JP2019065106A - 平版印刷インキ用樹脂および平版印刷インキ - Google Patents

平版印刷インキ用樹脂および平版印刷インキ Download PDF

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Abstract

【課題】印刷時において、インキ転移性に優れ、濃度の変動の無い、着肉良好な印刷物を得ることが可能な平版印刷インキ用樹脂およびそれを含有させた平版印刷インキ用ワニス、平版印刷インキの提供。【解決手段】ロジン類(a)と、植物油(b)と、レゾール型フェノール樹脂(c)と、ポリオール(d)との反応物であるロジン変性フェノール樹脂(E)であって、ロジン類(a)が、ジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)、ならびに、ジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)をα、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とするロジン変性フェノール樹脂(E)。【選択図】なし

Description

本発明は、書籍、チラシ、カタログ、新聞等の印刷物に使用される平版印刷インキ(以下、「インキ」と略す。)に使用する樹脂に関することであり、インキの転移性を向上させ、基材上へのインキ着肉が良好かつ、広範な印刷条件に対応するロジン変性フェノール樹脂に関するものである。
平版印刷インキは5〜100Pa・sの比較的粘度の高いインキである。平版印刷機の機構は、インキが印刷機のインキ壺から複数のローラーを経由して版面の画線部に供給され、湿し水を使用する印刷では非画線部に湿し水が供給され、湿し水無し平版印刷では非画線部がシリコン層でできておりインキを反発し紙上に画像が形成される。
近年では、印刷時の省人、省力化、自動化、高速化の要求が高まってきており、特に印刷スピードは益々高速化してきている。そして、様々な印刷条件下に於いてトラブルレスで長時間安定して高品位な印刷物が得られるインキが望まれている。高品位印刷物の条件として特に基材への着肉が良好なインキの要望が強い。
基材への着肉が劣化する要因として、印刷時にインキの転移性が悪く、基材に印刷されたインキ膜厚が低下することが挙げられる。また、基材が用紙の場合、インキ転移性が悪いとブランケット、インキローラー、版面に紙繊維が付着し、着肉不良などの紙面品質の低下を引き起こすだけでなく、ローラー洗浄や版交換など生産性の著しい低下も引き起こす。
従来、平版印刷において着肉を向上させる方法として、インキのタック値を低減させ、紙繊維の脱落を防ぐ方法がとられてきた。タック値低減の方法として様々な改良がされており、炭酸カルシウム、有機ベントナイト、二酸化珪素等の体質顔料を通常量より多く練りこみ、タック値を下げる検討がされているが、低タック化には効果があるものの、インキの流動性の低下、転移性の劣化による濃度ムラを招くおそれがある。また、体質顔料は一般に硬くて微分散が難しく、インキ中に粗大粒子が残る場合があり、粗大粒子が、印刷機の版、ブランケット厚胴、ガイドロール等に悪影響を与え、版磨耗の促進、堆積することによる画線かすれ、こすれ汚れ等の印刷不良の原因となる。
また、インキのタック値を下げ、着肉を向上させる方法として、特許文献1に示されるようにポリブデン、ポリブタジエンを含有させると、インキ粘度と流動性の調整が困難になり、インキ転移性を低下させる原因となる。
オフセット印刷インキ用ワニス中に含有させる樹脂としては、優れた印刷適性から一般的にロジン変性フェノール樹脂を使用しているが、ワニス化する際に用いられるゲル化剤量を、通常より多く配合することで、ワニスに含まれる樹脂比率を下げ、タック低減を狙った検討が行われてきたが、インキが過度に乳化しやすくなり、水棒絡み、転移性低下、ローラー剥げ等の印刷トラブルが発生する原因となる場合がある。
また、ワニスに使用されている樹脂自体を高分子化することにより、ワニス中の樹脂比率を下げ、タック値低減を狙った検討も行われてきた。しかし、特許文献2、3に示されるように、高分子量樹脂の使用では、溶解性・流動性が低下し、転移不良による濃度変動、光沢の低下など、印刷物の品質低下を引き起こす。
さらに、今日の印刷市場では、用いる印刷機、湿し水、用紙など、印刷環境は様々であるが、特に印刷時の水量変化に対する濃度変動の小さいインキは、高品位な印刷物の提供が可能となり、印刷現場の生産性向上に貢献できる。
一方、高速印刷の際に発生しやすい多量のインキミストを改善するために、ジヒドロアガチン酸を0.4〜10%含有するロジン類を反応させたロジン変性フェノール樹脂を用いた印刷インキが特許文献4に提案されているが、印刷機上でのインキ転移性や印刷挙動に関する記載は無く、市場で望まれている着肉が良好かつ、濃度変動の小さいインキの提供には至っていない。
特開2008−255181号公報 特開2002−322411号公報 特開2008−156429号公報 国際公開第2010/098240号
平版印刷インキの長時間印刷時において、インキ転移性に優れ、水量変化に対する濃度変動の小さい、着肉良好な印刷物を得ることが可能となる平版印刷インキ用樹脂の提供を目的とする。
上記課題を解決するために誠意研究した結果、以下に定める素材により作製したロジン変性フェノール樹脂を平版印刷インキに用いることで、印刷時のインキ転移性に優れ、水量変化に対する濃度変動の小さい、着肉良好な印刷物を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ロジン類(a)と、植物油(b)と、レゾール型フェノール樹脂(c)と、ポリオール(d)との反応物であるロジン変性フェノール樹脂(E)であって、
ロジン類(a)がジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)、ならびに、ジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)をα、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とするロジン変性フェノール樹脂(E)に関する。
さらに本発明は、
ロジン類(a)35〜90重量%と、
植物油(b)1〜20重量%と、
レゾール型フェノール樹脂(c)3〜60重量%と、
ポリオール(d)2〜20重量%と
の反応物であることを特徴とする上記ロジン変性フェノール樹脂(E)に関する。
さらに本発明は、重量平均分子量が5,000〜100,000であることを特徴とする上記ロジン変性フェノール樹脂(E)に関する。
さらに本発明は、上記ロジン変性フェノール樹脂(E)と、植物油(F)とを含むことを特徴とする平版印刷インキ用ワニス(G)に関する。
さらに本発明は、植物油(F)が、含水率0.3%重量%以下であり、ヨウ素価90以上であり、酸価3以下であることを特徴とする上記平版印刷インキ用ワニス(G)に関する。
さらに本発明は、上記ロジン変性フェノール樹脂(E)を含有することを特徴とする平版印刷インキに関する。
さらに本発明は、上記平版印刷インキを基材に印刷してなる印刷物に関する。
本発明により、インキ転移性に優れ、水量変化に対する濃度変動の小さい、着肉良好な印刷物を得ることが可能となる。
本発明におけるロジン類(a)とは、ジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)、ならびに、ジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)をα、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)から選ばれる少なくとも1つであり、(a1)と(a2)は併用しても良い。
まず、ジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)について説明する。
本発明のジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)は、樹脂酸としてジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類であれば特に限定されず用いることができる。ジヒドロアガト酸の含有量は、ガスクロマトグラフィーのピーク面積比によって求めることができ、全樹脂酸ピーク面積100%に対するピーク面積比(%)により求めることができる。ジヒドロアガト酸量は4〜15重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜15重量%である。
ロジン類(a1)としては、ジヒドロアガト酸を含有するロジンであれば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、メルクシロジンなどの天然ロジン、該天然ロジンから誘導される重合ロジン、天然ロジンや重合ロジンを不均化または水素添加して得られる安定化ロジンなどを用いても良い。これらロジン類(a1)は、単独または併用して使用することができ、併用する場合は、ロジン類(a1)全量中のジヒドロアガト酸の合計量が本発明の範囲内であれば良い。
次に、α、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)について説明する。
α、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)とは、上記ロジン類(a1)に、α、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物を付加して得られる変性ロジンのことである。例えばマレイン酸変性ロジン、無水マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、イタコン酸変性ロジン、クロトン酸変性ロジン、ケイ皮酸変性ロジン、アクリル酸変性ロジン、メタクリル酸変性ロジンなど、またはこれらに対応する酸変性重合ロジンがあげられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
α、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)は、全ロジン類(a1)100重量部に対し、α、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物を0.1〜20.0重量部用いて変性したものが好ましい。α、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物は0.5〜15.0重量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜10.0重量部である。
本発明における植物油(b)とは、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセリライドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するトリグリセリライドである。例として、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油等が挙げられる。
また、植物油(b)として、回収、再生処理された植物油を用いても良い。回収植物油の再生処理方法としては、濾過、静置による沈殿物の除去、および活性白土等による脱色といった方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
植物油(b)としては、含水率を0.3重量%以下、ヨウ素価90以上が好ましく、より好ましくはヨウ素価100以上である。含水率を0.3重量%以下にすることにより、水分に含まれる塩分などイオン化物質の樹脂合成に与える影響を除去できる。また、ヨウ素価を90以上とすることで、乾燥性、すなわち酸化重合性の良いものとすることが可能となる。
植物油(b)をロジン変性フェノール樹脂(E)に導入することで、植物油(b)を構成する脂肪酸が、樹脂とワニス用溶剤、インキ用溶剤との相溶性を向上し、印刷機上でのインキの乳化挙動を安定化させ、インキ転移性を維持しつつ、濃度変動の抑制が可能となる。
本発明のレゾール型フェノール樹脂(c)は、常法により得ることが出来る。合成方法の一例としては、フェノール類とアルデヒド類を仕込み、揮発性有機溶剤(キシレンなど)を添加し、金属酸化物触媒またはアルカリ触媒存在下で縮合反応させることにより得られる。フェノール類とアルデヒド類の比率が通常mol比で、1.0〜4.0が好ましく、更に好ましくは1.5〜3.0であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム等の金属水酸化物触媒の存在下または、有機アミンなどのアルカリ触媒の存在下で常圧または加圧下で付加・縮合して得られる各種公知の縮合物が用いられる。
フェノール類としては、フェノール水酸基を持つすべての芳香族化合物が使用でき、石炭酸、クレゾール、p−アミルフェノール、ビスフェノールA、p−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ドデシルフェノール等が挙げられるが、中でもアルキル置換基の炭素数が9以下のフェノール類が転移性向上効果を発現しやすく好ましい。さらに好ましくは、アルキル置換基の炭素数が4以下である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等があげられる。
本発明におけるポリオール(d)は、2価アルコールとして、直鎖状アルキレン2価アルコールである1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール等が、分岐状アルキレン2価アルコールである2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ジメチルペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等、
環状アルキレン2価アルコールとして、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、水添カテコール、水添レゾルシン、水添ハイドロキノン等、
さらに、ポリエチレングリコール(n=2〜20)、ポリプロピレングリコール(n=2〜20)、ポリテトラメチレングリコール(n=2〜20)等のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等があげられる。
さらに、3価以上のアルコールとして、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、トリメチロールオクタン、ジグリセリン、ジトリメチロ−ルプロパン、ジペンタエリスリト−ル、ソルビトール、イノシトール、トリペンタエリスリトール等があげられる。
本発明でのロジン変性フェノール樹脂(E)は、重量固形分基準で、仕込み固形分処方量全体(ただし、ポリオールは固形分として算入する。以下同じ)に対し、ロジン類(a)35〜90重量%が好ましく、植物油(b)1〜20重量%が好ましく、レゾール型フェノール樹脂(c)3〜60重量%が好ましい。ロジン類(a)が35重量%以上で、レゾール型フェノール樹脂(c)が60重量%以下であると、合成樹脂がゲル化し難くなり反応制御が容易である。また、ロジン類(a)が90重量%以下で、レゾール型フェノール樹脂(c)が3重量%以上であると、インキに必要な粘度および弾性を得られ易くなる。また、植物油(b)を1〜20重量%の範囲で用いることで、インキ転移性と濃度変動抑制、着肉性を好適なものとすることができる。
本発明のロジン変性フェノール樹脂(E)の製造方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば反応釜にロジン類(a)を120〜200℃で加熱溶解し、そこに植物油(b)を添加し、180〜250℃でレゾール型フェノール樹脂(c)を添加し、180〜280℃で1〜30時間反応させる。その後ポリオール(d)、必要に応じて触媒を添加し、150〜300℃で1〜30時間エステル化反応させる方法や、反応釜にロジン類(a)を120〜200℃で加熱溶解し、そこに植物油(B)を添加し、ポリオール(d)、必要に応じて触媒を添加し、150〜300℃で1〜30時間エステル化反応させ、180〜280℃でレゾール型フェノール樹脂(c)を添加し、180〜300℃で1〜20時間反応させる方法があげられる。
ロジン類(a)にα、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)を用いる場合は、ロジン類(a1)を120〜200℃で加熱溶融し、そこにα、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物を添加し、0.5〜10時間反応させ、α、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)を得る方法があげられる。
前記触媒としては、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、硫酸、塩酸等の鉱酸、トリフルオロメチル硫酸、トリフルオロメチル酢酸等が例示できる。さらに、テトラブチルジルコネート、テトライソブチルチタネート等の金属錯体、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の金属塩触媒等も使用可能である。これら触媒は、全樹脂中0.01〜5重量%の範囲で通常使用される。触媒使用による樹脂の着色を抑制するために、次亜リン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリフェニルホスフィン等を併用することもある。
上記の方法によって得られたロジン変性フェノール樹脂(E)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(ポリスチレン換算、溶媒:テトラヒドロフラン)、5,000〜100,000が好ましく、より好ましくは5,000〜60,000である。5,000以上であるとインキの粘弾性が好適で、印刷時の汚れの発生を抑制できる。100,000以下であると、インキ転移性が好適となる。
本発明におけるロジン変性フェノール樹脂(E)の溶解性は、特定の混合溶剤における白濁温度によって求めることができる。
ここで、特定の混合溶剤とは、AFソルベント7号(JXエネルギー社製)8重量部に対して、植物油脂肪酸ブチルエステルを1重量部混合させた溶剤であり、白濁温度とは、樹脂10重量部と、特定の混合溶剤90重量部とを加熱混合した際に、白濁する下限の温度をいう(それ以上の温度では白濁が観測されない)。
本発明におけるロジン変性フェノール樹脂(E)の溶解性は、特定の混合溶剤において、40℃〜150℃が好ましく、より好ましくは50℃〜130℃である。白濁温度が40℃未満であると、インキのタックが高くなり、印刷紙面の着肉が劣化する。150℃を上回ると、インキ流動性が劣化する。
本発明におけるロジン変性フェノール樹脂(E)の酸価は、5〜40mgKOH/gが好ましく、より好ましくは10〜35mgKOH/gである。酸価を前記範囲内とすることで、インキにしたときの乳化適正が好適となり、地汚れの発生を抑制できる。
本発明の平版印刷インキ用ワニス(G)は、ロジン変性フェノール樹脂(E)と、植物油(F)とを含むものである。
本発明の平版印刷インキ用ワニス(G)におけるロジン変性フェノール樹脂(E)の含有量は、ワニス全量に対し、10〜75重量%が好ましく、20〜60重量%が更に好ましく、35〜55重量%が特に好ましい。
本発明における植物油(F)は、各種公知のものを限定無く使用することができるが、回収、再生処理された植物油(f)を用いることが好ましい。
植物油(F)としては、具体的には、アマニ油、キリ油、大豆油、サフラワー油、脱水ヒマシ油等の植物油、または、これら植物油の熱重合油、酸化重合油がある。また、アマニ油脂肪酸メチル、大豆油脂肪酸メチル、アマニ油脂肪酸エチル、大豆油脂肪酸エチル、アマニ油脂肪酸プロピル、大豆油脂肪酸プロピル、アマニ油脂肪酸ブチル、大豆油脂肪酸ブチル、アマニ油脂肪酸イソブチル、大豆油脂肪酸イソブチル等といった、植物油のモノエステルも本発明でいう植物油(F)に含まれる。これらは単独で用いても2種類以上を適宜併用しても良い。
植物油(F)としては、含水率を0.3重量%以下、ヨウ素価90以上が好ましく、より好ましくはヨウ素価100以上である。
植物油(F)として再生処理された植物油(f)を用いる場合の回収植物油の再生処理方法としては、濾過、静置による沈殿物の除去、および活性白土等による脱色といった方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
植物油(F)として再生処理された植物油(f)を使用することは、廃棄物の削減やCO2排出量の削減が可能となり、環境負荷を低減できるが、これまではインキ転移性や濃度変動抑制など、印刷に必須の性能を確保することが困難であった。しかし、本発明におけるロジン変性フェノール樹脂(E)と組合わせて平版インキ用ワニス(G)とすることにより、インキの乳化状態を適正に保つことが可能で、インキ転移性良化と濃度変動抑制の両立が可能である。
本発明の平版印刷インキ用ワニス(G)における植物油(F)の含有量は、ワニス全量に対し、5〜80重量%が好ましく、15〜70重量%が更に好ましい。さらに、植物油(F)の含有量は、印刷の乾燥機構によって最適量は異なり、例えば、オフセット輪転印刷に代表される熱風乾燥方式であれば、15〜35重量%が特に好ましく、枚葉印刷に代表される、酸化重合乾燥方式であれば、20〜50重量%が特に好ましい。また、新聞印刷に代表される、浸透乾燥方式であれば、20〜60重量%が特に好ましい。上記範囲内にて植物油(F)を含有することで、乾燥性と転移性を両立させることができる。
本発明における平版印刷インキ用ワニス(G)は、ロジン変性フェノール樹脂(E)、植物油(F)、石油系溶剤、ゲル化剤、その他の添加剤、をワニス全体に対して、ロジン変性フェノール樹脂(E)10〜75重量%、植物油(F)5〜80重量%、石油系溶剤0〜80重量%、ゲル化剤0〜4重量%、その他添加剤0〜3重量%の組成比としたものである。その他添加剤としては、酸化防止剤などが挙げられる。また、本発明以外の方法により製造したロジン変性フェノール樹脂や石油樹脂等、その他の樹脂を併用することもできる。
平版印刷インキ用ワニス(G)に用いられる石油系溶剤としては、従来公知の印刷インキ用溶剤を特に限定無く使用することができる。具体的には例えば、JXエネルギー社製の0号ソルベント、4号ソルベント、5号ソルベント、6号ソルベント、7号ソルベント、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号等があげられる。これらは単独で用いても、2種類以上を適宜併用しても良い。特に環境対策として、芳香族炭化水素の含有率が1重量%以下であるアロマフリーソルベントを使用することが好ましい。
前記ゲル化剤としては、例えば、オクチル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムジブトキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムトリアセチルアセテートなどの各種公知な物を使用できる。
平版印刷インキ用ワニス(G)は各種公知の方法にて製造することができる。たとえば、上記各成分を100〜250℃、好ましくは120〜200℃で加熱溶解し、製造することができる。
この平版印刷インキ用ワニス(G)、顔料、石油系溶剤および添加剤により平版印刷インキが製造される。本発明で使用される顔料としては、酸化チタンなどの白顔料、ミネラルファーネスイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS,ハンザイエローG,キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG,タートラジンレーキなどの黄顔料、インダスレンブリリアントオレンジRK、ピラゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどの橙色顔料、パーマネントレッド4R、リオノールレッド、ピラロゾンレッド、ウオッチングレッツドカルシウム塩、レーキレッドD,ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどの赤色顔料、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどの紫色顔料、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどの青色顔料、ピグメントグリーンB、マラカイドグリーンレーキ、ファイナスイエリーグリーンGなどの緑色顔料、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラックなどの黒色顔料などが挙げられる。
また、平版印刷インキ中への、その他添加剤として、耐摩擦、ブロッキング防止、スベリ、スリキズ防止を目的とする各種添加剤を使用することができ、必要に応じて、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、等を添加してもよい。
本発明の平版印刷インキの組成の一例としては、
・本発明により製造される平版印刷インキ用ワニス(G) 5〜75重量%
・植物油(F) 5〜80重量%
・石油系溶剤 0〜80重量%
・顔料 5〜40重量%
・その他の樹脂ワニス 0〜40重量%
・その他添加剤 0〜5重量%
などが好ましい組成として挙げられる。その他の樹脂ワニスとは、一般的に平版印刷インキ組成物に用いられる、本発明以外のロジン変性フェノール樹脂ワニスあるいは石油系樹脂ワニスあるいはアルキッド樹脂を表す。
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、本発明において、特に断らない限り、「部」は、「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表す。また、本発明において、重量平均分子量は、東ソー(株)製ゲルパーミネイションクロマトグラフィ(HLC−8320)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを、カラムにはTSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)3本を用いた。測定は流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。さらに、本発明において、特に断らない限り、「分子量」とは、重量平均分子量を示す。
また、ロジン類(a)中のジヒドロアガト酸の含有量は、ガスクロマトグラフィーのピーク面積比によって求めることができ、全樹脂酸ピーク面積100%に対するピーク面積比(%)により算出した。測定装置は、アジレント・テクノロジー(株)製ガスクロマトグラフ質量分析計を用いた。ガスクロマトグラフ部は、6890N、質量分析計は、5973Nを使用した。カラムには、HP−5MS 30m×0.25mm id、0.25μmを使用し、キャリアーガスとして、2.0ml/minの流量のヘリウムガスを用いた。検出器条件は、フルスキャン(m/z40−500)、250℃トランスファーラインにて測定した。
また、実施例における白濁温度は、樹脂10重量部と、特定の混合溶剤90重量部とを加熱混合した際に白濁する下限の温度であり、
特定の混合溶剤とは、AFソルベント7号(JXエネルギー社製)8重量部に対して、植物油脂肪酸ブチルエステルを1重量部混合させた溶剤である。
(レゾール型フェノール樹脂の合成例1)
撹拌機、冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコにパラ−t−ブチルフェノール1000部、92%パラホルムアルデヒド480部、98%水酸化カルシウム3部、キシレン961部を加えて、90℃で4時間反応させた。水道水240部を加え、98%硫酸を15部滴下した。撹拌、静置後、上層部を取り出し、不揮発分(固形分)60%のレゾール型フェノール樹脂のキシレン溶液を得て、これをレゾール液Aとした。
(レゾール型フェノール樹脂の合成例2)
攪拌機、還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに、パラオクチルフェノール550部、パラ−t−ブチルフェノール400部、パラノニルフェノール293部 92%パラホルムアルデヒド480部、98%水酸化カルシウム3.7部、キシレン1123部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温し、90℃で4時間反応させた。水道水280部を加え、98%硫酸を20部添加した。撹拌、静置後、上層部を取り出し、不揮発分(固形分)60%のレゾール型フェノール樹脂のキシレン溶液を得て、これをレゾール液Bとした。
樹脂合成には植物油(b)として、以下4点を用いた。
植物油1:含水率0.1%、ヨウ素価220
植物油2:含水率0.1%、ヨウ素価135
植物油3(再生処理した植物油):含水率0.1%、ヨウ素価98
植物油4(再生処理した植物油):含水率0.2%、ヨウ素価120
(樹脂合成例1)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン1(ジヒドロアガト酸を7.0重量%含有する。)580部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、植物油1を45部添加した。その後、200℃でレゾール液A319部(固形分として)を2時間かけて滴下した。次いで、250℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン55部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、12時間反応させ、分子量30000、白濁温度62℃、酸価18の樹脂1を得た。
(樹脂合成例2)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン2(ジヒドロアガト酸を11.0重量%含有する。)580部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、植物油2を53部添加した。その後、200℃でレゾール液A312部(固形分として)を2時間かけて滴下した。次いで、250℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン54部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、10時間反応させ、分子量26000、白濁温度66℃、酸価20の樹脂2を得た。
(樹脂合成例3)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン3(ジヒドロアガト酸を10.5重量%含有する。)560部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、植物油3を45部添加した。その後、200℃でレゾール液A342部(固形分として)を2時間かけて滴下した。次いで、260℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン52部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、12時間反応させ、分子量24200、白濁温度78℃、酸価26の樹脂3を得た。
(樹脂合成例4)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン4(ジヒドロアガト酸を10.8重量%含有する。)556部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、植物油4を50部添加した。その後、200℃でレゾール液A341部(固形分として)を2時間かけて滴下した。次いで、255℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン52部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、11時間反応させ、分子量34000、白濁温度72℃、酸価18の樹脂4を得た。
(樹脂合成例5)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン5(ジヒドロアガト酸を12.0重量%含有する。)552部、中国産ガムロジン(ジヒドロアガト酸を含油しない。)を276部仕込み(全ロジン類(a)中にジヒドロアガト酸を8重量%含有する)、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、植物油3を11部添加した。その後、200℃でレゾール液A92部(固形分として)を1時間かけて滴下した。次いで、265℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン68部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、13時間反応させ、分子量6600、白濁温度148℃、酸価21の樹脂5を得た。
(樹脂合成例6)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン6(ジヒドロアガト酸を13.5重量%含有する。)595部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、無水マレイン酸24部を添加し、180℃で1時間反応させた。その後、植物油3を83部添加し、200℃でレゾール液B230部(固形分として)を1.5時間かけて滴下した。次いで、255℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン67部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、13時間反応させ、分子量52200、白濁温度90℃、酸価29の樹脂6を得た。
(樹脂合成例7)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン2(ジヒドロアガト酸を11.0重量%含有する。)665部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、無水マレイン酸120部を添加し、180℃で1時間反応させた。その後、植物油3を10部添加し、200℃でレゾール液B44部(固形分として)を1時間かけて滴下した。次いで、275℃まで昇温し、撹拌しながらペンタエリスリトール160部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、17時間反応させ、分子量24000、白濁温度146℃、酸価32の樹脂7を得た。
(樹脂合成例8)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン5(ジヒドロアガト酸を12.0重量%含有する。)413部、中国産ガムロジン(ジヒドロアガト酸を含油しない。)を207部仕込み(全ロジン類(a)中にジヒドロアガト酸を8重量%含有する)、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、無水マレイン酸37部を添加し、180℃で1時間反応させた。その後、植物油3を58部添加し、200℃でレゾール液A208部(固形分として)を2時間かけて滴下した。次いで、255℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン76部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、11時間反応させ、分子量18000、白濁温度82℃、酸価14の樹脂8を得た。
(樹脂合成例9)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン3(ジヒドロアガト酸を10.5重量%含有する。)479部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、植物油3を144部添加した。その後、200℃でレゾール液B311部(固形分として)を3時間かけて滴下した。次いで、240℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン56部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、16時間反応させ、分子量88500、白濁温度42℃、酸価11の樹脂9を得た。
(樹脂合成例10)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン3(ジヒドロアガト酸を10.5重量%含有する。)290部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、植物油3を55部添加した。その後、200℃でレゾール液B620部(固形分として)を3時間かけて滴下した。次いで、240℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン34部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、15時間反応させ、分子量112000、白濁温度41℃、酸価14の樹脂10を得た。
(樹脂合成例11)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン3(ジヒドロアガト酸を10.5重量%含有する。)340部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、植物油1を226部添加した。その後、200℃でレゾール液B416部(固形分として)を3時間かけて滴下した。次いで、260℃まで昇温し、撹拌しながらペンタエリスリトール17部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、14時間反応させ、分子量38800、白濁温度38℃、酸価42の樹脂11を得た。
(樹脂合成例12)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン3(ジヒドロアガト酸を10.5重量%含有する。)910部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、植物油1を5部添加した。その後、200℃でレゾール液A25部(固形分として)を1時間かけて滴下した。次いで、255℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン59部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、10時間反応させ、分子量4700、白濁温度165℃、酸価44の樹脂12を得た。
(樹脂合成例13)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン5(ジヒドロアガト酸を12.0重量%含有する。)560部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、無水マレイン酸90部を添加し、180℃で1時間反応させた。その後、植物油3を50部添加し、200℃でレゾール液A79部(固形分として)を1時間かけて滴下した。次いで、255℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン220部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、11時間反応させ、分子量42100、白濁温度158℃、酸価6の樹脂13を得た。
(樹脂合成例14)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、中国産ガムロジン(ジヒドロアガト酸を含油しない。)653部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、200℃でレゾール液A280部(固形分として)を2時間かけて滴下した。次いで、250℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン66部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、12時間反応させ、分子量52000、白濁温度12℃、酸価24の樹脂14を得た。
(樹脂合成例15)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン5(ジヒドロアガト酸を12.0重量%含有する。)646部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解した。その後、200℃でレゾール液A278部(固形分として)を2時間かけて滴下した。次いで、255℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン75部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、11時間反応させ、分子量36000、白濁温度62℃、酸価18の樹脂15を得た。
(樹脂合成例16)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン5(ジヒドロアガト酸を12.0重量%含有する。)101部、中国産ガムロジン(ジヒドロアガト酸を含有しない。)を510部仕込み(全ロジン類(a)中にジヒドロアガト酸を2重量%含有する)、窒素を吹き込みながら180℃で融解し植物油3を52部添加した。その後、200℃でレゾール液A266部(固形分として)を2時間かけて滴下した。次いで、260℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン70部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、12時間反応させ、分子量22000、白濁温度70℃、酸価14の樹脂16を得た。
(樹脂合成例17)
撹拌機、水分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、インドネシア産ガムロジン6(ジヒドロアガト酸を13.5重量%含有する。)735部を仕込み、窒素を吹き込みながら180℃で融解し、無水マレイン酸4部を添加し、180℃で1時間反応させた。その後、200℃でレゾール液B185部(固形分として)を1.5時間かけて滴下した。次いで、255℃まで昇温し、撹拌しながらグリセリン85部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、12時間反応させ、分子量16600、白濁温度72℃、酸価19の樹脂17を得た。
樹脂合成例の樹脂1〜17の配合組成、樹脂物性を表1に示す。
ワニス作成には植物油(F)として、以下5点を用いた。
再生植物油I:含水率0.1%、ヨウ素価125
再生植物油II:含水率0.5%、ヨウ素価128
再生植物油III:含水率0.1%、ヨウ素価86
再生植物油IV:含水率0.1%、ヨウ素価118
大豆油:含水率0.1%、ヨウ素価130
<ワニスの実施例、比較例>
撹拌機、水分離器付還流冷却器、温度計付き4つ口フラスコに、ロジン変性フェノール樹脂(樹脂1〜17)を表2に示した配合組成で仕込み、窒素ガスを吹き込みながら190℃にて1時間加熱撹拌してワニス(実施例1〜19、比較例A〜D)を製造した。表2中のALCHはゲル化剤(川研ファインケミカル(株)製ALCH)をさす。
<平版印刷インキの実施例、比較例>
前記方法で得られたワニス1〜19ワニスA〜Dのそれぞれと、カーボン顔料三菱カーボンMA7(三菱化学製)と、石油系溶剤(JXエネルギー社製AFソルベント7号)とを、表2の配合組成にて、常法に従い三本ロールを用いて練肉分散し、実施例1〜19、比較例A〜Dのインキを得た。
実施例および比較例で得られた平版印刷インキについて、下記の方法でインキ転移性、印刷紙面着肉、印刷紙面濃度変化を評価した。評価結果を表3に示す。
オフ輪印刷機三菱重工株式会社製NEO800を用い、一般的な絵柄にて、評価開始時の紙面濃度が1.60となるようインキキーを調整し、以下の印刷条件にて、3000部印刷した。
CTP版:富士フイルム製XP−F
用紙:三菱製紙株式会社製パールコートN
湿し水:東洋インキ株式会社製アクアユニティWKKの2%水溶液
印刷速度:600rpm
チラー設定温度:25℃
水ダイアル値:水幅下限より5%高い値から15%高い値まで1000部ごと、5%刻みで変更
<インキ転移性の評価>
3000部印刷した時のインキ消費量にて評価した。
(評価基準)
◎:320g以上
○:300g以上〜320g未満
△:270g以上〜300g未満
×:270g未満
◎、○、△が市場の要求水準を上回り、×は市場の要求水準を満たさない。
乾燥:熱風乾燥方式
<印刷紙面着肉評価>
上記インキ転移性試験で得られた1000部、2000部、3000部印刷時の印刷物を用いて、目視にて相対評価を行った。
(評価基準)
◎:極めて良好であり、市場の要求水準を大きく上回る
○:良好であり、市場の要求水準を上回る
△:市場の要求水準を満たしている
×:着肉が劣り、市場評価に値しない
<印刷紙面濃度変化評価>
印刷評価開始時の紙面濃度を基準として、印刷終了までの紙面濃度変化率にて評価した。
(評価基準)
◎:紙面濃度変化率3%未満で極めて良好である
〇:紙面濃度変化率5%未満で良好である
△:紙面濃度変化率8%未満で市場要求水準を満たす
×:紙面濃度変化率8%以上で市場評価に値しない
実施例1〜19は比較例に比べ良好な結果を示した。特に実施例1〜4、6,8はインキ転移性並びに印刷紙面の着肉が良好であり、印刷紙面濃度変化率が特に小さかった。
ジヒドロアガト酸を含有せず、植物油(b)を添加しないロジン変性フェノール樹脂を使用した比較例Aは、インキ転移性並びに着肉性が劣り、濃度変化も大きかった。ロジン類(a1)全量中のジヒドロアガト酸含有量が本発明の規定範囲外であるロジン変性フェノール樹脂を使用した比較例Cは、インキ転移性並びに着肉性が劣った。また、ジヒドロアガト酸含有量が本発明の規定範囲内であっても、植物油(b)を添加しないロジン変性フェノール樹脂を使用した比較例B、Dは、紙面濃度変化が大きかった。
以上より、ロジン変性フェノール樹脂(E)を平版印刷インキに用いることで、印刷時のインキ転移性に優れ、水量変化に対する濃度変動の小さい、着肉良好な印刷物が得られることがわかった。
すなわち、本発明は、ロジン類(a)と、植物油(b)と、レゾール型フェノール樹脂(c)と、ポリオール(d)との反応物であるロジン変性フェノール樹脂(E)であって、
ロジン類(a)が、ジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)をα、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)であることを特徴とするロジン変性フェノール樹脂(E)に関する。
さらに本発明は、植物油(F)が、含水率0.3重量%以下であり、ヨウ素価90以上であり、酸価3以下であることを特徴とする上記平版印刷インキ用ワニス(G)に関する。

Claims (7)

  1. ロジン類(a)と、植物油(b)と、レゾール型フェノール樹脂(c)と、ポリオール(d)との反応物であるロジン変性フェノール樹脂(E)であって、
    ロジン類(a)が、ジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)、ならびに、ジヒドロアガト酸を3〜15重量%含有するロジン類(a1)をα、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物で変性したロジン類(a2)から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とするロジン変性フェノール樹脂(E)。
  2. ロジン類(a)35〜90重量%と、
    植物油(b)1〜20重量%と、
    レゾール型フェノール樹脂(c)3〜60重量%と、
    ポリオール(d)2〜20重量%と
    の反応物であることを特徴とする請求項1記載のロジン変性フェノール樹脂(E)。
  3. 重量平均分子量が、5,000〜100,000であることを特徴とする請求項1または2記載のロジン変性フェノール樹脂(E)。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のロジン変性フェノール樹脂(E)と、植物油(F)とを含むことを特徴とする平版印刷インキ用ワニス(G)。
  5. 植物油(F)が、含水率0.3%重量%以下であり、ヨウ素価90以上であることを特徴とする請求項4記載の平版印刷インキ用ワニス(G)。
  6. 請求項1〜3いずれか記載のロジン変性フェノール樹脂(E)を含有することを特徴とする平版印刷インキ。
  7. 請求項6記載の平版印刷インキを基材に印刷してなる印刷物。
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