JP2019065250A - 皮膜形成型エアゾール清浄化剤及び清浄化処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチック等の清浄化対象面について材質を変質させることなく清浄化処理を行うことができ、低温環境下でも優れた清浄化処理効果が得られる皮膜形成型エアゾール清浄化剤及びこれを用いた清浄化処理方法の提供。【解決手段】清浄化用皮膜形成剤及び噴射剤からなる皮膜形成型エアゾール清浄化剤であって、前記清浄化用皮膜形成剤が、(A)成分:ポリビニルアセタール樹脂と、(B)成分:炭素数1〜4のアルコールと、(C)成分:溶解度パラメーター(SP値)が7.5〜11.0である有機溶剤と、(D)成分:リン酸エステル型界面活性剤、シリコーン、及びフッ素型界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分と、を含有することを特徴とする皮膜形成型エアゾール清浄化剤。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膜形成型エアゾール清浄化剤及びこれを用いた清浄化処理方法に関する。
住居の掃除は一般に、掃除機を使用したり、スポンジや雑巾等の清掃具と洗剤とを組合せて行われる。しかし、狭くて凹凸の形状を有する場所、例えば窓や浴室ドアのレール、フローリングの床の溝、家電製品の部品接合部等に溜まった汚れの除去は、それぞれの形状に適した清掃具を使わないと汚れを完全に取り除くことが難しい。また、このような場所では、汚れの付着した表面を水ですすぎ流すことが困難であり、このことが、汚れを取り除くことをより難しくしている。
上記問題に対し、高分子水溶液を汚れに塗布し、汚れを包み込んで形成させた皮膜を剥離する清浄化方法が提案されている(特許文献1〜5)。
特開昭60−28880号公報 特開平9−125095号公報 特開平10−140191号公報 特開2006−192341号公報 特開2006−16494号公報
しかし、特許文献1〜5の技術では、以下の(1)及び(2)を両立することが困難である。
(1)汚れを除去する清浄化対象面の構成素材によらず、清浄化対象面を変質させないこと。特許文献1〜5に記載の高分子水溶液は、例えば清浄化対象面の構成素材が一部のプラスチックである場合に、光沢の低下、変色等を引き起こすことがある。
(2)低温環境下で使用しても、清浄化対象面に付着した汚れを効果的に除去できること。上述の窓や浴室ドア等は、屋外又は屋外に近い箇所に設けられていることも多く、冬季には室温よりも低温、例えば0℃付近になる場合がある。特許文献1〜5に記載の高分子水溶液から形成された皮膜は、0℃付近の低温環境下では脆くなり、皮膜の剥離の段階で破れやすい。皮膜が破れると、清浄化対象面に皮膜と共に汚れが残ってしまう。
本発明は、プラスチック等の清浄化対象面について材質を変質させることなく清浄化処理を行うことができ、低温環境下でも優れた清浄化処理効果が得られる皮膜形成型エアゾール清浄化剤及びこれを用いた清浄化処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]清浄化用皮膜形成剤及び噴射剤からなる皮膜形成型エアゾール清浄化剤であって、
前記清浄化用皮膜形成剤が、
(A)成分:ポリビニルアセタール樹脂と、
(B)成分:炭素数1〜4のアルコールと、
(C)成分:溶解度パラメーター(SP値)が7.5〜11.0である有機溶剤と、
(D)成分:リン酸エステル型界面活性剤、シリコーン、及びフッ素型界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分と、
を含有することを特徴とする皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
[2]前記(A)成分/(前記(C)成分及び前記(D)成分の合計)で表される質量比が2〜10である[1]の皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
[3]前記(B)成分/前記(D)成分で表される質量比が10〜200である[1]又は[2]の皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
[4]前記(C)成分がグリコールエーテル系溶剤である[1]〜[3]のいずれかの皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
[5]前記(D)成分がポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[4]のいずれかの皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
[6]前記(C)成分がジエチレングリコールモノヘキシルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[5]のいずれかの皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
[7]前記(A)成分の含有量が、前記清浄化用皮膜形成剤の総質量に対し、5〜30質量%である[1]〜[6]のいずれかの皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
[8]前記(C)成分の含有量が、前記清浄化用皮膜形成剤の総質量に対し、0.1〜10質量%である[1]〜[7]のいずれかの皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
[9]前記(D)成分の含有量が、前記清浄化用皮膜形成剤の総質量に対し、0.1〜3質量%である[1]〜[8]のいずれかの皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかの皮膜形成型エアゾール清浄化剤がエアゾール容器に充填されたエアゾール製品。
[11]前記[1]〜[9]のいずれかの皮膜形成型エアゾール清浄化剤を清浄化対象面にスプレーし、前記清浄化対象面上に前記清浄化用皮膜形成剤により皮膜を形成し、次いで前記皮膜を前記清浄化対象面より剥離することにより前記清浄化対象面の清浄化処理を行うことを特徴とする清浄化処理方法。
[12]前記清浄化対象面がプラスチックからなる[11]の清浄化処理方法。
本発明によれば、プラスチック等の清浄化対象面について材質を変質させることなく清浄化処理を行うことができ、低温環境下でも優れた清浄化処理効果が得られる皮膜形成型エアゾール清浄化剤及びこれを用いた清浄化処理方法を提供できる。
エアゾール容器の一例を示す部分断面図である。
〔皮膜形成型エアゾール清浄化剤〕
本発明の皮膜形成型エアゾール清浄化剤(以下、単に「清浄化剤」ともいう。)は、清浄化用皮膜形成剤及び噴射剤からなる。
本発明の清浄化剤は、典型的には、エアゾール容器に充填され、エアゾール製品の形態で使用される。
(清浄化用皮膜形成剤)
清浄化用皮膜形成剤は、下記(A)成分と下記(B)成分と下記(C)成分と下記(D)成分とを含有する。
清浄化用皮膜形成剤は、必要に応じて、(A)〜(D)成分以外の他の成分をさらに含有していてもよい。
<(A)成分>
(A)成分は、ポリビニルアセタール樹脂である。ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にアルデヒド類(R−CHO)を反応させて得られる樹脂であり、下記式(1)で表される構成単位を有する。
(A)成分は、皮膜形成性を有しており、(A)成分を含むことで、清浄化用皮膜形成剤が皮膜を形成可能となり、清浄化処理能力が付与される。ここで「皮膜形成性」とは、皮膜を形成できる性質である。例えば、室温、大気圧条件下において、2cm×10cmの範囲に(A)成分の水分散液又は水溶液を、乾燥後の厚みが0.05〜0.5mmとなるように塗布し、48時間放置したときに、皮膜が形成されるものである。このようにして形成される皮膜は、手等で剥離可能なものであることが好ましい。
なお、数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
Figure 2019065250
式中、Rはアルキル基を示す。
Rのアルキル基の炭素数は、例えば1〜3であってよい。
(A)成分は、上記式(1)で表される構成単位以外の他の構成単位をさらに有していてもよい。他の構成単位としては、例えば酢酸ビニル単位、ビニルアルコール単位等が挙げられる。
(A)成分中、上記式(1)で表される構成単位の含有量は、(A)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対し、50〜80モル%が好ましい。
(A)成分としては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
ポリビニルブチラール樹脂としては、下記式(2)で表される構成単位(上記式(1)中のRがプロピル基である構成単位)(以下、ブチラール単位ともいう。)と、下記式(3)で表される構成単位(酢酸ビニル単位)と、下記式(4)で表される構成単位(ビニルアルコール単位)とを有する重合体が挙げられる。
ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対し、ブチラール単位を50〜80モル%、酢酸ビニル単位を1〜6モル%、ビニルアルコール単位を10〜40モル%含有することが好ましい。
市販品としては積水化学工業株式会社製、製品名:エスレック(登録商標)BM−1、エスレックBL−1、エスレックBM−5等が挙げられる。
Figure 2019065250
(A)成分は、10質量%溶液の25℃における粘度が10〜300mPa・sであることが好ましく、50〜150mPa・sであることがより好ましい。上記粘度が上記範囲内であると、形成される皮膜の剥がしやすさ(剥がす際の破れにくさ)がより優れる。
上記粘度は、下記の測定方法により測定される。
粘度の測定方法:
(A)成分を、エタノールとトルエンとの混合溶媒(エタノール:トルエン=1:1(質量比))に溶解させて10質量%溶液を調製する。この溶液100mLをガラス容器(内径40mm、容量100mL)に移した後、ふたを閉めて25℃で12時間静置する。その後、この溶液の25℃における粘度(Pa・s)を単一円筒回転粘度計(BM型、No.2ローター)にて測定し、測定開始から10回転した時の測定値を粘度とする。
(A)成分のガラス転移温度は、60〜90℃が好ましく、65〜75℃がより好ましい。(A)成分のガラス転移温度が上記下限値以上であれば、より破けにくく強靭な皮膜を形成できる。(A)成分のガラス転移温度が上記上限値以下であれば、常温で皮膜を形成しやすい。
(A)成分のガラス転移温度は、JIS K 7121に規定されるプラスチック転移温度測定方法により測定される中間点ガラス転移温度である。
<(B)成分>
(B)成分は、炭素数1〜4のアルコールである。(B)成分は、(A)成分を均一に溶解又は分散し、清浄化処理能力を高めるために用いられる。
(B)成分としては、1価アルコールが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。これらのアルコールはいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中でも、洗浄力の観点から、エタノールが好ましい。
<(C)成分>
(C)成分は、特定の溶解度パラメーター(SP値)を有する有機溶剤である。(C)成分は、清浄化処理能力、低温時使用性を高めるために用いられる。
(C)成分のSP値は、7.5〜11.0であり、8.5〜10.5が好ましく、9.0〜10.0がより好ましい。(C)成分のSP値が上記範囲の下限値以上であると、清浄化対象面がプラスチックからなる場合でも、清浄化処理の際に清浄化対象面が変色しにくい。(C)成分のSP値が上記範囲の上限値以下であると、清浄化処理能力が優れる。
なお、上述の(B)成分のSP値は7.5未満である。
SP値は、ハンセン溶解度パラメータのことを指し、2成分系溶液の溶解度の目安となる。
本発明においては、(C)成分に用いる有機溶剤のSP値δ((cal/cm1/2)を計算するための方法として、下記式(5)を用いる。
δ=((δd+δp+δh)/4.2)1/2 ・・・(5)
ここで、δdはLondon分散力項、δpは分子分極項、δhは水素結合項という。
ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウェア(HSPiP ver.4.1.x)、あるいは、“HANSEN SOLBILITY PARAMETERS” A User’s Handbook Second Editionに記載される値(δd、δp、δh:単位(J/cm1/2)をもとにSP値を算出する事が出来る。
(C)成分に有機溶剤を複数使用する場合のSP値は、下記式(6)により、各有機溶剤のSP値の加重平均として求めた。
m=δ1φ1+δ2φ2 ・・・(6)
ここでδ1、δ2は各溶剤成分のSP値であり、φ1、φ2は各溶剤成分の体積分率である。
(C)成分としては、清浄化処理能力の観点から、グリコールエーテル系溶剤が好ましい。
グリコールエーテル系溶剤としては、下記式(c1)で表されるものが挙げられる。
O−(AO)−R ・・・(c1)
式中、Rは炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアリル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基又はアシル基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。
nは0.1〜20が好ましく、0.1〜10がより好ましい。
アシル基としては、R−CO−(ここで、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)が挙げられ、アセチル基が好ましい。
前記グリコールエーテル系溶剤としては、Rが水素原子であるモノアルキルグリコールエーテル、Rが炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基であるジアルキルグリコールエーテル、Rがアセチル基であるグリコールアセテート等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノアルキルグリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値=10.7)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値=10.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(SP値=10.9)、エチレングリコールモノブチルエーテル(SP値=10.2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値=10.0)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値=10.0)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(SP値=9.1)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(SP値=9.9)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコールともいう。)(SP値=9.7)、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(SP値=9.3)、エチレングリコールモノアリルエーテル(SP値=10.8)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(SP値=10.8)、エチレングリコールモノベンジルエーテル(SP値=10.9)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値=10.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値=9.7)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値=9.4)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(SP値=9.6)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(SP値=9.8)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(SP値=9.0)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(SP値=9.6)等が挙げられる。
ジアルキルグリコールエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル(SP値=8.6)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(SP値=8.8)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(SP値=8.7)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(SP値=8.3)が挙げられる。
グリコールアセテートとしては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=9.2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテートともいう。)(SP値=9.0)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値=9.4)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値=9.6)等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶の中では、清浄化処理能力の観点から、モノアルキルグリコールエーテル、グリコールアセテートが好ましい。
モノアルキルグリコールエーテルとしては、前記式(c1)中のRが炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、AOが炭素数2のオキシアルキレン基、Rが水素原子、nが0.1〜10であるモノアルキルグリコールエーテルがより好ましい。これらの中でもジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましく、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルが特に好ましい。
グリコールアセテートとしては、前記式(c1)中のRが炭素数4〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、AOが炭素数2のオキシアルキレン基、Rがアセチル基、nが0.1〜10であるグリコールアセテートがより好ましい。
これらの中でもジエチレングリコールモノヘキシルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
<(D)成分>
(D)成分は、リン酸エステル型界面活性剤、シリコーン、及びフッ素系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分である。(D)成分は、剥離性(皮膜を清浄化対象面から容易に剥がせること)、変色抑制性(清浄化対象面がプラスチックからなる場合でも清浄化対象面を変色させにくいこと)を付与するために用いられる。
(D)成分としては、変色抑制性の観点からリン酸エステル型界面活性剤が好ましい。
リン酸エステル型界面活性剤としては、アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル又はそれらの塩としては、下記式(d1)で表される化合物が挙げられる。式(d1)中、pが0の場合はアルキルリン酸エステル又はその塩を示し、pが正の数の場合はポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸又はその塩を示す。
[RO(AO)−P(=O)−(OM)3−q ・・・(d1)
式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基又は炭素数8〜20のアルケニル基であり、AOはオキシアルキレン基であり、pはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって0以上であり、qは1〜3の整数であり、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、又は水酸基が置換してもよいモノ、ジ、トリアルキル(炭素数2〜5)アンモニウム基である。
qが1である場合、式中の複数のMはそれぞれ同一でも異なってもよい。
のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、12〜15が好ましい。
Oは、清浄化処理能力の観点から、オキシエチレン(EO)基が好ましい。
pは、清浄化処理能力の観点から、0〜12が好ましく、3〜9がより好ましい。
Mにおけるアルカリ金属原子としては、例えばナトリウム、カリウム等が挙げられる。
式(d1)で表される化合物としては、Rが炭素数12〜15のアルキル基又は炭素数12〜15のアルケニル基であり、pが3〜9であり、qが1であり、Mが水素原子であるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルが特に好ましい。
シリコーンとしては、例えばジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
(D)成分としては、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<他の成分>
他の成分としては、例えば、水、乳化剤、可塑剤、キレート剤、pH調整剤、除菌剤、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、無機微粒子、紫外線吸収剤、苦味剤、色素、顔料、充填剤、香料等が挙げられる。色素としては、赤色2号、赤色3号、赤色225号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色213号、赤色226号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色504号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色406号、黄色407号、橙色206号、橙色207号、橙色402号、青色1号、青色2号、青203号、青205号、青403号、ダイレクトブルー86、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号等が挙げられる。これらの成分はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<各成分の含有量>
清浄化用皮膜形成剤において、(A)成分の含有量は、清浄化用皮膜形成剤の総質量に対し、5〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、形成される皮膜を剥離するときに、皮膜が破れにくい。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、清浄化用皮膜形成剤中に(A)成分が良好に溶解又は分散し、(A)成分の凝集物が生じにくく、良好な清浄化処理能力が得られやすい。
(C)成分の含有量は、清浄化用皮膜形成剤の総質量に対し、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、形成される皮膜を剥離するときに、低温環境下であっても皮膜が破れにくくなる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、良好な清浄化処理能力が得られやすい。
(D)成分の含有量は、清浄化用皮膜形成剤の総質量に対し、0.1〜3質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であれば、清浄化対象面から皮膜を容易に剥がせる。また、清浄化対象面の素材がプラスチックであっても、清浄化処理時に清浄化対象面が変色しにくい。(D)成分の含有量が上記上限値以下であれば、良好な清浄化処理能力が得られやすい。
(A)成分と(C)成分と(D)成分との合計の含有量は、例えば、清浄化用皮膜形成剤の総質量に対し、15〜25質量%であってよい。
(B)成分と(D)成分との合計の含有量は、例えば、清浄化用皮膜形成剤の総質量に対し、75〜90質量%であってよい。
清浄化用皮膜形成剤中、(A)成分/((C)成分及び(D)成分の合計)で表される質量比(A/(C+D))は、2〜10が好ましく、3.5〜6がより好ましく、3〜5がさらに好ましい。A/(C+D)が上記下限値以上であれば、良好な低温時使用性が得られやすく、低温、例えば0〜5℃の環境で清浄化用皮膜形成剤を使用しても、十分な清浄化効果が発現しやすい。A/(C+D)が上記上限値以下であれば、皮膜が破れにくく、良好な清浄化処理能力が得られやすい。
清浄化用皮膜形成剤中、(C)成分/(D)成分で表される質量比(C/D)は、0.4〜20が好ましく、0.5〜5がより好ましく、0.7〜2がさらに好ましい。C/Dが上記範囲内であれば、清浄化効果、剥離性及び低温時使用性がより優れる。
(C)成分と(D)成分とを上記質量比で併用すると、少量でも各成分による効果が十分に発揮される。その理由は以下のように考えられる。
低温環境においては、(A)成分の皮膜は脆くなる。皮膜の内部に有機溶剤や界面活性剤を配合し、可塑性を付与することで、低温環境でも使用できるようになる。有機溶剤や界面活性剤の(A)成分に対する親和性が低いと、低温環境でも使用できるための皮膜の可塑性を得るために各成分の配合量を増やす必要があり、結果、皮膜が柔らかくなって剥がしにくくなり、清浄化処理能力が著しく低下する。
(C)成分と(D)成分とは複合体を形成し、この複合体は、(A)成分に対して最適な親和性を有する。そのため、各成分の含有量が少量でも、低温環境下で破けずに剥がせるための十分な可塑性を皮膜に付与でき、かつ清浄化処理能力、剥離性も同時に発揮することができる。
清浄化用皮膜形成剤中、(B)成分/(D)成分で表される質量比(B/D)は、10〜800が好ましく、10〜200がより好ましく、30〜100がさらに好ましい。B/Dが上記下限値以上であれば、清浄化対象面の素材がプラスチックであっても、清浄化処理時に清浄化対象面が変色しにくい。B/Dが上記上限値以下であれば、形成される皮膜を剥離するときに、皮膜が破れにくく、良好な清浄化処理能力が得られやすい。
(噴射剤)
噴射剤としては、例えば、ジメチルエーテル(DME)等のエーテル、ブタンガス、プロパンガス等の液化石油ガス(LPG)、液化窒素ガス、液化炭酸ガス等が挙げられる。これらの噴射剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、上述の(A)〜(C)成分との相溶性に優れる点から、DMEとLPGとの混合ガスが好ましく、DMEとLPGの質量比(DME/LPG)が10/90〜50/50である混合ガスがより好ましい。
噴射剤は、エアゾール容器に封入する際にガス圧(エアゾール容器の内圧)が0.2〜0.59MPaとなるものが好ましく、ガス圧が0.39〜0.49MPaとなるものがより好ましい。ガス圧が上記下限値以上であれば、エアゾール容器に充填された内容液が噴射されなくなるまでスプレーしたときに、エアゾール容器内に残存する内容液の量(噴射残量)を低減できる。一方、ガス圧が上記上限値以下であれば、内容液をスプレーした際、狙ったところ場所以外への飛び散りを抑制でき、また低温時の目詰まりを抑制できる。LPGのガス圧は、LPGの主成分であるプロパンやブタンの量を調節することで制御できる。ガス圧は、試料を35℃±0.5℃の恒温水槽に30分間浸漬した後、試料の噴射ボタンを外してステムを管圧力計の挿入口に差し込んだときの圧力を読み取ることにより測定される。
本発明の清浄化剤において、清浄化用皮膜形成剤/噴射剤で表される質量比は、60/40〜90/10が好ましく、70/30〜80/20がより好ましい。
(エアゾール容器)
エアゾール容器としては、公知のエアゾール容器を用いることができる。容器の形状は、例えば円柱状、角柱状、円錐状等であってよい。容器の材質としては、プラスチック等の樹脂、金属等が挙げられる。
エアゾール容器は、内容液を噴射した際に、内容液が清浄化対象面以外の領域に飛散することがないような構造を有することが好ましい。
図1に、エアゾール容器の一例を示す。図1は、この例のエアゾール容器1の上部の概略構成を示す部分断面図である。
エアゾール容器1は、内容液及び噴射剤を収容する容器本体2と、容器本体2の上部に設けられた噴射体3とを備える。噴射体3は、噴射ボタン4と、ステム5と、ハウジング6と、ディップチューブ7と、ガスケット8とを備える。噴射体3は、容器本体2の上部に設けられたカップ状の接続部材9によって容器本体2に取り付けられている。
噴射ボタン4は、容器本体2の上部から突出するようにステム5の上部に取り付けられており、使用者が図1に示す状態から噴射ボタン4を押下げる操作を行うことにより、噴射体3の操作部として機能するようにされている。
噴射ボタン4の中央部内部には、ステム5が嵌合する流入路41と、噴射ボタン4の外周面から流入路41に連通する連通孔42とが形成されている。噴射ボタン4の外周面の連通孔42が開口している部分には、噴射ノズル10が取り付けられている。噴射ノズル10には、噴射ノズル10の先端面から連通孔42に連通する噴射ノズル孔11が設けられている。噴射ノズル孔11の口径(オリフィス径)は、飛散性の観点から、0.3〜2.0mmが好ましく、0.5〜0.75mmがより好ましい。
ステム5は、筒状に形成されており、噴射ボタン4が押下げられるとともに押下げられ、噴射ボタン4の流入路41に噴射物を送り込むものである。ステム5は、内部に噴射物が通過する流路52を有し、ステム5の外周面から流路52に連通するように、少なくとも1つのステム孔51が形成されている。
ハウジング6は、ステム5の下部に接続され、接続部材9に嵌め込まれるように取り付けられている。また、ハウジング6には、少なくとも1つの横孔61(窓)と、下孔62とが備えられている。横孔61は、ハウジング6の側面に開口して設けられ、下孔62は、ハウジング6の下端に開口して設けられている。
ディップチューブ7は、ハウジング6の下孔62と連通するように取り付けられており、ハウジング6の内部と容器本体2内の液相部(図示略)とを連通させるように配されている。
ガスケット8は、ステム5の周囲を囲むようにして設けられている。また、ガスケット8は、図1に示す状態では、ステム5の外周面のステム孔51を塞ぐように配置されている。しかし、噴射ボタン4を押下げるのに伴ってステム5が降下されることにより、ガスケット8の位置が、ステム孔51の位置と上下方向にずらされて、ステム5の内部の流路52とハウジング6の内部とが連通するようになっている。
エアゾール容器1の容器本体2に内容液及び噴射剤を収容したエアゾール製品にあっては、噴射ボタン4を押し下げることにより、容器本体2に収容された内容液が、噴射ノズル孔11から噴射される。
ただし、本発明におけるエアゾール容器は上記のものに限定されない。
噴射ボタンは、正立、倒立のいずれの仕様であってもよく、用途に応じて任意に設定することができる。
噴射ボタンの形状や噴射ノズルの口径は、用途や洗浄対象面の広さ等に応じて任意に設定することができる。目詰まりのしにくさの観点から、スパウト形状が好ましい。
噴射ノズルの材質は、内容液が固まった場合に容易に剥がせる材質が好ましく、剥がし易さの観点から、ステンレス材が好ましい。
ハウジングは窓付き形状が好ましく、目詰まりのしにくさの観点から2つ以上の窓を備えていることが好ましい。
(清浄化剤の製造方法)
本発明の清浄化剤は、例えば、エアゾール容器に清浄化用皮膜形成剤(内容液)を入れ、その後、噴射剤を封入することにより製造できる。これにより、本発明の清浄化剤がエアゾール容器に充填されたエアゾール製品が得られる。
清浄化用皮膜形成剤は、(A)〜(D)成分、及び必要に応じて他の成分を混合することにより調製できる。各成分の混合順序は特に限定されない。
清浄化用皮膜形成剤の調製手順の一例を以下に挙げる。
まず、ビーカー等の容器に(B)成分の一部を投入し、マグネチックスターラーで撹拌しながら、(A)成分を投入し、必要に応じて加熱し、攪拌することで(A)成分の水溶液又は水分散液を得る。次いで、(B)成分の残部、(C)成分、(D)成分、及び必要に応じて他の成分を加え、攪拌することで清浄化用皮膜形成剤を得る。(B)成分の残部及び(C)成分を予め混合し、混合液として添加してもよい。(D)成分は、(D)成分が水等に溶解又は分散された液状の形態で添加してもよく、粉末状の形態で添加してもよい。
本発明の清浄化剤は、清浄化対象面の清浄化処理に用いられる。
清浄化処理方法については後で詳しく説明する。
本発明の清浄化剤にあっては、(A)〜(D)成分を含有するため、清浄化対象面から容易に剥離可能な皮膜を形成できる。この皮膜を清浄化対象面から剥離することで、清浄化対象面に付着している汚れを皮膜とともに除去できる。
清浄化対象面の構成素材がABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、塩化ビニル樹脂等のプラスチックである場合、上述した特許文献1〜5の技術では、清浄化処理の際に清浄化対象面が変質する(光沢の低下、変色等)ことがあった。本発明の清浄化剤によれば、このような変質を抑制できる。
(A)成分の皮膜は、低温、例えば0〜5℃の環境では脆く、清浄化対象面から剥がす際に破れやすい。特に、清浄化対象面が細かい凹凸や複雑な形状を有する場合には、皮膜がより破れやすくなる。また、低温環境下では、(A)成分の水溶液中で(A)成分の凝集物が生じ、このことによっても皮膜がより破れやすくなる。皮膜が破れると、汚れが除去されず、さらに清浄化対象面に残った皮膜が新たな汚れとなり、充分な清浄化効果が得られない。本発明の清浄化剤にあっては、清浄化用皮膜形成剤が(B)成分及び(C)成分を含むため、(A)成分が清浄化用皮膜形成剤中に良好に溶解又は分散し、凝集物が生じにくい。また、形成される皮膜は、(C)成分及び(D)成分を含み、これらの成分によって剥離性及び可塑性が付与されている。そのため低温環境下であっても、清浄化対象面から剥がす際に破れにくい。したがって、低温環境下であっても、皮膜を良好に剥がすことができ、優れた清浄化効果が得られる。
なお、(B)成分は皮膜を形成する際に揮発し、皮膜中には残らないか、残ってもわずかである。
(D)成分は、清浄化用皮膜形成剤が塗布された後、乾燥する間に、清浄化用皮膜形成剤と清浄化対象面との界面付近に分布して清浄化対象面に吸着し、清浄化用皮膜形成剤と清浄化対象面との直接的な接触を軽減する役割を果たす。これによって、剥離性を高めたり、清浄化対象面の変色を抑制したりすると考えらえる。
また、かかる清浄化用皮膜形成剤を噴射剤と組み合わせることで、噴射剤と組み合わせない場合に比べて、狙った場所へのスプレー性が優れる。
(清浄化処理方法)
本発明の清浄化剤を用いた清浄化処理方法においては、本発明の清浄化剤を清浄化対象面にスプレーし、清浄化対象面上に清浄化用皮膜形成剤により皮膜を形成し、次いでこの皮膜を清浄化対象面より剥離することにより清浄化対象面の清浄化処理を行う。
ここで清浄化処理とは、清浄化対象面に付着した汚れを取り除く処理を指す。
汚れとは、清浄化対象面に付着した物質を指す。主な汚れとしては、皮脂、調理油等の疎水性汚れ、土埃等の埃汚れ、それらが水分を含んで付着した後、水分を失ったもの、水垢等が挙げられる。前記清浄化用皮膜形成剤は疎水性汚れ除去力に優れることから、本発明の清浄化処理方法により除去する汚れとしては、疎水性汚れを含む汚れが好ましい。
清浄化処理能力とは、汚れを取り除く性能を指す。主に効率(時間あたり清浄化対象面上の汚れを低減できる量)、特に1回の清浄化処理操作(1回皮膜を形成し、剥離する操作)によって清浄化対象面からどれだけ汚れを除去できるかを指す。
清浄化対象面は、通常、清浄化用皮膜形成剤が浸透しない面であり、例えば硬質表面が挙げられる。
清浄化対象面を構成する材質としては、プラスチック、ガラス、金属、ゴム等が挙げられる。上述のように、本発明の清浄化剤によれば、清浄化処理の際に清浄化対象面が変質しにくい。そのため、本発明の清浄化処理方法は、プラスチックからなる清浄化対象面に好適に適用することができる。
清浄化対象面の例としては、トイレ、浴室、台所、流し、リビング等、様々な場所に存在する物品の表面が挙げられる。このような物品には、表面に細かい隙間又は凹凸面を有するものがある(例えば浴室のドアレール、家電製品の筐体、家具等)。このような表面に付着した汚れは、一般的な洗浄剤又は清浄具又はこれらの組み合わせでは充分に除去できないことが多い。本発明の清浄化処理方法によれば、このような表面に付着した汚れであっても充分に除去できる。そのため本発明の清浄化処理方法は、細かい隙間又は凹凸面を有する清浄化対象面に好適に適用することができる。
本発明の清浄化剤を清浄化対象面にスプレーすると、清浄化用皮膜形成剤の膜が形成される。この膜を乾燥させ、固体(流動性を有さない状態)とすることで、皮膜が形成される。
乾燥は、自然乾燥、すなわち清浄化用皮膜形成剤の膜を放置して表面から自然に(B)成分を蒸発させることによって行ってもよく、自然乾燥以外の乾燥方法で行ってもよく、それらを併用してもよい。自然乾燥以外の乾燥方法としては、例えば清浄化用皮膜形成剤の膜にドライヤー、扇風機、換気扇等による風を当てる方法、清浄化用皮膜形成剤の膜に、吸水性を有する粉末をふりかける方法等が挙げられる。
乾燥は、清浄化用皮膜形成剤が固体となるまで行えばよく、(B)成分の一部が残存していてもよい。
皮膜は、形成された状態(流動性を有さなくなった状態)において、目安として0.05〜10mm程度の厚みを有する膜であることが好ましい。
後で皮膜を剥がす目的のために、清浄化剤をスプレーする前の清浄化対象面、又はスプレー後の流動状態の清浄化用皮膜形成剤の膜に対して、取っ手となる紙又はプラスチック板を設置しておいてもよい。
清浄化対象面に清浄化用皮膜形成剤の膜が形成された段階で、清浄化対象面上の汚れが、清浄化対象面から清浄化用皮膜形成剤の側に取りこまれることで、清浄化対象面から汚れが除去される。また、皮膜を形成する過程、例えば清浄化用皮膜形成剤の膜を乾燥させるために放置している過程でも、清浄化対象面からの汚れの除去が行われる。
このようにして清浄化対象面上の汚れを取りこんだ皮膜を清浄化対象面から剥離することで、清浄化対象面が清浄化される。
清浄化対象面に形成された皮膜の剥離は、例えば、皮膜の端を指でつまんではがす等によりごく容易に行うことができる。又はヘラ、竹串等の先端が鋭利な道具を使用して、清浄化対象面から皮膜を剥離してもよい。又は上述のように取っ手となる紙又はプラスチック板を設置しておいた場合は、皮膜の形成にしたがってこの取っ手が皮膜と一体化しているので、取っ手をつまんで皮膜を剥離してもよい。これらの操作の2種以上を併用してもよい。
皮膜が硬く剥がれにくい場合は、皮膜が再び流動化しない程度まで水を吹き付け、柔らかくなった皮膜を上記のようにして剥離してもよい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本実施例において「%」、「部」はそれぞれ、特に断りがない限り「質量%」、「質量部」を示す。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
<(A)成分>
A−1:ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、製品名:エスレック(登録商標)BM−1、10%溶液粘度(25℃):80mPa・s、ガラス転移温度:67℃)。
A−2:ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、製品名:エスレック BL−1、10%溶液粘度(25℃):10mPa・s、ガラス転移温度:66℃)。
A−3:ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、製品名:エスレック BM−5、10%溶液粘度(25℃):190mPa・s、ガラス転移温度:67℃)。
<(A)成分の比較品>
A−4:ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、製品名:クラレポバール217、10%溶液粘度(25℃):500mPa・s)。
A−5:アクリル酸エステル共重合体のエマルション(昭和電工株式会社製、製品名:ポリゾール(登録商標)AP604、固形分:40%、粘度:100mPa・s、ガラス転移温度:8℃)。
<(B)成分>
B−1:95%エタノール(関東化学社製、純度93.8%、SP値=12.7)。
B−2:2−プロパノール(関東化学社製、SP値=11.2)。
<(B)成分の比較品>
B−3:1−デカノール(関東化学社製、SP値=20.5)。
<(C)成分>
C−1:ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(日本乳化剤株式会社製、製品名:ヘキシルジグリコール、SP値=9.7)。
C−2:エチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、製品名:ブチルグリコール、SP値=10.2)。
C−3:ジエチレングリコールジブチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、製品名:ジブチルジグリコール、SP値=8.3)。
C−4:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(関東化学株式会社製、製品名:ジブチルジグリコール、SP値=9.0)。
<(C)成分の比較品>
C−5:プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製、SP値=14.7)。
<(D)成分>
D−1:ポリオキシエチレン(9)アルキルエーテルリン酸エステル(東邦化学株式会社製、製品名:フォスファノール(登録商標)RS710、式(d1)中のRが炭素数12〜15のアルキル基、付加モル数pが9、qが1、Mが水素原子である化合物)。
D−2:ポリオキシエチレン(3)ステアリルエーテルリン酸エステル(東邦化学株式会社製、製品名:フォスファノールRL310、式(d1)中のRが炭素数18のアルキル基、付加モル数pが3、qが1、Mが水素原子である化合物)。
D−3:ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテルリン酸エステル(東邦化学株式会社製、製品名:フォスファノールML220、式(d1)中のRが炭素数12のアルキル基、付加モル数pが2、qが1、Mが水素原子である化合物)。
D−4:ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、製品名:KF351A)。
<他の成分>
水:精製水。
香料:ミント系香料。
色素:ダイレクトブルー86。
<実施例1〜16、比較例1〜6>
表1〜2に示す配合に従って、以下の手順で清浄化用皮膜形成剤(以下、「内容液」ともいう。)を得た。
300mLのビーカーに、(B)成分の一部((B)成分の全量のうち60質量%)を投入し、マグネチックスターラー(日伸理化製:SW−R800、1200rpm)で撹拌しているところへ、(A)成分を投入し、25℃、180分間攪拌した。次に、予め混合しておいた(B)成分の残部及び(C)成分の混合液を加え、30分間攪拌した。次に、(D)成分、水、色素、香料を加え、30分間攪拌して、内容液を得た。
表1〜2中、(A)成分の含有量は固形分量である。水の「バランス」は、内容液の全量が100%となる量である。「A+C+D」は、(A)成分と(C)成分と(D)成分との合計量(%)である。「B+D」は、(B)成分と(D)成分との合計量(%)である。
得られた内容液を、下記の仕様のエアゾール容器に移し、さらに噴射剤(LPG/DME=30/70(質量比))を、内容液/噴射剤=70/30(質量比)となるように封入して、清浄化剤がエアゾール容器に充填されたエアゾール製品を製造した。
「エアゾール容器の仕様」
噴射容器:φ35mm×110mm(アルミ缶)肩形状Dタイプ TPL−419コート4型(武内プレス工業株式会社製)。
バルブ:S13−N720HG716ALL2−B 26”、倒立仕様バルブ、ステム孔径φ0.5mm、ハウジング3箇所窓付き(株式会社三谷バルブ製)。
ボタン:FD257W”3”/CV−804−N”6”(株式会社三谷バルブ製)。
得られたエアゾール製品について、以下の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
(清浄化能力の評価)
黒土(株式会社マルケイ製)を約100mg計り、水道水0.5gを加えてスパチュラで均一に混合して泥を調製した。この泥を、ABS樹脂製ドアレール(商品名SFA−R04/L、株式会社ミスミ製、幅1cm×長さ10cm)の表面に付着させ、自然乾燥させることで泥汚れを形成した。
次に、上記泥汚れが形成された表面の10cmの面積の範囲に、上記エアゾール製品を用いて、厚み0.1〜0.3mmの皮膜が形成される量の清浄化剤をスプレーし、室温で24時間放置して皮膜を形成した。その後、皮膜を剥離した。
皮膜を剥離した際の剥離面(清浄化対象面)の汚れ落ちの程度を下記の評価基準で目視評価(N=10)し、平均点を評価点数とした。評価点数が3点以上を合格とした。
清浄化能力の評価基準:
5点:汚れ落ちが非常に良好。
4点:汚れ落ちが良好。
3点:汚れ落ちにむらがある。
2点:若干汚れが落ちる程度。
1点:ほとんど汚れが落ちない。
(低温時使用性の評価)
黒土(株式会社マルケイ製)を約100mg計り、水道水0.5gを加えてスパチュラで均一に混合して泥を調製した。この泥を、一般家庭用のアルミニウム製サッシレール(幅2cm×長さ5cm)の表面に付着させ、自然乾燥させることで泥汚れを形成した。
次に、上記泥汚れが形成された表面の10cmの面積の範囲に、上記エアゾール製品を用いて、厚み0.1〜0.3mmの皮膜が形成される量の清浄化剤をスプレーし、3℃の恒温室にて、皮膜が形成されるまで保管した。その後、3℃の恒温室内にて、皮膜を剥離した。
皮膜を剥離した際の皮膜の破れ状態、剥離面(清浄化対象面)の汚れ落ちの程度を下記の評価基準で目視評価(N=10)し、平均点を評価点数とした。評価点数が3点以上を合格とした。
低温時使用性の評価基準:
5点:皮膜が破けることなく、汚れ落ちは良好である。
4点:皮膜が破けることがあったが、残ることが無く、汚れ落ちは良好である。
3点:皮膜が破けることがあり、一部残ることがあったが、汚れ落ちは良好である。
2点:皮膜が破けることがあり、汚れも残っている。
1点:皮膜を剥がすことができない。
(変色防止力の評価)
ABS樹脂製のプレート及び塩化ビニル樹脂製のプレートを用意した。各プレート上の10cmの面積の範囲に、厚み0.1〜0.3mmの皮膜が形成される量の清浄化剤をスプレーし、室温で168時間放置して皮膜を形成した。その後、皮膜を剥離した。
皮膜を剥離した際の剥離面(清浄化対象面)の外観変化(変色)の程度を下記の評価基準で目視評価(N=10)し、平均点を評価点数とした。評価点数が3点以上を合格とした。
なお、本実施例においては、ABS樹脂製のプレートの評価結果と塩化ビニル樹脂製のプレートの評価結果とは同じであった。
変色防止力の評価基準:
5点:変化していない。
4点:目を凝らすと変化を視認できるが、気にならない。
3点:変化を視認できるが、気にならない。
2点:変化を視認でき、やや気になる。
1点:変化を視認でき、かなり気になる。
Figure 2019065250
Figure 2019065250
実施例1〜16の清浄化剤は、清浄化能力、低温時使用性及び変色防止力に優れていた。
比較例1〜2の清浄化剤は、(A)成分としてポリビニルアセタール樹脂以外の樹脂を用いたため、清浄化能力及び低温時使用性に劣っていた。比較例3の清浄化剤は、(B)成分として炭素数10のアルコールを用いたため、清浄化能力及び低温時使用性に劣っていた。比較例4の清浄化剤は、(C)成分としてSP値が11.0超の有機溶剤を用いたため、清浄化能力に劣っていた。比較例5の清浄化剤は、(C)成分を含まないため、清浄化能力及び低温時使用性に劣っていた。比較例6の清浄化剤は、(D)成分を含まないため、変色防止力に劣っていた。

Claims (6)

  1. 清浄化用皮膜形成剤及び噴射剤からなる皮膜形成型エアゾール清浄化剤であって、
    前記清浄化用皮膜形成剤が、
    (A)成分:ポリビニルアセタール樹脂と、
    (B)成分:炭素数1〜4のアルコールと、
    (C)成分:溶解度パラメーター(SP値)が7.5〜11.0である有機溶剤と、
    (D)成分:リン酸エステル型界面活性剤、シリコーン、及びフッ素型界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分と、
    を含有することを特徴とする皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
  2. 前記(A)成分/(前記(C)成分及び前記(D)成分の合計)で表される質量比が2〜10である請求項1に記載の皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
  3. 前記(B)成分/前記(D)成分で表される質量比が10〜200である請求項1又は2に記載の皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
  4. 前記(C)成分がグリコールエーテル系溶剤である請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
  5. 前記(D)成分がポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膜形成型エアゾール清浄化剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膜形成型エアゾール清浄化剤を清浄化対象面にスプレーし、前記清浄化対象面上に前記清浄化用皮膜形成剤により皮膜を形成し、次いで前記皮膜を前記清浄化対象面より剥離することにより前記清浄化対象面の清浄化処理を行うことを特徴とする清浄化処理方法。
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