JP2019066526A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】保存性(耐ブロッキング性)と耐ホットオフセット性とのバランスに優れた静電荷像現像用トナーを提供する。【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、離型剤として、不飽和脂肪酸の二量体及び不飽和脂肪酸の三量体、並びにこれらの水添物からなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法、静電記録法、及び静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)に関する。
一般的な電子写真法に用いられるトナーにおいては、着色樹脂粒子表面に離型剤が配合されることにより、トナーが離型効果を発揮する。特に、湿式トナーにおいては、その製造工程において、離型剤が重合性単量体組成物の液滴表面に集まることにより、得られる着色樹脂粒子の表面に離型剤が多く分布する。離型剤としては、脂肪酸や脂肪酸塩、又は脂肪酸エステル(ワックス)等が広く利用されてきた。
離型効果の点から、着色樹脂粒子中における離型剤の分布は、特に重要である。離型剤の分布は、離型剤の種類や添加量等により制御できる。
例えば、特許文献1には、トナーの製造方法において、トナーの水洗浄後に脂肪酸塩の水溶液を添加し、その後に無機酸を加えてpH調整を行うことが開示されている。特許文献1には、これら脂肪酸塩の水溶液及び無機酸の添加により、得られるトナーの表面及び内部における脂肪酸量をそれぞれ特定の範囲内に制御することができ、印字耐久性と細線再現性に優れる静電荷像現像用トナーが得られるとの記載がある。
特許文献2には、トナーの製造方法の一工程として、脂肪酸又は脂肪酸金属塩が溶解する溶媒中で、重合体粒子の表面に脂肪酸又は脂肪酸金属塩を吸着させることが開示されている。特許文献2には、表面に吸着した脂肪酸又は脂肪酸金属塩により、耐熱性、流動性及びクリーニング性に優れるトナーが得られるとの記載がある。
特開2010−217354号公報 特開平1−252973号公報
しかし、特許文献1及び2に記載のトナーは、いずれも、トナー表面の脂肪酸量が多すぎる場合、トナーの保存性が低下するという問題がある。
本開示の課題は、保存性(耐ブロッキング性)と耐ホットオフセット性とのバランスに優れた静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明者らは、特定の離型剤を用いることにより、上述の問題を解決出来ることを見出した。
すなわち本開示の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、離型剤として、不飽和脂肪酸の二量体及び不飽和脂肪酸の三量体、並びにこれらの水添物からなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
本開示においては、静電荷像現像用トナーが、離型剤として、不飽和脂肪酸の二量体の水添物及び不飽和脂肪酸の三量体の水添物からなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸を含有していてもよい。
本開示においては、前記脂肪酸の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対し、0.01〜0.20質量部であることが好ましい。
本開示においては、前記脂肪酸の炭素数が、20以上であることが好ましい。
本開示においては、静電荷像現像用トナーが、前記離型剤として、さらにエステルワックスを含有していてもよい。
上記の如き本開示によれば、離型剤として前記脂肪酸を含むことにより、保存性と耐ホットオフセット性とのバランスに優れた静電荷像現像用トナーが提供される。
本開示の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、離型剤として、不飽和脂肪酸の二量体及び不飽和脂肪酸の三量体、並びにこれらの水添物からなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸を含有することを特徴とする。
以下、本開示の着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いたトナーの製造方法及び本開示のトナーについて、順に説明する。
1.着色樹脂粒子の製造方法
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
上記乳化重合凝集法は、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子エマルションを得て、着色剤分散液等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する。また、上記溶解懸濁法は、結着樹脂や着色剤等のトナー成分を有機溶媒に溶解又は分散した溶液を水系媒体中で液滴形成し、当該有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を製造する方法であり、それぞれ公知の方法を用いることができる。
本開示の着色樹脂粒子は、湿式法、または乾式法を採用して製造することができるが、湿式法が好ましく、湿式法の中でも特に好ましい懸濁重合法を採用し、以下のようなプロセスにより製造される。
(A)懸濁重合法
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、着色剤、離型剤及び帯電制御剤、さらに必要に応じて添加される分子量調整剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
本開示で重合性単量体は、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
ホットオフセット改善及び保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールにカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本開示では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性と低温での定着性とのバランスを良好にできる。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある。)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いる。
本開示では、着色剤を用いるが、カラートナーを作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等の染料及び顔料が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料、染料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、213、及び214、並びにC.I.ソルベントイエロー98等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料、染料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、237、238、251、254、255、269及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本開示では、各着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。着色剤の量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部である。
本開示においては、離型剤として、不飽和脂肪酸の二量体及び不飽和脂肪酸の三量体、並びにこれらの水添物からなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸を含有する。以下、本開示の脂肪酸を、「離形性脂肪酸」と称する場合がある。
不飽和脂肪酸の二量体とは、エチレン性二重結合を2〜4個有する炭素数14〜22の脂肪酸(以下、不飽和脂肪酸Aという)と、エチレン性二重結合を1〜4個有する炭素数14〜22の脂肪酸(以下、不飽和脂肪酸Bという)とを二重結合部で反応して得られる二量体酸をいうものとする。不飽和脂肪酸Bに該当する化合物群は、不飽和脂肪酸Aに該当する化合物群を包含する。
不飽和脂肪酸の三量体とは、不飽和脂肪酸A 1分子又は2分子と、不飽和脂肪酸B 2分子又は1分子とを二重結合部で反応して得られる三量体酸をいうものとする。
不飽和脂肪酸Aは、好適にはエチレン性二重結合を2個有する炭素数14〜22の脂肪酸である。不飽和脂肪酸Aの具体例は以下の通りである;テトラデカジエン酸(炭素数:14)、ヘキサデカジエン酸(炭素数:16)、オクタデカジエン酸(リノール酸等。炭素数:18)、エイコサジエン酸(炭素数:20)、ドコサジエン酸(炭素数:21)、オクタデカトリエン酸(リノレン酸等。炭素数:18)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸等。炭素数:20)等。これらの中でも、不飽和脂肪酸Aはリノール酸(CAS No.60−33−3,CH(CHCH=CHCHCH=CH(CHCOOH)であることが好ましい。
不飽和脂肪酸Bは、好適にはエチレン性二重結合を1個又は2個有する炭素数14〜22の脂肪酸である。不飽和脂肪酸Bの具体例としては、上記不飽和脂肪酸Aの具体例、及びエチレン性二重結合を1個有する炭素数14〜22の脂肪酸が挙げられる。エチレン性二重結合を1個有する炭素数14〜22の脂肪酸の具体例は以下の通りである;テトラデセン酸(ツズ酸、マッコウ酸、ミリストオレイン酸等。炭素数:14)、ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸等。炭素数:16)、オクタデセン酸(オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸等。炭素数:18)、エイコセン酸(ガドレイン酸等。炭素数:20)、ドコセン酸(エルカ酸、セトレイン酸、ブラシジン酸等。炭素数:21)等。これらの中でも、不飽和脂肪酸Bはリノール酸又はオレイン酸(CAS No.112−80−1,CH(CHCH=CH(CHCOOH)であることが好ましい。
不飽和脂肪酸の二量体の市販品としては、例えば、ツノダイム(登録商標)205、216、228、395(以上、築野食品工業社製)等を挙げることができる。
不飽和脂肪酸の三量体の市販品としては、例えば、ツノダイム(登録商標)345、346(以上、築野食品工業社製)等を挙げることができる。
不飽和脂肪酸の二量体の水添物とは、上記不飽和脂肪酸の二量体の炭素−炭素二重結合を水素化して得られる飽和ジカルボン酸をいうものとする。
例えば、リノール酸(不飽和脂肪酸A)と、リノール酸又はオレイン酸(不飽和脂肪酸B)とから製造される炭素数36の不飽和脂肪酸の二量体を水素化することにより得られる水添物の主成分の構造は、以下の一般式(1)及び一般式(2)で表される構造である。
(上記一般式(1)中、R及びRはアルキル基であり、かつR及びRに含まれる各炭素数、a及びbの合計は28(即ち、[Rに含まれる炭素数]+[Rに含まれる炭素数]+a+b=28)である。)
(上記一般式(2)中、R及びRはアルキル基であり、かつR及びRに含まれる各炭素数、c及びdの合計は32(即ち、[Rに含まれる炭素数]+[Rに含まれる炭素数]+c+d=32)である。)
同様に、不飽和脂肪酸の三量体の水添物とは、上記不飽和脂肪酸の三量体の炭素−炭素二重結合を水素化して得られる飽和ジカルボン酸をいうものとする。
不飽和脂肪酸の二量体の水添物の市販品としては、例えば、PRIPOL(登録商標)1009(クローダ社製)、EMPOL(登録商標)1008、1062(以上、BASF社製)等を挙げることができる。
不飽和脂肪酸の三量体の水添物の市販品としては、例えば、PRIPOL(登録商標)1006、1025、1040(以上、クローダ社製)、EMPOL(登録商標)1043、1045(以上、BASF社製)等を挙げることができる。
後述する実施例において示すように、不飽和脂肪酸の二量体の水添物を含むトナーは、不飽和脂肪酸の二量体を含むトナーよりも、グロスが高く、かつ保存性に優れる傾向にある。
離形性脂肪酸の炭素数は、好適には20以上であり、より好適には25以上であり、さらに好適には30以上である。炭素数が19以下の離形性脂肪酸は、得られるトナーを用いて印刷する際、離形性脂肪酸由来の粉塵放散量が増大するおそれがある。
なお、離形性脂肪酸の炭素数は、50以下であってもよい。
上述したように、脂肪酸は重合性単量体組成物の液滴の表面に集まり離型効果を発揮する。しかし、脂肪酸が多すぎる場合には得られるトナーの保存性が低下し、トナーの凝集(ブロッキング)が生じやすくなる。したがって、一般に、脂肪酸を離型剤として用いる場合、得られるトナーの離型性と保存性との間にトレードオフの関係がある。
これに対し、離形性脂肪酸は、他の脂肪酸と異なり、比較的少量の添加によりトナー定着時の離型性を向上させることができる。したがって、離形性脂肪酸を離型剤として用いることにより、トナーの保存性(耐ブロッキング性)を低下させることなく、耐ホットオフセット性を向上させることができ、上記トレードオフの関係を克服することができる。
離形性脂肪酸の添加により、得られるトナーにおいて、保存性(耐ブロッキング性)と耐ホットオフセット性とのバランスがとれる理由は明らかではない。ただし、不飽和脂肪酸の二量体及び不飽和脂肪酸の三量体、並びにこれらの水添物は、これらよりも分子量の小さい他の脂肪酸と比べ、ポリマーとの親和性が低く、トナー粒子中でドメイン(離型性脂肪酸のみが占める領域)を形成しやすい。トナー粒子中でドメインが形成される程、トナー保存時におけるトナー粒子表面からの離型剤のブリードが生じにくくなるといえる。その結果、離形性脂肪酸の使用により、得られるトナーの耐ブロッキング性を低下させることなく、耐ホットオフセット性の向上が可能となるものと推測される。
重合性単量体組成物を調製する際には、まず、少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤を混合して均一な組成物とした後に、離形性脂肪酸(及び必要であればその他の離型剤)を当該組成物に添加することが好ましい。離形性脂肪酸は、極性基を表面に有するトナー材料(例えば、着色剤等)と反応しやすい傾向にある。したがって、当該材料と離形性脂肪酸とを直に混在させたり、組成が不均一な組成物中に離形性脂肪酸を添加したりすると、副生成物が生成したり、得られる重合性単量体組成物が変質するおそれがある。
本開示では、離形性脂肪酸と共に、他の離型剤を併用することもできる。
本開示のトナーは、他の離型剤として、さらに石油ワックスを含有してもよい。石油ワックスの酸価は、5KOH/g以下であることが好ましい。石油ワックスの融点(TmD)は60〜90℃であり、融点ピークの半値幅が8℃以下であることが好ましい。
石油ワックスの具体例としては、パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等を挙げることができる。市販の石油ワックスとしては、HNP−11、HNP−9、PW−140、SP−0160(:以上商品名、日本精蝋株式会社製)等が使用できる。
石油ワックスを用いる場合には、結着樹脂100質量部に対して、石油ワックスの含有量が1〜10質量部であることが好ましい。
本開示のトナーは、他の離型剤として、さらにエステルワックスを含有してもよい。エステルワックスの酸価は、5KOH/g以下であることが好ましい。エステルワックスの融点(TmD)は60〜85℃であることが好ましく、65〜75℃であることがより好ましい。
エステルワックスの具体例としては、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化合物等を挙げることができる。市販のエステルワックスとしては、WEP−7(商品名:日油株式会社製、融点70℃)、WEP−4(商品名:日油株式会社製、融点71℃)、WEP−6(商品名:日油株式会社製、融点77℃)等が使用できる。
エステルワックスを用いる場合には、結着樹脂100質量部に対してエステルワックスの含有量が1〜10質量部であることが好ましい。
離形性脂肪酸の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、好適には0.01〜0.20質量部であり、より好適には0.02〜0.18質量部であり、さらに好適には0.04〜0.15質量部である。離形性脂肪酸と他の離型剤とを併用する場合には、他の離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、好適には2〜35質量部であり、より好適には3〜30質量部であり、さらに好適には5〜25質量部である。
離形性脂肪酸の含有量が0.01質量部未満である場合には、得られるトナーが離型性及び耐ホットオフセット性に劣るおそれがある。離形性脂肪酸の含有量が0.20質量部を超える場合には、得られるトナーが保存性(耐ブロッキング性)に劣るおそれがある。
本開示では、トナーの帯電性を向上させるため、帯電制御剤を用いる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができ、本開示の着色剤における分散性向上の観点から、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、負帯電性トナーを得る観点からは、負帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
帯電制御樹脂の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算値で、5,000〜30,000の範囲内であり、好ましくは8,000〜25,000の範囲内であり、より好ましくは10,000〜20,000の範囲内である。
また帯電制御樹脂における4級アンモニウム基やスルホン酸塩基などの官能基を有する単量体の共重合割合は、0.5〜12質量%の範囲内であり、好ましくは1.0〜6質量%の範囲内であり、更に好ましくは1.5〜3質量%の範囲内である。
本開示では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
その他の添加物として、重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
(A−2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本開示では、重合性単量体、着色剤、離型剤及び帯電制御剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス社製、商品名:T.K.ホモミクサーMARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
有機過酸化物の中では、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることができることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。
本開示において、水系媒体は、水を主成分とする媒体のことを言う。
本開示において、水系媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。
上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散安定化剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.1〜20質量部あることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。
上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、また、洗浄後の分散安定化剤残存量を少なくできるため、得られるトナーが画像を鮮明に再現することができ、更に環境安定性を悪化させない。
(A−3)重合工程
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
重合性単量体組成物の液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、本重合工程においても上記(A−2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)に引き続き、攪拌による分散処理を行いながら重合反応を進行させてもよい。
着色樹脂粒子は、そのままで、又は外添剤を添加してトナーとして用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上述した、上記着色樹脂粒子を用いて、コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
(A−4)洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
先ず、結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤、さらに必要に応じて添加される分子量調整剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。
次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤、さらに必要に応じて添加される分子量調整剤等のその他の添加物は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
結着樹脂としては、他にも、従来からトナーに広く用いられている樹脂を使用することができる。粉砕法で用いられる結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等を例示することができる。
2.着色樹脂粒子
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)が好ましくは3〜15μmであり、更に好ましくは4〜12μmである。Dvが3μm未満である場合には、トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下する場合がある。Dvが15μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
また、着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計(ベックマン・コールター製、商品名:マルチサイザー)等を用いて測定することができる。
本開示の着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.960〜1.000であることが好ましく、0.970〜0.995であることがより好ましく、0.980〜0.990であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.960未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
上記着色樹脂粒子は、そのままトナーとしてもよいし、又は着色樹脂粒子とキャリア粒子(フェライト、及び鉄粉等)との混合物をトナーとしてもよい。ただし、トナーの帯電性、流動性、保存性等を調整するために、高速攪拌機(例えば、商品名:ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)等)を用いて、着色樹脂粒子及び外添剤を混合し、1成分トナーとしてもよいし、着色樹脂粒子及び外添剤、さらにキャリア粒子を混合し、2成分現像剤としてもよい。
外添処理を行う攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び/又は酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及び/又はメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び/又は酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることが好ましい。
本開示では、外添剤を、着色樹脂粒子100質量部に対して、通常、0.05〜6質量部、好ましくは0.2〜5質量部の割合で用いることが望ましい。外添剤の添加量が0.05質量部未満の場合には転写残が発生することがある。外添剤の添加量が6質量部を超える場合にはカブリが発生することがある。
3.本開示のトナー
上記工程を経て得られる本開示のトナーは、離型剤として離型性脂肪酸を含有することにより、保存性(耐ブロッキング性)と耐ホットオフセット性とのバランスに優れるトナーである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本開示を更に具体的に説明するが、本開示は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
1.トナーの製造
[実施例1]
モノビニル単量体としてスチレン77部及びn−ブチルアクリレート23部(これらの単量体を共重合して得られた共重合体の計算Tg=60℃)、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:♯25B)12部、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:FCA−676P、スチレン/アクリル樹脂)4.4部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.3部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.25部を、攪拌装置で攪拌、混合した後、さらにメディア式分散機により、均一に分散させた。ここに、離型剤として水添二量体(不飽和脂肪酸の二量体の水添物、炭素数36、PRIPOL(登録商標)1009、クローダ社製)0.04部及びエステルワックス(商品名:WEP−6、日油社製)20部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を得た。
他方、室温下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)8.6部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)4.8部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記重合性単量体組成物を投入し、さらに攪拌して、そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂社製、商品名:パーブチルIB)4.4部を添加した後、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミキサー)を用いて、12,000rpmの回転数で高速剪断攪拌して分散を行い重合性単量体組成物の液滴形成を行った。
次に、液滴形成された重合性単量体組成物の水分散液を、反応器上部から投入し、95℃に昇温して重合反応を行い、重合転化率が95%に達したときに、反応器内の温度を90℃にし、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート3部、及びイオン交換水10部に溶解した水溶性重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性)0.1部を添加した。さらに3時間、温度を90℃に維持して、重合を継続した後、水冷して反応を停止し、着色樹脂粒子の水分散液を得た。
上記着色樹脂粒子の水分散液に、pHが6.5以下となるまで硫酸を滴下することによって、攪拌しながら酸洗浄を行った。次いで、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し、水洗浄処理(洗浄、濾過及び脱水)を室温(25℃)で数回繰り返し行って、得られた固形分を濾過分離した後、真空乾燥機の容器内に入れ、圧力30torr、温度50℃の条件下で、72時間真空乾燥を行い、乾燥した着色樹脂粒子(平均円形度:0.982)を得た。
上記により得られた着色樹脂粒子100部に、疎水化処理された個数平均一次粒径が7nmのシリカ微粒子0.5部、及び疎水化処理されたBET比表面積が50m/gのシリカ微粒子1.2部を添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて、混合攪拌して外添処理を行い、実施例1の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
[実施例2〜実施例7、比較例1〜比較例2]
実施例1において、水添二量体の添加量を下記表1に記載した通りに変更するか、又は水添二量体の替わりに下記表1に記載した離型剤を使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜実施例7及び比較例1〜比較例2のトナーを作製し、試験に供した。
なお、下記表1中の離型剤の詳細は以下の通りである。
・二量体:不飽和脂肪酸の二量体、炭素数36、ツノダイム(登録商標)395、築野食品工業社製
・三量体:不飽和脂肪酸の三量体、炭素数54、ツノダイム(登録商標)346、築野食品工業社製
・ステアリン酸:炭素数18、商品名:NAA−180、日油社製
・ベヘニン酸:炭素数22、商品名:NAA−222S、日油社製
[比較例3]
水添二量体を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のトナーを作製し、試験に供した。
2.トナーの評価
上記実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例3の各トナーを評価した。詳細は以下の通りである。
(1)グロス評価
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターの定着ロール部の温度を変えられるように改造したプリンターを用い、当該プリンターの現像装置内のトナーカートリッジに、トナーを100g充填した後、印字用紙をセットした。
ベタ画像の紙面上トナー量が0.30(mg/cm)となるようにプリンターの調整を行った後、定着ロールの温度(定着温度)を170℃に設定し、5cm四方のベタ画像を用紙(Xerox社製、商品名:Vitarity)に印字した。得られた5cm四方のベタ画像を、グロスメーター(日本電色工業製、商品名:VGS−SENSOR)を用いて、入射角60°によりグロスの値を測定した。なお、グロスの値は、大きい程光沢感があることを示す。
(2)ホットオフセット発生温度
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターの定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、ホットオフセット試験を行った。ホットオフセット試験は、定着ロール部の温度を150℃から5℃ずつ220℃まで変化させて、5cm四方のベタ画像を用紙(Xerox社製、商品名:Vitarity)に印字し、定着ロールにトナーの融着が発生していないかホットオフセット現象の有無を目視にて観察した。
このホットオフセット試験において、定着ロールにトナーの融着が発生した最低の設定温度を、ホットオフセット発生温度とした。
(3)常温常湿(N/N)環境下でのカブリ測定
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターと、評価対象のトナーを温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下に一昼夜放置した後、カブリを測定した。
カブリ測定法は以下の通りである。まず、印字に使用していない紙の色相を測定し、この色相を基準値(E)とした。次に、トナーを用いて上記プリンターにより白ベタを印字し、その白ベタの任意の6箇所の色相(E〜E)を測定した。色相(E〜E)と、基準値(E)との差(ΔE)をそれぞれ算出し、最も大きいΔEを、そのトナーのカブリ値とし、下記のように評価した。カブリ値が小さければ小さいほど、カブリが少なく、印字が良好であることを示す。また、色相は、分光光度計(X−Rite社製、商品名:スペクトロアイ)を用いて測定した。
A:ΔEが0.5未満
F:ΔEが0.5以上
(4)保存性の評価
トナー10gを100mLのポリエチレン製の容器に入れて密閉した後、所定の温度に設定した恒温水槽の中に該容器を沈め、8時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−R)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間、篩を振動させた後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とした。
この凝集したトナーの質量が0.5g以下になる最高温度(℃)を、保存性の指標とした。
上記実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例3のトナーの評価結果を、使用した離型剤の種類及び添加量と併せて、下記表1に示す。下記表1中、比較例1の評価結果につき「NG」とあるのは、印字カブリが著しいためトナーを評価できなかったことを意味する。
3.考察
以下、表1を参照しながら、トナー評価結果について検討する。
表1より、比較例1のトナーは、ステアリン酸を0.08部含むトナーである。
表1より、比較例1のトナーは、印字カブリが著しかったためグロス評価及びホットオフセット発生温度の測定が行えず、かつN/Nカブリ評価もFである。したがって、ステアリン酸を用いた比較例1のトナーは、印字特性に劣ることが分かる。
表1より、比較例2のトナーは、ベヘニン酸を0.08部含むトナーである。
表1より、比較例2のトナーはホットオフセット発生温度が205℃と高いが、その代わり、保存性の評価温度が53℃と低い。比較例2の保存性の評価温度は、今回評価したトナー中最も低い。したがって、ベヘニン酸を用いた比較例2のトナーは、保存性(耐ブロッキング性)に劣ることが分かる。
表1より、比較例3のトナーは、離型性脂肪酸を含まないトナーである。
表1より、比較例3のホットオフセット発生温度は180℃であり、この値は、今回評価したトナー中最も低い。したがって、離型性脂肪酸を含まない比較例3のトナーは、耐ホットオフセット性に劣ることが分かる。
一方、表1より、実施例1〜実施例7のトナーは、水添二量体、二量体又は三量体を含むトナーである。
表1より、実施例1〜実施例7のグロスの値は4.3以上であり、ホットオフセット発生温度は195℃以上であり、N/Nカブリ評価はAであり、保存性は55℃以上である。
したがって、水添二量体又は二量体を含む実施例1〜実施例7のトナーは、保存性と耐ホットオフセット性とのバランスに優れたトナーであることが分かる。
以下、実施例1〜実施例7のトナーを互いに比較する。
まず、実施例1〜実施例3のトナーについて検討すると、水添二量体の添加量が増えるにつれ、ホットオフセット発生温度が若干上昇する傾向があることが分かる。
次に、実施例4〜実施例6のトナーについて検討すると、二量体の添加量が増えるにつれ、グロス及びホットオフセット発生温度が若干上昇する傾向があることが分かる。
続いて、実施例1〜実施例6のトナーについて検討すると、水添二量体を含むトナー(実施例1〜実施例3)は、二量体を含むトナー(実施例4〜実施例6)よりも、グロスが高く、かつ保存性に優れることが分かる。
さらに、実施例2(水添二量体の添加量:0.08部)、実施例5(二量体の添加量:0.08部)及び実施例7(三量体の添加量:0.08部)のトナーについて検討すると、これらのトナーは特にグロスにおいて差が生じる。具体的には、これらトナーの内、実施例2のグロスが最も高く、次に実施例7のグロスが高く、実施例5のグロスが最も低いことが分かる。

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、
    離型剤として、不飽和脂肪酸の二量体及び不飽和脂肪酸の三量体、並びにこれらの水添物からなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 離型剤として、不飽和脂肪酸の二量体の水添物及び不飽和脂肪酸の三量体の水添物からなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸を含有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記脂肪酸の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対し、0.01〜0.20質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記脂肪酸の炭素数が、20以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記離型剤として、さらにエステルワックスを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
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