JP2019064605A - 蓋材および容器 - Google Patents

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Tsutomu Noto
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Abstract

【課題】容器本体の開口部に装着された状態にて、その開封が容易な蓋材、および前記蓋材を含む容器を提供すること。【解決手段】容器本体の開口部に装着される蓋材を、滅菌紙と、前記滅菌紙の一方の面上に直接または他の層を介して位置する強制カール層と、から構成し、この蓋材を100mm×100mmに裁断し、水平な基準面に、前記強制カール層を上にして載置した場合にその両端部が基準面から20mm以上反り返るようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、滅菌紙を用いた蓋材および容器に関する。
従来から、医療器具や医療部材を包装するための容器として、合成樹脂からなる容器本体と、この容器本体の開口部に装着される滅菌性を有する蓋材と、からなる容器が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
このような容器は、容器本体と蓋材とをシールすることで密封状態とし、容器内に包装された医療器具などの滅菌状態を担保している。
そして、医療器具を使用する際には、容器本体から蓋材を剥離して開封することが必要である。現在は、容器本体と蓋材とのシール部分の一部に未シール部を設け、この未シール部を指で摘むなどして、蓋材の剥離を行っている。
特開2011−245734号公報
しかしながら、前記未シール部において、容器本体と蓋材とが静電気などにより仮着状態となってしまうことが多く、開封時に未シール部を摘むことが困難となる場合も少なくない。
このような開封時の問題を解決するために、容器本体における未シール部にエンボス加工を施し、容器本体と蓋材との間に空気が入りやすくすることで蓋材を浮かせ、未シール部を摘みやすくする工夫がなされている場合がある。しかしながら、容器本体にエンボス加工を施すためには、そのための金型が必要となり、コスト高となってしまう。
本発明はこのような状況においてなされたものであり、容器本体の開口部に装着された状態にて、その開封が容易な蓋材、および前記蓋材を含む容器を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本願発明は、容器本体の開口部に装着される蓋材であって、前記蓋材は、滅菌紙と、前記滅菌紙の一方の面上に直接または他の層を介して位置する強制カール層と、を有し、前記蓋材は、100mm×100mmに裁断し、水平な基準面に、前記強制カール層を上にして載置した場合にその両端部が基準面から20mm以上反り返っている、ことを特徴とする。
上記の発明にあっては、前記強制カール層が、アクリル樹脂であってもよい。
また、上記の発明にあっては、前記強制カール層が、透明であってもよい。
また、上記の発明にあっては、前記滅菌紙と前記強制カール層との間、および前記強制カール層上、のいずれか一方または双方に印刷層が位置してもよい。
また、上記の発明にあっては、前記滅菌紙の他方の面上にヒートシール層が位置してもよい。
上記課題を解決するための別の本願発明は、開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部に装着された蓋材と、を含む容器であって、前記蓋材は、上記本願発明の蓋材である、ことを特徴とする。
本願発明の蓋材によれば、その構成中に、蓋材全体を強制的にカールさせるための強制カール層が含まれており、この強制カール層により蓋材の端部が所定量以上反り返っているので、これを容器本体の開口部に装着した際に、反り返った部分を摘むことができるので開封が容易となる。
また、本願発明の容器にあっても、前記本願発明の蓋材が用いられているので、上記と同様の作用効果を奏する。
本願発明の実施形態にかかる蓋材の断面図である。 本実施形態にかかる蓋材の反り返りを説明するための図である。 本実施形態にかかる容器の斜視図である。 本実施形態にかかる蓋材の方向と容器との関係を示す図である。 本実施形態にかかる蓋材の方向と容器との関係を示す図である。
以下、本願発明の実施形態にかかる蓋材および容器について、図面を用いて詳細に説明する。
(蓋材)
図1は、本願発明の実施形態にかかる、蓋材の断面図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる蓋材10は、滅菌紙11と、前記滅菌紙の一方の面(図1においては上面)に直接または他の層を介して位置する強制カール層12とを有している。なお、図1に示す蓋材10にあっては、滅菌紙11と強制カール層12との間に、部分的に印刷層13が位置し、また、滅菌紙11の他方の面(図1においては下面)上には、ヒートシール層14が位置している。
以下に、蓋材10を構成する各層について説明する。
(滅菌紙)
滅菌紙11は、本実施形態にかかる蓋材10における必須の構成となるが、その材質や構造などについては特に限定されることはなく、従来公知の、微生物は通さないがガス透過性を有する滅菌紙から適宜選択して用いることができる。
したがって、滅菌紙11の材質は紙であってもよく不織布であってもよい。より具体的には、例えば、材質が紙の滅菌紙としては、メディカ(王子エフテックス株式会社)やSベラン(特種東海製紙株式会社)などを挙げることができ、材質が不織布の滅菌紙としてはタイベック(DUPONT)を挙げることができる。
(強制カール層)
強制カール層12も、前記滅菌紙11と同様に、本実施形態にかかる蓋材10における必須の構成である。強制カール層12は、強制カール層12自体のカールにより、本実施形態にかかる蓋材10の端部を所望量カールせしめることを目的として設けられる層であり、当該目的として、前記滅菌紙の一方の面上に、直接または他の層を介して設けられる。
このような強制カール層12の材質については特に限定されることはなく、上記目的を達成可能な材質から適宜選択可能であるが、アクリル樹脂であることが好ましい。アクリル樹脂を用いて強制カール層12を形成することにより、所望量のカールを実現できる。
ここで、アクリル樹脂を用いた強制カール層12とは、例えば、アクリル樹脂を水性のバインダーに溶解した、いわゆるアクリル水性インキを塗布・乾燥することにより形成される層である。
また、アクリル樹脂とは、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体からなる合成樹脂であり、従来公知のいわゆるアクリル系樹脂のすべてを含む。
強制カール層12は、透明であることが好ましい。本実施形態にかかる蓋材10においては、強制カール層12を構成する樹脂中に各種色材を添加することで、強制カール層12を着色することも可能である。しかしながら、例えば強制カール層12として前記水性アクリル樹脂を用いた場合などにあっては、この中に色材を添加することにより所望量のカールを得ることが困難となることがあるからである。
なお、強制カール層12が透明であるとは、色材が含有されていないか、含有されていたとしても、その全光透過率が90%以上であることをいう。
強制カール層12の厚さについても特に限定されることはなく、強制カール層12の目的、つまり蓋材10の全体を所望量反り返らせることができる程度のカール力をもつように適宜設計すればよい。したがって、蓋材10全体の層構成や厚さ、さらには強制カール層12の材質によっても、強制カール層12の厚さは異なるが、例えば1μm以下程度としてもよい。
強制カール層12は、前記滅菌紙11の一方の面(図1においては上面)に位置していればよく、滅菌紙11の一方の面上に直接位置していてもよく、図1に示すように印刷層13など、他の層を介して位置していてもよい。いずれの場合であっても、本実施形態にかかる蓋材10は、強制カール層12が位置している側に反り返った状態となる。
強制カール層12の形成方法についても特に限定されることはない。例えば、アクリル水性インキを各種印刷法や各種塗布法を用いて、滅菌紙11の一方の面上に印刷または塗布し、これを適宜乾燥することにより形成することができる。
(印刷層)
印刷層13は、本実施形態にかかる蓋材10においては任意の層であり、必ずしも設ける必要はないが、印刷層13を設けることにより、蓋材10および蓋材10を用いた容器に意匠性を付与したり、容器の内容物についても説明書きなどを付与することができる。
このような印刷層13については、特に限定されることはなく、従来公知の水性インキや溶剤系インキを適宜採用することができ、印刷方法についても特に限定されることはなく、例えばグラビア印刷法やフレキソ印刷法を用いることができる。
また、印刷層13の位置についても特に限定されることはなく、求めれらる意匠性などを考慮して、適宜設計することができる。例えば、図1に示すように、滅菌紙11と強制カール層12の間に設けてもよい。一方で、図示はしないが、強制カール層12上に設けてもよく、さらには、滅菌紙11と強制カール層12の間と、強制カール層上の双方に設けてもよい。なお、印刷層13は、図1に示すように、部分的に設けられていてもよく、一方、図示はしないがベタで設けられていてもよい。
(ヒートシール層)
ヒートシール層14は、前記印刷層13と同様、本実施形態にかかる蓋材10においては任意の層であるが、蓋材10を容器の開口部に装着する際に利用する層である。したがって容器側にヒートシール層が設けられている場合など、何らかの手段により蓋材10を容器の開口部に装着可能であれば、蓋材10に設ける必要はない。図1に示すように、本実施形態にかかる蓋材10においては、ヒートシール層14は、滅菌紙の他方の面(図1においては下側)、つまり上記強制カール層12が位置しない側の面に設けられている。
このようなヒートシール層については、特に限定されることはなく、包装材料や各種容器の分野などにおいて一般的に用いられている各種ヒートシール層から適宜選択できる。例えば、アクリル系樹脂やエチレンビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。
また、その形成方法についても、特に限定されることはなく、例えば、前記アクリル系樹脂やエチレンビニルアルコール系樹脂と、水性または溶剤系の溶媒とからなるヒートシール層形成用インキを用いて形成することができる。
本実施形態にかかる蓋材10にあっては、上記各層のみから構成されているものに限定されることはなく、これら以外の層、例えば帯電防止層や防汚層など、種々の機能をもった機能層を適宜積層可能である。
(蓋材の反り返り)
図2は、本実施形態にかかる蓋材の反り返りを説明するための図である。
図2に示すように、本実施形態にかかる蓋材の反り返りの量を測定するにあっては、100mm×100mmに裁断した蓋材10を、水平な基準面20に、前記強制カール層を上にして載置し、その両端部10aが基準面20から浮いた状態となったら、当該両端部10aの高さhを金尺で測定して平均値をとることにより行われる。なお、測定は、温度20℃±5℃、湿度60%±10%の環境下で行う。
(蓋材の透気度)
本実施形態にかかる蓋材10の透気度については特に限定されず、用いられる用途や要求されるスペックに応じて適宜設計可能であるが、医療器具などの包装に用いられる場合にあっては、1000秒以下程度であることが好ましく、300秒以下程度であることがより好ましい。
なお、前記透気度は、100mm×100mmに裁断した蓋材10を用い、東洋精機製作所社製のガーレ試験機を用いてガーレ式試験法(JIS P 8117:2009)に準じて測定した値である。
(容器)
図3は、本実施形態にかかる容器の斜視図である。
図3に示すように、本実施形態にかかる容器30は、容器本体31と、前記容器本体の開口部に装着された蓋材10を含み、この蓋材10が前記で説明した本実施形態にかかる蓋材10であることに特徴を有している。このような容器30にあっては、図3に示すように、容器本体31と蓋材10との未シール部32において、蓋材10が反り返っているので、当該部分を摘むことができ、開封が容易となる。
(容器本体)
このような容器30を構成する容器本体31については、特に限定されることはなく、その形状や材質にあっては、用途などに応じて適宜設計可能である。
例えば容器本体31の材質としては、各種ポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂)、各種ポリプロピレン樹脂(延伸ポリプロピレン樹脂、無延伸ポリプロピレン樹脂)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、各種ナイロン樹脂(延伸ナイロン樹脂、無延伸ナイロン樹脂)などを挙げることができ、これらの樹脂単層から構成されていてもよく、2以上の樹脂からなる層を積層した積層構造であってもよい。
図4と図5は、本実施形態にかかる蓋材の方向と容器との関係を示す図である。
図4(a)や図5(a)に示すように、蓋材10を製造する場合には、長尺状の蓋材用原反100を形成し、これを必要な寸法に裁断することで蓋材10を製造することが行われる。この場合において、長方形の蓋材10を製造するにあっては、図4(a)に示すように、長尺状の蓋材用原反100の幅方向(図4(a)および図5(a)においては横方向)と蓋材10の長辺10xを揃える、いわゆる「横取り」と、図5(a)に示すように、長尺状の蓋材100の幅方向と蓋材10の短辺10yを揃える、いわゆる「縦取り」とがある。
本実施形態にかかる蓋材10と容器30との関係は、前記「横取り」および「縦取り」の何れであってもよく、またこれ以外であってもよいが、図4(b)および図(b)に示すように、横取り(図4)を採用すると、縦取り(図5)を採用した場合と比べて、長方形の蓋材10の短辺10y全体が反り返るので、全体としての反り返り量が大きくなり好適である。
以下に、本願発明の実施例と比較例を示す。
(実施例1)
滅菌紙(メディカ 王子エフテック製 坪量:70g/m2 厚さ:70μm)を準備し、以下に示す印刷層用インキおよび強制カール層用インキを用いて、グラビア印刷機により、滅菌紙の一方の面に、印刷層と強制カール層とをこの順でベタ印刷した(印刷層と強制カール層の厚さは、ともに約1μm)。次いでインラインで反転して、滅菌紙の他方の面に、以下に示すヒートシール層用インキを用いて、5g/m2となるようにヒートシール層をベタ印刷することで、実施例1の蓋材を得た。
<印刷層用インキ>
・ポリアミド系インキ(サイヤスHR DICグラフィックス社)
<強制カール層用インキ>
・アクリル系水性インキ(SPアンチカール剤W−2E DICグラフィックス社)
<ヒートシール層用インキ>
・エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(M750 DICグラフィックス社)
前記実施例1の蓋材を100mm×100mmに裁断し、その端部の反り返りの量を前記の測定方法にて測定したところ25mmであった。また、実施例1の蓋材の透気度を前記の測定方法にて測定したところ30秒/100ccであった。
(比較例1)
強制カール層を形成しなかったことを除き、すべて実施例1と同一条件にて、比較例1の蓋材を得た。
前記比較例1の蓋材を100mm×100mmに裁断し、その端部の反り返りの量を前記の測定方法にて測定したところ5mmであった。また、実施例1の蓋材の透気度を前記の測定方法にて測定したところ150秒/100ccであった。
(容器本体)
低密度ポリエチレン樹脂、アイオノマー樹脂、低密度ポリエチレン樹脂がこの順で積層されており、その厚さが130μmの積層フィルムを準備し、この積層フィルムを成型して容器本体を得た。
(容器)
前記容器本体の開口部に、前記実施例1および比較例1の蓋材をヒートシールによって装着することで、未シール部を有する実施例1の容器と、未シール部を有する比較例1の容器を得た。
(評価)
前記実施例1の容器と比較例1の容器それぞれにおける、未シール部を確認したところ、実施例1の容器にあっては、蓋材が容器本体から1mm浮いた状態となっており、容易に摘んで開封することができたのに対し、比較例1の容器にあっては、蓋材と容器本体との間に隙間がなく、開封が困難であった。
以上の実施例および比較例からも、本願発明の実施例にかかる蓋材およびこれを用いた容器は、開封が容易であることが分かった。
10…蓋材
11…滅菌紙
12…強制カール層
13…印刷層
14…ヒートシール層
30…容器
31…容器本体

Claims (6)

  1. 容器本体の開口部に装着される蓋材であって、
    前記蓋材は、滅菌紙と、前記滅菌紙の一方の面上に直接または他の層を介して位置する強制カール層と、を有し、
    前記蓋材は、これを100mm×100mmに裁断し、水平な基準面に、前記強制カール層を上にして載置した場合にその両端部が基準面から20mm以上反り返っている、ことを特徴とする蓋材。
  2. 前記強制カール層が、アクリル樹脂である、ことを特徴とする請求項1に記載の蓋材。
  3. 前記強制カール層が、透明である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の蓋材。
  4. 前記滅菌紙と前記強制カール層との間、および前記強制カール層上、のいずれか一方または双方に印刷層が位置する、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の蓋材。
  5. 前記滅菌紙の他方の面上にヒートシール層が位置する、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の蓋材。
  6. 開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部に装着された蓋材と、を含む容器であって、
    前記蓋材は、前記請求項1〜5の何れか一項に記載の蓋材である、ことを特徴とする容器。
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