JP2019061838A - 蓄電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極板と封止体との間の接合強度及び液密性の向上を実現でき、かつアルカリクリープ現象に起因するバイポーラ電極間の短絡や蓄電装置の外部への電解液の液漏れを抑止できる蓄電装置を提供する。【解決手段】セパレータ13を介して複数のバイポーラ電極14が積層された電極積層体11と、バイポーラ電極14,14間を封止する封止体12とを備え、バイポーラ電極14は、封止体12に接合された電極板15を有し、バイポーラ電極14と封止体12との間には、アルカリ溶液からなる電解液Eが収容された内部空間Vが設けられ、電極板15における封止体12との接合部分は、複数の微細突起32が設けられた粗面31となっており、粗面31には、封止体12との間の隙間Sを埋める耐アルカリ性の充填層34が設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、蓄電装置に関する。
従来の蓄電装置として、電極板の一方面に正極が形成され、他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えた、いわゆるバイポーラ型の蓄電装置が知られている(特許文献1参照)。かかる蓄電装置は、セパレータを介して複数のバイポーラ電極を積層してなる電極積層体を備えている。電極積層体の側面には、積層方向に隣り合うバイポーラ電極間を封止する封止体が設けられている。封止体によってバイポーラ電極との間に形成された内部空間には電解液が収容されている。
特開2011−204386号公報
上述した蓄電装置では、バイポーラ電極を構成する電極板と封止体との間の接合強度及び液密性の向上のため、電極板の表面を粗面とする構成を採用し得る。粗面には、例えば電解メッキによる複数の微細突起が設けられる。これにより、微細突起間に封止体の構成材料が入り込み、電極板と封止体との間の接合強度及び液密性の向上が図られる。
ところで、例えばニッケル水素電池のようにアルカリ溶液を電解液として用いる蓄電装置では、正の電位から負の電位に向かって電解液が移動する、いわゆるアルカリクリープ現象が生じ得る。電極板の表面に微細突起が設けられた構成では、粗面と封止体との間に少なからず隙間が生じる。このため、アルカリクリープ現象に起因するバイポーラ電極間の短絡や蓄電装置の外部への電解液の液漏れを抑制する技術が望まれる。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、電極板と封止体との間の接合強度及び液密性の向上を実現でき、かつアルカリクリープ現象に起因するバイポーラ電極間の短絡や蓄電装置の外部への電解液の液漏れを抑止できる蓄電装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る蓄電装置は、セパレータを介して複数のバイポーラ電極が積層された積層体と、積層体の側面に設けられ、積層方向に隣り合うバイポーラ電極間を封止する封止体と、を備え、バイポーラ電極は、一方面側に正極が形成され、他方面側に負極が形成されると共に、封止体に接合された電極板を有し、バイポーラ電極と封止体との間には、アルカリ溶液からなる電解液が収容された内部空間が設けられ、電極板において、少なくとも封止体との接合部分は、複数の微細突起が設けられた粗面となっており、粗面には、封止体との間の隙間を埋める耐アルカリ性の充填層が設けられている。
この蓄電装置では、バイポーラ電極を構成する電極板に粗面が設けられ、封止体の構成材料が粗面における複数の微細突起間に入り込むことにより、電極板と封止体との間の接合強度及び液密性の向上が図られる。また、この蓄電装置では、電極板の粗面において、封止体との間の隙間を埋める耐アルカリ性の充填層が設けられている。このような充填層の配置により、電解液のアルカリクリープ現象の発生が抑えられ、電解液が粗面と封止体との間の隙間を通って隣接するバイポーラ電極の内部空間に移動してしまうことを抑止できる。したがって、アルカリクリープ現象に起因するバイポーラ電極間の短絡や蓄電装置の外部への電解液の液漏れを抑止できる。
また、微細突起は、先太部分を有しており、充填層は、先太部分が露出するように設けられていてもよい。この場合、充填層によってアルカリクリープ現象の抑制効果を発揮させる一方、微細突起の先太部分が充填層から露出することで封止体に対するアンカー効果を十分に生じさせることができ、電極板と封止体との間の接合強度及び液密性を十分に確保できる。
また、充填層の粘度は、0.6Pa・s以下となっていてもよい。0.6Pa・s以下の粘度の充填層を用いることにより、粗面と封止体との間の隙間に充填層をより確実に行き渡らせることができる。
また、充填層は、フッ素系グリス、シリコン系グリス、若しくはアスファルトピッチによって構成されていてもよい。このような材料を用いる場合、上記作用を生じさせる充填層を容易に形成できる。
本発明によれば、電極板と封止体との間の接合強度及び液密性の向上を実現でき、かつアルカリクリープ現象に起因するバイポーラ電極間の短絡や蓄電装置の外部への電解液の液漏れを抑止できる。
蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。 蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。 電極板と封止体との接合部分の構成例を示す要部拡大概略図である。 電極板と封止体との接合部分に生じ得る隙間の様子を示す要部拡大概略図である。 アルカリクリープ現象による電解液の移動経路を示す概略断面図である。 本実施形態に係る電極板と封止体との接合部分の構成を示す要部拡大概略図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一側面に係る蓄電装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。同図に示す蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる装置である。蓄電装置1は、複数の蓄電モジュール4を積層してなる蓄電モジュール積層体2と、蓄電モジュール積層体2に対して拘束圧を付加する拘束部3とを備えて構成されている。
蓄電モジュール積層体2は、複数(本実施形態では3体)の蓄電モジュール4と、蓄電モジュール4,4間に配置された複数の導電板5とによって構成されている。蓄電モジュール4は、複数のバイポーラ電極14(後述)を備えたバイポーラ型の蓄電モジュールであり、積層方向から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、或いは電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向に隣り合う蓄電モジュール4,4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、蓄電モジュール積層体2の積層端に位置する蓄電モジュール4の外側にもそれぞれ配置されている。一方の積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された導電板5には、正極端子6が接続されている。また、他方の積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向に交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
各導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。各流路5aは、例えば積層方向と、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向とにそれぞれ直交する方向に互いに平行に延在している。これらの流路5aに冷媒を流通させることで、導電板5は、蓄電モジュール4,4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束部3は、蓄電モジュール積層体2を積層方向に挟む一対の拘束板8,8と、拘束板8,8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とを含んで構成されている。拘束板8は、積層方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。拘束板8の内側面(蓄電モジュール積層体2側の面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが配置されている。フィルムFにより、蓄電モジュール積層体2と拘束板8とが電気的に絶縁されている。
拘束板8の縁部には、蓄電モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方の拘束板8の挿通孔8aから他方の拘束板8の挿通孔8aに向かって通され、他方の拘束板8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5が拘束板8,8によって挟持され、蓄電モジュール積層体2としてユニット化される。また、蓄電モジュール積層体2に対して積層方向に拘束圧が付加される。
図2は、蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。同図に示すように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を封止する封止体12とを備えて構成されている。
電極積層体11は、セパレータ13を介して複数のバイポーラ電極14を積層することによって構成されている。バイポーラ電極14は、一方面15a側に正極16が形成され、かつ他方面15b側に負極17が形成された電極板15からなる電極である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極14の負極17と対向している。また、電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
電極積層体11の積層端の一方には、負極終端電極18が配置され、電極積層体11の積層端の他方には、正極終端電極19が配置されている。負極終端電極18は、内面側(積層方向の中心側)に負極17が形成された電極板15によって構成されており、正極終端電極19は、内面側(積層方向の中心側)に正極16が形成された電極板15によって構成されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して積層端の一方のバイポーラ電極14の正極16と対向している。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して積層端の他方のバイポーラ電極14の負極17と対向している。負極終端電極18の電極板15及び正極終端電極19の電極板15は、蓄電モジュール4に隣接する導電板5(図1参照)に対して電気的に接続されている。
電極板15は、例えば鋼板にニッケルがメッキされたニッケルメッキ鋼板、又はニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の縁部15cは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっており、当該未塗工領域は、封止体12に埋没して保持されている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。また、負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13を形成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。また、セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって矩形の筒状に形成されている。封止体12を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。封止体12は、バイポーラ電極14の積層によって形成される電極積層体11の側面を取り囲むように構成されている。
封止体12は、各バイポーラ電極14の電極板15の縁部15cに沿ってそれぞれ設けられた一次封止体21と、一次封止体21の全体を外側から包囲するように設けられた二次封止体22とによって構成されている。一次封止体21は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、電極板15の一方面15a側の縁部15c(未塗工領域)において、電極板15の全ての辺にわたって連続的に設けられている。本実施形態では、一次封止体21は、電極板15の一方面15a側から端面15d側に回り込むように設けられ、例えば溶着によって一方面15a及び端面15dに対して結合されている。なお、積層方向に隣り合う一次封止体21,21同士は、互いに接触はしているが、溶着等による接合はされていない状態となっている。
一次封止体21は、積層方向に隣り合うバイポーラ電極14,14間を封止するほか、積層方向に隣り合うバイポーラ電極14,14の電極板15,15間のスペーサとして機能する。電極板15,15間には、一次封止体21の電極板15,15間に位置する部分の厚さによって規定される内部空間Vが形成されている。当該内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液Eが収容されている。
二次封止体22は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、電極積層体11における積層方向の全長にわたって延在している。二次封止体22は、例えば射出成型時の熱により、一次封止体21の外表面に溶着されている。封止体12において、内部空間Vに収容された電解液Eは、積層方向に隣り合う一次封止体21,21間を通り得るが、一次封止体21と二次封止体22との溶着部分で封止されている。
続いて、上述したバイポーラ電極14と封止体12との接合構造について更に詳細に説明する。
図3は、電極板と封止体との接合部分の構成例を示す要部拡大概略図である。同図に示すように、バイポーラ電極14と封止体12との接合にあたって、電極板15における少なくとも一次封止体21との接合部分には、複数の微細突起32が設けられた粗面31が設けられている。本実施形態では、粗面31は、正極16が設けられている電極板15の一方面15aの全面にわたって設けられている。
微細突起32は、例えば電極板15に対する電解メッキによって形成された突起状の析出金属(付与物を含む)である。微細突起32の形状は、概略的には柱状の基端部分32aと略球形状の先端部分32bとを含む。微細突起32の形状は一様とは限られず、例えば基端部分32aの形状は、略球形状或いは略球形状の部分が連なった形状をなす場合もあり得る。微細突起32の先端部分32bの幅寸法は、基端部分32aの幅寸法に比べて大きくなっている。すなわち、微細突起32の先端部分32bは、先太部分33となっている。微細突起32の高さは、特に限定はされないが、電極板15の厚さが0.1μm〜1000μm程度である場合には、0.1μm〜30μm程度に設定される。粗面31においては、一次封止体21を構成する樹脂材料が微細突起32,32間の空間に入り込むことでアンカー効果が生じ、電極板15と一次封止体21との間の接合強度及び液密性の向上が図られる。なお、先太部分33は、先端部分32bに形成される構成に限られるものではなく、基端部分32aと先端部分32bとの間に基端部分32aよりも太い先太部分33が形成されていてもよい。
電極板15に一次封止体21を溶着によって接合する場合、例えば加熱した一次封止体21を電極板15の一方面15aの縁部に押し付けることによって一次封止体21の樹脂材料を粗面31における微細突起32,32間に入り込ませる。この場合、接合後に一次封止体21の温度が低下すると、温度の低下に伴って樹脂材料に収縮が生じる。したがって、図4に示すように、微細突起32,32間において、例えば電極板15の一方面15aと一次封止体21との間に隙間Sが生じてしまうことが考えられる。隙間Sは、微細突起32の基端部分32aと一次封止体21との間にも生じ得る。
一方、蓄電装置1では、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液E(図5参照)が内部空間Vに収容されている。このため、電極板15の一方面15aと一次封止体21との間に隙間Sが存在していると、当該隙間Sがアルカリクリープ現象による電解液Eの移動経路になり得る。アルカリクリープ現象とは、アルカリ溶液である電解液Eが正の電位から負の電位に向かって移動する現象である。
本実施形態では、バイポーラ電極14において、負極17が形成されている他方面15b側が正の電位となり、正極16が形成されている一方面15a側が負の電位となる。本実施形態では、積層方向に隣り合う一次封止体21,21同士は接合されていないため、図5に示すように、他方面15b側の内部空間Vから他方面15bと一次封止体21との間を通って一方面15a側に回り込み、一方面15aと一次封止体21との間の隙間Sを通って一方面15a側の内部空間Vに抜ける電解液Eの移動経路Kが形成され得る。このような電解液Eの移動が生じると、バイポーラ電極14,14間の短絡や蓄電装置1の外部への電解液Eの液漏れが生じることが考えられる。
これに対し、蓄電装置1では、図6に示すように、粗面31において一次封止体21との間の隙間Sを埋める耐アルカリ性の充填層34が設けられている。充填層34は、電極板15と一次封止体21との接合部分の全面にわたって形成されている。充填層34の形成には、例えばパーフルオロアルキルエーテルを基油とし、増稠剤にポリテトラフルオロエチレンを用いたフッ素系グリス、シリコーンオイルを基油とし、増稠剤に金属石鹸を用いたシリコン系グリス、液体石油改質アスファルト及びハイドロカーボンを成分とするアスファルトピッチなどが用いられる。
アルカリクリープ現象による電解液Eの移動をブロックするためには、1)電位を持たないこと、2)隙間がないこと、3)水分が存在しないことを満たすこと、のいずれかを満たすことが必要となる。上述したグリス等による充填層34を粗面31と一次封止体21との間に設けることで、粗面31と一次封止体21との間で1)〜3)の条件のうち、2)の条件が満たされることとなり、図5に示した電解液Eの移動経路Kを打ち消すことが可能となる。また、充填層34が耐アルカリ性を有しているので、充填層34が電解液Eによって侵食されることはなく、電解液Eの移動をブロックする作用を持続させることができる。
充填層34は、微細突起32の先太部分33が露出するように設けられていることが好ましい。図6に示す例では、充填層34は、微細突起32の基端部分32aの高さよりも低い高さで粗面31上に設けられており、微細突起32の先太部分33の全体と基端部分32aの一部(先太部分33の付根部分)が充填層34から露出した状態となっている。充填層34の高さは、これに限られず、先太部分33の先端部分のみが露出するような高さであってもよく、基端部分32aの大部分が露出するような高さであってもよい。
充填層34の形成方法に特に制限はないが、例えば粗面31或いは一次封止体21における粗面31との接合面に予め充填層34の形成材料を塗布し、この状態で電極板15に一次封止体21を溶着すればよい。塗布の容易性を考慮すると、粗面31に比べて一次封止体21の表面の方が平坦であるので、一次封止体21の表面に充填層34の形成材料を塗布することが好ましい。電極板15に一次封止体21を溶着する場合には、充填層34の形成材料は、一次封止体21の融点において変質及び揮発の無い材料であることが好ましい。
また、充填層34の高さは、充填層34の形成材料の粘度を調整することによって制御可能である。微細突起32の高さが10μmであると仮定すると、粘度が100Pa・s(ハンドクリーム程度の粘度)、粘度が11Pa・s(水あめ程度の粘度)の場合には、流動性が乏しく、微細突起32の全体が充填層34に埋没してしまうおそれがある。または、微細突起32,32間に充填層34の構成材料が十分に入り込まない可能性がある。一方、粘度が0.6Pa・s(油程度の粘度)の場合には、流動性が十分に確保され、微細突起32の先太部分33を充填層34から露出させることが可能となる。したがって、充填層の粘度は、0.6Pa・s以下となっていることが好適である。
以上説明したように、蓄電装置1では、バイポーラ電極14を構成する電極板15に粗面31が設けられ、一次封止体21の構成材料が粗面31における複数の微細突起32、32間に入り込むことにより、電極板15と一次封止体21との間の接合強度及び液密性の向上が図られる。また、この蓄電装置1では、電極板15の粗面31において、一次封止体21との間の隙間Sを埋める耐アルカリ性の充填層34が設けられている。このような充填層34の配置により、電解液Eのアルカリクリープ現象の発生が抑えられ、電解液Eが粗面31と一次封止体21との間の隙間Sを通って隣接するバイポーラ電極14の内部空間Vに移動してしまうことを抑止できる。したがって、アルカリクリープ現象に起因するバイポーラ電極14,14間の短絡や蓄電装置1の外部への電解液Eの液漏れを抑止できる。
また、蓄電装置1では、微細突起32が先太部分33を有しており、充填層34は、先太部分33が露出するように設けられている。これにより、充填層34によってアルカリクリープ現象の抑制効果を発揮させる一方、微細突起の先太部分33が充填層34から露出することで一次封止体21に対するアンカー効果を十分に生じさせることができ、電極板15と一次封止体21との間の接合強度及び液密性を十分に確保できる。
また、蓄電装置1では、充填層34の粘度が0.6Pa・s以下となっている。0.6Pa・s以下の粘度の充填層34を用いることにより、粗面31と一次封止体21との間の隙間Sに充填層34をより確実に行き渡らせることができる。また、充填層34がフッ素系グリス、シリコン系グリス、若しくはアスファルトピッチによって構成されているため、上記作用を生じさせる充填層34を容易に形成できる。
1…蓄電装置、11…電極積層体(積層体)、12…封止体、13…セパレータ、14…バイポーラ電極、15…電極板、15a…一方面、15b…他方面、16…正極、17…負極、31…粗面、32…微細突起、33…先太部分、34…充填層、E…電解液、S…隙間、V…内部空間。

Claims (4)

  1. セパレータを介して複数のバイポーラ電極が積層された積層体と、
    前記積層体の側面に設けられ、積層方向に隣り合う前記バイポーラ電極間を封止する封止体と、を備え、
    前記バイポーラ電極は、一方面側に正極が形成され、他方面側に負極が形成されると共に、前記封止体に接合された電極板を有し、
    前記バイポーラ電極と前記封止体との間には、アルカリ溶液からなる電解液が収容された内部空間が設けられ、
    前記電極板において、少なくとも前記封止体との接合部分は、複数の微細突起が設けられた粗面となっており、
    前記粗面には、前記封止体との間の隙間を埋める耐アルカリ性の充填層が設けられている蓄電装置。
  2. 前記微細突起は、先太部分を有しており、
    前記充填層は、前記先太部分が露出するように設けられている請求項1記載の蓄電装置。
  3. 前記充填層の粘度は、0.6Pa・s以下となっている請求項1又は2記載の蓄電装置。
  4. 前記充填層は、フッ素系グリス、シリコン系グリス、若しくはアスファルトピッチによって構成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の蓄電装置。
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