強帯46、47が配設されていると、他方のシート部SLにも折れが生じることはない。
次に、袋本体54に補強帯46、47が取り付けられていない場合の袋本体54の状態について説明する。
図6に示されるように、インク袋52がケース51に取り付けられると、固定板70は底壁部Wbに密接させられ、両面テープ71、72を介して袋本体54のシート部SLが底壁部Wb側に引き寄せられる。その結果、前述されたように、シート部SLは、非規制領域で傾斜させられて傾斜部SLaを形成し、規制領域で底壁部Wbに沿って平坦に延在させられる。
袋本体54内に十分な量のインクがある場合、インクの圧力がシート部SU、SLに加わるので、シート部SUは、図6の実線で示されるように、シート部SLから離れた位置に置かれ、シート部SLは底壁部Wb側に押される。したがって、シート部SU、SLに折れが生じることがない。
そして、インクカートリッジ50から記録ヘッドHdiにインクが供給され、印刷が行われるのに伴って袋本体54内のインクが少なくなると、シート部SU、SLに加わるインクの圧力が低くなり、シート部SU、SLに弛みが生じる。
この場合、非規制領域と規制領域とでシート部SLの延びる方向が異なるので、前記境界線LNで折れが生じやすく、シート部SLに折れが生じると、シート部SUは、補強されていないので、図6の破線で示されるように、点Q1で折れが生じてしまう。
該折れは、シート部SU、SLの一部に生じたり、シート部SU、SLの全体に生じたりする。折れが生じるのに伴って、シート部SU、SLの内面が、隙間が形成されないように密着すると、袋本体54内が分断され、点Q1より第2の縁部eg2側にインクが残っていても、袋本体54内のインクの流れが阻害されてしまう。
その場合、検出板85が底壁部Wbから離れていて検出センサ96(図4)の出力が大きく、インク有無判断処理部Pr3が袋本体54内にインクがあると判断しても、袋本体54内のすべてのインクを使用することができなくなってしまう。
本実施の形態においては、シート部SU、SLに折れが生じるのが防止されるので、袋本体54内のインクの流れが阻害されることがなく、スパウト55からインクを確実に吐出することができ、すべてのインクを使用することができる。
なお、本実施の形態においては、補強帯46、47が、袋本体54の長手方向に延在させて互いに平行に配設されるので、検出板85は、あたかも、補強帯46、47の分だけ長くなったように挙動する。したがって、袋本体54内のインクが少なくなるときに、袋本体54は補強帯46、47の影響を受けることなく収縮するので、インクが円滑にスパウト55から吐出される。
次に、袋本体54内のインクが少なくなるときのインク袋52の状態について説明する。
図7は本発明の第1の実施の形態におけるインク袋の状態を説明する図である。
図において、54は袋本体、70は固定板、71、72は両面テープ、85は検出板である。
インクカートリッジ50(図1)は、ケース51の第4の側壁部W4を下方に、第3の側壁部W3を上方に置き、直立させて装置本体Bd(図4)に取り付けられるので、袋本体54は、短手方向が鉛直方向に沿うように支持される。
本実施の形態においては、袋本体54に固定板70及び検出板85が取り付けられるので、固定板70及び検出板85によって袋本体54の変形が制限されるが、袋本体54においては、インクが下方側に溜り、第4の縁部eg4側が第3の縁部eg3側より厚くなる傾向にあるので、袋本体54内のインクが少なくなるのに伴って、検出板85の第3の縁g3が固定板70側に移動する。
その後、袋本体54内のインクが更に少なくなると、検出板85の第4の縁g4も固定板70側に移動するので、検出センサ96が窓部94を介して被検出子92と対向する。
このように、本実施の形態においては、袋本体54における前記固定板70が取り付けられた面と反対側の面に、前記両面テープ71、72の位置に対応させて、袋本体54を補強する補強帯46、47が配設されるので、インクカートリッジ50が輸送されているとき等においてインク袋52が振動を受けても、袋本体54とスパウト55との境界が損傷することがなく、インクカートリッジ50の耐久性を向上させることができる。
また、印刷が行われるのに伴って袋本体54内のインクが少なくなっても、袋本体54内のインクの流れが阻害されることがなく、すべてのインクを使用することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図8は本発明の第2の実施の形態におけるインクカートリッジの平面図である。
この場合、袋本体54と吐出口としてのスパウト55との境界が損傷するのを防止するために、袋本体54が第1の縁部eg1と検出板85との間で補強される。そのために、袋本体54における前記固定板70が取り付けられた面と反対側の面の、第1の縁部eg1と検出板85との間のほぼ全体にわたって、補強部としての補強シート48が、袋本体54の長手方向に延在させて取り付けられる。
前記補強シート48は、一方の面(袋本体54と対向する面)に粘着剤から成る層が形成された樹脂製のフィルムであり、取付部材としての接着剤、溶着、両面テープによって貼付する、取付部材としてのテープで覆う等して袋本体54に配設される。前記フィルムを構成する樹脂として、塩化ビニル樹脂、PET樹脂、ナイロン樹脂、PP樹脂、PE樹脂等の弾性を有する樹脂が使用される。
なお、本実施の形態においては、前記補強シート48における、粘着剤から成る層が形成された面と反対の面に、インクカートリッジ50に収容されるインクに関する情報を印刷することができる。
また、前記補強シート48は、一方の端部48aが、シートStが溶着された周縁部Pegと重なるように袋本体54の第1の縁部eg1に隣接させられ、他方の端部48bが検出板85の第1の縁g1に隣接させられる。さらに、補強シート48は、袋本体54の短手方向において、取付部材としての両面テープ71、72間に配設され、両縁が両面テープ71、72に隣接させられる。
袋本体54が第1の縁部eg1と検出板85との間で補強されるので、インクカートリッジ50が輸送されているとき等においてインク収容部材としてのインク袋52が振動を受けても、袋本体54とスパウト55との境界が損傷することはなく、インクカートリッジ50の耐久性を向上させることができる。
また、インクカートリッジ50から記録ヘッドHdiにインクが供給され、印刷が行われるのに伴って袋本体54内のインクが少なくなると、シート部SU、SLに加わるインクの圧力が低くなり、シート部SU、SLに弛みが生じるが、本実施の形態においては、袋本体54における前記固定板70が取り付けられた面と反対側の面に、前記両面テープ71、72の位置に対応させて補強シート48が配設されるので、シート部SLに折れが生じるのを防止することができるだけでなく、シート部SUに折れが生じるのも防止することができる。
前記各実施の形態においては、インク袋52がケース51に取り付けられたときにシート部SLに傾斜部SLaが形成されることに起因してシート部SUに折れが生じるのを防止するようにしているが、本発明を、例えば、ケース51の底壁部Wbに屈曲部、凹凸、突起等が形成されていたり、固定板70が袋本体54の一部だけに取り付けられたりすることに起因してシート部SUに折れが生じるのを防止する場合にも適用することができる。
また、前記各実施の形態においては、襟部57(図1)を溝59に嵌入し、フックk1を固定孔h1に係止させることによって、インク袋52がケース51に対して着脱自在に配設されるようになっているが、インク袋52をケース51に対して両面テープ、接着剤等によって取り付けることができる。
そして、前記各実施の形態においては、保持板66にフックk1が形成され、インク袋52が保持板66及び板ばね67を介してケース51に取り付けられるようになっているが、第2の側壁部W2にフックを形成し、インク袋52を直接ケース51に取り付けることができる。
さらに、前記各実施の形態においては、固定板70が両面テープ71、72によって袋本体54に貼付され、検出板85が図示されない両面テープによって袋本体54に貼付されるようになっているが、固定板70及び検出板85を取付部材としての接着剤によって袋本体54に貼付することができる。
また、前記各実施の形態においては、ケース51の上縁が開口させられるようになっているが、ケース51の上縁に蓋部材を着脱自在に配設することができる。
さらに、第1の実施の形態において補強帯46、47が、第2の実施の形態において補強シート48が、袋本体54の第1の縁部eg1と検出板85との間に配設されるようになっているが、補強帯又は補強シートを検出板85と袋本体54の第2の縁部eg2との間にも配設することができる。
前記各実施の形態においては、インクジェットプリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。