以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。同1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、複数の蓄電モジュール4を積層してなる蓄電モジュール積層体2と、蓄電モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えて構成されている。
蓄電モジュール積層体2は、複数(本実施形態では3体)の蓄電モジュール4と、複数(本実施形態では4枚)の導電板5とによって構成されている。蓄電モジュール4は、例えば後述するバイポーラ電極14を備えたバイポーラ電池であり、積層方向から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向に隣り合う蓄電モジュール4,4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向に隣り合う蓄電モジュール4,4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向に交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
各導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。各流路5aは、例えば積層方向と、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向とにそれぞれ直交する方向に互いに平行に延在している。これらの流路5aに冷媒を流通させることで、導電板5は、蓄電モジュール4,4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束部材3は、蓄電モジュール積層体2を積層方向に挟む一対のエンドプレート8,8と、エンドプレート8,8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とによって構成されている。エンドプレート8は、積層方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の内側面(蓄電モジュール積層体2側の面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
エンドプレート8の縁部には、蓄電モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8,8によって挟持されて蓄電モジュール積層体2としてユニット化されると共に、蓄電モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重が付加される。
次に、蓄電モジュール4の構成について更に詳細に説明する。図2は、蓄電モジュール4の内部構成を示す概略断面図である。同図に示すように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12とを備えている。
電極積層体11は、セパレータ13を介して複数のバイポーラ電極14が積層されてなる。この例では、電極積層体11の積層方向Dは蓄電モジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11aを有している。バイポーラ電極14は、電極板15、電極板15の一方面15aに設けられた正極16、電極板15の他方面15bに設けられた負極17を含んでいる。正極16は、正極活物質が塗工されてなる正極活物質層である。負極17は、負極活物質が塗工されてなる負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う一方のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う他方のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
電極積層体11において、積層方向Dの一端には負極終端電極18が配置され、積層方向Dの他端には正極終端電極19が配置されている。負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の他方面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。負極終端電極18の電極板15の一方面15aには、蓄電モジュール4に隣接する一方の導電板5が接触している。正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の一方面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19の電極板15の他方面15bには、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5が接触している。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
電極板15は、金属製であり、例えばニッケル又はニッケルメッキ鋼板からなる。電極板15は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の外縁部15c(バイポーラ電極14の外縁部)は、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって矩形の筒状に形成されている。封止体12を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。封止体12は、積層方向Dに延びる電極積層体11の側面11aにおいて電極板15の外縁部15cを保持すると共に、側面11aを取り囲むように構成されている。
封止体12は、外縁部15cに設けられた第1樹脂部21(樹脂部)と、側面11aに沿って第1樹脂部21を外側から包囲する第2樹脂部22とを有している。第1樹脂部21は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、例えば超音波又は熱により、外縁部15cの全周にわたって連続的に溶着されている。第1樹脂部21は、電極板15の一方面15a側の外縁部15cに設けられている。第1樹脂部21は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。電極板15の端面は、第1樹脂部21から露出している。第1樹脂部21は、積層方向Dから見て、正極16及び負極17から離間して設けられている。
第1樹脂部21は、積層方向Dに隣り合う電極板15の外縁部15c同士の間に位置している第1部分21aと、電極板15から外側に張り出している第2部分21bと、を有している。第1部分21aは、第1樹脂部21の内周側の部分である。バイポーラ電極14及び正極終端電極19における外縁部15cに設けられた第1樹脂部21では、第1部分21aの内側に第1樹脂部21の他の部分よりも薄い(積層方向Dの長さが短い)段差部21cが設けられている。段差部21cにはセパレータ13の外縁部が配置され、積層方向Dから見て、段差部21cとセパレータ13の外縁部とは重なっている。セパレータ13は、セパレータ13の外縁に沿って並ぶ数箇所において、例えば溶着により段差部21cに取り付けられている。負極終端電極18の一方面15a側には、セパレータ13が配置されていないので、負極終端電極18の外縁部15cに設けられた第1樹脂部21には、段差部21cが設けられていない。本実施形態では、段差部21cの高さ(積層方向Dの長さ)は、セパレータ13の厚さと同等であるが、同等でなくてもよい。第2部分21bの一部は、第2樹脂部22に埋没している。積層方向Dで隣り合う第1樹脂部21,21同士は、互いに離間している。
第2樹脂部22は、電極積層体11及び第1樹脂部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2樹脂部22は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、積層方向Dにおいて電極積層体11の全長にわたって延在している。第2樹脂部22は、積層方向Dを軸方向として延在する筒状部である。第2樹脂部22は、積層方向Dに延在する第1樹脂部21の外側面を覆っている。第2樹脂部22は、例えば、射出成形時の熱によって第1樹脂部21の外表面に溶着されている。
第2樹脂部22は、積層方向Dに隣り合うバイポーラ電極14,14の間、積層方向Dに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び積層方向Dに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、積層方向Dで隣り合うバイポーラ電極14,14の間、積層方向Dに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び積層方向Dに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。電解液は強アルカリ性なので、封止体12は、耐強アルカリ性を有する樹脂材料により構成されている。
続いて、図3〜図8を参照し、蓄電モジュール4を製造する製造装置100を用いて、蓄電モジュール4を製造する製造方法について説明する。図3は、蓄電モジュールの製造方法を示すフローチャートである。図3に示されるように、蓄電モジュール4の製造方法は、樹脂付電極31(図4参照)を準備する工程(ステップS1)と、樹脂付電極31を載置する工程(ステップS2)と、樹脂付電極31を挟持する工程(ステップS3)と、位置を検出する工程(ステップS4)と、配置対象を配置する工程(ステップS5,S6)と、配置対象を取り付ける工程(ステップS7)と、樹脂付電極31を積層する工程(ステップS8)と、第2樹脂部22(図2参照)を形成する工程(ステップS9)と、電解液を注入する工程(ステップS10)と、を含んでいる。
図4(a)は、樹脂付電極を一方面側から見た平面図であり、図4(b)は、樹脂付電極を他方面側から見た平面図である。図4(a)及び図4(b)に示される樹脂付電極31を準備する工程(ステップS1)では、まず、図2に示される複数のバイポーラ電極14と、負極終端電極18と、正極終端電極19と、が準備される。続いて、各電極板15の一方面15a側の外縁部15cに第1樹脂部21を、例えば溶着により設ける。これにより、外縁部15cに第1樹脂部21が設けられてなる樹脂付電極31が準備される。樹脂付電極31は、シート状を呈している。樹脂付電極31の外縁31aは、樹脂付電極31の厚さ方向から見て、例えば矩形状を呈している。なお、矩形状は、完全な矩形状に限らず、略矩形状であってもよく、例えば、角部が丸められた形状、角部が面取りされた形状、辺に凹凸が設けられた形状であってもよい。樹脂付電極31は、外縁31aとして4つの辺31bを有している。樹脂付電極31には、後述する配置領域31cが設定されている。
図5は、樹脂付電極を載置する工程、樹脂付電極を挟持する工程、及び位置を検出する工程について説明するための側面図である。図5に示されるように、製造装置100は、定盤41と、挟持部42と、を備えている。定盤41は、例えばSUS等の剛性の高い金属により構成され、樹脂付電極31が載置される平面41a(第1平面)を有している。樹脂付電極31の厚さ方向から見て、定盤41は、樹脂付電極31よりも大きい。平面41aは、例えば矩形状を呈している。樹脂付電極31を載置する工程(ステップS2)では、樹脂付電極31は、平面41aの外縁の内側に位置するように、平面41a上に載置される。樹脂付電極31は、例えばロボットハンド(不図示)により平面41a上に載置される。
挟持部42は、例えば平板部材であり、平面41aと樹脂付電極31を介して対向する平面42a(第2平面)を有している。平面41aと平面42aとの対向方向Aは、樹脂付電極31の厚さ方向と一致している。挟持部42は、所定の重さを有している。樹脂付電極31を挟持する工程(ステップS3)では、例えばロボットハンド(不図示)により樹脂付電極31上に挟持部42が載置される。これにより、平面41a上に載置された樹脂付電極31が、挟持部42の重さで平面41a及び平面42aにより挟持される。この結果、樹脂付電極31の反りが矯正される。平面41a及び平面42aより、樹脂付電極31の中央部から外縁31aの少なくとも一部までの領域が挟持される。
図6は、図5に示される挟持部及び樹脂付電極を挟持部側から見た平面図である。図6に示されるように、平面42aは、樹脂付電極31よりも一回り大きな平面の外縁部が、複数箇所において切り欠かれたような形状を呈している。平面42aは、樹脂付電極31の外縁31aの少なくとも一部と重なり、平面41a(図5参照)とにより外縁31aの少なくとも一部を挟持する領域42bを有している。本実施形態では、平面42aは、矩形状の樹脂付電極31の各辺31bに対して領域42bを有しているが、矩形状の樹脂付電極31の隣り合う一対の辺31b,31bのそれぞれに対して領域42bを有してもよい。これにより、樹脂付電極31における隣り合う一対の辺31b,31bそれぞれの少なくとも一部を含む領域が挟持される。以下、「樹脂付電極31における隣り合う一対の辺31b,31b」を単に「一対の辺31b,31b」とも言う。
挟持部42には、露出部42cと、露出部42dと、が設けられている。露出部42cは、樹脂付電極31の隣り合う一対の辺31b,31bのうち一方における二点P1,P2と、他方における一点P3と、を露出させる。露出部42dは、樹脂付電極31の4つの角部を露出させる。
図5に示されるように、製造装置100は、カメラ43と、制御部44と、を備えている。製造装置100は、複数(本実施形態では、点P1〜P3に対応して3つ)のカメラ43を備えているが、1つのカメラ43を備えてもよい。制御部44は、カメラ43と通信可能に接続されている。制御部44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)、並びに通信を行うための通信モジュール等を備えるコンピュータとして構成される。
カメラ43は、平面41aと平面42aとにより挟持された状態の樹脂付電極31の外縁31aを撮像し、撮像した画像を制御部44に送信する。制御部44は、カメラ43から受信した画像に基づき、外縁31aの位置を検出する。このようにカメラ43及び制御部44は、外縁31aの位置を検出する検出部として機能している。
本実施形態では、カメラ43は、外縁31aの位置として、図6に示される露出部42cにより露出された点P1〜P3を撮像する。制御部44は、点P1及び点P2を接続する直線として、樹脂付電極31の隣り合う一対の辺31b,31bのうち一方の辺31bの位置を検出する。更に、制御部44は、点P3を通ると共に、一方の辺31bに直交する直線として他方の辺31bの位置を検出する。これにより、制御部44は、点P1〜P3の位置に基づき、一対の辺31b,31bの位置を検出することができる。
続いて、図7及び図8を参照して、配置対象を配置する工程について説明する。図7は、樹脂付電極を固定する工程について説明する側面図である。図8は、配置対象を搬送する工程について説明する側面図である。配置対象を配置する工程では、検出された外縁31aの位置に基づき、樹脂付電極31の予め定められた配置領域31cに配置対象が配置される。この工程は、樹脂付電極31を固定する工程(ステップS5)と、配置対象を搬送する工程(ステップS6)とを含んでいる。
樹脂付電極31に配置される配置対象としては、セパレータ13又は入れ子(不図示)等の個片部品が挙げられる。入れ子は、射出成形により第2樹脂部22を形成する際、第2樹脂部22に安全弁又は注液口として機能する貫通孔を形成するための個片部品である。ここでは、配置対象としてセパレータ13を樹脂付電極31に配置する場合について説明する。図2に示されるように、負極終端電極18に設けられた第1樹脂部21には、セパレータ13が設けられないので、この場合の樹脂付電極31は、第1樹脂部21が設けられたバイポーラ電極14、又は第1樹脂部21が設けられた正極終端電極19である。配置領域31cは、樹脂付電極31の厚さ方向から見て、配置領域31cの外縁がセパレータ13の外縁と同形状を呈するように設定されている。樹脂付電極31の厚さ方向から見て、配置領域31cの外縁は段差部21cと重なっている。
図7に示されるように、製造装置100は、樹脂付電極31を平面41a上に固定する固定部45を有している。固定部45は、樹脂付電極31の上面を押さえつける爪部46を有している。固定部45は、例えば樹脂付電極31の各角部に対応する4つの爪部46を有している。上述の露出部42d(図6参照)は、爪部46が各角部に配置され、樹脂付電極31が固定された状態において、爪部46を露出させる。
樹脂付電極31を固定する工程(ステップS5)では、爪部46が樹脂付電極31の外側から樹脂付電極31上に移動し、樹脂付電極31の上面を押さえつける。これにより、固定部45は、平面41aに樹脂付電極31を固定する。固定部45による固定は、挟持部42が樹脂付電極31上に配置され、樹脂付電極31が平面41a及び平面42aにより挟持された状態において行われる。その後、例えばロボットハンド(不図示)により、挟持部42が樹脂付電極31上から取り除かれる。固定部45によれば、樹脂付電極31の外縁31aの位置を、平面41a及び平面42aにより挟持された状態の樹脂付電極31の外縁31aの位置と同じ位置に保つことができる。なお、配置領域31cの位置が平面41aに対してずれ難い状態である場合は、この工程を省略してもよい。
上述のように、固定部45によれば、樹脂付電極31の外縁31aの位置を、平面41a及び平面42aにより挟持された状態の樹脂付電極31の外縁31aの位置と同じ位置に保つことができる。したがって、位置を検出する工程(ステップS4)は、樹脂付電極31を固定する工程(ステップS5)の後に行われてもよい。この場合でも、挟持された状態の樹脂付電極31の外縁31aの位置を実質的に検出することができる。
図8に示されるように、製造装置100は、ハンド47を有している。ハンド47は、例えばロボットハンドであり、セパレータ13を保持可能に構成されている。ハンド47は、例えばセパレータ13を吸着する吸着パッドを有し、セパレータ13を吸着して保持する。ハンド47は、制御部44と通信可能に接続され、制御部44により制御されてセパレータ13を搬送する。
配置対象を搬送する工程(ステップS6)では、制御部44は、検出された外縁31aの位置に基づきハンド47を制御し、平面41aに固定された樹脂付電極31の配置領域31cにセパレータ13を搬送する。制御部44は、例えば、樹脂付電極31における配置領域31cの位置を、外縁31aの位置に対する相対的な位置として予め記憶している。そして、制御部44は、検出された外縁31aの位置、及び配置領域31cの相対的な位置に基づき、配置領域31cの実際の位置を算出する。制御部44は、ハンド47を制御し、算出された配置領域31cの実際の位置にセパレータ13を搬送する。これにより、セパレータ13が配置領域31cに配置される。セパレータ13の外縁部は、第1樹脂部21の段差部21c上に配置される。
以上のような樹脂付電極31を配置する工程(ステップS5,S6)を繰り返すことにより、セパレータ13が配置された複数の樹脂付電極31が得られる。したがって、樹脂付電極31を平面41aに固定する固定部45と、セパレータ13を搬送するハンド47と、外縁31aの位置に基づきハンド47を制御する制御部44とは、セパレータ13を配置領域31cに配置する配置部を構成している。上述のように、樹脂付電極31を固定する工程(ステップS5)は、省略されてもよいので、配置部はハンド47及び制御部44により構成されてもよい。入れ子(不図示)等の他の個片部品についても、セパレータ13と同様に樹脂付電極31の対応する配置領域に配置される。
製造装置100は、配置領域13cに配置対象を例えば溶着により取り付ける溶着機を備えている。配置対象を取り付ける工程(ステップS7)では、例えば溶着によりセパレータ13の外縁部が段差部21cに取り付けられる。これにより、セパレータ13が配置領域31cに固定される。
続いて、複数の樹脂付電極31を積層する工程(ステップS8)が行われる。この工程では、例えばロボットハンド(不図示)により複数の樹脂付電極31が積層される。本実施形態では、負極終端電極18により構成される樹脂付電極31と、バイポーラ電極14により構成され、配置対象が取り付けられた状態の複数の樹脂付電極31と、正極終端電極19により構成され、配置対象が取り付けられた状態の樹脂付電極31と、が所定の順序で積層される。これにより、電極積層体11が形成される。
続いて、第2樹脂部22を形成する工程(ステップS9)では、射出成形の金型(不図示)内に電極積層体11を配置した後、金型内に溶融樹脂を射出することにより、第1樹脂部21を包囲するように第2樹脂部22を形成する。これにより、電極積層体11の側面11aに封止体12が形成されると共に、バイポーラ電極14,14間には内部空間Vが形成される。入れ子(不図示)を用いた場合は、第2樹脂部22の硬化後に入れ子が取り除かれる。電解液を注入する工程(ステップS10)では、内部空間Vに電解液を注入する。以上により、バイポーラ電極14が積層されてなる蓄電モジュール4が製造される。
図1に示される蓄電装置1は、得られた蓄電モジュール4と導電板5とを積層して蓄電モジュール積層体2を形成する工程、及び拘束部材3によって蓄電モジュール積層体2を拘束する工程等を経て得られる。
以上説明したように、蓄電モジュール4の製造方法は、樹脂付電極31を平面41aと平面42aとにより挟持する工程(ステップS3)を有している。このため、樹脂付電極31に反りが生じていても、反りを矯正し、樹脂付電極31の外縁31aの位置を精度よく検出することができる。したがって、検出された位置に基づき、配置領域31cに配置対象を精度よく配置することができる。
樹脂付電極31を挟持する工程(ステップS3)では、対向方向Aから見て矩形状を呈する樹脂付電極31の隣り合う一対の辺31b,31bそれぞれの少なくとも一部を含む領域を挟持し、検出する工程(ステップS4)では、この一対の辺31b,31bの位置を検出する。樹脂付電極31が矩形状を呈しているので、樹脂付電極31における隣り合う一対の辺31b,31bそれぞれの少なくとも一部を含む領域を挟持し、一対の辺31b,31bの位置を精度よく検出することにより、配置領域31cに配置対象を精度よく配置することができる。
位置を検出する工程(ステップS4)では、点P1〜P3の位置が検出されるので、効率的に一対の辺31b,31bの位置を検出することができる。具体的には、一方の辺31bにおける点P1,P2の位置を検出するので、これらの点P1,P2を接続する直線として、一方の辺31bの位置を検出することができる。また、他方の辺31bにおける点P3の位置を検出するので、この点P3を通ると共に、一方の辺31bに直交する直線として他方の辺31bの位置を検出することができる。
配置対象を配置する工程は、検出された外縁31aの位置に基づき、配置領域31cに配置対象を搬送する工程(ステップS6)を含んでいる。このため、樹脂付電極31が平面41aにおける決まった位置に載置されていなくても、配置領域31cに配置対象を配置することができる。
配置対象を配置する工程は、平面41aに樹脂付電極31を固定する工程(ステップS5)を更に含み、配置対象を搬送する工程(ステップS6)では、平面41aに固定された樹脂付電極31の配置領域31cに配置対象が搬送される。このように樹脂付電極31が平面41aに固定されるので、外縁31aの位置が変わらない。これにより、配置領域31cに配置対象を更に精度よく配置することができる。
蓄電モジュール4の製造方法は、配置対象を配置領域31cに取り付ける工程(ステップS7)を含んでいるので、例えば、配置対象が配置された樹脂付電極31を積層する際に、配置対象が配置領域31cからずれることを抑制できる。なお、例えば、セパレータ13が、段差部21cにより構造的に配置領域31cに位置決めされた状態であったり、摩擦により配置領域31cからずれ難い状態であったりする場合は、この工程を省略してもよい。
蓄電モジュール4の製造装置100は、平面41aに載置された樹脂付電極31を平面41aとにより挟持する平面42aを有している。このため、樹脂付電極31に反りが生じていても、反りを矯正し、樹脂付電極31の外縁31aの位置を精度よく検出することができる。したがって、検出された位置に基づき、配置領域31cに配置対象を精度よく配置することができる。
本発明は上述した実施形態に限らず、様々な変形が可能である。
図9は、変形例に係る蓄電モジュールの製造方法を示すフローチャートである。図9に示されるように、変形例に係る蓄電モジュール4の製造方法は、配置対象を配置する工程が位置を調整する工程(ステップS11)を更に含む点で、実施形態に係る蓄電モジュール4の製造方法(図3参照)と相違している。位置を調整する工程(ステップS11)は、位置を検出する工程(ステップS4)と樹脂付電極31を固定する工程(ステップS5)との間に行われる。
位置を調整する工程(ステップS11)では、検出された外縁31aの位置に基づき、平面41aにおける樹脂付電極31の位置が調整される。例えば、平面41aには、樹脂付電極31が載置される領域(不図示)が予め定められており、この領域の位置が制御部44によって記憶されている。制御部44は、この領域に樹脂付電極31が配置されるように、樹脂付電極31の位置を調整する。変形例に係る製造装置100では、例えば、挟持部42が樹脂付電極31を吸着する吸着パッドを有し、樹脂付電極31を保持可能なロボットハンドとして構成されている。制御部44は、挟持部42と通信可能に接続され、検出された外縁31aの位置に基づき、挟持部42を制御して、平面41aにおける樹脂付電極31の位置を調整する。制御部44は、検出された外縁31aの位置と、平面41aに設定された上記領域の位置とのずれを補正するように、挟持部42を制御する。
配置対象を搬送する工程(ステップS6)では、位置が調整された樹脂付電極31の配置領域31cに配置対象が搬送される。このように変形例に係る蓄電モジュールの製造方法では、位置を調整する工程(ステップS11)を含むことにより、樹脂付電極31を決まった領域に配置することができるので、配置領域31cに配置対象を搬送する工程(ステップS6)では、樹脂付電極31の位置のずれを考慮する必要がない。したがって、例えば、複数の配置対象を配置する場合に効率がよい。
図10は、変形例に係る挟持部及び樹脂付電極を挟持部側から見た平面図である。図10に示されるように、変形例に係る挟持部42Aは、平面42aが隣り合う一対の辺31b,31bの一部のみに対して領域42bを有している点と、露出部42d(図6参照)の代わりに露出部42eが設けられている点とで、上述の挟持部42(図6参照)と異なっている。
挟持部42Aでは、平面42aは、樹脂付電極31の中央部から一対の辺31b,31bそれぞれの少なくとも一部までの領域を平面41aとにより挟持する。他の一対の辺31b,31bは挟持されない。この場合でも、挟持された一対の辺31b,31bについては、反りを矯正した状態で位置を検出することができる。挟持部42には、点P1〜P3に対応して3つの露出部42eが設けられている。露出部42eは、断面略円形の貫通孔であり、挟持部42を樹脂付電極31の厚さ方向に貫通している。