JP2019062848A - クロロゲン酸ラクトン類を含む容器詰めコーヒー飲料 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)クロロゲン酸ラクトン類(b)及びグアイアコール(a)を含有し、[(b)の含有量(mg/L)/(a)の含有量(μg/L)]>0.020を満たす、容器詰めコーヒー飲料。
(2)さらに、フェノール(c)を含有し、[(b)の含有量(mg/L)/{(a)+(c)}の含有量(μg/L)]>0.0080を満たす、(1)に記載の容器詰めコーヒー飲料。
(3)さらに、p−エチルフェノール(d)、p−クレゾール(e)及び2−アセチルピロール(f)を含有し、[(b)の含有量(mg/L)/{(a)+(c)+(d)+(e)+(f)}の含有量(μg/L)]≧0.0050を満たす、(2)に記載の容器詰めコーヒー飲料。
(4)グアイアコール(a)の含有量が、100μg/L〜500μg/Lである、(1)〜(3)のいずれかに記載の容器詰めコーヒー飲料。
(5)ブラックコーヒーである、(1)〜(4)のいずれかに記載の容器詰めコーヒー飲料。
(6)飲料のBrix値が0.4以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載の容器詰めコーヒー飲料。
(7)再栓可能な蓋付き容器に充填された、(1)〜(6)のいずれかに記載の容器詰めコーヒー飲料。
(8)容器詰めコーヒー飲料の製造方法であって、
(i)[クロロゲン酸ラクトン類(b)の含有量(mg/L)/グアイアコール(a)の含有量(μg/L)]>0.020を満たすように、(a)及び(b)の含有量を調整する工程、及び、
(ii)容器詰めする工程、
を含む、前記製造方法。
本発明の容器詰めコーヒー飲料は、クロロゲン酸ラクトン類(b)及びグアイアコール(a)を含有し、[(b)の含有量(mg/L)/(a)の含有量(μg/L)]>0.020を満たすものである。これにより、容器詰めコーヒー飲料の開栓後に経時的に発生する後味の悪さを改善することができる。なお、本明細書において「後味の悪さ」とは、コーヒーの苦みが飲用後に持続的に舌に違和感が残ることであり、後引きともいう。一方、コーヒーの苦味であっても、キレのある苦味は「後味の悪さ」とは異なるものである。
クロロゲン酸ラクトン類は、クロロゲン酸類のキナ酸残基の一部に、環状の構造ができた形をした化合物の総称であり、5−カフェオイル−1,3−キノラクトン、3−カフェオイル−1,5−キノラクトン、4−カフェオイル−1,3−キノラクトン、4−カフェオイル−1,5−キノラクトン、5−カフェオイル−1,4−キノラクトンなどが含まれる。本発明のクロロゲン酸ラクトン類の含有量は、実施例記載の方法によって測定された値をいう。クロロゲン酸ラクトン類は、コーヒーの苦味に寄与する成分であり、コーヒー生豆にはほとんど含まれておらず、焙煎によってクロロゲン酸類から生成することが知られている。なお、本明細書ではクロロゲン酸ラクトン類を(b)で表す場合がある。
本発明において、グアイアコールはコーヒー特有の後引きする苦味に寄与する成分である。なお、本明細書ではグアイアコールを(a)と表記する場合がある。
1−3.クロロゲン酸ラクトン類とグアイアコールとの含有量比
本発明のコーヒー飲料は、開栓後に経時的に発生する後味の悪さをより改善するという観点から、クロロゲン酸ラクトン類(b)の含有量とグアイアコール(a)の含有量との含有量比[(b)/(a)]が、[(b)/(a)]>0.020であり、好ましくは0.100>[(b)/(a)]>0.020であり、より好ましくは0.050>[(b)/(a)]>0.020である。
本発明において、フェノール、p−エチルフェノール、p−クレゾール及び2−アセチルピロールは、いずれもコーヒー特有の後引きする苦味に寄与する成分である。本発明のコーヒー飲料では、開栓後に経時的に発生する後味の悪さを効果的に抑制する観点から、さらに、フェノール、p−エチルフェノール、p−クレゾール及び2−アセチルピロールからなる群から選択される一以上の成分の含有量を調整することもできる。なお、本明細書ではフェノール、p−エチルフェノール、p−クレゾール及び2−アセチルピロールをそれぞれ、(c)、(d)、(e)及び(f)と表記する場合がある。
1−5.クロロゲン酸ラクトン類と、グアイアコール及びフェノールの含有量の合計との比
本発明のコーヒー飲料は、開栓後に経時的に発生する後味の悪さをより改善するという観点から、クロロゲン酸ラクトン類(b)の含有量と、グアイアコール(a)及びフェノール(c)の含有量の合計との比[(b)/{(a)+(c)}]が、[(b)/{(a)+(c)}]>0.0080であることが好ましく、0.050>[(b)/{(a)+(c)}]>0.008であることがより好ましく、0.025>[(b)/{(a)+(c)}]>0.012であることがさらにより好ましい。
本発明のコーヒー飲料は、開栓後に経時的に発生する後味の悪さをより効果的に改善するという観点から、クロロゲン酸ラクトン類(b)の含有量と、グアイアコール(a)、フェノール(c)、p−エチルフェノール(d)、p−クレゾール(e)及び2−アセチルピロール(f)の含有量の合計との比[(b)/{(a)+(c)+(d)+(e)+(f)}]が、[(b)/{(a)+(c)+(d)+(e)+(f)}]≧0.0050であることが好ましく、0.050>[(b)/{(a)+(c)+(d)+(e)+(f)}]≧0.0050であることがより好ましく、0.010>[(b)/{(a)+(c)+(d)+(e)+(f)}]≧0.0050であることがさらにより好ましい。
本明細書において「コーヒー飲料」とは、コーヒー分を原料として使用し、加熱殺菌処理がなされた飲料製品のことをいう。製品の種類は特に限定されないが、1977年に認定された「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」の定義である「コーヒー」、「コーヒー飲料」、及び「コーヒー入り清涼飲料」が主に挙げられる。また、コーヒー分を原料とした飲料においても、乳固形分が3.0重量%以上のものは「飲用乳の表示に関する公正競争規約」の適用を受け、「乳飲料」として取り扱われるが、これも、本発明におけるコーヒー飲料とする。ここで、コーヒー分とは、コーヒー豆由来の成分を含有するものをいい、例えば、コーヒー抽出液、即ち、焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いて抽出した溶液が挙げられる。また、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥したインスタントコーヒーなどを、水や温水などで適量に調整した溶液も、コーヒー分として挙げられる。
また、本発明のコーヒー飲料は任意の容器に充填された容器詰めコーヒー飲料である。本発明のコーヒー飲料が充填される容器としては、殺菌方法や保存方法に合わせて適宜選択すればよく、アルミ缶、スチール缶、PETボトル、ガラス瓶、紙容器など、通常用いられる容器のいずれも用いることができる。また、本発明のコーヒー飲料は長時間かけて飲用する形態に適していることから、再栓可能な蓋付き容器、すなわちボトル缶やPETボトルが好ましい。本発明のコーヒー飲料の容量は、特に限定されないが、160〜600gが好ましく、長時間かけて飲用するという点で、250g以上が好ましい。また、本発明のコーヒー飲料を容器詰めする場合は、ホットパック充填法又は無菌充填法のいずれも用いることができるが、無菌充填法を用いることが好ましい。なお、ホットパック充填法は一般に、60℃以上に加熱された飲料を容器に充填後、直ちに密封する方法をいう。また、無菌充填装置とは一般に、高温短時間殺菌した内容物を滅菌済み容器に無菌環境下で充填、密封する装置をいう。
Brix値は、糖度計や屈折計などを用いて20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値であり、飲料中の可溶性固形分含有量を表す。単位は「Bx」、「%」又は「度」と表記する場合もある。飲料のBrix値が低ければ、糖質を含めた飲料中の可溶性固形分の含有量が低いこととなる。
本発明のコーヒー飲料では、上記成分の他、本発明の効果を損なわない限りで、甘味料(ショ糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、パラチノース、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、還元デンプン糖化物、ステビア、グリチルリチン、タウマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、アセスルファムK、スクラロース、ズルチンなど)、酸化防止剤(ビタミンC、エリソルビン酸ナトリウムなど)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなど)、カゼインNa、香料(コーヒーフレーバー、ミルクフレーバーなど)等を適宜配合することができる。本発明のコーヒー飲料では、クロロゲン酸ラクトン類とグアイアコールの含有量比率を特定の範囲に調整するという観点から、特に香料を配合することが好ましい。また、本発明の飲料は甘味料により本発明の効果が損なわれる可能性があるので、甘味料を含有しないコーヒー飲料が好ましい。
本発明のコーヒー飲料は、所定の範囲内のpHを有することが好ましい。pHの調整には一般的なpH調整剤を使用することができ、そのようなpH調整剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基や、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、L−アスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸のナトリウム又はカリウム塩、および、その他食品衛生法上使用可能なpH調整剤又は酸味料が挙げられる。また、pHの異なるコーヒー抽出液を混合することにより所定のpHに調整することも可能である。
2.容器詰めコーヒー飲料の製造方法
ある態様では、本発明は容器詰めコーヒー飲料の製造方法である。より具体的には、本発明の一態様は容器詰めコーヒー飲料の製造方法であって、(i)[クロロゲン酸ラクトン類(b)の含有量(mg/L)/グアイアコール(a)の含有量(μg/L)]>0.020を満たすように、(a)及び(b)の含有量を調整する工程、及び、(ii)容器詰めする工程、を含む、前記製造方法である。
また、コーヒー飲料や原料となるコーヒー豆の品種や産地等については、上述した通りである。また、(b)〜(f)の含有量範囲や、(b)の含有量と(a)の含有量との比の範囲、(b)の含有量と(a)+(c)の含有量との比の範囲、(b)の含有量と(a)+(c)+(d)+(e)+(f)の含有量との比の範囲、pHの範囲、並びに他の成分等についても上述した通りである。さらに、各種成分の測定法についても上述の通りである。
1.サンプルコーヒー飲料の製造
本実施例では、グアイアコール、クロロゲン酸ラクトン類、フェノール、p−エチルフェノール、p−クレゾール及び2−アセチルピロールの含有量が異なるサンプル飲料(実施例1〜7及び比較例1〜3)を調製した。各サンプル飲料の具体的な調製方法を以下に記載する。なお、各成分の標準品も準備し、必要に応じて、添加した。
<実施例1>
中煎りに焙煎したコーヒー豆(グアテマラ種:L値20)を粉砕し、コーヒー豆の量に対して9倍の質量の湯を抽出湯として用い、抽出機で50℃にて抽出を行った。また、抽出工程の途中で蒸らし時間を3分間設けた。そして、回収する抽出湯量がコーヒー豆量の約3倍の質量となったところで抽出を終了した。その後、抽出液に対して遠心分離、膜ろ過を実施した。その後、得られた抽出液を約3倍希釈し、さらに重曹を添加して実施例1用の調合液を得た。前記ベース飲料を缶に充填し、F0=4以上でレトルト殺菌を実施して、実施例1のコーヒー飲料を得た。
<実施例2>
実施例1用の調合液を10/12倍希釈して、実施例2用の調合液を調製した。その後、実施例2用の調合液を400g容量のボトル缶に充填し、F0=4以上でレトルト殺菌を実施して、実施例2のコーヒー飲料を得た。
<実施例3、実施例4、比較例2>
実施例2の調合液に、グアイアコールを所定の含有量となるように配合して、実施例3、4及び比較例2用の調合液を調製した。その後、実施例3、4及び比較例2用の調合液を缶に充填し、F0=4以上でレトルト殺菌を実施して、実施例3、4及び比較例2のコーヒー飲料を得た。
<実施例5>
実施例3用の調合液を7/10倍希釈して、実施例5用の調合液を調製した。その後、実施例5用の調合液を缶に充填し、F0=4以上でレトルト殺菌を実施して、実施例5のコーヒー飲料を得た。
<実施例6>
実施例5用の調合液に、グアイアコールを所定の含有量となるように配合して、実施例6用の調合液を調製した。その後、実施例6用の調合液を缶に充填し、F0=4以上でレトルト殺菌を実施して、実施例6のコーヒー飲料を得た。
<実施例7>
実施例6用の調合液を4.7/8倍希釈して、実施例7用の調合液を調製した。その後、実施例7用の調合液を缶に充填し、F0=4以上でレトルト殺菌を実施して、実施例7のコーヒー飲料を得た。
<比較例3>
実施例7用の調合液に、グアイアコールを所定の含有量となるように配合して、比較例3用の調合液を調製した。その後、比較例3用の調合液を缶に充填し、F0=4以上でレトルト殺菌を実施して、比較例3のコーヒー飲料を得た。
<比較例1>
超深煎りに焙煎したコーヒー豆(グアテマラ種:L値16)を粉砕し、コーヒー豆の量に対して9倍の質量の水を抽出水として用い、抽出機で20℃の低温で抽出を行った。また、抽出工程の途中で蒸らし時間を3分設けた。そして、回収する抽出湯量がコーヒー豆量の約3倍の質量となったところで抽出を終了した。その後、得られた抽出液を約3倍希釈し、さらに重曹を添加して調合液を得た。前記調合液を缶に充填し、F0=4以上でレトルト殺菌を実施して、比較例1のコーヒー飲料を得た。
上記1で調製したレトルト殺菌後の容器詰めコーヒー飲料のサンプル(実施例1〜7及び比較例1〜3)を開栓し、各コーヒー飲料中のクロロゲン酸ラクトン類、グアイアコール、フェノール、p−エチルフェノール、p−クレゾール及び2−アセチルピロール含有量を以下の分析条件で測定した。また、市販の缶コーヒー1〜3(市販品1:コカコーラエメラルドマウンテンコーヒー、市販品2:ワンダ極コーヒー、及び市販品3:KIRIN Fire燻製珈琲Black)中の各成分含有量も同様に分析した。結果を表1に示す。
<クロロゲン酸ラクトン類の分析条件(LC/MS)>
クロロゲン酸ラクトン類は、LC/MSを用いて分析した。
(LC分離条件)
HPLC装置:Agilent 1290シリーズ(アジレントテクノロジーズ社製)
送液ポンプ:G4220A
オートサンプラー:G4226A(サーモスタット G1330B付き)
カラムオーブン:G1316C
DAD検出器:G4212A
カラム:Cortecs UPLC T3(粒径1.6μm、内径2.1mm×150mm、Waters社製)
移動相A:ギ酸0.1%水溶液
移動相B:アセトニトリル
流量:0.4mL/min
濃度勾配条件:0.0〜2.0分(10%B)→8.0分(25%B)→8.5〜10.0分(100%B)、初期移動相による平衡化5.0分
カラム温度:40℃
試料注入:注入量2.0μL
質量分析装置への試料導入:1.35〜8.49分
(質量分析条件)
質量分析装置:Q Exactive(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
イオン化方法:HESI、ネガティブモード
イオン化部条件:
Sheath gas flow rate:50
Aux gas flow rate:10
Sweep gas flow rate:0
Spray voltage:2.50kV
Capilary temp:350℃
Aux gas heater temp:300℃
検出条件:
Resolution:140000
AGC Target:1e6
Maximum IT:100ms
Scan Range:200 to 500 m/z
(標準品の調製)
クロロゲン酸ラクトン類の標準品はTetrahedron Lett.,Vol.52,2011,7175−7177に記載の方法を参考に合成した。方法は以下の通り。クロロゲン酸(シグマアルドリッチ社製、0.9g)とp−トルエンスルホン酸(ナカライテスク社製、0.05g)を還流フラスコに測りとり、無水N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、5mL)とトルエン(ナカライテスク社製、18mL)を加えてよく振り混ぜ、Dean−Stark装置にて12時間加熱還流した。これを室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル(和光純薬工業社製、20mL)とともに4時間加熱還流した。得られた液をロータリーエバポレーターで溶媒溜去し、残留物をHPLC用メタノールに溶解した。この溶液の1/20量を取り、予めメタノールで平衡化した陰イオン交換カラム(Sep−Pak Vac QMA 6cc、Waters社製)に通液した。
(サンプルの調製)
分析用サンプルは、以下の方法で調製した。まず、コーヒー試料をクロマトグラフィー用蒸留水で正確に10倍に希釈した。これを予め蒸留水で洗浄したPTFE製フィルター(東洋濾紙社製、ADVANTEC DISMIC−25HP 25HP020AN,孔径0.20μm、直径25mm)で濾過し、分析試料とした。
(定量解析条件)
335.07556〜335.07892 m/zの抽出イオンクロマトグラムにおいて5.4分〜6.6分に検出される複数のピークの面積値の合計を用い、分析用サンプルと標準品を比較して定量値を算出した。サンプルコーヒー飲料(実施例1)から調製した分析用サンプルのクロマトグラムを図2に示す。各サンプルコーヒー飲料のクロマトグラムにおける5.4分〜6.6分の複数のピークが、本発明におけるクロロゲン酸ラクトン類、すなわち、5−カフェオイル−1,3−キノラクトン、3−カフェオイル−1,5−キノラクトン、4−カフェオイル−1,3−キノラクトン、4−カフェオイル−1,5−キノラクトン、および5−カフェオイル−1,4−キノラクトンの各成分であり、前記各成分の含有量の合計を各サンプルコーヒー飲料中のクロロゲン酸ラクトン類含有量として示した。
<グアイアコール、フェノール、p−エチルフェノール、p−クレゾール、及び2−アセチルピロールの分析条件(GC/MS)>
試料液5mlをネジ付き20ml容ガラス瓶(直径18mm,ゲステル社製)に入れてPTFE製セプタム付き金属蓋(ゲステル社製)にて密栓し、固相マイクロ抽出法(SPME)にて香気成分の抽出を行った。定量は、GC/MSのEICモードにて検出されたピーク面積を用い、標準添加法にて行った。使用した機器および条件を以下に示す。
全自動揮発性成分抽出導入装置:MultiPurposeSampler MPS2XL(ゲステル社製)
予備加温:40℃5分間
攪拌:なし
揮発性成分抽出:40℃30分間
揮発性成分の脱着時間:3分間
GCオーブン:GC7890A(アジレントテクノロジーズ社製)
カラム:VF−WAXms,60m×0.25mmi.d. df=0.50μm(アジレントテクノロジーズ社製)
GC温度条件:40℃(5分間)→5℃/分→260℃(11分間)
キャリアーガス:ヘリウム,1.2ml/分,流量一定モード
インジェクション:スプリットレス法
インレット温度:250℃
質量分析装置:GC/MS Triple Ouad7000(アジレントテクノロジーズ社製)
イオン化方式:EI(70eV)
測定方式:スキャン測定、またはスキャン&SIM同時測定
スキャンパラメータ:m/z35〜350
定量イオンは以下に示すイオンから、検出感度、ピーク形状およびピーク分離が良好なものを選択できる:グアイアコール m/z109、124または81(本実施例においては81);p−エチルフェノール m/z107、122または77(本実施例においては107);p−クレゾール m/z107、108、77または79(本実施例においては107);フェノール m/z94、66または65(本実施例においては94);2−アセチルピロール m/z94、109または66(本実施例においては94)。
3.官能評価
3名の訓練された専門パネラー間で、官能評価結果(市販品1の常温開栓時)を使用してそれに対応する点数との関係を確認し、点数付けがなるべく共通化するようにした後、上記1で調製したコーヒー飲料及び市販品1〜3の官能評価を3名の専門パネラーによって行い、コーヒー飲料の後味の悪さについて評価した。具体的には、各専門パネラーごとに下記基準に基づいて0.1点刻みで点数付けを行い、その平均点を表1に示した。なお、官能評価においては、グアイコール含有量がある程度低い市販品1の常温開栓時の官能評価結果(官能評価点:4.0点)を基準とし、平均点4.0点を超えるものが好ましいコーヒー飲料であると判定した。
5.0点:後味の悪さが全くない。
4.0点:後味の悪さがほとんどない。
2.0点:後味の悪さがある。
1.0点:後味の悪さが強すぎて、飲料として適さない。
Claims (8)
- クロロゲン酸ラクトン類(b)及びグアイアコール(a)を含有し、[(b)の含有量(mg/L)/(a)の含有量(μg/L)]>0.020を満たす、容器詰めコーヒー飲料。
- さらに、フェノール(c)を含有し、[(b)の含有量(mg/L)/{(a)+(c)}の含有量(μg/L)]>0.0080を満たす、請求項1に記載の容器詰めコーヒー飲料。
- さらに、p−エチルフェノール(d)、p−クレゾール(e)及び2−アセチルピロール(f)を含有し、[(b)の含有量(mg/L)/{(a)+(c)+(d)+(e)+(f)}の含有量(μg/L)]≧0.0050を満たす、請求項2に記載の容器詰めコーヒー飲料。
- グアイアコール(a)の含有量が、100μg/L〜500μg/Lである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰めコーヒー飲料。
- ブラックコーヒーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰めコーヒー飲料。
- 飲料のBrix値が0.4以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器詰めコーヒー飲料。
- 再栓可能な蓋付き容器に充填された、請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器詰めコーヒー飲料。
- 容器詰めコーヒー飲料の製造方法であって、
(i)[クロロゲン酸ラクトン類(b)の含有量(mg/L)/グアイアコール(a)の含有量(μg/L)]>0.020を満たすように、(a)及び(b)の含有量を調整する工程、及び、
(ii)容器詰めする工程、
を含む、前記製造方法。
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