[1]実施例
図1は実施例に係る情報処理システム1の全体構成を示した図である。情報処理システム1は各種の処理を実行する情報処理装置11と、ユーザが情報処理装置11に対し処理を指示するために用いる指示装置12を備える。図1に示される指示装置12の数は1つであるが、ユーザの数に応じて情報処理システム1が備える指示装置12の数は変化する。情報処理装置11と指示装置12は無線及び有線の少なくとも一方により互いに通信可能である。
図2は情報処理装置11のハードウェア構成を示した図である。情報処理装置11は、プログラム及び各種データを記憶するメモリ1101と、メモリ1101に記憶されているプログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサ1102と、紙等のシート状記録媒体に画像形成を行うプリンタユニット1103と、紙等のシート状記録媒体に形成された画像を光学的に読み取るスキャナユニット1104と、LAN(Local Area Network)を介してデータ通信を行う通信ユニット1105と、電話回線を通じてデータ通信を行う通信ユニット1106を備える。
指示装置12のハードウェアはコンピュータであり、例えばデスクトップ型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、タブレット型コンピュータ等、それらの形態は様々に異なってよい。図3は指示装置12がタブレット型コンピュータである場合のハードウェア構成を示した図である。タブレット型コンピュータである指示装置12は、メモリ1201と、メモリ1201に記憶されているプログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサ1202と、ユーザに対し画像を表示するディスプレイ1203と、ディスプレイ1203と積層配置されユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル1204と、LANを介してデータ通信を行う通信ユニット1205を備える。
図4は情報処理システム1の機能構成を示した図である。すなわち、プロセッサ1102がメモリ1101に記憶されているプログラムに従う処理を実行することにより、図4に示される構成部を備える情報処理装置11が実現される。また、プロセッサ1202がメモリ1201に記憶されているプログラムに従う処理を実行することにより、図4に示される構成部を備える指示装置12が実現される。
情報処理装置11は、画像形成等の各種処理を実行する処理部111と、処理部111に対し指示装置12から送信されてくる処理を指示する指示データの管理を行う管理部112を備える。
処理部111は、画像形成処理を行う画像形成部1111と、画像読取処理を行う画像読取部1112と、FAXの送受信処理を行うFAX送受信部1113を備える。
画像形成部1111はプロセッサ1102の制御下で動作するプリンタユニット1103により実現される。画像読取部1112はプロセッサ1102の制御下で動作するスキャナユニット1104により実現される。FAX送受信部1113はプロセッサ1102及びプロセッサ1102の制御下で動作する通信ユニット1106により実現される。
管理部112は、各種データを記憶する記憶部1121と、処理部111から処理部111の状態を示す状態データと処理の状態等の通知を示す通知データを取得する取得部1122と、処理部111に対する処理の指示を示す指示データを通信プロトコルに従い指示装置12から受信する受信部1123と、取得部1122により取得された状態データが示す状態の処理部111が受信部1123により受信された指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であるか否かを判定する判定部1124を備える。
また、管理部112は、取得部1122により取得された状態データが示す状態の処理部111が受信部1123により受信された指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であると判定部1124が判定した場合、当該指示データを処理部111に引き渡し、取得部1122により取得された状態データが示す状態の処理部111が受信部1123により受信された指示データにより示される指示に従う処理を実行不可能であると判定部1124が判定した場合、当該指示データを処理部111に引き渡さない引渡部1125を備える。
管理部112は、さらに、判定部1124による判定の結果に応じた通知を示す通知データを通信プロトコルに従い指示装置12に送信する送信部1126と、取得部1122が処理部111から取得したデータや受信部1123が指示装置12から受信したデータに基づき記憶部1121に記憶されているデータの更新を記憶部1121に指示する更新部1127を備える。
記憶部1121はプロセッサ1102の制御下で動作するメモリ1101により実現される。取得部1122、判定部1124、引渡部1125及び更新部1127はプロセッサ1102により実現される。受信部1123と送信部1126はプロセッサ1102及びプロセッサ1102の制御下で動作する通信ユニット1105により実現される。
記憶部1121には、取得部1122が処理部111から取得した状態データを格納する状態テーブルと、受信部1123が指示装置12から受信した指示データを格納する指示テーブルが記憶されている。
図5は状態テーブルのデータ構成を示した図である。状態テーブルには、処理部111が備える構成要素のうち状態が変化し得る項目毎の状態データが格納されている。状態データが示す状態は、経時変化する状態(以下、便宜的に「静的状態」という)と、経時変化しない状態(以下、便宜的に「動的状態」という)に区分される。
例えば、プリンタユニット1103が第1トレイという給紙トレイを備えているものとする。第1トレイにセットされる用紙のサイズ、用紙の質、用紙の方向、及び、用紙の有無はユーザの設定や処理部111の運転状況等により変化する。従って、これらの状態は動的状態に区分される。
一方、スキャナユニット1104の解像度と、カラー対応か否かは、ユーザの設定や処理部111の運転状況等により変化することはない。従って、これらの状態が静的状態に区分される。
図6は指示テーブルのデータ構成を示した図である。指示テーブルは受信部1123が指示装置12から受信した指示データの各々に応じたデータレコードの集まりである。指示テーブルに含まれるデータレコードには、指示データにより指示された処理を識別する処理番号と、指示データの受領時刻と、指示データの要求元の指示装置12を識別する要求元識別情報と、指示された処理の内容を示すデータが含まれる。
さらに、指示テーブルに含まれるデータレコードには、指示された処理が処理部111により実行可能であるか否かの判定の結果と、実行不可能と判定された場合におけるその要因と、指示された処理の状態(未実行、実行中、実行完了、キャンセル等)を示すデータが含まれる。
続いて、図4を参照しつつ指示装置12の機能構成を説明する。指示装置12は、ユーザの操作を受け付ける操作部121と、操作部121に対するユーザの操作に応じた処理部111に対する処理の指示を示す指示データを通信プロトコルに従い情報処理装置11に送信する送信部122と、送信部122から送信された指示データに対する応答として情報処理装置11から送信されてくる通知データを通信プロトコルに従い受信する受信部123と、通知データが示す通知の内容を表示する表示部124を備える。
操作部121はプロセッサ1202の制御下で動作するタッチパネル1204により実現される。送信部122と受信部123はプロセッサ1202及びプロセッサ1202の制御下で動作する通信ユニット1205により実現される。表示部124はプロセッサ1202の制御下で動作するディスプレイ1203により実現される。
図7は情報処理装置11が状態テーブルの更新のために行う処理のシーケンスを示した図である。情報処理装置11が起動されると、処理部111はその時点の処理部111の状態を示す状態データを管理部112に引き渡す(ステップS101)。管理部112は処理部111から取得した状態データに基づき状態テーブル(図5)を更新する(ステップS102)。
その後、処理部111は処理部111の状態を監視し、状態に変化がないか継続的に判定する(ステップS103)。処理部111の状態に変化が生じた場合(ステップS103;Yes)、処理部111は変化後の状態を示す状態データを管理部112に引き渡す(ステップS104)。管理部112は処理部111から取得した状態データに基づき状態テーブル(図5)を更新する(ステップS105)。情報処理装置11が動作する期間中、ステップS103〜S105が繰り返される。
処理部111から管理部112への状態データの引き渡しは、例えばデータバスを介して直接行われるか、もしくは、メモリ1101を介して行われる。従って、処理部111から管理部112への状態データの引き渡しに要する時間によって、処理部111に状態の変化が生じた後、変化後の状態を示すように状態テーブルが更新されるまでの時間は無視できる程度に短い。すなわち、状態テーブルに格納される状態データは、ほぼタイムラグなく処理部111の状態を示す。
図8はユーザにより処理部111に対する処理の指示が行われた場合に情報処理システム1が行う処理のシーケンスを示した図である。指示装置12に対しユーザが処理部111に対する処理の指示を行うための操作を行うと、指示装置12はユーザの操作に応じた指示を示す指示データを情報処理装置11に送信する(ステップS201)。
情報処理装置11の管理部112は指示装置12から受信した指示データ(以下、「処理対象の指示データ」という)が示す指示に従う処理を、その時点の状態テーブル(図5)に格納されている状態データが示す状態の処理部111が実行可能か否かを判定する(ステップS202)。
処理部111が処理を実行不可能と判定した場合(ステップS202;No)、管理部112は判定の結果と、処理を実行不可能とする要因を通知する通知データを指示装置12に送信する(ステップS203)。指示装置12は情報処理装置11から受信した通知データが示す内容をエラー通知として表示する(ステップS204)。図9は指示装置12が情報処理装置11から受信した通知データが示す内容を表示する画面を例示した図である。ステップS204においては、図9(a)に示されるような画面が表示される。
処理部111が処理を実行可能と判定した場合(図8、ステップS202;Yes)、管理部112は処理対象の指示データを処理部111に引き渡す(ステップS205)。
ステップS202における判定及びステップS205における指示データの引き渡しが行われている間に処理部111の状態が変化した場合、処理部111が管理部112から受け取った指示データが示す指示に従う処理を実行不可能である場合がある。そこで、処理部111は、管理部112から受け取った指示データが示す指示に従う処理を実行可能か否かを判定する(ステップS206)。
処理部111は、処理を実行不可能と判定した場合(ステップS206;No)、判定の結果と、処理を実行不可能とする要因を通知する通知データを管理部112に引き渡す(ステップS207)。管理部112は、処理部111から受け取った通知データを指示装置12に送信する(ステップS208)。
指示装置12は情報処理装置11から受信した通知データが示す内容をエラー通知として表示する(ステップS209)。ステップS209においては、ステップS204と同様に、図9(a)に示されるような画面が表示される。
一方、処理部111は、処理を実行可能と判定した場合(図8、ステップS206;Yes)、処理の開始を通知する通知データを管理部112に引き渡す(ステップS210)。管理部112は、処理部111から受け取った通知データを指示装置12に送信する(ステップS211)。指示装置12は情報処理装置11から受信した通知データが示す内容をステイタス通知として表示する(ステップS212)。ステップS212においては、図9(b)に示されるような画面が表示される。
処理部111は、ステップS210(図8)の通知データの送信を行った後、指示データが示す指示に従う処理を実行する(ステップS213)。その後、処理が完了すると、処理部111は処理の完了を通知する通知データを管理部112に引き渡す(ステップS214)。管理部112は、処理部111から受け取った通知データを指示装置12に送信する(ステップS215)。指示装置12は情報処理装置11から受信した通知データが示す内容をステイタス通知として表示する(ステップS216)。ステップS216においては、図9(c)に示されるような画面が表示される。
上述した情報処理システム1は、処理を実行する処理部111に対し処理を指示する指示装置12から処理部111に対する処理の指示を示す指示データを通信プロトコルに従い受信する受信部1123と、処理部111の状態を示す状態データを取得する取得部1122と、当該状態データが示す状態の処理部111が当該指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であるか否かを判定する判定部1124と、当該状態データが示す状態の処理部111が当該指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であると判定部1124が判定した場合、当該指示データを処理部111に引き渡し、当該状態データが示す状態の処理部111が当該指示データにより示される指示に従う処理を実行不可能であると判定部1124が判定した場合、当該指示データを処理部111に引き渡さない引渡部1125とを備える。
上記の構成を備える情報処理システム1によれば、処理部111に対し処理の指示を行う指示装置12がいずれの通信プロトコルに従い通信を行っても、処理部111が指示装置12との間の通信遅延によって実行不可能な処理の指示を受け取ることはない。
また、上述した情報処理システム1が備える取得部1122はネットワークを介さずに処理部111から状態データを取得する。従って、処理部111がネットワークにおける取得部1122との間の通信遅延によって実行不可能な処理の指示を受け取ることはない。
また、上述した情報処理システム1は判定部1124による判定の結果に応じた通知を示す通知データを指示装置12に送信する送信部1126を備える。従って、指示装置12はユーザに対し、判定部1124による判定の結果を通知することができる。
また、上述した情報処理システム1において、状態データが示す状態の処理部111が当該指示データにより示される指示に従う処理を実行不可能であると判定部1124が判定した場合、送信部1126は当該処理を実行不可能とする要因を通知する通知データを指示装置12に送信する。従って、指示装置12はユーザに対し、処理部111が指示データにより示される指示に従う処理を実行不可能とする要因を通知することができる。
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形されてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施されてもよい。
[2−1]第1変形例
第1変形例においては、処理部111と取得部1122が互いに通信プロトコルに従う通信を行う。図10は第1変形例に係る情報処理システム2の全体構成を示した図である。情報処理システム2は、情報処理システム1が供える情報処理装置11に代えて、管理装置21と処理装置22を供える。指示装置12は管理装置21と通信プロトコルに従い通信可能である。また、管理装置21は処理装置22と通信プロトコルに従い通信可能である。
処理装置22のハードウェア構成は、情報処理装置11のハードウェア構成(図2)と同じである。図11は管理装置21のハードウェア構成を示した図である。管理装置21は、メモリ2101と、メモリ2101に記憶されているプログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサ2102と、データ通信を行う通信ユニット2103を備える。
図12は情報処理システム2の機能構成を示した図である。処理装置22は、情報処理装置11が備える処理部111に加え、状態データ及び通知データを管理装置21に送信する送信部221と、管理装置21から指示データを受信する受信部222を備える。送信部221及び受信部222は、プロセッサ1202及びプロセッサ1202の制御下で動作する通信ユニット1105により実現される。
管理装置21は、情報処理装置11の管理部112が備える構成部を全て備える。ただし、管理装置21が備える取得部1122は、通信プロトコルに従う通信により処理装置22から状態データ及び通知データを取得する。また、管理装置21が備える引渡部1125は、通信プロトコルに従う通信により処理装置22に指示データを引き渡す。管理装置21が備える取得部1122及び引渡部1125は、プロセッサ2102及びプロセッサ2102の制御下で動作する通信ユニット2103により実現される。
指示装置12と管理装置21が行う通信に用いられる通信プロトコルは、不特定の装置が利用可能な通信プロトコルである。一方、管理装置21と処理装置22が行う通信に用いられる通信プロトコルは、管理装置21と処理装置22の通信を高速化するように調整された通信プロトコルである。従って、管理装置21と処理装置22が行う通信に用いられる通信プロトコルは、指示装置12と管理装置21が行う通信に用いられる通信プロトコルよりも高速な通信を可能とする。
図13A及び図13B(以下、図13A及び図13Bを合わせて「図13」という)はユーザにより処理部111に対する処理の指示が行われた場合に情報処理システム2が行う処理のシーケンスを示した図である。図13のシーケンスは、図8のシーケンスの管理部112が行う処理を管理装置21が行い、処理部111が行う処理を処理装置22が行う場合と多くの処理が共通している。図13と図8で共通している処理には同じステップ番号が付されている。なお、情報処理システム2は、上述した実施例において情報処理システム1が行う図7のシーケンスに従う処理を行わない。
まず、処理装置22は起動すると、処理部111の状態のうち静的状態、すなわち、経時変化しない状態を示す状態データ(以下、「静的状態データ」という)を管理装置21に送信する(ステップS301)。管理装置21は、処理装置22から受信した静的状態データに基づき、状態テーブル(図5)を更新する(ステップS302)。その後、指示装置12に対しユーザが処理部111に対する処理の指示を行うための操作を行うと、指示装置12はユーザの操作に応じた指示を示す指示データを情報処理装置11に送信する(ステップS201)。
管理装置21は指示装置12から受信した指示データが示す指示に従う処理を処理装置22が実行可能であるか否かを、状態テーブル(図5)に格納されている状態データのうち静的状態データに基づき判定する(ステップS303)。
例えば、指示データがステープラ処理を指示しており、処理装置22がステープラ処理を行う機能を備えていないような場合、管理装置21はステップS303において、処理装置22は指示データが示す指示に従う処理を実行不可能であると判定する。この場合(ステップS303;No)、管理装置21は判定の結果と、処理を実行不可能とする要因を通知する通知データを指示装置12に送信する(ステップS304)。指示装置12は管理装置21から受信した通知データが示す内容をエラー通知として表示する(ステップS305)。
一方、静的状態データに基づく限り、処理装置22が処理を実行可能と判定した場合(ステップS303;Yes)、管理装置21は処理装置22に対し、動的状態データを要求する要求データを送信する(ステップS306)。処理装置22は、要求データに応じて、その時点における処理部111の動的状態、すなわち、経時変化する状態を示す状態データ(以下、「動的状態データ」という)を管理装置21に送信する(ステップS307)。管理装置21は、処理装置22から受信した動的状態データに基づき、状態テーブル(図5)を更新する(ステップS308)。
続いて、管理装置21はステップS201において指示装置12から受信した指示データが示す指示に従う処理を処理装置22が実行可能であるか否かを、状態テーブル(図5)に格納されている状態データのうち動的状態データに基づき判定する(ステップS309)。
例えば、指示データが縦置きのA4普通紙に対するプリントアウト処理を指示しており、処理装置22がA4普通紙に対するプリントアウト機能は備えているが、用紙切れを生じているような場合、管理装置21はステップS309において、処理装置22は指示データが示す指示に従う処理を実行不可能であると判定する。この場合(ステップS309;No)、管理装置21は判定の結果と、処理を実行不可能とする要因を通知する通知データを指示装置12に送信する(ステップS310)。指示装置12は管理装置21から受信した通知データが示す内容をエラー通知として表示する(ステップS311)。
一方、動的状態データに基づき、処理装置22が処理を実行可能と判定した場合(ステップS309;Yes)、管理装置21は処理装置22に対し、ステップS201において受信した指示データを処理装置22に引き渡す(ステップS205)。その後、図8のシーケンスにおけるステップS205以降の処理と同様の処理が行われる。ただし、管理装置21と処理装置22の間のデータの引き渡しは、通信プロトコルに従う通信により行われる。
上述した情報処理システム2が備える取得部1122は、処理部111に対する処理の指示を示す指示データを受信部1123が受信する前に処理部111の状態のうち経時変化しない状態を示す状態データを取得し、処理部111に対する処理の指示を示す指示データを受信部1123が受信した後に処理部111の状態のうち経時変化する状態を示す状態データを取得する。従って、受信部1123が指示データを受信した後に取得部1122が処理部111の状態のうち経時変化しない状態を示す状態データを取得する場合と比較し、指示データにより示される指示に従う処理を処理部111が実行可能であるか否かの判定が速やかに行われる。
また、上述した情報処理システム2が備える取得部1122は、受信部1123が指示データの受信に用いる通信プロトコルよりも高速な通信を可能とする通信プロトコルに従う通信により処理部111から状態データを受信する。従って、処理部111が取得部1122との間の通信に低速な通信プロトコルを用いることによって実行不可能な処理の指示を受け取ることはない。
[2−2]第2変形例
第2変形例においては、ユーザ毎に異なる基準に基づき、指示データが示す指示に従う処理を処理部111が実行可能か否かの判定が行われる。第2変形例に係る情報処理システムの構成は、上述した実施例に係る情報処理システム1と同じである。ただし、第2変形例において、記憶部1121には、状態テーブル及び指示テーブルに加え、代替処理テーブル、複数の基準データテンプレート、ユーザテーブル及び代替処理履歴テーブルが記憶されている。
図14は、代替処理テーブルのデータ構成を示した図である。代替処理テーブルは、処理部111による処理の実行を不可能とする要因毎に、その要因により実行不可能な処理を可能とする代替処理を示す代替処理データの集まりである。1つの要因に応じた代替処理の数は複数であってもよい。
図15は、基準データテンプレートのデータ構成を示した図である。基準データテンプレートは、処理部111による処理の実行を不可能とする要因毎に、その要因により実行不可能な処理を可能とする代替処理と、代替処理を実行する前にユーザによる確認を要するか否かを示すデータの集まりである。基準データテンプレートに含まれるデータが示す代替処理は、代替処理テーブル(図14)に示される要因毎の代替処理の中から選択されたものである。基準データテンプレートによって、代替処理の組み合わせが異なる。
図16は、ユーザテーブルのデータ構成を示した図である。ユーザテーブルには、ユーザを識別する識別データ(以下、「ユーザ識別データ」という)に対応付けて、判定部1124が判定に用いる基準を示す基準データが格納されている。基準データは、基準データテンプレート(図15)に含まれるデータと同様に、処理部111による処理の実行を不可能とする要因毎に、その要因により実行不可能な処理を可能とする代替処理と、代替処理を実行する前にユーザによる確認を要するか否かを示すデータの集まりである。
ユーザテーブルに格納されている基準データは、ユーザが指示装置12を操作して設定したデータである。図17は、ユーザが基準データの設定を行うための画面(以下、「基準設定画面」という)を示した図である。ユーザは、指示装置12に表示される基準設定画面の領域A01において、基準データテンプレート(図15)に応じた複数のテンプレートの中から希望するテンプレートを1つ選択する。ユーザにより選択されたテンプレートの内容が、領域A02のリストに反映される。
続いて、ユーザは領域A02のリストにおいて、必要に応じて代替処理の変更及び確認要否の変更を行う。なお、領域A02のリストの代替処理の項目において、ユーザが矢印ボタンを操作すると、代替処理テーブル(図14)に格納されているデータが示す要因に応じた1以上の代替処理が選択肢として表示される。従って、ユーザは表示される選択肢の中から希望する代替処理を選択することで、代替処理の指定を容易に行うことができる。
その後、ユーザが領域A03の「OK」ボタンを操作すると、指示装置12から情報処理装置11に対し、ユーザに応じた基準データの変更を指示する指示データを、ユーザ識別データと共に送信する。情報処理装置11は、ユーザテーブル(図16)に格納される基準データのうち、指示装置12から受信したユーザ識別データに応じた基準データを、指示装置12から受信した指示データの指示に従い更新する。
図18は、代替処理履歴テーブルのデータ構成を示した図である。記憶部1121には、複数のユーザの各々に応じた代替処理履歴テーブルが格納されている。代替処理履歴テーブルには、ユーザにより指示された処理のうち実行不可能と判定された処理に関し、処理を識別する処理番号と、実行不可能と判定された時刻と、当該処理を実行不可能とした要因と、ユーザにより実行が指示された代替処理とを示すデータが格納される。
図19は第2変形例において、ユーザにより処理部111に対する処理の指示が行われた場合に情報処理システム1が行う処理のシーケンスを示した図である。図19のシーケンスは、図8のシーケンスと多くの処理が共通している。図19と図8で共通している処理には同じステップ番号が付されている。
第2変形例においては、指示データが示す指示に従う処理を処理部111が実行不可能と判定され、かつ、当該処理を実行可能とする代替処理がある場合、指示装置12には図20に示すような、代替処理を提示する通知画面が表示される。図20(a)は、ユーザに応じた基準データ(図16)に従い、ユーザにより指定された代替処理(確認要否が要確認のもの)を提示する通知画面を示している。また、図20(b)は、ユーザに応じた基準データによって代替処理(確認要否が要確認のもの)が指定されておらず、代替処理テーブル(図14)に格納されているデータによって1以上の代替処理が示されている場合に、それらの1以上の代替処理を提示する通知画面を示している。
ユーザが図20に示されるような通知画面に応じて、いずれかの代替処理の実行を指示した場合、指示装置12は、実行不可能と判定された先の処理を識別する処理番号を付加した新たな指示データを情報処理装置11に送信する。
以下に、図19のシーケンスの説明を行う。指示装置12に対しユーザが処理部111に対する処理の指示を行うための操作を行うと、指示装置12はユーザの操作に応じた指示を示す指示データをユーザ識別データと共に情報処理装置11に送信する(ステップS201)。
情報処理装置11の管理部112は、受信した指示データに、実行不可能と判定された先の処理を識別する処理番号が付加されているか否かに基づき、指示データが代替処理を指示する指示データであるか否かを判定する(ステップS401)。
ステップS201において受信した指示データが代替処理を指示する指示データである場合(ステップS401;Yes)、管理部112は指示データに基づき、指示データと共に受信したユーザ識別データに応じた代替処理履歴テーブル(図18)を更新する(ステップS402)。
ステップS201において受信した指示データが代替処理を指示する指示データでない場合(ステップS401;No)、もしくは、ステップS402の処理を完了した後、管理部112は指示装置12から受信した指示データが示す指示に従う処理を、その時点の状態テーブル(図5)に格納されている状態データが示す状態の処理部111が実行可能か否かを判定する(ステップS403)。
ステップS403において、管理部112は、ステップS201において指示装置12から受信したユーザ識別データに応じた基準データが示す基準に基づき判定を行う。すなわち、管理部112は、ユーザテーブル(図16)に含まれるユーザ識別データに応じた基準データが、実行不可能と判定した処理の代替処理をユーザの確認不要で実行してもよいことを示している場合、指示データにより指示された処理と代替処理を同等とみなし、指示された処理を実行可能と判定する。
ステップS403において、処理部111が処理を実行不可能と判定した場合(ステップS403;No)、管理部112は判定の結果と、処理を実行不可能としている要因と、当該処理の代替処理があればその代替処理を通知する通知データを指示装置12に送信する(ステップS404)。
ステップS404において、管理部112はユーザテーブル(図16)のユーザ識別データに応じた基準データを参照し、処理を実行不可能としている要因に応じた代替処理(確認要否が要確認のもの)があれば、その代替処理を通知する通知データを送信する。この通知データには、実行不可能と判定された先の処理を識別する処理番号が付加される。
基準データに代替処理(確認要否が要確認のもの)がなければ、管理部112は代替処理テーブル(図14)を参照し、処理を実行不可能としている要因に応じた代替処理が指定されていれば、それらの代替処理を通知する通知データを送信する。この通知データにも、実行不可能と判定された先の処理を識別する処理番号が付加される。
代替処理テーブルに代替処理が指定されていなければ、管理部112は判定の結果と、処理を実行不可能としている要因を通知し、代替処理を通知しない通知データを送信する。
指示装置12は、ステップS404において情報処理装置11から受信した通知データが示す内容をエラー通知として表示する(ステップS405)。指示装置12が受信した通知データが代替処理を示さない場合、指示装置12は図9(a)に示されるような通知画面を表示する。指示装置12が受信した通知データが代替処理を示す場合、指示装置12は図20(a)又は(b)に示されるような通知画面を表示する。
指示装置12が図20(a)又は(b)に示されるような通知画面を表示した場合、ユーザは通知画面において代替処理の実行を指示することができる。ユーザにより代替処理の実行が指示された場合(ステップS406;Yes)、指示装置12は処理をステップS201に戻し、代替処理を指示する新たな指示データを情報処理装置11に送信する。この場合、情報処理装置11に送信される指示データには、実行不可能と判定された先の処理を識別する処理番号が付加される。
ステップS403において、処理部111が処理を実行可能と判定した場合(ステップS403;Yes)、図8のシーケンスのステップS205〜S207と同様の処理が行われる。
処理部111において指示された処理が実行不可能と判定され、ステップS207において管理部112が処理部111からエラー通知を示す通知データを受け取った場合、管理部112はエラー通知を示す通知データを指示装置12に送信する(ステップS407)。ステップS407における処理は、ステップS404と同様の処理である。
指示装置12は、情報処理装置11からエラー通知を示す通知データを受信すると、ステップS405及びS406と同様の処理を行う(ステップS408及びS409)。
ステップS206において、処理部111が、指示データが示す指示に従う処理を実行可能と判定した場合(ステップS206;Yes)、図8のシーケンスのステップS210〜S216と同様の処理が行われる。
以上が、図19のシーケンスの説明である。情報処理システム1が図19のシーケンスに従う処理を繰り返す間、代替処理履歴テーブル(図18)には、ユーザにより指示された処理が実行不可能であった場合に、ユーザにより実行の指示が行われた代替処理が記録されてゆく。管理部112は、代替処理履歴テーブルのデータに基づき、ユーザテーブルに含まれる基準データを更新する機能を備える。
例えば、管理部112は、一定の時間の経過毎に、各ユーザの代替処理履歴テーブル(図19)を参照し、閾値以上の回数、連続して採用されている代替処理を抽出する。続いて、管理部112は、抽出した代替処理が、ユーザテーブル(図16)の対応するユーザの基準データにおいてどのように登録されているかを確認する。抽出した代替処理が基準データにおいて登録されていなければ、管理部112はその代替処理を確認要否が要確認である代替処理として基準データに登録する。また、抽出した代替処理が基準データにおいて確認要否が要確認の代替処理として既に登録されている場合、管理部112はその代替処理の確認要否を確認不要に変更する。この管理部112により基準データの更新により、ユーザにより頻繁に選択される代替処理がユーザの確認を要さずに実行されるようになる。
上述した第2変形例に係る情報処理システム1において、受信部1123は、送信部1126により送信された要因を通知する通知データに対する応答として指示装置12から送信されてくる、処理部111に対する新たな処理の指示を示す指示データを受信する。従って、指示装置12のユーザは、判定部1124による判定の結果に応じた新たな処理の指示を処理部111に対し行うことができる。
また、上述した第2変形例に係る情報処理システム1において、判定部1124は、状態データが示す状態の処理部111が指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であるか否かを判定するための基準を示す基準データを記憶する記憶部1121から基準データを読み出し、基準データが示す基準に基づき状態データが示す状態の処理部111が指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であるか否かを判定する。また、上述した第2変形例に係る情報処理システム1は、受信部1123が、送信部1126により送信された要因を通知する通知データに対する応答として指示装置12から送信されてくる指示データを受信した場合、当該指示データに基づく基準データの更新を記憶部1121に指示する更新部1127を備える。従って、指示装置12のユーザは、判定部1124による判定の結果に応じた新たな処理の指示を処理部111に対し行うことによって、判定部1124が判定に用いる基準を変更ことができる。
また、上述した第2変形例に係る情報処理システム1において、判定部1124は、状態データが示す状態の処理部111が指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であるか否かを判定するための基準を示す基準データを記憶する記憶部1121から基準データを読み出し、基準データが示す基準に基づき状態データが示す状態の処理部111が指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であるか否かを判定する。また、受信部1123は、指示装置12から基準データの変更を指示する指示データを受信する。また、上述した第2変形例に係る情報処理システム1は、受信部1123が受信した基準データの変更を指示する指示データに従い基準データの更新を記憶部1121に指示する更新部1127を備える。従って、指示装置12のユーザは、判定部1124が判定に用いる基準の変更を指示することができる。
また、上述した第2変形例に係る情報処理システム1において、受信部1123は、指示装置12からユーザ識別データを受信する。また、判定部1124は、状態データが示す状態の処理部111が指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であるか否かを判定するための基準を示す複数の基準データを記憶する記憶部1121から、受信部1123が受信したユーザ識別データにより識別されるユーザに応じた基準データを読み出し、読み出した基準データが示す基準に基づき状態データが示す状態の処理部111が指示データにより示される指示に従う処理を実行可能であるか否かを判定する。従って、処理部111に対する処理の指示を行ったユーザに応じた基準に基づき、判定部1124による判定が行われる。
[2−3]その他の変形例
(1)処理部111が実行可能な処理の種別は上述した実施例に示したものに限られない。
(2)上述した実施例において、指示データは指示装置12に対するユーザの操作に応じて指示装置12から情報処理装置11に送信される。指示データがユーザの操作に応じず、指示装置12から情報処理装置11に送信されてもよい。例えば、一定の時間の経過毎に定められた指示データが指示装置12から情報処理装置11に送信されてもよい。
(3)上述した実施例及び第2変形例において、情報処理装置11と指示装置12の間の通信は、ネットワークを介して行われる。情報処理装置11と指示装置12の間の通信は、ネットワークを介したものに限られない。例えば、情報処理装置11と指示装置12が、Bluetooth(登録商標)等の通信プロトコルに従い、ピア・ツー・ピアの通信を行ってもよい。第2変形例における管理装置21と処理装置22の間の通信も、ネットワークを介したもの、ネットワークを介さないもののいずれであってもよい。
(4)上述した実施例において、指示装置12に送信されるエラー通知の通知データは、処理部111が指示された処理を実行不可能とする要因を直接示す。これに代えて、通知データが、要因を識別するデータ(エラーコード等)を示してもよい。
(5)情報処理装置11と指示装置12が同じ筐体内に配置されてもよい。また、第2変形例において、管理装置21と処理装置22が同じ筐体内に配置されてもよい。
(6)情報処理装置11が備える構成部が、複数の装置に分散配置されてもよい。例えば、記憶部1121が、情報処理装置11の記憶部1121以外の構成部を収容する装置と異なる装置に配置されてもよい。
(7)第1変形例において、指示装置12と管理装置21との間の通信を処理装置22が中継してもよい。
(8)第2変形例において、基準データはユーザ毎に異なる。これに代えて、全ユーザに共通の基準データが用いられてもよい。