JP2019063711A - 排水処理システム - Google Patents

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修三 古川
Shuzo Furukawa
修三 古川
喜智 大野
Yoshitomo Ono
喜智 大野
大樹 川越
Hiroki Kawagoe
大樹 川越
小山 聡
Satoshi Koyama
聡 小山
麻利子 奥澤
Mariko Okuzawa
麻利子 奥澤
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Abstract

【課題】食品洗浄装置からの排水を含む汚水を微生物によって浄化する浄化槽の浄化機能の低下を抑制することのできる、排水処理システムを提供する。【解決手段】排水処理システム(1)は、洗浄槽(200)における微生物による汚水の浄化処理の前処理として、塩素成分を含有する電解水を用いて食品を洗浄する食品洗浄装置(100)からの排水を処理するシステムである。この排水処理システムは、食品洗浄装置から排出される、塩素成分が含まれた排水を受入れるタンク(2)と、タンクに貯められた排水に含まれる塩素成分を、物理的挙動によってガスとして揮発させる揮発手段(31)と、タンクに貯められた排水に含まれる塩素成分の殺菌性を、化学的反応によって低減させる殺菌性低減手段(32)とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、塩素成分を含有する電解水を用いて食品を洗浄する食品洗浄装置からの排水を処理する排水処理システムに関し、特に、微生物による汚水の浄化処理の前処理として、食品洗浄装置からの排水を処理するシステムに関する。
従来から、塩素成分を含有する電解水を用いて食品を洗浄する食品洗浄装置が存在する。たとえば国際公開第2016/166862号公報(特許文献1)に記載されている食品洗浄装置は、被洗浄物としての食品を収容し、電解水が供給される洗浄タンクと、食品の洗浄期間に洗浄タンクから流出した電解水が流入する測定容器とを備え、測定容器に溜まった電解水の有効塩素濃度の低下度合に応じて、洗浄の進行度合を判定できるようにしている。
このような食品洗浄装置においては、食品の洗浄期間中に、洗浄タンク内の電解水を常時または定期的に排水する。電解水によって菌などが付着した食品を洗浄することにより、電解水の有効塩素濃度は低下するものの、排水される水には有効塩素(すなわち残留塩素)が含まれる。
残留塩素を低減する技術としては、たとえば特開平7−185565号公報(特許文献2)が挙げられる。特許文献2では、生活系汚水の排水処理として消毒槽において塩素による消毒処理を行い、その後、曝気槽にて排水中の塩素を揮散させて、中和槽においてチオ硫酸ナトリウムを添加して中和処理する技術が提案されている。
国際公開第2016/166862号公報 特開平7−185565号公報
食品洗浄装置が設置されるレストラン等の施設には、施設内で生じた汚水の浄化処理を行うための浄化槽が設けられる。浄化槽では一般的に、槽内に入れられた微生物によって汚水の浄化処理が行われる。
上述のように、食品洗浄装置からの排水には塩素成分が含まれる。そのため、食品洗浄装置からの排水をそのまま浄化槽に流すと、浄化槽内の微生物が死んでしてしまい、浄化槽における汚水の浄化機能が低下してしまうという問題がある。
特許文献2の技術は、単に、汚水の塩素消毒の後に、爆気槽における塩素成分の揮散、中和槽におけるチオ硫酸ナトリウムによる中和処理を順に行うというものであり、食品洗浄装置の排水を処理するためのシステムとしては適用できない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、食品洗浄装置からの排水を含む汚水を微生物によって浄化する浄化槽の浄化機能の低下を抑制することのできる、排水処理システムを提供することである。
この発明のある局面に従う排水処理システムは、微生物による汚水の浄化処理の前処理として、塩素成分を含有する電解水を用いて食品を洗浄する食品洗浄装置からの排水を処理するシステムである。この排水処理システムは、食品洗浄装置から排出される、塩素成分が含まれた排水を受入れるタンクと、タンクに貯められた排水に含まれる塩素成分を、物理的挙動によってガスとして揮発させる揮発手段と、タンクに貯められた排水に含まれる塩素成分の殺菌性を、化学的反応によって低減させる殺菌性低減手段とを備える。なお、化学的反応には化学結合が含まれる。
好ましくは、排水処理システムは、タンク内の排水の有効塩素濃度を検出する濃度検出部と、濃度検出部により検出された有効塩素濃度に基づいて、揮発手段による処理、および、殺菌性低減手段による処理を、選択的に実行する制御手段とをさらに備える。
好ましくは、制御手段は、揮発手段による処理を実行した後で、殺菌性低減手段による処理を実行する。
好ましくは、揮発手段は、超音波による振動、および、ヒータによる加熱の少なくとも1つを含む。
好ましくは、殺菌性低減手段は、アルコール、有機物、およびチオ硫酸ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加する添加手段を含む。
さらに好ましくは、添加手段は、アルコールまたは有機物をタンク内に添加する第1添加手段と、チオ硫酸ナトリウムをタンク内に添加する第2添加手段との双方を含む。
殺菌性低減手段は、アルコールまたは有機物をタンク内に添加する第1添加手段と、チオ硫酸ナトリウムをタンク内に添加する第2添加手段との双方を含み、制御手段は、第2添加手段による添加処理の前に、第1添加手段による添加処理を実行することが望ましい。
好ましくは、排水処理システムは、食品洗浄装置からの排水を前記タンクへと供給するための第1流路と、タンク内の水を、浄化処理を行う浄化槽へと排出するための第2流路とを備える。
本発明によれば、食品洗浄装置からの排水に含まれる塩素成分を低減させた水を、浄化処理のための浄化槽に排出できる。したがって、微生物によって汚水を浄化する浄化槽における浄化機能の低下を抑制することができる。
本発明の実施の形態に係る排水処理システムの構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の実施の形態における濃度検出部の構成を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る排水処理システムの制御部が実行する排水処理を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(構成について)
図1を参照して、本実施の形態に係る排水処理システム1の構成について説明する。
図1に示されるように、排水処理システム1は、食品洗浄装置100から排出される、塩素成分が含まれた排水を受入れるタンク2と、タンク2に貯められた排水に含まれる塩素成分を低減させるための塩素成分低減機構3と、タンク2内の排水の有効塩素濃度を検出する濃度検出部4と、濃度検出部4により検出された有効塩素濃度に基づいて、塩素成分低減機構3を制御する制御部5とを備えている。
食品洗浄装置100は、被洗浄物としての食品(野菜、果物など)を収容する洗浄タンク110を備えている。食品の洗浄期間中、洗浄タンク110には、塩素成分を含有する電解水が、常時または定期的に供給される。洗浄タンク110においては、食品の汚れ度合が大きい程、化学的反応によって塩素成分が低減するため、洗浄タンク110内の電解水の有効塩素濃度の低下度合に基づいて、食品の洗浄終了タイミングが判断できる。
排水処理システム1のタンク2は、浄化槽200の前処理槽である。タンク2は、第1流路11および第2流路12に接続されている。食品洗浄装置100の洗浄タンク110内の水(電解水)が、第1流路11を介してタンク2に供給される。また、タンク2内の水が、第2流路12を介して浄化槽200に排出される。
タンク2に接続された第1流路11および第2流路12には、流路の開閉状態を切り替えるための切替バルブ11a,12aがそれぞれ設けられている。切替バルブ11a,12aは、たとえば電磁弁により構成される。
塩素成分低減機構3は、タンク2内の水の塩素成分を低減させるための複数の手段(技術)を有している。具体的には、タンク2内の排水に含まれる塩素成分を物理的挙動によってガスとして揮発させる揮発手段31と、タンク2内の排水に含まれる塩素成分の殺菌性を、化学的反応(化学結合を含む)によって低減させる殺菌性低減手段32とを有している。
本実施の形態では、揮発手段31は、タンク2内の水に超音波を発生させる超音波発生器により実現される。超音波発生器により発生される超音波による振動によって、タンク2内の水に含まれる塩素成分がガスとして揮発する。
なお、揮発手段31は、タンク2内の水を加温するためのヒータにより実現されてもよい。ヒータは、タンク2内の水を30℃〜40℃程度に加温する。このように、タンク2内の水が温められると、タンク2内の水に含まれる塩素成分がガスとして揮発する。
あるいは、揮発手段31は、超音波発生器およびヒータの双方を含んでもよい。つまり、揮発手段31は、超音波による振動、および、ヒータによる加熱の少なくとも1つを含んでいればよい。
殺菌性低減手段32は、アルコールまたは有機物をタンク2内に添加する第1添加手段33と、チオ硫酸ナトリウムをタンク2内に添加する第2添加手段34とを含む。アルコールは、電解水中の次亜塩素酸とラジカル反応することで、塩素成分の殺菌性を低減させる。有機物は、電解水中の塩素成分と反応し、塩素成分を分解させる。チオ硫酸ナトリウムは、塩素成分を除去するための薬品の一種であり、電解水中の塩素成分と化学反応することにより、塩素成分を除去する。
なお、アルコールはヒドロキシ基の付き方によって3種類(第1級、第2級、第3級)に分類される。本実施の形態において、第1添加手段33がアルコールを添加する場合、電解水中の次亜塩素酸との反応により酸化する第1級アルコールまたは第2級アルコールを添加することが望ましい。第1級アルコールの方が第2級アルコールよりも反応が早いため、第1級アルコールを添加することがより望ましい。第1級アルコールは酸化されるとアルデヒドになり、第2級アルコールは酸化されるとケトンになる。
第1添加手段33は、アルコールまたは有機物を貯留する容器と、容器内のアルコールまたは有機物をタンク2へと導くための添加経路と、添加経路上に設けられた容積式ポンプとを有している。同様に、第2添加手段34は、チオ硫酸ナトリウムを貯留する容器と、容器内のチオ硫酸ナトリウムをタンク2へと導くための添加経路と、添加経路上に設けられた容積式ポンプとを有している。
濃度検出部4は、タンク2内の水の有効塩素濃度を比色法により検出することが望ましい。濃度検出部4の構成例については後述する。
制御部5は、揮発手段31による揮発処理、第1添加手段33による添加処理、および、第2添加手段34による添加処理を、選択的に実行する。制御部5は、揮発手段31による揮発処理をはじめに行ってから、第1添加手段33による添加処理、または、第2添加手段34による添加処理を行うことが望ましい。
本実施の形態において、制御部5は、濃度検出部4で検出されたタンク2内の水の有効塩素濃度に基づいて、揮発手段31、第1添加手段33、および、第2添加手段34の制御を行う。なお、制御部5は、各種データおよびプログラムを記憶するメモリと、計時動作を行う計時部と、各種の演算処理を行う演算処理部とを含む、コンピュータにより実現される。
ここで、図2を参照して濃度検出部4の構成例について説明する。図2は、濃度検出部4の構成を模式的に示す図である。
濃度検出部4は、タンク2の側壁に設けられた測定容器40と、所定濃度(たとえば10%)のヨウ化カリウム水溶液を貯留する液体容器41と、液体容器41内のヨウ化カリウム水溶液を測定容器40へと導くための添加経路42と、添加経路42上に設けられた容積式ポンプ44とを有している。
測定容器40は、タンク2の側壁に設けられた流出口23を覆うように設けられている。流出口23にはたとえばゲート(図示せず)が設けられており、このゲートを開状態とした場合にのみ、タンク2内の水が測定容器40に流入する。
測定容器40には、添加口と排水口とが設けられている。測定容器40にはオーバーフロー口がさらに設けられていてもよい。排水口は、測定容器40の底壁部に設けられ、排水経路45に接続されている。排水経路45上には、制御部5によって開閉制御されるバルブ45aが設けられている。バルブ45aが開状態のとき、測定容器40内の水が排水経路45を介して排水される。排水経路45は、浄化槽200に接続されていてよい。
測定容器40に溜められた水に所定量のヨウ化カリウム水溶液が添加されると、ヨウ化カリウムが電解水の次亜塩素酸成分と反応し、電解水が変色する。有効塩素濃度が大きくなるにつれて、黄色、茶色、こげ茶と変色する。
測定容器40は透明の容器であり、外部から容器内の色が視認できる。そのため、作業員は、たとえば、有効塩素濃度に応じた色見本と比較することで、目視により測定容器40内の水(つまり、タンク2内の水)の有効塩素成分の濃度(高低度合)を判断することができる。このように、目視によりタンク2内の水の有効塩素濃度を把握することができるが、本実施の形態における濃度検出部4はさらに、測定容器40に取り付けられた光検出器46を有している。
光検出器46は、試料を透過した光の割合(透過度)を定量的に測定する吸光光度計であり、たとえば、発光部としてのLEDと、受光部としてのフォトセンサ(フォトトランジスタ)とで構成されている。光の透過度は、フォトセンサから出力される電圧値(たとえば0〜5V)により表わされる。なお、フォトセンサから電流値(たとえば4〜20mA)が出力されてもよい。
光検出器46からの信号は、変換処理部47に送られる。変換処理部47は、光検出器46により検出される、測定容器40内の変色後の水の光の透過度(フォトセンサからの出力値)を、有効塩素濃度に変換する処理を行う。このように、本実施の形態では、濃度検出部4が光検出器46を有するため、有効塩素成分を速やかかつ、定量的に検出することができる。
制御部5は、濃度検出部4によって検出された有効塩素濃度に基づいて、塩素成分低減機構3に含まれる複数の手段から1つの手段を選択し、選択した手段による塩素成分低減処理を実行する。なお、本実施の形態では、タンク2内の有効塩素成分を目視によって確認できるため、作業員により手動で1つの手段が選択されてもよい。すなわち、制御部5は、操作部6が受け付けた指示に応じて、塩素成分低減機構3に含まれる複数の手段から1つの手段を選択し、選択した手段による塩素成分低減処理を実行してもよい。
なお、目視による有効塩素成分の確認が不要である場合には、濃度検出部4は、有効塩素成分を検出できる一般的な機器(典型的には濃度センサ)により実現されてもよい。
(動作について)
図3を参照して、本実施の形態に係る排水処理システム1の動作について説明する。図3は、排水処理システム1の制御部5が実行する排水処理を示すフローチャートである。
排水処理システム1の制御部5は、はじめに、第1流路11の切替バルブ11aを開状態とする。これにより、食品洗浄装置100における食品洗浄中または食品洗浄後の水、すなわち残留塩素を含む電解水が、タンク2内に供給される。
食品洗浄装置100からの排水が一定量タンク2に供給されたと判断した場合(ステップS1にてYES)、制御部5は、一次処理として、揮発手段31を稼働する(ステップS2)。すなわち、制御部5は、超音波発生器をオン状態とし、タンク2内に超音波を発生させる。これにより、タンク2内の水に振動が生じ、その振動によって水に含まれる塩素成分がガスとして微量ずつ揮発される。
その後、タンク2内の水が満水レベルとなったことを検知した場合、あるいは、タンク2内への排水流入の完了を検知した場合(ステップS3にてYES)、制御部5は、第1流路11の切替バルブ11aを閉状態とする。これにより、タンク2内への排水の流入が停止される(ステップS4)。
揮発手段31の稼働を開始してから設定時間(たとえば10分)経過すると(ステップS5にてYES)、濃度検出部4により、タンク2内の水の有効塩素濃度が検出される。具体的には、制御部5は、測定容器40のゲート(図示せず)を開いて測定容器40にタンク2内の水を流入し、容積式ポンプ44を駆動して所定量のヨウ化カリウム水溶液を測定容器40内に添加する。測定容器40内の水の変色度合を光検出器46が検知し、変換処理部47において、光検出器46からの出力信号に応じて有効塩素濃度が算出される。
制御部5は、濃度検出部4により検出された有効塩素濃度が、予め定められた基準値(たとえば10ppm)以下であるか否かを判断する(ステップS6)。有効塩素濃度が基準値以下であると判断した場合(ステップS6にてYES)、第2流路12の切替バルブ12aを開状態に切り替え、浄化槽200にタンク2内の水を排水する(ステップS10)。
一方、有効塩素濃度が基準値よりも高いと判断した場合(ステップS6にてNO)、他の塩素成分低減技術に切り替える。具体的には、二次処理として第1添加手段33を稼働し、アルコールまたは有機物をタンク2内に投入する(ステップS7)。タンク2内には攪拌手段が設けられ、アルコールまたは有機物を添加後、攪拌手段によってタンク2内の水が攪拌されることが望ましい。
タンク2内の水の攪拌が所定時間(たとえば5分)行われると、再び、濃度検出部4により、タンク2内の水の有効塩素濃度が検出される。
制御部5は、濃度検出部4により検出された有効塩素濃度が、予め定められた基準値以下であるか否かを判断する(ステップS8)。有効塩素濃度が基準値以下であると判断した場合(ステップS8にてYES)、第2流路12の切替バルブ12aを開状態に切り替え、浄化槽200にタンク2内の水を排水する(ステップS10)。
一方、第1添加手段33による添加処理を行っても、依然として、有効塩素濃度が基準値よりも高いと判断した場合(ステップS6にてNO)、さらに他の塩素成分低減技術に切り替える。具体的には、三次処理として第2添加手段34を稼働し、チオ硫酸ナトリウム(薬品)をタンク2内に投入する(ステップS9)。チオ硫酸ナトリウムは殺菌性が強いため、第2添加手段による添加処理により、タンク2内の水の有効塩素濃度は基準値以下になる。
チオ硫酸ナトリウムを添加後、攪拌手段によってタンク2内の水の攪拌が所定時間(たとえば5分)行われると、第2流路12の切替バルブ12aを開状態に切り替え、浄化槽200にタンク2内の水を排水する(ステップS10)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、タンク2内の水の有効塩素濃度が基準値以下となってから、タンク2内の水を浄化槽200に排水するため、食品洗浄装置100から浄化槽200に直接排水される形態に比べて、浄化槽200に排出される水に含まれる塩素成分を少なくすることができる。したがって、浄化槽200内の微生物が、浄化槽200に排出された水に含まれる塩素成分の影響で死んでしまうことを防止または抑制することができる。その結果、浄化槽200における汚水の浄化機能の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態では、食品洗浄装置100からの排水をタンク2内に流入している途中から揮発手段31を稼働するため、タンク2内の水が満水となってから揮発手段31を稼働する場合に比べて、効率良く塩素成分をガスとして揮発することができる。
食品洗浄装置100から排水される電解水の有効塩素濃度は一定ではなく、洗浄対象の食品の汚れ度合または洗浄の進行度合に応じて大きく異なる。そのため、食品洗浄装置100において有効塩素濃度が大きく低下し、比較的低い塩素濃度の電解水が排水された場合には、揮発手段31を稼働させるだけで、排水(電解水)の有効塩素濃度を基準値以下まで低減することができる。この場合、アルコールまたは有機物、および、薬品を使用せずに済むため、排水処理に掛かるコストを低減させることができる。
また、食品洗浄装置100から比較的高い塩素濃度の電解水が排水された場合でも、はじめに揮発手段31が稼働されるため、アルコール、有機物、または薬品の使用量を低減できる。つまり、殺菌性低減手段32による処理負荷を低減させることができる。
また、本実施の形態では、揮発手段31が超音波発生器により構成されることとして説明したが、揮発手段31がヒータを含む場合には、浄化槽200へ排水する水の温度が30℃〜40℃程度となるため、浄化槽200に冷水が排水される場合に比べて、浄化槽200における微生物を活性化することもできる。なお、一次処理において、超音波による振動およびヒータの加熱を順次行ってもよいし、タンク2内の水温等に応じて、超音波による振動およびヒータの加熱のうち、稼働する処理を決定してもよい。
また、薬品は極力使わずに、微生物にとっての栄養成分ともなり得るアルコールまたは有機物を使うため、浄化槽200における浄化機能を向上させることも可能である。
なお、本実施の形態では、チオ硫酸ナトリウムの添加処理の前には必ず、揮発手段31による揮発処理、および、アルコールまたは有機物の添加処理が行われることとしたが、限定的ではない。たとえば、揮発手段31による揮発処理を行う前と後における有効塩素濃度の低下度合を判定し、その低下度合が所定レベルよりも小さい場合には、アルコールまたは有機物の添加処理を行うことなく、チオ硫酸ナトリウムの添加処理を行ってもよい。これにより、本システム1の排水処理に要する時間が想定時間以上に長引くことを防止することができる。
また、本実施の形態では、揮発手段31による揮発処理を設定時間行うと、他の処理に移行することとしたが、有効塩素濃度の低下度合に応じて、揮発手段31による(設定時間分の)揮発処理を複数回連続して行ってもよい。
また、本実施の形態では、各手段による処理が予め定めた時間行われることとしたが、濃度検出部4により検出された濃度に応じて、各手段を稼働する時間を設定してもよい。
また、本実施の形態では、塩素成分低減機構3に含まれる全ての手段が一つのタンク2に対して設けられることとしたが、限定的ではない。たとえば、チオ硫酸ナトリウムを添加する第2添加手段34は、タンク2とは異なるタンクに対して設けられてもよい。
また、本実施の形態では、二次処理として、第1添加手段33によるアルコールまたは有機物の添加処理が行われることとしたが、アルコールおよび有機物を順次添加してもよい。この場合、アルコールおよび有機物の添加順序は問わない。
また、揮発手段31を稼働する前に、濃度検出部4がタンク2内の水の有効塩素濃度を検出する場合には、濃度検出部4が検出した有効塩素濃度の情報を食品洗浄装置100に送信し、食品洗浄装置100での洗浄完了の判定に用いてもよい。
また、本実施の形態では、殺菌性低減手段32が、第1添加手段33および第2添加手段34の双方を含むこととしたが、いずれか一方のみを含んでもよい。すなわち、殺菌性低減手段32は、アルコール、有機物、およびチオ硫酸ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加する添加手段を含んでいればよい。
なお、上記した排水処理システム1は、食品洗浄装置100と一体的に設けられてもよい。すなわち、食品洗浄装置100と排水処理システム1とが一体化された食品洗浄ユニットとして提供することもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 排水処理システム、1 本システム、2 タンク、3 塩素成分低減機構、4 濃度検出部、5 制御部、6 操作部、11 第1流路、12 第2流路、23 流出口、31 揮発手段、32 殺菌性低減手段、33 第1添加手段、34 第2添加手段、40 測定容器、41 液体容器、42 添加経路、44 容積式ポンプ、45 排水経路、46 光検出器、47 変換処理部、100 食品洗浄装置、110 洗浄タンク、200 浄化槽。

Claims (8)

  1. 微生物による汚水の浄化処理の前処理として、塩素成分を含有する電解水を用いて食品を洗浄する食品洗浄装置からの排水を処理するシステムであって、
    前記食品洗浄装置から排出される、塩素成分が含まれた排水を受入れるタンクと、
    前記タンクに貯められた排水に含まれる塩素成分を、物理的挙動によってガスとして揮発させる揮発手段と、
    前記タンクに貯められた排水に含まれる塩素成分の殺菌性を、化学的反応によって低減させる殺菌性低減手段とを備える、排水処理システム。
  2. 前記タンク内の排水の有効塩素濃度を検出する濃度検出部と、
    前記濃度検出部により検出された有効塩素濃度に基づいて、前記揮発手段による処理、および、前記殺菌性低減手段による処理を、選択的に実行する制御手段とをさらに備える、請求項1に記載の排水処理システム。
  3. 前記制御手段は、前記揮発手段による処理を実行した後で、前記殺菌性低減手段による処理を実行する、請求項2に記載の排水処理システム。
  4. 前記揮発手段は、超音波による振動、および、ヒータによる加熱の少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の排水処理システム。
  5. 前記殺菌性低減手段は、アルコール、有機物、およびチオ硫酸ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加する添加手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の排水処理システム。
  6. 前記添加手段は、アルコールまたは有機物を前記タンク内に添加する第1添加手段と、チオ硫酸ナトリウムを前記タンク内に添加する第2添加手段との双方を含む、請求項5に記載の排水処理システム。
  7. 前記殺菌性低減手段は、アルコールまたは有機物を前記タンク内に添加する第1添加手段と、チオ硫酸ナトリウムを前記タンク内に添加する第2添加手段との双方を含み、
    前記制御手段は、前記第2添加手段による添加処理の前に、前記第1添加手段による添加処理を実行する、請求項2または3に記載の排水処理システム。
  8. 前記食品洗浄装置からの排水を前記タンクへと供給するための第1流路と、前記タンク内の水を、前記浄化処理を行う浄化槽へと排出するための第2流路とを備える、請求項1〜7のいずれかに記載の排水処理システム。
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