JP2019059660A - 誘電体磁器組成物および電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温焼結可能であり、Agと同時焼成可能であり、焼結後のQ値および耐湿性に優れる誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 主成分としてMgSiOを含み、副成分としてR含有化合物、Cu含有化合物、B含有化合物およびLi含有ガラスを含む。Rはアルカリ土類金属である。主成分100質量部に対して、R含有化合物を酸化物換算で0.2質量部以上4.0質量部以下、Cu含有化合物を酸化物換算で0.5質量部以上3.0質量部以下、B含有化合物を酸化物換算で0.2質量部以上3.0質量部以下、それぞれ含有する。主成分と、Li含有ガラスを除く副成分と、の合計100質量部に対して、Li含有ガラスを2質量部以上10質量部以下、含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、誘電体磁器組成物および電子部品に関する。
近年、需要が増加しているスマートフォン等の移動体通信機器では、数百MHzから数GHz程度のいわゆる準マイクロ波と呼ばれる高周波帯域が使用されている。そのため、移動体通信機器に用いられる電子部品においても高周波帯域での使用に適した諸特性が要求されている。そして、高周波帯域での使用に適する優れたLTCC(低温同時焼成セラミックス)材料が求められてきた。特にAg内部電極と同時焼成可能であり、各種特性が優れたLTCC材料を得るために様々な方法が提案されてきた。
特許文献1では、フォルステライトを主成分とし、ZnO等を副成分として含むガラスセラミックス組成物が提案されている。特許文献3に記載されたガラスセラミックス組成物は、ZnOを副成分として含むことにより、1000℃以下の低温で焼成する場合に、十分に緻密化することが容易となっている。
しかし、近年の電子部品の小型化に伴うセラミック層の薄層化や、これまでより高い周波数帯への対応のためには、特にAg内部電極と同時に焼成する場合において、さらにこれまでよりLTCC材料のQ値および耐湿性を向上させることが要求されている。
特開2008−37739号公報
本発明は、低温焼結可能であり、Ag電極と同時焼成可能であり、焼結後のQ値および耐湿性に優れる誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の誘電体磁器組成物は、
主成分としてMgSiOを含み、副成分としてR含有化合物、Cu含有化合物、B含有化合物およびLi含有ガラスを含み、
Rはアルカリ土類金属であり、
前記主成分100質量部に対して、前記R含有化合物を酸化物(RO)換算で0.2質量部以上4.0質量部以下、前記Cu含有化合物を酸化物(CuO)換算で0.5質量部以上3.0質量部以下、前記B含有化合物を酸化物(B)換算で0.2質量部以上3.0質量部以下、それぞれ含有し、
前記主成分と、前記Li含有ガラスを除く前記副成分と、の合計100質量部に対して、前記Li含有ガラスを2質量部以上10質量部以下、含有することを特徴とする。
前記誘電体磁器組成物は、Q値および耐湿性に優れ、1000℃以下で低温焼結可能であり、Agと同時焼成可能である。
本発明の誘電体磁器組成物は、前記副成分としてさらにMn含有化合物を含んでもよく、
前記主成分100質量部に対して、前記Mn含有化合物を酸化物(MnO)換算で0.05質量部以上1.5質量部以下、含有してもよい。
本発明の誘電体磁器組成物は、前記副成分としてさらにTi含有化合物を含んでもよく、
前記主成分100質量部に対して、前記Ti含有化合物を酸化物(TiO)換算で0.3質量部以上3.0質量部以下、含有してもよい。
本発明の誘電体磁器組成物は、前記副成分としてさらにAl含有化合物を含んでもよく、
前記主成分100質量部に対して、前記Al含有化合物を酸化物(Al)換算で0.3質量部以上3.0質量部以下、含有してもよい。
本発明の誘電体磁器組成物は、前記副成分としてさらにZr含有化合物を含んでもよく、
前記主成分100質量部に対して、前記Zr含有化合物を酸化物(ZrO)換算で0.2質量部以上3.0質量部以下、含有してもよい。
本発明の誘電体磁器組成物は、前記副成分としてさらにAgを含んでもよく、
前記主成分と、前記Li含有ガラスを除く前記副成分と、の合計100質量部に対して、前記Agを0.05質量部以上1.0質量部以下、含有してもよい。
本発明の電子部品は、上記のいずれかの誘電体磁器組成物からなる誘電体層を有する。
以下、本発明を好適に実施するための実施形態につき説明する。
本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、MgSiOを含む主成分と、R含有化合物(Rはアルカリ土類金属)、Cu含有化合物、B含有化合物およびLi含有ガラスを含む副成分と、を含む。
なお、本実施形態において、焼成とは、焼結を目的とした加熱処理を意味し、焼成温度とは、加熱処理の際に誘電体磁器組成物が曝される雰囲気の温度である。
本実施形態に係る誘電体磁器組成物についての誘電特性は、その焼結体のQf値、温度変化による共振周波数の変化(共振周波数の温度係数τf)、および比誘電率εrによって評価することができる。Qf値、比誘電率εrは、日本工業規格「マイクロ波用ファインセラミックスの誘電特性の試験方法」(JIS R1627 1996年度)に従って測定することができる。
本実施形態に係る誘電体磁器組成物には、MgSiO(フォルステライト)が主成分として含まれる。MgSiOは、単体でのQf値が200000GHz以上であり、誘電損失が小さいため、誘電体磁器組成物の誘電損失を低下させる機能を有する。また、MgSiOは、その比誘電率εrが6〜7程度と低いため、誘電体磁器組成物の比誘電率εrを低下させる機能も有する。ここで、誘電損失とは、高周波のエネルギの一部が熱となって放散する現象である。誘電損失の大きさは、現実の電流と電圧との位相差と、理想の電流と電圧との位相差(90度)との差である損失角度δの正接tanδの逆数Q(Q=1/tanδ)で表わされる。誘電体磁器組成物の誘電損失の評価は、このQ値と共振周波数fの積であるQf値を用いている。誘電損失が小さくなればQf値は大きくなり、誘電損失が大きくなればQf値は小さくなる。誘電損失は高周波デバイスの電力損失を意味するため、誘電体磁器組成物のQf値は大きいことが好ましい。ただし、本実施形態では、試験時の共振周波数fを概ね一定とみなして、誘電損失の評価には、Q値を用いる。
誘電体磁器組成物の誘電損失を低下させるという観点からは、主成分が実質的にMgSiOのみからなることが好ましい。しかし、比誘電率εrを調整するためにMgSiO以外の主成分をMgSiOと併用することができる。MgSiO以外の主成分としては、例えば比誘電率εrが17前後であるチタン酸マグネシウム(MgTiO)、および、比誘電率εrが200前後であるチタン酸カルシウム(CaTiO)等が挙げられる。なお、「主成分が実質的にMgSiOのみからなる」とは、主成分100質量部に対するMgSiOの含有量が95質量部以上であることを意味する。
MgSiOを構成するMgOとSiOとのモル比は、化学量論的にはMgO対SiOが2:1である。しかし、本実施形態ではMgO対SiOが2:1に限定されるものではなく、本実施形態に係る誘電体磁器組成物の効果を損なわない範囲内で化学量論比から外れてもよい。例えば、MgO:SiOは、1.9:1.1〜2.1:0.9の範囲内とすることができる。
本実施形態の誘電体磁器組成物は、主成分であるMgSiOに対する副成分として、R含有化合物(Rはアルカリ土類金属)、Cu含有化合物、B含有化合物およびLi含有ガラスを含む。なお、本願明細書ではアルカリ土類金属にBeおよびMgは含まれない。
本実施形態の誘電体磁器組成物は、副成分としてR含有化合物を含むことで、低温焼結しやすくなる。R含有化合物としては、例えば、Rの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。また、R含有化合物の含有量は、主成分100質量部に対して酸化物(RO)換算で0.2質量部以上4.0質量部以下であり、0.2質量部以上3.5質量部以下であることが好ましい。R含有化合物の含有量が少なすぎる場合には低温焼結しにくくなる。また、焼結体の抗折強度が低下する。ROの含有量が多すぎる場合には焼結体のQ値が低下する。
アルカリ土類金属であるRとしては、Ba、Sr、Caのいずれかが好ましく、これらのうち2種以上を混合して用いてもよい。RとしてCaを含有する場合におけるCa含有化合物の含有量は主成分100質量部に対して酸化物(CaO)換算で0.2質量部以上3.0質量部以下が好ましい。RとしてSrを含有する場合におけるSr含有化合物の含有量は主成分100質量部に対して酸化物(SrO)換算で0.2質量部以上3.0質量部以下が好ましい。RとしてBaを含有する場合におけるBa含有化合物の含有量は主成分100質量部に対して酸化物(BaO)換算で0.2質量部以上3.0質量部以下が好ましい。
本実施形態の誘電体磁器組成物は、副成分としてCu含有化合物を含むことで、低温焼結しやすくなるとともに焼結体のQ値が向上する。Cu含有化合物としては、例えば、Cuの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。また、Cu含有化合物の含有量は、主成分100質量部に対して酸化物(CuO)換算で0.5質量部以上3.0質量部以下であり、0.5質量部以上2.5質量部以下であることが好ましい。Cu含有化合物の含有量が少なすぎる場合には低温焼結しにくくなる。Cu含有化合物の含有量が多すぎる場合には焼結体のQ値が低下する。さらに、Ag内部電極を用いる場合には焼成時にAgが誘電体磁器組成物へ拡散してしまう。その結果、誘電体と電極との間に空隙が発生し、密着性が低下し、耐湿性が低下する。
本実施形態の誘電体磁器組成物は、副成分としてB含有化合物を含むことで、低温焼結しやすくなるとともに焼結体のQ値が向上する。B含有化合物としては、例えば、Bの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。また、B含有化合物の含有量は、主成分100質量部に対して酸化物(B)換算で0.2質量部以上3.0質量部以下であり、0.2質量部以上2.5質量部以下であることが好ましい。B含有化合物の含有量が少なすぎる場合には低温焼結しにくくなる。B含有化合物の含有量が多すぎる場合にはQ値が低下する。さらに、Ag内部電極を用いる場合には焼成時にAgが誘電体磁器組成物へ拡散してしまう。その結果、誘電体と電極との間に空隙が発生し、密着性が低下し、耐湿性が低下する。
本実施形態の誘電体磁器組成物は、副成分としてLi含有ガラスを含むことで低温焼結しやすくなるとともに焼結体のQ値が向上する。さらに、焼結体の化学的安定性および絶縁信頼性も向上する。
Li含有ガラスとしては、例えば、SiO−RO−LiO(ROはアルカリ土類金属酸化物)系ガラスとB−RO−LiO系ガラスとのいずれか一方または両方を含んで構成されるものが好ましい。ガラス成分として、具体的には、SiO−RO−LiO系ガラスとしては、SiO−CaO−LiO系ガラス、SiO−SrO−LiO系ガラス、SiO−BaO−LiO系ガラス、SiO−CaO−SrO−LiO系ガラス、SiO−BaO−CaO−LiO系ガラス、SiO−SrO−BaO−LiO系ガラス、SiO−CaO−SrO−BaO−LiO系ガラスなどが挙げられる。B−RO−LiO系ガラスとしては、B−CaO−LiO系ガラス、B−SrO−LiO系ガラス、B−BaO−LiO系ガラス、B−CaO−SrO−LiO系ガラス、B−BaO−CaO−LiO系ガラス、B−SrO−BaO−LiO系ガラス、B−CaO−SrO−BaO−LiO系ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、SiO−BaO−CaO−LiO系ガラスが好ましい。
Li含有ガラスとしてSiO−BaO−CaO−LiO系ガラスを用いる場合、当該SiO−BaO−CaO−LiO系ガラス全体を100質量部としてSiOの含有量が25質量部以上45質量部以下、BaOの含有量が20質量部以上40質量部以下、CaOの含有量が10質量部以上30質量部以下、LiOがLi含有ガラスの実質的な残部であってLiOの含有量が10質量部以上30質量部以下であることが好ましい。SiOの含有量を25質量部以上とすることで焼結体の化学的安定性を向上させやすくなる。SiOの含有量を45質量部以下とすることで低温焼結しやすくなる。BaOの含有量を20質量部以上とすることで焼結体の絶縁信頼性が向上する。BaOの含有量を40質量部以下とすることで焼結体の絶縁信頼性およびQ値が向上する。CaOの含有量を10質量部以上とすることで焼結体の絶縁信頼性が向上する。CaOの含有量を30質量部以下とすることで焼結体の絶縁信頼性およびQ値が向上する。なお、LiOがLi含有ガラスの実質的な残部であるとは、SiO−BaO−CaO−LiO系ガラス全体を100質量部としてSiO、BaO、CaOおよびLiOの合計含有量が95質量部以上であることを意味する。なお、特に記載が無ければLi含有ガラスに含まれる成分の含有量は、Li含有ガラス以外の副成分の含有量には含めない。
また、Li含有ガラスは、Alを含んでいてもよい。AlOを含むLi含有ガラスとしては、例えば、SiO−RO−Al−LiO(ROはアルカリ土類金属酸化物)系ガラスとB−RO−Al−LiO系ガラスとのいずれか一方または両方を含んで構成されるものが好ましい。ガラス成分として、具体的には、SiO−RO−Al−LiO系ガラスとしては、SiO−CaO−Al−LiO系ガラス、SiO−SrO−Al−LiO系ガラス、SiO−BaO−Al−LiO系ガラス、SiO−CaO−SrO−Al−LiO系ガラス、SiO−BaO−CaO−Al−LiO系ガラス、SiO−SrO−BaO−Al−LiO系ガラス、SiO−CaO−SrO−BaO−Al−LiO系ガラスなどが挙げられる。B−RO−Al−LiO系ガラスとしては、B−CaO−Al−LiO系ガラス、B−SrO−Al−LiO系ガラス、B−BaO−Al−LiO系ガラス、B−CaO−SrO−Al−LiO系ガラス、B−BaO−CaO−Al−LiO系ガラス、B−SrO−BaO−Al−LiO系ガラス、B−CaO−SrO−BaO−Al−LiO系ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、SiO−BaO−CaO−Al−LiO系ガラスが好ましい。
Li含有ガラスとしてSiO−BaO−CaO−Al−LiO系ガラスを用いる場合、当該SiO−BaO−CaO−Al−LiO系ガラス全体を100質量部としてSiOの含有量が25質量部以上45質量部以下、BaOの含有量が20質量部以上40質量部以下、CaOの含有量が10質量部以上30質量部以下、Alの含有量が1質量部以上10質量部以下、LiOがLi含有ガラスの実質的な残部であってLiOの含有量が10質量部以上30質量部以下であることが好ましい。SiOの含有量を25質量部以上とすることで焼結体の化学的安定性を向上させやすくなる。SiOの含有量を45質量部以下とすることで低温焼結しやすくなる。BaOの含有量を20質量部以上とすることで焼結体の絶縁信頼性が向上する。BaOの含有量を40質量部以下とすることで焼結体の絶縁信頼性およびQ値が向上する。CaOの含有量を10質量部以上とすることで焼結体の絶縁信頼性が向上する。CaOの含有量を30質量部以下とすることで焼結体の絶縁信頼性およびQ値が向上する。Alの含有量を1質量部以上とすることで焼結体の化学的安定性を向上させやすくなる。Alの含有量を10質量部以下とすることで低温焼結しやすくなる。なお、LiOがLi含有ガラスの実質的な残部であるとは、SiO−BaO−CaO−Al−LiO系ガラス全体を100質量部としてSiO2、BaO、CaO、AlおよびLiOの合計含有量が95質量部以上であることを意味する。
Li含有ガラスの含有量は、主成分およびLi含有ガラスを除く副成分の合計を100質量部として2.0質量部以上10.0質量部以下であり、2.0質量部以上7.0質量部以下であることが好ましい。Li含有ガラスの含有量が少なすぎる場合には、低温焼結しにくくなる。Li含有ガラスの含有量が多すぎる場合には、Q値が低下し誘電損失が大きくなる。
さらに、本実施形態の誘電体磁器組成物は、副成分としてMn含有化合物を含むことが好ましい。Mn含有化合物としては、例えば、Mnの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。Mn含有化合物の含有量は、主成分100質量部に対して酸化物(MnO)換算で0.05質量部以上1.5質量部以下とすることが好ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下とすることがさらに好ましい。Mn含有化合物を酸化物換算で0.05質量部以上含有させることで、低温焼結しやすくなり、焼結体のQ値が向上する。また、Mn含有化合物の含有量を酸化物換算で1.5質量部以下とすることで、Ag内部電極を用いる場合に、焼結時においてAgの誘電体への拡散を抑制しやすくなる。
さらに、本実施形態の誘電体磁器組成物は、副成分としてTi含有化合物を含有することが好ましい。Ti含有化合物としては、例えば、Tiの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。Ti含有化合物の含有量は、主成分100質量部に対して酸化物(TiO)換算で0.3質量部以上3.0質量部以下とすることが好ましく、0.3質量部以上2.0質量部以下とすることがさらに好ましい。Ti含有化合物を酸化物換算で0.3質量部以上含有させることで、焼結体の耐湿性が向上する。さらに、Ag内部電極を用いる場合に、焼結時においてAgの誘電体への拡散を抑制できる。Ti含有化合物を含有させることでLi含有ガラスの結晶性を向上させることができるため、上記の効果を奏すると予想される。また、Ti含有化合物の含有量を酸化物換算で3.0質量部以下とすることで低温焼結しやすくなる。
さらに、本実施形態の誘電体磁器組成物は、副成分としてAl含有化合物を含有することが好ましい。Al含有化合物としては、例えば、Alの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。Al含有化合物の含有量は、主成分100質量部に対して酸化物(Al)換算で0.3質量部以上3.0質量部以下とすることが好ましく、0.3質量部以上2.0質量部以下とすることがさらに好ましい。Al含有化合物を酸化物換算で0.3質量部以上含有させることで、焼結体の耐湿性が向上する。さらに、Ag内部電極を用いる場合に、焼結時においてAgの誘電体への拡散を抑制できる。Al含有化合物の含有量を酸化物換算で3.0質量部以下とすることで低温焼結しやすくなる。
さらに、本実施形態の誘電体磁器組成物は、副成分としてZr含有化合物を含有することが好ましい。Al含有化合物としては、例えば、Zrの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。Zr含有化合物の含有量は、主成分100質量部に対して酸化物(ZrO)換算で0.2質量部以上3.0質量部以下とすることが好ましく、0.2質量部以上2.0質量部以下とすることがさらに好ましい。Zr含有化合物を酸化物換算で0.2質量部以上含有させることで、焼結体のQ値が向上する。Zr含有化合物を含有させることでLi含有ガラスの結晶性を向上させることができるため、上記の効果を奏すると予想される。また、Zr含有化合物の含有量を酸化物換算で3.0質量部以下とすることで低温焼結しやすくなる。
さらに、本実施形態の誘電体磁器組成物は、Ag内部電極を用いる場合には副成分としてあらかじめAgを含有させていてもよい。Agを誘電体に含有させることで、焼結時においてAg内部電極中のAgの誘電体(Ag電極間誘電体)への拡散を抑制しやすくなる。Agを含有する場合、Agの含有量は、主成分およびLi含有ガラスを除く副成分の合計を100質量部として0.05質量部以上1.0質量部以下とすることが好ましい。Agを0.05質量部以上含有させることでAg内部電極を用いる場合に、焼結時においてAg内部電極中のAgの誘電体への拡散を抑制しやすくなる。Agの含有量を1.0質量部以下とすることで焼結体のQ値を良好に維持できる。ただし、Q値をさらに向上させる観点からはAgの含有量は0質量部以上0.05質量部以下とすることが好ましい。
なお、本実施形態の誘電体磁器組成物は、上記以外の副成分を含んでもよいが、Zn含有化合物については実質的に含有しないことが好ましい。Zn含有化合物としては、例えば、Znの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。Zn含有化合物を実質的に含有しないとは、焼成後の焼結体をXRD測定した場合にZnOのピークが観察されず、かつ、フォルステライトおよびZnOからなる化合物のピーク、Li含有ガラスおよびZnOからなる化合物のピーク、および、各副成分およびZnOからなる化合物のピークも観察されないことを指す。また、この場合には、主成分の合計を100質量部としてZn含有化合物の含有量が酸化物(ZnO)換算で概ね0.05質量部未満である。Zn含有化合物を実質的に含有しないことで、焼結体のQ値および耐湿性が向上する。さらに、Ag内部電極を用いる場合に、焼結時においてAgの誘電体への拡散を抑制する。
また、本実施形態の誘電体磁器組成物は、上記以外の副成分の含有量の合計に特に制限はなく、本願発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。例えば、誘電体磁器組成物全体を100質量部として酸化物換算で5質量部以下、含有してもよい。
以下、本実施形態に係る誘電体磁器組成物および焼結体の製造方法の一例について説明する。本実施形態に係る誘電体磁器組成物および焼結体の製造方法は、以下の工程を含む。
(a) 酸化マグネシウムの原料粉末と二酸化珪素の原料粉末とを混合して熱処理することでMgSiO結晶粉末を作製するMgSiO結晶粉末の作製工程
(b) MgSiO結晶粉末に、副成分原料粉末を添加し、誘電体磁器組成物を得る誘電体磁器組成物の作製工程
(c) 誘電体磁器組成物を酸素雰囲気下において800℃以上1000℃以下の温度で焼成して、誘電体磁器組成物の焼結体を得る焼成工程
<MgSiO結晶粉末の作製工程>
MgSiO結晶粉末の作製工程は、酸化マグネシウム(MgO)の原料粉末と酸化珪素(SiO)の原料粉末とを混合して仮焼きし、フォルステライト(MgSiO)結晶粉末を作製する工程である。MgSiO結晶粉末の原料となるMgOの原料粉末とSiOの原料粉末とをそれぞれ所定量秤量した後、混合する。これにより原料混合粉末を得る。また、MgOの原料粉末およびSiOの原料粉末との混合は、乾式混合又は湿式混合等の混合方式で行うことができ、例えば、ボールミルなどの混合分散機で純水、エタノール等の溶媒を用いて混合する。ボールミルの場合の混合時間は4時間から24時間程度とする。
原料混合粉末を、好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下で12時間から36時間程度乾燥させた後、熱処理(仮焼き)する。この仮焼きによって、MgSiO結晶が得られる。仮焼温度は、1100℃以上1500℃以下であることが好ましく、1100℃以上1350℃以下であることが好ましい。また、仮焼時間は1時間から24時間程度行うことが好ましい。
合成されたMgSiO結晶を、粉砕して粉末とした後、乾燥する。これにより、MgSiO結晶粉末が得られる。このMgSiO結晶粉末が誘電体磁器組成物の主成分粉末として用いられる。粉砕は乾式粉砕又は湿式粉砕等の粉砕方式で行うことができ、例えば、ボールミルで純水、エタノール等の溶媒を用いて湿式粉砕する。粉砕時間は、特に限定されるものではなく、所望の平均粒子径の大きさのMgSiO結晶粉末が得られればよく、粉砕時間は例えば4時間から24時間程度とすればよい。MgSiO結晶粉末の乾燥は、好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下の乾燥温度で、12時間以上36時間以下程度行う。
なお、MgSiO結晶による効果を大きくするためには、MgSiO中に含まれる未反応のMgOやSiOの原料成分を少なくする必要があるため、MgOとSiOとを混合した原料混合粉末を調製する際、マグネシウムのモル数が珪素のモル数の2倍となるように、MgOとSiOとを混合することが好ましい。
MgSiO結晶粉末は、MgOの原料粉末およびSiOの原料粉末からMgSiO結晶を合成する方法に限定されるものではなく、市販のMgSiOを用いてもよい。この場合、市販のMgSiOを、上述と同様の方法で粉砕し、乾燥してMgSiO結晶粉末を得るようにしてもよい。
MgSiO結晶粉末を得た後、誘電体磁器組成物の作製工程に移行する。
<誘電体磁器組成物の作製工程>
誘電体磁器組成物の作製工程は、MgSiO結晶粉末に、副成分原料粉末を添加し、誘電体磁器組成物を得る工程である。
得られたMgSiO結晶粉末と、誘電体磁器組成物の副成分の原料であるR含有化合物、B含有化合物およびCu含有化合物等を所定量秤量した後、これらを混合して熱処理する。なお、副成分に関しては、MgSiO結晶粉末の不純物として添加されてもよい。なお、副成分の各原料の秤量は、誘電体磁器組成物における各副成分の含有量(質量部)が所望の値となるように行う。前記熱処理後の粉末に対してLi含有ガラスを添加し、粉砕処理して誘電体磁器組成物とする。本実施形態では、Li含有ガラスは、MgSiO結晶粉末と副成分の原料とを混合した後、熱処理して得られる粉末に添加するようにしているが、Li含有ガラスの添加時期は、これに限定されるものではない。Li含有ガラスは、例えばMgSiO結晶粉末と副成分の原料とを混合する段階(熱処理前の段階)で添加してもよい。
副成分の原料として、後述する仮焼等の熱処理で焼成することによって酸化物となる化合物を用いることもできる。焼成により上記酸化物となる化合物としては、例えば、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。
各原料の秤量は、完成後の誘電体磁器組成物における各副成分の含有量が、主成分に対して所望の上記質量比率(質量部)となるように行う。
混合は、乾式混合又は湿式混合等の混合方式で行うことができ、例えば、ボールミルなどの混合分散機で純水、エタノール等の溶媒を用いた混合方式により行うことができる。混合時間は、4時間以上24時間以下程度とすればよい。
原料混合粉末を、好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下の乾燥温度で、12時間以上36時間以下程度乾燥する。
乾燥させた原料混合粉末は、例えば700℃以上850℃以下で、1時間以上10時間以下程度、熱処理(仮焼)する。このように仮焼を焼成温度以下の温度で行うことによって、原料混合粉末中のフォルステライトが融解することを抑制でき、誘電体磁器組成物中に、結晶の形でMgSiOを含有させることができる。
仮焼後の原料混合粉末に対してLi含有ガラスを添加、混合粉砕した後、乾燥する。これにより、誘電体磁器組成物が得られる。粉砕は乾式粉砕又は湿式粉砕等の粉砕方式で行うことができる。粉砕時間は4時間以上24時間以下程度とすればよい。粉砕後の原料混合粉末の乾燥は、好ましくは80℃以上200℃以下、より好ましくは100℃以上140℃以下の処理温度で12時間以上36時間以下程度行えばよい。
上述した誘電体粉末である原料混合粉末の作成方法により、誘電体磁器組成物の主成分と副成分とが均一に混合されて、材質が均一な誘電体磁器組成物を得ることができる。
誘電体磁器組成物を得た後、誘電体磁器組成物を焼成する焼成工程に移行する。
<焼成工程>
焼成工程では、得られた誘電体磁器組成物を焼成して、焼結体を得る。焼成は、例えば、空気中のような酸素雰囲気にて行うことが好ましい。また、焼成温度は、導体材(内部電極)として用いるAg系金属の融点以下であることが好ましい。例えば、800℃以上1000℃以下であることが好ましく、800℃以上950℃以下であることがより好ましい。
このように本実施形態に係る誘電体磁器組成物の製造方法を用いて得られる誘電体磁器組成物は、800℃以上1000℃以下の低温で焼成しても誘電体磁器の相対密度を十分に高くすることができる。したがって、本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、焼成工程において低温で焼成することができ、誘電体磁器組成物の焼結性を確保し、抗折強度を維持すると共に、Q値の優れた誘電体磁器組成物となる。したがって、本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、フィルター、共振器、コンデンサ、回路基板等の電子部品の一部を構成する誘電体層として好適に用いることができる。
以上、本発明に係る誘電体磁器組成物の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る誘電体磁器組成物は、低温で焼成可能としつつ、焼結性を確保し、焼結体の抗折強度を維持すると共に、焼結体の誘電損失を低下させる効果を阻害しない範囲内で、他の化合物を含むようにしてもよい。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜18)
<誘電体磁器組成物の作製>
まず、主成分MgSiOの原料であるMgOおよびSiOを、Mgのモル数がSiのモル数の2倍となるように、それぞれ秤量した。秤量したMgOおよびSiOに対して純水を加えてスラリーを作成した。スラリー全体を100質量部とした場合のMgOとSiOとの合計含有量が25質量部となるようにした。当該スラリーに対してボールミルにて16時間湿式混合した後に、120℃で24時間乾燥してMgOおよびSiOの混合粉末を得た。当該混合粉末を、空気中で3時間、1200℃で仮焼して、MgSiO結晶を得た。当該MgSiO粉末に改めて純水を加えてスラリーを作成した。スラリー全体を100質量部とした場合のMgSiO粉末の含有量が25質量部となるようにした。当該スラリーをボールミルにて16時間かけて粉砕した後に、120℃で24時間乾燥して、MgSiO結晶粉末を作製した。
次に、得られたMgSiO結晶粉末に対して、CuO、B、CaCO、MnCO、TiO、Al、AgおよびLi含有ガラスを添加した。AgおよびLi含有ガラス以外の各副成分は主成分100質量部に対して酸化物換算で表1に記載の含有量となるように添加した。なお、上記のCaCOおよびMnCOは後述する焼成時にCaOおよびMnOに変化する。AgおよびLi含有ガラスは、主成分と、Li含有ガラスを除く副成分と、の合計を酸化物換算で100質量部とした場合の含有量が表1に記載の含有量となるように添加した。また、Li含有ガラスとしては、SiO−BaO−CaO−LiO系ガラスを用いた。また、当該Li含有ガラスの組成は、Li含有ガラス全体を100質量部として、SiOを35質量部、BaOを29質量部、CaOを19質量部、LiOを17質量部とした。
さらに、上記の混合物に有機バインダーとしてアクリル樹脂であるポリ(エチルメタクリレート)を10質量%添加した後に、ドクターブレード法によってシート成型してシート成型体を複数、作製した。複数のシート成型体を積層後にプレスして基板状に成型することでシート積層成型体を作製した。当該シート積層成型体を所望のサイズに切断してチップを得た。チップの面取りを行った後に焼成温度900℃で2時間焼成して誘電体磁器組成物の焼結体を作製した。有機バインダーの混合量は各実施例および比較例の組成により適宜変化させた。
得られた各実施例および比較例の焼結密度、Q値、耐湿性およびAg電極間誘電体へのAg拡散濃度を測定した。なお、全ての実施例および比較例においてZn含有化合物を実質的に含有しないことをXRD測定により確認した。
<焼結密度>
焼成後の試験片が概ね4.5mm×3.2mm×0.8mmとなるように切断加工し、各方向の寸法をマイクロメーターで精密に測定した。また、電子天秤で切断加工後の試験片の質量を測定した、切断加工後の試験片の質量を切断加工後の試験片の体積で割ることにより、焼結密度を測定した。本実施例では、焼結密度が3.1g/cm以上である場合を良好とした。なお、焼結密度が良好ではない試験片は焼結不足のため、以下に記載する評価項目が測定不能となった。
<Q値>
焼結体のQ値は、日本工業規格「マイクロ波用ファインセラミックスの誘電特性の試験方法(JIS R1627 1996年度)」に従って測定した。具体的には、10mmφ×5mmの円柱を作製し、両端短絡形誘電体共振器法により誘電正接tanδを算出し、1/tanδ=Qとした。Q≧1500である場合にQ値が良好であるとした。Q≧1800である場合がさらに好ましい。
<耐湿性>
上記のシート成型体にAg電極ペーストを厚さ2μmで塗布した。その後、導電性ペースト膜が端部に交互に引き出されるようにAg電極ペーストを塗布したシート成型体を11枚重ね、上下にAg電極ペーストを塗布しないシート成型体を複数重ね、さらに加圧接着することで積層数が10層の積層体を作製した。積層体を所望の形状に切断し、グリーンチップを得、面取りを行った後に焼成温度900℃で2時間焼成して幅3.2mm、長さ4.5mm、厚み0.8mmのコンデンサ素子を得た。さらにバレル研磨を行って端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、評価用の積層セラミックコンデンサを作製した。
耐湿性については、各実施例および比較例のシート成型体を用いて上述のように作製した積層セラミックコンデンサについて、プレッシャークッカー試験(PCT)後のIRを測定することにより評価した。PCTは121℃、2atm、95%rhにて96時間行った。その後、50Vの電圧を印可してIRを測定した。PCT後のIRが1.00E+9Ω・cm以上である場合を良好とした。
<Ag電極間誘電体へのAg拡散濃度>
Ag電極間誘電体へのAg拡散濃度は、上記の積層セラミックコンデンサについて幅方向からチップ中央付近まで研磨を行い、Ag電極で挟まれた任意の誘電体部30点について、EPMA(電子プローブマイクロアナライザー:JEOL製JXA8500)にて測定することにより評価した。加速電圧10kV、照射電流0.2μA、ビーム径5μmφ、計測時間Agピーク10秒、バック5秒の条件で測定を行い、誘電体中に拡散したAgの平均濃度を定量した。このAg濃度が0.3wt%以下の場合にAgの拡散抑制が良好であるとした。
(実施例19〜22)
実施例19〜22は、Li含有ガラスとしてSiO−BaO−CaO−Al−LiO系ガラスを用いた点、および、得られたMgSiO結晶粉末に対して、必要に応じてZrOを添加した点以外は実施例16と同様の方法でチップを作製し、焼結密度、Q値、耐湿性およびAg電極間誘電体へのAg拡散濃度を測定した。
なお実施例19〜22で用いたSiO−BaO−CaO−Al−LiO系のLi含有ガラスとしては、Li含有ガラス全体を100質量部として、SiOを33質量部、BaOを28質量部、CaOを18質量部、Alを5質量部、LiOを16質量部とした。
Figure 2019059660
表1より全ての組成が本願発明の範囲内である実施例は、900℃という低温で焼成しても十分な焼結密度を得ることができた。そして、Q値および耐湿性が良好であり、Agの拡散も十分に抑制することができた。
これに対し、いずれかの副成分の組成が本願発明の範囲外である比較例は、焼結密度、Q値、耐湿性、Agの拡散抑制のいずれか一つ以上が良好ではなかった。
また、実施例19で得られた焼成温度900℃で2時間焼成して得られた誘電体磁器組成物の焼結体の組成を実測して確認した。具体的には、焼結体を粉砕して粉末化し、ICP発光分光分析した。実測値を表2に示す。また、各成分の添加量から計算される組成を同時に示す。
表2に示すMgSiO(主成分)の含有量の実測値はICP発光分光分析により得られたMg濃度より換算して得た。また、表2に示すその他の成分の含有量はMgSiOの含有量を100質量部として酸化物で換算して得た。
AlおよびCaOについては、MgSiO結晶粉末に対して独立した副成分として添加する部分と、Li含有ガラスに含まれる部分と、がある。表2の計算値ではこれらの部分を合算した。
Figure 2019059660
表2より、本実施例ではAlおよびZrO以外の各成分の含有量が計算値と実測値とでほぼ一致することが確認できた。さらに、各成分の含有量は本願発明の範囲内であることが確認できた。
また、AlおよびZrOの含有量は計算値よりも実測値の方が多かった。これは、各混合過程においてYSZ(イットリア安定化ジルコニル)ボールやAlボールをメディアとして用いたためである。しかし、AlおよびZrOの含有量は計算値でも実測値でも本願発明の範囲内であることが確認できた。
なお、ZnOの含有量については、実測値で0.05質量部未満であり、実質的に含有されていないことが確認できた。

Claims (7)

  1. 主成分としてMgSiOを含み、副成分としてR含有化合物、Cu含有化合物、B含有化合物およびLi含有ガラスを含み、
    Rはアルカリ土類金属であり、
    前記主成分100質量部に対して、前記R含有化合物を酸化物(RO)換算で0.2質量部以上4.0質量部以下、前記Cu含有化合物を酸化物(CuO)換算で0.5質量部以上3.0質量部以下、前記B含有化合物を酸化物(B)換算で0.2質量部以上3.0質量部以下、それぞれ含有し、
    前記主成分と、前記Li含有ガラスを除く前記副成分と、の合計100質量部に対して、前記Li含有ガラスを2質量部以上10質量部以下、含有することを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 前記副成分としてさらにMn含有化合物を含み、
    前記主成分100質量部に対して、前記Mn含有化合物を酸化物(MnO)換算で0.05質量部以上1.5質量部以下、含有する請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記副成分としてさらにTi含有化合物を含み、
    前記主成分100質量部に対して、前記Ti含有化合物を酸化物(TiO)換算で0.3質量部以上3.0質量部以下、含有する請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 前記副成分としてさらにAl含有化合物を含み、
    前記主成分100質量部に対して、前記Al含有化合物を酸化物(Al)換算で0.3質量部以上3.0質量部以下、含有する請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  5. 前記副成分としてさらにZr含有化合物を含み、
    前記主成分100質量部に対して、前記Zr含有化合物を酸化物(ZrO)換算で0.2質量部以上3.0質量部以下、含有する請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  6. 前記副成分としてさらにAgを含み、
    前記主成分と、前記Li含有ガラスを除く前記副成分と、の合計100質量部に対して、前記Agを0.05質量部以上1.0質量部以下、含有する請求項1〜5のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の誘電体磁器組成物からなる誘電体層を有する電子部品。
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