JP2018156045A - 感光性導電フィルム、ヒューズ膜パターンの製造方法、ヒューズ膜パターン付き基材、及びチップヒューズ - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の形状を有するヒューズ膜パターンを容易に形成することができる感光性導電フィルムを提供すること。
【解決手段】感光性樹脂層23と、感光性樹脂層23の一方の主面側に設けられた、導電性繊維を含んでなる導電性ネットワーク22と、を備え、ヒューズ膜パターンを形成するために用いられる、感光性導電フィルム24を提供する。
【選択図】図2
【解決手段】感光性樹脂層23と、感光性樹脂層23の一方の主面側に設けられた、導電性繊維を含んでなる導電性ネットワーク22と、を備え、ヒューズ膜パターンを形成するために用いられる、感光性導電フィルム24を提供する。
【選択図】図2
Description
本発明は、感光性導電フィルム、ヒューズ膜パターンの製造方法、ヒューズ膜パターン付き基材、及びチップヒューズに関する。
チップヒューズは、ボード上に表面実装するチップ部品の1つで、回路部品の異常によるセットの発熱事故等を防ぐ目的で用いられる。一般に、チップヒューズには、基板上に設けた絶縁膜の上に、ヒューズ膜が形成され、さらにヒューズ膜の全面にオーバーコート膜(保護膜)が形成されている。ヒューズ膜は、回路部品の異常によって規定値を超える電流が流れた場合に溶断される。ヒューズ膜は、例えば、金属有機物ペーストを焼成することによって形成される(例えば、特許文献1参照)。
ところで、今後、普及すると考えられているフレキシブルデバイスに使用される回路部品には、小型化が求められている。チップヒューズはすでに携帯電話等で使用されているが、従来の方法では、小型化に対応するヒューズ膜パターンを形成することが難しく、基材の設計変更に対応できないといった問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、所望の形状を有するヒューズ膜パターンを容易に形成することができる感光性導電フィルムを提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するために検討した結果、特定の構成を備える感光性導電フィルムを用いることによって、所望の形状を有するヒューズ膜パターンを容易に形成することができること、及び柔軟性を有する基材上においても、ヒューズ膜パターンを形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一側面は、感光性樹脂層と、感光性樹脂層の一方の主面側に設けられた、導電性繊維を含んでなる導電性ネットワークと、を備え、ヒューズ膜パターンを形成するために用いられる、感光性導電フィルムを提供する。
導電性ネットワークは、幅0.2〜0.8mmの線状のヒューズ膜パターンを形成したときに300〜2000Vの印加電圧によって溶断されてもよい。
導電性繊維は銀繊維であってもよい。
感光性樹脂層はバインダーポリマー、光重合性化合物及び光重合開始剤を含有していてもよい。
別の側面において、本発明は、基材上に配置された、感光性導電フィルムの感光性樹脂層に、パターン状に活性光線を照射する工程と、感光性樹脂層及び導電性ネットワークの一部を除去することによりパターンを形成させる工程と、を備える、ヒューズ膜パターンの製造方法を提供する。
別の側面において、本発明は、基材と、基材上に設けられたヒューズ膜パターンと、を備え、ヒューズ膜パターンが、パターンを有する樹脂硬化物層と、樹脂硬化物層の基材とは反対の面側に設けられ、導電性繊維を含んでなる導電性ネットワークと、を有する、ヒューズ膜パターン付き基材を提供する。
ヒューズ膜パターンの作動電圧は300〜2000Vであってもよい。
別の側面において、本発明は、ヒューズ膜パターン付き基材を備える、チップヒューズを提供する。
本発明によれば、所望の形状を有するヒューズ膜パターンを容易に形成することができる感光性導電フィルムを提供することができる。このような感光性導電フィルムを用いることによって、柔軟性を有する基材上にヒューズ膜パターンを容易に形成することができるため、基材の設計変更に対応することが可能となる。また、このような感光性導電フィルムを用いたヒューズ膜パターンの製造方法、ヒューズ膜パターン付き基材、及びチップヒューズを提供することができる。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」又は「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」又は「メタクリロイル基」を意味する。「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む。
<チップヒューズ>
図1(a)は、チップヒューズの一例を示す模式上面図である。図1(b)及び(c)は、それぞれ図1(a)に示されるチップヒューズのA−A線及びB−B線に沿った模式断面図である。図1に示すように、チップヒューズ20は、絶縁基材1と、絶縁基材1の一方の主面の全面を被覆するように設けられた絶縁膜2と、絶縁膜2上の一部に当該絶縁膜2と同じ長さで設けられたヒューズ膜パターン3と、ヒューズ膜パターン3の両端部を被覆するように設けられた表電極7と、絶縁膜2上にヒューズ膜パターン3及び表電極7の一部を被覆するように設けられたオーバーコート膜9と、を備える。ヒューズ膜パターン3は、中央部に幅wのヒューズ部6が設けられている。ヒューズ部6は線状(ライン状)であってもよい。
図1(a)は、チップヒューズの一例を示す模式上面図である。図1(b)及び(c)は、それぞれ図1(a)に示されるチップヒューズのA−A線及びB−B線に沿った模式断面図である。図1に示すように、チップヒューズ20は、絶縁基材1と、絶縁基材1の一方の主面の全面を被覆するように設けられた絶縁膜2と、絶縁膜2上の一部に当該絶縁膜2と同じ長さで設けられたヒューズ膜パターン3と、ヒューズ膜パターン3の両端部を被覆するように設けられた表電極7と、絶縁膜2上にヒューズ膜パターン3及び表電極7の一部を被覆するように設けられたオーバーコート膜9と、を備える。ヒューズ膜パターン3は、中央部に幅wのヒューズ部6が設けられている。ヒューズ部6は線状(ライン状)であってもよい。
絶縁基材1としては、例えば、アルミナ基材、ポリエチレンテレフタレート基材、シクロオレフィンポリマー基材等が挙げられる。これらのうち、絶縁性及び柔軟性の観点から、絶縁基材1は、ポリエチレンテレフタレート基材であることが好ましい。
絶縁基材1の厚みは、例えば、50μm以上、100μm以上又は200μm以上であってもよい。絶縁基材1の厚みは、例えば、600μm以下、500μm以下又は400μm以下であってもよい。
絶縁膜2は、例えば、絶縁性及び柔軟性を有する樹脂等を用いて形成することができる。このような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。なお、絶縁膜2は必ずしも設ける必要はなく、絶縁基材1上に直接ヒューズ膜パターン3を設けてもよい。
絶縁膜2の厚みは、例えば、5μm以上、15μm以上又は50μm以上であってもよい。絶縁膜2の厚みは、例えば、100μm以下、80μm以下又は70μm以下であってもよい。
表電極7は、例えば、銀ペースト等をスクリーン印刷し、焼成することによって形成することができる。
オーバーコート膜9は、耐熱性を有する樹脂等を用いて形成することができる。このような樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
オーバーコート膜9の厚みは、例えば、100μm以上、200μm以上又は500μm以上であってもよい。オーバーコート膜9の厚みは、例えば、1000μm以下、800μm以下又は600μm以下であってもよい。
チップヒューズ20は、絶縁基材1の絶縁膜2の反対側に表電極7に対向するように設けられた裏電極8と、表電極7及び裏電極8の一部を被覆するように、絶縁基材1の両端部に設けられた端面電極10と、表電極7、裏電極8及び端面電極10を被覆するように設けられた端子電極11と、を備えていてもよい。
裏電極8は、例えば、ニッケルクロム合金、導電性樹脂ペース等をスパッタ法、スクリーン印刷法等を用いることによって形成することができる。
端面電極10は、例えば、銀、銅等を用いることによって形成することができる。
端子電極11は、例えば、銅、ニッケル、スズ等をメッキすることによって形成することができる。
ヒューズ膜パターン3は、一実施形態に係る感光性導電フィルムを用いることによって形成することができる。
<感光性導電フィルム及びその製造方法>
感光性導電フィルムは、感光性樹脂層と、感光性樹脂層の一方の主面側に設けられた、導電性繊維を含んでなる導電性ネットワークと、を備える。図2は、感光性導電フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図2に示す支持フィルム付き感光性導電フィルム30は、支持フィルム21と、支持フィルム21上に設けられた感光性導電フィルム24と、を備える。感光性導電フィルム24は、支持フィルム21上に設けられた導電性ネットワーク22と、導電性ネットワーク22上に設けられた感光性樹脂層23とから構成されている。この場合、感光性導電フィルム24は、導電性ネットワーク22及び感光性樹脂層23を支持フィルム21側からこの順に有する。感光性導電フィルム24は、支持フィルム21側から感光性樹脂層23及び導電性ネットワーク22の順の構成であってもよい。
感光性導電フィルムは、感光性樹脂層と、感光性樹脂層の一方の主面側に設けられた、導電性繊維を含んでなる導電性ネットワークと、を備える。図2は、感光性導電フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図2に示す支持フィルム付き感光性導電フィルム30は、支持フィルム21と、支持フィルム21上に設けられた感光性導電フィルム24と、を備える。感光性導電フィルム24は、支持フィルム21上に設けられた導電性ネットワーク22と、導電性ネットワーク22上に設けられた感光性樹脂層23とから構成されている。この場合、感光性導電フィルム24は、導電性ネットワーク22及び感光性樹脂層23を支持フィルム21側からこの順に有する。感光性導電フィルム24は、支持フィルム21側から感光性樹脂層23及び導電性ネットワーク22の順の構成であってもよい。
本明細書において、導電性ネットワーク22と感光性樹脂層23との境界は必ずしも明確になっている必要はない。導電性ネットワーク22は、感光性樹脂層23の面方向に導電性が得られるものであればよい。導電性ネットワーク22は、例えば、(1)感光性樹脂層23に含浸している状態、(2)感光性樹脂層23に含浸し、その一部分が感光性樹脂層23の主面から突出している状態、(3)感光性樹脂層23の主面上に層を形成している状態で存在してもよい。本明細書において、感光性樹脂層23の厚みtは、感光性樹脂層に含浸している導電性ネットワークの一部分を含めた厚みである。
[導電性ネットワーク]
図3は、感光性導電フィルムの一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。導電性ネットワーク22は、図3に示すように、導電性繊維同士が接触してなる網目構造を有することが好ましい。
図3は、感光性導電フィルムの一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。導電性ネットワーク22は、図3に示すように、導電性繊維同士が接触してなる網目構造を有することが好ましい。
導電性ネットワーク22は、複数の導電性繊維を含んでなるものである。導電性ネットワークは、例えば、(1)導電性繊維同士が導電性を有する範囲で離れた状態、(2)導電性繊維同士が接触している状態、又は(3)導電性繊維同士が接点で融着されている状態にある繊維集合体であることができる。
(導電性繊維)
本明細書において、繊維とは、繊維径が1〜100nm、繊維長が200nm以上の物質を指す。導電性ネットワーク22に含まれる導電性繊維としては、金、銀、銅、白金等の金属繊維又はカーボンナノチューブ等の炭素繊維などが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。導電性ネットワークの導電性を容易に調整できることから、導電性繊維は、銀繊維であることが好ましい。
本明細書において、繊維とは、繊維径が1〜100nm、繊維長が200nm以上の物質を指す。導電性ネットワーク22に含まれる導電性繊維としては、金、銀、銅、白金等の金属繊維又はカーボンナノチューブ等の炭素繊維などが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。導電性ネットワークの導電性を容易に調整できることから、導電性繊維は、銀繊維であることが好ましい。
金属繊維は、例えば、金属イオンをNaBH4等の還元剤で還元する方法、又はポリオール法により調製することができる。銀ナノワイヤーが含まれる導電性繊維についても、銀イオンをNaBH4等の還元剤で還元する方法、又はポリオール法により調製することができる。
導電性繊維の繊維径は、1〜50nmであることが好ましく、2〜20nmであることがより好ましく、3〜10nmであることがさらに好ましい。導電性繊維の繊維径が1nm以上であると、耐久性がより向上する傾向にある。導電性繊維の繊維径が50nm以下であると、光散乱によるヘーズの増加等の光学特性により優れる傾向にある。導電性繊維の繊維長は、1〜100μmであることが好ましく、2〜50μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。導電性繊維の繊維長が1μm以上であると、充分な導電性を得ることができる傾向にある。導電性繊維の繊維長が100μm以下であると、導電性ネットワークの形成時に、凝集物の発生を抑制できる傾向にある。導電性繊維の繊維径及び繊維長は、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
導電性ネットワーク22は、有機導電体を含んでいてもよい。有機導電体としては、特に制限されないが、例えば、チオフェン誘導体、アニリン誘導体のポリマー等を用いることができる。より具体的には、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリアニリン、ポリビニルピロリドン等を用いることができる。
導電性ネットワーク22は、例えば、支持フィルム21上に、上述した導電性繊維、必要に応じて、有機導電体等を水及び/又は有機溶剤と、界面活性剤等の分散安定剤等を加えた導電性分散液を塗工した後、乾燥することにより形成することができる。
塗工は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、30〜150℃で1〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。導電性ネットワーク22において、導電性繊維、有機導電体等は界面活性剤、分散安定剤等と共存していてもかまわない。
導電性分散液には、必要に応じて、金属添加剤、アミン添加剤等を加えることができる。これによって、導電性分散液を塗工及び乾燥することにより形成した導電性ネットワークを含むヒューズ膜パターンに、金属添加剤、アミン添加剤等を含有させることができる。
導電性ネットワーク22の厚みは、ヒューズ膜パターンの用途及び求められる特性によっても異なるが、1μm以下であることが好ましく、0.001〜0.5μmであることがより好ましく、0.005〜0.1μmであることがさらに好ましい。導電性ネットワーク22の厚みは、走査型電子顕微鏡写真によって測定される値を指す。
導電性ネットワーク22のシート抵抗値は、導電性ネットワークの作製のし易さの観点から、例えば、2000Ω/□以下、1000Ω/□以下、又は500Ω/□以下であってもよく、例えば、30Ω/□以上、50Ω/□以上、又は100Ω/□以上であってもよい。なお、本明細書において、シート抵抗値とは単位面積あたりの抵抗値を意味する。シート抵抗値は、例えば、導電性ネットワーク22に含まれる導電性繊維及び有機導電体の種類、又は、導電性分散液の濃度若しくは塗工量によって上記範囲に調整することができる。また、導電性繊維の表面状態又は導電性繊維同士の接点状態を調整することでも、シート抵抗値を変動させることが可能である。
導電性ネットワーク22は、幅0.2〜0.8mmの線状のヒューズ膜パターンを形成したときに300〜2000Vの印加電圧によって溶断されることが好ましい。印加電圧は、例えば、400V以上又は500V以上であってもよく、例えば、1500V以下又は1000V以下であってもよい。なお、本明細書において、「導電性ネットワークが溶断された」とは、幅0.2〜0.8mmの線状のヒューズ膜パターンを5本備える回路に対して電圧を印加し、5本全てのライン抵抗が測定不可となった(すなわち、回路内に電流が流れなくなった)ときを意味する。導電性ネットワークを溶断させるための印加電圧の範囲は、例えば、導電性ネットワーク22のシート抵抗値を変更することによって調整することができる。
[感光性樹脂層]
感光性樹脂層23は、感光性樹脂組成物から形成することができる。本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有することができる。感光性樹脂層23がこれら成分を含有することにより、基材とヒューズ膜パターンとの接着性及びパターニング性をさらに向上させることができる。
感光性樹脂層23は、感光性樹脂組成物から形成することができる。本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有することができる。感光性樹脂層23がこれら成分を含有することにより、基材とヒューズ膜パターンとの接着性及びパターニング性をさらに向上させることができる。
(バインダーポリマー)
(A)バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物の反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A)バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物の反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の中でも、アルカリ現像性及びフィルム形成性に優れる観点から、アクリル樹脂を用いることが好ましい。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する重合性単量体を構成単位として有することがより好ましい。ここで、「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体に由来する重合体のことを意味する。
アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体をラジカル重合して製造される。このようなアクリル樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体としては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、22−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸などが挙げられる。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体の他に、例えば、スチレン誘導体、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸などの1種又は2種以上の重合性単量体が共重合されていてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性をより良好にする観点から、カルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基を有する重合性単量体としては、例えば、上述したような(メタ)アクリル酸が挙げられる。
(A)バインダーポリマーが有するカルボキシル基の比率は、バインダーポリマーを得るために使用する全重合性単量体に対するカルボキシル基を有する重合性単量体の割合として、10〜50質量%であることが好ましく、12〜40質量%であることがより好ましく、12〜30質量%であることがさらに好ましく、12〜25質量%であることが特に好ましい。アルカリ現像性に優れる点では10質量%以上であることが好ましく、アルカリ耐性に優れる点では、50質量%以下であることが好ましい。
(A)バインダーポリマーの重量平均分子量は、機械強度及びアルカリ現像性のバランスを図る観点から、5000〜300000であることが好ましく、20000〜150000であることがより好ましく、30000〜100000であることがさらに好ましい。耐現像液性に優れる点では、重量平均分子量が、5000以上であることが好ましい。また、現像時間の観点からは、300000以下であることが好ましい。本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。
(光重合性化合物)
(B)光重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有することが好ましい。
(B)光重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有することが好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールAジ(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等のトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート;テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラメチロールメタン(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ウレタンモノマーなどが挙げられる。
(B)光重合性化合物の含有割合は、バインダーポリマー及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、30〜80質量部であることが好ましく、35〜70質量部であることがより好ましい。光硬化性及び形成された導電性ネットワーク上への塗工性に優れる点では、30質量部以上であることが好ましく、フィルムとして巻き取った場合の保管安定性に優れる点では、80質量部以下であることが好ましい。
(光重合開始剤)
(C)光重合開始剤は、使用する露光機の光波長と、機能発現に必要な波長とが合うものを適宜選択することができる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、オキサゾール系化合物などが挙げられる。
(C)光重合開始剤は、使用する露光機の光波長と、機能発現に必要な波長とが合うものを適宜選択することができる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、オキサゾール系化合物などが挙げられる。
(C)光重合開始剤の含有割合は、バインダーポリマー及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましく、4〜12質量部であることがさらに好ましい。光感度に優れる点では、0.1質量部以上であることが好ましく、光硬化性に優れる点では、20質量部以下であることが好ましい。
(その他の成分)
感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤以外に、その他の成分を含有していてもよい。
感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤以外に、その他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、金属錯体、ヘテロ化合物、金属添加剤、アミン添加剤、レベリング材、密着性付与材、重合禁止材、顔料等が挙げられる。その他の成分を用いる場合、その含有量は、バインダーポリマー及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、0.01〜5質量部であってもよい。
感光性樹脂層23は、例えば、導電性ネットワーク22上に、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤を含有していてもよい感光性樹脂組成物を塗工、乾燥することにより形成することができる。ただし、この場合、乾燥後の感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するため、2質量%以下であることが好ましい。また、感光性導電フィルム24又は支持フィルム付き感光性導電フィルム30は、感光性樹脂層23と導電性ネットワーク22の間に、他の層を介在させてもよい。
他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、酸素遮蔽層、剥離層、接着層等が挙げられる。感光性導電フィルム24又は支持フィルム付き感光性導電フィルム30は、これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有してもよい。また、同種の層を2以上有していてもよい。
感光性樹脂層23の塗工は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。塗工後、有機溶剤等を除去するための乾燥は、70〜150℃で5〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。
感光性樹脂層23の厚みt(乾燥後の厚み)は、3μm以上であってもよい。感光性樹脂層23の厚みtは、用途により異なるが、3〜50μmであることが好ましく、3〜40μmであることがより好ましく、3〜35μmであることがさらに好ましい。厚みtが50μm以下であると、光透過の感度が充分となり、感光性樹脂層が光硬化し易い傾向にある。
(支持フィルム)
支持フィルム21としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好ましい。なお、これらの重合体フィルムは、後に感光性樹脂層23からの剥離が容易となるように、離型処理されたものであってもよい。
支持フィルム21としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好ましい。なお、これらの重合体フィルムは、後に感光性樹脂層23からの剥離が容易となるように、離型処理されたものであってもよい。
支持フィルム21の厚みは、機械的強度の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることがさらに好ましい。支持フィルム21の厚みを上記数値範囲とすることによって、例えば、導電性ネットワーク22を形成するために導電性分散液を塗工する工程若しくは感光性樹脂層23を形成するために感光性樹脂組成物を塗工する工程、又は露光した感光性樹脂層23を現像する前に支持フィルムを剥離する工程において、支持フィルムが破れることを防止することができる。また、支持フィルムを介して活性光線を感光性樹脂層に照射後のパターンの解像度を充分に確保する観点から、支持フィルム21の厚みは、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。以上の観点から、支持フィルム21の厚みは、5〜300μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、15〜100μmであることがさらに好ましい。
支持フィルム21のヘーズ値は、感度及び解像度を良好にできる観点から、0.01〜5.0%であることが好ましく、0.01〜3.0%であることがより好ましく、0.01〜2.0%であることがさらに好ましく、0.01〜1.0%であることが特に好ましい。なお、ヘーズ値はJIS K 7375(2008年制定)に準拠して測定することができる。また、NDH−1001DP(日本電色工業株式会社製、商品名)等の市販の濁度計等でも測定可能である。
(保護フィルム)
一実施形態に係る感光性導電フィルムは、感光性樹脂層23の導電性ネットワーク22を備える主面側と反対側の面に密着するように設けられた保護フィルムを備えていてもよい。
一実施形態に係る感光性導電フィルムは、感光性樹脂層23の導電性ネットワーク22を備える主面側と反対側の面に密着するように設けられた保護フィルムを備えていてもよい。
保護フィルムとしては、上述の支持フィルムとして例示した重合体フィルムを同様に用いることができる。
保護フィルムと感光性樹脂層との間の接着力は、保護フィルムを感光性樹脂層から剥離し易くするために、感光性樹脂層23と支持フィルム21との間の接着力よりも小さいことが好ましい。
保護フィルムの厚みは、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることがさらに好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。保護フィルムの厚みが1μm以上ではラミネートの際、保護フィルムが破れにくくなる傾向があり、100μm以下であると価格を抑えることができる傾向がある。
<ヒューズ膜パターンの製造方法>
一実施形態に係るヒューズ膜パターンの製造方法は、基材上に配置された、感光性導電フィルムの感光性樹脂層に、パターン状に活性光線を照射する工程と、感光性樹脂層及び導電性ネットワークの一部を除去することによりヒューズ膜パターンを形成させる工程と、を備える。また、ヒューズ膜パターンの製造方法は、支持フィルム付き感光性導電フィルムを、感光性樹脂層が基材に密着するように基材にラミネートする工程と、支持フィルムを付けたまま基材上の感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射する工程と、その後支持フィルムを剥離する工程と、露光した感光性樹脂層を現像することによりヒューズ膜パターンを形成させる工程と、を備えていてもよい。これらの工程を経ることにより、基材上にパターニングされたヒューズ膜パターンを備えるヒューズ膜パターン付き基材が得られる。以下、ヒューズ膜パターンの製造方法の例を、図面を参照して説明する。
一実施形態に係るヒューズ膜パターンの製造方法は、基材上に配置された、感光性導電フィルムの感光性樹脂層に、パターン状に活性光線を照射する工程と、感光性樹脂層及び導電性ネットワークの一部を除去することによりヒューズ膜パターンを形成させる工程と、を備える。また、ヒューズ膜パターンの製造方法は、支持フィルム付き感光性導電フィルムを、感光性樹脂層が基材に密着するように基材にラミネートする工程と、支持フィルムを付けたまま基材上の感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射する工程と、その後支持フィルムを剥離する工程と、露光した感光性樹脂層を現像することによりヒューズ膜パターンを形成させる工程と、を備えていてもよい。これらの工程を経ることにより、基材上にパターニングされたヒューズ膜パターンを備えるヒューズ膜パターン付き基材が得られる。以下、ヒューズ膜パターンの製造方法の例を、図面を参照して説明する。
図4は、感光性導電フィルムを用いたヒューズ膜パターンの製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。本実施形態係る方法は、図4に示すように、支持フィルム21、導電性ネットワーク22及び感光性樹脂層23を有する支持フィルム付き感光性導電フィルム30を、感光性樹脂層23が基材40に密着するように、基材40上にラミネートする(図4の(a))。次に、感光性樹脂層23にマスクパターン25を介して活性光線Lをパターン状に照射し(図4の(b))、現像により感光性樹脂層23及び導電性ネットワーク22の一部(未硬化部分、未照射部)を除去することにより、感光性樹脂層の硬化物であって、パターンを有する樹脂硬化物層23bと、樹脂硬化物層23b上に配置された導電性ネットワーク22aとを有し、図1(c)に示すような幅wのヒューズ部6を有するヒューズ膜パターン3が形成される(図4の(c))。ヒューズ部6は、線状(ライン状)であってもよい。このような方法によって、ヒューズ膜パターン付き基材50を得ることができる。
図5は、感光性導電フィルムを用いたヒューズ膜パターンの製造方法の別の実施形態を説明するための模式断面図である。図5に示すように、ヒューズ膜パターンの製造方法は、感光性樹脂層23の所定部分に活性光線を照射する第一の露光工程(図5の(b))と、その後、支持フィルム21を剥離してから、酸素存在下で、第一の露光工程での露光部及び未露光部の一部又は全部に活性光線を照射する第二の露光工程(図5の(c))と、を備えていてもよい。第二の露光工程は、例えば、空気中で行うことが好ましく、酸素濃度を増やした条件であってもよい。
図5のヒューズ膜パターンの製造方法の現像工程では、第二の露光工程で露光した感光性樹脂層23の充分硬化していない表層部分が除去される。具体的には、ウェット現象により感光性樹脂層23の充分硬化していない表層部分、つまり導電性ネットワーク22を含む表面層が除去される。これにより、表層部分が除去されたパターンを有する樹脂硬化物層23aと、樹脂硬化物層23aの主面の一部を覆うパターンを有する導電性ネットワーク22aと、から構成される、図1(c)に示すような幅wのヒューズ部6を有するヒューズ膜パターン3が形成される。このような方法によって、ヒューズ膜パターン付き基材51を得ることができる。
例えば、保護フィルムを備える場合はそれを除去した後、加熱しながら感光性樹脂層側を基材に圧着することにより、支持フィルム付き感光性導電フィルムを基材にラミネートすることができる。この作業は、密着性及び追従性の見地から減圧下で行うことが好ましい。支持フィルム付き感光性導電フィルムのラミネートの際、感光性樹脂層及び/又は基材を70〜130℃に加熱することが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。感光性樹脂層を上述のように70〜130℃に加熱すれば、予め基材を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために基材の予熱処理を行うこともできる。
支持フィルムを付けたまま基材上の感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射する工程(露光工程)において、露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。活性光線の光源としては、公知の光源が用いられる。
露光工程での露光量は、使用する装置及び感光性樹脂組成物の組成によって異なるが、5〜1000mJ/cm2であることが好ましく、10〜200mJ/cm2であることがより好ましい。光硬化性に優れる点では、10mJ/cm2以上であることが好ましく、解像性の点では200mJ/cm2以下であることが好ましい。
露光工程は2段階で行ってもよく、1段階目を上記の露光量で行った後、2段階目を100〜10000mJ/cm2で行ってもよい。
ウェット現像は、用いる感光性樹脂に対応したアルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等の現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等の公知の方法により行われる。これらのうち、アルカリ性水溶液による高圧スプレー方式を用いることが、解像度向上の観点から好ましい。
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。アルカリ性水溶液の塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩、四ホウ酸ナトリウム等のアルカリ金属ホウ酸塩などが用いられる。
現像に用いるアルカリ性水溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、四ホウ酸ナトリウム水溶液等が好ましい。アルカリ性水溶液の濃度は0.1〜5質量%が通常用いられる。
アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
現像液としては、水又はアルカリ水溶液と、一種以上の有機溶剤とからなる水系現像液を用いることができる。ここで、アルカリ水溶液に含まれる塩基としては、上述の塩基以外に、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、モルホリン等が挙げられる。
有機溶剤としては、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
水系現像液は、有機溶剤の濃度を2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、現像性にあわせて調整することができる。さらに、水系現像液のpHは、レジストの現像が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量添加することもできる。
有機溶剤系現像液としては、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。
現像液は、必要に応じて、2種以上を併用してもよい。
一実施形態に係るヒューズ膜パターンの製造方法においては、現像後に必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm2程度の露光を行うことによりヒューズ膜パターンをさらに硬化してもよい。
ヒューズ膜パターン3のヒューズ部6の幅wは、例えば、0.1mm以上、0.4mm以上又は1.0mm以上であってもよく、例えば、3.0mm以下、2.0mm以下又は1.5mm以下であってもよい。
ヒューズ膜パターン3の作動電圧は、300〜2000Vであることが好ましい。作動電圧は、例えば、例えば、400V以上又は500V以上であってもよく、1500V以下又は1000V以下であってもよい。なお、本明細書において、作動電圧とは、ヒューズ膜パターンがヒューズとして作動し得る(例えば、導電性ネットワーク22(22a)が溶断される等)電圧を意味する。作動電圧は、例えば、導電性ネットワーク22(22a)のシート抵抗値を変更することによって調整することができる。
一実施形態に係るヒューズ膜パターンの製造方法によれば、所望の形状を有するヒューズ膜パターンを容易に形成できる。
<ヒューズ膜パターン付き基材>
一実施形態に係るヒューズ膜パターン付き基材は、基材と、基材上に設けられたヒューズ膜パターンと、を備える。ヒューズ膜パターンが、パターンを有する樹脂硬化物層と、樹脂硬化物層の基材とは反対の面側に設けられ、導電性繊維を用いてなる導電性ネットワークと、を有する。ヒューズ膜パターンの厚みは、樹脂硬化物層及び導電性ネットワークの厚みの合計である。一実施形態に係るヒューズ膜パターン付き基材は、例えば、基材上に上述のヒューズ膜パターンの製造方法によってヒューズ膜パターンを形成することによって得られる。
一実施形態に係るヒューズ膜パターン付き基材は、基材と、基材上に設けられたヒューズ膜パターンと、を備える。ヒューズ膜パターンが、パターンを有する樹脂硬化物層と、樹脂硬化物層の基材とは反対の面側に設けられ、導電性繊維を用いてなる導電性ネットワークと、を有する。ヒューズ膜パターンの厚みは、樹脂硬化物層及び導電性ネットワークの厚みの合計である。一実施形態に係るヒューズ膜パターン付き基材は、例えば、基材上に上述のヒューズ膜パターンの製造方法によってヒューズ膜パターンを形成することによって得られる。
ヒューズ膜パターン付き基材は、チップヒューズに好適に用いることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
銀繊維分散液(導電性ネットワーク形成用塗液)の調製
[ポリオール法による銀繊維の調製]
2000mLの3口フラスコに、エチレングリコール500mLを入れ、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで撹拌しながらオイルバスにより160℃まで加熱した。ここに、別途用意した2mgのPtCl2を50mLのエチレングリコールに溶解した溶液を滴下した。4〜5分後、5gのAgNO3をエチレングリコール300mLに溶解した溶液と、ポリビニルピロリドン(和光純薬株式会社製、重量平均分子量:5万8000)5gをエチレングリコール150mLに溶解した溶液とを、それぞれの滴下ロートから1分間で滴下した。その後反応溶液を160℃で60分間撹拌した。
銀繊維分散液(導電性ネットワーク形成用塗液)の調製
[ポリオール法による銀繊維の調製]
2000mLの3口フラスコに、エチレングリコール500mLを入れ、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで撹拌しながらオイルバスにより160℃まで加熱した。ここに、別途用意した2mgのPtCl2を50mLのエチレングリコールに溶解した溶液を滴下した。4〜5分後、5gのAgNO3をエチレングリコール300mLに溶解した溶液と、ポリビニルピロリドン(和光純薬株式会社製、重量平均分子量:5万8000)5gをエチレングリコール150mLに溶解した溶液とを、それぞれの滴下ロートから1分間で滴下した。その後反応溶液を160℃で60分間撹拌した。
上記反応溶液を、30℃以下になるまで放置した後、アセトンで10倍に希釈した。上記反応溶液の希釈液を、遠心分離機により2000回転で20分間遠心分離し、上澄み液をデカンテーションにより取り除いた。沈殿物にアセトンを加え、撹拌後に、上記と同様の条件で遠心分離し、アセトンをデカンテーションにより取り除いた。その後、蒸留水を用いて同様に2回遠心分離して、銀繊維を得た。得られた銀繊維を光学顕微鏡で観察したところ、繊維径(直径)は40nmで、繊維長は4μmであった。
[銀繊維分散液の調製]
銀繊維の濃度が0.2質量%、ドデシル−ペンタエチレングリコールの濃度が0.1質量%となるようにこれらを純水に分散し、銀繊維分散液を得た。
銀繊維の濃度が0.2質量%、ドデシル−ペンタエチレングリコールの濃度が0.1質量%となるようにこれらを純水に分散し、銀繊維分散液を得た。
製造例2
バインダーポリマー溶液(A1)の調製
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す成分(1)を表1に示す配合量(質量部)で仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温した。反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す成分(2)を表1に示す配合量(質量部)で4時間かけて均一に滴下した。成分(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が45,000のバインダーポリマー溶液(固形分50質量%)(A1)を得た。バインダーポリマーの酸価は、78mgKOH/gであった。また、ガラス転移温度(Tg)は60℃であった。
バインダーポリマー溶液(A1)の調製
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す成分(1)を表1に示す配合量(質量部)で仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温した。反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す成分(2)を表1に示す配合量(質量部)で4時間かけて均一に滴下した。成分(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が45,000のバインダーポリマー溶液(固形分50質量%)(A1)を得た。バインダーポリマーの酸価は、78mgKOH/gであった。また、ガラス転移温度(Tg)は60℃であった。
作製したバインダーポリマーの特性は、以下の方法で測定した。
(1)重量平均分子量
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
ポンプ:日立 L−6000型(株式会社日立製作所製、製品名)
カラム:Gelpack GL−R420、Gelpack GL−R430、Gelpack GL−R440(以上、日立化成株式会社製、製品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製、製品名)
カラム:Gelpack GL−R420、Gelpack GL−R430、Gelpack GL−R440(以上、日立化成株式会社製、製品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製、製品名)
(2)酸価
酸価は下記に示すような、JIS K0070に基づいた中和滴定法により測定した。
まず、バインダーポリマー溶液を130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、上記固形分のバインダーポリマー1gを精秤した後、このバインダーポリマーにアセトンを30g添加し、これを均一に溶解し、樹脂溶液を得た。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその樹脂溶液に適量添加して、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液を用いて中和滴定を行った。そして、次式により酸価を算出した。
酸価=0.1×V×f1×56.1/(Wp×I/100)
式中、Vは滴定に用いた0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液の滴定量(mL)、 f1は0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液のファクター(濃度換算係数)、
Wpは測定した樹脂溶液の質量(g)、
Iは測定した上記樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
酸価は下記に示すような、JIS K0070に基づいた中和滴定法により測定した。
まず、バインダーポリマー溶液を130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、上記固形分のバインダーポリマー1gを精秤した後、このバインダーポリマーにアセトンを30g添加し、これを均一に溶解し、樹脂溶液を得た。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその樹脂溶液に適量添加して、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液を用いて中和滴定を行った。そして、次式により酸価を算出した。
酸価=0.1×V×f1×56.1/(Wp×I/100)
式中、Vは滴定に用いた0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液の滴定量(mL)、 f1は0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液のファクター(濃度換算係数)、
Wpは測定した樹脂溶液の質量(g)、
Iは測定した上記樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
(3)ガラス転移温度(Tg)
バインダーポリマー溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、製品名「ピューレックスA53」)上に均一に塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して、乾燥後の厚みが40μmであるバインダーポリマーからなる膜を形成した。次いで高圧水銀ランプを有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、照射エネルギー量が400mJ/cm2(i線(波長365nm)における測定値)となるように上記膜を露光した。露光された膜をホットプレート上にて65℃で2分間、次いで95℃で8分間加熱し、熱風対流式乾燥機にて180℃で60分間加熱処理をした。形成された硬化膜を、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離し、セイコーインスツル株式会社製TMA/SS6000を用いて、昇温速度5℃/分で温度を上昇させたときの上記硬化膜の熱膨張率を測定し、その曲線から得られる変曲点をガラス転移温度Tgとして求めた。
バインダーポリマー溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、製品名「ピューレックスA53」)上に均一に塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して、乾燥後の厚みが40μmであるバインダーポリマーからなる膜を形成した。次いで高圧水銀ランプを有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、照射エネルギー量が400mJ/cm2(i線(波長365nm)における測定値)となるように上記膜を露光した。露光された膜をホットプレート上にて65℃で2分間、次いで95℃で8分間加熱し、熱風対流式乾燥機にて180℃で60分間加熱処理をした。形成された硬化膜を、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離し、セイコーインスツル株式会社製TMA/SS6000を用いて、昇温速度5℃/分で温度を上昇させたときの上記硬化膜の熱膨張率を測定し、その曲線から得られる変曲点をガラス転移温度Tgとして求めた。
実施例1
支持フィルム付き感光性導電フィルムV1の作製
[導電性ネットワークW1の作製]
製造例1で得られた銀繊維分散液を、厚み50μmの支持フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、帝人株式会社製、商品名「G2−50」)上に20g/m2で均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥し、導電性ネットワークW1を形成した。導電性ネットワークの乾燥後の厚みは、0.1μmであった。導電性ネットワークW1のシート抵抗値は100Ω/□であった。
支持フィルム付き感光性導電フィルムV1の作製
[導電性ネットワークW1の作製]
製造例1で得られた銀繊維分散液を、厚み50μmの支持フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、帝人株式会社製、商品名「G2−50」)上に20g/m2で均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥し、導電性ネットワークW1を形成した。導電性ネットワークの乾燥後の厚みは、0.1μmであった。導電性ネットワークW1のシート抵抗値は100Ω/□であった。
[感光性樹脂層形成用塗工液X1の作製]
表2に示す成分を表2に示す配合量(質量部)で、撹拌機を用いて15分間混合し、感光性樹脂層形成用塗工液X1を作製した。表2中、バインダーポリマー及びその他の成分の配合量は、固形分の質量部を表す。
表2に示す成分を表2に示す配合量(質量部)で、撹拌機を用いて15分間混合し、感光性樹脂層形成用塗工液X1を作製した。表2中、バインダーポリマー及びその他の成分の配合量は、固形分の質量部を表す。
なお、表2中のその他の成分は以下のとおりである。
(レベリング材)
8032:「DOW CORNING8032 ADDITIVE」(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名)
(密着性付与材)
P−1M:「ライトエステル P−1M」(共栄社化学株式会社製、商品名)
(レベリング材)
8032:「DOW CORNING8032 ADDITIVE」(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名)
(密着性付与材)
P−1M:「ライトエステル P−1M」(共栄社化学株式会社製、商品名)
[支持フィルム付き感光性導電フィルムV1の作製]
感光性樹脂層形成用塗工液X1を、支持フィルム上に形成された導電性ネットワークW1上に均一に塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。その後、感光性樹脂層を、保護フィルム(ポリエチレンフィルム、タマポリ株式会社製、商品名「NF−13」)で覆い、支持フィルム付き感光性導電フィルムV1を得た。感光性樹脂層の乾燥後の厚み(導電性ネットワークに含浸した部分を含む感光性樹脂層の厚み)は5μmであった。
感光性樹脂層形成用塗工液X1を、支持フィルム上に形成された導電性ネットワークW1上に均一に塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。その後、感光性樹脂層を、保護フィルム(ポリエチレンフィルム、タマポリ株式会社製、商品名「NF−13」)で覆い、支持フィルム付き感光性導電フィルムV1を得た。感光性樹脂層の乾燥後の厚み(導電性ネットワークに含浸した部分を含む感光性樹脂層の厚み)は5μmであった。
[支持フィルム付き感光性導電フィルムV1の限界電圧評価試験]
支持フィルム付き感光性導電フィルムV1の保護フィルムを剥離しながら、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡株式会社製、商品名「A4300」、縦10cm×横10cm、厚み125μm)上に、PETに密着するように、ラミネータ(日立化成株式会社製、商品名「HLM−3000型」)を用いて、ロール温度110℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×105Paの条件でラミネートした。
支持フィルム付き感光性導電フィルムV1の保護フィルムを剥離しながら、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡株式会社製、商品名「A4300」、縦10cm×横10cm、厚み125μm)上に、PETに密着するように、ラミネータ(日立化成株式会社製、商品名「HLM−3000型」)を用いて、ロール温度110℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×105Paの条件でラミネートした。
次いで、PET上の支持フィルム付き感光性導電フィルムV1に、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して、支持フィルム側(導電性ネットワークの上方)に0.2mm幅にパターニングできる露光マスクをおき、支持フィルム側から露光量40mJ/cm2で、紫外線を照射した。その後、支持フィルムを剥離し、さらに導電性ネットワークの上方から露光量100mJ/cm2で紫外線を照射した。その後、現像機(小型現像機(リンス付)BF機(株式会社二宮システム製))で現像することによって、シート抵抗値が100Ω/□、幅が0.2mmである、線状のラインパターンを5本備えるヒューズ膜パターン付き基材を得た。
得られたヒューズ膜パターン付き基材に、放電試験機(株式会社ノイズ研究所製、ESS−S301)を用いて、300V、600V、900V、1200V、及び2000Vの電圧をそれぞれ印加した。実施例1のヒューズ膜パターン付き基材は、300Vの電圧を印加したときに、ライン抵抗が測定できなくなったため、導電性ネットワークが溶断されたときの最低印加電圧は300Vであった。結果を表3に示す。
実施例2
ラインパターンの幅を0.2mmから0.4mmに変更した以外は、実施例1と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
ラインパターンの幅を0.2mmから0.4mmに変更した以外は、実施例1と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例3
ラインパターンの幅を0.2mmから0.8mmに変更した以外は、実施例1と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
ラインパターンの幅を0.2mmから0.8mmに変更した以外は、実施例1と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例4
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を27g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から75Ω/□に変更した以外は、実施例1と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を27g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から75Ω/□に変更した以外は、実施例1と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例5
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を27g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から75Ω/□に変更した以外は、実施例2と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を27g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から75Ω/□に変更した以外は、実施例2と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例6
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を27g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から75Ω/□に変更した以外は、実施例3と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を27g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から75Ω/□に変更した以外は、実施例3と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例7
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を52g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から35Ω/□に変更した以外は、実施例2と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を52g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から35Ω/□に変更した以外は、実施例2と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例8
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を52g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から35Ω/□に変更した以外は、実施例3と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
導電性ネットワークの銀繊維量を増加させる(銀繊維分散液を52g/m2で均一に塗布する)ことによって、導電性ネットワークのシート抵抗値を100Ω/□から35Ω/□に変更した以外は、実施例3と同様にヒューズ膜パターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
比較例1
支持フィルム付き感光性導電フィルムV1に代えて、シート抵抗値が100Ω/□のITOフィルムを用いて、ラインパターンが0.4mm幅のパターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
支持フィルム付き感光性導電フィルムV1に代えて、シート抵抗値が100Ω/□のITOフィルムを用いて、ラインパターンが0.4mm幅のパターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
比較例2
ラインパターンの幅を0.4mmから1.0mmに変更した以外は、比較例1と同様にパターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
ラインパターンの幅を0.4mmから1.0mmに変更した以外は、比較例1と同様にパターン付き基材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
表3に示すように、実施例1〜8では、導電性ネットワークが、幅0.2〜0.8mmの線状のヒューズ膜パターンを形成したときに300〜2000Vの印加電圧によって溶断された。このことは、実施例1〜8のヒューズ膜パターン付き基材において、300〜2000Vの作動電圧でヒューズとして作動し得ることを意味する。これに対して、比較例1、2では、2000Vの電圧を印加した場合においても、導電性ネットワークが溶断されず、300〜2000Vの作動電圧でヒューズとして作動し得ないことが判明した。これらの結果から、本発明の感光性導電フィルムが、所望の形状を有するヒューズ膜パターンを容易に形成できることが確認された。
本発明によれば、所望の形状を有するヒューズ膜パターンを容易に形成することができる感光性導電フィルムを提供することができる。このような感光性導電フィルムを用いることによって、柔軟性を有する基材上にヒューズ膜パターンを容易に形成することができるため、基材の設計変更に対応することが可能となる。また、このような感光性導電フィルムを用いたヒューズ膜パターンの製造方法、ヒューズ膜パターン付き基材、及びチップヒューズを提供することができる。
1…絶縁基材、2…絶縁膜、3…ヒューズ膜パターン、6…ヒューズ部、7…表電極、8…裏電極、9…オーバーコート膜、10…端面電極、11…端子電極、20…チップヒューズ、21…支持フィルム、22…導電性ネットワーク、22a…導電性ネットワーク、23…感光性樹脂層、23a,23b…樹脂硬化物層、24…感光性導電フィルム、25…マスクパターン、30…支持フィルム付き感光性導電フィルム、40…基材、50,51…ヒューズ膜パターン付き基材。
Claims (8)
- 感光性樹脂層と、前記感光性樹脂層の一方の主面側に設けられた、導電性繊維を含んでなる導電性ネットワークと、を備え、ヒューズ膜パターンを形成するために用いられる、感光性導電フィルム。
- 前記導電性ネットワークが、幅0.2〜0.8mmの線状のヒューズ膜パターンを形成したときに300〜2000Vの印加電圧によって溶断される、請求項1に記載の感光性導電フィルム。
- 前記導電性繊維が銀繊維である、請求項1又は2記載の感光性導電フィルム。
- 前記感光性樹脂層がバインダーポリマー、光重合性化合物及び光重合開始剤を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性導電フィルム。
- 基材上に配置された、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性導電フィルムの感光性樹脂層に、パターン状に活性光線を照射する工程と、
前記感光性樹脂層及び前記導電性ネットワークの一部を除去することによりパターンを形成させる工程と、
を備える、ヒューズ膜パターンの製造方法。 - 基材と、前記基材上に設けられたヒューズ膜パターンと、を備え、
前記ヒューズ膜パターンが、パターンを有する樹脂硬化物層と、前記樹脂硬化物層の前記基材とは反対の面側に設けられ、導電性繊維を含んでなる導電性ネットワークと、を有する、ヒューズ膜パターン付き基材。 - 前記ヒューズ膜パターンの作動電圧が300〜2000Vである、請求項6に記載のヒューズ膜パターン付き基材。
- 請求項6又は7に記載のヒューズ膜パターン付き基材を備える、チップヒューズ。
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JP2017054908A JP2018156045A (ja) | 2017-03-21 | 2017-03-21 | 感光性導電フィルム、ヒューズ膜パターンの製造方法、ヒューズ膜パターン付き基材、及びチップヒューズ |
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JP2021077567A (ja) * | 2019-11-12 | 2021-05-20 | ジンヨングローバル カンパニーリミテッド | ヒューズ素子、フレキシブル配線基板及びバッテリーパック |
-
2017
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