JP2019060395A - 流体封入式防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可動板の打ち当たりによる異音の発生を防止しつつ、可動板を備えることによる優れた防振性能を実現することができる、新規な構造の流体封入式防振装置を提供すること。【解決手段】非圧縮性流体が封入された受圧室88と平衡室90を相互に連通する接続流路104が仕切部材32に設けられており、受圧室88の液圧と平衡室90の液圧とを各一方の面に及ぼされる可動板52が接続流路104上に配設されていると共に、入力振動の振幅に応じて接続流路104を狭窄乃至は遮断する開閉デバイス80,82が接続流路104上に配設されて、それら開閉デバイス80,82と可動板52が接続流路104の流路長さ方向で直列的に配置されている。【選択図】図1
Description
本発明は、内部に非圧縮性流体を封入された受圧室と平衡室を備える流体封入式防振装置に係り、特に受圧室の実質的な密閉による高動ばね化を微小変位によって緩和できる可動板を備えた流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に装着されて、それら部材を相互に防振連結する防振連結体乃至は防振支持体として、防振装置が知られている。更に、防振装置には、防振性能の向上などを目的として、内部に設けられた受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入した流体封入式防振装置も提案されており、自動車のエンジンマウントなどに適用されている。流体封入式防振装置は、例えば特開2008−75670号公報(特許文献1)などに開示されているように、第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されていると共に、内部に非圧縮性流体を封入した受圧室と平衡室が設けられている。
ところで、特許文献1にも示されているように、流体封入式防振装置は、受圧室の実質的な密閉による著しい高動ばね化を防ぐなどの目的で、可動板が採用される場合もある。可動板は、例えば受圧室と平衡室を隔てる仕切部材に形成された空所内に収容されて、受圧室の液圧と平衡室の液圧の各一方が接続流路を通じて両面に及ぼされるようになっている。そして、可動板は、受圧室と平衡室の相対的な圧力変動によって空所内で厚さ方向に変位することで、受圧室と平衡室の間で液圧の伝達を許容するようになっている。
なお、可動板は、空所内にフロート状態で配設されていることから、振動入力時に空所内での変位が速やかに生じると共に、空所内での変位量が入力振動の振幅に応じて精度よく決まる。それ故、接続流路が連通された状態での特性と接続流路が遮断された状態での特性とを可動板で切り替えることによって、優れた防振性能を高度に実現することができる。
しかしながら、可動板は、空所内にフロート状態で配設されているがゆえに、空所内で変位する際に仕切部材に打ち当たって異音が生じるという問題がある。特に、可動板の変形剛性を大きくすると、特性の切り替えを有利に実現することができる一方で、仕切部材への打ち当たりよる異音がより一層問題となり易かった。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、可動板の打ち当たりによる異音の発生を防止しつつ、可動板を備えることによる優れた防振性能を実現することができる、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
すなわち、本発明の第一の態様は、第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、壁部の一部が該本体ゴム弾性体によって構成された受圧室が設けられていると共に、該受圧室に対して仕切部材で隔てられて壁部の一部が可撓性膜によって構成された平衡室が設けられて、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体が封入されており、それら受圧室と平衡室を連通する接続流路が該仕切部材に設けられていると共に、該受圧室の液圧と該平衡室の液圧とを各一方の面に及ぼされる可動板が該接続流路上に配設されている流体封入式防振装置において、前記接続流路上には入力振動の振幅に応じて該接続流路を狭窄乃至は遮断する開閉デバイスが配設されており、該開閉デバイスが前記可動板に対して該接続流路の流路長さ方向で直列的に配置されていることを、特徴とする。
このような第一の態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、仕切部材に対して弾性支持されることなくフロート状態で配される可動板の変位によって、接続流路の連通状態と遮断状態が切り替えられる。それ故、接続流路の連通と遮断が切り替えられるべき振動振幅の閾値に応じて可動板が許容される変位量を調節することにより、接続流路の連通と遮断を入力振動の振幅に応じて正確且つ明瞭に切り替えることができて、防振特性を精度よく変化させることができる。
また、可動板が仕切部材に打ち当たるほどの大振幅振動の入力時に、可動板に対して直列的に配された開閉デバイスが、接続流路を狭窄乃至は遮断するようになっている。これにより、接続流路を通じた流体の流動が開閉デバイスによって制限されることから、可動板の変位スピードが抑制されて、可動板の打ち当たりによる異音(打音)が低減される。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記仕切部材には前記受圧室と前記平衡室を相互に連通するオリフィス通路が設けられているものである。
第二の態様によれば、オリフィス通路による防振効果が発揮される。特に、オリフィス通路を低周波大振幅振動であるエンジンシェイクなどにチューニングする場合には、オリフィス通路がチューニングされた振動の入力時に、接続流路が可動板によって迅速に且つ確実に遮断されることから、オリフィス通路の防振効果が有効に発揮される。
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記仕切部材にゴム弾性板が配設されて、該ゴム弾性板には前記接続流路を構成するスリット状の連通孔が設けられていると共に、該連通孔の開口縁部には該ゴム弾性板の両面に突出する弁状ゴム突起が前記開閉デバイスとして設けられており、入力振動の振幅に応じた前記受圧室と前記平衡室の液圧差に基づいて弾性変形する該弁状ゴム突起が該連通孔の開口を覆うことで、該接続流路が入力振動の振幅に応じて狭窄乃至は遮断されるものである。
第三の態様によれば、弁状ゴム突起の弾性変形によって接続流路が狭窄乃至は遮断されることから、接続流路の実質的な通路断面積が弁状ゴム突起の弾性変形量が増すに従って徐々に小さくなる。これにより、可動板が入力振動の振幅に応じて減速されることから、可動板の打ち当たりによる異音が低減されると共に、可動板による防振特性の速やかな切り替えが実現される。
本発明の第四の態様は、第一又は第二の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記仕切部材に弾性可動体が配設されて、該弾性可動体の挟持部が該仕切部材によって支持されていると共に、該挟持部から前記接続流路上に突出する可動部が前記開閉デバイスとして該弾性可動体に設けられており、入力振動の振幅に応じた前記受圧室と前記平衡室の液圧差に基づいて弾性変形する該可動部が該接続流路の壁内面に当接することで、該接続流路が入力振動の振幅に応じて狭窄乃至は遮断されるものである。
第四の態様によれば、弾性可動体の可動部の弾性変形によって接続流路が狭窄乃至は遮断されることから、接続流路の実質的な通路断面積が可動部の弾性変形量が増すに従って徐々に小さくなる。これにより、可動板が入力振動の振幅に応じて減速されることから、可動板の打ち当たりによる異音が低減されると共に、可動板による防振特性の速やかな切り替えが実現される。
本発明の第五の態様は、第一〜第四の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記接続流路の中間部分には中間室が設けられており、前記仕切部材における前記受圧室と該中間室を隔てる部分に前記可動板と前記開閉デバイスの何れか一方が配設されていると共に、該仕切部材における前記平衡室と該中間室を隔てる部分に該可動板と該開閉デバイスの何れか他方が配設されているものである。
第五の態様によれば、接続流路における流動流体の共振周波数であるチューニング周波数をより高周波に設定し易くなる。即ち、接続流路の中間部分に流路長さ方向と直交する方向で大きく広がる中間室を設けることで、接続流路のチューニング周波数は、接続流路における受圧室と中間室を連通する部分のチューニング周波数と、接続流路における平衡室と中間室を連通する部分のチューニング周波数との何れか低周波側の一方となる。これにより、接続流路全体の流路長に基づいてチューニング周波数が設定される中間室のない構造に比して、チューニング周波数に影響する流路長が短くなることから、接続流路のチューニング周波数をより高周波に設定し易くなる。
本発明の第六の態様は、第一〜第五の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記開閉デバイスが前記可動板よりも前記受圧室側に配設されているものである。
第六の態様によれば、受圧室の液圧が開閉デバイスに対して接続流路における可動板の配設領域を介することなく直接的に作用することから、開閉デバイスが受圧室の内圧変動に速やかに応答して変形し、開閉デバイスによる接続流路の狭窄乃至は遮断が優れた応答性をもって実現される。
本発明によれば、フロート状態で配される可動板が変位することにより、接続流路の連通状態と遮断状態が切り替えられることから、流体封入式防振装置のばねや減衰などの防振特性が、入力振動の振幅に応じて正確且つ明瞭に切り替えられて、優れた防振性能を得ることができる。また、受圧室と平衡室を連通する接続流路の流路上に可動板と開閉デバイスが直列的に配置されており、可動板が仕切部材に打ち当たるほどの大振幅振動の入力時に、開閉デバイスが接続流路を狭窄乃至は遮断することで、接続流路を通じた流体の流動が開閉デバイスによって制限されることから、可動板の変位スピードが抑制されて、可動板の打ち当たりによる異音が低減される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第一の実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が提案されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性連結された構造を有している。以下の説明において、上下方向とは、原則として、軸方向である図1中の上下方向を言うものであって、本実施形態ではエンジンマウント10の車両装着状態における鉛直上下方向と略一致する。尤も、以下の説明の上下方向は、必ずしも車両装着状態での鉛直上下方向と一致するものに限定されない。
より詳細には、第一の取付部材12は、略円柱形状を有していると共に、上端部には外周へ突出するフランジ状部18が一体形成されている。更に、第一の取付部材12には、中心軸上を上下に延びて上面に開口するねじ穴20が形成されている。
第二の取付部材14は、薄肉大径の略円筒形状を有していると共に、軸方向中間部分に段差が設けられており、段差よりも上部が下部に比して大径とされた段付き円筒形状とされている。
そして、第一の取付部材12が第二の取付部材14に対して略同一中心軸上で上方に配置されており、それら第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、全体として略円錐台形状を有しており、小径側の端部に第一の取付部材12が加硫接着されていると共に、大径側の端部に第二の取付部材14が加硫接着されている。本実施形態の本体ゴム弾性体16は、第一の取付部材12と第二の取付部材14を備える一体加硫成形品として形成されている。
さらに、本体ゴム弾性体16には、下面に開口する凹所22が形成されており、凹所22の周壁部から筒状のシールゴム層24が下向きに突出している。このシールゴム層24は、第二の取付部材14の内周面に被着形成されており、第二の取付部材14の内周面がシールゴム層24で覆われている。
また、第二の取付部材14には、可撓性膜26が取り付けられている。可撓性膜26は、容易に変形可能な薄肉のゴム膜であって、本実施形態では弛みを有することで変形がより容易に許容されるようになっている。更に、可撓性膜26の外周端部に環状の固定部材28が加硫接着されており、固定部材28が第二の取付部材14の下端部に差し入れられて嵌着されることによって、可撓性膜26が第二の取付部材14の下側開口を塞ぐように配設されている。
本体ゴム弾性体16と可撓性膜26の軸方向間には、第二の取付部材14の内周側において、非圧縮性流体が封入された封入領域30が形成されている。封入領域30に封入される非圧縮性流体は、特に限定されるものではないが、水やエチレングリコール、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油、或いはそれらの混合液など、低粘性の液体が好適に採用される。
また、封入領域30には、仕切部材32が配設されている。仕切部材32は、図2,3に示すように、全体として厚肉の略円板形状を有しており、仕切部材本体34を備えている。
仕切部材本体34は、全体として厚肉の略円板形状であって、内周部分には上面に開口する中央凹所38が形成されている一方、外周部分には外周面に開口しながら周方向に延びる周溝40が形成されている。なお、本実施形態の周溝40は、周方向に1周を超える長さで延びている。
さらに、仕切部材本体34には、下側仕切板42が取り付けられている。下側仕切板42は、薄肉の略円板形状とされており、中央凹所38に差し入れられて上下中間部分で上下方向と略直交する方向に広がっている。これにより、仕切部材本体34における中央凹所38の底壁を構成する部分と下側仕切板42との上下間に収容空所44が形成されており、それら仕切部材本体34と下側仕切板42によって下側収容部46が構成されている。また、下側収容部46の上下壁部には、第一の上透孔48と第一の下透孔50が、上下に貫通して各複数形成されて、収容空所44に連通されている。なお、本実施形態では、中央凹所38の内周面に段差が設けられており、下側仕切板42が段差によって上下方向で位置決めされている。
また、下側収容部46の収容空所44には、可動板52が収容されている。可動板52は、略円板形状とされており、好適には金属や合成樹脂、或いは変形剛性の高いゴムなどで形成された部材とされている。本実施形態の可動板52は、全体がゴムで形成されているが、例えば金属や合成樹脂などで形成された硬質の補強板を内部に埋設状態で備えていても良い。更に、本実施形態の可動板52は、上下両面に突出する複数の緩衝凸部54を一体で備えている。本実施形態では、中央の緩衝凸部54と2つの環状の緩衝凸部54,54が同心的に配されているが、例えば複数の小突起が分散して配置されるなどの別態様も採用され得る。
この可動板52は、下側収容部46の収容空所44に対して上下方向と略直交する方向で広がるように配設されており、収容空所44内で上下に微小変位可能とされている。なお、可動板52の上下方向の最大厚さ寸法が、収容空所44の上下方向の内法寸法よりも小さくされており、可動板52が上下方向で圧縮されることなく、実質的なフロート状態で収容空所44に収容されている。更に、本実施形態の可動板52は、外径寸法が収容空所44の軸直角方向の内法寸法よりも小さくされており、軸直角方向の変位も許容されている。
また、仕切部材本体34の中央凹所38には、中間仕切板56が配設されている。中間仕切板56は、全体として厚肉の略円板形状を有しており、上面に上側凹所58が開口していると共に、下面に下側凹所60が開口している。この中間仕切板56は、上側凹所58に差し入れられて、外周部分が下側仕切板42に上側から重ね合わされている。これにより、中間仕切板56の下側凹所60の開口が下側仕切板42によって覆われて、それら中間仕切板56と下側仕切板42との間に中間室62が形成されている。
さらに、仕切部材本体34の中央凹所38には、上側仕切板64が配設されている。上側仕切板64は、略円板形状を有しており、外周端部が中央凹所38の周壁内面に設けられた段差に重ね合わされて、上下方向に位置決めされた状態で中央凹所38に配設されている。また、上側仕切板64の外周部分と中間仕切板56の外周部分が上下に重ね合わされている。本実施形態では、上側仕切板64の外周部分において下面に突出するC字環状の嵌合突部が、中央凹所38に嵌め入れられることで、上中下の仕切板64,56,42が仕切部材本体34に対して位置決めされている。
このように中間仕切板56と上側仕切板64が上下に重ね合わされることにより、中間仕切板56の上側凹所58の開口が上側仕切板64で覆われて、それら中間仕切板56と上側仕切板64との間に収容空所66が形成されており、それら中間仕切板56と上側仕切板64によって上側収容部68が構成されている。更に、上側収容部68の上下壁部には、第二の上透孔70,71と第二の下透孔72,73が、上下に貫通して各2つ形成されて収容空所66に連通されている。なお、第二の上透孔70,71は、何れもスリット状とされて、第二の上透孔70が後述する連通孔76に対応していると共に、第二の上透孔71が後述する連通孔78に対応しており、第二の上透孔70が第二の上透孔71よりも孔断面における長さ(図3中の上下方向の長さ)が短くなっている。同様に、第二の下透孔72,73は、何れもスリット状とされて、第二の下透孔72が後述する連通孔76に対応していると共に、第二の下透孔73が後述する連通孔78に対応しており、第二の下透孔72が第二の下透孔73よりも孔断面における長さ(図4中の左右方向の長さ)が短くなっている。
仕切部材32の上側収容部68の収容空所66には、ゴム弾性板74が収容されている。ゴム弾性板74は、略円板形状とされており、全体がゴムなどの弾性体で形成されている。更に、ゴム弾性板74には、上下に貫通する連通孔76,78が形成されている。この連通孔76,78は、扁平な孔断面形状を有するスリット状とされており、本実施形態では、幅方向(図1中の左右方向)で相互に離隔する2つが形成されていると共に、それら2つの連通孔76,78の開口長さ寸法(図3中、上下方向の開口寸法)が相互に異なっている。具体的には、連通孔76の開口長さ寸法が、連通孔78の開口長さ寸法よりも小さくなっている。なお、本実施形態では、2つの連通孔76,78の開口幅寸法(図3中、左右方向の開口寸法)が相互に同じとされているが、開口幅寸法を相互に異ならせることもできる。また、互いに同じ形状とされた複数の連通孔を形成しても良い。
さらに、ゴム弾性板74における連通孔76,78の開口縁部には、開閉デバイスとしての弁状ゴム突起80,82が形成されている。弁状ゴム突起80,82は、全体として薄肉板状とされて、ゴム弾性板74において上下外側へ向けて突出していると共に、連通孔76,78の開口長さ方向の略全長に亘って延びている。そして、弁状ゴム突起80,82は、連通孔76,78の幅方向何れかの開口縁部に設けられており、ゴム弾性板74の上下両側に各一つが突出形成されている。本実施形態では、上側の弁状ゴム突起80,82が連通孔76,78の幅方向一方の開口縁部に設けられていると共に、下側の弁状ゴム突起80,82が連通孔76,78の幅方向他方の開口縁部に設けられている。なお、弁状ゴム突起80,82は、突出先端に向けて次第に薄肉とされていると共に、突出先端に向けて次第に連通孔76,78の開口側へ傾斜している。また、連通孔76,78の開口長さ方向において、連通孔76の開口縁部に設けられた弁状ゴム突起80,80は、連通孔78の開口縁部に設けられた弁状ゴム突起82,82よりも長さが短くされている。
更にまた、ゴム弾性板74には、図2に示すように、連通孔76,78の貫通方向に対して略直交する開口長さ方向に延びる凹溝84,85が形成されている。凹溝84は、連通孔76の上下開口の左右に各一つが形成されて、ゴム弾性板74の上下各一方の面に開口していると共に、連通孔76の左右開口縁部に配された弁状ゴム突起80,80よりも左右方向で連通孔76から離れた位置に設けられている。凹溝85は、連通孔78の上下開口の左右に各一つが形成されて、ゴム弾性板74の上下各一方の面に開口していると共に、連通孔78の左右開口縁部に配された弁状ゴム突起82,82よりも左右方向で連通孔78から離れた位置に設けられている。本実施形態の凹溝84,85は、ゴム弾性板74の厚さ寸法の半分よりも大きな深さで形成されていると共に、溝幅寸法が開口側に向けて次第に大きくなっている。また、本実施形態において、連通孔76の周囲に設けられた凹溝84は、連通孔78の周囲に設けられた凹溝85よりも溝長さ(図2における紙面直交方向の長さ)が短くされている。
なお、上向きに突出する弁状ゴム突起80の右側に隣り合って配された凹溝84が上向きに開口していると共に、下向きに突出する弁状ゴム突起80の左側に隣り合って配された凹溝84が下向きに開口している。同様に、上向きに突出する弁状ゴム突起82の右側に隣り合って配された凹溝85が上向きに開口していると共に、下向きに突出する弁状ゴム突起82の左側に隣り合って配された凹溝85が下向きに開口している。
さらに、連通孔76,78の開口縁部における弁状ゴム突起80,82の形成側と反対側の部分には、緩衝突起86,87が設けられている。緩衝突起86,87は、連通孔76,78の開口縁部に沿って延びる突条であって、弁状ゴム突起80,82と同様に、ゴム弾性板74において上下外側へ向けて突出していると共に、連通孔76,78の長さ方向の略全長に亘って延びている。なお、連通孔76の開口縁部に形成された緩衝突起86は、連通孔78の開口縁部に形成された緩衝突起87よりも長さが短くされている。
そして、ゴム弾性板74は、上側収容部68の収容空所66に対して、上下方向と略直交して広がるように配設されている。また、ゴム弾性板74の連通孔76,78が上側収容部68の上下壁部に形成された第二の上透孔70,71および第二の下透孔72,73と位置決めされており、連通孔76,78が第二の上透孔70,71と第二の下透孔72,73を通じて上下に開放されている。更に、ゴム弾性板74の弁状ゴム突起80,82と緩衝突起86,87は、第二の上透孔70,71と第二の下透孔72,73に差し入れられている。なお、本実施形態のゴム弾性板74の外周面には上下に延びる溝状の凹部が形成されており、上側収容部68における収容空所66の周壁内面に突設された凸部が嵌め合わされることで、ゴム弾性板74が収容空所66内で周方向に位置決めされている。
かくの如き構造を有する仕切部材32は、図1に示すように、第二の取付部材14の内周へ差し入れられて封入領域30に配設されている。即ち、仕切部材32は、可撓性膜26よりも上側で第二の取付部材14に差し入れられており、外周端部が本体ゴム弾性体16の下面と可撓性膜26に固着された固定部材28との上下間に挟まれて位置決めされている。そして、第二の取付部材14が八方絞りなどによって縮径されることで、仕切部材32の外周面が第二の取付部材14の内周面に対してシールゴム層24を介して押し付けられることにより、仕切部材32が第二の取付部材14に対して装着されている。
仕切部材32は、封入領域30において略軸直角方向に広がっており、封入領域30が仕切部材32を挟んだ上下に二分されている。即ち、仕切部材32の上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に内圧変動が惹起される受圧室88が形成されている一方、仕切部材32の下側には、壁部の一部が可撓性膜26で構成されて、容積変化が許容される平衡室90が形成されている。受圧室88と平衡室90には、それぞれ非圧縮性流体が封入されている。また、仕切部材32の内部に形成された中間室62には、受圧室88および平衡室90と同様の非圧縮性流体が封入されている。
また、仕切部材32の外周面が第二の取付部材14の内周面にシールゴム層24を介して押し付けられることにより、仕切部材32の外周部分に設けられた周溝40の開口が流体密に塞がれている。更に、周溝40の両端部は、上下の接続孔92,94(図4参照)を通じて受圧室88と平衡室90の各一方に連通されている。これらによって、受圧室88と平衡室90を相互に連通するオリフィス通路96が、仕切部材32の外周端部に形成されて、第二の取付部材14の内周面に沿って周方向に延びている。本実施形態のオリフィス通路96は、エンジンシェイクなどの10Hz程度の低周波振動にチューニングされている。なお、オリフィス通路96は本発明において必須ではなく、例えば、受圧室88と平衡室90が接続流路104だけで連通されていても良い。
また、受圧室88と中間室62は、仕切部材32の上側収容部68の壁部に設けられた第二の上透孔70,71と第二の下透孔72,73およびゴム弾性板74の連通孔76,78で構成された上側流路98,100によって、相互に連通されている。更に、中間室62と平衡室90は、仕切部材32の下側収容部46の壁部に設けられた第一の上透孔48と第一の下透孔50と収容空所44とで構成された下側流路102によって、相互に連通されている。これらにより、受圧室88と平衡室90を相互に連通する接続流路104が、仕切部材32に設けられている。要するに、本実施形態の接続流路104は、受圧室88と中間室62を連通する上側流路98,100と、中間室62と平衡室90を連通する下側流路102が、中間室62を介して連通されていることで構成されている。従って、本実施形態では、中間室62が接続流路104の流路長方向の中間部分に設けられており、接続流路104が中間室62の形成部分で流路長方向と略直交する方向に拡大されている。
なお、2つの連通孔76,78の孔断面積が相互に異なっていることから、2つの上側流路98,100のチューニング周波数が相互に異なっている。即ち、孔断面積が小さい連通孔76を含んで構成される上側流路98のチューニング周波数が、孔断面積が大きい連通孔78を含んで構成される上側流路100のチューニング周波数よりも低周波とされている。本実施形態では、2つの連通孔76,78が1つのゴム弾性板74に設けられた構造を例示するが、例えば互いに独立した2つのゴム弾性板に2つの連通孔76,78の各一方を設けても良い。
さらに、上側流路98,100のチューニング周波数が、下側流路102のチューニング周波数よりも低周波とされており、接続流路104のチューニング周波数が、上側流路98,100のチューニング周波数に応じて設定されている。更にまた、接続流路104のチューニング周波数は、オリフィス通路96のチューニング周波数よりも高周波とされており、本実施形態では、アイドリング振動や走行こもり音に相当する15Hz〜100Hz程度の中〜高周波数にチューニングされている。
また、仕切部材32に配設されたゴム弾性板74は、接続流路104の流路上に配置されている。即ち、接続流路104を構成する上側流路98,100が、ゴム弾性板74に形成された連通孔76,78を含んで構成されており、上下両面に弁状ゴム突起80,82をそれぞれ備えるゴム弾性板74が、上側流路98,100の流路長さ方向(略上下方向)と交差する方向に広がるように配設されている。これにより、連通孔76,78の開口縁部に設けられた弁状ゴム突起80,82は、接続流路104の流路上に配されており、後述する弾性変形した状態において接続流路104を塞ぐように変位可能とされている。
また、仕切部材32に配設された可動板52も、接続流路104の流路上に配置されている。即ち、接続流路104を構成する下側流路102が、可動板52を収容する下側収容部46の収容空所44を含んで構成されており、可動板52は、下側流路102の中間において接続流路104の流路長さ方向(上下方向)と略直交して広がるように配設されている。これにより、可動板52の上下両面には、中間室62を介して伝達される受圧室88の液圧と、平衡室90の液圧との各一方が、接続流路104によって及ぼされている。
このように、弁状ゴム突起80,82を備えるゴム弾性板74と、可動板52とが、何れも接続流路104の流路上に配設されており、それらゴム弾性板74と可動板52が接続流路104の流路長さ方向で直列的に配置されている。本実施形態では、ゴム弾性板74が受圧室88と中間室62を隔てる上側収容部68の収容空所66に配設されていると共に、可動板52が中間室62と平衡室90を隔てる下側収容部46の収容空所44に配設されており、ゴム弾性板74が可動板52よりも受圧室88側に配置されている。
かくの如き構造とされたエンジンマウント10は、第一の取付部材12が図示しないパワーユニットに装着されると共に、第二の取付部材14が図示しない車両ボデーに装着されることにより、パワーユニットと車両ボデーを防振連結した状態で車両に装着されるようになっている。
そして、エンジンシェイクのような低周波大振幅振動の入力時には、受圧室88と平衡室90の相対的な圧力差に基づいて、オリフィス通路96を通じた流体の流動が両室88,90間で生ぜしめられることから、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される。
エンジンマウント10では、大振幅振動の入力時に、可動板52が接続流路104を遮断するようになっている。即ち、可動板52が下側収容部46の上下壁部に押し付けられることで、上下の第一の透孔48,50が可動板52で遮断されて、接続流路104が遮断される。これにより、大振幅振動の入力時には、受圧室88と平衡室90が接続流路104を通じて連通されず、受圧室88と平衡室90の相対的な圧力差が効率的に生じることから、オリフィス通路96を通じた流体の流動量を有利に確保することができて、防振性能の向上が図られる。
さらに、大振幅振動の入力時には、ゴム弾性板74の弁状ゴム突起80,82も接続流路104を遮断するようになっている。即ち、大振幅振動の入力時には、弁状ゴム突起80,82が、受圧室88と平衡室90の相対的な圧力差に基づいて、連通孔76,78側へ倒れるように湾曲変形せしめられて、連通孔76,78の開口が弾性変形した弁状ゴム突起80,82によって覆われる。これにより、連通孔76,78を含んで構成される接続流路104が弁状ゴム突起80,82によって遮断される。なお、上下の弁状ゴム突起80,82は、入力振動に同期するように交互に変形せしめられることから、連通孔76,78の上下開口の何れか一方が弁状ゴム突起80,82によって遮断されるようになっている。
ここにおいて、弁状ゴム突起80,82の弾性変形量は、入力振動の振幅に応じて決まることから、連通孔76,78を含んで構成される上側流路98,100の弁状ゴム突起80,82による狭窄の程度が、入力振動の振幅に応じて決定される。したがって、上側流路98,100を通じた受圧室88と中間室62の間の流体流動が、入力振動の振幅に応じて弁状ゴム突起80,82で制限されて、流体流動によって可動板52に及ぼされる圧力が入力振動の振幅が大きくなるに従って小さくなる。その結果、大振幅振動の入力時には、可動板52の上下変位の速さが大幅に低減されて、下側収容部46の上下壁部に対する可動板52の打ち当たりが抑えられることから、可動板52の打ち当たりに起因する異音が防止される。
なお、可動板52は、下側収容部46の上下壁内面に対する当接によって、接続流路104を直ちに遮断状態とするようになっていると共に、下側収容部46の上下壁内面から離隔することで、接続流路104を直ちに連通状態とするようになっている。従って、接続流路104の連通状態と遮断状態が可動板52によって切り替えられることで、エンジンマウント10の防振特性が明瞭に切り替えられて、入力振動に応じた防振性能を効率的に発揮させることができる。
このように、本実施形態に係るエンジンマウント10によれば、可動板52による防振特性の明瞭な切替えによって、目的とする防振効果を効率的に得ることができると共に、可動板52の打ち当たりによる異音の発生が、弁状ゴム突起80,82による接続流路104の狭窄乃至は遮断によって防止されるようになっている。
特に本実施形態では、可動板52の上下表面に緩衝凸部54が設けられており、可動板52が下側収容部46の上下壁部に当接する際の初期の当接面積が小さくされていることから、可動板52の打ち当たりによる異音がより効果的に低減される。
また、本実施形態では、弁状ゴム突起80,82が連通孔76,78の開口を遮断する際に、緩衝突起86,87に当接するようになっている。これにより、連通孔76,78側へ弾性変形した弁状ゴム突起80,82が、ゴム弾性板74の上下表面に広い面積で打ち当たって打音が生じるのも回避されている。
さらに、本実施形態では、弁状ゴム突起80,82を備えるゴム弾性板74が、可動板52よりも受圧室88側に配置されていることにより、特に入力が大きくなり易い受圧室88に正圧が及ぼされる状態において、受圧室88の内圧変動に対して弁状ゴム突起80,82の弾性変形がより速やかに生ぜしめられる。その結果、弁状ゴム突起80,82によって接続流路104の狭窄乃至は遮断が速やかに実行されて、可動板52の打ち当たりがより効果的に防止される。
一方、アイドリング振動や走行こもり音などの小振幅の振動入力時には、ゴム弾性板74の弁状ゴム突起80,82が連通孔76,78を遮断することがなく、連通孔76,78を含む上側流路98,100が連通状態に維持される。更に、小振幅の振動入力時には、可動板52が収容空所44の上下壁内面から離れた状態とされて、下側流路102が連通状態とされる。これらによって、上側流路98,100と下側流路102を含む接続流路104が連通状態とされて、接続流路104を通じた流体流動によって目的とする防振効果(低動ばね効果)が発揮される。なお、オリフィス通路96は、チューニング周波数よりも高周波の振動入力時に、反共振によって実質的な目詰まり状態とされることから、オリフィス通路96を通じた流体流動が制限されている。
本実施形態では、接続流路104の中間部分に中間室62が設けられており、接続流路104が、中間室62よりも受圧室88側の上側流路98,100と、平衡室90側の下側流路102とを有している。これにより、接続流路104を通じて流動する流体の共振周波数、即ち接続流路104のチューニング周波数が、上側流路98,100のチューニング周波数と下側流路102のチューニング周波数の何れか低い周波数に応じて設定されている。このように、接続流路104のチューニング周波数が、接続流路104よりも流路長の短い上側流路98,100又は下側流路102のチューニング周波数に応じて設定されることで、流路断面積と流路長の比によって設定されるチューニング周波数を、流路断面積を大きくすることなく、より高周波に設定し易くなる。それ故、仕切部材32の大径化などを要することなく、接続流路104のチューニング周波数をより広い周波数域で調節することが可能となる。
次に、図6には、本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウント110を示す。エンジンマウント110は、受圧室88と平衡室90を仕切る仕切部材112を備えている。以下の説明において、第一の実施形態と実質的に同一の部材および部位については、図中に同一の符号を付すことで説明を省略する。
より具体的には、仕切部材112は、図7,8に示すように、中間仕切板114と上側仕切板116で構成された上側収容部118を備えている。中間仕切板114は、図7〜9に示すように、略円環板形状とされており、内周部分が上方へ突出する環状の挟持突部120を備えて、外周部分よりも厚肉とされている。一方、上側仕切板116は、全体として略円板形状とされており、径方向の中間部分には下向きに開口する環状凹所122が形成されている。
そして、中間仕切板114と上側仕切板116は、上下方向で相互に重ね合わされている。これにより、上側仕切板116の環状凹所122の開口が中間仕切板114によって覆われて環状の収容空所124が形成されており、収容空所124を備えた上側収容部118が中間仕切板114と上側仕切板116によって構成されている。
なお、収容空所124の上下壁部の外周部分には、周方向に延びて上下に貫通する第二の上側透孔126と第二の下側透孔128が形成されている。更に、収容空所124の上側壁部の内周部分には、周方向に延びて上下に貫通する第三の上側透孔130が形成されている一方、収容空所124の内周端部が中間仕切板114の中央孔を通じて下方に開放されている。これらによって、収容空所124は、外周部分および内周部分が上下両側に開放されている。本実施形態では、図8に示すように、第二の上側透孔126と第二の下側透孔128と第三の上側透孔130が、各3つ形成されている。
また、仕切部材112を構成する上側収容部118の収容空所124には、弾性可動体132が配設されている。本実施形態の弾性可動体132は、全体をゴムなどの弾性体で形成されて、略円環形状とされている。より詳細には、弾性可動体132は、径方向の中間に環状の挟持部134を備えており、この挟持部134から外周へ突出する可動部としての切替弁部136が設けられていると共に、挟持部134から内周へ突出するリリーフ弁部138が設けられている。
切替弁部136は、略円環形状とされており、外周へ行くに従って上下両側へ突出することで上下厚さ寸法が大きくなっていると共に、上下外側へ向けて径方向で薄肉となっている。更に、切替弁部136は、内周端部が上下方向に薄肉の変形許容部140によって全周に亘って挟持部134と一体的に連続しており、変形許容部140の変形によって切替弁部136が挟持部134に対して首振り状に傾動可能とされている。
リリーフ弁部138は、挟持部134から内周へ突出しており、内周部分が突出先端側である内周側へ向けて次第に上方へ傾斜するテーパ形状とされていると共に、その内周部分が内周側へ向けて次第に薄肉とされている。
そして、弾性可動体132は、上側収容部118の収容空所124に配設されており、挟持部134が、収容空所124の上壁部を構成する上側仕切板116と、収容空所124の下壁部を構成する中間仕切板114の挟持突部120との間で、上下に挟み込まれて支持されている。更に、切替弁部136が第二の上側透孔126と第二の下側透孔128の上下間に配置されていると共に、リリーフ弁部138の先端部分が、第三の上側透孔130に差し入れられて、第三の上側透孔130の壁内面に押し付けられている。なお、切替弁部136の外周面が収容空所124の外周壁面に対して径方向内側に離れて対向していると共に、リリーフ弁部138の先端部分が収容空所124の内周壁面に押し付けられている。
弾性可動体132を配された上側収容部118は、仕切部材本体34の中央凹所38に嵌め入れられて、仕切部材112の一部を構成している。上側収容部118は、中間仕切板114が中央凹所38の内周面に形成された段差に上側から重ね合わされることで、仕切部材本体34に対する上下方向の位置が規定されている。なお、弾性可動体132を配した状態の上側収容部118を仕切部材本体34に組み付けても良いが、例えば、仕切部材本体34の中央凹所38に対して、中間仕切板114と弾性可動体132と上側仕切板116とを各別で順に差し入れることにより、仕切部材本体34の中央凹所38において上側収容部118を構成することもできる。
さらに、上側収容部118は、下側収容部46に対して上方に離れて配置されており、それら上側収容部118と下側収容部46の上下に中間室142が形成されている。なお、本実施形態では、上側収容部118の中間仕切板114の中央孔が中間室142の一部を構成することにより、中間室142の容積が確保されている。
かくの如き構造とされた仕切部材112は、第一の実施形態の仕切部材32と同様に、本体ゴム弾性体16と可撓性膜26の上下間で封入領域30に配設されており、外周面が第二の取付部材14に対して内嵌状態で取り付けられている。
また、第二の上側透孔126と収容空所124と第二の下側透孔128とによって、受圧室88と中間室142を相互に連通する本実施形態の上側流路144が構成されている。そして、弾性可動体132の切替弁部136が上側流路144上に配置されている。この上側流路144と第一の実施形態と略同一の下側流路102とによって、本実施形態の接続流路104が構成されている。
かくの如き構造とされたエンジンマウント110では、大振幅振動の入力時に、図10に示すように、弾性可動体132の切替弁部136が首振り状に変位することで、切替弁部136の上下両端部の外周面が、接続流路104の壁内面を構成する収容空所124の外周壁面に押し付けられて、上側流路144が切替弁部136で遮断されるようになっている。なお、図10には、受圧室88に正圧が作用して、切替弁部136の上端部が収容空所124の外周壁面に押し付けられた状態を示したが、切替弁部136は、入力振動に同期するように上下に首振り変位せしめられることから、切替弁部136の上下端部が収容空所124の外周壁面に交互に押し付けられるようになっている。
さらに、切替弁部136は、入力振動の振幅に応じて収容空所124の外周壁面に接近するように弾性変形せしめられることから、上側流路144を構成する切替弁部136と収容空所124の外周壁面との間の隙間の大きさが、切替弁部136によって、入力振動の振幅に応じて設定されるようになっている。要するに、入力振動の振幅が大きくなるに従って、上側流路144の実質的な流路断面積が小さくなって、上側流路144を通じた流体の流動量が制限されるようになっている。以上の説明からも理解されるように、本実施形態では、開閉デバイスが切替弁部136によって構成されている。
これにより、第一の実施形態と同様に、可動板52の打ち当たりが問題となる大振幅振動の入力時には、可動板52の打ち当たり前の変位速さが低減されて、可動板52の打ち当たりによる異音が低減される。
一方、小振幅振動の入力時には、切替弁部136の外周面が収容空所124の外周壁面に対して離隔した状態に保持されることから、上側流路144が連通状態とされて、接続流路104を通じた流体の流動によって、低動ばね効果などの目的とする防振効果が発揮される。
また、受圧室88の圧力が大幅に低下せしめられると、図11に示すように、接続流路104が切替弁部136によって遮断される一方で、リリーフ弁部138が弾性変形によって収容空所124の内周壁面から離隔して、リリーフ弁部138と収容空所124の内周壁面との間の隙間を含んで構成される短絡通路146を通じて、受圧室88と平衡室90が相互に連通される。これにより、受圧室88の内圧低下が平衡室90からの流体の流入によって速やかに解消されて、受圧室88の内圧低下に起因するキャビテーション異音の発生が防止される。
なお、リリーフ弁部138は、収容空所124の内周壁面に対して締め代をもって押し付けられていることから、通常の振動入力時には、収容空所124の内周壁面から離れることなく短絡通路146を遮断状態に維持する。また、受圧室88の内圧が上昇した場合には、リリーフ弁部138が受圧室88の正圧によって収容空所124の内周壁面に一層強く押し付けられることから、短絡通路146がリリーフ弁部138による遮断状態に維持されて、オリフィス通路96による防振効果が効率的に発揮される。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、可動板52は、ゴム弾性板74や弾性可動体132などの開閉デバイスよりも受圧室88側に配置されていても良い。
さらに、可動板52の具体的な構造は特に限定されるものではなく、例えば金属や合成樹脂などで形成されて実質的に変形しない硬質な部材であっても良い。更に、緩衝凸部54は必須ではなく、図12に示すエンジンマウント150のように平板状の可動板152を採用することも可能であり、緩衝凸部54のような弾性的な緩衝構造をなくすことで、防振特性をより明瞭に切り替えることができる。
また、接続流路104の流路断面形状や形成数、配置などは、特に限定されるものではなく、要求される防振特性などに応じて適宜に変更され得る。
また、中間室62は必須ではなく、接続流路104は中間部分で部分的に広がる中間室62を備えていなくても良い。
また、第二の実施形態の弾性可動体132では、切替弁部136とリリーフ弁部138を備えた構造を示したが、リリーフ弁部138および短絡通路146は必須ではなく、例えばキャビテーションによる異音が問題とならない場合などには省略され得る。更に、例えば、切替弁部136が挟持部134の内周側に設けられると共に、リリーフ弁部138が挟持部134の外周側に設けられた構造も採用可能である。
本発明は、前記実施形態に示したお椀型の流体封入式防振装置にのみ適用されるものではない。具体的には、例えば、第一の取付部材としてのインナ軸部材が、第二の取付部材としてのアウタ筒部材に対して内挿状態で配設されて、それらインナ軸部材とアウタ筒部材の径方向間が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、それらインナ軸部材とアウタ筒部材の径方向間に受圧室および平衡室が形成された構造を有する流体封入式筒形防振装置にも好適に適用され得る。
10,110,150:エンジンマウント(流体封入式防振装置)、12:第一の取付部材、14:第二の取付部材、16:本体ゴム弾性体、26:可撓性膜、32,112:仕切部材、52,152:可動板、62,142:中間室、74:ゴム弾性板、76,78:連通孔、80,82:弁状ゴム突起(開閉デバイス)、88:受圧室、90:平衡室、96:オリフィス通路、104:接続流路、132:弾性可動体、134:挟持部、136:切替弁部(開閉デバイス,可動部)
Claims (6)
- 第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、壁部の一部が該本体ゴム弾性体によって構成された受圧室が設けられていると共に、該受圧室に対して仕切部材で隔てられて壁部の一部が可撓性膜によって構成された平衡室が設けられて、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体が封入されており、それら受圧室と平衡室を連通する接続流路が該仕切部材に設けられていると共に、該受圧室の液圧と該平衡室の液圧とを各一方の面に及ぼされる可動板が該接続流路上に配設されている流体封入式防振装置において、
前記接続流路上には入力振動の振幅に応じて該接続流路を狭窄乃至は遮断する開閉デバイスが配設されており、該開閉デバイスが前記可動板に対して該接続流路の流路長さ方向で直列的に配置されていることを特徴とする流体封入式防振装置。 - 前記仕切部材には前記受圧室と前記平衡室を相互に連通するオリフィス通路が設けられている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
- 前記仕切部材にゴム弾性板が配設されて、該ゴム弾性板には前記接続流路を構成するスリット状の連通孔が設けられていると共に、該連通孔の開口縁部には該ゴム弾性板の両面に突出する弁状ゴム突起が前記開閉デバイスとして設けられており、
入力振動の振幅に応じた前記受圧室と前記平衡室の液圧差に基づいて弾性変形する該弁状ゴム突起が該連通孔の開口を覆うことで、該接続流路が入力振動の振幅に応じて狭窄乃至は遮断される請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。 - 前記仕切部材に弾性可動体が配設されて、該弾性可動体の挟持部が該仕切部材によって支持されていると共に、該挟持部から前記接続流路上に突出する可動部が前記開閉デバイスとして該弾性可動体に設けられており、
入力振動の振幅に応じた前記受圧室と前記平衡室の液圧差に基づいて弾性変形する該可動部が該接続流路の壁内面に当接することで、該接続流路が入力振動の振幅に応じて狭窄乃至は遮断される請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。 - 前記接続流路の中間部分には中間室が設けられており、前記仕切部材における前記受圧室と該中間室を隔てる部分に前記可動板と前記開閉デバイスの何れか一方が配設されていると共に、該仕切部材における前記平衡室と該中間室を隔てる部分に該可動板と該開閉デバイスの何れか他方が配設されている請求項1〜4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
- 前記開閉デバイスが前記可動板よりも前記受圧室側に配設されている請求項1〜5の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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