JP2019066500A - 試料気化ユニット及びそれを備えたガスクロマトグラフ - Google Patents

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Abstract

【課題】取出用工具によるインサートの取り出し作業を容易にして作業効率を向上させることのできる試料気化ユニット及びガスクロマトグラフを提供する。【解決手段】インサート3を収容した試料気化室2を有するケーシング1と、試料気化室2の上面開口部を封止するとともにセプタム7で塞がれた試料注入口5を上面に有する着脱自在なシールキャップ4と、シールキャップ4とケーシング1との間隙に装着され、試料気化室2の内壁とインサート3の上端部分3aとの間隙を封止するシールリング9とを備え、ケーシング1の上端開口部の周縁1bには、シールリング9の少なくとも一部が周縁1bの側方から視認可能に形成された切り欠き12が設けられ、シールキャップ4の取り付け時には当該シールキャップ4によって切り欠き12が覆われるようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、試料を気化する試料気化室を有し、この試料気化室で気化された試料を分析カラムへ送り込む試料気化ユニット、及び、その試料気化ユニットを備えたガスクロマトグラフに関する。
図3は、ガスクロマトグラフの構成を示す概念図であって、試料気化ユニットA、分析カラムB、検出器C及びカラムオーブンDを備えている。分析カラムBの一端は試料気化ユニットAの下端に接続され、他端は検出器Cに接続されている。分析カラムBはカラムオーブンD内に収容されており、試料気化ユニットAと検出器CはカラムオーブンDの上部に取り付けられている。
従来の一般的な試料気化ユニットは、図4に示すように、円筒状のケーシング1の内部に円筒状の試料気化室2が設けられており、試料気化室2の内部にガラスや石英等からなる円筒状のインサート3が収容されている。試料気化室2はヒータ(図示略)によって高温に加熱されるようになっている。ケーシング1の上面はインサート3を着脱するために開口されており、この開口部はシールキャップ4によって封止されている。ケーシング1の下端には、試料気化室2内で気化した試料ガスをキャリアガスとともに分析カラムBに送り込むためのガス流出口11が設けられている。
シールキャップ4は、上面に試料注入用のニードル6を挿通させるための試料注入口5と、当該試料注入口5を塞ぐセプタム7とを備えており、セプタム7はニードル6が挿通可能な弾性材料で形成されている。また、シールキャップ4の側面には、試料気化室2にキャリアガスを導入するための配管8と接続されるキャリアガス導入口10が設けられており、シールキャップ4とケーシング1との間隙には、弾性材料からなるシールリング9が挟み込まれている。
測定試料は、試料注入口5に挿通されたニードル6から高温の試料気化室2に注入されてインサート3内で気化し、気化した試料ガスはキャリアガス導入口10から導入されたキャリアガスによってガス流出口11から分析カラムBに送り込まれる。そして、分析カラムBで試料ガスが分離され、検出器Cにおいて分離成分ごとに検出される(特許文献1、2参照)。
特開2009−092672号公報 特開平8−297116号公報
インサート3は試料に直接接触するものであるから、試料の気化残渣等の付着により汚れやすい。そのため、インサート3は、洗浄や交換を定期的に行うことができるように着脱可能な状態で試料気化室2内に収容されており、シールキャップ4を取り外すことにより着脱可能となっている。
シールキャップ4の着脱手段としては、例えば図4のように、ケーシング1側に設けられた外ネジ1aとシールキャップ4側に設けられた内ネジ4aとを螺合させて取り付けるようにした構造が一般的である。
インサート3を取り出すときは、図5に示すように、シールキャップ4を開放し、ケーシング1の上端開口部に露出するインサート3の上端部分3aをピンセット等の取出用工具で掴んでケーシング1から引き出している。しかし、ケーシング1の開口部は直径10mm程度と小さく、インサート3の上端部分3aはさらに小さいため、ピンセット等による取り出しは煩雑な作業となる。特に、シールリング9が圧縮と熱等によりインサート3周面に固着している場合には、インサート3の取り出し作業がさらに困難となる。
そこで本発明は、ピンセット等の取出用工具を用いたインサートの取り出し作業を容易にしてインサート着脱時の作業効率を向上させることができる試料気化ユニット、並びに、この試料気化ユニットを用いたガスクロマトグラフを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明に係る試料気化ユニットは、上面が開口された試料気化室を有し、前記試料気化室にインサートを収容するケーシングと、前記試料気化室の上面開口部を封止するとともにセプタムで塞がれた試料注入口を上面に有する着脱自在なシールキャップと、前記シールキャップと前記ケーシングとの間隙に装着され、前記試料気化室の内壁と前記インサートの上端部分との間隙を封止する弾性材料製のシールリングとを備えた試料気化ユニットであって、前記ケーシングの上端開口部の周縁にインサート取出用工具が嵌まり込む切り欠きが設けられた構成とした。
また、前記切り欠きは、前記シールリングの少なくとも一部が前記周縁の側方から視認可能な深さまで切り欠いて形成され、前記シールキャップの取り付け時には、当該シールキャップによって前記切り欠きが覆われるように形成されてもよい。
本発明の試料気化ユニットによれば、ケーシングの上端開口部の周縁にピンセット等の取出用工具が挿入可能な切り欠きが設けられているので、開口部の直径が小さくても容易にインサートの上端部分を掴んで取り出すことができる。
また、この切り欠きは、シールリングの一部が側方から視認可能な深さとなるように形成することで、シールリングが圧縮や熱によりインサートに固着している場合でも、切り欠きからシールリングごとインサートを掴んで取り出すことができ、インサートの着脱作業を容易に行うことができる。
本発明の試料気化ユニットにおいて、前記切り欠きは、少なくとも1箇所あればよいが、互いに対向する位置に2箇所設けられている構成が最適である。
これにより、インサート取り出し時に作業者の利き腕に応じて左右の切り欠きからシールリングの外周面を取出用工具で挟んでシールリングごとインサートを掴むことができ、容易にインサートを取り出すことができる。
また、本発明に係るガスクロマトグラフは、上記の構成を備えた試料気化ユニットと、前記試料気化ユニットに注入された試料の分析を行う分析カラムと、前記分析カラムで分析された前記試料を検出する検出器とを備えるようにしている。
本発明のガスクロマトグラフは、上記の試料気化ユニットを備えているので、試料気化ユニットのインサートの着脱作業が容易になり、メンテナンス作業の効率を向上させることができる。
本発明に係る試料気化ユニットを示す断面図。 図1のケーシングの上端開口部における切り欠きを示す拡大斜視図。 ガスクロマトグラフの構成を示す概念図。 従来の試料気化ユニットを示す断面図。 図4のケーシングにおける上端開口部分を示す拡大斜視図。
本発明に係るガスクロマトグラフは、図3に基づき上述したように、試料気化ユニットA、分析カラムB、検出器C及びカラムオーブンDを備えており、分析カラムBの一端は試料気化ユニットAの下端に接続され、他端は検出器Cに接続されている。
以下において、本発明に係る試料気化ユニットAについて図1、2に基づき説明する。なお、図4で示した従来の試料気化ユニットと同様の機能を有する部分については、同じ符号を付すことにより説明を省略する。
試料気化ユニットAは、円筒状のケーシング1の内部に円筒状の試料気化室2が設けられており、試料気化室2の内部にガラスや石英等からなる円筒状のインサート3が収容されている。試料気化室2はヒータ(図示略)によって高温に加熱されるようになっている。ケーシング1の上面はインサート3を着脱するために開口されており、この開口部はシールキャップ4によって封止されている。ケーシング1の下端には、試料気化室2内で気化した試料ガスをキャリアガスとともに分析カラムBに送り込むためのガス流出口11が設けられている。
シールキャップ4は、ケーシング1側に設けられた外ネジ1aとシールキャップ4側に設けられた内ネジ4aとの螺合によって着脱可能に取り付けられており、上面に試料注入用のニードル6を挿通させるための試料注入口5と、当該試料注入口5を塞ぐセプタム7を備えている。セプタム7は、天然ゴムやシリコーンゴム等の弾性材料からなり、ニードル6の挿通時には気密性を保ちながらニードル6を貫通させるとともに、ニードル6の抜去後はニードル6の貫通孔を閉じて試料気化室2内の気密性を保つようにしている。また、シールキャップ4の側面には、試料気化室2にキャリアガスを導入するための配管8と接続されるキャリアガス導入口10が設けられており、シールキャップ4とケーシング1との間隙には、弾性材料からなるシールリング9が挟み込まれている。このシールリング9によって、ケーシング1とシールキャップ4との間隙、及び、試料気化室2の内壁とインサート3の上端部分3aとの間隙が気密に封止される。
さらに本発明では、図2に示すように、ケーシング1の上端開口部の周縁1bにおいて互いに対向する2箇所に、ピンセット等の取出用工具が挿入可能な幅の切り欠き12、12が設けられている。この切り欠き12は、シールリング9の少なくとも一部が周縁1bの側方から視認可能な深さまで切り欠いて形成されている。また、切り欠き12は、シールキャップ4の取り付け時には当該シールキャップ4によって覆われるようになっている。なお、図2では、わかりやすくするため、ケーシング1からインサート3とシールリング9を取り外した状態で示している。
上記の構成において、洗浄や交換のためにインサート3を取り出すときは、シールキャップ4を開放して、ピンセット等の取出用工具でシールリング9を抉り出し、インサート3の上端部分3aを掴んで引き出す。このとき、ケーシング1の上端開口部の周縁1bには取出用工具を挿入可能な幅の切り欠き12が設けられているので、開口部の径が小さくても容易に取り出すことができる。
また、切り欠き12は、シールリング9の一部が側方から視認可能な深さまで切り欠いて形成されているので、シールリング9が圧縮や熱によりインサート3に固着している場合でも、左右の切り欠き12、12からシールリング9ごとインサート3を掴んで取り出すことができ、インサート3の着脱作業を容易に行うことができる。
以上本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものではない。例えば、上記実施例では切り欠き12を2箇所設けるようにしたが、1箇所としてもよい。この場合でも、インサート3の内周面とシールリング9の外面とを挟むようにして掴むことによって容易に取り出すことができる。
その他本発明では、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
本発明は、ガスクロマトグラフ等に利用することができる。
A 試料気化ユニット
B 分析カラム
C 検出器
D カラムオーブン
1 ケーシング
1b 周縁
2 試料気化室
3 インサート
3a 上端部分
4 シールキャップ
5 試料注入口
7 セプタム
9 シールリング
12 切り欠き

Claims (4)

  1. 上面が開口された試料気化室を有し、前記試料気化室にインサートを収容するケーシングと、
    前記試料気化室の上面開口部を封止するとともにセプタムで塞がれた試料注入口を上面に有する着脱自在なシールキャップと、
    前記シールキャップと前記ケーシングとの間隙に装着され、前記試料気化室の内壁と前記インサートの上端部分との間隙を封止する弾性材料製のシールリングとを備えた試料気化ユニットであって、
    前記ケーシングの上端開口部の周縁にインサート取出用工具が嵌まり込む切り欠きが設けられている試料気化ユニット。
  2. 前記切り欠きは、前記シールリングの少なくとも一部が前記周縁の側方から視認可能な深さまで切り欠いて形成され、前記シールキャップの取り付け時には、当該シールキャップによって前記切り欠きが覆われるように形成されている請求項1に記載の試料気化ユニット。
  3. 前記切り欠きは、互いに対向する位置に2箇所設けられている請求項1または請求項2に記載の試料気化ユニット。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の試料気化ユニットと、前記試料気化ユニットに注入された試料の分析を行う分析カラムと、前記分析カラムで分析された前記試料を検出する検出器とを備えたガスクロマトグラフ。
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