JP2019061150A - 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速な画像形成による画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥を抑制する画像形成装置の提供。【解決手段】最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0質量%以上0.25質量%未満の酸化防止剤を含み、かつ最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)未満である電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電する第一帯電手段と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、転写手段による転写後、第一帯電手段による帯電前に、第一帯電手段よりも帯電電圧が低く、かつ第一帯電手段と同じ極性で、電子写真感光体の表面を帯電する第二帯電手段と、を備える画像形成装置。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置としては、電子写真感光体(以下、「感光体」という場合がある。)を用いて帯電、静電潜像形成、現像、転写、クリーニング等の工程を順次行う装置が広く知られている。
例えば、特許文献1には、「タンデム方式を用いたフルカラーの画像形成方法に用いられる電子写真感光体であって、該感光体が電荷発生層と電荷輸送層を積層してなり、電荷輸送層が電荷輸送材料/バインダ−比が10/14〜10/20であり、移動度が電界強度20V/μmにおいて1×10−6cm/V・sec以上であり、かつプロセススピードが100mm/sec以上の電子写真プロセスに用いる電子写真用感光体を備えた画像形成装置」が開示されている。
特開2002−162758号公報
電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する第一帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体の表面に転写する転写手段と、転写手段による転写後、第一帯電手段による帯電前に、第一帯電手段よりも帯電電圧が低く、かつ第一帯電手段と同じ極性で、電子写真感光体の表面を帯電する第二帯電手段と、を備える画像形成装置(以下、「特定の直接転写方式の画像形成装置」とも称する)では、高速な画像形成による画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥の抑制が求められている。
そこで、本発明の課題は、特定の直接転写方式の画像形成装置において、最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0.25質量%以上の酸化防止剤を含み、かつ最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)超えである電子写真感光体を備える場合に比べ、高速な画像形成による画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥を抑制する画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、前記導電性基体上に配置された感光層と、を有し、最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0質量%以上0.25質量%未満の酸化防止剤を含み、かつ前記最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)未満である電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する第一帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記転写手段による転写後、前記第一帯電手段による帯電前に、前記第一帯電手段よりも帯電電圧が低く、かつ前記第一帯電手段と同じ極性で、前記電子写真感光体の表面を帯電する第二帯電手段と、
を備える画像形成装置。
請求項2に係る発明は、
前記トリアリールアミン系電荷輸送材料が、下記一般式(CT1)で示される電荷輸送材料である請求項1に記載の画像形成装置。

(一般式(CT1)中、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は、炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。n及びmは、各々独立に1又は2を表す。)
請求項3に係る発明は、
前記一般式(CT1)で示される電荷輸送材料において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16が水素原子を表し、m及びnが1を表す請求項2に記載の画像形成装置。
請求項4に係る発明は、
前記ベンジジン系電荷輸送材料が、下記一般式(CT2)で示される電荷輸送材料である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

(一般式(CT2)中、RC21、RC22、及びRC23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は、炭素数6以上10以下のアリール基を表す。)
請求項5に係る発明は、
前記一般式(CT2)で示される電荷輸送材料において、RC21、及びRC23が水素原子を表し、RC22が炭素数1以上10以下のアルキル基を表す請求項4に記載の画像形成装置。
請求項6に係る発明は、
前記最表面層が、溶剤を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
請求項7に係る発明は、
前記溶剤の量が、5ppm以上10ppm以下である請求項6に記載の画像形成装置。
請求項8に係る発明は、
前記静電潜像形成手段による露光から前記トナーを前記感光体表面に乗せる現像までの時間が、60msec以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
請求項9に係る発明は、
前記静電潜像形成手段による露光から前記トナーを前記感光体表面に乗せる現像までの時間が、40msec以下である請求項8に記載の画像形成装置。
請求項10に係る発明は、
導電性基体と、前記導電性基体上に配置された感光層と、を有し、最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0質量%以上0.25質量%未満の酸化防止剤を含み、かつ前記最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)未満である電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する第一帯電手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像が前記電子写真感光体から転写後、前記第一帯電手段による帯電前に、前記第一帯電手段よりも帯電電圧が低く、かつ前記第一帯電手段と同じ極性で、前記電子写真感光体の表面を帯電する第二帯電手段と、
を備え、画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
請求項1、2、3、4、又は5に係る発明によれば、特定の直接転写方式の画像形成装置において、最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0.25質量%以上の酸化防止剤を含み、かつ最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)超えである電子写真感光体を備える場合に比べ、高速な画像形成による画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥を抑制する画像形成装置が提供される。
請求項6、又は7に係る発明によれば、電子写真感光体の最最表面層に残留溶剤を含まない場合に比べ、高速な画像形成による画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥を抑制する画像形成装置が提供される。
請求項8、又は9に係る発明によれば、特定の直接転写方式の画像形成装置において、最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0.25質量%以上の酸化防止剤を含み、かつ最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)超えである電子写真感光体を備える場合に比べ、静電潜像形成手段による露光からトナーを感光体表面に乗せる現像までの時間が、60msec以下であっても、高速な画像形成による画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥を抑制する画像形成装置が提供される。
請求項10に係る発明によれば、特定の直接転写方式の画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジにおいて、最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0.25質量%以上の酸化防止剤を含み、かつ最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)超えである電子写真感光体を備える場合に比べ、高速な画像形成による画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥を抑制するプロセスカートリッジが提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。 最表面層の電気伝導度の測定する測定装置を説明するための模式図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の一例である実施形態について説明する。なお、図面中、同様の機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<画像形成装置/プロセスカートリッジ>
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する第一帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体の表面に転写する転写手段と、転写手段による転写後、第一帯電手段による帯電前に、第一帯電手段よりも帯電電圧が低く、かつ第一帯電手段と同じ極性で、電子写真感光体の表面を帯電する第二帯電手段と、を備える。
そして、電子写真感光体(以下「感光体」とも称する)は、導電性基体と、導電性基体上に配置された感光層と、を有し、最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0質量%以上0.25質量%未満の酸化防止剤を含み、かつ最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)未満である。
ここで、感光体において、感光層が積層型の感光層の場合、最表面層は電荷輸送層であり、感光層が単層型の感光層の場合、最表面層は単層型の感光層である。
本実施形態に係る画像形成装置は、上記構成により、高速な画像形成による画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥を抑制する。その理由は、次の通り推測される。
感光体に形成されたトナー像を直接、記録媒体に転写する直接転写方式の画像形成装置おいて、感光体表面の静電潜像形成領域を広くし、様々な大きさの記録媒体に画像を形成することが求められている。しかし、この場合、感光体表面の軸方向端部において、帯電不良によるかぶり(非画像部に点状画像が形成される現象)が生じることがある。そのため、この帯電不良によるかぶりを抑制する目的で、帯電手段(第一帯電手段に相当)より感光体回転方向上流側に補助帯電手段(第二帯電手段の一例に相当)を設ける装置が採用されることがある。
一方で、補助帯電装置を設けると、補助帯電装置の放電により、放電生成物(オゾン、NOx等)が発生し、感光体表面に吸着する。そのため、連続した画像の出力後、例えば、一定期間を空けて画像を出力したとき(例えば、1晩休ませて、翌日に画像を出力したとき)補助帯電手と対向した感光体表面の領域に形成されるトナー像の濃度が濃くなり、帯状画像欠陥が生じることがある。これは、放電生成物の付着部の抵抗が低くなり、放電生成物の付着部と非付着部との抵抗差が大きくなるために生じると考えられる。
この点、感光層の最表面層(単層型の感光層、電荷輸送層等)に酸化防止剤を含有させることで、放電生成物耐性が高まり、上記帯状画像欠陥が抑制される。しかし、酸化防止剤を含有させると、高速(例えば、静電潜像形成手段による露光からトナーを感光体表面に乗せる現像までの時間が80msec以下となる速度)で画像を形成したとき、画像濃度が低下する傾向が高まる。
そこで、感光体の最表面層に、電荷輸送材料として、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料を含有させる。これら2つの電荷輸送材料を採用することで、感光層の最表面層(単層型の感光層、電荷輸送層等)に酸化防止剤を含有させても、高速な画像形成による画像濃度の低下が抑制される。
その上で、感光体の最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)未満とする。それにより、感光体表面の抵抗が下がるため、放電生成物の付着部と非付着部との抵抗差が小さくなる。そのため、酸化防止剤を含有させない、又は酸化防止剤の量を低減しても(つまり、酸化防止剤の量を0質量%以上0.25質量%未満としても)、帯状画像欠陥が抑制される。
以上から、本実施形態に係る画像形成装置は、高速な画像形成による画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥を抑制すると推測される。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置は、高速で画像形成可能な装置であることがよい。つまり本実施形態に係る画像形成装置は、高速で画像形成可能な装置であっても、画像濃度の低下と共に、帯状画像欠陥を抑制する。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、静電潜像形成手段による露光からトナーを感光体表面に乗せる現像までの時間は、80msec以下であることが好ましく、60msec以下がより好ましい。ただし、装置の制約上、静電潜像形成手段による露光からトナーを感光体表面に乗せる現像までの時間は、50msec以上が適切である。
なお、本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る電子写真感光体、第一帯電手段、及び第二帯電手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(転写手段の一例)と、記録媒体搬送ベルト50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は記録媒体搬送ベルト50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、記録媒体搬送ベルト50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。
図1におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(第一帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)、補助帯電装置8A(第二帯電手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図1には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
−電子写真感光体7−
電子写真感光体7の詳細については、後述する。
−帯電装置−
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
−補助帯電装置8A−
補助帯電装置8Aは、転写装置40(具体的には、クリーニング装置13)よりも電子写真感光体7の回転方向下流側で、かつ帯電装置8よりも電子写真感光体7の回転方向上流側に配置されている。
そして、補助帯電装置8Aは、転写装置40による転写後(具体的にはクリーニング装置13によるクリーニング後)、帯電装置8による帯電前に、帯電装置8よりも帯電電圧が低く、かつ帯電装置8と同じ極性で、電子写真感光体7の表面を帯電する。
具体的には、例えば、補助帯電装置8Aは、帯電装置8の帯電電圧の0.4倍以上1.0倍以下(好ましくは、0.4倍以上0.8倍以下)で電子写真感光体の表面を帯電する。
なお、帯電装置8は、例えば、帯電電位(絶対値)500V以上1000V以下(好ましくは700V以上1000V以下)で、電子写真感光体7の表面を帯電する。
補助帯電装置8Aとしては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
−露光装置−
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
−現像装置−
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
−クリーニング装置−
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
−転写装置−
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
−記録媒体搬送ベルト−
記録媒体搬送ベルト50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のものが使用される。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図2に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の電子写真感光体7についてについて図面を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。図3に示す電子写真感光体7は、導電性基体4上に、下引層1、電荷発生層2及び電荷輸送層3がこの順序で積層された構造を有する。そして、電荷発生層2及び電荷輸送層3が感光層5を構成している。
なお、電子写真感光体7は、下引層1が設けられていない層構成であってもよい。また、電子写真感光体7は、電荷発生層2と電荷輸送層3との機能が一体化した単層型感光層であってもよい。
以下、電子写真感光体の各要素について説明する。なお、各要素の符号は、省略して説明する。
(導電性基体)
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。粗面化のための層としては、後述の下引層を用いることも可能である。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは18μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
(中間層)
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
これらの中でも、電荷発生材料としては、電荷発生効率の点で、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料であることが好ましく、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより好ましい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から好ましい。
また、上記の810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが好ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより好ましい。一方、BET比表面積が45m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であることがより好ましく、55m/g以上120m/g以下であることが特に好ましい。平均粒径は、体積平均粒径(d50平均粒径)でレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)にて測定した値である。また、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒子径の最大値)は、1.2μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましく、より好ましくは0.3μm以下である。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.2μm以下、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ、比表面積値が45m/g以上であることが好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜に回折ピークを有するV型であることが好ましい。
電荷発生材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層(つまり最表面層)は、その電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)未満である。電荷輸送層の電気伝導度を上記範囲以下と低減することで、帯状画像欠陥が抑制される。
電荷輸送層の電気伝導度は、帯状画像欠陥抑制の観点から、5.0×10−13(1/Ω・cm)以下が好ましく、1.0×10−13(1/Ω・cm)以下がより好ましい。ただし、電荷輸送層の電気伝導度は、高速応答性の観点から、1.0×10−14(1/Ω・cm)以上が好ましく、5.0×10−14(1/Ω・cm)以上がより好ましい。
電荷輸送層(つまり最表面層)の電気伝導度は、次の方法により測定する。
まず、感光体から30mm四方の電荷輸送層を剥離後し、裏面をSC−701MC(SANYU DENSHI Co.Ltd. 製)にて300μm金蒸着行う。さらに、表面にφ0.8mmの穴が空いたシートをつけた状態で同様に300μm金蒸着行うことで、対象の感光体から電荷輸送層(つまり最表面層)の測定試料を採取する。
次に、[1]任意波形発生器:Tegam 2414B、[2] I−V,Q−V変換器:東陽テクニカ 6252 Rev.C 、[3]高圧アンプ:TREK2220、[4]サンプルボックス(プローバ―内蔵)、[5]AD変換機:専用ボード(PC内)を、図4のように接続した測定装置を準備する。この測定装置により、10℃15%RHの環境下で、測定試料の直流値Iおよび電圧値Vを測定する。結果の電圧値V(V)を電場E(V/cm)に変換し、電場Eと電流値Iの関係(Id=σd×E、σd:電気伝導度)から、電場E=27(V/cm)時の電気伝導度を求める。
なお、電荷輸送層(つまり最表面層)の電気伝導度は、電荷輸送材料の種類及び量、並びに、電荷輸送層の乾燥温度(溶剤の残留量等)等により調整される。
電荷輸送層は、例えば、結着樹脂と電荷輸送材料とを含む層である。そして、電荷輸送層は、電荷輸送層の全固形分に対して、酸化防止剤を0質量%以上0.25質量%未満含む。つまり、酸化防止剤は、電荷輸送層に含まなくてもよい。
−結着樹脂−
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂が好ましく、下記一般式(PCA)で示される構造単位と、下記一般式(PCB)で示される構造単位と、を含むポリカーボネート樹脂がより好ましい。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は、炭素数6以上12以下のアリール基を表す。XP1は、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基、又は、シクロアルキレン基を表す。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すアルキル基としては、炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数1以上3以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルが挙げられる。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
一般式(PCA)及び(PCB)中、XP1が表すアルキレン基としては、炭素数1以上12以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられる。
直鎖状のアルキレン基として具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基等が挙げられる。
分岐状のアルキレン基として具体的には、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、イソヘキシレン基、sec−ヘキシレン基、tert−ヘキシレン基、イソヘプチレン基、sec−ヘプチレン基、tert−ヘプチレン基、イソオクチレン基、sec−オクチレン基、tert−オクチレン基、イソノニレン基、sec−ノニレン基、tert−ノニレン基、イソデシレン基、sec−デシレン基、tert−デシレン基、イソウンデシレン基、sec−ウンデシレン基、tert−ウンデシレン基、ネオウンデシレン基、イソドデシレン基、sec−ドデシレン基、tert−ドデシレン基、ネオドデシレン基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCA)及び(PCB)中、XP1が表すシクロアルキレン基としては、炭素数3以上12以下(好ましくは炭素数3以上10以下、より好ましくは炭素数5以上8以下)のシクロアルキレン基が挙げられる。
シクロアルキレン基として具体的には、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロドデカニレン基等が挙げられる。
これらの中でも、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基が好ましい。
なお、一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、RP4、及びXP1が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子)、アルキル基(例えば炭素数1以上6以下のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば炭素数5以上7以下のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素数1以上4以下のアルコキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等)等が挙げられる。
一般式(PCA)において、RP1、及びRP2は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、RP1、及びRP2は、水素原子を表すことがより好ましい。
一般式(PCB)において、RP3、及びRP4は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表し、XP1がアルキレン基、又はシクロアルキレン基を表すことが好ましい。
BPポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、例示化合物中、pm、pnは共重合比を示す。
ここで、ポリカーボネート樹脂において、一般式(PCA)で示される構造単位の含有率(共重合比)は、ポリカーボネート樹脂を構成する全構造単位に対して5モル%以上95モル%以下の範囲がよく、感光層(電荷輸送層)の耐磨耗性を高める観点から、好ましくは5モル%以上50モル%以下の範囲、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下の範囲である。
具体的には、ポリカーボネート樹脂の上記例示化合物中、pm、pnは共重合比(モル比)を示すが、pm:pn=95:5から5:95の範囲、50:50から5:95の範囲、更に好ましくは、15:85から30:70の範囲が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂を他の結着樹脂と併用する場合、他の結着樹脂の含有量は全結着樹脂に対して10質量%(好ましくは5質量%以下)であることがよい。
ここで、結着樹脂(特に、ポリカーボネート樹脂)の粘度平均分子量は、40,000以上80,000以下が好ましく、塗布液の安定化の観点から、40,000以上60,000以下が好ましい。
なお、結着樹脂(特に、ポリカーボネート樹脂)の粘度平均分子量の測定方法としては、次の方法により測定される値である。樹脂1gをメチレンクロライド100cmに均一溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計により、その比粘度ηspを測定し、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕cの関係式(ただしcは濃度(g/cm)より極限粘度〔η〕(cm/g)をもとめ、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
結着樹脂の含有量は、例えば、電荷輸送層の全固形分に対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましく、50質量%以上90質量%以下が更に好ましい。
−電荷輸送材料−
電荷輸送材料は、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料(以下、単に「トリアリールアミン系電荷輸送材料」とも称する)、及びベンジジン系電荷輸送材料が適用される。
まず、トリアリールアミン系電荷輸送材料について説明する。
トリアリールアミン系電荷輸送材料は、トリアリールアミン構造に、ブタジエン構造「−CH=CH−CH=C=」を含む基が3つ連結した電荷輸送材料である。具体的には、トリアリールアミン構造の3つフェノール骨格に、各々、ブタジエン構造「−CH=CH−CH=C=」を含む基が連結した電荷輸送材料である。
より具体的には、例えば、トリアリールアミン系電荷輸送材料としては、下記一般式(CT1)で示される電荷輸送材料が挙げられる。

一般式(CT1)中、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は、炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。
n及びmは、各々独立に、1又は2を表す。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16が表すアルキル基としては、炭素数1以上20以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基、イソウンデシル基、sec−ウンデシル基、tert−ウンデシル基、ネオウンデシル基、イソドデシル基、sec−ドデシル基、tert−ドデシル基、ネオドデシル基、イソトリデシル基、sec−トリデシル基、tert−トリデシル基、ネオトリデシル基、イソテトラデシル基、sec−テトラデシル基、tert−テトラデシル基、ネオテトラデシル基、1−イソブチル−4−エチルオクチル基、イソペンタデシル基、sec−ペンタデシル基、tert−ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec−ヘキサデシル基、tert−ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、1−メチルペンタデシル基、イソヘプタデシル基、sec−ヘプタデシル基、tert−ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル基、sec−オクタデシル基、tert−オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec−ノナデシル基、tert−ノナデシル基、ネオノナデシル基、1−メチルオクチル基、イソイコシル基、sec−イコシル基、tert−イコシル基、ネオイコシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16が表すアルコキシ基としては、炭素数1以上20以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
直鎖状のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−イコシルオキシ基等が挙げられる。
分岐状のアルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基、イソウンデシルオキシ基、sec−ウンデシルオキシ基、tert−ウンデシルオキシ基、ネオウンデシルオキシ基、イソドデシルオキシ基、sec−ドデシルオキシ基、tert−ドデシルオキシ基、ネオドデシルオキシ基、イソトリデシルオキシ基、sec−トリデシルオキシ基、tert−トリデシルオキシ基、ネオトリデシルオキシ基、イソテトラデシルオキシ基、sec−テトラデシルオキシ基、tert−テトラデシルオキシ基、ネオテトラデシルオキシ基、1−イソブチル−4−エチルオクチルオキシ基、イソペンタデシルオキシ基、sec−ペンタデシルオキシ基、tert−ペンタデシルオキシ基、ネオペンタデシルオキシ基、イソヘキサデシルオキシ基、sec−ヘキサデシルオキシ基、tert−ヘキサデシルオキシ基、ネオヘキサデシルオキシ基、1−メチルペンタデシルオキシ基、イソヘプタデシルオキシ基、sec−ヘプタデシルオキシ基、tert−ヘプタデシルオキシ基、ネオヘプタデシルオキシ基、イソオクタデシルオキシ基、sec−オクタデシルオキシ基、tert−オクタデシルオキシ基、ネオオクタデシルオキシ基、イソノナデシルオキシ基、sec−ノナデシルオキシ基、tert−ノナデシルオキシ基、ネオノナデシルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、イソイコシルオキシ基、sec−イコシルオキシ基、tert−イコシルオキシ基、ネオイコシルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16が表すアリール基としては、炭素数6以上30以下(好ましくは6以上20以下、より好ましくは6以上16以下)のアリール基が挙げられる。
アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニリル基などが挙げられる。
これらの中でも、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
なお、一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、上記例示した原子および基(例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基など)が挙げられる。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16の隣接する二つの置換基同士(例えばRC11及びRC12同士、RC13及びRC14同士、RC15及びRC16同士)が連結した炭化水素環構造における、当該置換基同士を連結する基としては、単結合、2,2’−メチレン基、2,2’−エチレン基、2,2’−ビニレン基などが挙げられ、これらの中でも単結合、2,2’−メチレン基が好ましい。
ここで、炭化水素環構造として具体的には、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造、シクロアルカンポリエン構造等が挙げられる。
一般式(CT1)において、n及びmは、1であることが好ましい。
一般式(CT1)において、電荷輸送能の高い感光層(電荷輸送層)形成の点から、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16が水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、又は炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、m及びnが1又は2を表することが好ましく、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16が水素原子を表し、m及びnが1を表すことがより好ましい。
つまり、トリアリールアミン系電荷輸送材料は、下記構造式(CT1A)で示される電荷輸送材料(例示化合物(CT1−3))であることがより好ましい。
以下に、トリアリールアミン系電荷輸送材料(CT1)の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。

なお、上記例示化合物中の略記号は、以下の意味を示す。また、置換基の前に付す番号は、ベンゼン環に対する置換位置を示している。
・−CH:メチル基
・−OCH:メトキシ基
ここで、電荷輸送材料に占めるトリアリール系電荷輸送材料の割合は、10質量%以上30質量%以下が好ましく、20質量%以上30質量%以下がより好ましい。
次に、ベンジジン系電荷輸送材料について説明する。
ベンジジン系電荷輸送材料は、ベンジジン構造「N−Ph−Ph−N(ただし、Ph=フェニル基)」を有する電荷輸送材料である。
具体的には、ベンジジン系電荷輸送材料としては、下記一般式(CT1)で示され電荷輸送材料が挙げられる。
一般式(CT2)中、RC21、RC22、及びRC23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は、炭素数6以上10以下のアリール基を表す。
一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すアルキル基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
直鎖状のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
分岐状のアルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すアリール基としては、炭素数6以上10以下(好ましくは6以上9以下、より好ましくは6以上8以下)のアリール基が挙げられる。
アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらの中でも、アリール基としては、フェニル基が好ましい。
なお、一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、上記例示した原子および基(例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基など)が挙げられる。
一般式(CT2)において、特に、電荷輸送能の高い感光層(電荷輸送層)形成の点から、RC21、RC22、及びRC23が、各々独立に、水素原子、又は、炭素数1以上10以下のアルキル基を表すことが好ましく、RC21、及びRC23が水素原子を表し、RC22が炭素数1以上10以下のアルキル基(特に、メチル基)を表すことがより好ましい。
具体的には、ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)は、下記構造式(CT2A)で示される電荷輸送材料(例示化合物(CT2−2))であることが特に好ましい。
以下に、ベンジジン系電荷輸送材料の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。

なお、上記例示化合物中の略記号は、以下の意味を示す。また、置換基の前に付す番号は、ベンゼン環に対する置換位置を示している。
・−CH:メチル基
・−C:エチル基
・−OCH:メトキシ基
・−OC:エトキシ基
ここで、電荷輸送材料に占めるベンジジン系電荷輸送材料の割合は、10質量%以上30質量%以下が好ましく、20質量%以上30質量%以下がより好ましい。
電荷輸送材料は、トリアリールアミン系電荷輸送材料及びベンジジン系電荷輸送材料以外の他の電荷輸送材料を併用してもよい。ただし、電荷輸送材料に占める他の電荷輸送材料の割合は、30質量%以下が好ましい。
電荷輸送層中における結着樹脂と電荷輸送材料との質量比としては、例えば、2:8から8:2の範囲がよい。
電荷輸送材料の含有量としては、例えば、電荷輸送層全体に対して、20質量%以上80質量%以下の範囲が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましい。
なお、トリアリールアミン系電荷輸送材料とベンジジン系電荷輸送材料との質量比(トリアリールアミン系電荷輸送材料/ベンジジン系電荷輸送材料)は、高速な画像形成による画像濃度低下抑制の観点から、1/9以上3/7以下が好ましく、2/8以上3/7以下がより好ましい。
−酸化防止剤−
酸化防止剤は、電荷輸送層(感光層)の内部または表面に存在する酸化性物質に対して、光、熱、放電などの条件下で酸素の作用を防止または抑制する性質を有する物質である。
酸化防止剤としては、ラジカル重合禁止剤、過酸化物分解剤等が挙げられる。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ジアリルアミン系酸化防止剤、ジアリルジアミン系酸化防止剤、ハイドロキノン系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤が挙げられる。過酸化物分解剤としては、有機硫黄系(例えばチオエーテル系)酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤が挙げられる。
これの中でも、酸化防止剤としてはラジカル重合禁止剤がよく、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤としては、一分子中に、酸化防止作用を持つ異なる骨格を2つ以上有する酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール骨格とヒンダードアミン骨格とを有する酸化防止剤等)であってもよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤について説明する。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ヒンダードフェノール環を有する化合物である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤において、ヒンダードフェノール環は、例えば、炭素数4以上8以下のアルキル基(例えば炭素数4以上8以下の分岐状のアルキル基)が少なくとも一つ置換されたフェノール環である。より具体的には、ヒンダードフェノール環は、例えば、フェノール性水酸基に対してオルトの位置が三級アルキル基(例えばtert−ブチル基)で置換されたフェノール環である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、
1)ヒンダードフェノール環を1つ有する酸化防止剤、
2)ヒンダードフェノール環を2つ以上4つ以下有し、且つ直鎖又は分岐状の2価以上4価以下の脂肪族炭化水素基からなる連結基、又は2価以上4価以下の脂肪族炭化水素基の炭素−炭素の結合間に、エステル結合(−C(=O)O−)及びエーテル結合(−O−)の少なくとも一方が介在した連結基で、2つ以上4つ以下のヒンダードフェノール環が連結された酸化防止剤、
3)2つ以上4つ以下のヒンダードフェノール環と、一つのベンゼン環(未置換、又はアルキル基等で置換された置換ベンゼン環)又はイソシアヌレート環とを有し、2つ以上4つ以下のヒンダードフェノール環が、各々、ベンゼン環又はイソシアヌレート環とアルキレン基を介して連結された酸化防止剤、
等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤として具体的には、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’,−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば、イルガノックス1076、イルガノックス1010、イルガノックス1098、イルガノックス245、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス1076(以上、BASFジャパン社製)、スミライザーMDP-S(住友化学社製)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤について説明する。
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、ヒンダードアミン骨格を有する酸化防止剤である。 ヒンダードアミン骨格としては、例えば、アルキル基で置換されたピペリジル骨格が挙げられる。具体的には、ヒンダードアミン骨格としては、窒素原子に対してオルト位置の炭素原子と結合する2つ水素原子が各々アルキル基で置換されたテトラアルキルピペリジル骨格が挙げられる。なお、このテトラアルキルピペリジル骨格は、窒素原子と結合する水素原子が、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよい。
ヒンダードアミン系酸化防止剤として具体的には、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤の市販品としては、例えば、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744(以上、三共ライフテック社製)、チヌビン144、チヌビン622LD(以上、BASFジャパン社製)、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63(以上、アデカ社製)が挙げられる。
有機硫黄系酸化防止剤として具体的には、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
チオエーテル系酸化防止剤の市販品としては、例えば、スミライザーTPS、スミライザーTP−D(以上、住友化学社製)が挙げられる。ホスファイト系酸化防止剤として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
リン酸系酸化防止剤として具体的には、例えば、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
有機硫黄系およびリン酸系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われ、フェノール系又はアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果が得られる。
これら酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の含有量は、電荷輸送層の全固形分に対して、0質量部以上0.25質量部以下であり、0質量部以上0.2質量部以下が好ましく、0質量部以上0.15質量部以下がより好ましい。
なお、酸化防止剤の含有量が低ければ、高速な画像形成による画像濃度の低下が抑制され易く、酸化防止剤の含有量が高ければ、帯状画像欠陥が抑制され易くなる。そのため、これら考慮して、酸化防止剤の含有量を調整することがよい。
−溶剤−
電荷輸送層(つまり最表面層)には、電気伝導度を上記範囲とし、帯状画像欠陥を抑制する観点から、溶剤を含むことがよい。具体的には、電荷輸送層の形成時に、溶剤を残留させることがよい。
溶剤の含有量(残留量)は、帯状画像欠陥抑制の観点から、電荷輸送層の全固形分に対して、0.5質量%以上2.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下がより好ましい。
なお、溶剤としては、層形成用塗布液に使用する溶剤が挙げられる。
溶剤の含有量(残留量)は、次の方法により測定する。
まず、測定対象となる電子写真感光体から電荷輸送層(つまり最表面層)の測定試料を採取する。そして、測定試料を用いて、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)により測定する。具体的には、測定試料0.40mgを精確に秤量し、落下型の熱分解装置(フロンティアラボ社製:PY−2020D)を設置したガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所社製:GCMS QP−2010)により、下記の条件で測定を行う。
熱分解温度:400℃
ガスクロマト導入温度: 280℃
Inject方法: スプリット比1:50
カラム: フロンティアラボ社製 Ultra ALLOY−5 0.25μm、0.25μm ID、30m
ガスクロマト温度プログラム: 40℃から20℃/minで280℃まで昇温後、280℃で10min保持
マスレンジ: EI、m/z=29−600
−その他添加剤−
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
−電荷輸送材料の形成−
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(単層型感光層)
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下がよく、好ましくは0.8質量%以上5質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<感光体の作製>
[感光体1]
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m2/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学工業社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛粒子44.6質量部と、反応性アクセプター物質としてヒドロキシアントラキノンを0.45質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)10.2質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業社製)3.5質量部と、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、メチルエチルケトン41.3質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)3.6質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。下引層形成用塗布液の塗布温度24℃における粘度は235mPa・sであった。
この塗布液を、浸漬塗布法にて塗布速度220mm/minで直径84mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、24分の乾燥硬化を行い厚さ19μmの下引層を形成した。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部およびn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用塗布液を得た。電荷発生層形成用塗布液の塗布温度24℃における粘度は1.8mPa・sであった。この塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布法にて塗布速度130mm/minで浸漬塗布し、150℃で5分間乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、4フッ化エチレン樹脂粒子8質量部(平均粒径:0.2μm)と、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(東亞合成株式会社製、GF400(製品名))0.01質量部とを、テトラヒドロフラン(THF)4質量部、トルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液Aを得た。
次に、電荷輸送物質として下記化合物(CT1A)1.6質量部、N,N‘−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(下記化合物(CT2A))3質量部、結着樹脂として、下記構造式1および下記構造式2の繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体(粘度平均分子量53000)6質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;特定量(電荷輸送層の全固形分に対して0.15質量%となる量)0.1質量部を混合して、テトラヒドロフラン32質量部及びトルエン3質量部を混合溶解して、混合溶解液Bを得た。
次に、混合溶解液Bに4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液Aを加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cmまで昇圧しての分散処理を6回繰り返した液に、エーテル変性シリコーンオイル(商品名:KP340:信越化学工業社製)を5ppm添加し、撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に34μmの厚さで塗布して115℃で40分間乾燥して電荷輸送層を形成した。
以上の工程を経て、目的とする電子写真感光体を得た。得られた電子写真感光体を感光体1とした。
[感光体2〜3、感光体C1〜C7]
表1に従って、電荷輸送剤の種及び部数、酸化防止剤の含有量(質量%)、電荷輸送層形成時の乾燥温度を変更した以外は、感光体1と同様にして、感光体1〜3、感光体C1〜C7を作製した。
<実施例1〜3、比較例1〜7>
得られた感光体を電子写真方式の画像形成装置(富士ゼロックス社製:複写機D136 Printer)に搭載した。これら装置を、実施例1〜3、比較例1〜7の画像形成装置とした。
なお、電子写真方式の画像形成装置(富士ゼロックス社製:複写機D136 Printer)は、ストロコロン方式の帯電装置、及びストロコロン方式の補助帯電装置を有する装置である。そして、この装置は、補助帯電装置により感光体の表面を帯電電位−400Vで帯電した後、帯電装置により感光体の表面を−800Vで帯電するように設定されている。
[各種測定]
各例の画像形成装置の感光体について、電気伝導度、溶剤残留量を既述の方法により測定した。
[評価]
各例の画像形成装置を使用し、次の評価を実施した。
ただし、静電潜像形成手段による露光からトナーを感光体表面に乗せる現像までの時間を100msecとした条件(表中「低速」と表記)、50msecとした条件(表中「高速」と表記)で、各々、次の評価を実施した。
(濃度ムラの評価)
20℃50RH%の雰囲気下で、A3用紙にA3用紙に画像密度10%〜90%の範囲で10%刻みの画像を50枚出力した。そして、10枚目に出力した画像を目して観察し、次の基準で評価した。なお、画像濃度は、X−Rite社製、X−Rite404を用いて測定を行った。
−濃度ムラの評価基準−
A:狙い画像濃度と形成された実際の画像濃度の差が5%未満
B:狙い画像濃度と形成された実際の画像濃度の差が5%以上15%未満
C:狙い画像濃度と形成された実際の画像濃度の差が15%以上30%未満
D:狙い画像濃度と形成された実際の画像濃度の差が30%以上
(帯状画像欠陥の評価)
20℃50RH%の雰囲気下で、A3用紙に、ゴーストチャートを10000枚連続プリントし、12時間休ませた後に、3用紙に、画像濃度35%のハーフトーン画像を出漁した。出力したハーフトーン画像上の濃度ムラ(帯状画質欠陥)を目視で観察し、次の基準で評価した。
なお、「ゴーストチャート」とは、A3用紙に、感光体の1サイクル目(1回転目)で画像濃度100%のクロス画像、感光体の2サイクル目(2回転目)で画像濃度0%の白画像、感光体の3サイクル目(三回転目)で画像密度35%のハーフトーン画像を形成した一枚の画像である。
−帯状画像欠陥の評価基準−
A:発生しない又は識別困難
B:よく観察してようやく識別できる程度に発生するが、許容範囲内である
C:若干観察されるが、許容範囲内である
D:明らかに識別できる程度に発生し、許容範囲を超える

上記結果から、本実施例の画像形成装置は、比較例の画像形成装置に比べ、高速な画像形成での濃度ムラ、帯状画像欠陥の発生が抑制されていることがわかる。
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、7 電子写真感光体、8 帯電装置、8A 補助帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑剤、40 転写装置、50 記録媒体搬送ベルト、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、300 プロセスカートリッジ

Claims (10)

  1. 導電性基体と、前記導電性基体上に配置された感光層と、を有し、最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0質量%以上0.25質量%未満の酸化防止剤を含み、かつ前記最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)未満である電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する第一帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記転写手段による転写後、前記第一帯電手段による帯電前に、前記第一帯電手段よりも帯電電圧が低く、かつ前記第一帯電手段と同じ極性で、前記電子写真感光体の表面を帯電する第二帯電手段と、
    を備える画像形成装置。
  2. 前記トリアリールアミン系電荷輸送材料が、下記一般式(CT1)で示される電荷輸送材料である請求項1に記載の画像形成装置。

    (一般式(CT1)中、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は、炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。n及びmは、各々独立に1又は2を表す。)
  3. 前記一般式(CT1)で示される電荷輸送材料において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15、及びRC16が水素原子を表し、m及びnが1を表す請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記ベンジジン系電荷輸送材料が、下記一般式(CT2)で示される電荷輸送材料である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

    (一般式(CT2)中、RC21、RC22、及びRC23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は、炭素数6以上10以下のアリール基を表す。)
  5. 前記一般式(CT2)で示される電荷輸送材料において、RC21、及びRC23が水素原子を表し、RC22が炭素数1以上10以下のアルキル基を表す請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記最表面層が、溶剤を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記溶剤の量が、5ppm以上10ppm以下である請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記静電潜像形成手段による露光から前記トナーを前記感光体表面に乗せる現像までの時間が、80msec以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記静電潜像形成手段による露光から前記トナーを前記感光体表面に乗せる現像までの時間が、60msec以下である請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 導電性基体と、前記導電性基体上に配置された感光層と、を有し、最表面層が、結着樹脂、ブタジエン構造を3つ持つトリアリールアミン系電荷輸送材料、ベンジジン系電荷輸送材料、及び、0質量%以上0.25質量%未満の酸化防止剤を含み、かつ前記最表面層の電気伝導度が8.0×10−14(1/Ω・cm)未満である電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する第一帯電手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像が前記電子写真感光体から転写後、前記第一帯電手段による帯電前に、前記第一帯電手段よりも帯電電圧が低く、かつ前記第一帯電手段と同じ極性で、前記電子写真感光体の表面を帯電する第二帯電手段と、
    を備え、画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
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