JP2019059853A - 吸放湿性ポリエステル組成物および繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた繊維物性を有し、吸放湿性、高発色性および高鮮明性が良好な吸放湿性ポリエステル組成物および繊維を提供する。【解決手段】主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、ポリエステル組成物に対するポリ(N−ビニルラクタム)の含有量が3.0wt%以上15.0wt%以下であり、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン元素として1ppm以上20ppm以下含み、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を0.5mol%以上2.0mol%以下含有することを特徴とする吸放湿性ポリエステル組成物により解決できる。【選択図】なし
Description
本発明は、高発色・高鮮明性に優れ、吸放湿性の良好なポリエステル組成物および繊維に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル繊維は機械的強度、耐熱性などに優れるため、衣料用途を主体に広く使用されている。しかしながら、これらのポリエステル繊維は極めて吸放湿性が低いため、インナー,中衣,スポーツ衣料などのように直接的に肌に触れて、あるいは肌側に近い状態で着用される分野に使用する場合には、肌からの発汗によるムレ,ベタツキなどを生じ、吸放湿性の高い天然繊維に比較して快適性の点で劣るため、これらの分野への進出は限定されている。加えて、ポリエステルは分散染料による染色であるために染色物の発色性・鮮明性に劣るなどの欠点を有している。
このため、例えば特許文献1,2に記載されているように、吸湿成分を共重合せずに単体で用いてポリエステル中に分散させる技術が提案されている。
しかしながら、特許文献1ではスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分(以下、S成分と略す)を共重合していないため分散染料にしか染まらず、染色性が低いため、鮮明性に劣っていた。特許文献2では、実施例にてS成分をポリマーに共重合しているが、共重合量が多いため耐熱性に劣り、糸切れ、口金汚れに代表される製糸性不良が想定される。
以上のとおり、吸放湿性繊維に関する研究は、上記の特許文献で示した如く検討が進められており、技術的進歩もなされてきている。しかしながら、高発色性・高鮮明性に優れ、製糸性が良好で、吸放湿性能の良好な吸放湿性繊維の製造法に関する研究はほとんど進んでおらず、吸放湿性と高発色性・高鮮明性に優れ、製糸性を満足する吸放湿性ポリエステル組成物および繊維が待ち望まれていた。
このように本発明は、優れた繊維物性を有し、吸放湿性と製糸性、高発色性・高鮮明性が良好な吸放湿性ポリエステル組成物および繊維を提供することを課題とする。
上記課題は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、ポリエステル組成物に対するポリ(N−ビニルラクタム)の含有量が3.0wt%以上15.0wt%以下であり、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン元素として1ppm以上20ppm以下含み、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を0.5mol%以上2.0mol%以下含有することを特徴とする吸放湿性ポリエステル組成物により解決できる。
本願発明の吸放湿性ポリエステル組成物および繊維により、従来技術では成し得なかった優れた高発色・高鮮明性が得られ、製糸性が良好で、着用快適性を得るのに十分な吸放湿性を達成できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の吸放湿性ポリエステルは、主たる繰り返し単位としてエチレンテレフタレートが70mol%以上からなり、さらに好ましくは80mol%以上からなる。
本発明の吸放湿性ポリエステルは、主たる繰り返し単位としてエチレンテレフタレートが70mol%以上からなり、さらに好ましくは80mol%以上からなる。
本発明の吸放湿性ポリエステルは、ポリエステル組成物に対して、ポリ(N−ビニルラクタム)を3.0wt%以上15.0wt%以下、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン元素として1ppm以上20ppm以下含み、全ジカルボン酸成分に対するS成分を0.5mol%以上2.0mol%以下含むことが、吸放湿性を確保して高発色・高鮮明性に優れ、良好な製糸性を確保するために必須である。ポリ(N−ビニルラクタム)がこの範囲よりも低くなると充分な吸放湿性を発揮できず、逆に高くなるとポリ(N−ビニルラクタム)によるポリマーの着色、およびポリ(N−ビニルラクタム)の熱分解物による紡糸性の不良が顕著となり、いずれも本願の目的を達成できない。S成分がこの範囲よりも低いとカチオン染料に充分に染まらず発色性に劣り、逆に高い場合はS成分を起点としたポリマーの熱変性が進みやすく、その変性物に起因して製糸性が悪化する。ポリエステルに可溶なチタン化合物の含有量がこの範囲よりも少ないと、紡糸時にポリマの色調が悪化する結果、発色性・鮮明性が不十分となる。逆に範囲より多い場合は、ポリエステルに可溶なチタン化合物によるポリマーの分解が進み紡糸性が悪化する結果、本願の目的を達成できない。
加えて、ポリ(N−ビニルラクタム)、S成分およびポリエステルに可溶なチタン化合物が共存することにより相乗効果が得られる。S成分は極性の高いスルホン酸エステル部位を有するため、同じく高極性のポリ(N−ビニルラクタム)と相性が良く、これらが共存することによりポリ(N−ビニルラクタム)の分散性を向上し、より一層の吸放湿性向上効果および紡糸性改善効果を得ることができる。また、ポリ(N−ビニルラクタム)とポリエステルに可溶なチタン化合物の共存により、発色性・鮮明性および吸放湿性が向上する。この理由は、ポリ(N−ビニルラクタム)の窒素原子がチタン化合物のチタン原子に配位することで、ポリ(N−ビニルラクタム)の分散性が向上するためと想定される。S成分とポリエステルに可溶なチタン化合物が共存することで、発色性・鮮明性がより高度となる。この要因については、チタン化合物がエステル結合の酸素原子と相互作用する結果、染料染着座であるS成分のスルホン酸塩部分の電子密度が低下し、染料と結合しやすくなるためと推定している。
更に、ポリ(N−ビニルラクタム)、S成分およびポリエステルに可溶なチタン化合物の全てを含むことにより発色性、吸放湿性、紡糸性のより一層の向上が見られる。この理由は、上記のとおり2種類ずつが共存することによる相乗効果に加えて、ともにポリ(N−ビニルラクタム)の分散性向上効果をもつS成分とポリエステルに可溶なチタン化合物が相互に影響しているためと推定している。
吸放湿性を確保して高発色・高鮮明性に優れ、良好な製糸性を確保するために更に好ましくは、ポリエステル組成物に対して、(N−ビニルラクタム)を5.0wt%以上10.0wt%以下、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン元素として5ppm以上15ppm以下含み、全ジカルボン酸成分に対するS成分を1.0mol%以上1.8mol%以下含むことが望ましい。
本発明の吸放湿性ポリエステル組成物に含まれるポリ(N−ビニルラクタム)としては、N−ビニル−2−ピロリドン,N−ビニル−2−ピペリドン,N−ビニルカプロラクタムなどのN−ビニルラクタム類の重合体があげられる。本発明で使用されるポリ(N−ビニルラクタム)としては、立体障害が小さく水分子を吸着,放出しやすいことから、N−ビニル−2−ピロリドンの重合体であるポリビニルピロリドンが好ましい。ポリビニルピロリドンは重量平均分子量0.5万以上250万以下のものが一般的であるが、このうち重量平均分子量1万以上100万以下のものが好ましく、重量平均分子量3万以上50万以下のものがより好ましい。重量平均分子量1万以上であることで、熱安定性が高くなり、また、溶融紡糸時のブリードアウトを抑制でき、さらに、高次加工時や製品として使用する際のポリビニルピロリドンの溶出を抑制でき吸放湿性を向上することができる。また、重量平均分子量100万以下であることで、アロイポリマーの粘度が高くなり、ポリエステル中で凝集して分散性が低下することや、紡糸時に装置にかかるポリマー圧力が高くなることを好適に抑制できる。
本発明では、ポリエステルを海、ポリ(N−ビニルラクタム)を微細な島とした海島構造を持つポリマーアロイ繊維とすることが好ましい。ポリエステルを海成分とすることで、高い機械特性を持つポリエステルが繊維の機械物性を担うことができ、高い機械物性を持つ繊維とすることができる。また、ポリ(N−ビニルラクタム)を島成分とすることで、耐水溶性の低いポリ(N−ビニルラクタム)の繊維表面への露出を抑制し、高次加工時および製品として使用する際のポリ(N−ビニルラクタム)の溶出を抑制でき、吸放湿性を向上することができる。
この観点からも、S成分とポリ(N−ビニルラクタム)は相性が良く、これらが共存することによりポリ(N−ビニルラクタム)がポリエステルとなじみやすくなる結果、実質的にポリ(N−ビニルラクタム)の耐水溶性が向上し、より一層の吸放湿性向上効果が得られる。
この観点からも、S成分とポリ(N−ビニルラクタム)は相性が良く、これらが共存することによりポリ(N−ビニルラクタム)がポリエステルとなじみやすくなる結果、実質的にポリ(N−ビニルラクタム)の耐水溶性が向上し、より一層の吸放湿性向上効果が得られる。
本発明の吸放湿性ポリエステル組成物に含まれるS成分は、公知のものを使用して良い。具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジエチルエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステル、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジエチルエステル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステル等が挙げられ、これらの混合物であっても差し支えないが、染色性の改善効果と入手の容易さから5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステルが好ましい。
なお、通常ポリエステルの重縮合時に用いられる触媒としては、三酸化アンチモンに代表されるアンチモン触媒が広く用いられているが、本発明に用いられるポリエステルは、ポリエステル中にアンチモン原子を含まないことが好ましい。これは、ポリエステルとポリ(N−ビニルラクタム)とが共存すると、アンチモン原子とポリ(N−ビニルラクタム)との反応によりポリマーが黒く着色するためである。そのためには、アンチモン系以外の重合触媒(チタン系,スズ系,ゲルマニウム系など)を用いる選択肢があるが、中でもチタン系触媒を用いることが、良好な高発色・高鮮明性を得、製糸性を確保するために必須である。
ポリエステルに可溶なチタン化合物とは、多価アルコールおよび/または多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または含窒素カルボン酸がキレート剤とするチタン錯体であることが、得られるポリエステルの色調や耐熱性の観点から好ましい。
ポリエステルに可溶なチタン化合物とは、多価アルコールおよび/または多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または含窒素カルボン酸がキレート剤とするチタン錯体であることが、得られるポリエステルの色調や耐熱性の観点から好ましい。
ポリエステルに可溶なチタン化合物のキレート剤としては、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられ、多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸として、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、含窒素カルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等が挙げられる。これらのチタン化合物は単独で用いても、併用して用いても良い。なお本発明でいうチタン化合物には、繊維の艶消し剤として一般的に使用される酸化チタンはポリエステルに可溶ではないため除外される。
本発明のポリエステル組成物はジエチレングリコール(以下、DEGと略す)を含有していることが好ましく、その含有量は、前記ポリエステル組成物に対して2.0wt%以上4.0wt%以下であることが好ましい。2.0wt%以上であると、本願のポリエステル組成物を繊維とした時の染色性がより一層良好となり、発色性・鮮明性に優れる他、ポリマ融点が適度に低くなり低温での紡糸が可能となる結果、紡糸性が一層良好となる。4.0wt%以下であると、溶融紡糸する際にDEGを起点とした熱変性が進みにくいため、その変性物に起因する製糸性不良が生じず、紡糸性が一層良好となる。更に好ましくは、ポリエステル組成物に対するDEGを2.6wt%以上3.7wt%以下含むことが望ましい。
本発明のポリエステル組成物はアルカリ金属元素を含有していることが好ましく、その含有量は、前記ポリエステル組成物に対して1000ppm以上2500ppm以下であることが好ましい。1000ppm以上であると、色調が良好となり、より高発色・高鮮明となる。2500ppm以下であると、製糸時の品質変化が少なく製糸性がより良好となる。特に好ましくは、1300ppm以上2300ppm以下である。
アルカリ金属元素の種類は特に限定しないが、入手の容易性から、ナトリウムおよびリチウムが好ましい。アルカリ金属元素は1種類に限定されず、複数種類用いても何ら差し支えない。好ましくは、ナトリウムとリチウムを併用することが望ましい。
アルカリ金属元素の種類は特に限定しないが、入手の容易性から、ナトリウムおよびリチウムが好ましい。アルカリ金属元素は1種類に限定されず、複数種類用いても何ら差し支えない。好ましくは、ナトリウムとリチウムを併用することが望ましい。
アルカリ金属元素を添加する際の化合物の種類は特に限定されず、酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩などの各種塩類や、酸化物、水酸化物など、公知の化合物を用いることができる。加えて、S成分のカチオン金属元素であってもよい。好ましくは、その入手の容易さからナトリウムはS成分のカチオン金属元素であり、リチウムは酢酸リチウム・2水和物である。
また、ポリマーを構成するジカルボン酸、ジオールやS成分などの任意の成分、および任意の添加物は廃糖蜜やサトウキビ等の石油由来以外の原料(以下、バイオ由来原料と略す)から製造したものでもよい。ここで、バイオ由来原料の使用率に制約はなく、一部であっても全部であってもよい。
その他、本発明の目的を損なわない範囲で公知の添加物を含むことができる。例えば、ソングノックス1010などに代表される抗酸化剤、酸化チタンに代表される艶消し・防透け剤、EAH(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)や水酸化カリウムなどに代表されるDEG抑制剤などである。
本発明の吸放湿性ポリエステル組成物は、具体的には次のように製造することができる。
本発明の吸放湿性ポリエステル組成物のポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールを、エステル化反応もしくはエステル交換反応を行い、全ジカルボン酸成分に対するS成分を0.5〜2.0mol%となるよう添加し、重縮合触媒の存在下で重縮合することで製造することができる。
本発明の吸放湿性ポリエステル組成物のポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールを、エステル化反応もしくはエステル交換反応を行い、全ジカルボン酸成分に対するS成分を0.5〜2.0mol%となるよう添加し、重縮合触媒の存在下で重縮合することで製造することができる。
本発明において用いられるエステル交換触媒は、発明の効果を損なわない範囲で公知のものを用いることができる。例えば、コバルト、マグネシウム、リチウム、マンガン、チタンの酸化物や酢酸塩などが好ましく使用される。これらは2種以上を併用してもよく、単一で用いても何ら差し支えない。
本発明のポリエステル組成物のポリエステルの製造方法としてのエステル化反応は、予めエステル反応槽に低重合体を存在させた状態で、エチレングリコールやテレフタル酸のmol比率が1.05〜1.50のスラリーをエステル反応槽に連続的に供給しながらエステル反応を行うことができる。または、予めエステル反応槽に低重合体を存在させた状態で、エステル化反応開始前にエチレングリコールとテレフタル酸をエステル反応槽に全量添加した後、エステル化反応を行っても良い。
本発明のポリエステル組成物のポリエステルの製造方法としてのエステル交換反応は、そのエチレングリコールとテレフタル酸ジメチルのmol比は1.5〜2.5程度であることがエステル交換反応速度やDEGなどの副生成量を適度にコントロールすることができるため好ましい。
S成分の添加タイミングは、エステル反応率が95%以上であることが好ましい。反応率がこれよりも高いとPET主鎖に均一に取り込まれにくく、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分同士が凝集や自己重合したりして、PET鎖に偏在することにより発色性や鮮明性が低下しやすくなる。逆に反応率がこれよりも低い場合、DEG副生量が増加し紡糸性にやや劣る。
ポリエステルに可溶なチタン化合物の添加タイミングは、チタン化合物が受ける熱履歴を減らし、着色を防止するため、重合反応開始に近いタイミングが好ましい。
ポリエステルに可溶なチタン化合物の添加タイミングは、チタン化合物が受ける熱履歴を減らし、着色を防止するため、重合反応開始に近いタイミングが好ましい。
本発明の吸放湿性ポリエステル組成物に含まれるDEGは、反応中に副生するもののみでもよいし、不足する場合は別途添加しても構わない。別途添加する場合の添加量、添加方法および添加タイミングに制約はなく、例えば添加回数は1回であっても複数回に分けても問題ない。
本発明の吸放湿性ポリエステル組成物に含まれるアルカリ金属の添加タイミングは特に限定されない。例えばポリエステルに可溶なチタン化合物と同時に添加する、S成分と同時に添加するなど、発明の効果を損なわない範囲で任意のタイミングで添加してよい。
本発明の吸放湿性ポリエステル組成物を製造するためのエステル化および重縮合反応装置は通常用いられる反応装置であればどのような装置であっても構わない。それぞれの反応装置は1つずつでも良いし、いずれかもしくはいずれもが複数あっても構わない。
本発明の吸放湿性ポリエステル組成物のポリエステルとポリ(N−ビニルラクタム)の組み合わせにおいては、ポリエステルとポリ(N−ビニルラクタム)の合計量を100重量部として、ポリエステル50〜97重量部、ポリ(N−ビニルラクタム)50〜3重量部としてそれぞれ計量し、直接ブレンドすることが望ましい。この際、一旦目標とするポリ(N−ビニルラクタム)含有量を超えてポリ(N−ビニルラクタム)をポリエステルにブレンドしてもよく(このように目標量を超えてブレンドしたポリマーをマスターポリマーと呼ぶ)、その場合はポリ(N−ビニルラクタム)をブレンドしていない前記ポリエステル(マスターポリマーに対して、ベースポリマーと呼ぶ)と一定の割合で紡糸前に混合することでポリ(N−ビニルラクタム)を希釈し、目標とする含有量に調整すればよい。
混練の際、吸湿しやすいポリエステルおよびポリ(N−ビニルラクタム)は予め80〜150℃、減圧下、もしくは窒素雰囲気下で乾燥しておき、乾燥後は吸湿防止容器等にストックしておくことが発色性を向上させる観点から望ましい。溶融混練前の吸湿率は、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.02重量%以下、最も好ましくは0.008重量%以下である。なお、液相重合段階で添加すると熱に弱いポリ(N−ビニルラクタム)が液相重合段階で受ける熱履歴により熱劣化や黄色に着色し、あるいは発煙することもあり好ましくない。
混練工程で用いられる装置として好ましいのは、二軸または一軸の押出機である。また、混練後は、一旦チップ化してもよいし、そのまま連続して紡糸装置に送り込んでもよい。
溶融押出における混練時のジャケット温度は、ポリエステルの融点(以下Tmと記載)を基準に、Tm+5℃以上Tm+40℃以下が好ましい。ジャケット温度は樹脂の着色を抑制するためにも低い方が好ましく、特に本発明で用いるポリ(N−ビニルラクタム)は高温下で熱劣化し、黄色に着色したり発煙することもあるので、Tm+5℃以上Tm+25℃以下であることがより好ましい。同様に、紡糸温度はできるだけ低温で行うことが好ましく、Tm+20℃以上Tm+50℃以下の範囲で行うことが好ましい。
紡糸工程においては、紡糸パック内でのポリ(N−ビニルラクタム)の再凝集を抑制するために、ハイメッシュの濾層(#100〜#200)や濾過径の小さい不織布フィルター(濾過径5〜30μm)を口金上に配置してもよい。中でも、複数の線径の金属不織布からなる多層フィルターが島成分の分散径の制御に最も効果的である。
口金吐出孔の形状は、通常の丸断面、Y断面、三角断面、四角断面、扁平断面あるいはこれらの中空断面等、公知のものを用いることができ、用途に応じたものを選択することができる。このうち、丸断面以外の異形断面であると、繊維の比表面積が大きくなるため吸放湿速度が速くなり好ましい。
口金下の冷却方法は、一方向から冷却するユニフロータイプのチムニーでも、糸条の内側から外側へ、もしくは糸条の外側から内側へ冷却風を当てる環状チムニーでもよいが、好ましくは環状チムニーが、均一冷却できる点で好ましい。この際に、冷却風はマルチフィラメントに直交する方向から、マルチフィラメントに冷却気体を当てて冷却することが望ましい。
紡出したマルチフィラメントは公知の紡糸油剤を給油して表面被覆するが、このときの油剤の付着量は、糸に対し、純油分として0.3重量%以上3重量%以下が好ましい。
紡出したマルチフィラメントは公知の紡糸油剤を給油して表面被覆するが、このときの油剤の付着量は、糸に対し、純油分として0.3重量%以上3重量%以下が好ましい。
引取工程以降は、延伸糸と仮撚加工糸により異なる。
引取工程では、紡糸速度は1500m/分以上4000m/分以下が好ましい。1500m/分以上で巻き取ることで、後に続く仮撚加工時に単繊維弛みが発生し織編物とした際に織編物の表面品位が低下することを防ぐことができる。4000m/分以下で紡糸することで、紡糸時の糸切れを抑制することができる。
引取工程では、紡糸速度は1500m/分以上4000m/分以下が好ましい。1500m/分以上で巻き取ることで、後に続く仮撚加工時に単繊維弛みが発生し織編物とした際に織編物の表面品位が低下することを防ぐことができる。4000m/分以下で紡糸することで、紡糸時の糸切れを抑制することができる。
前記の溶融紡糸により得られた部分配向糸を、次に延伸仮撚加工することにより、ポリエステル仮撚加工糸とすることができる。
延伸仮撚加工に使用する延伸仮撚装置の仮撚具としては、ピン、フリクションディスク、ベルトニップなど通常の延伸仮撚加工で使用するものであれば特に限定しない。
加工速度は、300〜800m/分の範囲であることが好ましい。この範囲で生産すると糸切れが多発することなく、収率よく生産することができる。
加工倍率は、引取速度などの紡糸条件により適正化する必要があるが、1.2〜2.5倍の範囲が好ましい。
仮撚加工糸をパッケージに巻き取る前に、交絡と油剤を付与することが好ましい。これにより解舒性が向上し、製編織時の工程通過性が良好となる。
延伸仮撚加工に使用する延伸仮撚装置の仮撚具としては、ピン、フリクションディスク、ベルトニップなど通常の延伸仮撚加工で使用するものであれば特に限定しない。
加工速度は、300〜800m/分の範囲であることが好ましい。この範囲で生産すると糸切れが多発することなく、収率よく生産することができる。
加工倍率は、引取速度などの紡糸条件により適正化する必要があるが、1.2〜2.5倍の範囲が好ましい。
仮撚加工糸をパッケージに巻き取る前に、交絡と油剤を付与することが好ましい。これにより解舒性が向上し、製編織時の工程通過性が良好となる。
本発明の繊維の提供形態としては、本発明の吸放湿性ポリエステル繊維を紙管や金属管に巻きつけた繊維パッケージでもよいし、本発明の繊維を少なくとも一部に含む繊維構造体であってもよい。
前記の溶融紡糸により未延伸糸を得、その後延伸することにより延伸糸を得ても良い。
この場合の紡糸速度は300m/分以上3000m/分以下が好ましい。300m/分以上で巻き取ることで生産性を高めることができる。3000m/分以下で紡糸することで、紡糸時の糸切れを抑制し、生産性を高めることができる。
延伸工程は溶融紡糸工程に連続した形態でも良いし、一旦巻き取ってから別途延伸しても良い。
延伸は、1段でもよいし、2,3段でもよいが、2,3段延伸することでより強度を高めることができ好ましい。延伸温度としては、未延伸糸のガラス転移温度付近である30℃以上140℃以下で行なう必要がある。30℃以上とすることで均一延伸でき、140℃以下とすることで延伸ロールへの融着や繊維の自発伸長による操業性低化を防ぐことができる。また、各段階の延伸倍率を掛け合わせた総合延伸倍率は、得られる延伸糸の伸度が25%以上100%以下になる様に設定することが好ましく、例えば2.5倍以上5倍以下が好ましい。伸度25%以上とすることで延伸による毛羽の発生抑制および延伸操業性向上ができ、一方、伸度100%以下とすることで強度を高くすることができる。また、延伸後には、未延伸糸の結晶速度が最大となる温度で熱セットすることが好ましく、100℃以上220℃以下が好ましく、より好ましくは120℃以上200℃以下である。熱セットすることで繊維の結晶化を促進し、強度を高くでき、吸湿膨潤を抑制することができる。また、熱セットロールと巻取機との間に複数のローラーを配置することが好ましく、ここでリラックスを与えることがより好ましい。こうすることで、巻取後の繊維の自己収縮により紙管がスピンドルから抜けなくなる巻き締まりや物性斑を抑制することができる。
この場合の紡糸速度は300m/分以上3000m/分以下が好ましい。300m/分以上で巻き取ることで生産性を高めることができる。3000m/分以下で紡糸することで、紡糸時の糸切れを抑制し、生産性を高めることができる。
延伸工程は溶融紡糸工程に連続した形態でも良いし、一旦巻き取ってから別途延伸しても良い。
延伸は、1段でもよいし、2,3段でもよいが、2,3段延伸することでより強度を高めることができ好ましい。延伸温度としては、未延伸糸のガラス転移温度付近である30℃以上140℃以下で行なう必要がある。30℃以上とすることで均一延伸でき、140℃以下とすることで延伸ロールへの融着や繊維の自発伸長による操業性低化を防ぐことができる。また、各段階の延伸倍率を掛け合わせた総合延伸倍率は、得られる延伸糸の伸度が25%以上100%以下になる様に設定することが好ましく、例えば2.5倍以上5倍以下が好ましい。伸度25%以上とすることで延伸による毛羽の発生抑制および延伸操業性向上ができ、一方、伸度100%以下とすることで強度を高くすることができる。また、延伸後には、未延伸糸の結晶速度が最大となる温度で熱セットすることが好ましく、100℃以上220℃以下が好ましく、より好ましくは120℃以上200℃以下である。熱セットすることで繊維の結晶化を促進し、強度を高くでき、吸湿膨潤を抑制することができる。また、熱セットロールと巻取機との間に複数のローラーを配置することが好ましく、ここでリラックスを与えることがより好ましい。こうすることで、巻取後の繊維の自己収縮により紙管がスピンドルから抜けなくなる巻き締まりや物性斑を抑制することができる。
上記の条件で延伸することで、繊維構造が形成され、巻取時および保管時の吸湿膨潤を抑制することができる。また、工程安定性が高く、かつ高強度で長手方向の繊度斑の小さい延伸糸にすることができる。
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
(1)ポリエステルおよび繊維中のS成分およびアンチモン元素含有量の定量
(株)リガク製蛍光X線分析装置(ZSX−100e)で各元素を分析した。
S成分については、S元素量にS成分の分子量を乗ずることで算出した。
(株)リガク製蛍光X線分析装置(ZSX−100e)で各元素を分析した。
S成分については、S元素量にS成分の分子量を乗ずることで算出した。
(2)ポリ(N−ビニルラクタム)の含有量
ポリエステルをクロロホルム−D3およびヘキサフルオロイソプロピルアルコール−D2の4:1混合溶媒に溶解後、(株)日本電子製NMR分析装置(ECA−400)で分析し、スペクトル中のテトラメチルシランを標準物質とし、この化学シフトを0ppmとした上で化学シフト2.4〜2.8ppmにある最大ピークの面積値から質量比を算出した。
ポリエステルをクロロホルム−D3およびヘキサフルオロイソプロピルアルコール−D2の4:1混合溶媒に溶解後、(株)日本電子製NMR分析装置(ECA−400)で分析し、スペクトル中のテトラメチルシランを標準物質とし、この化学シフトを0ppmとした上で化学シフト2.4〜2.8ppmにある最大ピークの面積値から質量比を算出した。
(3)ポリ(N−ビニルラクタム)の重量平均分子量(Mw)
試料をジメチルホルムアミドに溶解し、これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(Waters製Waters2690)で測定した。この時の標品には光散乱法で測定されたポリ(N−ビニルラクタム)を用いた。
試料をジメチルホルムアミドに溶解し、これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(Waters製Waters2690)で測定した。この時の標品には光散乱法で測定されたポリ(N−ビニルラクタム)を用いた。
(4)ポリエステルに可溶なチタン化合物の含有量
ポリエステルに不溶なチタン化合物を次の前処理をした上で除去した後、蛍光X線分析(堀場製作所社製、MESA−500W型)にて分析した。
[前処理方法]ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリエステル5g)し、このポリエステル溶液と同量のジクロロメタンを加えて溶液の粘性を調整した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、上澄み液と同量のアセトンを添加することによりポリエステルを再析出させ、そのあと3G3のガラスフィルター(IWAKI社製)で濾過し、濾上物をさらにアセトンで洗浄した後、室温で12時間真空乾燥してアセトンを除去した。以上の前処理を実施して得られたポリエステルについてチタン元素の分析を行い、ポリエステルに可溶なチタン化合物含有量とした。
ポリエステルに不溶なチタン化合物を次の前処理をした上で除去した後、蛍光X線分析(堀場製作所社製、MESA−500W型)にて分析した。
[前処理方法]ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリエステル5g)し、このポリエステル溶液と同量のジクロロメタンを加えて溶液の粘性を調整した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、上澄み液と同量のアセトンを添加することによりポリエステルを再析出させ、そのあと3G3のガラスフィルター(IWAKI社製)で濾過し、濾上物をさらにアセトンで洗浄した後、室温で12時間真空乾燥してアセトンを除去した。以上の前処理を実施して得られたポリエステルについてチタン元素の分析を行い、ポリエステルに可溶なチタン化合物含有量とした。
(5)ポリエステルのジエチレングリコール(DEG)含有量
ポリマーをモノメタノールアミンで加水分解後、1,6−ヘキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積比から求めた。
ポリマーをモノメタノールアミンで加水分解後、1,6−ヘキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積比から求めた。
(6)ポリエステル中のアルカリ金属元素の含有量
原子吸光法により分析した。分析方法は湿式分解法を用いた。硫酸を加え(ポリエステル0.7〜1.5gに対し硫酸5ml)サンドバス上でポリエステルを200℃から250℃で溶解して分解させる。さらに過塩素酸1.5mlを加え250℃から300℃で分解させる。試料が透明になるまで300℃から350℃で分解を進め、硫酸が十分リフラックスするまで分解を継続させ、該液を純水で定容し分析した。
原子吸光法により分析した。分析方法は湿式分解法を用いた。硫酸を加え(ポリエステル0.7〜1.5gに対し硫酸5ml)サンドバス上でポリエステルを200℃から250℃で溶解して分解させる。さらに過塩素酸1.5mlを加え250℃から300℃で分解させる。試料が透明になるまで300℃から350℃で分解を進め、硫酸が十分リフラックスするまで分解を継続させ、該液を純水で定容し分析した。
(7)ポリエステルの固有粘度(IV)
試料をオルソクロロフェノールに溶解し、オストワルト粘度計を用いて25℃で測定した。
試料をオルソクロロフェノールに溶解し、オストワルト粘度計を用いて25℃で測定した。
(8)繊維の強度,破断伸度
試料を引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100)でJIS L1013(1999) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。この時の掴み間隔は20cm、引張り速度は20cm/分、試験回数10回であった。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
試料を引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100)でJIS L1013(1999) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。この時の掴み間隔は20cm、引張り速度は20cm/分、試験回数10回であった。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(9)発色性
染料アイゼンカチロンブルーGLH0.7%owf、助剤に酢酸0.5cc/L、酢酸ソーダ0.15g/Lの染液の中に試験糸から目付145g/m2で作製した丸編物を投入し、50℃の温度で15分間染色後に、98℃/30分の条件で昇温し、更に20分間撹拌染色を行った。これを乾燥後、ディライト下で基準サンプルと比較評価した。基準試料はカチオン可染性ポリエステル仮撚加工糸66dtex−36フィラメントとし、これを「優れている:◎」とした。
優れている:◎
普通:○
劣っている:× 。
染料アイゼンカチロンブルーGLH0.7%owf、助剤に酢酸0.5cc/L、酢酸ソーダ0.15g/Lの染液の中に試験糸から目付145g/m2で作製した丸編物を投入し、50℃の温度で15分間染色後に、98℃/30分の条件で昇温し、更に20分間撹拌染色を行った。これを乾燥後、ディライト下で基準サンプルと比較評価した。基準試料はカチオン可染性ポリエステル仮撚加工糸66dtex−36フィラメントとし、これを「優れている:◎」とした。
優れている:◎
普通:○
劣っている:× 。
(10)吸放湿性
原綿または布帛1〜3gを用い、絶乾時の重量と、恒温恒湿器(タバイ製PR−2G)にて30℃×90%RHの雰囲気下中に24時間放置後の重量との重量変化から、次式で求めた。
吸湿率(%)=(吸湿後の重量−絶乾時の重量)/絶乾時の重量×100
吸湿率が2.0%を超える:◎
吸湿率が1.3%を超え2.0%以下:○
吸湿率が1.3%以下:× 。
原綿または布帛1〜3gを用い、絶乾時の重量と、恒温恒湿器(タバイ製PR−2G)にて30℃×90%RHの雰囲気下中に24時間放置後の重量との重量変化から、次式で求めた。
吸湿率(%)=(吸湿後の重量−絶乾時の重量)/絶乾時の重量×100
吸湿率が2.0%を超える:◎
吸湿率が1.3%を超え2.0%以下:○
吸湿率が1.3%以下:× 。
(11)製糸性
溶融紡糸開始から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察し、以下の基準で判定した。
堆積物がほとんど認められない状態:◎
堆積物が認められるが、糸切れに問題のない状態:○
堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態:× 。
溶融紡糸開始から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察し、以下の基準で判定した。
堆積物がほとんど認められない状態:◎
堆積物が認められるが、糸切れに問題のない状態:○
堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態:× 。
[参考例]
(エステル交換反応)
精留塔を備えた反応槽に、エチレングリコール/テレフタル酸ジメチルのmol比率が2.0となるように、エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルを添加し、エステル交換触媒として酢酸コバルト・4水和物を得られる低重合体中に300ppm含有するよう添加した。その後、反応槽の温度を140℃から235℃まで昇温させながら、メタノールを留去させてエステル交換反応を行いビスヒドロキシエチルテレフタレートの低重合体を得た。この時のエステル交換反応率は98%だった。
(エステル交換反応)
精留塔を備えた反応槽に、エチレングリコール/テレフタル酸ジメチルのmol比率が2.0となるように、エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルを添加し、エステル交換触媒として酢酸コバルト・4水和物を得られる低重合体中に300ppm含有するよう添加した。その後、反応槽の温度を140℃から235℃まで昇温させながら、メタノールを留去させてエステル交換反応を行いビスヒドロキシエチルテレフタレートの低重合体を得た。この時のエステル交換反応率は98%だった。
[実施例1]
(重合方法)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの低重合体が1750kg存在しているエステル反応槽に、エチレングリコール/テレフタル酸のmol比が1.15のスラリーを3時間かけて連続して供給し、精留塔上段からエステル反応時に生じる水のみを留去させ、反応槽温度を235〜245℃に保ちながら、エステル化反応率が98%となるまで反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジEGエステルを得られるポリエステルに対して1.3mol%と酢酸リチウム・2水和物を得られるポリエステルに対し0.20mol%をエステル反応槽に添加し、約30分間加熱混合した。このうち、1000kgを10ミクロンのフィルターで濾過しながら重合反応槽へ移液した。
重合反応槽へ移液された低重合体に、リン酸(85%水溶液)を得られるポリエステルに対し100ppmになるように添加した。リン酸添加から7分後に、酢酸コバルトを得られるポリエステルに対して200ppm、ノルマル−テトラブトキシチタンを得られるポリエステルに対しチタン元素換算で10ppmとなるように添加した。添加終了から3分後に二酸化チタン(二酸化チタンのエチレングリコールスラリー、エチレングリコール中の酸化チタン濃度13.0wt%)を得られるポリエステルに対し0.20wt%となるように添加した。添加終了後、2分経過した後に、常圧から0.1kPaになるまで45分かけて減圧を行い、235℃から290℃まで昇温後、0.1kPa以下の高真空を維持して、固有粘度(IV)が0.66dl/gになるまで重縮合反応を行った。得られたポリエステル(ベースポリマー)のDEG量は3.1wt%であり、品質に優れていた。
(重合方法)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの低重合体が1750kg存在しているエステル反応槽に、エチレングリコール/テレフタル酸のmol比が1.15のスラリーを3時間かけて連続して供給し、精留塔上段からエステル反応時に生じる水のみを留去させ、反応槽温度を235〜245℃に保ちながら、エステル化反応率が98%となるまで反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジEGエステルを得られるポリエステルに対して1.3mol%と酢酸リチウム・2水和物を得られるポリエステルに対し0.20mol%をエステル反応槽に添加し、約30分間加熱混合した。このうち、1000kgを10ミクロンのフィルターで濾過しながら重合反応槽へ移液した。
重合反応槽へ移液された低重合体に、リン酸(85%水溶液)を得られるポリエステルに対し100ppmになるように添加した。リン酸添加から7分後に、酢酸コバルトを得られるポリエステルに対して200ppm、ノルマル−テトラブトキシチタンを得られるポリエステルに対しチタン元素換算で10ppmとなるように添加した。添加終了から3分後に二酸化チタン(二酸化チタンのエチレングリコールスラリー、エチレングリコール中の酸化チタン濃度13.0wt%)を得られるポリエステルに対し0.20wt%となるように添加した。添加終了後、2分経過した後に、常圧から0.1kPaになるまで45分かけて減圧を行い、235℃から290℃まで昇温後、0.1kPa以下の高真空を維持して、固有粘度(IV)が0.66dl/gになるまで重縮合反応を行った。得られたポリエステル(ベースポリマー)のDEG量は3.1wt%であり、品質に優れていた。
(混練方法)
前記ポリエステル(ベースポリマー)と市販のポリビニルピロリドンK−30(PVP、BASF社、重量平均分子量5万)をそれぞれ22:78の割合でブレンドし、二軸押出混練機にて混練した。なお、共重合PETは150℃、真空下で約5時間乾燥し、水分率を80ppmに調湿した。二軸押出混練機のジャケット温度を240℃、混練時の軸回転数を150rpmとして混練し、ダイから吐出後、水冷、ペレタイズ化し、マスターポリマーを作製した。
前記ポリエステル(ベースポリマー)と市販のポリビニルピロリドンK−30(PVP、BASF社、重量平均分子量5万)をそれぞれ22:78の割合でブレンドし、二軸押出混練機にて混練した。なお、共重合PETは150℃、真空下で約5時間乾燥し、水分率を80ppmに調湿した。二軸押出混練機のジャケット温度を240℃、混練時の軸回転数を150rpmとして混練し、ダイから吐出後、水冷、ペレタイズ化し、マスターポリマーを作製した。
(紡糸方法)
このマスターポリマーと前記ベースポリマーとを、それぞれ別のホッパーからマスターポリマー1に対してベースポリマーを3の割合で仕込み、一軸押出機、さらにギアポンプにて計量,排出し、内蔵された紡糸パック(温度265℃)に溶融ポリマーを導き、直径95mmの15ミクロン不織布フィルターで濾過した後、円形の吐出口金から紡出し、糸条の外側から内側へ冷却風を当てて糸条を冷却固化し、給油装置により油剤を付与したのち(純油分として1.3%owf)引取速度2000m/分で巻き取り部分配向糸を得た。
得られた部分配向糸を用いて、加工速度455m/分、加工倍率2.0倍、仮撚具にフリクションディスクを使用した延伸仮撚を行い、総繊度85dtex/72フィラメントのポリエステル仮撚加工糸を得た。このようにして得られたポリエステル仮撚加工糸は、固有粘度(IV)0.56dl/g、強度2.7cN/dtex、伸度30%であり、得られたポリエステル仮撚加工糸を用いて作製した編物の発色性、吸放湿性は良好であった。
このマスターポリマーと前記ベースポリマーとを、それぞれ別のホッパーからマスターポリマー1に対してベースポリマーを3の割合で仕込み、一軸押出機、さらにギアポンプにて計量,排出し、内蔵された紡糸パック(温度265℃)に溶融ポリマーを導き、直径95mmの15ミクロン不織布フィルターで濾過した後、円形の吐出口金から紡出し、糸条の外側から内側へ冷却風を当てて糸条を冷却固化し、給油装置により油剤を付与したのち(純油分として1.3%owf)引取速度2000m/分で巻き取り部分配向糸を得た。
得られた部分配向糸を用いて、加工速度455m/分、加工倍率2.0倍、仮撚具にフリクションディスクを使用した延伸仮撚を行い、総繊度85dtex/72フィラメントのポリエステル仮撚加工糸を得た。このようにして得られたポリエステル仮撚加工糸は、固有粘度(IV)0.56dl/g、強度2.7cN/dtex、伸度30%であり、得られたポリエステル仮撚加工糸を用いて作製した編物の発色性、吸放湿性は良好であった。
[実施例2〜17]
表1に記載の条件で行う以外は実施例1と同様の方法でポリエステルを製造し、製糸評価を行った。表1に示すとおり、評価結果は良好だった。
表1に記載の条件で行う以外は実施例1と同様の方法でポリエステルを製造し、製糸評価を行った。表1に示すとおり、評価結果は良好だった。
[実施例18]
混練方法については、前記ポリエステル(ベースポリマー)およびポリビニルピロリドンK−30(PVP、BASF社、重量平均分子量5万)のブレンド比をそれぞれ6:94としたマスターポリマーを作成し、ベースポリマーを使用することなくマスターポリマーのみでそのまま紡糸する以外は実施例1と同様の方法で紡糸した。表1に示すとおり、評価結果は良好だった。
混練方法については、前記ポリエステル(ベースポリマー)およびポリビニルピロリドンK−30(PVP、BASF社、重量平均分子量5万)のブレンド比をそれぞれ6:94としたマスターポリマーを作成し、ベースポリマーを使用することなくマスターポリマーのみでそのまま紡糸する以外は実施例1と同様の方法で紡糸した。表1に示すとおり、評価結果は良好だった。
[実施例19]
実施例1記載の重合方法および混練方法と同様の方法で得たベースポリマーおよびマスターポリマーとを、それぞれ別のホッパーからマスターポリマー1に対してベースポリマーを3の割合で仕込み、一軸押出機、さらにギアポンプにて計量,排出し、内蔵された紡糸パック(温度275℃)に溶融ポリマーを導き、紡糸口金から紡出した。10ミクロン不織布フィルターで濾過した後、円形の吐出口金から紡出し、糸条の片側からもう一方の側へ冷却風を当てて糸条を冷却固化し、給油装置により油剤を付与した。
さらに第1ロールにて紡糸速度1200m/分で引き取った後、第2加熱ロールの温度を90℃として1206m/分にて引き取り、さらに第3加熱ロールの温度を150℃として5050m/分にて延伸(延伸倍率:4.19倍)を行い、第4ロールにて周速度5050m/分にて糸条を冷却した後、巻取張力5.6g(0.1cN/dtex)、巻取速度5000m/分(弛緩率1.0%)で巻き取った。すなわち、紡糸後巻き取ることなく、連続して延伸した。得られた繊維から構成されるマルチフィラメントは、総繊度56dtex/24フィラメントであり、得られたポリエステル延伸糸を用いた編物の発色性、吸放湿性は良好であった。
実施例1記載の重合方法および混練方法と同様の方法で得たベースポリマーおよびマスターポリマーとを、それぞれ別のホッパーからマスターポリマー1に対してベースポリマーを3の割合で仕込み、一軸押出機、さらにギアポンプにて計量,排出し、内蔵された紡糸パック(温度275℃)に溶融ポリマーを導き、紡糸口金から紡出した。10ミクロン不織布フィルターで濾過した後、円形の吐出口金から紡出し、糸条の片側からもう一方の側へ冷却風を当てて糸条を冷却固化し、給油装置により油剤を付与した。
さらに第1ロールにて紡糸速度1200m/分で引き取った後、第2加熱ロールの温度を90℃として1206m/分にて引き取り、さらに第3加熱ロールの温度を150℃として5050m/分にて延伸(延伸倍率:4.19倍)を行い、第4ロールにて周速度5050m/分にて糸条を冷却した後、巻取張力5.6g(0.1cN/dtex)、巻取速度5000m/分(弛緩率1.0%)で巻き取った。すなわち、紡糸後巻き取ることなく、連続して延伸した。得られた繊維から構成されるマルチフィラメントは、総繊度56dtex/24フィラメントであり、得られたポリエステル延伸糸を用いた編物の発色性、吸放湿性は良好であった。
[比較例1〜6]
表2に記載の条件で行う以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルを製造し、製糸評価を行ったが、いずれも発色性、吸放湿性および紡糸性のうち少なくとも1つの点で劣っていた。
表2に記載の条件で行う以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルを製造し、製糸評価を行ったが、いずれも発色性、吸放湿性および紡糸性のうち少なくとも1つの点で劣っていた。
Claims (4)
- 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、ポリエステル組成物に対するポリ(N−ビニルラクタム)の含有量が3.0wt%以上15.0wt%以下であり、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン元素として1ppm以上20ppm以下含み、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を0.5mol%以上2.0mol%以下含有することを特徴とする吸放湿性ポリエステル組成物。
- ポリエステル組成物に対するジエチレングリコールの含有量が2.0wt%以上4.0wt%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の吸放湿性ポリエステル組成物。
- ポリエステル組成物に対するアルカリ金属原子の含有量が1000ppm以上2500ppm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の吸放湿性ポリエステル組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸放湿性ポリエステル組成物からなる繊維。
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