JP2019065551A - 引戸の制動装置、および角加速度反応式クラッチ - Google Patents

引戸の制動装置、および角加速度反応式クラッチ Download PDF

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Abstract

【課題】閾値を越えて移動する戸パネルを応答良く速やかに制動でき、従来の制動装置に比べて全体構造の簡素化とコンパクト化を実現できる引戸の制動装置を提供する。【解決手段】ラックギヤ11とダンパーユニット10を有し、同ユニット10は、ピニオンギヤ12、クラッチ機構、制動機構などを備えている。クラッチ機構は爪ディスク19およびウェイト20と、クラッチドラム22および出力ギヤ23を備えている。クラッチ爪21は、爪ディスク19で揺動可能に支持されて、クラッチばね26で動力遮断姿勢に向かって付勢する。クラッチ爪21とウェイト20は、爪軸43とクラッチ溝44で相対移動可能な状態で同行回転可能に連結する。閾値を越える角加速度が爪ディスク19に作用すると、爪ディスク19がウェイト20より先行回転するので、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わってクラッチドラム22に回転動力を伝動する。【選択図】図1

Description

本発明は、角加速度の違いに基づく相対動作で動力を断続する角加速度反応式クラッチを備えている引戸の制動装置と、角加速度反応式クラッチに関する。引戸の制動装置は、例えば戸パネルの荒締まりや、戸パネルが急開閉されるのを制動する。
本発明では、戸パネルが閉じ移動するときの動作をピニオン−ラック機構で回転運動に変換し、変換された回転力をロータリーダンパーで制動して、戸パネルの荒締まりや戸パネルの急開閉を防止するが、この種の制動装置は特許文献1に開示されている。そこでは、ピニオン−ラック機構と、一方向ロータリーダンパーとブレーキ構造などで制動装置を構成しており、障子(戸パネル)が所定値を越える速度で移動するときのピニオンの回転動作をブレーキ構造で減速したのち、ピニオンの回転動作を一方向ロータリーダンパーで減速して、戸パネルを閉じ位置まで移動させる。
本出願人は、この種の制動装置(引戸の制動装置)に関して、特許文献2に係る制動装置を先に提案している。そこでは、ガイドレールの転動部に外接して回転するタイヤおよび駆動ギヤと、駆動ギヤで回転駆動される制動ギヤと、制動ギヤと同行回転して遠心力が閾値を越えた状態で制動力を発揮するブレーキ機構などで制動装置を構成している。タイヤおよび駆動ギヤは、制動ギヤの周囲に配置されて、揺動可能なタイヤアームで軸支されており、タイヤアームはタイヤが転動部に密着する向きにばねで揺動付勢されている。ブレーキ機構は、制動ギヤと同行回転するボールホルダーと、同ホルダーの複数個所に設けた径方向の保持溝に収容される制動ボールと、制動ベースに固定されてボールホルダーを収容するブレーキドラムを備えている。ブレーキドラムの内面には、遠心力を受けた制動ボールが保持溝の外へ向かって移動するのを許す円弧面状の逃げ面が形成され、逃げ面の頂部には制動ボールを受止める膨出部が設けられている。
特許文献2の制動装置では、戸パネルが開閉される場合に、タイヤを転動面に沿って回転駆動させて、ボールホルダーの回転数が閾値を越えた状態において、ブレーキ機構を作動させてタイヤの回転を強制的に停止させ、戸パネルの移動を制動する。ボールホルダーの回転数が閾値を越えた状態では、制動ボールに作用する遠心力が制動ボールの重力より大きくなって、制動ボールが保持溝から露出する。そのため、ボールホルダーが少なければ90度回転する間に、制動ボールの周面が膨出部で受止められて、タイヤの回転が強制的に停止される。この状態のタイヤと転動面の滑り摩擦によって、戸パネルの開閉移動を制動できる。
特開2009−215799号公報 特開2016−70342号公報
特許文献1の制動装置によれば、障子が所定値を越える速度で移動するときのピニオンの回転動作をブレーキ構造で減速したのち、ピニオンの回転動作を一方向ロータリーダンパーで減速するので、障子の荒締まりを防止できる。しかし、ロータリーダンパーとは別にブレーキ構造を設けることもあって、制動装置の全体が大掛かりで、部品点数が多く全体コストが嵩むうえ、組立や施工に多くの手間が掛かる不利がある。また、ブレーキ構造が制動を開始するまでの助走距離が大きいためラックの全長が長くなるうえ、応答遅れを生じやすい。
特許文献2の制動装置においては、戸パネルが閾値を越えて開閉移動されるとき、制動ボールをブレーキドラムの膨出部に衝突させてタイヤの回転を強制的に停止し、その状態のままでタイヤが転動面に沿って滑り移動するときの摩擦抵抗で戸パネルを制動する。そのため、タイヤが摩耗しやすい点で耐久性に欠ける。さらに、非力なユーザーでも軽快に開閉できる比較的軽量の戸パネルを適用対象としているため、大面積で重量が数十kgにもなる大きなガラス戸(戸パネル)に適用した場合に、ブレーキドラムに作用する衝突衝撃が過大となり、この点でも十分な耐久性が得られにくい。
本発明の目的は、閾値を越えて移動する戸パネルを応答良く速やかに制動でき、しかも、ピニオン−ラック機構を含む従来の制動装置に比べて全体構造の簡素化とコンパクト化を実現して施工の手間を省くことができる引戸の制動装置を提供することにある。
本発明の目的は、クラッチ爪に作用する角加速度が閾値を越えた時点で、回転動力を後段の機構へ即座に出力できる、応答性に優れた角加速度反応式のクラッチを提供することにある。
本発明に係る引戸の制動装置は、戸パネル2と開口枠1のいずれか一方に設けられるラックギヤ11と、他方に設けられてラックギヤ11と相対移動するダンパーユニット10を備えている。ダンパーユニット10は、ラックギヤ11と噛み合って戸パネル2と開口枠1の相対移動を回転動力に変換するピニオンギヤ12と、同ギヤ12の回転動力を断続するクラッチ機構と、クラッチ機構から出力された回転動力を制動する制動機構と、ピニオンギヤ12および前記両機構を支持するケース体13を備えている。図1に示すようにクラッチ機構は、ピニオンギヤ12の回転動力を受継いで同行回転する爪ディスク19およびウェイト20と、爪ディスク19に設けたクラッチ爪21を介して爪ディスク19の回転動力を受継ぐ、一群のクラッチ歯24を備えたクラッチドラム22および出力ギヤ23を備えている。クラッチ爪21は、爪ディスク19で動力遮断姿勢と動力伝動姿勢の間で揺動可能に支持されて、クラッチばね26で動力遮断姿勢に向かって付勢されている。図8に示すようにクラッチ爪21とウェイト20は、クラッチ爪21とウェイト20のいずれか一方に固定される爪軸43と、他方に形成されて爪軸43と係合するクラッチ溝44を介して、相対移動可能な状態で同行回転可能に連結されている。予め設定された閾値を越える角加速度が爪ディスク19およびクラッチ爪21に作用する状態において、ウェイト20に作用する回転トルクが、クラッチばね26のばね力を越えた時点で、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わってクラッチ歯24と係合し、入力ギヤ18の回転動力をクラッチドラム22に伝動することを特徴とする。ウェイト20に作用する回転トルクとは、図14における第1分力S1であり、クラッチばね26のばね力とは、図14に符号Rで示すばね力である。
クラッチ機構はピニオンギヤ12と噛合う入力ギヤ18を備え、爪ディスク19が入力ギヤ18と同行回転可能に設けられている。ケース体13に設けた一対の対向壁14の間に、入力ギヤ18と、出力ギヤ23およびクラッチドラム22と、爪ディスク19およびクラッチ爪21と、ウェイト20が記載順に配置されて、入力ギヤ18、出力ギヤ23およびクラッチドラム22、爪ディスク19、ウェイト20がケース体13に固定した第1軸30で回転自在に軸支されている。クラッチドラム22は出力ギヤ23と一体に形成されていて、ウェイト20と対向するクラッチドラム22の内面に一群のクラッチ歯24を備えたドラム凹部31が凹み形成されている。ドラム凹部31に、爪ディスク19およびクラッチ爪21と、ウェイト20の一部が収容されている。
ピニオンギヤ12と入力ギヤ18のギヤ比が1以上に設定されて、ピニオンギヤ12の回転動力を等速ないし増速した状態で入力ギヤ18に伝動して、爪ディスク19とウェイト20の角加速度の差が大きくなるように設定されている。
出力ギヤ23のギヤ壁の中央に第1軸30と同心状の遊転穴33が形成されている(図1参照)。出力ギヤ23は、前記遊転穴33と嵌合するスペーサー34を介して第1軸30で回転自在に軸支されている。入力ギヤ18と爪ディスク19はスペーサー34を挟んで対向配置されて、スペーサー34を貫通する複数個の締結体36で同行回転可能に連結されている。スペーサー34とウェイト20の間に爪ディスク19およびクラッチ爪21が配置され、ウェイト20のケース体13と対向する側に形成したばね凹部48にクラッチばね26が収容されている。
図2に示すように、クラッチ爪21の揺動先端にクラッチ歯24と係脱するくさび状の係合爪40が形成されている。係合爪40は、交差する第1爪面41と第2爪面42でくさび状に形成されている。クラッチ歯24は、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換った状態において係合爪40の第2爪面42を受止めるフラット歯面64と、係合爪40の先端40aの揺動軌跡に沿う部分円弧状の円弧歯面65で鈍角山形に形成されている。
図10に示すように、ラックギヤ11は複数個の板状ギヤ体58と、複数の板状ギヤ体58を板厚方向に貫通して分離不能に締結固定する複数個の締結体60で構成されている。
図14に示すように、爪ディスク19に複数個のクラッチ爪21が周方向へ等間隔おきに軸支してあってもよい。
ウェイト20はベース部45と、ベース部45の片面に形成した膨出盤部46で多段盤状に形成されて、膨出盤部46の周囲にクラッチ爪21を収容する爪収容部47が切欠き形成されている。爪軸43がクラッチ爪21に固定され、クラッチ溝44が爪収容部47とばね凹部48の間に貫通形成されている。クラッチ溝44を貫通してばね凹部48に臨む爪軸43にクラッチばね26の一端が掛止され、クラッチばね26の他端がウェイト20に掛止されている。
図14に示すように、動力遮断姿勢における爪軸43の中心とウェイト20の回転中心を結ぶ仮想中心線Pと、クラッチ溝44の溝中心線Qを想定するとき、クラッチ溝44は、その溝中心線Qが仮想中心線Pより爪ディスク19の回転方向下手側へ傾斜する状態で形成されている。また、クラッチばね26のばね力Rの力線は、動力遮断姿勢における爪軸43の中心とクラッチ爪21の揺動中心を結ぶ向きに設定してある。
クラッチ爪21が動力遮断姿勢に切換った状態においては、爪軸43はクラッチ溝44の内端で受止められている。クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わった状態においては、爪軸43はクラッチ溝44の外端で受止められている。
制動機構は、出力ギヤ23に噛合う制動ギヤ52と、ケース体13に固定されて制動ギヤ52の回転動力を制動するロータリーダンパー53を備えている。制動ギヤ52とロータリーダンパー53はダンパー軸54で連結されている。
クラッチ機構と制動機構は、ケース体13の対向壁14に沿って隣接配置されている。クラッチ機構はケース体13の対向壁14に固定した第1軸30で支持されている。制動機構のダンパー軸54は第1軸30と平行に設けられて、ケース体13の対向壁14で回転自在に支持されている。
クラッチ機構と制動機構は、ケース体13の対向壁14に固定した第1軸30の軸中心に沿って隣接配置されている。筒軸状に形成したダンパー軸54が、第1軸30に対して相対回転自在に外嵌されている。
本発明に係る角加速度反応式のクラッチは、ケース体13で回転自在に支持されて入力動力を受継ぐ爪ディスク19およびウェイト20と、爪ディスク19に設けたクラッチ爪21を介して爪ディスク19の回転動力を受継いで出力する、一群のクラッチ歯24を備えたクラッチドラム22を備えている。クラッチ爪21は、爪ディスク19で動力遮断姿勢と動力伝動姿勢の間で揺動可能に支持されて、クラッチばね26で動力遮断姿勢に向かって付勢されている。クラッチ爪21とウェイト20は、クラッチ爪21とウェイト20のいずれか一方に固定される爪軸43と、他方に形成されて爪軸43と係合するクラッチ溝44を介して、相対移動可能な状態で同行回転可能に連結されている。予め設定された閾値を越える角加速度が爪ディスク19およびクラッチ爪21に作用する状態において、ウェイト20に作用する回転トルクが、クラッチばね26のばね力を越えた時点で、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わってクラッチ歯24と係合し、爪ディスク19の回転動力をクラッチドラム22に伝動することを特徴とする。
本発明に係る引戸の制動装置においては、予め設定された閾値を越える角加速度が爪ディスク19およびクラッチ爪21に作用する状態において、ウェイト20に作用する回転トルクが、クラッチばね26のばね力を越えた時点で、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わってクラッチドラム22のクラッチ歯24と係合し、入力ギヤ18の回転動力をクラッチドラム22に伝動できるようにした。
こうした引戸の制動装置によれば、閾値を越える角加速度をうけたクラッチ爪21が揺動を開始してから、その係合爪40がクラッチ歯24と係合するまでに要する爪ディスク19の回転量はごく僅かでしかなく、クラッチ爪21を極めて迅速に動力伝動姿勢に切換えることができる。従って、従来のこの種の引戸の制動装置に比べて、閾値を越えて移動する戸パネル2を制動機構で応答良く速やかに制動して、戸パネル2の荒閉りや急開閉を防止できる。また、クラッチ機構および制動機構を備えたダンパーユニット10と、ダンパーユニット10のピニオンギヤ12を回転駆動するラックギヤ11で引戸の制動装置を構成するので、ピニオン−ラック機構を含む従来の制動装置に比べて、引戸の制動装置の構成部品数を減らして全体構造を簡素化し、施工に要する手間を省くことができる。さらに、クラッチ爪21を瞬時に動力伝動姿勢に切換えることができるので、制動が開始されるまでの戸パネル2の助走距離を小さくでき、その分だけラックギヤ11の全長を短くして引戸の制動装置をコンパクト化できる。
ケース体13の対向壁14の間に、入力ギヤ18と、出力ギヤ23およびクラッチドラム22と、爪ディスク19およびクラッチ爪21と、ウェイト20を記載順に配置し、クラッチ爪21を除く前記四者23、22、19、20をケース体13に固定した第1軸30で回転自在に軸支した。さらに、クラッチドラム22を出力ギヤ23と一体に形成し、その内面に一群のクラッチ歯24を備えたドラム凹部31を凹み形成し、同凹部31に爪ディスク19およびクラッチ爪21と、ウェイト20の一部が収容されるようにした。
こうした引戸の制動装置によれば、クラッチドラム22を出力ギヤ23と一体に形成した分だけクラッチ機構の部品点数を減らすことができる。また、ドラム凹部31に爪ディスク19およびクラッチ爪21と、ウェイト20の一部を収容するので、クラッチ機構の厚み寸法を小さくして、引戸の制動装置をさらにコンパクト化できる。
ピニオンギヤ12と入力ギヤ18のギヤ比を1以上に設定して、ピニオンギヤ12の回転動力を等速ないし増速した状態で入力ギヤ18に伝動できるようにした。
こうしたクラッチ機構によれば、爪ディスク19とウェイト20に作用する角加速度の差を大きくすることができる。詳しくは、ピニオンギヤ12の回転動力が等速ないし増速した状態で入力ギヤ18に伝動されるため、爪ディスク19およびクラッチ爪21はピニオンギヤ12と等速ないし高速度で回転駆動される。その一方で、爪ディスク19に比べて重量が大きなウェイト20には、大きな運動慣性力または静止慣性力が作用するため、ウェイト20が爪ディスク19に同行して回転することはなく、閾値を越える角加速度が作用するのと同時に爪ディスク19がウェイト20に先行した状態で回転する。このときの角加速度の差によって、クラッチ爪21をより迅速に動力伝動姿勢に切換えて、入力ギヤ18の回転動力をクラッチ機構と出力ギヤ23を介して制動ギヤ52へ伝動できる。
出力ギヤ23は、その中央に設けた遊転穴33と嵌合するスペーサー34を介して第1軸30で回転自在に軸支するようにした。また、入力ギヤ18と爪ディスク19はスペーサー34を挟んで対向配置し、スペーサー34を貫通する複数個の締結体36で同行回転可能に連結するようにした。
こうしたクラッチ機構によれば、入力ギヤ18および爪ディスク19と出力ギヤ23を、第1軸30の回りにそれぞれ回転自在に支持しながら、相対回転自在に支持することができる。つまり、入力ギヤ18、爪ディスク19、およびウェイト20からなる駆動系統と、出力ギヤ23およびクラッチドラム22の受動系統を、コンパクトにまとめた状態で集約配置できる。また、スペーサー34とウェイト20の間に爪ディスク19およびクラッチ爪21を配置し、ウェイト20のばね凹部48にクラッチばね26を収容するので、多くの構成部品で構成したクラッチ機構であるにも拘らず、クラッチ機構の厚みをさらに小さくして、クラッチ機構をさらにコンパクト化できる。
クラッチ爪21の揺動先端に、第1爪面41と第2爪面42とからなるくさび状の係合爪40を形成した。また、クラッチ歯24は第2爪面42を受止めるフラット歯面64と、部分円弧状の円弧歯面65で鈍角山形に形成し、円弧歯面65を係合爪40の先端40aの揺動軌跡に沿う部分円弧面で形成するようにした。
こうしたクラッチ機構によれば、クラッチ爪21がクラッチばね26で常に動力遮断姿勢に向かって移動付勢されているので、クラッチドラム22が回転を停止するのと同時に、クラッチ爪21を動力伝動姿勢から動力遮断姿勢へ自動的に復帰揺動させることができる。このとき、係合爪40の先端40aは円弧歯面65に沿って抵抗なく移動するので、クラッチ爪21を動力遮断姿勢に向かって円滑に復帰揺動できる。
複数個の板状ギヤ体58と、複数の板状ギヤ体58を板厚方向に貫通して分離不能に締結固定する複数個の締結体60でラックギヤ11を構成するようにした。
こうしたラックギヤ11によれば、板状ギヤ体58の積層枚数を変更するだけで、必要な歯幅のラックギヤ11を容易に構成して、戸パネル2の重量の違いに対応したラックギヤ11を低コストで提供できる。
爪ディスク19に複数個のクラッチ爪21を周方向へ等間隔おきに軸支したクラッチ機構によれば、入力ギヤ18の回転動力を各クラッチ爪21で分散した状態でクラッチドラム22に伝動でき、あるいは制動機構の制動力を、各クラッチ爪21で分散した状態で入力ギヤ18側に作用させることができる。従って、重量が大きく運動慣性力が格段に大きな戸パネル2用であっても、戸パネル2を確実に制動することができる。
ベース部45と膨出盤部46を備えた多段盤状のウェイト20において、膨出盤部46の周囲にクラッチ爪21を収容する爪収容部47を切欠き形成するようにした。また、ベース部45のばね凹部48にクラッチばね26を収容した。
このように、ウェイト20が占める上下空間を利用して、クラッチ爪21およびクラッチばね26を配置すると、クラッチ爪21およびクラッチばね26を配置するための空間を別途確保する必要がないので、クラッチ機構の厚みをさらに小さくしてコンパクト化をさらに促進できる。また、爪収容部47とばね凹部48の間にクラッチ溝44を貫通形成して、爪軸43をクラッチ溝44を介してばね凹部48に臨ませるので、ばね凹部48に収容したクラッチばね26を爪軸43に容易にしかも的確に掛止装着できる。
クラッチ溝44を仮想中心線Pに対して傾斜させ、さらにクラッチばね26のばね力Rの力線の向きを、爪軸43の中心とクラッチ爪21の揺動中心を結ぶ向きに設定することにより、クラッチ爪21が動力遮断姿勢から動力伝動姿勢に切換るときのクラッチばね26のばね力Rの変動幅を小さくして、クラッチ爪21の姿勢切換えを迅速に行うことができる。また、クラッチ爪21をクラッチばね26のばね力Rで、動力伝動姿勢から動力遮断姿勢へ速やかに復帰操作することができる。
クラッチ機構は、クラッチ爪21が動力遮断姿勢に切換わった状態では、爪軸43がクラッチ溝44の内端で受止められるようにした。また、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わった状態では、爪軸43がクラッチ溝44の外端で受止められるようにした。
このように、クラッチ爪21に固定した爪軸43を、動力遮断姿勢と動力伝動姿勢においてクラッチ溝44の内端および外端で受け止めると、クラッチ爪21が各姿勢を越えて揺動するのを規制して、クラッチ爪21を各姿勢の間で安定した状態で往復揺動できる。
制動機構は、出力ギヤ23に噛合う制動ギヤ52と、ケース体13に固定されて制動ギヤ52の回転動力を制動するロータリーダンパー53を備えるようにした。また、制動ギヤ52とロータリーダンパー53はダンパー軸54で連結した。
こうした引戸の制動装置によれば、制動ボールをブレーキドラムの膨出部に衝突させてタイヤの回転を強制的に停止する従来の制動装置とは異なり、制動開始時の回転動作をロータリーダンパー53で吸収しながら、戸パネル2の移動を的確に制動できる。従って、制動開始時にクラッチ機構や制動機構に衝撃力が作用するのを解消して、引戸の制動装置の耐久性を向上できるうえ、比較的軽量の戸パネル2から、大面積で重量が大きな戸パネル2にわたって引戸の制動装置を広く適用できる。
クラッチ機構と制動機構は、ケース体13の対向壁14に沿って隣接配置し、クラッチ機構はケース体13に固定した第1軸30で支持し、制動機構のダンパー軸54は第1軸30と平行に設けて、ケース体13で回転自在に支持するようにした。
こうしたダンパーユニット10によれば、ダンパーユニット10を装着するのに必要な面積は大きくなるものの、ダンパーユニット10の厚みを小さくして薄形化できる。従って、開口枠1や戸パネル2の周囲枠の狭い場所を利用して、ダンパーユニット10を容易に装着できる。
クラッチ機構と制動機構は、ケース体13の対向壁14に固定した第1軸30の軸中心に沿って隣接配置し、筒軸状に形成したダンパー軸54が、第1軸30に対して相対回転自在に外嵌するようにした。
このように、クラッチ機構と制動機構を第1軸30の軸中心に沿って隣接配置すると、ダンパーユニット10の全厚寸法が大きくなる。しかし、クラッチ機構と制動機構をケース体13の対向壁14に沿って隣接配置したダンパーユニット10に比べると、ダンパーユニット10の左右幅を約半分程度にまで小さくし、ダンパーユニット10の占有空間を小さくできる。従って、開口枠1を構成するアルミ条材の断面構造によっては、この実施例に係るダンパーユニット10を好適に適用できることがある。
本発明に係る角加速度反応式のクラッチでは、予め設定された閾値を越える角加速度が爪ディスク19およびクラッチ爪21に作用する状態において、ウェイト20に作用する回転トルクが、クラッチばね26のばね力を越えた時点で、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わってクラッチドラム22のクラッチ歯24と係合し、入力動力をクラッチドラム22に伝動し出力できるようにした。
こうしたクラッチによれば、閾値を越える角加速度をうけたクラッチ爪21が揺動を開始してから、その係合爪40がクラッチ歯24と係合するまでに要する爪ディスク19の回転量はごく僅かでしかない。従って、クラッチ爪21に作用する角加速度が閾値を越えた時点で、クラッチ爪21を瞬時に動力伝動姿勢に切換えて、爪ディスク19の回転動力をクラッチドラム22に伝動でき、回転動力を後段の機構へ即座に出力できる応答性に優れたクラッチを提供できる。
本発明に係るクラッチ機構を示す図6におけるA−A線断面図である。 クラッチ爪とクラッチドラムの関係構造を示す断面図である。 本発明に係る引戸の制動装置が適用された引戸を示す正面図である。 図3におけるB−B線断面図である。 図4におけるC−C線断面図である。 図5におけるD−D線断面図である。 ダンパーユニットの分解斜視図である。 クラッチ爪が動力伝動姿勢に切換った状態の横断平面図である。 クラッチ機構の要部の分解斜視図である。 ラックギヤの分解斜視図である。 ラックギヤの縦断側面図である。 クラッチ爪が動力遮断姿勢に切換った状態の横断平面図である。 クラッチ爪の動作を示す動作説明図である。 爪軸とクラッチ溝の間の回転トルクの伝動状態を示す力線図である。 クラッチ機構の別の実施例を示す横断平面図である。 クラッチ機構のさらに別の実施例を示す縦断正面図である。 図16におけるE−E線断面図である。 クラッチ機構をリトラクターに適用した実施例を示す縦断正面図である。 図18におけるF−F線断面図である。
(実施例1) 図1ないし図14は本発明に係る引戸の制動装置の実施例1を示している。本発明における前後、左右、上下とは、図3および図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図3において、引戸は開口枠1と、開口枠1に沿って左右に開閉操作される1個の戸パネル2を備えており、開口枠1の左半部分には戸パネル2を閉じた状態において室外を見渡すことが可能な板ガラス3が固定されている。この板ガラス3の外面側が全開放された戸パネル2の戸袋として機能する。戸パネル2の下面左右には、開口枠1の下枠に固定したガイドレール4に沿って転動する戸車5が設けられている。また、戸パネル2の上面には、開口枠1の上枠に設けた振止めレール6で案内されるスライド溝7が凹み形成されている(図4参照)。戸パネル2は、アルミニウム条材を四角枠状に組んだパネル枠と、パネル枠に嵌め込まれた複層構造の板ガラスを備えたガラス戸として構成されており、その単体重量は約200kgである。図示していないが、パネル枠には戸パネル2を開閉するための把手が一体に設けられている。
上記のように比較的大きな重量の戸パネル2が乱暴に閉じ操作されると、戸パネル2が開口枠1に衝突して大きな衝突音や衝撃を生じ、あるいは誤って手指や衣服の一部が挟み込まれるおそれがある。こうした戸パネル2の荒閉りを防ぐために、開口枠1と戸パネル2の間に引戸の制動装置が設けられている。図3および図4において、引戸の制動装置は、開口枠1の上枠の前部下面に固定されるダンパーユニット10と、ダンパーユニット10に対応して戸パネル2の上枠の前面に固定されるラックギヤ11を備えており、ラックギヤ11が戸パネル2と同行移動するときの移動動作を利用してダンパーユニット10を作動させる。
図5ないし図7においてダンパーユニット10は、ラックギヤ11と噛み合って戸パネル2と開口枠1の相対移動を回転動力に変換するピニオンギヤ12と、同ギヤ12の回転動力を断続する角加速度反応式のクラッチ機構と、クラッチ機構から出力された回転動力を制動する制動機構と、ピニオンギヤ12および前記両機構を支持するケース体13を備えている。戸パネル2を閉じ端(図3に向かって開口枠1の右端)寄りにおいて制動するために、図3に示すようにダンパーユニット10は、開口枠1の上枠の中央寄りに固定されており、ラックギヤ11は戸パネル2の上枠の開放端寄りに固定されている。図5、および図6に示すようにケース体13は、鋼板からなる上下一対のケース板(対向壁)14と、両板14を平行に締結固定する4個のかしめ軸(支柱)15で構成されており、一対のケース板14の間に先のクラッチ機構および制動機構が組み込まれている。図4において符号56はアルミニウム条材で形成した化粧カバーである。
(クラッチ機構)
図7においてクラッチ機構は、ピニオンギヤ12と噛合う入力ギヤ18と、入力ギヤ18と同行回転する爪ディスク19およびウェイト20と、爪ディスク19に設けたクラッチ爪21を介して爪ディスク19の回転動力を受継ぐ、一群のクラッチ歯24を備えたクラッチドラム22および出力ギヤ23などを備えている。クラッチ爪21は、爪ディスク19に固定した揺動軸25で動力遮断姿勢と動力伝動姿勢の間で揺動可能に支持されて、クラッチばね26で動力遮断姿勢に向かって付勢されている(図8参照)。
ピニオンギヤ12および入力ギヤ18はそれぞれ鋼板にプレス加工を施して形成した平歯車からなり、ピニオンギヤ12の歯数が15であるのに対して入力ギヤ18の歯数は12に設定されている。つまり、ピニオンギヤ12と入力ギヤ18は両者のギヤ比を1.25にして、ピニオンギヤ12の回転動力を増速した状態で入力ギヤ18に伝動する。これにより爪ディスク19がより高速度で回転駆動されるので、同ディスク19とウェイト20の角加速度の差を大きくすることができる。詳しくは、ピニオンギヤ12の回転動力が増速した状態で入力ギヤ18に伝動されるため、爪ディスク19およびクラッチ爪21はピニオンギヤ12より高速度で回転駆動される。その一方で、爪ディスク19に比べて重量が大きなウェイト20には、大きな運動慣性力または静止慣性力が作用するため、ウェイト20が爪ディスク19に直ちに同行して回転することはなく、爪ディスク19はウェイト20に先行した状態で回転する。このときの角加速度の差によって、クラッチ爪21をより迅速に動力伝動姿勢に切換えて、入力ギヤ18の回転動力をクラッチ機構と出力ギヤ23を介して制動ギヤ52へ伝動できる。
ピニオンギヤ12は上側のケース板14に固定したギヤ軸27で回転自在に軸支されている。入力ギヤ18と、出力ギヤ23およびクラッチドラム22と、爪ディスク19およびクラッチ爪21と、ウェイト20は、ケース体13の一対のケース板14の間に記載順に配置されており、クラッチ爪21を除く回転体がケース体13に固定した第1軸30で回転自在に軸支されている。なお、ピニオンギヤ12が入力ギヤ18を兼ねるようにした場合には、出力ギヤ23がラックギヤ11と干渉するのを避けるために、ピニオンギヤ12の直径を出力ギヤ23の直径より大きくする必要がある。また、ピニオンギヤ12の直径が大きくなるのに伴って、戸パネル2が一定速度で移動するときのピニオンギヤ12の駆動回転数が低下するため、上記のように爪ディスク19を高速度で回転駆動しにくくなる。また、ピニオンギヤ12と入力ギヤ18のギヤ比が1以下に設定してある場合には、爪ディスク19を高速度で回転駆動できないため、爪ディスク19とウェイト20の角加速度の差を大きくすることはできない。
出力ギヤ23は厚みが大きなギヤ壁を備えた平歯車からなり、そのギヤ壁に下向きに開口するクラッチドラム22が一体に形成されたプラスチック成型品からなり、エンジニアリングプラスチックを素材にして形成されている。クラッチドラム22には、下向きに開口するドラム凹部31が凹み形成されており、その内周面に沿って一群のクラッチ歯24が形成されている。図9に示すように、出力ギヤ23のギヤ壁の中央には、第1軸30と同心状の遊転穴33が形成されており、遊転穴33にはスペーサー34が嵌合されている。スペーサー34は金属板をプレス成形して形成されており、その基本形状は先の遊転穴33と同径の円板であるが、その周囲4個所に締結用の切欠35を形成して十文字円盤状に構成してある。スペーサー34は第1軸30で回転自在に軸支されている。
入力ギヤ18と爪ディスク19は、上記のスペーサー34を挟んで上下に対向配置されて、スペーサー34の切欠35を貫通する4個のリベット(締結体)36で同行回転可能に連結されている。このように入力ギヤ18、スペーサー34、爪ディスク19は、第1軸30でブッシュ37を介して直接的に回転自在に軸支されるのに対して、出力ギヤ23は第1軸30でスペーサー34とブッシュ37を介して間接的に回転自在に軸支されている。
図9において、爪ディスク19はできるだけ重量を小さくするために、薄い鋼板で円板状に形成されており、その下面側にポリアセタール製のクラッチ爪21が揺動軸25で揺動可能に軸支されている。クラッチ爪21は、その揺動先端にクラッチ歯24と係脱する係合爪40が形成されており、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換った状態では、図8に示すように係合爪40がクラッチ歯24と係合して、爪ディスク19の回転動力をクラッチドラム22に伝動する。また、図12に示すように、クラッチ爪21が動力遮断姿勢に切換った状態では、係合爪40がクラッチ歯24から分離するので、爪ディスク19は入力ギヤ18と同行回転するのに対して、クラッチドラム22は静止している。係合爪40は、交差する第1爪面41と第2爪面42でくさび状に形成されており、両爪面41・42の先端の交差部はクラッチ歯24との係脱を円滑に行うために丸めてある。
図2に示すようにクラッチ歯24は、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換った状態において係合爪40の第2爪面42を受止めるフラット歯面64と、係合爪40の先端40aの揺動軌跡に沿う部分円弧状の円弧歯面65で鈍角山形に形成されている。円弧歯面65は、係合爪40の先端40aの揺動軌跡に沿って部分円弧状の円弧面で形成されている。クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換った状態では、係合爪40の先端40aが円弧歯面65の基端に係合している。クラッチ爪21の揺動軸25より先端寄りの爪体の下面側に爪軸43が固定されており、この爪軸43とウェイト20に形成したクラッチ溝44が係合することで、クラッチ爪21はウェイト20に対して相対移動可能な状態で同行回転可能に連結されている。このように、クラッチ爪21の側に爪軸43が固定されていると、クラッチばね26の一端を爪軸43に係止して、クラッチ爪21を移動付勢できるので、爪軸43がウェイト20に固定してある場合に比べて、クラッチばね26の掛止構造を簡略化できる。
図7においてウェイト20は、円盤状のベース部45と、ベース部45の上面に形成した膨出盤部46で多段盤状に形成されており、大きな運動慣性力や静止慣性力を発揮できるよう、全体が銅合金製の成形品として形成されている。膨出盤部46の周囲1個所には、クラッチ爪21を収容する爪収容部47が切欠き形成されており、ベース部45がケース体13と対向する側、つまりベース部45の下面にはクラッチばね26を収容する長方形状のばね凹部48が凹み形成されている。ばね凹部48の一側端にはクラッチばね26用の掛止ピン49が固定されている(図8参照)。先に述べたクラッチ溝44は、掛止ピン49から離れたばね凹部48の他側端部の側に配置されて、爪収容部47とばね凹部48の間に貫通形成されている。クラッチばね26は引張りコイルばねからなり、その一端がクラッチ溝44を貫通してばね凹部48に臨む爪軸43に掛止され、他端は掛止ピン49に掛止されている。
詳しくは、図14に示すようにクラッチ溝44は、その溝中心線Qが仮想中心線Pより爪ディスク19の回転方向下手側へ傾斜する状態で形成されている。また、クラッチばね26のばね力Rの力線が、動力遮断姿勢における爪軸43の中心とクラッチ爪21の揺動中心を結ぶ向きに設定してある。このように、クラッチ溝44を仮想中心線Pに対して傾斜させ、さらにクラッチばね26のばね力Rの力線の向きを、爪軸43の中心とクラッチ爪21の揺動中心を結ぶ向きに設定することにより、クラッチ爪21が動力遮断姿勢から動力伝動姿勢に切換るときのクラッチばね26のばね力Rの変動幅を小さくして、クラッチ爪21の姿勢切換えを迅速に行うことができる。また、クラッチ爪21をクラッチばね26のばね力Rで、動力伝動姿勢から動力遮断姿勢へ速やかに復帰操作することができる。
(制動機構)
制動機構は、出力ギヤ23に噛合う制動ギヤ52と、ケース体13に固定されて制動ギヤ52の回転動力を制動するロータリーダンパー53を備えており、制動機構の全体がクラッチ機構の一側に隣接配置されている。制動ギヤ52はエンジニアリングプラスチックを素材とするプラスチック成型品からなる。制動ギヤ52とロータリーダンパー53は角軸状のダンパー軸54で同行回転可能に連結されている。ロータリーダンパー53は市販されているオイルダンパーであって、重量が200kgの戸パネル2に対して0.5N・mの定格トルクを発揮して、戸パネル2の荒閉りを適確に制動する。なお、ピニオンギヤ12におけるダンパートルクは0.8N・mである。ロータリーダンパー53は、下側のケース板14にビスで締結固定されている。図6に示すように、ダンパー軸54は第1軸30と平行に設けられて、その上下両端が上下のケース板14で回転自在に軸支されている。従って、クラッチ機構から出力ギヤ23へ回転動力が伝動されるのと同時に、ロータリーダンパー53を作動させて、戸パネル2の移動を制動できる。
上記構成のダンパーユニット10によれば、出力ギヤ23を利用して、そのギヤ壁にクラッチドラム22を形成するので、クラッチドラム22を独立したパーツとして構成する場合に比べて、クラッチ機構の部品点数を減らして構造を簡素化できる。また、各パーツを組立てた状態では、クラッチドラム22のドラム凹部31内に、爪ディスク19およびクラッチ爪21と、ウェイト20の膨出盤部46が収容される。さらに、クラッチばね26は、ベース部45のばね凹部48に収容された状態でウェイト20と同行回転する。従って、複数の部品でクラッチ機構を構成しているにも関わらず、クラッチ機構をコンパクト化でき、とくにクラッチ機構の全厚寸法を小さくして、引戸の制動装置をさらにコンパクト化できる。これに伴い、ダンパーユニット10の適用条件を緩和できるので、各種構造の引戸にわたってダンパーユニット10を広範に適用できる。
図10、図11に示すように、ラックギヤ11は、一群のギヤ歯57を備えた6個の板状ギヤ体58と、これらの板状ギヤ体58を重ねた状態で保持するギヤホルダー59と、ギヤホルダー59および板状ギヤ体58を板厚方向に貫通して、分離不能に締結固定する4個のかしめ軸(締結体)60とで構成されている。個々の板状ギヤ体58は鋼板に打抜き加工を施して形成されており、重ねられた板状ギヤ体58をかしめ軸60で固定することにより、1個のラックギヤ11として機能する。ギヤホルダー59の両側端には締結座が設けられており、両締結座がビス61で戸パネル2に締結固定されている(図5参照)。こうしたラックギヤ11によれば、板状ギヤ体58の積層枚数を変更し、積層枚数に応じたギヤホルダー59を用意することで、必要な歯幅のラックギヤ11を容易に構成して、戸パネル2の上下調整量に応じたラックギヤ11を低コストで提供できる。また、ギヤホルダー59を上下一対のホルダー枠で構成し、両ホルダー枠の対向間隔を一定の範囲内で調整できるようにしておくことにより、歯幅の異なるラックギヤ11をさらに容易に構成することができる。なお、この実施例では、ピニオンギヤ12の歯幅を4mmとし、戸パネル2の上下調整量を±3mmとするとき、ラックギヤ11の歯幅は少なくとも10mmとする必要があるが、さらに上下に1mmの余裕幅を確保するために、ラックギヤ11の歯幅を12mmとした。このときの6個の板状ギヤ体58の厚みは、それぞれ2mmとした。
以上のように構成したダンパーユニット10は、図4および図6に示すように、上側のケース板14の4隅をビス55で締結することにより、開口枠1の所定位置に固定される。従って、施工現場においては、ラックギヤ11を戸パネル2の所定位置に固定し、ダンパーユニット10を開口枠1の所定位置に固定するだけの少ない手間で、簡便に引戸の制動装置の組付けを終了できる。
次に引戸の制動装置の作動状況を説明する。戸パネル2が任意位置にあるとき、爪ディスク19は静止しているので、クラッチ爪21は図12、および図13(a)に示すようにクラッチばね26の付勢力を受けて動力遮断姿勢に保持されている。この状態の爪軸43はクラッチ溝44の内端に位置しており、爪軸43の中心と、揺動軸25の中心と、掛止ピン49の中心は同一直線上に位置している。開放されていた戸パネル2を閉じ操作すると、ラックギヤ11がピニオンギヤ12と噛合って、ピニオンギヤ12が回転駆動される。
このとき、戸パネル2が比較的低速で移動する状態では、入力ギヤ18および爪ディスク19はラックギヤ11の移動速度に応じた低速度で回転する。また、爪ディスク19が回転する状態では、同ディスク19の回転トルクが爪軸43とクラッチ溝44を介してウェイト20に作用するので、ウェイト20は爪ディスク19に同行して回転する。この状態におけるクラッチ爪21の爪軸43と、ウェイト20のクラッチ溝44の関係の詳細を図14に示している。同図において、符号Pは動力遮断姿勢における揺動軸25の中心とウェイト20の回転中心を結ぶ仮想中心線であり、符号Qはクラッチ溝44の溝中心線である。また、符号Tは揺動軸25に作用する仮想中心線Pと直交する向きの回転トルクであり、符号Rは爪軸43に作用するクラッチばね26のばね力である。さらに、S1はクラッチ溝44に作用する回転トルクTの第1分力であり、S2は爪軸43に作用する回転トルクTの第2分力である。なお、クラッチ溝44は仮想中心線Pに対して傾斜しており、仮想中心線Pと溝中心線Qが挟む角度は60度とし、回転トルクTと溝中心線Qが挟む角度θは30度とした。
上記のように、クラッチ爪21が一定の速度で回転しているときに揺動軸25に作用する回転トルクT(N・m)と、ウェイト20の慣性モーメントI(kg・m2乗)と、角加速度α(rad/s2乗)の関係は、運動方程式(T=I×α)で表すことができる。回転トルクTは、ウェイト20を回転させるのに必要なトルクであり、慣性モーメントIは、ウェイト20の回転の始まりにくさとして考えることができる。
また、先の力線図から、クラッチ溝44に作用する第1分力S1(ウェイト20を回そうとする回転トルク)は(T×sin30°)となり、回転トルクTの50%の力となる。さらに、クラッチばね26のばね力Rに抗して、爪軸43をクラッチ溝44に沿って移動させようとする第2分力S2は(T×cos30°)となり、回転トルクTの約80%の力となる。
第2分力S2は回転トルクTが大きくなるのに比例して大きくなるので、第2分力S2がクラッチばね26のばね力Rより大きくなった時点で、爪軸43はクラッチ溝44に沿って移動し、クラッチ爪21の全体が揺動軸25を中心にして時計回転方向へ回転する。しかし、クラッチ爪21に作用する角加速度αが不十分であると、クラッチ爪21は図13(b)に示すように僅かに揺動するだけであるため、クラッチ爪21がクラッチ歯24と係合することはなく、従ってクラッチ爪21の回転動力がクラッチドラム22に伝動されることはない。
戸パネル2が強い力で閉じ操作される状況では、クラッチ爪21に作用する角加速度αが急激に大きくなるので、クラッチ爪21はクラッチばね26のばね力Rに抗しながら揺動して動力伝動姿勢に切換わり、図13(c)に示すようにその係合爪40がクラッチ歯24と係合する。その結果、入力ギヤ18の回転動力はクラッチ機構と出力ギヤ23を介して制動ギヤ52へ伝動され、ロータリーダンパー53が作動して制動力を発揮するので、戸パネル2の閉じ移動動作を急速に制動して荒閉りを解消することができる。上記のように、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わった状態の爪軸43は、クラッチ溝44の外端で受止められているので、それ以上クラッチ爪21とウェイト20が相対移動することはなく、ウェイト20は爪ディスク19に同行して回転する。このように、一連の動力伝動動作は、予め設定された閾値を越える角加速度が爪ディスク19およびクラッチ爪21に作用する状態において、ウェイト20に作用する回転トルクがクラッチばね26のばね力を越えた時点で、クラッチ爪21がクラッチ歯24と係合し、入力ギヤ18の回転動力をクラッチドラム22に伝動する、と言うことができる。
上記の角加速度αの大きさは、ラックギヤ11と噛み合っていない状態のピニオンギヤ12が、衝撃的にラックギヤ11と噛み合う場合と、ラックギヤ11と噛み合っている状態のピニオンギヤ12の回転速度が大きくなる場合とで大きく異なる。
前者の場合には、ピニオンギヤ12からウェイト20に至る各パーツが静止している状態から、戸パネル2が強い力で閉じ操作されると、ピニオンギヤ12の角加速度αが急速に増加する。その結果、クラッチ爪21が揺動を開始してから、その係合爪40がクラッチ歯24と係合するまでに要する爪ディスク19の回転量はごく僅かでしかなく、極めて迅速に回転動力をクラッチドラム22に伝動できる状態に切換る。図13(c)の動作説明図の例で説明すると、揺動軸25の中心が第1軸30の回りに角度β(約15度)だけ回動する間に、クラッチ爪21を動力遮断姿勢から動力伝動姿勢へ切換ることができる。
また、後者の場合には、ウェイト20が爪ディスク19に同行して回転している状態で、戸パネル2が強い力で閉じ操作される場合には、既に回転しているウェイト20の慣性モーメントIが小さくなるため、前者の場合よりもさらに大きな角加速度αが作用して始めて、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わることになる。
上記のように、角加速度αの違いで回転動力を断続するクラッチ機構によれば、クラッチ爪21を瞬時に動力伝動姿勢に切換えることができるので、制動が開始されるときの戸パネル2の助走距離を小さくでき、その分だけラックギヤ11の全長を短くして、引戸の制動装置のコンパクト化に寄与できる。例えば、閉じ端から200mm前後離れた位置まで戸パネル2が開放されている状況を想定するとき、遠心クラッチを使用した従来の制動装置の場合には、助走距離が不足するため遠心クラッチを動力伝動状態に切換えることができず制動作用を発揮できない。しかし、上記のクラッチ機構によれば、クラッチ爪21を瞬時に動力伝動姿勢に切換えることができるので、戸パネル2が200mm移動する間に、ロータリーダンパー53を作動させて荒閉りを防止できる。また、制動ボールをブレーキドラムの膨出部に衝突させてタイヤの回転を強制的に停止する従来の制動装置とは異なり、制動開始時の衝撃的な回転動作をロータリーダンパー53で吸収しながら、戸パネル2の移動をロータリーダンパー53で制動するので、制動時開始時に大きな衝撃が作用することがない。従って、制動開始時にクラッチ機構や制動機構に衝撃力が作用するのを解消して、引戸の制動装置の耐久性を向上できる。実用上は、戸パネル2の重量に対応する定格トルクを備えたロータリーダンパー53を適宜選定し使用することにより、比較的軽量の戸パネル2から、大面積で重量が大きな戸パネル2にわたって引戸の制動装置を広く適用できる。
ロータリーダンパー53で制動された戸パネル2は急激に移動速度が低下し、戸パネル2に加えられた閉じ操作力にもよるが、最終的には戸パネル2がゆっくりと開口枠1に衝突して停止するか、戸パネル2が閉じ端に達する直前に停止する。これに伴い、爪ディスク19およびクラッチドラム22は回転を停止し、クラッチ爪21の係合爪40の先端40aとクラッチ歯24に作用していた押圧力(制動力)が解放され、クラッチ爪21にはクラッチばね26の付勢力のみが作用する。そのため、クラッチドラム22が回転を停止するのと同時に、クラッチ爪21を動力伝動姿勢から動力遮断姿勢へ自動的に復帰揺動させることができる。このとき、係合爪40の先端40aが円弧歯面65に沿って抵抗なく移動するので、クラッチ爪21を動力遮断姿勢に向かって円滑に復帰揺動できる。これに伴い、戸パネル2が停止するごとにクラッチ爪21を動力遮断姿勢にリセットするための機構を付加し、あるいは同機構を操作する手間を省くことができ、クラッチ機構の簡素化に寄与できる。さらに、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換った状態では、係合爪40の第2爪面42をクラッチ歯24のフラット歯面64で受止めるので、動力伝動時のクラッチ爪21とクラッチ歯24の係合姿勢を一定にして、クラッチドラム22に対する回転動力の伝動を常に安定した状態で適確に行える。
閉じ位置にあった戸パネル2が開放操作されるとき、ピニオンギヤ12および入力ギヤ18はラックギヤ11で、閉じ操作時とは逆向きに回転駆動され、爪ディスク19は図12の矢印とは逆向きの時計回転方向へ回転する。爪ディスク19の回転力は、爪軸43とクラッチ溝44を介してウェイト20に作用するが、このときの爪軸43はクラッチ溝44の内端に係合している。そのため、たとえ戸パネル2が強い力で開放操作されたとしても、クラッチ爪21はウェイト20を爪軸43とクラッチ溝44を介して引きずるようにして同行回転させるので、クラッチ爪21が動力伝動姿勢の側へ向かって揺動することはない。従って開放操作される戸パネル2に対してロータリーダンパー53の制動力が作用することはなく、戸パネル2を軽快に開放操作できる。
上記構成のクラッチ機構では、出力ギヤ23を、その中央に設けた遊転穴33と嵌合するスペーサー34を介して第1軸30で回転自在に軸支するようにした。また、入力ギヤ18と爪ディスク19はスペーサー34を挟んで対向配置し、スペーサー34を貫通する複数個の締結体36で同行回転可能に連結するようにした。こうしたクラッチ機構によれば、入力ギヤ18および爪ディスク19と出力ギヤ23を、第1軸30の回りにそれぞれ回転自在に支持しながら、相対回転自在に支持することができる。つまり、入力ギヤ18、爪ディスク19、およびウェイト20からなる駆動系統と、出力ギヤ23およびクラッチドラム22の受動系統を、コンパクトにまとめた状態で集約配置できる。また、スペーサー34とウェイト20の間に爪ディスク19およびクラッチ爪21を配置し、ウェイト20のばね凹部48にクラッチばね26を収容するので、多くの構成部品で構成したクラッチ機構であるにも拘らず、クラッチ機構の厚みをさらに小さくして、クラッチ機構をさらにコンパクト化できる。
クラッチ溝44はその溝中心が第2爪面42と交差する向きに形成し、クラッチ爪21が動力遮断姿勢に切換わった状態では、爪軸43がクラッチ溝44の内端で受止められるようにした。また、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わった状態では、爪軸43がクラッチ溝44の外端で受止められるようにした。このように、クラッチ爪21に固定した爪軸43を、動力遮断姿勢と動力伝動姿勢においてクラッチ溝44の内端および外端で受け止めると、クラッチ爪21が各姿勢を越えて揺動するのを規制して、クラッチ爪21を各姿勢の間で安定した状態で往復揺動できる。
上記のダンパーユニット10では、クラッチ機構と制動機構をケース体13の対向壁14に沿って隣接配置し、クラッチ機構はケース体13に固定した第1軸30で支持し、制動機構のダンパー軸54は第1軸30と平行に設けて、ケース体13で回転自在に支持するようにした。こうしたダンパーユニット10によれば、ダンパーユニット10を装着するのに必要な面積は大きくなるものの、ダンパーユニット10の厚みを小さくして薄形化し扁平化できる。従って、開口枠1や戸パネル2の周囲枠の狭い場所を利用して、ダンパーユニット10を装着できる。
図15はクラッチ機構の一部を変更したダンパーユニット10の別の実施例を示している。そこでは、爪ディスク19に2個のクラッチ爪21を設けて、重量が大きく運動慣性力が格段に大きな戸パネル2に対して引戸の制動装置を適用できるようにした。各クラッチ爪21は爪ディスク19に対して周方向へ等間隔おきに配置されて、それぞれ揺動軸25で軸支してある。このように、複数のクラッチ爪21を爪ディスク19で支持すると、入力ギヤ18の回転動力を各クラッチ爪21で分散した状態でクラッチドラム22に伝動でき、あるいはロータリーダンパー53の制動力を、各クラッチ爪21で分散した状態で入力ギヤ18側に作用させることができる。従って、重量が大きく運動慣性力が格段に大きな戸パネル2用であっても、戸パネル2を確実に制動することができる。また、新たにクラッチ爪21およびクラッチばね26と、爪軸43などを増設し、定格トルクが大きなロータリーダンパー53を使用することで、より大きな制動機能を発揮できるダンパーユニット10を構成できる。この実施例から理解できるように、クラッチ爪21は2個以上設けることができる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
図16、図17は、クラッチ機構と制動機構の配置構造を変更したダンパーユニット10の別の実施例を示している。そこでは、クラッチ機構と制動機構を、ケース体13の対向壁14に固定した第1軸30の軸中心に沿って隣接配置した。また、制動ギヤ52を内歯ギヤで構成して、制動ギヤ52のギヤ歯が出力ギヤ23のギヤ歯に外嵌する状態で噛み合うようにした。さらに、ダンパー軸54を内面が断面円形で外面が四角軸の筒軸状に形成して、ダンパー軸54が第1軸30に対して相対回転自在に外嵌するようにした。このように、クラッチ機構と制動機構を第1軸30の軸中心に沿って隣接配置すると、ダンパーユニット10の全厚寸法は大きくなるものの、先の実施例で説明したダンパーユニット10に比べて、ダンパーユニット10の左右幅を約半分程度にまで小さくし、ダンパーユニット10の占有空間を小さくできる。従って、開口枠1を構成するアルミ条材の断面構造によっては、この実施例に係るダンパーユニット10のほうが好適に適用できることがある。
上記のように構成したクラッチ機構は、それ単独で角加速度反応式のクラッチとして使用することができる。その場合のクラッチは、少なくとも以下の各構成要件を満足できるものであればよい。ケース体13で回転自在に支持されて入力動力を受継ぐ爪ディスク19およびウェイト20と、爪ディスク19に設けたクラッチ爪21を介して爪ディスク19の回転動力を受継いで出力する、一群のクラッチ歯24を備えたクラッチドラム22を備えていること。クラッチ爪21は、爪ディスク19で動力遮断姿勢と動力伝動姿勢の間で揺動可能に支持されて、クラッチばね26で動力遮断姿勢に向かって付勢されていること。クラッチ爪21とウェイト20は、クラッチ爪21とウェイト20のいずれか一方に固定される爪軸43と、他方に設けられて爪軸43と係合するクラッチ溝44を介して、相対移動可能な状態で同行回転可能に連結されていること。予め設定された閾値を越える角加速度が爪ディスク19およびクラッチ爪21に作用する状態において、ウェイト20に作用する回転トルクが、クラッチばね26のばね力を越えた時点で、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わってクラッチ歯24と係合し、爪ディスク19の回転動力をクラッチドラム22に伝動すること。
上記構成の角加速度反応式のクラッチによれば、ウェイト20に作用する回転トルクが、クラッチばね26のばね力を越えた時点で、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わって回転動力をクラッチドラム22に伝動し出力できる。しかも、閾値を越える角加速度を受けたクラッチ爪21が揺動を開始してから、その係合爪40がクラッチ歯24と係合するまでに要する爪ディスク19の回転量はごく僅かでしかない。従って、クラッチ爪21に作用する角加速度が閾値を越えた時点で、クラッチ爪21を瞬時に動力伝動姿勢に切換えて、爪ディスク19の回転動力をクラッチドラム22に伝動でき、回転動力を後段の機構へ即座に出力できる応答性に優れたクラッチを提供できる。
図18、図19は本発明に係る角加速度反応式のクラッチをシートベルトのリトラクターに適用した実施例を示す。図18においてリトラクターは、コ字形のフレーム71の内部にウェビング72を巻取るための巻取りリール73を設け、その一側にぜんまいばねユニット74を配置し、他側に図16および図17で説明したクラッチ機構と制動機構を配置してなる。ぜんまいばねユニット74は、巻取りリール73を巻込み方向へ回転付勢しており、その出力軸75に巻取りリール73が同行回転可能に連結してある。巻取りリール73のクラッチ機構側のリールフランジには駆動ドラム76が一体に形成してあり、駆動ドラム76の内面の基端部分と第1軸30に固定した入力ギヤ18の間に、巻取りリール73の回転動作を第1軸30に伝動するギヤ構造が設けてある。
図19に示すようにギヤ構造は、駆動ドラム76の内面に設けた内歯ギヤ77と、内歯ギヤ77の回転動作を入力ギヤ18に伝動する3個の遊星ギヤ78を備えており、各遊星ギヤ78は、ギヤベース79に固定したギヤ軸80で回転自在に軸支してある。このギヤ構造においては、ウェビング72が繰出されて巻取りリール73が回転するとき、入力ギヤ18は巻取りリール73と同じ回転数で駆動される。また、ウェビング72の繰出し速度が急激に増加すると、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わって回転動力をクラッチドラム22に伝動し、ロータリーダンパー53を作動させてウェビング72の繰出し動作を制動する。クラッチ機構と制動機構を備えた制動装置は、シートベルトのリトラクター以外に、高所作業を行う際の落下防止装置として応用することができる。その場合には、ウェビング72に換えてロープを巻取りリール73で巻取るようにし、フレーム71を柱や梁などに固定しておくとよい。
角加速度反応式のクラッチは、さらに以下の態様で実施することができる。
ウェイト20と対向するクラッチドラム22の内面に一群のクラッチ歯24を備えたドラム凹部31が凹み形成されており、ドラム凹部31に、爪ディスク19およびクラッチ爪21と、ウェイト20の一部を収容するようにした。
こうしたクラッチによれば、ドラム凹部31に爪ディスク19およびクラッチ爪21と、ウェイト20の一部を収容した分だけクラッチ機構の厚み寸法を小さくしてコンパクト化できる。
ウェイト20のケース体13と対向する側に形成したばね凹部48にクラッチばね26を収容するようにした。
こうしたクラッチによれば、クラッチばね26をばね凹部48に収容することで、クラッチ機構の厚みをさらに小さくすることができる。
クラッチ爪21の揺動先端にクラッチ歯24と係脱する係合爪40を形成する。係合爪40は、交差する第1爪面41と第2爪面42でくさび状に形成されている。クラッチ歯24は、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換った状態において係合爪40の第2爪面42を受止めるフラット歯面64と、係合爪40の先端40aの揺動軌跡に沿う部分円弧状の円弧歯面65で鈍角山形に形成されている。
こうしたクラッチによれば、クラッチ爪21がクラッチばね26で常に動力遮断姿勢に向かって移動付勢されているので、クラッチドラム22が回転を停止するのと同時に、クラッチ爪21を動力伝動姿勢から動力遮断姿勢へ自動的に復帰揺動させることができる。このとき、係合爪40の先端40aは円弧歯面65に沿って抵抗なく移動するので、クラッチ爪21を動力遮断姿勢に向かって円滑に復帰揺動できる。
爪ディスク19に複数個のクラッチ爪21が周方向へ等間隔おきに軸支してある。
こうしたクラッチによれば、入力ギヤ18の回転動力を各クラッチ爪21で分散した状態でクラッチドラム22に伝動できる。従って、より大きな動力を伝動ないし遮断できる、伝動負荷が大きなクラッチを提供できる。
ウェイト20がベース部45と、ベース部45の片面に形成した膨出盤部46で多段盤状に形成されて、膨出盤部46の周囲にクラッチ爪21を収容する爪収容部47が切欠き形成されている。爪軸43はクラッチ爪21に固定され、クラッチ溝44が爪収容部47とばね凹部48の間に貫通形成されている。クラッチ溝44を貫通してばね凹部48に臨む爪軸43にクラッチばね26の一端が掛止され、クラッチばね26の他端がウェイト20に掛止されている。
上記のように、ウェイト20が占める上下空間を利用して、クラッチ爪21およびクラッチばね26を配置すると、クラッチ爪21およびクラッチばね26を配置するための空間を別途確保する必要がないので、クラッチ機構の厚みをさらに小さくしてコンパクト化をさらに促進できる。また、爪収容部47とばね凹部48の間にクラッチ溝44を貫通形成して、爪軸43をクラッチ溝44を介してばね凹部48に臨ませるので、ばね凹部48に収容したクラッチばね26を爪軸43に容易にしかも的確に掛止装着できる。
動力遮断姿勢における爪軸43の中心とウェイト20の回転中心を結ぶ仮想中心線Pと、クラッチ溝44の溝中心線Qを想定するとき、クラッチ溝44は、その溝中心線Qが仮想中心線Pより爪ディスク19の回転方向下手側へ傾斜する状態で形成されている。また、クラッチばね26のばね力Rの力線は、動力遮断姿勢における爪軸43の中心とクラッチ爪21の揺動中心を結ぶ向きに設定してある。
こうしたクラッチによれば、クラッチ爪21が動力遮断姿勢から動力伝動姿勢に切換るときのクラッチばね26のばね力Rの変動幅を小さくして、クラッチ爪21の姿勢切換えを迅速に行うことができる。また、クラッチ爪21をクラッチばね26のばね力Rで、動力伝動姿勢から動力遮断姿勢へ速やかに復帰操作することができる。
クラッチ爪21が動力遮断姿勢に切換った状態において、爪軸43はクラッチ溝44の内端で受止められており、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換わった状態において、爪軸43がクラッチ溝44の外端で受止められている。
このように、クラッチ爪21に固定した爪軸43を、動力遮断姿勢と動力伝動姿勢においてクラッチ溝44の内端および外端で受け止めると、クラッチ爪21が各姿勢を越えて揺動するのを規制して、クラッチ爪21を各姿勢の間で安定した状態で往復揺動できる。
上記以外に、本発明に係る引戸の制動装置は、ラックギヤ11の配置位置を変更することにより、戸パネル2が急開閉されるのを防止するダンパーとして使用できる。また、ラックギヤ11を複数個所に配置しておくことにより、荒閉り防止機能と急開閉防止機能を備えた引戸の制動装置とすることができる。必要があれば、ダンパーユニット10を複数個所に配置してもよい。本発明の引戸の制動装置は、各実施例で説明したダンパーユニット10を、ケース板14が垂直面に沿う状態で配置して使用することができる。
クラッチドラム22のクラッチ歯24は鈍角山形に形成することで、クラッチ爪21を動力遮断姿勢に自動復帰できるが、クラッチ歯24は例えばラチェットギヤ状に形成してもよい。その場合には、ダンパーユニット10に別途リセット構造を設けて、戸パネル2の開閉移動を利用してリセット構造を作動させ、クラッチ爪21を動力遮断姿勢に切換えることができる。
また、ウェイト20のベース部45にねじ込んだ調整ねじと、ばね凹部48にスライドのみ可能に収容したばね枠で張力調整機構を構成し、クラッチばね26の一端が掛止されたばね枠を先の調整ねじでスライド操作して、クラッチばね26の初期張力を調整し、クラッチ爪21が動力伝動姿勢に切換るタイミングを変更できるようにしてもよい。その場合には、ベース部45の周面や下面に調整ねじの配置位置を示す指標を設けておき、この指標を目印にしてピニオンギヤ12やウェイト20を手動で回転操作することにより、調整ねじを操作しやすい位置まで移動させて、簡便に調整操作することができる。
クラッチ爪21とウェイト20は、ウェイト20に固定されるクラッチ爪21と、クラッチ爪21に形成されて爪軸43と係合するクラッチ溝44を介して、相対移動可能な状態で同行回転可能に連結することができる。その場合には、クラッチ爪21の上面側にクラッチばね(引張りばね)26を配置し、あるいは、爪軸43とクラッチ溝44の溝端の間に圧縮コイルばねを配置して、クラッチ爪21を動力遮断姿勢に付勢するとよい。クラッチ溝44は直線溝である必要はなく、部分曲線状に形成してあってもよい。
1 開口枠
2 戸パネル
10 ダンパーユニット
11 ラックギヤ
12 ピニオンギヤ
13 ケース体
18 入力ギヤ
19 爪ディスク
20 ウェイト
21 クラッチ爪
22 クラッチドラム
23 出力ギヤ
24 クラッチ歯
26 クラッチばね
30 第1軸
31 ドラム凹部
33 遊転穴
34 スペーサー
36 締結体
41 第1爪面
42 第2爪面
43 爪軸
44 クラッチ溝
45 ベース部
48 ばね凹部
52 制動ギヤ
53 ロータリーダンパー
54 ダンパー軸

Claims (14)

  1. 戸パネル(2)と開口枠(1)のいずれか一方に設けられるラックギヤ(11)と、他方に設けられてラックギヤ(11)と相対移動するダンパーユニット(10)を備えており、
    ダンパーユニット(10)は、ラックギヤ(11)と噛み合って戸パネル(2)と開口枠(1)の相対移動を回転動力に変換するピニオンギヤ(12)と、同ギヤ(12)の回転動力を断続するクラッチ機構と、クラッチ機構から出力された回転動力を制動する制動機構と、ピニオンギヤ(12)および前記両機構を支持するケース体(13)を備えており、
    クラッチ機構は、ピニオンギヤ(12)の回転動力を受継いで同行回転する爪ディスク(19)およびウェイト(20)と、爪ディスク(19)に設けたクラッチ爪(21)を介して爪ディスク(19)の回転動力を受継ぐ、一群のクラッチ歯(24)を備えたクラッチドラム(22)および出力ギヤ(23)を備えており、
    クラッチ爪(21)は、爪ディスク(19)で動力遮断姿勢と動力伝動姿勢の間で揺動可能に支持されて、クラッチばね(26)で動力遮断姿勢に向かって付勢されており、
    クラッチ爪(21)とウェイト(20)は、クラッチ爪(21)とウェイト(20)のいずれか一方に固定される爪軸(43)と、他方に形成されて爪軸(43)と係合するクラッチ溝(44)を介して、相対移動可能な状態で同行回転可能に連結されており、
    予め設定された閾値を越える角加速度が爪ディスク(19)およびクラッチ爪(21)に作用する状態において、ウェイト(20)に作用する回転トルクが、クラッチばね(26)のばね力を越えた時点で、クラッチ爪(21)が動力伝動姿勢に切換わってクラッチ歯(24)と係合し、入力ギヤ(18)の回転動力をクラッチドラム(22)に伝動することを特徴とする引戸の制動装置。
  2. クラッチ機構はピニオンギヤ(12)と噛合う入力ギヤ(18)を備えていて、爪ディスク(19)が入力ギヤ(18)と同行回転可能に設けられており、
    ケース体(13)に設けた一対の対向壁(14)の間に、入力ギヤ(18)と、出力ギヤ(23)およびクラッチドラム(22)と、爪ディスク(19)およびクラッチ爪(21)と、ウェイト(20)が記載順に配置されて、入力ギヤ(18)、出力ギヤ(23)およびクラッチドラム(22)、爪ディスク(19)、ウェイト(20)がケース体(13)に固定した第1軸(30)で回転自在に軸支されており、
    クラッチドラム(22)は出力ギヤ(23)と一体に形成されていて、ウェイト(20)と対向するクラッチドラム(22)の内面に一群のクラッチ歯(24)を備えたドラム凹部(31)が凹み形成されており、
    ドラム凹部(31)に、爪ディスク(19)およびクラッチ爪(21)と、ウェイト(20)の一部が収容されている請求項1に記載の引戸の制動装置。
  3. ピニオンギヤ(12)と入力ギヤ(18)のギヤ比が1以上に設定されて、ピニオンギヤ(12)の回転動力を等速ないし増速した状態で入力ギヤ(18)に伝動して、爪ディスク(19)とウェイト(20)の角加速度の差が大きくなるように設定されている請求項2に記載の引戸の制動装置。
  4. 出力ギヤ(23)のギヤ壁の中央に第1軸(30)と同心状の遊転穴(33)が形成されており、
    出力ギヤ(23)は、前記遊転穴(33)と嵌合するスペーサー(34)を介して第1軸(30)で回転自在に軸支されており、
    入力ギヤ(18)と爪ディスク(19)が前記スペーサー(34)を挟んで対向配置されて、スペーサー(34)を貫通する複数個の締結体(36)で同行回転可能に連結されており、
    スペーサー(34)とウェイト(20)の間に爪ディスク(19)およびクラッチ爪(21)が配置され、ウェイト(20)のケース体(13)と対向する側に形成したばね凹部(48)にクラッチばね(26)が収容されている請求項1から3のいずれかひとつに記載の引戸の制動装置。
  5. クラッチ爪(21)の揺動先端にクラッチ歯(24)と係脱するくさび状の係合爪(40)が形成されており、
    係合爪(40)は、交差する第1爪面(41)と第2爪面(42)でくさび状に形成されており、
    クラッチ歯(24)は、クラッチ爪(21)が動力伝動姿勢に切換った状態において係合爪(40)の第2爪面(42)を受止めるフラット歯面(64)と、係合爪(40)の先端(40a)の揺動軌跡に沿う部分円弧状の円弧歯面(65)で鈍角山形に形成されている請求項1から4のいずれかひとつに記載の引戸の制動装置。
  6. ラックギヤ(11)が複数個の板状ギヤ体(58)と、複数の板状ギヤ体(58)を板厚方向に貫通して分離不能に締結固定する複数個の締結体(60)で構成されている請求項1から5のいずれかひとつに記載の引戸の制動装置。
  7. 爪ディスク(19)に複数個のクラッチ爪(21)が周方向へ等間隔おきに軸支されている請求項1から6のいずれかひとつに記載の引戸の制動装置。
  8. ウェイト(20)がベース部(45)と、ベース部(45)の片面に形成した膨出盤部(46)で多段盤状に形成されて、膨出盤部(46)の周囲にクラッチ爪(21)を収容する爪収容部(47)が切欠き形成されており、
    爪軸(43)がクラッチ爪(21)に固定され、クラッチ溝(44)が爪収容部(47)とばね凹部(48)の間に貫通形成されており、
    クラッチ溝(44)を貫通してばね凹部(48)に臨む爪軸(43)にクラッチばね(26)の一端が掛止され、クラッチばね(26)の他端がウェイト(20)に掛止されている請求項4から7のいずれかひとつに記載の引戸の制動装置。
  9. 動力遮断姿勢における爪軸(43)の中心とウェイト(20)の回転中心を結ぶ仮想中心線(P)と、クラッチ溝(44)の溝中心線(Q)を想定するとき、
    クラッチ溝(44)は、その溝中心線(Q)が仮想中心線(P)より爪ディスク(19)の回転方向下手側へ傾斜する状態で形成されており、
    クラッチばね(26)のばね力(R)の力線が、動力遮断姿勢における爪軸(43)の中心とクラッチ爪(21)の揺動中心を結ぶ向きに設定してある請求項4から8のいずれかひとつに記載の引戸の制動装置。
  10. クラッチ爪(21)が動力遮断姿勢に切換った状態において、爪軸(43)はクラッチ溝(44)の内端で受止められており、
    クラッチ爪(21)が動力伝動姿勢に切換わった状態において、爪軸(43)がクラッチ溝(44)の外端で受止められている請求項8、または9に記載の引戸の制動装置。
  11. 制動機構が、出力ギヤ(23)に噛合う制動ギヤ(52)と、ケース体(13)に固定されて制動ギヤ(52)の回転動力を制動するロータリーダンパー(53)を備えており、
    制動ギヤ(52)とロータリーダンパー(53)がダンパー軸(54)で連結されている請求項1から10のいずれかひとつに記載の引戸の制動装置。
  12. クラッチ機構と制動機構が、ケース体(13)の対向壁(14)に沿って隣接配置されており、
    クラッチ機構がケース体(13)の対向壁(14)に固定した第1軸(30)で支持されており、
    制動機構のダンパー軸(54)が第1軸(30)と平行に設けられて、ケース体(13)の対向壁(14)で回転自在に支持されている請求項11に記載の引戸の制動装置。
  13. クラッチ機構と制動機構が、ケース体(13)の対向壁(14)に固定した第1軸(30)の軸中心に沿って隣接配置されており、
    筒軸状に形成したダンパー軸(54)が、第1軸(30)に対して相対回転自在に外嵌されている請求項11に記載の引戸の制動装置。
  14. ケース体(13)で回転自在に支持されて入力動力を受継ぐ爪ディスク(19)およびウェイト(20)と、爪ディスク(19)に設けたクラッチ爪(21)を介して爪ディスク(19)の回転動力を受継いで出力する、一群のクラッチ歯(24)を備えたクラッチドラム(22)を備えており、
    クラッチ爪(21)は、爪ディスク(19)で動力遮断姿勢と動力伝動姿勢の間で揺動可能に支持されて、クラッチばね(26)で動力遮断姿勢に向かって付勢されており、
    クラッチ爪(21)とウェイト(20)は、クラッチ爪(21)とウェイト(20)のいずれか一方に固定される爪軸(43)と、他方に形成されて爪軸(43)と係合するクラッチ溝(44)を介して、相対移動可能な状態で同行回転可能に連結されており、
    予め設定された閾値を越える角加速度が爪ディスク(19)およびクラッチ爪(21)に作用する状態において、ウェイト(20)に作用する回転トルクが、クラッチばね(26)のばね力を越えた時点で、クラッチ爪(21)が動力伝動姿勢に切換わってクラッチ歯(24)と係合し、爪ディスク(19)の回転動力をクラッチドラム(22)に伝動することを特徴とする角加速度反応式のクラッチ。
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