JP2019068566A - ステータコアの設計方法、ステータコアの設計装置、およびステータコア - Google Patents

ステータコアの設計方法、ステータコアの設計装置、およびステータコア Download PDF

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Abstract

【課題】 ステータコアの形状に関する指標として、ステータコアの鉄損を評価することができる指標を用いてステータコアを設計する。【解決手段】 ステータコア設計装置100は、ティース幅をTW[mm]、ヨーク幅をYW[mm]、径方向面積をLS[mm2]、および周方向面積CS[mm2]として、(CS÷LS)×(2×TW÷YW)2で表される形状指標Sindexを導出する。【選択図】 図1

Description

本発明は、ステータコアの設計方法、ステータコアの設計装置、およびステータコアに関し、特に、ステータコアを設計するために用いて好適なものである。
電動機(モータ)や発電機(ジェネレータ)といった回転電機は、ロータとステータとを有する。回転電機は省スペース化のために小型であることが望ましく、小型化の要求に対応することができるように回転電機を設計する必要がある。例えば、モータに対する小型化の要求に対しては、モータ(ロータ)の回転数を大きくすることによりモータの出力の低減を抑止する設計方法がある。モータを小型化する場合、ロータの径が小さくなることによりモータのトルクが低下するが、モータの出力は、トルクと回転数との積に比例するため、モータの回転数を大きくすることでモータの出力低減を抑制することができる。その場合に、商用周波数よりも高い周波数、例えば400[Hz]〜数[kHz]でモータを駆動することが求められる場合がある。このような場合、ステータを構成するステータコアの内部に発生する磁束密度の周波数が高くなるため、ステータコアの鉄損が増大する。
そこで、ステータコアの鉄損を抑制するための技術として、特許文献1〜3に記載の技術がある。
特許文献1には、ステータコアとして分割コアを用いることが記載されている。具体的に特許文献1には、電磁鋼板の圧延方向がティースの長手方向(モータの径方向)を向くように分割コアを構成することが記載されている。また、特許文献1には、W10/400(L)とW10/400(C-50MPa)との和が55[W/kg]以下になるように分割コアを構成することが記載されている。ここで、W10/400(L)は、最大磁束密度が1[T]であり、励磁周波数が400[Hz]であるときの電磁鋼板の圧延方向の鉄損である。W10/400(C-50MPa)は、圧延方向と直角の方向に50[MPa]の圧縮応力が付加された状態であり、最大磁束密度が1[T]であり、励磁周波数が400[Hz]であるときの電磁鋼板の圧延方向の鉄損である。
特許文献2には、W15/50(C)/W15/50(L)が1.35以上2.00以下であり、W15/50(L+C)が2.3[W/kg]以下である無方向性電磁鋼板をステータコアに適用することが記載されている。ここで、W15/50(C)は、最大磁束密度が1.5[T]であり、励磁周波数が50[Hz]であるときの電磁鋼板の圧延方向に垂直な方向の鉄損であり、W15/50(L)は、最大磁束密度が1.5[T]であり、励磁周波数が50[Hz]であるときの電磁鋼板の圧延方向の鉄損である。W15/50(L+C)は、最大磁束密度が1.5[T]であり、励磁周波数が50[Hz]であるときの電磁鋼板の圧延方向に垂直な方向の鉄損と、最大磁束密度が1.5[T]であり、励磁周波数が50[Hz]であるときの電磁鋼板の圧延方向の鉄損との平均値(={W15/50(C)+W15/50(L)}÷2)である。
特許文献3にも、特許文献1と同様に、ステータコアとして分割コアを用いることが記載されている。具体的に、特許文献3には、B10(L)が1.7[T]以上であり、B10(C)/B10(L)が0.75以上1.0以下である方向性電磁鋼板を分割コアに適用することが記載されている。ここで、B10(L)は、1000[A/m]における電磁鋼板の圧延方向の磁束密度である。B10(C)は、1000[A/m]における電磁鋼板の圧延方向に垂直な方向の磁束密度である。また、特許文献3には、ティース部の幅Thに対するコアバック部の幅Yの比(=Y/Th)が0.5以上1.0以下になるように分割コアを構成することが記載されている。
特開2011−26682号公報 特開平8−41603号公報 特開2004−99998号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、ステータコアを構成する電磁鋼板の磁気特性のみを検討しており、ステータコアの形状を考慮していない。従って、ステータコアの形状の観点から、ステータコアの鉄損を低減することができない。
また、特許文献3に記載の技術では、ティース部の幅Thに対するコアバック部の幅Yの比を考慮しているが、この比が0.5以上1.0以下であるという条件だけでは、ステータコアの鉄損を正しく評価することができない(この点については、図8(a)を参照しながら後述する)。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、ステータコアの形状に関する指標として、ステータコアの鉄損を評価することができる指標を用いてステータコアを設計することができるようにすることを目的とする。
本発明のステータコアの設計方法は、ヨークと、複数のティースとを有し、軟磁性体板を積み重ねて構成されるステータコアの設計方法であって、前記ステータコアの形状の候補についての形状パラメータとして、周方向面積、径方向面積、ヨーク幅、およびティース幅を含む情報を取得する形状パラメータ取得工程と、前記ステータコアの形状の1つの候補に対する前記形状パラメータに基づいて、前記ステータコアの形状に関する指標である形状指標を導出する形状指標導出工程と、前記形状指標導出工程により導出された前記形状指標に基づいて、前記ステータコアの形状を定める前記形状指標を決定する形状指標決定工程と、を有し、前記軟磁性体板の圧延方向であるL方向と、前記ティースの長手方向とのなす角度のうち小さい方の角度は、前記軟磁性体板の圧延方向に垂直な方向であるC方向と、前記ティースの長手方向とのなす角度のうち小さい方の角度よりも小さく、前記ヨーク幅は、前記ステータコアの周方向におけるスロットの中央の位置での前記ステータコアの外径から内径を減算した値であり、前記ティース幅は、ティース直線領域の中央の位置での前記ティースの周方向の長さであり、前記ティース直線領域は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、前記ステータコアの周方向における前記ティースの端部を構成する直線のうち最長の直線の領域を、前記ステータコアの周方向における前記ティースの2つの端部のそれぞれについて求めたものであり、前記径方向面積は、ヨーク部領域の面積と、ティース部領域の面積との和であり、前記ヨーク部領域は、第1の点と、第2の点と、第3の点とを、を頂点とする三角形で囲まれる領域であり、前記第1の点は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、前記ステータコアの周方向における前記ティースの中央の位置と、前記ステータコアの軸と、を通る仮想線と、前記ステータコアの外周面と、の交点であり、前記第2の点および前記第3の点は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、1つの前記ティースにある2つの前記ティース直線領域のそれぞれの領域上の位置のうち前記ステータコアの外周面に最も近い位置にある点であり、前記ティース部領域は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面の領域のうち、前記第2の点および前記第3の点を相互に結ぶ仮想線よりも前記ステータコアの軸側の領域であり、前記周方向面積は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面の領域の面積から、前記径方向面積を減算した値であることを特徴とする。
本発明のステータコア設計装置は、ヨークと、複数のティースとを有し、軟磁性体板を積み重ねて構成されるステータコアの設計装置であって、前記ステータコアの形状の候補についての形状パラメータとして、周方向面積、径方向面積、ヨーク幅、およびティース幅を含む情報を取得する形状パラメータ取得手段と、前記ステータコアの形状の1つの候補に対する前記形状パラメータに基づいて、前記ステータコアの形状に関する指標である形状指標を導出する形状指標導出手段と、前記形状指標導出手段により導出された前記形状指標に基づいて、前記ステータコアの形状を定める前記形状指標を決定する形状指標決定手段と、を有し、前記軟磁性体板の圧延方向であるL方向と、前記ティースの長手方向とのなす角度のうち小さい方の角度は、前記軟磁性体板の圧延方向に垂直な方向であるC方向と、前記ティースの長手方向とのなす角度のうち小さい方の角度よりも小さく、前記ヨーク幅は、前記ステータコアの周方向におけるスロットの中央の位置での前記ステータコアの外径から内径を減算した値であり、前記ティース幅は、ティース直線領域の中央の位置での前記ティースの周方向の長さであり、前記ティース直線領域は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、前記ステータコアの周方向における前記ティースの端部を構成する直線のうち最長の直線の領域を、前記ステータコアの周方向における前記ティースの2つの端部のそれぞれについて求めたものであり、前記径方向面積は、ヨーク部領域の面積と、ティース部領域の面積との和であり、前記ヨーク部領域は、第1の点と、第2の点と、第3の点とを、を頂点とする三角形で囲まれる領域であり、前記第1の点は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、前記ステータコアの周方向における前記ティースの中央の位置と、前記ステータコアの軸と、を通る仮想線と、前記ステータコアの外周面と、の交点であり、前記第2の点および前記第3の点は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、1つの前記ティースにある2つの前記ティース直線領域のそれぞれの領域上の位置のうち前記ステータコアの外周面に最も近い位置にある点であり、前記ティース部領域は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面の領域のうち、前記第2の点および前記第3の点を相互に結ぶ仮想線よりも前記ステータコアの軸側の領域であり、前記周方向面積は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面の領域の面積から、前記径方向面積を減算した値であることを特徴とする。
本発明のステータコアの第1の例は、前記ステータコアの設計方法で決定された前記形状指標を導出する際に用いられた、前記周方向面積、前記径方向面積、前記ヨーク幅、および前記ティース幅により定まる形状を有することを特徴とする。
本発明のステータコアの第2の例は、前記ステータコアの設計方法で決定された前記形状指標を導出する際に用いられた、前記周方向面積、前記径方向面積、前記ヨーク幅、および前記ティース幅により定まる形状を有し、且つ、請求項6〜12の何れか1項に記載のステータコアの設計方法で決定された前記材料指標を導出する際に用いられた、前記L方向鉄損、前記C方向鉄損、および前記LC方向平均鉄損により定まる材料で構成された前記軟磁性体板を有することを特徴とする。
本発明によれば、ステータコアの形状に関する指標として、ステータコアの鉄損を評価することができる指標を用いてステータコアを設計することができる。
図1は、ステータコア設計装置の機能的な構成の第1の例を示す図である。 図2は、ステータコア設計方法の第1の例を説明するフローチャートである。 図3は、分割コアを構成する電磁鋼板を採取する方法の一例と、折り曲げコアを構成する電磁鋼板を採取する方法の一例を説明する図である。 図4は、ティース幅およびヨーク幅の一例を説明する図である。 図5は、径方向面積と周方向面積の一例を説明する図である。 図6は、分割コアの形状の一例を示す図である。 図7は、形状パラメータと形状指標の一例を示す図である。 図8は、ティース幅/ヨーク幅と、ステータコアの鉄損との関係の一例と、径方向面積/周方向面積とステータコアの鉄損との関係の一例を示す図である。 図9は、形状指標とステータコアの鉄損との関係の一例を示す図である。 図10は、ステータコア設計装置の機能的な構成の第2の例を示す図である。 図11は、ステータコア設計方法の第2の例を説明するフローチャートである。 図12は、材料パラメータの一例を示す図である。 図13は、LC方向平均鉄損とステータコアの鉄損との関係の一例を示す図である。 図14は、LC比とステータコアの鉄損との関係の一例を示す図である。 図15は、材料指標とステータコアの鉄損との関係の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、ステータコア設計装置100の機能的な構成の一例を示す図である。図2は、ステータコア設計装置100を用いたステータコア設計方法の一例を説明するフローチャートである。ステータコア設計装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のハードウェアを有する情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
本実施形態では、軟磁性体板(板状の軟磁性体)を積み重ねて構成されるステータコアであって、分割コアまたは折り曲げコアを用いて構成されるステータコアの設計を行う場合を例に挙げて説明する。また、本実施形態では、軟磁性体板として電磁鋼板(無方向性電磁鋼板および方向性電磁鋼板の少なくとも何れか一方)を用いる場合を例に挙げて説明する。
図3は、分割コアを構成する電磁鋼板を採取する方法の一例と(図3(a))、折り曲げコアを構成する電磁鋼板を採取する方法の一例(図3(b))を説明する図である。
分割コアは、ステータコアの一部となるコアである。分割コアは、ステータコアのティースを構成する領域310と、ヨークを構成する領域320とを有する。ステータコアのヨークを構成する領域320の端部であって、ステータコアの周方向における端部321、322の位置は、ステータコアの周方向におけるスロットの中央を通り、ステータコアの径方向に延びる仮想線とヨークとが交わる位置になる。このように分割コアは、ステータコアの周方向におけるスロットの中央の位置を分割位置として、ステータコアの周方向においてステータコアを複数に分割した場合のそれぞれの部分である。
図3(a)に示すように、分割コアの平面形状に合わせて電磁鋼板330を打ち抜き加工し、打ち抜き加工された電磁鋼板の相互に隣接する板面同士が合うように複数の電磁鋼板を積み重ねることにより分割コアが形成される。このとき、ステータコアのティースを構成する領域310の長手方向が、電磁鋼板330の圧延方向を向き、ステータコアのヨークを構成する領域320の長手方向が、電磁鋼板330の圧延方向に対して垂直な板面方向を向くようにする。以下の説明では、電磁鋼板の圧延方向を必要に応じてL方向と称し、電磁鋼板の圧延方向に対して垂直な板面方向を必要に応じてC方向と称する。分割コアの端部321、322同士を突き合わせて複数の分割コアを組み合わせることによりステータコアが構成される。尚、必要に応じて、溶接やカシメ等、分割コアを構成する電磁鋼板を固定するための処理が行われる。また、複数の分割コアは、焼嵌め等によりケースに固定される。
図3(a)に示すように、ステータコア全体の平面形状に合わせて電磁鋼板330を打ち抜き加工する場合よりも、分割コアの平面形状に合わせて電磁鋼板330を打ち抜き加工する場合の方が、電磁鋼板330において、ステータコアとして使用されない部分が少なくなる。また、一体としたステータコアのティースに対してコイルを配置する場合よりも、分割コアのティースを構成する部分に対してコイルを配置する場合の方が、コイルの巻き方を効率化することができるので、回転電機の銅損を低減させることができる。
尚、ステータコアのティースを構成する領域の長手方向が、電磁鋼板330のL方向に完全に一致しているのが最も好ましいが、打ち抜き加工の精度や設計公差をとる必要があること等の理由から、このようにするのは必ずしも容易ではない。従って、ステータコアのティースを構成する領域の長手方向は、電磁鋼板330のL方向に略一致するようにしていればよい。また、図3(a)では、1つのティースが1つの分割コアに含まれる場合を例に挙げて示すが、例えば、2つのティースが1つの分割コアに含まれる場合には、ステータコアのティースを構成する領域の長手方向を、電磁鋼板330のL方向に略一致させることは困難である。このような場合には、ステータコアのティースを構成する領域の長手方向とL方向とのなす角度のうち小さい方の角度が、ステータコアのティースを構成する領域の長手方向とC方向とのなす角度のうち小さい方の角度よりも小さくなっていればよい。
折り曲げコアは、ステータコアの周方向におけるスロットの中央の一箇所において、ステータコア(ヨーク)の内周面から、ステータコアの径方向に沿って、ステータコア(ヨーク)の外周面まで達する第1の切断面を有する。尚、ステータコアの内周面は、ステータコアの軸を取り巻く2つの面のうち、ステータコアの内周側の面であり、ステータコアの外周面は、ステータコアの軸を取り巻く2つの面のうち、ステータコアの外周側の面である。また、図3(b)において、端部341、342が突き合わさることにより、第1の切断面が構成される。
また、折り曲げコアは、ステータコアの周方向におけるスロットの中央のその他の箇所において、ステータコア(ヨーク)の内周面から、ステータコアの径方向に沿って、ステータコア(ヨーク)の外周面に向けて、ステータコア(ヨーク)の外周面まで達しない第2の切断面を有する。尚、図3(b)において、領域343a〜343kを構成する2つの辺が突き合わさることにより、第2の切断面が構成される。
尚、第1の切断面および第2の切断面における隙間は狭いのが好ましく0(ゼロ)であるのが最も好ましい。
折り曲げコアを構成する電磁鋼板をティースになる部分が一列に並ぶようにした場合、電磁鋼板は、それぞれが、ティースを構成する領域(例えば、領域344)と、ヨークを構成する領域(例えば、領域345)と、を有する複数のコア部分346a〜346lが相互に連結された状態で一列に並ぶ状態になる。複数のコア部分346a〜346lは、両端の2つのコア部分346a、346lを除いて同じ形状および大きさを有する。
相互に隣接する2つのコア部分(例えば、コア部分346a、346b)は、ヨークを構成する領域の長手方向の端部の位置であって、ステータコアの外周面に対応する位置(例えば、位置347)で連結される。この連結される部分よりも、ステータコアの内周側に対応する側には、ステータコアの外周面に対応する位置に近づくほど幅狭となる切り欠きであって、平面形状が例えば三角形の切り欠き(領域343a〜343k)が形成される。
また、複数のコア部分346a〜346lのうち、両端の2つのコア部分346a、346lは、他のコア部分と、一方の片側においてのみ連結し、他方の片側においては連結しない。前述したように、両端の2つのコア部分346a、346lのヨークを構成する領域の長手方向の端部のうち、他のコア部分と連結しない側の端部341、342同士が突き合わさることにより第1の切断面を構成する。両端の2つのコア部分346a、346lは、ヨークを構成する領域の長手方向の端部のうち、他のコア部分と連結しない側の端部341、342の形状のみが他のコア部分346b〜346kと異なり、その他については、他のコア部分346b〜346kと同じである。
また、両端の2つのコア部分346a、346lのヨークを構成する領域の長手方向の端部のうち、他のコア部分と連結しない側の端部341、342同士が突き合わさると、前述した切り欠きを構成する辺(領域343a〜343kを構成する2つの辺)が突き合わさるように切り欠きの形状および大きさが定められる。前述したように、このようにして突き合わさった部分が第2の切断面を構成する。
折り曲げコアを製造する際には、まず、折り曲げコアを構成する電磁鋼板の平面形状であって、ステータコアのティースを構成する領域(例えば、領域344)が一列に並ぶようにした形状で電磁鋼板350を打ち抜き加工する。このとき、ステータコアのティースを構成する領域(例えば、領域344)の長手方向が、電磁鋼板350のL方向を向き、ステータコアのヨークを構成する領域(例えば、領域345)の長手方向が、電磁鋼板350のC方向を向くようにする。尚、ステータコアのティースを構成する領域の長手方向と、電磁鋼板350のL方向とが略一致していればよいことは、分割コアと同様である。
このようにして打ち抜き加工された電磁鋼板の端部であって、前述した両端の2つのコア部分346a、346lのヨークを構成する領域の長手方向の端部のうち、他のコア部分346b、346kと連結しない側の端部341、342同士が突き合わさるように、打ち抜き加工された電磁鋼板を変形させる。即ち、コア部分346a〜346kのヨークを構成する領域の長手方向の端部のうち、他のコア部分と連結する側の端部の、ステータコアの外周面に対応する位置(例えば、位置347)を変形させる。そうすると、打ち抜き加工された電磁鋼板に形成された前述した切り欠きを構成する辺が突き合わさり、全体として環状になる。このようにして得られる環状の電磁鋼板の相互に隣接する板面同士が合うように、複数の環状の電磁鋼板を積み重ねることによりステータコアが構成される。尚、打ち抜き加工された電磁鋼板の相互に隣接する板面同士が合うように、打ち抜き加工された複数の電磁鋼板を積み重ねた後、それらを前述したようにして環状に変形することによりステータコアを構成してもよい。尚、必要に応じて、溶接やカシメ等、折り曲げコアを構成する電磁鋼板を固定するための処理が行われる。また、折り曲げコアは、焼嵌め等によりケースに固定される。
図3(b)に示すように、折り曲げコアにおいても、分割コアと同様に、ステータコアとして使用されない部分が少なくなると共に、コイルの巻き方を効率化することができることにより、回転電機の銅損を低減させることができる。
以下の説明では、分割コアを例に挙げて説明するが、折り曲げコアであっても分割コアと同じようにしてステータコアを設計することができる。
<形状パラメータ取得部101、形状パラメータ取得ステップS201>
形状パラメータ取得部101は、ステータコア設計装置100のユーザインターフェースに対するオペレータの操作に基づいて、分割コアの形状パラメータを入力する。
形状パラメータには、ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積が含まれる。また、形状パラメータ取得部101は、分割コアの形状パラメータを、ステータコア設計装置100のユーザインターフェースに対するオペレータの操作によらずに自動的に算出することにより取得してもよい。例えば、形状パラメータ取得部101は、分割コアの形状を表すCADデータなどの電子データをもとに、ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積を自動算出することにより形状パラメータを求めても良い。
図4は、ティース幅およびヨーク幅の一例を説明する図である。
ヨーク幅YWは、ステータコアの周方向におけるスロットの中央の位置でのステータコアの外径から内径を減算した値である。図4(a)に示す例では、ヨーク幅YWは、位置401、402におけるステータコアの外径から内径を減算した値であり、図4(b)に示す例では、ヨーク幅YWは、位置403、404におけるステータコアの外径から内径を減算した値である。
ティース幅TWは、ティース直線領域の中央の位置でのステータコアの周方向の長さである。ここで、ティース直線領域とは、ステータコアの軸に垂直な方向に切った場合の分割コアの断面において、ステータコアの周方向におけるティースの端部を構成する直線のうち最長の直線の領域を、ステータコアの周方向におけるティースの2つの端部のそれぞれについて求めたものである。図4(a)に示す例では、位置411、412を相互に結ぶ直線と、位置413、414を相互に結ぶ直線が、ティース直線領域であり、図4(b)に示す例では、位置415、416を相互に結ぶ直線と、位置417、418を相互に結ぶ直線が、ティース直線領域である。また、図4(a)に示す例では、ティース直線領域の中央の位置は、位置421、422であり、図4(b)に示す例では、ティース直線領域の中央の位置は、位置423、424である。
図4(a)では、ステータコアの周方向におけるティースの長さであって、ティース直線領域における長さが一定である場合を例に挙げて示す。一方、図4(b)では、ステータコアの周方向におけるスロットの長さが一定である場合を例に挙げて示す。従って、図4(a)に示す例では、ステータコアの周方向におけるティースの長さであって、ティース直線領域における長さは場所によらずに一定になる。一方、図4(b)に示す例では、ステータコアの周方向におけるティースの長さであって、ティース直線領域における長さは場所によって異なる。
図5は、径方向面積と周方向面積の一例を説明する図である。尚、図5において、両矢印線は、磁束の方向を概念的に示す。
図5において、径方向面積は、斜線で示す径方向領域の面積である。径方向領域は、ステータコアの鉄損を評価する際に、L方向の磁気特性のみを考慮する領域である。径方向領域は、ヨーク部領域と、ティース部領域とからなる。
ヨーク部領域は、ステータコアの軸に垂直な方向に切った場合の分割コアの断面において、ステータコアの外周面を構成する領域の、ステータコアの周方向における中央の位置の点である第1の点501と、ティース直線領域のステータコアの外周面に最も近い2つの位置の点である第2の点502、第3の点503と、を頂点とする三角形で囲まれる領域である。尚、第1の点501は、ステータコアの軸に垂直な方向にステータコア(分割コア)を切った場合の断面において、ステータコア(分割コア)の周方向におけるティースの中央の位置と、ステータコアの軸と、を通る仮想線と、ステータコアの外周面との交点の位置になる。
ティース部領域は、ステータコアの軸に垂直な方向に切った場合の分割コアの断面の領域のうち、ティース直線領域のステータコアの外周面に最も近い第2の点502および第3の点503を相互に結ぶ仮想線504よりもステータコアの軸側の領域である。
図5において、周方向面積は、斜線で示す径方向領域以外の領域(白い部分)の領域である周方向領域の面積であり、ステータコアの軸に垂直な方向にステータコア(分割コア)を切った場合の断面の領域の面積から、径方向面積を減算した値である。周方向領域は、ステータコアの鉄損を評価する際に、C方向の磁気特性のみを考慮する領域である。周方向領域は、ステータコアの軸に垂直な方向に切った場合の分割コアの断面の領域のうち、径方向領域を除く領域である。
尚、図3(b)に示すように、折り曲げコアのステータコアの軸に垂直な方向の断面は、分割コアのステータコアの軸に垂直な方向の断面を組み合わせたものと等価と見なすことができる。即ち、前述した説明において、分割コアの断面は、ステータコアの周方向において、折り曲げ鋼板を構成する電磁鋼板の変形位置(例えば、位置347に対応する位置)を境界として周期的に繰り返される領域の1つの領域のステータコアの軸に垂直な方向の断面になる。
形状パラメータ取得部101は、以上のような形状パラメータ(ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積)の組を複数組入力する(即ち、ステータコアの形状の複数の候補のそれぞれについての形状パラメータを入力する)ことができる。
<形状指標導出部102、形状指標導出ステップS202>
形状指標導出部102は、形状パラメータ取得部101により入力された形状パラメータ(ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積)に基づいて、形状指標Sindexを導出する。前述したように、形状パラメータ取得部101により、複数組の形状パラメータ(ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積)が入力された場合、形状指標導出部102は、それぞれの組に対し形状指標Sindexを導出する。形状指標Sindexは、ティース幅をTW[mm]、ヨーク幅をYW[mm]、径方向面積をLS[mm2]、および周方向面積CS[mm2]とすると、以下の(1)式により表される。尚、形状指標Sindexは、無次元量である。
index=(CS÷LS)×(2×TW÷YW)2 ・・・(1)
尚、(1)式の径方向面積LSおよび周方向面積CSは、1つの分割コアについての面積としても、ステータコア全体の面積としても同じである。例えば、25個の分割コアでステータコアを構成する場合、(1)式のCSは、25×CSとなり、LSは、25×LSとなるので、(25×CS)÷(25×LS)=(CS÷LS)となる。
ここで、(1)式が得られた経緯について説明する。
近年、モータ等の回転電機の小型化に対する要求が大きくなってきており、回転電機の出力を低下させないために、商用周波数よりも高い周波数、例えば400[Hz]から数[kHz]で回転電機を駆動する場合が増加している。このため、商用周波数における鉄損の材料特性だけではモータ鉄損を正確に予測することは難しい。
そこで、本発明者らは、400[Hz]で駆動されるモータを対象に、ステータコアの形状と、ステータコアの鉄損との関係を、種々のモータを種々の条件で動作した場合について詳細に検証した。
ここでは、18スロット、6極、ステータコアの外径が250[mm]のモータを、回転数8000[rpm](励磁周波数f=400[Hz]相当)、トルク6.0[N・m] (最大磁束密度B=1.0[T]相当)、出力5[kW]で動作させた場合について評価した場合を例に挙げる。また、ここでは、最大磁束密度が1.0[T]、励磁周波数が400[Hz]におけるL方向の鉄損とC方向の鉄損の平均値W10/400(L+C)が14.0[W/kg]であり、LC比=1.0(L方向とC方向とで鉄損に差異がない)の材料を用いてステータコアを構成した場合を例に挙げる。ここで、鉄損はJIS C 2550−1(2011)「電磁鋼帯試験方法 第1部:エプスタイン試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法」に従って測定した値である。
前述したように、ステータコアの鉄損に影響するステータコアの形状のパラメータとして、ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積を選定した。これは次の考え方に基づく。
まず、トルク一定の条件でステータコアの形状の差異を比較するため、ティースにおける磁束密度の大きさはコアの形状にかかわらず一定であると考えられる。そうすると、ティースの鉄損は、ティースの磁束密度の大きさとティースの面積とに応じて定まる。次に、ステータコアの周方向におけるティースの長さと、ステータコアの周方向におけるヨークの長さとの比率に応じて、ヨークの磁束密度の大きさが定まり、この磁束密度の大きさと、ヨークの面積とに応じて、ヨークの鉄損が定まる。これらティースの鉄損とヨークの鉄損とを合算することでステータコアの鉄損が求められる。
以上のように、ステータコアの周方向におけるティースの長さと、ステータコアの周方向におけるヨークの長さは、ステータコアの鉄損に影響を与えるが、図4(a)および図4(b)に示すように、ステータコアの形状によって、ステータコアの周方向におけるティースの長さと、ステータコアの周方向におけるヨークの長さは、それぞれ一定とは限らない。そこで、これらの長さの代表値として、前述したティース幅、ヨーク幅を採用することとした。
また、図5に示すように、ティースとヨークの接続部では磁束の向きが変わる。このため、ティースとヨークの接続部では、回転磁束が発生する。従って、厳密には、L方向とC方向との間の角度に対応する磁気特性により、ティースとヨークの接続部の鉄損が求められる。しかしながら、ステータコア全体の鉄損に対し、ティースとヨークの接続部において前記径方向領域はL方向、それ以外の領域はC方向の磁気特性で鉄損を算出しても大きく影響しないため、パラメータの数を少なくして、計算負荷を軽くするために、L方向とC方向の磁気特性のみを考慮することとした。
前述したように、電磁鋼板330、350は、ティースの領域の長手方向がL方向を向き、ヨークの領域の長手方向がC方向を向くように、分割コア、折り曲げコアの平面形状に合わせた形状で打ち抜かれる(図3を参照)。また、図5に示すように、ティースの長手方向に沿って磁束が流れ、ティースとヨークとの接続部で磁束に向きが変わり、ヨークにおいてはステータコアの周方向に磁束が流れる。ヨークの長手方向はC方向であるが、磁束は、C方向に比べL方向に沿って流れやすい性質がある。このため、ヨークにおいては、長手方向(ステータコアの周方向)の位置が、ティースの中央に近い位置であるほど、L方向の磁束の影響を受けやすく、短手方向(ステータコアの径方向)の位置が、ティースに近い領域であるほど、L方向の磁束の影響を受けやすい。そこで、本実施形態では、図5に示す第1の点501、第2の点502、および第3の点503を頂点とする三角形で囲まれる領域については、L方向の磁気特性のみを考慮する径方向領域とした。
図6は、分割コアの形状の一例を示す図である。図7は、図6に示す4種類の形状のコアA〜Dの形状パラメータ(ヨーク幅、ティース幅、周方向面積、径方向面積)と、形状指標Sindexを表形式で示す図である。尚、各コアA〜Dの形状パラメータ(ヨーク幅、ティース幅、周方向面積、径方向面積)の値は、コアAの値を1.00とした場合の相対的な値である。
本発明者らは、図6に示す異なる4つの形状のコアA〜Dを用いたステータコアを有するモータを検討した。尚、各モータは、ステータコア以外については同一の構成を有するものとした。図6では、形状パラメータの差異を明確にするために、コアの形状をT型に簡易近似している。図6および図7から、コアAに対する各コアB〜Dの特徴は次のように言える。
まず、コアBは、ヨーク幅が大幅に小さく、径方向面積は逆に増大する。コアCは、ヨーク幅および周方向面積が小さく、相対的に径方向面積が大きい。コアDは、ティースとヨークの面積比はコアCと大きな差異は無いが、ティース幅およびヨーク幅が小さく小型化が指向されている。
本発明者らは、これらの特徴と、各コアA〜Dの鉄損との関係を検証した。図8は、ティース幅/ヨーク幅と、ステータコアの鉄損との関係の一例と(図8(a))、径方向面積/周方向面積とステータコアの鉄損との関係の一例(図8(b))を示す図である。
図8(a)および図8(b)に示すように、ティース幅およびヨーク幅のみ、または、径方向面積および周方向面積のみを形状パラメータとして用いても、形状パラメータとステータコアの鉄損との相関は低い。特許文献1に記載のように、ティース部の幅Thに対するコアバック部の幅Yの比(=Y/Th)だけでは、ステータコアの鉄損を精度よく評価することができないことが分かる。
そこで、本発明者らは、ヨーク幅に対するティース幅の比と、径方向面積に対する周方向面積の比との双方を考慮した形状パラメータを用いることによりステータコアの鉄損を評価すればよいという着想を得た。そして、本発明者らは、前述した形状および材料を含む、種々の形状および材料のステータコアについて、鉄損との相関が高い指標を検討した結果、(1)式の形状指標Sindexを見出した。
図9は、形状指標Sindexとステータコアの鉄損との関係の一例を示す図である。図9に示すように、形状指標Sindexとステータコアの鉄損との関係は、略正比例の関係にあり、高い相関があることが分かる。従って、形状指標Sindexの値が小さくなるようにステータコアの形状を定めれば、ステータコアの鉄損を低減することが可能である。
<形状指標決定部103、形状指標決定ステップS203>
前述したように、ステータコアの形状の候補のうち、形状指標Sindexの値が最小になる候補を採用すれば、ステータコアの鉄損を最小化することが可能である。図6に示した例では、図9に示したように、コアA〜Dのうち、コアAの形状のステータコアの鉄損が最小になることが分かる。一方で、ステータコアの形状は、回転電機(モータ)の使用用途により、回転電機の出力や、回転電機の設置スペース等も考慮して決定される。従って、例えば、小型化を最優先事項とし、低鉄損化を2番目の優先事項とすれば、最も小型で鉄損が2番目に小さいコアDの形状を採用する場合もある。
そこで、形状指標決定部103は、形状パラメータ取得部101により、ステータコアの形状の候補についての形状パラメータ(ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積)として、複数組の形状パラメータを入力した場合、形状指標導出部102により当該組のそれぞれに対して導出された形状指標Sindexの中から、ステータコアの形状を定める形状指標Sindexを決定する。
例えば、形状指標決定部103は、複数組の形状パラメータのそれぞれに対する形状指標Sindexと、当該形状指標Sindexを導出する際に用いた形状パラメータ(ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積)の情報とをコンピュータディスプレイに表示する。オペレータは、この表示から、前述したような基準に従って、ステータコアの形状指標として最適な形状指標Sindexを決定し、ステータコア設計装置100のユーザインターフェースを操作して指定する。形状指標決定部103は、ステータコア設計装置100のユーザインターフェースを用いてオペレータにより指定された形状指標Sindexを入力し、当該形状指標Sindexを、ステータコアの形状を定める形状指標Sindexとして決定する。
また、形状指標決定部103は、ステータコアの形状を定める形状指標Sindexを自動的に決定することもできる。例えば、形状指標決定部103は、形状指標Sindexを含む複数の指標の重み付き線形和で表される評価値が最小となるときの形状指標Sindexを、ステータコアの形状を定める形状指標Sindexとして決定することができる。例えば、コアiを用いた場合のステータコアの外形をDiとし、コアiを用いた場合の形状指標をSindexiとし、形状指標Sindexiに対する重み係数をk1、ステータコアの外形をDiに対する重み係数をk2とした場合、評価値J1を以下の(2)式で表すことができる。
J1=k1×Sindexi+k2×Di ・・・(2)
尚、重み係数k1、k2は、形状指標Sindexiとステータコアの外形をDiとの評価のバランスを示すものである。例えば、形状指標Sindexi(鉄損)よりも、ステータコアの外形Diを重要な評価指標とする場合には、重み係数k2の値を重み係数k1の値よりも小さくする。重み係数k1、k2は、オペレータにより予め指定される値である。尚、重み係数k2を0(ゼロ)にすれば、最小の形状指標Sindexが、ステータコアの形状を定める形状指標Sindexになる。(2)式に示す例では、k1×Sindexiにより、ステータコアの鉄損を評価することができる。
また、形状指標決定部103は、形状パラメータ取得部101により一組の形状パラメータ(ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積)が入力された場合、形状指標導出部102により導出された形状指標Sindexと、当該形状指標Sindexを導出した際に用いた形状パラメータ(ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積)の情報とをコンピュータディスプレイに表示する。オペレータは、この表示から、形状指標Sindexが適切であるかどうかを判定し、適切でない場合には、ステータコア設計装置100のユーザインターフェースを操作して形状パラメータを指定し直す。形状パラメータ取得部101は、このようにして指定し直された形状パラメータを入力する。このような形状パラメータ取得部101による形状パラメータの入力と、形状指標導出部102による形状指標Sindexの導出と、形状指標決定部103による形状指標Sindex等の表示とを、オペレータにより形状指標Sindexが適切であることが指定されるまで繰り返し行う。形状指標決定部103は、オペレータにより形状指標Sindexが適切であることが指定されると、当該形状指標Sindexを、ステータコアの形状を定める形状指標Sindexとして決定する。
また、過去の実績から、例えば、回転電機の仕様等に応じて形状指標Sindexとして適切な値が得られている場合には、当該値に基づいて、形状指標Sindexに対する閾値を設けてもよい。この場合、例えば、形状指標決定部103は、形状指標導出部102により導出された形状指標Sindexが、閾値を下回る場合に、当該形状指標Sindexを、ステータコアの形状を定める形状指標Sindexとして決定することができる。
そして、以上のようにして決定された形状指標Sindexを導出する際に使用した形状パラメータ(ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積)により定まる形状のステータコアを設計する。設計は、設計者が行ってもステータコア設計装置100で行ってもよい。尚、ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積以外の形状パラメータについては、ステータコアを適用する回転電機(モータ)の仕様に応じて適宜決定してよい。そして、公知の手法により当該形状のステータコアを製造する。
以上のように本実施形態では、ステータコア設計装置100は、(CS÷LS)×(2×TW÷YW)2で表される形状指標Sindexを導出する。従って、形状指標Sindex(ステータコアの形状に関する指標として、ステータコアの鉄損を評価することができる指標)の値に基づいて、ステータコアの形状を設計することができる。よって、鉄損を低減することができるステータコアの形状を容易に設計することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、ステータコアの形状を設計する場合を例に挙げて説明した。本実施形態では、第1の実施形態のようにしてステータコアの形状を設計した後、ステータコアに使用する材料を設計する場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態は、第1の実施形態に対し、ステータコアに使用する材料を設計する点が付加されたものである。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図9に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。本実施形態でも第1の実施形態と同様に、分割コアを例に挙げて説明するが、折り曲げコアであっても分割コアと同じようにしてステータコアを設計することができる。また、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、軟磁性体板として電磁鋼板(無方向性電磁鋼板および方向性電磁鋼板の少なくとも何れか一方)を用いる場合を例に挙げて説明する。
図10は、ステータコア設計装置1000の機能的な構成の一例を示す図である。図11は、ステータコア設計装置1000を用いたステータコア設計方法の一例を説明するフローチャートである。ステータコア設計装置1000のハードウェアは、例えば、第1の実施形態のステータコア設計装置100と同じもので実現することができる。
<材料特性取得部1001、材料特性取得ステップS1101>
材料特性取得部1001は、ステータコア設計装置1000のユーザインターフェースに対するオペレータの操作に基づいて、ステータコアに使用する電磁鋼板の材料パラメータを入力する。
材料パラメータには、Wb/f(L+C)、Wb/f(L)、Wb/f(C)が含まれる。Wb/f(L)は、最大磁束密度がB(=b÷10)[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの電磁鋼板のL方向の鉄損[W/kg]である。Wb/f(C)は、最大磁束密度がB(=b÷10)[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの電磁鋼板のC方向の鉄損[W/kg]である。Wb/f(L+C)は、最大磁束密度がB[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの電磁鋼板のL方向の鉄損Wb/f(L)と、最大磁束密度がB(=b÷10)[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの電磁鋼板のC方向の鉄損Wb/f(C)との平均値(={Wb/f(C)+Wb/f(L)}÷2)である。それぞれの鉄損は、JIS C 2550−1(2011)「電磁鋼帯試験方法 第1部:エプスタイン試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法」またはJIS C 2556「単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法」により求められる。例えば、最大磁束密度が1.0[T]であり、励磁周波数が50[Hz]である場合、電磁鋼板のL方向の鉄損、C方向の鉄損、L方向の鉄損とC方向の鉄損の平均値はそれぞれ、W10/50(L)、W10/50(C)、W10/50(L+C)と表記される。
尚、以下の説明では、最大磁束密度がB[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの電磁鋼板のL方向の鉄損を、必要に応じて、L方向鉄損と称する。また、最大磁束密度がB[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの電磁鋼板のC方向の鉄損を、必要に応じて、C方向鉄損と称する。また、最大磁束密度がB[T]、励磁周波数がf[Hz]におけるL方向の鉄損とC方向の鉄損の平均値を、必要に応じて、LC方向平均鉄損と称する。
材料特性取得部1001は、以上のような材料パラメータ(Wb/f(L+C)、Wb/f(L)、Wb/f(C))の組を複数組入力する(即ち、ステータコアの材料の複数の候補のそれぞれについての材料パラメータを入力する)。
<材料指標導出部1002、材料指標導出ステップS1102>
材料指標導出部1002は、形状指標決定部103によりステータコアの形状指標として決定された形状指標Sindexと、材料特性取得部1001により入力された材料パラメータ(Wb/f(L+C)、Wb/f(L)、Wb/f(C))とに基づいて、材料指標Windexを導出する。材料指標導出部1002は、材料特性取得部1001により入力された複数組の材料パラメータのそれぞれに対し材料指標Windexを導出する。
材料指標Windexは、材料特性取得部1001により入力されたLC方向平均鉄損WB/f(L+C)の代表値をWave[W/kg]とすると、以下の(3)式により表される。
index=Wave×Sindex/(Wb/f(L+C))+(Wb/f(C)/Wb/f(L)) ・・・(3)
尚、LC方向平均鉄損Wb/f(L+C)の代表値Waveとしては、例えば、LC方向平均鉄損Wb/f(L+C)の平均値や中央値を用いることができる。以下では、Waveとして、LC方向平均鉄損Wb/f(L+C)の平均値を用いるものとする。
ここで、(3)式が得られた経緯について説明する。
本発明者らは、本発明者らは、400[Hz]で駆動されるモータを対象に、ステータコアの材料の鉄損特性と、ステータコアの鉄損との関係を、種々のモータを種々の条件で動作した場合について詳細に検証した。ここでは、第1の実施形態と同様に、18スロット、6極、ステータコアの外径が250[mm]のモータを、回転数8000[rpm](励磁周波数f=400[Hz]相当)、トルク6.0[N・m](最大磁束密度B=1.0[T]相当)、出力5[kW]で動作させた場合について評価した場合を例に挙げる。また、ステータコアの形状を、第1の実施形態で説明したコアDの形状指標Sindexに基づく形状とし、図12に示す8種類の電磁鋼板(材料a〜h)を用いてステータコアをそれぞれ構成した場合を例に挙げる。図12は、8種類の材料a〜hのLC方向平均鉄損W10/400(L+C)およびLC比(=W10/400(C)÷W10/400(L))を表形式で示す図である。尚、例えば、電磁鋼板の化学成分の他、電磁鋼板の厚み等によっても、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)は変わり得る。従って、例えば、化学成分が同じであっても厚みが異なれば、異なる材料となり得る。また、候補となる材料は、無方向性電磁鋼板だけでも、方向性電磁鋼板だけでも、無方向性電磁鋼板および方向性電磁鋼板の双方を含んでいても構わない。
図13は、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)とステータコアの鉄損との関係の一例を示す図である。
図13(a)に示すように、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)の値が小さいほど、ステータコアの鉄損は小さくなる傾向であることが分かる。
図13(b)は、図13(a)において、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)が14.0[W/kg]付近のステータコアの鉄損を拡大して示す図である。図13(b)に示すように、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)が14.0[W/kg]付近のステータコアの鉄損は、4種類の材料c、d、e、fにおいて、最小値で55.0[W]、最大値で59.9[W]となり、最も鉄損が小さい水準では最も大きい水準に比べて約8[%]鉄損を低減することができていることが判明した。
本発明者らは、この要因を検証した。図14は、LC比とステータコアの鉄損との関係の一例を示す図である。図14に示すように、本発明者らは、L方向鉄損W10/400(L)に対するC方向鉄損W10/400(C)の比であるLC比(=W10/400(C)÷W10/400(L))がステータコアの鉄損と高い相関があることを見出した。具体的に本発明者らは、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)が同等の材料であれば、LC比が大きいほど(L方向およびC方向における鉄損の異方性が大きいほど)、ステータコアの鉄損が低減することを見出した。
従って、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)が小さく、LC比が大きい材料をステータコアの材料として選択すれば、ステータコアの鉄損を低減することが可能である。しかしながら、例えば、2種類の材料を比べた場合、一方の材料は、他方の材料に比べ、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)は小さいが、LC比も小さい場合、どちらの材料を選択すべきか明確でない。
そこで、本発明者らは、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)と、LC比(=W10/400(C)÷W10/400(L))とを比較する際に、第1の実施形態で説明した形状指標Sindexと、候補となる複数の材料のLC方向平均鉄損Wb/f(L+C)の代表値Waveと、を用いて、LC方向平均鉄損W10/400(L+C)と、LC比とを同等に比較できるようにすれば、ステータコアの鉄損を正しく評価できるという着想を得た。そして、本発明者らは、前述した形状および材料を含む、種々の形状および材料のステータコアについて、鉄損との相関が高い指標を検討した結果、(3)式の材料指標Windexを見出した。
次に、材料指標Windexが、ステータコアの形状に関わらず、鉄損と高い相関があることを示す。
図15は、材料指標Windexとステータコアの鉄損との関係の一例を示す図である。図15(a)は、ステータコアの形状を、第1の実施形態で説明したコアAの形状とすると共に、ステータコアに使用する電磁鋼板を、図12に示した8種類の材料a〜hの電磁鋼板としてステータコアをそれぞれ構成し、当該ステータコアを用いて前述した仕様でモータを構成して動作させた場合の材料指標Windexとステータコアの鉄損との関係を求めた結果を示す。図15(b)、図15(c)、図15(d)は、それぞれ、ステータコアの形状を、コアAに代えて、第1の実施形態で説明したコアB、コアC、コアDとした場合の結果を示す。
図15(a)〜図15(d)に示すように、ステータコアの形状に関わらず、材料指標Windexが大きいほど、ステータコアの鉄損は小さくなり、材料指標Windexとステータコアの鉄損には、高い相関関係があることが分かる。従って、材料指標Windexは、ステータコアの材料の選択の指標として有用であると言える。以上のことは、最大磁束密度Bおよび励磁周波数fを異ならせても同様であった。
ここで、モータのN−T特性(回転数とトルクとの関係)等に応じて、ステータコア内の磁束密度および励磁周波数が定まる。このため、評価指標(最も使用頻度が高い回転数・トルクや、トルクの最大値や、最高回転数等)のうち、最重要視する評価指標から定まるステータコアの最大磁束密度Bおよび励磁周波数fを、材料パラメータ(Wb/f(L+C)、Wb/f(L)、Wb/f(C))における最大磁束密度Bおよび励磁周波数fとして決定する。また、例えば、複数の評価指標の組のそれぞれについて、ステータコアの最大磁束密度Bおよび励磁周波数fを定めておき、複数の評価指標の重み付け線形和で表される評価値が最大または最小になる組を特定し、特定した組に対応するステータコアの最大磁束密度Bおよび励磁周波数fを、材料パラメータ(Wb/f(L+C)、Wb/f(L)、Wb/f(C))における最大磁束密度Bおよび励磁周波数fとして決定することもできる。
<材料指標決定部1003、材料指標決定ステップS1103>
前述したように、ステータコアの材料として候補となる材料のうち、材料指標Windexの値が最大となる材料を採用すれば、ステータコアの鉄損を最小化することが可能である。図15(a)〜図15(d)に示した例では、材料a〜hのうち、材料hをステータコアの材料として用いれば、ステータコアの鉄損が最小になることが分かる。一方で、ステータコアの材料は、コスト等も考慮して決定される。従って、例えば、低コスト化を再優先事項とし、低鉄損化を2番目の優先事項とする場合もある。
そこで、材料指標決定部1003は、材料指標導出部1002により導出された複数の材料指標Windexの中から、ステータコアの材料を定める材料指標Windexを決定する。
例えば、材料指標決定部1003は、ステータコアの材料の候補となる複数の材料についての材料指標Windexと、当該材料指標Windexを導出する際に用いた材料パラメータ(Wb/f(L+C)、Wb/f(L)、Wb/f(C))の情報とをコンピュータディスプレイに表示する。オペレータは、この表示から、前述したような基準に従って、ステータコアの材料指標として最適な材料指標Windexを決定し、ステータコア設計装置1000のユーザインターフェースを操作して指定する。材料指標決定部1003は、ステータコア設計装置1000のユーザインターフェースを用いてオペレータにより指定された材料指標Windexを入力し、当該材料指標Windexを、ステータコアの材料を定める材料指標Windexとして決定する。
また、材料指標決定部1003は、ステータコアの材料を定める材料指標Windexを自動的に決定することもできる。例えば、材料指標Windexを含む複数の指標の重み付き線形和で表される評価値が最大となるときの材料指標Windexを、ステータコアの材料を定める材料指標Windexとして決定することができる。例えば、材料jのコストをCjとし、材料jを用いた場合の材料指標をWindexjとして、材料指標Windexjに対する重み係数をk3、材料のコストCjに対する重み係数をk4とした場合、評価値J2を以下の(4)式で表すことができる。
J2=k3×Windexj+k4×(1/Cj) ・・・(4)
尚、重み係数k4を0(ゼロ)にすれば、最大の材料指標Windexが、ステータコアの材料を定める材料指標Windexになる。(4)式に示す例では、k3×Windexjにより、ステータコアの鉄損を評価することができる。
また、過去の実績から、例えば、回転電機の仕様等に応じて材料指標Windexとして適切な値が得られている場合には、当該値に基づいて、材料指標Windexに対する閾値を設けてもよい。この場合、例えば、材料指標決定部1003は、材料指標導出部1002により導出された材料指標Windexが、閾値を上回る場合に、当該材料指標Windexを、ステータコアの材料を定める材料指標Windexとして決定することができる。
まず、第1の実施形態で説明したようにして決定された形状指標Sindexを導出する際に使用された形状パラメータ(ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積)により定まる形状のステータコアを設計する。このとき、以上のようにして決定された材料指標Windexを導出する際に使用された材料パラメータ(Wb/f(L+C)、Wb/f(L)、Wb/f(C))を有する電磁鋼板をステータコアに使用する電磁鋼板とする。設計は、設計者が行ってもステータコア設計装置1000で行ってもよい。尚、ティース幅、ヨーク幅、径方向面積、および周方向面積以外の形状パラメータと、LC方向平均鉄損Wb/f(L+C)、L方向鉄損Wb/f(L)、およびC方向鉄損Wb/f(C)以外の材料パラメータについては、ステータコアを適用する回転電機(モータ)の仕様に応じて適宜決定してよい。そして、公知の手法により当該形状のステータコアを製造する。
以上のように本実施形態では、ステータコア設計装置1000は、Wave×Sindex/(Wb/f(L+C))+(Wb/f(C)/Wb/f(L))で表される材料指標Windexを導出する。従って、材料指標Windex(ステータコアの材料に関する指標として、ステータコアの鉄損を評価することができる指標)の値に基づいて、ステータコアの材料を設計する。よって、鉄損を低減することができるステータコアの形状および材料を容易に設計することができる。
尚、以上説明した本発明の実施形態において、ステータコア設計装置100、1000の処理の少なくとも一部を、ハードウェアを用いずに実現してよい。
また、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することもできる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100、1000:ステータコア設計装置、101:形状パラメータ取得部、102:形状指標導出部、103:形状指標決定部、1001:材料パラメータ取得部、1002:材料指標導出部、1003:材料指標決定部

Claims (17)

  1. ヨークと、複数のティースとを有し、軟磁性体板を積み重ねて構成されるステータコアの設計方法であって、
    前記ステータコアの形状の候補についての形状パラメータとして、周方向面積、径方向面積、ヨーク幅、およびティース幅を含む情報を取得する形状パラメータ取得工程と、
    前記ステータコアの形状の1つの候補に対する前記形状パラメータに基づいて、前記ステータコアの形状に関する指標である形状指標を導出する形状指標導出工程と、
    前記形状指標導出工程により導出された前記形状指標に基づいて、前記ステータコアの形状を定める前記形状指標を決定する形状指標決定工程と、を有し、
    前記軟磁性体板の圧延方向であるL方向と、前記ティースの長手方向とのなす角度のうち小さい方の角度は、前記軟磁性体板の圧延方向に垂直な方向であるC方向と、前記ティースの長手方向とのなす角度のうち小さい方の角度よりも小さく、
    前記ヨーク幅は、前記ステータコアの周方向におけるスロットの中央の位置での前記ステータコアの外径から内径を減算した値であり、
    前記ティース幅は、ティース直線領域の中央の位置での前記ティースの周方向の長さであり、
    前記ティース直線領域は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、前記ステータコアの周方向における前記ティースの端部を構成する直線のうち最長の直線の領域を、前記ステータコアの周方向における前記ティースの2つの端部のそれぞれについて求めたものであり、
    前記径方向面積は、ヨーク部領域の面積と、ティース部領域の面積との和であり、
    前記ヨーク部領域は、第1の点と、第2の点と、第3の点とを、を頂点とする三角形で囲まれる領域であり、
    前記第1の点は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、前記ステータコアの周方向における前記ティースの中央の位置と、前記ステータコアの軸と、を通る仮想線と、前記ステータコアの外周面と、の交点であり、
    前記第2の点および前記第3の点は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、1つの前記ティースにある2つの前記ティース直線領域のそれぞれの領域上の位置のうち前記ステータコアの外周面に最も近い位置にある点であり、
    前記ティース部領域は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面の領域のうち、前記第2の点および前記第3の点を相互に結ぶ仮想線よりも前記ステータコアの軸側の領域であり、
    前記周方向面積は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面の領域の面積から、前記径方向面積を減算した値であることを特徴とするステータコアの設計方法。
  2. 前記形状パラメータ取得工程では、前記ステータコアの形状の複数の候補のそれぞれについて前記形状パラメータを取得し、
    前記形状指標導出工程では、前記ステータコアの形状の複数の候補のそれぞれについて、前記形状指標を導出し、
    前記形状指標決定工程では、前記形状指標導出工程により導出された前記ステータコアの形状の複数の候補についての前記形状指標の中から、前記ステータコアの形状を定める前記形状指標を決定することを特徴とする請求項1に記載のステータコアの設計方法。
  3. 前記形状指標決定工程では、前記ステータコアの形状の複数の候補について前記形状指標導出工程により導出された前記形状指標のうち、最小の前記形状指標を、前記ステータコアの形状を定める前記形状指標として決定することを特徴とする請求項2に記載のステータコアの設計方法。
  4. 前記形状指標は、前記径方向面積に対する前記周方向面積の比である第1の比と、前記ヨーク幅に対する前記ティース幅の比である第2の比との積を含む計算式により求められることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のステータコアの設計方法。
  5. 前記形状指標Sindexは、前記ティース幅をTW[mm]、前記ヨーク幅をYW[mm]、前記径方向面積をLS[mm2]、前記周方向面積をCS[mm2]として、以下の(A)式により表されることを特徴とする請求項4に記載のステータコアの設計方法。
    index=(CS÷LS)×(2×TW÷YW)2 ・・・(A)
  6. 前記ステータコアの形状の候補についての前記形状指標は、前記ステータコアの形状を当該候補となる形状とした場合の当該ステータコアの鉄損を評価する指標であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のステータコアの設計方法。
  7. 前記ステータコアの材料の候補についての材料パラメータとして、最大磁束密度が所定の値であり、励磁周波数が所定の値であるときの前記軟磁性体板の前記L方向の鉄損であるL方向鉄損と、最大磁束密度が前記所定の値であり、励磁周波数が前記所定の値であるときの前記軟磁性体板の前記C方向の鉄損であるC方向鉄損と、最大磁束密度が前記所定の値であり、励磁周波数が前記所定の値であるときの前記軟磁性体板の前記L方向鉄損および前記C方向鉄損の平均値であるLC方向平均鉄損と、を含む情報を、前記ステータコアの材料の複数の候補のそれぞれについて取得する材料パラメータ取得工程と、
    前記形状指標と、前記材料パラメータとに基づいて、前記ステータコアの材料に関する指標である材料指標を導出する材料指標導出工程と、
    前記材料指標導出工程により導出された前記材料指標に基づいて、前記ステータコアの材料を定める前記材料指標を決定する材料指標決定工程と、を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のステータコアの設計方法。
  8. 前記材料指標決定工程では、前記材料指標導出工程により導出された前記材料の複数の候補についての前記材料指標の中から、前記ステータコアの材料を定める前記材料指標を決定することを特徴とする請求項7に記載のステータコアの設計方法。
  9. 前記材料指標決定工程では、前記ステータコアの形状の複数の候補について前記材料指標導出工程により導出された前記材料指標のうち、最大の前記材料指標を、前記ステータコアの形状を定める前記材料指標として決定することを特徴とする請求項8に記載のステータコアの設計方法。
  10. 前記材料指標は、前記LC方向平均鉄損に対する、前記材料の複数の候補についての前記LC方向平均鉄損の代表値と前記形状指標との積の比である第3の比を含む項と、前記L方向鉄損に対する前記C方向鉄損の比である第4の比を含む項とを含む計算式により求められることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載のステータコアの設計方法。
  11. 前記材料指標Windexは、最大磁束密度がB(=b÷10)[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの前記軟磁性体板の前記L方向の鉄損をWb/f(L)[W/kg]、最大磁束密度がB(=b÷10)[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの前記軟磁性体板の前記C方向の鉄損をWb/f(C)[W/kg]、最大磁束密度がB(=b÷10)[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの前記軟磁性体板の前記L方向の鉄損Wb/f(L)と最大磁束密度がB(=b÷10)[T]であり、励磁周波数がf[Hz]であるときの前記軟磁性体板の前記C方向の鉄損Wb/f(C)との平均値をWb/f(L+C)、前記複数の材料の候補についての前記LC方向平均鉄損の代表値をWave[W/kg]、前記形状指標をSindexとして、以下の(B)式により表されることを特徴とする請求項10に記載のステータコアの設計方法。
    index=Wave×Sindex/(Wb/f(L+C))+(Wb/f(C)/Wb/f(L)) ・・・(B)
  12. 前記ステータコアの材料の候補についての前記材料指標は、前記ステータコアの材料を当該候補となる材料とした場合の当該ステータコアの鉄損を評価する指標であることを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載のステータコアの設計方法。
  13. 前記軟磁性体板の圧延方向であるL方向と、前記ティースの長手方向とが略一致することを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のステータコアの設計方法。
  14. 前記ステータコアは、複数の分割コアを有するステータコア、または、折り曲げコアを有するステータコアであることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のステータコアの設計方法。
  15. ヨークと、複数のティースとを有し、軟磁性体板を積み重ねて構成されるステータコアの設計装置であって、
    前記ステータコアの形状の候補についての形状パラメータとして、周方向面積、径方向面積、ヨーク幅、およびティース幅を含む情報を取得する形状パラメータ取得手段と、
    前記ステータコアの形状の1つの候補に対する前記形状パラメータに基づいて、前記ステータコアの形状に関する指標である形状指標を導出する形状指標導出手段と、
    前記形状指標導出手段により導出された前記形状指標に基づいて、前記ステータコアの形状を定める前記形状指標を決定する形状指標決定手段と、を有し、
    前記軟磁性体板の圧延方向であるL方向と、前記ティースの長手方向とのなす角度のうち小さい方の角度は、前記軟磁性体板の圧延方向に垂直な方向であるC方向と、前記ティースの長手方向とのなす角度のうち小さい方の角度よりも小さく、
    前記ヨーク幅は、前記ステータコアの周方向におけるスロットの中央の位置での前記ステータコアの外径から内径を減算した値であり、
    前記ティース幅は、ティース直線領域の中央の位置での前記ティースの周方向の長さであり、
    前記ティース直線領域は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、前記ステータコアの周方向における前記ティースの端部を構成する直線のうち最長の直線の領域を、前記ステータコアの周方向における前記ティースの2つの端部のそれぞれについて求めたものであり、
    前記径方向面積は、ヨーク部領域の面積と、ティース部領域の面積との和であり、
    前記ヨーク部領域は、第1の点と、第2の点と、第3の点とを、を頂点とする三角形で囲まれる領域であり、
    前記第1の点は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、前記ステータコアの周方向における前記ティースの中央の位置と、前記ステータコアの軸と、を通る仮想線と、前記ステータコアの外周面と、の交点であり、
    前記第2の点および前記第3の点は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面において、1つの前記ティースにある2つの前記ティース直線領域のそれぞれの領域上の位置のうち前記ステータコアの外周面に最も近い位置にある点であり、
    前記ティース部領域は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面の領域のうち、前記第2の点および前記第3の点を相互に結ぶ仮想線よりも前記ステータコアの軸側の領域であり、
    前記周方向面積は、前記ステータコアの軸に垂直な方向に前記ステータコアを切った場合の断面の領域の面積から、前記径方向面積を減算した値であることを特徴とするステータコアの設計装置。
  16. 請求項1〜6の何れか1項に記載のステータコアの設計方法で決定された前記形状指標を導出する際に用いられた、前記周方向面積、前記径方向面積、前記ヨーク幅、および前記ティース幅により定まる形状を有することを特徴とするステータコア。
  17. 請求項7〜14の何れか1項に記載のステータコアの設計方法で決定された前記形状指標を導出する際に用いられた、前記周方向面積、前記径方向面積、前記ヨーク幅、および前記ティース幅により定まる形状を有し、且つ、請求項7〜14の何れか1項に記載のステータコアの設計方法で決定された前記材料指標を導出する際に用いられた、前記L方向鉄損、前記C方向鉄損、および前記LC方向平均鉄損により定まる材料で構成された前記軟磁性体板を有することを特徴とするステータコア。
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