JP2019067818A - 転写形導電フィルム及び積層体 - Google Patents

転写形導電フィルム及び積層体 Download PDF

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雅彦 海老原
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雅彦 海老原
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Abstract

【課題】 透明導電材を簡便に且つ視認性への影響を充分小さくして形成することができる転写形導電フィルム、及び視認性への影響が充分小さい透明導電材を有する積層体を提供すること。【解決手段】 転写形導電フィルムは、支持フィルムと、支持フィルム上に設けられた、感光性樹脂層及び該感光性樹脂層の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワークとを備え、感光性樹脂層が、金属ナノワイヤネットワークとは混在せず、一方の主面側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域を他方の主面側に含む。【選択図】 図1

Description

本発明は、転写形導電フィルム及び積層体に関する。
近年、ディスプレイ装置の構成は複雑化が進んでおり、複数の電子機器が搭載されることが多く、各電子機器の間で不要な電磁波ノイズが発生している。これら電磁波ノイズの影響を低減するために、導電性シートを用いて電磁波シールド特性を付与することが行われている。導電性シートとしては銅メッシュフィルムなどが知られており、例えば、下記の特許文献1には、熱可塑性樹脂からなる基材と、この基材上に設けられた金属メッシュ部材とを備える透明導電性接着フィルムが開示されている。
特開2014−96546号公報
ところで、電子機器からの電磁波の漏洩防止又は外部からの電磁波による電子機器への影響防止などの目的で、タッチセンサ又は画像表示素子の上に直接、電磁波シールド材を設けることが望まれている。しかしながら、上記特許文献1に開示の透明導電性接着フィルムでは、金属メッシュの光透過性が充分ではなく、シールド性を維持しながら光透過性を高めることが困難である。また、上記透明導電性接着フィルムは、被着体に電磁波シールド材を設けるためには熱ラミネート又は粘着剤層を設けるなどの必要があり、生産性及び製品の薄型化において充分なものであるとはいえない。
そこで、本発明者らは、感光性樹脂層と、該感光性樹脂層の少なくとも一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワークとを備える転写形感光性フィルムを作成し、ラミネート及び露光による方法で被着体上に金属ナノワイヤネットワークを電磁波シールド材として設けることを検討した。この検討において、透明性の高い部材から構成されるタッチセンサ又は画像表示素子の周囲に金属ナノワイヤネットワークが存在すると、そこでの反射光が濁りとして見えてしまうことが判明した。そして本発明者らは、視認性が損なわれないように透明導電材を設けるとの課題を得た。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透明導電材を簡便に且つ視認性への影響を充分小さくして形成することができる転写形導電フィルム、及び視認性への影響が充分小さい透明導電材を有する積層体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、支持フィルムと、支持フィルム上に設けられた、感光性樹脂層及び該感光性樹脂層の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワークと、を備え、感光性樹脂層が、金属ナノワイヤネットワークとは混在せず、一方の主面側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域を他方の主面側に含む転写形導電フィルムを提供する。
本発明の転写形導電フィルムによれば、被着体上にラミネートし、光照射することにより、透明導電材を簡便に且つ視認性への影響を充分小さくして形成することができる。具体的には、本発明の転写形導電フィルムによれば、感光性樹脂層の金属ナノワイヤネットワークが設けられている側、及び高屈折率領域側のいずれの側からも貼り合わせが可能であり、目視する側(例えば表示画面側)から高屈折率領域/金属ナノワイヤネットワークの順になるように感光性樹脂層を被着体上にラミネートすることで、目視する側への反射光が充分に抑制され、濁りが視認されにくい透明導電材を設けることができる。また、本発明の転写形導電フィルムによれば、光照射後に現像処理を施すことにより、所定のパターンで透明導電材を形成することもできる。
本発明の転写形導電フィルムは、視認性への影響を充分に小さくする観点から、上記高屈折領域及び上記金属ナノワイヤネットワークの間隔が0.3μm以上であることが好ましい。
また、視認性への影響を充分に小さくする観点から、上記高屈折領域及び上記金属ナノワイヤネットワークの間隔が50μm以下であることが好ましい。
また、金属ナノワイヤネットワークの反射光を抑制し、視認性への影響を充分に小さくする観点から、上記高屈折領域は、波長550nmにおける屈折率が1.55〜1.75であることが好ましい。
本発明の転写形導電フィルムは、電磁波シールド形成用であってもよい。この場合、被着体上に、目視する側への反射光が充分に抑制され、濁りが視認されにくい、すなわち視認性への影響が充分小さい電磁波シールド材を簡便に設けることができる。
本発明はまた、基材と、基材上に設けられた、硬化樹脂層及び該硬化樹脂層の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワークと、を備え、硬化樹脂層が、金属ナノワイヤネットワークとは混在せず、一方の主面側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域を他方の主面側に含む積層体を提供する。
本発明の積層体において、高屈折率領域と金属ナノワイヤネットワークとが混在しないように設けられていることにより、高屈折率領域が目視する側に位置する場合に金属ナノワイヤネットワークは視認性への影響が充分小さい透明導電材として機能することができる。
本発明の積層体は、金属ナノワイヤネットワークの反射光を抑制し、視認性への影響を充分に小さくする観点から、上記高屈折領域及び上記ナノワイヤネットワークの間隔が0.3μm以上であることが好ましい。
また、金属ナノワイヤネットワークの反射光を抑制し、視認性への影響を充分に小さくする観点から、上記高屈折領域及び上記金属ナノワイヤネットワークの間隔が50μm以下であることが好ましい。
また、金属ナノワイヤネットワークの反射光を抑制し、視認性への影響を充分に小さくする観点から、上記高屈折領域は、波長550nmにおける屈折率が1.55〜1.75であることが好ましい。
本発明の積層体において、上記金属ナノワイヤネットワークを電磁波シールド材とすることができる。この積層体は、目視する側への反射光が充分に少ない、すなわち視認性への影響が充分小さい電磁波シールド材を備えることができる。この積層体をタッチセンサ又は画像表示素子に適用した場合には、表示画面側への反射光が充分に少ない電磁波シールド材を備えるタッチセンサ又は画像表示素子の実現が可能となる。
本発明によれば、透明導電材を簡便に且つ視認性への影響を充分小さくして形成することができる転写形導電フィルム、及び視認性への影響が充分小さい透明導電材を有する積層体を提供することができる。
転写形導電フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 転写形導電フィルムの製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。 積層体の実施形態を示す模式断面図である。 電磁波シールドを有するタッチパネルの一実施形態を示す模式断面図である。 電磁波シールドを有するタッチパネルの別の実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」又は「メタクリロイル」を意味する。
本明細書における「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[転写形導電フィルム]
本実施形態に係る転写形導電フィルムは、支持フィルムと、支持フィルム上に設けられた、感光性樹脂層及び該感光性樹脂層の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワークと、を備え、感光性樹脂層が、金属ナノワイヤネットワークとは混在せず、一方の主面側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域を他方の主面側に含む。
図1は、本実施形態の転写形導電フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される転写形導電フィルム1は、第1のフィルム10と、第1のフィルム10に設けられた、感光性樹脂層20及び該感光性樹脂層20の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワーク30とを備える。転写形導電フィルム1における感光性樹脂層20は、金属ナノワイヤネットワークが設けられている側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域40を他方の主面側に含む。本実施形態においては、高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークの間隔Dが所定量設けられている。また、高屈折率領域40は高屈折率粒子42を含んでおり、感光性樹脂層20の高屈折率領域40側の主面上には第2のフィルム50が設けられている。
本実施形態の転写形導電フィルム1において、第1のフィルム10及び第2のフィルム50のうち、感光性樹脂層20を所定の基材上に貼り合わせる際に剥離する方を保護フィルムとすることができ、他方を支持フィルムとすることができる。この場合、本実施形態の転写形導電フィルム1は、保護フィルム付き転写形導電フィルムということもできる。本実施形態においては保護フィルムを省略することもできる。
以下、転写形導電フィルム1を構成する各部材について詳細に説明する。
<支持フィルム>
支持フィルムとしては、例えば重合体フィルムを用いることができる。重合体フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。これらのうち、透明性及び耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
上記の重合体フィルムは、後に転写された電磁波シールド形成用フィルム又は電磁波シールド材からの剥離が容易となるよう、離型処理されたものであってもよい。
支持フィルムの厚みは、機械的強度の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることがさらに好ましい。支持フィルムの厚みを上記数値以上とすることによって、例えば、金属ナノワイヤネットワーク30を形成するために導電性繊維分散液又は導電性繊維溶液を塗工する工程、感光性樹脂層20を形成するために感光性樹脂組成物を塗工する工程で、支持フィルムが破れることを防止できる。また、支持フィルムを介して感光性樹脂層20に活性光線を照射して所定のパターンを有する透明導電材(例えば、電磁波シールド材)を形成する場合、パターンの解像度を充分確保する観点から、支持フィルムの厚みは、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
上記の観点から、支持フィルムの厚みは、5〜300μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、15〜100μmであることがさらに好ましい。
支持フィルムのヘーズ値は、感度及び解像度を良好にできる観点から、0.01〜5.0%であることが好ましく、0.01〜3.0%であることがより好ましく、0.01〜2.0%であることがさらに好ましく、0.01〜1.5%であることが特に好ましい。なお、ヘーズ値はJIS K 7105に準拠して測定することができ、例えば、NDH5000(日本電色工業株式会社製、商品名)等の市販の濁度計などで測定が可能である。
<保護フィルム>
保護フィルムは、任意で設けることができ、耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが挙げられる。また、保護フィルムとして上述の支持フィルムと同様の重合体フィルムを用いてもよい。
保護フィルムの厚みは、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜40μmであることがさらに好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。保護フィルムの厚みは、機械的強度に優れる点で1μm以上であることが好ましく、比較的安価となる点で100μm以下であることが好ましい。
保護フィルムと感光性樹脂層20との間の接着力は、保護フィルムを感光性樹脂層20から剥離しやすくするために、支持フィルムと感光性導電層20との間の接着力よりも小さいことが好ましい。
<金属ナノワイヤネットワーク>
金属ナノワイヤネットワーク30は金属ナノワイヤを含んでなるものであり、複数の金属ナノワイヤから形成することができる。このような金属ナノワイヤネットワークは、透明導電材が例えば透明電極である場合には導電性と光透過性とを高水準で両立することができ、透明導電材が例えば電磁波シールド材である場合には電磁波シールド性と光透過性とを高水準で両立することができる。
金属ナノワイヤネットワークは、例えば(1)金属ナノワイヤ同士が導電性を有する範囲で離れた状態、(2)金属ナノワイヤ同士が接触している状態、又は(3)金属ナノワイヤ同士が接点で融着されている状態にある繊維集合体であることができる。
金属ナノワイヤネットワークに含まれる金属ナノワイヤとしては、例えば金、銀、銅、白金等の金属繊維などの導電性繊維が挙げられる。導電性の観点から、金繊維及び/又は銀繊維を用いることが好ましく、電磁波シールド性と光透過性とを高水準で両立する観点から、銀ナノワイヤを用いることがより好ましい。
上記の金属繊維は、例えば、金属イオンをNaBH等の還元剤で還元する方法、又はポリオール法により調製することができる。銀ナノワイヤが含まれる導電性繊維についても、銀イオンをNaBH等の還元剤で還元する方法、又はポリオール法により調製することができる。
金属ナノワイヤの繊維径は、導電性若しくは電磁波シールド性と光透過性とを両立する観点から、1nm〜100nmであることが好ましく、2nm〜50nmであることがより好ましく、3nm〜30nmであることがさらに好ましい。また、金属ナノワイヤの繊維長は、導電性若しくは電磁波シールド性と光透過性とを両立する観点から、1μm〜100μmであることが好ましく、2μm〜50μmであることがより好ましく、3μm〜30μmであることがさらに好ましい。繊維径及び繊維長は、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
本実施形態においては、金属ナノワイヤネットワークが感光性樹脂層20の一方の主面側に設けられる。金属ナノワイヤネットワークは、感光性樹脂層の面方向に導電性が得られるものであればよい。感光性樹脂層の主面に設けられた金属ナノワイヤネットワークは、例えば(1)感光性樹脂層に埋没している状態、(2)感光性樹脂層に埋没し、一部分が感光性樹脂層の主面から露出している状態、(3)全体が感光性樹脂層の主面上に露出した状態で存在していてもよい。
金属ナノワイヤネットワーク30は、金属ナノワイヤ同士が接触してなる網目構造を有することが好ましい。
金属ナノワイヤネットワーク30の厚みは、転写形導電フィルムを用いて形成される透明導電材の用途、求められる特性及び光透過性によっても異なるが、1μm以下であることが好ましく、0.001μm〜0.5μmであることがより好ましく、0.005μm〜0.1μmであることがさらに好ましく、0.01〜0.1μmであることが特に好ましい。金属ナノワイヤネットワーク30の厚みが1μm以下であると、450〜650nmの波長域での光透過率が高く、パターン形成性にも優れ、特に透明電磁波シールド材の作製に好適なものとなる。なお、金属ナノワイヤネットワーク30の厚みは、走査型電子顕微鏡写真によって測定される値を指す。
<感光性樹脂層>
感光性樹脂層20は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物から形成することができる。
<バインダーポリマー>
(A)バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂(アクリル系重合体ともいう)、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物の反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂等が挙げられる。
上記の中でも、フィルム形成性に優れる観点から、アクリル系重合体を用いることが好ましい。また。上記アクリル系重合体が(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を構成単位として有するとより好ましい。ここで、「アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来する構造単位を主に有する重合体のことを意味する。
上記アクリル系重合体は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(以下、(メタ)アクリルモノマーという場合もある)をラジカル重合して製造されるものが使用できる。
上記(メタ)アクリロイル基を有するモノマーとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2、2、2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2、2、3、3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
また、上記アクリル系重合体は、上記のような(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの他に、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のα−位又は芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸等の1種又は2種以上のモノマーなどが共重合されていてもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル等が挙げられる。
アクリル系重合体を構成するモノマー成分としては、優れた重合性を有する観点から、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソセチルアクリレート、2−オクチルデシルアクリレート、イソステアリルアクリレートが好ましい。また、粘着性の観点から、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−オクチルデシルアクリレートが好ましい。
低温貼付の観点から、アクリル系重合体が、当該重合体を構成するモノマー成分として、ホモポリマーのガラス転移温度が25℃以下であるモノマーを、モノマー成分全量基準で30質量%以上含むことが好ましい。
さらに、より低温での貼付を可能とする観点から、上記アクリル系重合体が、当該重合体を構成するモノマー成分として、ホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下である(メタ)アクリルモノマーを、モノマー成分全量基準で10質量%以上含むことが好ましく、20質量%以上含むことがより好ましく、25質量部以上含むことがさらに好ましい。
また、所定のパターンを有する透明導電材を設ける場合、(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性をより良好にする観点から、カルボキシル基を有することが好ましい。このようなバインダーポリマーを得るためのカルボキシル基を有するモノマーとしては、上述したような(メタ)アクリル酸が挙げられる。
(A)バインダーポリマーが有するカルボキシル基の比率は、バインダーポリマーを得るために使用する全モノマーに対するカルボキシル基を有するモノマーの割合として、10〜50質量%であることが好ましく、12〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることがさらに好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。アルカリ現像性に優れる点では10質量%以上であることが好ましく、非現像部のアルカリ耐性に優れる点では、50質量%以下であることが好ましい。
(A)バインダーポリマーの酸価は、現像工程において、公知の各種現像液に対する現像性を向上させる観点から、50〜150mgKOH/gの範囲にあることが好ましく、60〜120mgKOH/gの範囲にあることがより好ましく、70〜100mgKOH/gの範囲にあることがさらに好ましい。
(A)バインダーポリマーの重量平均分子量は、貼合わせ性の観点から、10,000以上であることが好ましく、フィルム化のための樹脂溶液の調製のしやすさの点から200,000以下であることが好ましく、これらの観点から、10,000〜20,0000が好ましく、20,000〜15,0000がより好ましく、30,000〜100,000がさらに好ましい。なお、本明細書において、ポリマーの重量平均分子量の測定条件は本願明細書の実施例と同一の測定条件とすることができる。
所定のパターンを有する透明導電材を設ける場合、(A)バインダーポリマーの重量平均分子量は、機械強度及びアルカリ現像性のバランスを図る観点から、5,000〜300,000であることが好ましく、20,000〜150,000であることがより好ましく、30,000〜100,000であることがさらに好ましい。非現像部の耐現像液性に優れる点では、重量平均分子量が、5,000以上であることが好ましい。また、現像時間の観点からは、300,000以下であることが好ましい。
(A)バインダーポリマーは、上述した樹脂を単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。2種類以上の樹脂を組み合わせて使用する場合、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上の樹脂が含まれる混合物からなるバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上の樹脂が含まれる混合物からなるバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上の樹脂が含まれる混合物からなるバインダーポリマー等が挙げられる。
<重合性化合物>
(B)重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、多価アルコールにα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
上記多価アルコールにα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、2、2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2、2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2、2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(B)重合性化合物の含有割合は、(A)バインダーポリマー及び(B)重合性化合物の総量100質量部に対して、30〜80質量部であることが好ましく、40〜70質量部であることがより好ましく、40〜60質量部であることがさらに好ましい。光硬化性及び形成された金属ナノワイヤネットワーク30上への塗工性に優れる点では、30質量部以上であることが好ましく、フィルムとして巻き取った場合の保管安定性に優れる点では、80質量部以下であることが好ましい。
<光重合開始剤>
(C)光重合開始剤としては、活性光線の照射によって感光性樹脂層20を硬化させることができるものであれば、特に制限されない。光硬化性に優れる観点からは、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。例えば、ベンゾフェノン、N、N’−テトラメチル−4、4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N、N’−テトラエチル−4、4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1、2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4、5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2、4、5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1、7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オキサゾール系化合物などが挙げられる。
これらの中でも、透明性、及び感光性樹脂層20の厚み10μm以下でのパターン形成能の観点から、オキシムエステル化合物又はフォスフィンオキサイド化合物が好ましい。
(C)光重合開始剤の含有割合は、(A)バインダーポリマー及び(B)重合性化合物の総量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。光感度に優れる点では、0.1質量部以上であることが好ましく、感光性樹脂層20の内部の光硬化性に優れる点では、20質量部以下であることが好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、金属及び金属酸化物に対する密着性を良好にする観点から、エチレン性不飽和基を有するリン酸エステル(以下、(E)成分ともいう)を含有することが好ましい。エチレン性不飽和基を有するリン酸エステルは、上記(B)成分と重複する場合があるが、本明細書においては(B)成分に含ませないものとする。
(E)成分であるエチレン性不飽和基を有するリン酸エステルとしては、金属及び金属酸化物に対する密着性を良好にする観点から、ユニケミカル株式会社製のPhosmerシリーズ(Phosmer−M、Phosmer−CL、Phosmer−PE、Phosmer−MH、Phosmer−PP等)、又は日本化薬株式会社製のKAYAMERシリーズ(PM−21、PM−2等)が好ましい。
(E)成分の含有割合は、(A)バインダーポリマー及び(B)重合性化合物の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜3質量部であることがさらに好ましい。
<その他の成分>
感光性樹脂層20には、必要に応じて、各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤、防錆剤等を含有させることができる。これらの添加剤の添加量は、(A)バインダーポリマー及び(B)重合性化合物の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部であることが好ましい。
次に、感光性樹脂層20に含まれる高屈折率領域40について説明する。
高屈折率領域40は、感光性樹脂層20に(F)高屈折率粒子を含有させることにより設けることができる。高屈折率領域40は、視認性の観点から、金属酸化物粒子を含んでなる樹脂領域であることが好ましい。
高屈折率粒子としては、波長550nmにおける屈折率が1.5以上であるものが好ましい。このような粒子として、金属酸化物粒子を用いることができる。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化アルミウム、酸化ケイ素及び酸化イットリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む粒子が挙げられるが、粒子の屈折率が高く、高屈折率領域の屈折率を高くすることができる点から、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタンの粒子を含有することが好ましい。
酸化ジルコニウム粒子としては、透明電極の材料がITOの場合、屈折率向上と、ITO及び透明基材との密着性の観点から、酸化ジルコニウムナノ粒子を用いることが好ましい。酸化ジルコニウムナノ粒子は、粒度分布Dmaxが40nm以下であることが好ましい。
酸化ジルコニウムナノ粒子は、OZ−S30K(日産化学工業株式会社製、製品名)、OZ−S40K−AC(日産化学工業株式会社製、製品名)、SZR−K(酸化ジルコニウムメチルエチルケトン分散液、堺化学工業株式会社製、製品名)、SZR−M(酸化ジルコニウムメタノール分散液、堺化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。
酸化チタン粒子としては、酸化チタンナノ粒子を用いることが好ましい。酸化チタンナノ粒子は、粒度分布Dmaxが50nm以下であることが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
高屈折率領域40は、上記金属酸化物粒子のほかに、例えばMg、Al、Si、Ca、Cr、Cu、Zn、Ba等の原子を含む酸化物粒子または硫化物粒子を含んでいてもよい。また、高屈折率領域40は、波長550nmにおける屈折率が1.5以上である有機化合物を含んでいてもよい。
高屈折率領域40は、金属ナノワイヤネットワーク30とは混在しないように設けられている。本実施形態においては、金属ナノワイヤネットワークから形成される透明導電材の光反射に起因する濁りを抑制する観点から、高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークの間隔Dを50μm以下とすることができる。
透明導電材の視認性への影響をより低減する観点から、間隔Dが0.3μm以上であることが好ましく、0.35μm以上であることがより好ましく、0.4μm以上であることがさらに好ましい。また、透明導電材の視認性への影響をより低減する観点から、間隔Dが50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
本明細書において高屈折率領域と金属ナノワイヤネットワークとの間隔D(距離)とは、以下の手順で求められる最短距離の平均値を意味する。
(i)まず、転写形導電フィルムに、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM1201」)を使用して、露光量1000mJ/cmで(i線(波長365nm)における測定値)紫外線を照射し、測定用試料を得る。
(ii)得られた測定用試料を公知の方法(イオンミリング法、FIB法、ミクロトーム法)で断面が観察できるように薄膜加工した後、走査型電子顕微鏡(SEM)にて断面を観察する。
(iii)エネルギー分散型X線分析法(EDX、EDS)によって、高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークを構成する元素をマッピングすることで、それぞれを可視化する。
(iv)可視化された高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークを観察し、ある観察領域において、フィルムの主面方向と平行な直線を金属ナノワイヤネットワーク側から高屈折率領域に近づけていったときに、高屈折率領域と最初に接するときの直線を高屈折率領域の金属ナノワイヤネットワーク側の界面(図1におけるS2)として設定し、同様に、フィルムの主面方向と平行な直線を高屈折率領域側から金属ナノワイヤネットワークに近づけていったときに、金属ナノワイヤネットワークと最初に接するときの直線を金属ナノワイヤネットワークの高屈折率領域側の界面(図1におけるS1)として設定する。2つの界面の最短距離を測定する。
(v)(iv)の操作を一つの試料に対して10以上の観察領域で行う。全ての最短距離の測定結果から平均値を求め、この平均値を間隔D(距離)とする。
上記(iii)において、高屈折率領域については、例えば高屈折粒子として用いられる金属酸化物粒子の金属原子(例えばTi又はZr)をマッピングすることができ、金属ナノワイヤネットワークについては、例えば導電性繊維の金属原子(Ag)をマッピングすることができる。
上記(iv)及び(v)において、観察領域は適宜設定することができる。なお、高屈折率領域と金属ナノワイヤネットワークとの間隔が短い場合(例えば1μm以下の場合)には、走査型電子顕微鏡では両者の界面が不明瞭になるため、透過型電子顕微鏡(TEM)にて断面を観察することができる。この場合も、走査型電子顕微鏡(SEM)での観察と同様にして、元素をマッピングした後、最短距離を測定し、10回以上の測定結果の平均値を間隔Dとする。
高屈折率領域40を含む感光性樹脂層20は、第一の樹脂層と、高屈折率粒子を含有する第二の樹脂層との積層によって構成することができる。この場合、第一の樹脂層の厚みを調整することにより、高屈折率領域と金属ナノワイヤネットワークとの間隔D(距離)を所望の範囲に設定することができる。
図2は、上記の積層構造を有する感光性樹脂層を備える転写形導電フィルムの製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。
図2に示す製造方法においては、第1のフィルム10上に、金属ナノワイヤネットワーク30を形成し(図2の(a))、次いで金属ナノワイヤネットワーク30上に第一の樹脂層22を形成する(図2の(b))。他方で、第2のフィルム50上に、高屈折率粒子42を含有する第二の樹脂層24を形成する(図2の(c))。このようにして得られる2つのフィルムを、第一の樹脂層22と第二の樹脂層24とが積層されるようにローラによりラミネートすることで、転写形導電フィルムを製造することができる(図2の(d))。
金属ナノワイヤネットワーク30の形成は、例えば、第1のフィルム上に、上述した導電性繊維、水、必要に応じて界面活性剤等の分散安定剤などを加えた導電性繊維分散液を塗工し、乾燥することで形成することができる。また、金属ナノワイヤ同士の融着を促進するために、金属塩を添加してもよい。
塗工は、例えばロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、30〜150℃で1〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。金属ナノワイヤネットワーク30において、金属ナノワイヤは界面活性剤及び分散安定剤と共存していてもかまわない。本明細書において金属ナノワイヤネットワークは、導電性繊維が分散した塗布液に含有する溶媒、添加剤等に由来する乾燥後残留物を含むことができる。
第一の樹脂層22は、第1のフィルム上に形成された金属ナノワイヤネットワーク上に、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N、N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解した、固形分10〜60質量%程度の上述した感光性樹脂組成物の溶液を塗工した後、乾燥することにより形成できる。但し、この場合、乾燥後の感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するため、2質量%以下であることが好ましい。
塗工は、公知の方法で行うことができる。例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等が挙げられる。塗工後、有機溶剤等を除去するための乾燥は、70〜150℃で5〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。
第一の樹脂層22の厚みは、設定される間隔Dにより異なるが、転写形導電フィルムの転写性、ラミネート性の観点から、乾燥後の厚みで0.5〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、2〜40μmであることがさらに好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。第一の樹脂層の厚みは、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
第一の樹脂層22は、波長550nmにおける屈折率が1.55〜1.75であってもよい。
第一の樹脂層22は、bが0.1〜2.0であることが好ましく、0.1〜1.0であることがより好ましく、0.1〜0.7であることがさらに好ましい。第一の樹脂層22がこのような条件を満たす場合、タッチパネル等での視認性がさらに向上する。
第二の樹脂層24は、第一の樹脂層22よりも相対的に高い屈折率を有する層(高屈折率層)であればよい。第二の樹脂層24は、例えば、高屈折率粒子を配合した感光性樹脂組成物を、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N、N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解又は分散した溶液を、第2のフィルム上に塗工した後、乾燥することにより形成できる。但し、この場合、乾燥後の感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するため、2質量%以下であることが好ましい。
第二の樹脂層における高屈折率粒子の含有量は、第二の樹脂層の屈折率及び現像性向上の観点から、第二の樹脂層を形成する組成物100質量部に対し、100〜1000質量部であることが好ましく、150〜800質量部であることがより好ましく、200〜600質量部であることがさらに好ましく、300〜500質量部であることがさらにより好ましい。
第二の樹脂層24は、波長550nmにおける屈折率が1.55〜1.75であることが好ましく、1.60〜1.75であることがより好ましく、1.65〜1.75であることがさらに好ましい。
また、銀ナノワイヤネットワークの反射を抑制する観点から、第二の樹脂層の波長550nmにおける屈折率は、第一の樹脂層の波長550nmにおける屈折率よりも0.05以上大きいことが好ましく、0.1以上大きいことがより好ましく、0.2以上大きいことがさらに好ましい。
屈折率は、例えばETA−TCM(AudioDevGmbH株式会社製、製品名)を用いて測定することができる。なお、第一の樹脂層及び第二の樹脂層については、例えば次のようにして屈折率測定用試料を作製して測定をすればよい。
まず、各層を形成するための塗布液を、厚み0.7mmのガラス基材上にスピンコーターで均一に塗布し、100℃の熱風滞留式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、第一の樹脂層又は第二の樹脂層を形成する。次いで、これらの層を、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置し、第一の樹脂層又は第二の樹脂層を有する屈折率測定用試料を得ることができる。
第二の樹脂層24は、bが0.1〜2.0であることが好ましく、0.1〜1.0であることがより好ましく、0.1〜0.7であることがさらに好ましい。第二の樹脂層24がこのような条件を満たす場合、タッチパネル等での視認性がさらに向上する。
第二の樹脂層の厚みは、乾燥後の厚みで20〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがより好ましく、40〜150nmであることがさらに好ましく、50〜120nmであることが特に好ましい。厚みが上記範囲であることにより、透明導電材の視認性への影響をより低減することが可能となる。
なお、本実施形態に係る転写形導電フィルムを製造する方法は上述した方法に限定されない。例えば、第1のフィルム上に、塗布、乾燥による方法を用いて、金属ナノワイヤネットワーク、第一の樹脂層及び第二の樹脂層をこの順に形成し、必要に応じて、第二の樹脂層上に第2のフィルムを更に貼り合わせる方法などを用いてもよい。
感光性樹脂層20の厚みは、透明導電材の視認性への影響をより低減する観点から、0.3μm以上であることが好ましく、0.35μm以上であることがより好ましく、0.4μm以上であることがさらに好ましく、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。
なお、感光性樹脂層20の厚みは、金属ナノワイヤネットワークが感光性樹脂層に埋没している場合には、金属ナノワイヤネットワークの一部分を含めた厚みを指す。また、金属ナノワイヤネットワークの少なくとも一部分が感光性樹脂層から露出している場合には、当該一部分を除いた感光性樹脂自体の厚みを指す。
本実施形態に係る転写形導電フィルムは、形成する透明導電材の用途に応じて種々の技術分野に適用することができる。例えば、透明導電材が透明電極である場合、転写形導電フィルムは、タッチパネル用電極の形成、LEDなどの表示素子の透明電極などの用途に適用できる。また、透明導電材が電磁波シールド材である場合、転写形導電フィルムは、電磁波シールド形成用として利用することができる。
高屈折領域を含む感光性樹脂層20及び金属ナノワイヤネットワーク30から形成されるタッチパネル用電極は、導電性と光透過性とを両立する観点から、シート抵抗値が200Ω/□以下であることが好ましく、150Ω/□以下であることがより好ましく、100Ω/□以下であることがさらに好ましい。
高屈折領域を含む感光性樹脂層20及び金属ナノワイヤネットワーク30から形成される電磁波シールド材は、電磁波シールド性と光透過性とを両立する観点から、シート抵抗値が300Ω/□以下であることが好ましく、200Ω/□以下であることがより好ましく、100Ω/□以下であることがさらに好ましい。
なお、上記シート抵抗値は、例えば金属ナノワイヤネットワーク30に含まれる導電性繊維の種類、又は、導電性分散液の濃度若しくは塗工量によって上記範囲に調整することができる。また、導電性繊維の表面状態又は導電性繊維同士の接点状態を調整することでも、シート抵抗値を変動させることが可能である。
本実施形態の転写形導電フィルムにおいて、高屈折領域を含む感光性樹脂層20及び金属ナノワイヤネットワーク30の積層体は、波長450nmの光に対する光透過率が、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、97%以上であることがさらにより好ましい。感光性樹脂層の硬化後、すなわち、高屈折領域を含む樹脂硬化層及び金属ナノワイヤネットワークの積層体においても上記の条件が好ましい。
また、高屈折領域を含む感光性樹脂層20及び金属ナノワイヤネットワーク30の積層体は、450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。感光性樹脂層の硬化後、すなわち、高屈折領域を含む樹脂硬化層及び金属ナノワイヤネットワークの積層体においても上記の条件が好ましい。
<他の層>
本実施形態に係る転写形導電フィルムは、本発明の効果が得られる範囲で、適宜選択した他の層を設けてもよい。前記他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、酸素遮蔽層、剥離層、接着層等が挙げられる。転写形導電フィルムは、これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有してもよい。
例えば、転写形導電フィルム1は、第1のフィルム10又は第2のフィルム50上に、接着層、ガスバリア層等の層をさらに有していてもよい。
転写形導電フィルム1は、例えば、そのままの平板状の形態で、又は、円筒状などの巻芯に巻きとりロール状の形態で貯蔵することができる。なお、この際、支持フィルムとして機能する方のフィルムが最も外側になるように巻き取られることが好ましい。
また、転写形導電フィルム1が、例えば、第1のフィルム10又は第2のフィルムを有してない場合、係る転写形導電フィルムは、そのままの平板状の形態で貯蔵することができる。
[積層体]
本実施形態に係る積層体は、基材と、基材上に設けられた、硬化樹脂層及び該硬化樹脂層の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワークと、を備え、硬化樹脂層が、金属ナノワイヤネットワークとは混在せず、一方の主面側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域を他方の主面側に含む。
基材としては、透明基材を用いることができる。透明基材としては、タッチパネルを構成する部材又は画像表示素子が挙げられ、例えばタッチパネルセンサに用いられる、ガラス、プラスチック、セラミック、樹脂製の基材等が挙げられる。樹脂製の基材として、例えばポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂製の基材等が挙げられる。透明基材はフィルム状の基材であってもよい。フィルム状の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマフィルムが挙げられる。これらの基材は、電極が設けられたものであってもよい。透明基材は、450〜650nmの波長域での最小光透過率が80%以上であるものが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。透明基材が、このような条件を満たす場合、タッチパネル等での高輝度化が容易となる。
本実施形態に係る積層体においては、高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークを、目視する側からこの順に配置させることにより、金属ナノワイヤネットワークが視認性への影響が充分小さい透明導電材として機能することができる。
金属ナノワイヤネットワークは、例えば、電磁波シールド材、タッチパネル用の透明電極、LEDなどの表示素子の透明電極として機能させることができる。
金属ナノワイヤネットワーク及び高屈折率領域を含む硬化樹脂層は、本実施形態に係る転写形導電フィルムを用いて形成することができる。
本実施形態に係る積層体において、金属ナノワイヤネットワークの反射光を抑制し、視認性の変化を充分に抑制する観点から、高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークの間隔が50μm以下であることが好ましい。また、上述した間隔Dの好ましい範囲とすることができる。
本実施形態に係る積層体は、LED、OLED、LCD、電子ペーパー、プラズマディスプレイ等の画像表示素子、タッチセンサ(感圧センサ)等のタッチパネルなどに適用することができる。
図3は、積層体の実施形態を示す模式断面図である。図3の(a)は電磁波シールド材を備えるタッチパネルの一部の積層構造を示し、図3の(b)は透明電極を備えるタッチパネルの一部の積層構造を示す。
図3の(a)に示される積層構造は、ITO電極などの透明電極110が設けられた透明基材100と、透明基材100の透明電極110側上に設けられた硬化樹脂層26とを備える。硬化樹脂層26の透明基材100とは反対側の主面には、電磁波シールド材としての金属ナノワイヤネットワーク30が設けられている。また、硬化樹脂層26は、透明基材100側に、高屈折率粒子42を含んでなる高屈折率領域40を含む。
図3の(b)に示される積層構造は、ITO電極などの透明電極110が設けられた透明基材100と、透明基材100の透明電極110側上に設けられた硬化樹脂層26とを備える。硬化樹脂層26の透明基材100とは反対側の主面には、透明電極としての所定のパターンを有する金属ナノワイヤネットワーク32が設けられている。また、硬化樹脂層26は、透明基材100側に、高屈折率粒子42を含んでなる高屈折率領域40を含む。
図3の(a)及び(b)において、目視する方向が矢印Aである。図3の(a)及び(b)に示される積層構造はそれぞれ、目視する側への反射光が充分に抑制され、濁りが視認されにくい、すなわち視認性への影響が充分小さい電磁波シールド材及び透明電極を備えることができる。
[積層体の製造方法]
本実施形態に係る積層体の第1の製造方法は、基材(被着体)上に、本実施形態に係る転写形導電フィルムを、感光性樹脂層の金属ナノワイヤネットワークが設けられている側又は高屈折率領域側が密着するようにラミネートする工程と、感光性樹脂層に活性光線を照射する露光工程とを備える。以下、本方法について説明する。
基材としては、上述した透明基材が挙げられる。
[ラミネート工程]
ラミネート工程では、例えば、転写形導電フィルム1を、第1又は第2のフィルムを除去した後、感光性樹脂層の金属ナノワイヤネットワークが設けられている側又は高屈折率領域側を基材に圧着することで積層できる。なお、この工程は、密着性及び追従性の見地から、減圧下で行われることが好ましい。減圧度は10hPa以下であることが好ましいが、この条件には特に制限はない。ラミネート工程は、感光性樹脂層及び/又は基材を70〜130℃に加熱しながら行うことができ、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm程度)とすることができるが、好ましくは100℃以下、より好ましくは70℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の低温でラミネートすることが被着体への熱の影響を抑制できる点で好ましい。
本実施形態においては、ラミネート後の高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークが、目視する側からこの順に配置されるように感光性樹脂層をラミネートする。図3に示される積層構造の場合、透明基材100の透明電極110上に、感光性樹脂層20の高屈折率領域40側を貼り合わせることができる。
[露光工程]
露光工程での露光方法としては、活性光線を照射する方法が挙げられる。また、所定のパターンを有する透明導電材を形成する場合には、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線をパターン状に照射する方法(マスク露光法)を用いることができる。
露光工程での活性光線の光源としては、公知の光源が挙げられる。例えば、紫外線、可視光などを有効に放射することができるカーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプが用いられる。また、Arイオンレーザ、半導体レーザも用いられる。さらに、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。また、レーザ露光法等を用いた直接描画法により活性光線をパターン状に照射する方法を採用してもよい。
露光工程での露光量は、使用する装置及び感光性樹脂組成物の組成によって異なるが、好ましくは5mJ/cm〜1000mJ/cmであり、より好ましくは10mJ/cm〜200mJ/cmである。光硬化性に優れる点では、10mJ/cm以上であることが好ましく、解像性の点では200mJ/cm以下であることが好ましい。
露光工程は、空気中、真空中等で行うことができ、露光の雰囲気は特に制限されない。本実施形態においては、第1又は第2のフィルムを剥離せずに感光性樹脂層20が露光されることにより、酸素の影響が小さくなり硬化させやすくなる。
上記工程経て、高屈折率領域を含む硬化された樹脂硬化層及び金属ナノワイヤネットワークが基材上に形成される。
本実施形態においては、必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことにより、樹脂硬化層をさらに硬化してもよい。
金属ナノワイヤネットワークの厚みの好ましい範囲は、転写形導電フィルムにおける金属ナノワイヤネットワークの厚みの好ましい範囲と同様である。また樹脂硬化層の厚みの好ましい範囲は、転写形導電フィルムにおける感光性樹脂層の厚みの好ましい範囲と同様である。
高屈折率領域の厚み(樹脂硬化層の厚み方向における範囲)は、20〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがより好ましく、40〜150nmであることがさらに好ましく、50〜120nmであることが特に好ましい。厚みが上記範囲であることにより、透明導電材の視認性への影響をより低減することが可能となる。高屈折率領域の厚みは、上記と同様にして求められる高屈折率領域の金属ナノワイヤネットワーク側の界面と、基材(図3のように透明電極が設けられた透明基材の場合、透明電極の表面)との距離とすることができる。
所定のパターンを有する透明導電材を形成する場合、露光後の感光性樹脂層20から支持フィルム(第1のフィルム又は第2のフィルム)を剥離してから現像処理を施す現像工程を更に設けることができる。
[現像工程]
本実施形態に係る現像工程では、ラミネートされた感光性樹脂層の、露光工程における未露光の領域が除去される。具体的には、ウェット現像によって、感光性樹脂層20の硬化していない部分(未露光部分)を、金属ナノワイヤネットワークとともに除去する。これにより、露光工程により硬化され、所定のパターンを有する樹脂硬化層(硬化膜)上に同じパターンを有する金属ナノワイヤネットワークからなる透明導電材を形成することができる。
ウェット現像は、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等の公知の方法により行うことができる。
現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なため、アルカリ性水溶液が好ましく用いられる。アルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウム水溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウム水溶液等が好ましい。また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節することができる。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、高圧スプレー方式、ブラッシング、スラッビング等が挙げられる。これらのうち、高圧スプレー方式を用いることが、解像度向上の観点から好ましい。
本実施形態においては、現像後に必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことにより、樹脂硬化層をさらに硬化してもよい。
上記の工程を経て、図3の(a)に示される積層構造を有する積層体を製造することができる。
金属ナノワイヤネットワークからなる透明導電材が、電磁波シールド材である場合、そのシート抵抗値及び光透過率については、上述した転写形導電フィルムにおける条件とすることができる。
本実施形態に係る積層体の第2の製造方法は、基材上に、本実施形態に係る転写形導電フィルムを、感光性樹脂層の高屈折率領域側が密着するようにラミネートする工程と、感光性樹脂層にパターン状に活性光線を照射する第一の露光工程と、酸素存在下で、感光性樹脂層の少なくとも第一の露光工程での未露光部の一部又は全部に活性光線を照射する第二の露光工程と、第二の露光工程を経た感光性樹脂層に現像処理を施すことにより、金属ナノワイヤネットワークパターンを形成する現像工程とを備える。これにより、基材上に、樹脂硬化層(硬化膜)及び金属ナノワイヤネットワークを基材側からこの順に含み、樹脂硬化層(硬化膜)が基材とは反対側に金属ナノワイヤネットワークを有していない部分と金属ナノワイヤネットワークを有する部分とを含んでなる金属ナノワイヤネットワークパターンを形成することができる。
本実施形態の方法によれば、基材上に、樹脂硬化層(硬化膜)及び金属ナノワイヤネットワークが互いに同一のパターンを有してなる金属ナノワイヤネットワークパターンを設けた場合に比べて、金属ナノワイヤネットワークパターンの段差を小さくすることができる。以下、本方法について説明する。
[ラミネート工程]
ラミネート工程は上述の第1の方法と同様にすることができる。
[第一の露光工程]
第一の露光工程での露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線をパターン状に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。
第一の露光工程での活性光線の光源、露光量等の条件は第1の方法と同様にすることができる。
[第二の露光工程]
第二の露光工程での露光方法としては、必要に応じて、マスク露光法と、マスクを用いず感光性樹脂層の全体に活性光線を照射する方法とを選択することができる。マスク露光法を行う場合は、例えば、マスクパターンを通して活性光線をパターン状に照射することができる。
本実施形態においては、第一の露光工程での露光部を第二の露光工程でも露光しているが、このような2回の露光を行うことにより、第一の露光工程で露光した部分を第二の露光工程で露光しない場合に比べ、第一の露光工程で露光した部分と第二の露光工程で露光した部分との間に境界部分が発生することを防ぐことができ、形成される硬化樹脂層の基材とは反対側の面における段差が大きくなることを抑制できる。
第二の露光工程での活性光線の光源、露光量等の条件は第1の形成方法と同様にすることができる。
本実施形態に係る第二の露光工程では、酸素存在下、支持フィルムを除去して感光性樹脂層を露光することで、感光性樹脂層の金属ナノワイヤネットワークが設けられている側の露出面において開始剤から発生する反応種を酸素により失活させ、感光性樹脂層の金属ナノワイヤネットワークが設けられている側に硬化不充分な領域を設けることができる。過度の露光は感光性樹脂組成物全体を充分硬化させるため、第二の露光工程の露光量は、上記範囲にすることが好ましい。
第二の露光工程は、酸素存在下で行われ、例えば、空気中で行うことが好ましい。また、酸素濃度を増やした条件でもかまわない。
[現像工程]
本実施形態に係る現像工程では、第二の露光工程で露光した感光性樹脂層の充分硬化していない表層部分が除去される。具体的には、ウェット現像により感光性樹脂層の充分硬化していない表層部分を、金属ナノワイヤネットワークとともに除去する。これにより、第一及び第二の露光工程により硬化された感光性樹脂層からなり、硬化樹脂パターンとしての凸部と、硬化樹脂パターンの間の凹部とがその表面に形成された硬化樹脂層が形成される。所定のパターンを有する金属ナノワイヤネットワークが硬化樹脂パターン上に残り、現像工程で感光性樹脂層の表層部分が除去された部分には、金属ナノワイヤネットワークが無く、硬化樹脂層を底面とする凹部が形成される。こうして、硬化樹脂層の上に形成される金属ナノワイヤネットワークと、硬化樹脂層の凹部の底面との段差が小さくなり、段差が小さい金属ナノワイヤネットワークパターンを有する積層体が得られる。
本実施形態の現像工程は上述の第1の形成方法と同様にすることができる。
本実施形態の導電パターンの第2の方法においても、現像後に必要に応じて、0.2〜10J/cm程度の露光又は60〜250℃程度の加熱を行うことにより硬化樹脂層をさらに硬化してもよい。
金属ナノワイヤネットワークからなる透明導電材が、タッチパネル用の透明電極である場合、そのシート抵抗値及び光透過率については、上述した転写形導電フィルムにおける条件とすることができる。
本実施形態に係る積層体は、LED、OLED、LCD、電子ペーパー、プラズマディスプレイ等の画像表示素子、タッチセンサ(感圧センサ)等のタッチパネルなどに適用することができる。
[タッチパネル]
図4及び図5は、本実施形態に係る転写形導電フィルムによって形成される電磁波シールド材が設けられたタッチパネルの実施形態を示す模式断面図である。
図4に示すタッチパネルは、カバーガラス120、高屈折率領域含有硬化樹脂層付き電磁波シールド材2、OCA(透明粘着材)130、タッチセンサが含まれる画像表示装置140がこの順に積層された構造を有している。高屈折率領域含有硬化樹脂層付き電磁波シールド材2は、硬化樹脂層26及び該硬化樹脂層26の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワーク30とを備え、硬化樹脂層26が、金属ナノワイヤネットワーク30とは混在せず、一方の主面側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域40を他方の主面側に含む。本実施形態に係るタッチパネルにおいては、画像表示装置140側に目視する側があり、高屈折率領域40及び金属ナノワイヤネットワーク30は、画像表示装置140側からこの順に配置されている。
高屈折率領域含有硬化樹脂層付き電磁波シールド材2は、例えば、本実施形態に係る転写形導電フィルムを用い、カバーガラス120上に形成することができる。この積層体における硬化樹脂層の高屈折率領域40側と画像表示装置140とを、OCA(透明粘着材)102を介して貼り合わせることにより、図4に示すタッチパネルを得ることができる。本実施形態に係る高屈折率領域含有硬化樹脂層付き電磁波シールド材2以外の部材については、タッチパネルを構成する部材として公知のものを適宜適用することができる。
図4に示すタッチパネルは、上記の位置に本実施形態に係る高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークが設けられていることにより、外部環境からの電磁波を遮断してタッチセンサの誤作動を少なくすることができる。また、図4に示すタッチパネルは、電磁波シールド材が本実施形態に係る転写形導電フィルムによって形成されていることにより、上記の電磁波シールド性を有しながらも、視認性、信頼性及び生産性に優れたものになり得る。
図5に示すタッチパネルは、カバーガラス120、OCA(透明粘着材)130、タッチセンサ142、高屈折率領域含有硬化樹脂層付き電磁波シールド材2、OCA(透明粘着材)130、画像表示装置150がこの順に積層された構造を有している。高屈折率領域含有硬化樹脂層付き電磁波シールド材2は、硬化樹脂層26及び該硬化樹脂層26の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワーク30とを備え、硬化樹脂層26が、金属ナノワイヤネットワーク30とは混在せず、一方の主面側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域40を他方の主面側に含む。本実施形態に係るタッチパネルにおいては、カバーガラス120側に目視する側があり、高屈折率領域40及び金属ナノワイヤネットワーク30は、カバーガラス120側からこの順に配置されている。
高屈折率領域含有硬化樹脂層付き電磁波シールド材2は、例えば、本実施形態に係る転写形導電フィルムを用い、タッチセンサ142上に形成することができる。この積層体における硬化樹脂層の金属ナノワイヤネットワーク30側と画像表示装置150とを、OCA(透明粘着材)130を介して貼り合わせることにより、図5に示すタッチパネルを得ることができる。本実施形態に係る高屈折率領域含有硬化樹脂層付き電磁波シールド材2以外の部材については、タッチパネルを構成する部材として公知のものを適宜適用することができる。
図5に示すタッチパネルは、上記の位置に本実施形態に係る高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークが設けられていることにより、画像表示装置の発する電磁波を遮断して使用者への影響を少なくすることができるとともに、画像表示装置からの電磁波を遮断してタッチセンサの誤作動を少なくすることができる。また、図5に示すタッチパネルは、電磁波シールド材が本実施形態に係る転写形導電フィルムによって形成されていることにより、上記の電磁波シールド性を有しながらも、視認性、信頼性及び生産性に優れたものになり得る。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<銀繊維分散液の調製>
(調製例1)
2000mLの3口フラスコに、エチレングリコール500mLを入れ、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながらオイルバスにより160℃まで加熱した。ここに、別途用意した溶液1(2mgのPtClを50mLのエチレングリコールに溶解した溶液)を滴下した。4〜5分後、溶液2(5gのAgNOをエチレングリコール300mLに溶解した溶液)と、溶液3(ポリビニルピロリドン(和光純薬株式会社製、重量平均分子量:58000)5gをエチレングリコール150mLに溶解した溶液)とを、それぞれの滴下ロートから1分間で滴下し、反応溶液を160℃で60分間攪拌した。
上記反応溶液が30℃以下になるまで放置した後、アセトンで10倍に希釈した。上記反応溶液の希釈液を、遠心分離機により2000回転で20分間遠心分離し、上澄み液をデカンテーションした。沈殿物にアセトンを加え、攪拌後に、上記と同様の条件で遠心分離し、アセトンをデカンテーションした。その後、蒸留水を用いて同様に2回遠心分離して、銀繊維を得た。得られた銀繊維を光学顕微鏡で観察したところ、繊維径(直径)は30nmで、繊維長は15μmであった。
純水に、上記で得られた銀繊維が0.2質量%の濃度となるように、また、ドデシルーペンタエチレングリコールが0.1質量%の濃度となるように分散し、銀繊維分散液を得た。
<バインダーポリマー溶液の調製>
(調製例2)
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す(1)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温した。反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す(2)を4時間かけて均一に滴下した。(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が65000のバインダーポリマーA1溶液(固形分50質量%)を得た。
Figure 2019067818
なお、作製したポリマー溶液の特性は、以下の方法で測定した。
(1)重量平均分子量
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
[GPC条件]
ポンプ:日立 L−6000型(株式会社日立製作所製、製品名)
カラム:Gelpack GL−R420、Gelpack GL−R430、Gelpack GL−R440(以上、日立化成株式会社製、製品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製、製品名)
<高屈折率層(第二の樹脂層)形成用の塗布液の調製>
表2に示す成分を、撹拌機を用いて15分間混合し、高屈折率層(第二の樹脂層)形成用の塗布液H1を作製した。なお、(A)成分の配合量は固形分を示す。
Figure 2019067818
表2中の成分の記号は以下の意味を示す。
(A)成分
A1:上記調製例2で作製したバインダーポリマーA1溶液
(B)成分
BPE1300:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名)
(C)成分
OXE−01:1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)(BASFジャパン株式会社製、製品名「IRGACURE OXE−01」)
(E)成分
PM−21:光重合性不飽和結合を含むリン酸エステル(日本化薬株式会社製、製品名)
(F)成分(高屈折率粒子)
OZ−S30K:ジルコニア分散液(日産化学工業株式会社製、製品名「ナノユースOZ−S30K」、酸化スズコロイド粒子及びシリカコロイド粒子を含む。)
その他
B6030:5−アミノ−1Hテトラゾール(千代田ケミカル株式会社製、製品名)
L−7001:オクタメチルシクロテトラシロキサン(東レ・ダウコーニング株式会社製、製品名)
<高屈折率層の屈折率の測定>
塗布液H1を、縦10cm×横10cm、厚さ0.7mmのガラス基材上にスピンコーターで均一に塗布し、100℃の熱風滞留式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、高屈折率層を形成した。
次いで、上記で得られた高屈折率層に、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して、露光量5×10J/m(365nmにおける測定値)で紫外線を照射した後、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置し、膜厚300nmの高屈折率層を有する屈折率測定用試料を得た。
次いで、得られた屈折率測定用試料をETA−TCM(AudioDevGmbH株式会社製、製品名)にて550nmにおける屈折率を測定した。屈折率は1.61であった。
<転写形導電フィルムの作製>
(実施例1)
[高屈折率層(第二の樹脂層)の作製]
保護フィルムとして厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(王子エフテックス株式会社製、製品名:E−201F)を使用し、上記で作製した塗布液H1を保護フィルム上にダイコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風滞留式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、高屈折率層を形成した。この高屈折率層の膜厚をF20(FILMETRICS株式会社製、製品名)で測定したところ、膜厚は60nmであった。
[金属ナノワイヤネットワークの作製]
上記調製例1で得られた銀繊維分散液を、支持フィルムである50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、帝人株式会社製、商品名「G2−50」)上に35g/mで均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥し、金属ナノワイヤネットワークを形成した。
[第一の樹脂層の作製]
表3に示す材料を、表3に示す配合量(質量部)で、攪拌機を用いて15分間混合し、第一の樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物の溶液X1を作製した。表3中、(A)成分の配合量は固形分の質量を示す。
Figure 2019067818
表3中の成分の記号は以下の意味を示す。
(A)成分
A1:上記調製例2で作製したバインダーポリマーA1溶液
(B)成分
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬株式会社製、製品名)
(C)成分
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド(BASF株式会社製、製品名「LUCIRIN TPO」)
その他
メチルエチルケトン:東燃化学株式会社製
感光性樹脂組成物の溶液X1を、上記で作成した金属ナノワイヤネットワーク上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して感光性樹脂層(第一の樹脂層)を形成した。その後、形成された感光性樹脂層上に、上記で保護フィルム上に形成した高屈折率層(第2の樹脂層)を貼り合わせた。貼り合わせは感光性樹脂層と高屈折率層とが接するように、ラミネータ(日立化成株式会社製、製品名HLM−3000型)を用いて、23℃で貼り合わせた。
以上のようにして、支持フィルム上に、金属ナノワイヤネットワーク、第一の樹脂層、第二の樹脂層及び保護フィルムがこの順に積層された、保護フィルム付き転写形導電フィルムを得た。転写形導電フィルムにおける金属ナノワイヤネットワーク、第一の樹脂層及び第二の樹脂層の積層体の膜厚を、デジタルシックネスゲージ(ニコン株式会社製、製品名:DIGIMICROSTAND MS−5C)で測定した結果、5.0μmであった。
<転写形導電フィルムの評価>
厚み1mmのポリカーボネート基板(三菱ガス化学製、製品名「ユーピロン」)を80℃に加温し、実施例1で得られた転写形導電フィルムの保護フィルムを剥離しながら、高屈折率層(第二の樹脂層)とポリカーボネート基板とを対向させて、ラミネータ(日立化成株式会社製、商品名「HLM−3000型」)を用いて110℃、0.4MPaの条件でラミネートした。ラミネート後、基板を冷却し基板の温度が25℃になった時点で、超高圧水銀灯を有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、1000mJ/cmの露光量で第一の樹脂層及び高屈折率層(第二の樹脂層)に支持フィルム側から光照射した。露光後、室温(25℃)で15分間放置し、続いて、支持フィルムを剥離して、ポリカーボネート基板上に高屈折領域を含む硬化樹脂層及び金属ナノワイヤネットワークがこの順に設けられた測定用サンプルを作製した。
[表面抵抗値の測定]
転写形導電フィルム及び測定用サンプルの表面抵抗率を、非接触抵抗測定器(ナプソン株式会社製、EC−80P)によって測定した。実施例1で作製した転写形導電フィルムにおける金属ナノワイヤネットワーク、及び測定用サンプルにおける金属ナノワイヤネットワークの表面抵抗値はそれぞれ、70Ω/□、及び70Ω/□であった。
[反射Lの測定]
分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、商品名「CM−5」)を用いて、測定用サンプルの反射Lを、ポリカーボネート基板側から光を入射して、SCE方式で測定した。実施例1の転写形導電フィルムを用いて作製した測定用サンプルの反射Lは1.90であった。
[視認性の評価]
上記で測定した反射Lに基づき、以下の基準で視認性を判定した。
◎:反射Lが2.0未満であり、視認性が良好である。
○:反射Lが2.0以上2.2未満であり、視認性への影響が充分に小さい。
×:反射Lが2.2以上であり、視認性に大きな影響がある。
[高屈折率領域と金属ナノワイヤネットワークとの間隔D]
下記の手順で高屈折率領域と金属ナノワイヤネットワークとの間隔Dを求めた。
(i)上記測定用サンプルと同様にして、測定用試料を得た。
(ii)得られた測定用試料を公知の方法(イオンミリング法、FIB法、ミクロトーム法)で断面が観察できるように薄膜加工した後、走査型電子顕微鏡(SEM)にて断面を観察した。
(iii)エネルギー分散型X線分析法(EDX、EDS)によって、高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークを構成する元素(Zr及びAg)をマッピングすることで、それぞれを可視化した。
(iv)可視化された高屈折率領域及び金属ナノワイヤネットワークを観察し、ある観察領域において、フィルムの主面方向と平行な直線を金属ナノワイヤネットワーク側から高屈折率領域に近づけていったときに、高屈折率領域と最初に接するときの直線を高屈折率領域の金属ナノワイヤネットワーク側の界面(図1におけるS2)として設定し、同様に、フィルムの主面方向と平行な直線を高屈折率領域側から金属ナノワイヤネットワークに近づけていったときに、金属ナノワイヤネットワークと最初に接するときの直線を金属ナノワイヤネットワークの高屈折率領域側の界面(図1におけるS1)として設定した。2つの界面の最短距離を測定した。
(v)(iv)の操作を一つの試料に対して10以上の観察領域で行った。全ての最短距離の測定結果から平均値を求め、この平均値を間隔D(距離)とした。
上記(iv)及び(v)において、観察領域は幅20μmに設定した。なお、実施例2では、透過型電子顕微鏡(TEM)にて断面を観察し(観察領域は幅2μm)、走査型電子顕微鏡(SEM)での観察と同様にして、元素をマッピングした後、最短距離を測定し、10回以上の測定結果の平均値を間隔Dとした。
(実施例2〜4)
感光性樹脂組成物の溶液X1の塗布量及び高屈折率層を形成するための塗布液H1の塗布量を調整することで、表4に示す膜厚に変更したこと以外は実施例1と同様にして、転写形導電フィルムを作製し、同様に評価した。
(比較例1)
高屈折率層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、転写形導電フィルムを作製し、同様に評価した。
(比較例2)
上記調製例1で得られた銀繊維分散液を、支持フィルムである50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、帝人株式会社製、商品名「G2−50」)上に35g/mで均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥し、金属ナノワイヤネットワークを形成した。
次いで、上記で作製した塗布液H1を、金属ナノワイヤネットワーク上にダイコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風滞留式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、高屈折率層を形成した。
次いで、感光性樹脂組成物の溶液X1を、高屈折率層上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して感光性樹脂層を形成し、転写形導電フィルムを作製した。
転写形導電フィルムの断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果、高屈折率層と金属ナノワイヤネットワークとが混在していることが確認できた。この転写形導電フィルムについて、実施例1と同様に評価した。
Figure 2019067818
1…転写形導電フィルム、10…第1のフィルム、20…感光性樹脂層、22…第一の樹脂層、24…第二の樹脂層、26…硬化樹脂層、30,32…金属ナノワイヤネットワーク、40…高屈折率領域、42…高屈折率粒子、50…第2のフィルム、120…カバーガラス、130…OCA(透明粘着材)、140,150…画像表示装置、142…タッチセンサ。

Claims (10)

  1. 支持フィルムと、支持フィルム上に設けられた、感光性樹脂層及び該感光性樹脂層の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワークと、を備え、
    前記感光性樹脂層が、前記金属ナノワイヤネットワークとは混在せず、前記一方の主面側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域を他方の主面側に含む、転写形導電フィルム。
  2. 前記高屈折率領域及び前記金属ナノワイヤネットワークの間隔が0.3μm以上である、請求項1に記載の転写形導電フィルム。
  3. 前記高屈折率領域及び前記金属ナノワイヤネットワークの間隔が50μm以下である、請求項1又は2に記載の転写形導電フィルム。
  4. 前記高屈折率領域は、波長550nmにおける屈折率が1.55〜1.75である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転写形導電フィルム。
  5. 電磁波シールド形成用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転写形導電フィルム。
  6. 基材と、基材上に設けられた、硬化樹脂層及び該硬化樹脂層の一方の主面側に設けられた金属ナノワイヤネットワークと、を備え、
    前記硬化樹脂層が、前記金属ナノワイヤネットワークとは混在せず、前記一方の主面側よりも高い屈折率を有する高屈折率領域を他方の主面側に含む、積層体。
  7. 前記高屈折率領域及び前記金属ナノワイヤネットワークの間隔が0.3μm以上である、請求項6に記載の積層体。
  8. 前記高屈折率領域及び前記金属ナノワイヤネットワークの間隔が50μm以下である、請求項6又は7に記載の積層体。
  9. 前記高屈折率領域は、波長550nmにおける屈折率が1.55〜1.75である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 前記金属ナノワイヤネットワークが電磁波シールド材である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の積層体。
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