JP2019056932A - 積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置 - Google Patents

積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2019056932A
JP2019056932A JP2018238503A JP2018238503A JP2019056932A JP 2019056932 A JP2019056932 A JP 2019056932A JP 2018238503 A JP2018238503 A JP 2018238503A JP 2018238503 A JP2018238503 A JP 2018238503A JP 2019056932 A JP2019056932 A JP 2019056932A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent protective
protective film
meth
group
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018238503A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6511580B2 (ja
Inventor
山崎 達也
Tatsuya Yamazaki
達也 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2018238503A priority Critical patent/JP6511580B2/ja
Publication of JP2019056932A publication Critical patent/JP2019056932A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6511580B2 publication Critical patent/JP6511580B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】光学フィルムと透明保護フィルムとの間で接着性に優れた積層光学フィルムを提供すること。【解決手段】光学フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層された積層光学フィルムであって、透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成されている積層光学フィルム。透明保護フィルムのSP値と接着剤組成物のSP値との間のSP値距離は12以下であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層された積層光学フィルムおよびその製造方法に関する。当該積層光学フィルムは液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置、CRT、PDPなどの画像表示装置を形成しうる。
時計、携帯電話、PDA、ノートパソコン、パソコン用モニタ、DVDプレーヤー、TVなどでは液晶表示装置が急激に市場展開している。液晶表示装置は、液晶のスイッチングによる偏光状態を可視化させたものであり、その表示原理から、偏光子が用いられる。特に、TVなどの用途では、ますます高輝度、高コントラスト、広い視野角が求められ、偏光フィルムにおいてもますます高透過率、高偏光度、高い色再現性などが求められている。
偏光子としては、高透過率、高偏光度を有することから、例えばポリビニルアルコール(以下、単に「PVA」ともいう)にヨウ素を吸着させ、延伸した構造のヨウ素系偏光子が最も一般的に広く使用されている。一般的に偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系の材料を水に溶かしたいわゆる水系接着剤によって、偏光子の両面に透明保護フィルムを貼り合わせたものが用いられている(下記特許文献1)。透明保護フィルムとしては、透湿度の高いトリアセチルセルロースなどが用いられる。前記水系接着剤を用いた場合(いわゆるウェットラミネーション)には、偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせた後に、乾燥工程が必要となる。
一方、前記水系接着剤の代わりに、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が提案されている。活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を用いて偏光フィルムを製造する場合には、乾燥工程を必要としないため、偏光フィルムの生産性を向上させることができる。例えば、本発明者らにより、N−置換アミド系モノマーを硬化性成分として使用した、ラジカル重合型の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が提案されている(下記特許文献2)。
特開2001−296427号公報 特開2012−052000号公報
特許文献2に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を用いて形成された接着剤層は接着性に優れるが、市場においては光学フィルムに対し、劣悪な環境下、例えば過酷な加湿条件下などでも優れた接着性を有することを要求する場合がある。例えば、加湿光学耐久性についても水系接着剤に比べて活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の方が優れるが、従来公知の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物には更なる改善の余地があるのが現状であった。
本発明は上記実情に鑑みて開発されたものであり、光学フィルムと透明保護フィルムとの間で接着性に優れた積層光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、積層光学フィルムが備える透明保護フィルムと接着剤層との間の界面の注目し、鋭意検討を行った。その結果、かかる界面において、透明保護フィルムの組成と、接着剤層の組成とが連続的に変化する相溶層を形成することにより、上記課題を解決できることを見出した。
即ち本発明は、光学フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層された積層光学フィルムであって、前記透明保護フィルムと前記接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成されていることを特徴とする積層光学フィルムに関する。
上記積層光学フィルムにおいて、前記透明保護フィルムのSP値と前記接着剤組成物のSP値との間のSP値距離が12以下であることが好ましい。
上記積層光学フィルムにおいて、前記相溶層が、前記透明保護フィルムの前記接着剤層を形成する側の面に有機溶剤を接触させた後、前記接着剤組成物を塗工することにより形成されたものであることが好ましい。
上記積層光学フィルムにおいて、前記相溶層が、前記透明保護フィルムの前記接着剤層を形成する側の面に有機溶剤を接触させた後、前記接着剤組成物が塗工された前記光学フィルムを、前記接着剤組成物の塗工面側から前記透明保護フィルムの前記有機溶剤との接触面に貼り合せることにより形成されたものであることが好ましい。
上記積層光学フィルムにおいて、前記相溶層が、前記透明保護フィルムの前記接着剤層を形成する側の面に有機溶剤を接触させた後、前記透明保護フィルムの前記有機溶剤との接触面および前記光学フィルムの前記透明保護フィルム側の面の両方の面に前記接着剤組成物を塗工し、両方の塗工面側から前記透明保護フィルムと前記光学フィルムとを貼り合せることにより形成されたものであることが好ましい。
上記積層光学フィルムにおいて、前記透明保護フィルムのSP値と前記有機溶剤のSP値との間のSP値距離が12以下であることが好ましい。
上記積層光学フィルムにおいて、前記接着剤組成物が、重合性基を有する単量体を含有する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物であることが好ましい。
上記積層光学フィルムにおいて、前記光学フィルムが、ポリビニルアルコール系偏光子であることが好ましい。
上記積層光学フィルムにおいて、前記透明保護フィルムが、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル系ポリマーおよびトリアセチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
また本発明は、光学フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して透明保護フィルムが積層された積層光学フィルムの製造方法であって、前記透明保護フィルムの前記接着剤層を形成する側の面に、前記透明保護フィルムとのSP値距離が12以下である有機溶剤を接触させる前処理工程と、前記透明保護フィルムの前記有機溶剤との接触面および前記光学フィルムの前記透明保護フィルム側の面の少なくとも一方の面に前記接着剤組成物を直接塗工する塗工工程と、前記透明保護フィルムと前記光学フィルムとを、前記接着剤組成物を介して貼り合せることにより、前記透明保護フィルムと前記接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層を形成する貼合工程と、前記光学フィルム面側または前記透明保護フィルム面側から活性エネルギー線を照射して、前記接着剤組成物を硬化させることにより形成された接着剤層を介して、前記光学フィルムおよび前記透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含む積層光学フィルムの製造方法に関する。
上記積層光学フィルムの製造方法において、前記透明保護フィルムのSP値と前記接着剤組成物のSP値との間のSP値距離が12以下であることが好ましい。
さらに本発明は、前記いずれかに記載の積層光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置に関する。
本発明に係る積層光学フィルムは、透明保護フィルムと前記接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成されている。これにより、透明保護フィルムと接着剤層との間の接着性が向上することに起因して、積層光学フィルムの接着性が向上する。特に、透明保護フィルムのSP値と接着剤組成物のSP値との間のSP値距離が12以下である場合、該相溶層がより確実に形成されるため、最終的に積層光学フィルムの接着性がさらに向上する。
本発明において、SP値はHansenらによって提唱された溶解パラメーターを意味するものとし、かかるSP値は3次元空間中の1点で表される。2つの物質間(例えば、透明保護フィルムと接着剤組成物)の親和性は2つのSP値の距離(SP値距離)で評価することが可能であり、2つの物質間のSP値距離が小さいと親和性は大きいと言える。
本発明においては、特に透明保護フィルムの接着剤層を形成する側の面に有機溶剤を接触させた後、(1)接着剤組成物を透明保護フィルムの有機溶剤との接触面に塗工する、
(2)接着剤組成物を光学フィルムに塗工し、光学フィルムの接着剤組成物の塗工面側から透明保護フィルムの有機溶剤との接触面に貼り合わせる、または(3)接着剤組成物を透明保護フィルムの有機溶剤との接触面に塗工し、さらに光学フィルムにも接着剤組成物を塗工した上で、透明保護フィルムと光学フィルムとを接着剤組成物を介して貼り合わせることにより、相溶層を形成することができる。このように相溶層が形成された場合、積層光学フィルムの接着性がさらに向上する。このような効果が得られる理由として、以下のものが考えられる。
積層光学フィルムの構成材料である透明保護フィルムは、表面にスキン層(自由体積が小さい領域)を備えており、かかるスキン層には接着剤組成物が浸透し難いという欠点があった。しかしながら、特に上記(1)〜(3)の方法で形成された相溶層を備える積層光学フィルムでは、透明保護フィルム表面のスキン層が解消されており、接着剤組成物が浸透し易くなる。その結果、透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が、安定的に確実に形成され、積層光学フィルムの接着性がさらに向上する。
なお、透明保護フィルムとのSP値距離が12以下である有機溶剤で、透明保護フィルムの接着剤層を形成する側の面を前処理した場合、透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が、さらに安定的に確実に形成され、積層光学フィルムの光学特性および接着性が特に向上する。
本発明に係る積層光学フィルムは、光学フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層されたものであり、透明保護フィルムと接着剤層との間に、透明保護フィルムおよび接着剤層の組成が連続的に変化する相溶層が形成されていることを特徴とする。
「透明保護フィルムおよび接着剤層の組成が連続的に変化する相溶層」は、例えば(1)透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)による断面像、(2)飛行時間型二次イオン質量分析法(Time−of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometry ;TOF−SIMS)による深さ方向の組成分析、あるいは(3)3波長管検査、レーザー顕微鏡、反射スペクトルなどによる光学干渉有無分析、などにより確認することができる。
本発明において、かかる相溶層は以下のように形成されたものが例示可能である。
(1)透明保護フィルムの接着剤層を形成する側の面に有機溶剤を接触させた後、接着剤組成物を塗工することにより形成された相溶層、
(2)透明保護フィルムの接着剤層を形成する側の面に有機溶剤を接触させた後、接着剤組成物が塗工された光学フィルムを、接着剤組成物の塗工面側から透明保護フィルムの有機溶剤との接触面に貼り合せることにより形成された相溶層、または
(3)透明保護フィルムの接着剤層を形成する側の面に有機溶剤を接触させた後、透明保護フィルムの有機溶剤との接触面および光学フィルムの透明保護フィルム側の面の両方の面に接着剤組成物を塗工し、両方の塗工面側から透明保護フィルムと光学フィルムとを貼り合せることにより形成された相溶層。
上記(1)〜(3)のいずれの場合であっても、透明保護フィルムの表面に存在していたスキン層が有機溶剤で処理されることにより解消され、接着剤組成物が透明保護フィルムに浸透し易くなり、その後、接着剤組成物が硬化することにより、透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成される。なお、上記(3)では、透明保護フィルムに塗工する接着剤組成物と光学フィルムに塗工する接着剤組成物として、同じ組成の接着剤組成物を使用しても良く、異なる組成の接着剤組成物を使用してもよい。ただし異なる組成の接着剤組成物を使用する場合でも、後述のとおり、積層光学フィルムを構成する透明保護フィルムのSP値との間のSP値距離が12以下である接着剤組成物を使用することが好ましい。
以下に、積層光学フィルムが備える接着剤層の原料となる接着剤組成物について説明する。本発明において接着剤組成物は、好適には活性エネルギー線を照射することにより硬化して、接着剤層を形成可能な活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が使用可能である。
<活性エネルギー線硬化型接着剤組成物>
本発明で使用可能な活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、電子線硬化性、紫外線硬化性、可視光線硬化性に大別することができる。また、硬化の形態としては、ラジカル重合硬化型接着剤組成物とカチオン重合性接着剤組成物に区分出来る。本発明において、波長範囲10nm〜380nm未満の活性エネルギー線を紫外線、波長範囲380nm〜800nmの活性エネルギー線を可視光線として表記する。特に、本発明で使用可能な活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、380nm〜450nmの可視光線を利用する可視光線硬化性であることが特に好ましい。
<1:ラジカル重合硬化性化合物>
ラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの炭素−炭素二重結合のラジカル重合性の官能基を有する化合物が挙げられる。これら硬化性成分は、単官能ラジカル重合性化合物または二官能以上の多官能ラジカル重合性化合物のいずれも用いることができる。また、これらラジカル重合性化合物は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好適である。なお、本発明において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を意味し、「(メタ)」は以下同様の意味である。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリルアミド基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体や、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては以下例示するが、種々選択して使用することができ、特に限定されるものではない。本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物中、ラジカル重合性化合物の含有量は10重量%以上であることが好ましい。
≪単官能ラジカル重合性化合物≫
単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、下記一般式(1)
Figure 2019056932
で表される化合物(ただし、Rは水素原子またはメチル基であり、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基または環状エーテル基であって、RおよびRは環状複素環を形成してもよい)が挙げられる。アルキル基、ヒドロキシアルキル基、および/またはアルコキシアルキル基のアルキル部分の炭素数は特に限定されないが、例えば1〜4個のものが例示される。また、RおよびRが形成してもよい環状複素環は、例えばN−アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール−N−プロパン(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ基含有(メタ)アクリルアミド誘導体などが挙げられる。また、環状エーテル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体としては、(メタ)アクリルアミド基の窒素原子が複素環を形成している複素環含有(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられ、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等があげられる。これらのなかでも、反応性に優れる点、高弾性率の硬化物を得られる点、偏光子への接着性に優れる点から、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンを好適に使用することができる。
例えば偏光子と透明保護フィルムとを接着剤層を介して接着させる場合の接着性および耐水性向上、さらには重合速度が速いことに起因した生産性向上の見地から、接着剤組成物中、一般式(1)に記載の化合物の含有量は、1〜50重量%であることが好ましく、3〜20重量%であることがより好ましい。特に、一般式(1)に記載の化合物の含有量が多すぎると、硬化物の吸水率が高くなり、耐水性が悪化する場合がある。
また、本発明において使用する接着剤組成物は、一般式(1)で表される化合物以外に、硬化性成分として、他の単官能ラジカル重合性化合物を含有してもよい。単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する各種の(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、t−ペンチル(メタ)アクリレート、3−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸(炭素数1−20)アルキルエステル類が挙げられる。
また、前記(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレートなどのアラルキル(メタ)アクリレート;2−イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、5−ノルボルネン−2−イル−メチル(メタ)アクリレート、3−メチル−2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、などの多環式(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシ基またはフェノキシ基含有(メタ)アクリレート;などが挙げられる。本発明の樹脂組成物を偏光フィルムの接着剤として使用する場合、保護フィルムへの密着性の観点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはフェノキシ基含有(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。含有量としては、樹脂組成物に対して1重量%〜30重量%であることが好ましい。
また、前記(メタ)アクリル酸誘導体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのハロゲン含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチルーオキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチルーオキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチルーオキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ヘキシルーオキセタニルメチル(メタ)アクリレートなどのオキセタン基含有(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブチロラクトン(メタ)アクリレート、などの複素環を有する(メタ)アクリレートや、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸付加物、p−フェニルフェノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートは各種保護フィルムとの接着性に優れるため好ましい。
また、単官能ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマーが挙げられる。
また、単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、メチルビニルピロリドンなどのラクタム系ビニルモノマー;ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリンなどの窒素含有複素環を有するビニル系モノマーなどが挙げられる。
また、単官能ラジカル重合性化合物としては、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物を用いることができる。活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物は、末端または分子中に(メタ)アクリル基などの活性二重結合基を有し、かつ活性メチレン基を有する化合物である。活性メチレン基としては、例えばアセトアセチル基、アルコキシマロニル基、またはシアノアセチル基などが挙げられる。前記活性メチレン基がアセトアセチル基であることが好ましい。活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレートなどのアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート;2−エトキシマロニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N−(2−シアノアセトキシエチル)アクリルアミド、N−(2−プロピオニルアセトキシブチル)アクリルアミド、N−(4−アセトアセトキシメチルベンジル)アクリルアミド、N−(2−アセトアセチルアミノエチル)アクリルアミドなどが挙げられる。活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物は、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
≪多官能ラジカル重合性化合物≫
また、二官能以上の多官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、多官能(メタ)アクリルアミド誘導体であるN,N‘−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオぺンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンがあげられる。具体例としては、アロニックスM−220(東亞合成社製)、ライトアクリレート1,9ND−A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDGE−4A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDCP−A(共栄社化学社製)、SR−531(Sartomer社製)、CD−536(Sartomer社製)などが好ましい。また必要に応じて、各種のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートや、各種の(メタ)アクリレート系モノマーなどが挙げられる。なお、多官能(メタ)アクリルアミド誘導体は、重合速度が速く生産性に優れる上、樹脂組成物を硬化物とした場合の架橋性に優れるため、接着剤組成物に含有させることが好ましい。
ラジカル重合性化合物は、偏光子や各種透明保護フィルムとの接着性と、過酷な環境下における光学耐久性を両立させる観点から、単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物を併用することが好ましい。なお、単官能ラジカル重合性化合物は比較的液粘度が低いため、樹脂組成物に含有させることで樹脂組成物の液粘度を低下させることができる。また、単官能ラジカル重合性化合物は各種機能を発現させる官能基を有している場合が多く、樹脂組成物に含有させることで樹脂組成物および/または樹脂組成物の硬化物に各種機能を発現させることができる。多官能ラジカル重合性化合物は、樹脂組成物の硬化物を3次元架橋させることができるため樹脂組成物に含有させることが好ましい。単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物の比は、単官能ラジカル重合性化合物100重量部に対して、多官能ラジカル重合性化合物を10重量部から1000重量部の範囲で混合することが好ましい。
<2:カチオン重合性接着剤組成物>
カチオン重合性接着剤組成物に使用されるカチオン重合性化合物としては、分子内にカチオン重合性官能基を1つ有する単官能カチオン重合性化合物と、分子内にカチオン重合性官能基を2つ以上有する多官能カチオン重合性化合物とに分類される。単官能カチオン重合性化合物は比較的液粘度が低いため、樹脂組成物に含有させることで樹脂組成物の液粘度を低下させることができる。また、単官能カチオン重合性化合物は各種機能を発現させる官能基を有している場合が多く、樹脂組成物に含有させることで樹脂組成物及び/又は樹脂組成物の硬化物に各種機能を発現させることができる。多官能カチオン重合性化合物は、樹脂組成物の硬化物を3次元架橋させることができるため樹脂組成物に含有させることが好ましい。単官能カチオン重合性化合物と多官能カチオン重合性化合物の比は、単官能カチオン重合性化合物100重量部に対して、多官能カチオン重合性化合物を10重量部から1000重量部の範囲で混合することが好ましい。カチオン重合性官能基としては、エポキシ基やオキセタニル基、ビニルエーテル基が挙げられる。エポキシ基を有する化合物としては、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物が挙げられ、本発明のカチオン重合性接着剤組成物としては、硬化性や接着性に優れることから、脂環式エポキシ化合物を含有することが特に好ましい。脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのカプロラクトン変性物やトリメチルカプロラクトン変性物やバレロラクトン変性物等が挙げられ、具体的には、セロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085(以上、ダイセル化学工業(株製)、サイラキュアUVR−6105、サイラキュアUVR−6107、サイラキュア30、R−6110(以上、ダウ・ケミカル日本(株)製)等が挙げられる。オキセタニル基を有する化合物は、本発明のカチオン重合性接着剤組成物の硬化性を改善したり、該組成物の液粘度を低下させる効果があるため、含有させることが好ましい。オキセタニル基を有する化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタンなどが挙げられ、アロンオキセタンOXT−101、アロンオキセタンOXT−121、アロンオキセタンOXT−211、アロンオキセタンOXT−221、アロンオキセタンOXT−212(以上、東亞合成社製)等が市販されている。ビニルエーテル基を有する化合物は、本発明のカチオン重合性接着剤組成物の硬化性を改善したり、該組成物の液粘度を低下させる効果があるため、含有させることが好ましい。ビニルエーテル基を有する化合物としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールものビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ペンタエリスリトール型テトラビニルエーテル等が挙げられる。
気泡抑制剤は、接着剤組成物中に配合することにより、その表面張力を低下し得る化合物であり、これにより貼合わせる被着体との間の気泡を低減する効果がある。気泡抑制剤としては例えば、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン骨格を有するシリコーン系気泡抑制剤、(メタ)アクリル酸エステルなどを重合させた(メタ)アクリル骨格を有する(メタ)アクリル系気泡抑制剤、ビニルエーテルや環状エーテルなどを重合させたポリエーテル系気泡抑制剤、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物からなるフッ素性気泡抑制剤などの、接着剤組成物中に添加した際、その表面張力を低減する効果を備えるものが使用可能である。
気泡抑制剤が有する反応性基としては重合性官能基が挙げられ、具体的には例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有するラジカル重合性官能基、グリシジル基などのエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、環状エーテル基、環状チオエーテル基、ラクトン基などのカチオン重合性官能基などが挙げられる。接着剤組成物中での反応性の観点から、反応性基として二重結合を有する気泡抑制剤が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリルロイル基を有する気泡抑制剤である。
ラミ気泡抑制効果と接着性向上効果とを考慮した場合、前記気泡抑制剤の中でも、シリコーン系気泡抑制剤が好ましい。また気泡抑制剤の中でも、接着剤層の接着性を考慮した場合、主鎖骨格または側鎖にウレタン結合やイソシアヌレート環構造を含むものが好ましい。シリコーン系気泡抑制剤としては市販品も好適に使用可能であり、例えばアクリル基変性ポリジメチルシロキサンである「BYK−UV3505」(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
得られる接着剤層の接着力と、ラミ気泡の低減効果とを両立するためには、接着剤組成物の全量を100重量%としたとき、気泡抑制剤の含有量は0.01〜0.6重量%であることが好ましい。
<ラジカル重合性接着剤組成物の態様>
活性エネルギー線に電子線などを用いる場合には、当該接着剤組成物は光重合開始剤を含有することは必要ではないが、活性エネルギー線に紫外線または可視光線を用いる場合には、接着剤組成物は光重合開始剤を含有するのが好ましい。
≪光重合開始剤≫
ラジカル重合性化合物を用いる場合の光重合開始剤は、活性エネルギー線によって適宜に選択される。紫外線または可視光線により硬化させる場合には紫外線または可視光線開裂の光重合開始剤が用いられる。前記光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの芳香族ケトン化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物;べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンゾインブチルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどの芳香族ケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどがあげられる。
前記光重合開始剤の配合量は、接着剤組成物の全量に対して、20重量%以下である。光重合開始剤の配合量は、0.01〜20重量%であるのが好ましく、さらには、0.05〜10重量%、さらには0.1〜5重量%であるのが好ましい。
また本発明で使用する接着剤組成物を、硬化性成分としてラジカル重合性化合物を含有する可視光線硬化性で用いる場合には、特に380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤を用いることが好ましい。380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤については後述する。
前記光重合開始剤としては、下記一般式(2)で表される化合物;
Figure 2019056932
(式中、RおよびRは−H、−CHCH、−iPrまたはClを示し、RおよびRは同一または異なっても良い)を単独で使用するか、あるいは一般式(2)で表される化合物と後述する380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤とを併用することが好ましい。一般式(2)で表される化合物を使用した場合、380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤を単独で使用した場合に比べて接着性に優れる。一般式(2)で表される化合物の中でも、RおよびRが−CHCHであるジエチルチオキサントンが特に好ましい。接着剤組成物中の一般式(4)で表される化合物の組成比率は、接着剤組成物の全量に対して、0.1〜5重量%であることが好ましく、0.5〜4重量%であることがより好ましく、0.9〜3重量%であることがさらに好ましい。
また、必要に応じて重合開始助剤を添加することが好ましい。重合開始助剤としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどが挙げられ、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルが特に好ましい。重合開始助剤を使用する場合、その添加量は、接着剤組成物の全量に対して、通常0〜5重量%、好ましくは0〜4重量%、最も好ましくは0〜3重量%である。
また、必要に応じて公知の光重合開始剤を併用することができる。UV吸収能を有する透明保護フィルムは、380nm以下の光を透過しないため、光重合開始剤としては、380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤を使用することが好ましい。具体的には、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
特に、光重合開始剤として、一般式(2)の光重合開始剤に加えて、さらに下記一般式(3)で表される化合物;
Figure 2019056932
(式中、R、RおよびRは−H、−CH、−CHCH、−iPrまたはClを示し、R、RおよびRは同一または異なっても良い)を使用することが好ましい。一般式(3)で表される化合物としては、市販品でもある2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE907 メーカー:BASF)が好適に使用可能である。その他、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:IRGACURE369 メーカー:BASF)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名:IRGACURE379 メーカー:BASF)が感度が高いため好ましい。
<活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物と、水素引き抜き作用のあるラジカル重合開始剤>
上記接着剤組成物において、ラジカル重合性化合物として、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物を用いる場合には、水素引き抜き作用のあるラジカル重合開始剤と組み合わせて用いるのが好ましい。かかる構成によれば、特に高湿度環境または水中から取り出した直後(非乾燥状態)であっても、偏光フィルムの有する接着剤層の接着性が著しく向上する。この理由は明らかでは無いが、以下の原因が考えられる。つまり、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物は、接着剤層を構成する他のラジカル重合性化合物とともに重合しつつ、接着剤層中のベースポリマーの主鎖および/または側鎖に取り込まれ、接着剤層を形成する。かかる重合過程において、水素引き抜き作用のあるラジカル重合開始剤が存在すると、接着剤層を構成するベースポリマーが形成されつつ、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物から、水素が引き抜かれ、メチレン基にラジカルが発生する。そして、ラジカルが発生したメチレン基とPVAなどの偏光子の水酸基とが反応し、接着剤層と偏光子との間に共有結合が形成される。その結果、特に非乾燥状態であっても、偏光フィルムの有する接着剤層の接着性が著しく向上するものと推測される。
本発明においては、水素引き抜き作用のあるラジカル重合開始剤として、例えばチオキサントン系ラジカル重合開始剤、ベンゾフェノン系ラジカル重合開始剤などが挙げられる。前記ラジカル重合開始剤は、チオキサントン系ラジカル重合開始剤であることが好ましい。チオキサントン系ラジカル重合開始剤としては、例えば上記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、チオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントンなどが挙げられる。一般式(2)で表される化合物の中でも、RおよびRが−CHCHであるジエチルチオキサントンが特に好ましい。
上記接着剤組成物において、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物と、水素引き抜き作用のあるラジカル重合開始剤を含有する場合には、硬化性成分の全量を100重量%としたとき、前記活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物を1〜50重量%、およびラジカル重合開始剤を、硬化性樹脂組成物の全量に対して0.1〜10重量%含有することが好ましい。
上述のとおり、本発明においては、水素引き抜き作用のあるラジカル重合開始剤の存在下で、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物のメチレン基にラジカルを発生させ、かかるメチレン基とPVAなどの偏光子の水酸基とが反応し、共有結合を形成する。したがって、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物のメチレン基にラジカルを発生させ、かかる共有結合を十分に形成するために、硬化性成分の全量を100重量%としたとき、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物を1〜50重量%含有するのが好ましく、さらには3〜30重量%含有することがより好ましい。耐水性を十分に向上させて非乾燥状態での接着性を向上させるには活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物は1重量%以上とするのが好ましい。一方、50重量%を超えると、接着剤層の硬化不良が発生する場合がある。また、水素引き抜き作用のあるラジカル重合開始剤は、接着剤組成物の全量に対して0.1〜10重量%含有することが好ましく、さらには0.3〜9重量%含有することがより好ましい。水素引き抜き反応が十分に進行させるには、ラジカル重合開始剤を0.1重量%以上用いることが好ましい。一方場合があり、10重量%を超えると、組成物中で完全に溶解しない場合がある。
<光カチオン重合開始剤>
カチオン重合性接着剤組成物は、硬化性成分として以上説明したエポキシ基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物、ビニルエーテル基を有する化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有し、これらはいずれもカチオン重合により硬化するものであることから、光カチオン重合開始剤が配合される。この光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線などの活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基やオキセタニル基の重合反応を開始する。光カチオン重合開始剤としては光酸発生剤と光塩基発生剤を使用することができ、後述の光酸発生剤が好適に使用される。また本発明で使用する接着剤組成物を可視光線硬化性で用いる場合には、特に380nm以上の光に対して高感度な光カチオン重合開始剤を用いることが好ましいが、光カチオン重合開始剤は一般に、300nm付近またはそれより短い波長域に極大吸収を示す化合物であるため、それより長い波長域、具体的には380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤を配合することで、この付近の波長の光に感応し、光カチオン重合開始剤からのカチオン種または酸の発生を促進させることができる。光増感剤としては、例えば、アントラセン化合物、ピレン化合物、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられ、これらは、2種類以上を混合して使用してもよい。特にアントラセン化合物は、光増感効果に優れるため好ましく、具体的にはアントラキュアUVS−1331、アントラキュアUVS−1221(川崎化成社製)が挙げられる。光増感剤の含有量は、0.1重量%〜5重量%であることが好ましく、0.5重量%〜3重量%であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明で使用する接着剤組成物は、下記成分を含有することが好ましい。
<アクリル系オリゴマー>
本発明で使用する接着剤組成物は、前記ラジカル重合性化合物に係る硬化性成分に加えて、(メタ)アクリルモノマーを重合してなるアクリル系オリゴマーを含有することができる。接着剤組成物中に成分を含有することで、該組成物に活性エネルギー線を照射・硬化させる際の硬化収縮を低減し、接着剤と、偏光子および透明保護フィルムなどの被着体との界面応力を低減することができる。その結果、接着剤層と被着体との接着性の低下を抑制することができる。硬化物層(接着剤層)の硬化収縮を十分に抑制するためには、接着剤組成物の全量に対して、アクリル系オリゴマーの含有量は、20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。接着剤組成物中のアクリル系オリゴマーの含有量が多すぎると、該組成物に活性エネルギー線を照射した際の反応速度の低下が激しく、硬化不良となる場合がある。一方、接着剤組成物の全量に対して、アクリル系オリゴマーを3重量%以上含有することが好ましく、5重量%以上含有することがより好ましい。
接着剤組成物は、塗工時の作業性や均一性を考慮した場合、低粘度であることが好ましいため、(メタ)アクリルモノマーを重合してなるアクリル系オリゴマーも低粘度であることが好ましい。低粘度であって、かつ接着剤層の硬化収縮を防止できるアクリル系オリゴマーとしては、重量平均分子量(Mw)が15000以下のものが好ましく、10000以下のものがより好ましく、5000以下のものが特に好ましい。一方、硬化物層(接着剤層)の硬化収縮を十分に抑制するためには、アクリル系オリゴマーの重量平均分子量(Mw)が500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1500以上であることが特に好ましい。アクリル系オリゴマーを構成する(メタ)アクリルモノマーとしては、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、S−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、t−ペンチル(メタ)アクリレート、3−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチル(メタ)アクリレート、N−オクタデシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸(炭素数1−20)アルキルエステル類、さらに、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレートなど)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、多環式(メタ)アクリレート(例えば、2−イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、5−ノルボルネン−2−イル−メチル(メタ)アクリレート、3−メチル−2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレートなど)、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメチル−ブチル(メタ)メタクリレートなど)、アルコキシ基またはフェノキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(2−メトキシエチル
(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)、ハロゲン含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなど)、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。これら(メタ)アクリレートは、単独使用または2種類以上併用することができる。アクリル系オリゴマーの具体例としては、東亞合成社製「ARUFON」、綜研化学社製「アクトフロー」、BASFジャパン社製「JONCRYL」などが挙げられる。
<光酸発生剤>
上記接着剤組成物において、光酸発生剤を含有することができる。上記接着剤組成物に、光酸発生剤を含有する場合、光酸発生剤を含有しない場合に比べて、接着剤層の耐水性および耐久性を飛躍的に向上することができる。光酸発生剤は、下記一般式(4)で表すことができる。
一般式(4)
Figure 2019056932
(ただし、Lは、任意のオニウムカチオンを表す。また、Xは、PF 、SbF 、AsF 、SbCl 、BiCl 、SnCl 、ClO 、ジチオカルバメートアニオン、SCNよりからなる群より選択されるカウンターアニオンを表す。)
次に、一般式(4)中のカウンターアニオンXについて説明する。
一般式(4)中のカウンターアニオンXは原理的に特に限定されるものではないが、非求核性アニオンが好ましい。カウンターアニオンXが非求核性アニオンの場合、分子内に共存するカチオンや併用される各種材料における求核反応が起こりにくいため、結果として一般式(4)で表記される光酸発生剤自身やそれを用いた組成物の経時安定性を向上させることが可能である。ここでいう非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が低いアニオンを指す。このようなアニオンとしては、PF 、SbF 、AsF 、SbCl 、BiCl 、SnCl 、ClO 、ジチオカルバメートアニオン、SCNなどが挙げられる。
具体的には、「サイラキュアーUVI−6992」、「サイラキュアーUVI−6974」(以上、ダウ・ケミカル日本株式会社製)、「アデカオプトマーSP150」、「アデカオプトマーSP152」、「アデカオプトマーSP170」、「アデカオプトマーSP172」(以上、株式会社ADEKA製)、「IRGACURE250」(チバスペシャルティーケミカルズ社製)、「CI−5102」、「CI−2855」(以上、日本曹達社製)、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−110L」、「サンエイドSI−180L」(以上、三新化学社製)、「CPI−100P」、「CPI−100A」(以上、サンアプロ株式会社製)、「WPI−069」、「WPI−113」、「WPI−116」、「WPI−041」、「WPI−044」、「WPI−054」、「WPI−055」、「WPAG−281」、「WPAG−567」、「WPAG−596」(以上、和光純薬社製)が本発明の光酸発生剤の好ましい具体例として挙げられる。
光酸発生剤の含有量は、接着剤組成物の全量に対して、10重量%以下であり、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜5重量%であることがより好ましく、0.1〜3重量%であることが特に好ましい。
<光塩基発生剤>
光塩基発生剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、ラジカル重合性化合物やエポキシ樹脂の重合反応の触媒として機能することができる、1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質としては、例えば2級アミン、3級アミンである。光塩基発生剤としては、例えば、上記α−アミノアセトフェノン化合物、上記オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物が挙げられる。中でもオキシムエステル化合物が好ましい。
アシルオキシイミノ基を有する化合物としては,例えば、O,O’−コハク酸ジアセトフェノンオキシム,O,O’−コハク酸ジナフトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシムアクリレートースチレン共重合体が挙げられる。
N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基を有する化合物としては、例えば、ジ−N−(p−ホルミルアミノ)ジフェニルメタン、ジ−N(p−アセエチルアミノ)ジフェニルメラン、ジ−N−(p−ベンゾアミド)ジフェニルメタン、4−ホルミルアミノトルイレン、4−アセチルアミノトルイレン、2,4−ジホルミルアミノトルイレン、1−ホルミルアミノナフタレン、1−アセチルアミノナフタレン、1,5−ジホルミルアミノナフタレン、1−ホルミルアミノアントラセン、1,4−ジホルミルアミノアントラセン、1−アセチルアミノアントラセン、1,4−ジホルミルアミノアントラキノン、1,5−ジホルミルアミノアントラキノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジホルミルアミノビフェニル、4,4’−ジホルミルアミノベンゾフェノンが挙げられる。
ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基を有する化合物としては、例えば、ビス{{(2−ニトロベンジル)オキシ}カルボニル}ジアミノジフェニルメタン、2,4−ジ{{(2−ニトロベンジル)オキシ}トルイレン、ビス{{(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル}ヘキサン−1,6−ジアミン、m−キシリジン{{(2−ニトロ−4−クロロベンジル)オキシ}アミド}が挙げられる。
光塩基発生剤は、オキシムエステル化合物およびα−アミノアセトフェノン化合物の少なくともいずれか1種であることが好ましく、オキシムエステル化合物であることがより好ましい。α−アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。
その他の光塩基発生剤として、WPBG−018(商品名:9−anthrylmethyl N,N’−diethylcarbamate),WPBG−027(商品名:(E)−1−[3−(2−hydroxyphenyl)−2−propenoyl]piperidine),WPBG−082(商品名:guanidinium2−(3−benzoylphenyl)propionate), WPBG−140 (商品名:1−(anthraquinon−2−yl)ethyl imidazolecarboxylate)などの光塩基発生剤を使用することもできる。
<アルコキシ基、エポキシ基いずれかを含む化合物>
上記接着剤組成物において、接着剤組成物中に光酸発生剤とアルコキシ基、エポキシ基いずれかを含む化合物を併用することができる。
(エポキシ基を有する化合物及び高分子)
分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物又は分子内に2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)を用いる場合は、エポキシ基との反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物を併用してもよい。ここでエポキシ基との反応性を有する官能基とは、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、メルカプト基、1級又は2級の芳香族アミノ基などが挙げられる。これらの官能基は、3次元硬化性を考慮して、一分子中に2つ以上有することが特に好ましい。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する高分子としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられ、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂や4官能型エポキシ樹脂などの多官能型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂などがあり、これらのエポキシ樹脂はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。市販されているエポキシ樹脂製品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のJERコート828、1001、801N、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC株式会社製のエピクロン830、EXA835LV、HP4032D、HP820、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル化学株式会社製のセロキサイドシリーズ(2021、2021P、2083、2085、3000など)、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、新日鐵化学社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、フェノキシ樹脂(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルで両末端にエポキシ基を有する;YPシリーズなど)、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズ、共栄社化学社製のエポライトシリーズなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。
(アルコキシル基を有する化合物および高分子)
分子内にアルコキシル基を有する化合物としては、分子内に1個以上のアルコキシル基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、メラミン化合物、アミノ樹脂、シランカップリング剤などが代表として挙げられる。
アルコキシ基、エポキシ基いずれかを含む化合物の配合量は、接着剤組成物の全量に対して、通常、30重量%以下であり、組成物中の化合物の含有量が多すぎると、接着性が低下し、落下試験に対する耐衝撃性が悪化する場合がある。組成物中の化合物の含有量は、20重量%以下であることがより好ましい。一方、耐水性の点から、組成物中、化合物を2重量%以上含有することが好ましく、5重量%以上含有することがより好ましい。
<シランカップリング剤>
本発明で使用する接着剤組成物が活性エネルギー線硬化性硬化性の場合には、シランカップリング剤は、活性エネルギー線硬化性の化合物を使用することが好ましいが、活性エネルギー線硬化性でなくても同様の耐水性を付与することができる。
シランカップリング剤の具体例としては、活性エネルギー線硬化性の化合物としてビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
好ましくは、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
活性エネルギー線硬化性ではないシランカップリング剤の具体例としては、アミノ基を有するシランカップリング剤(D1)が好ましい。アミノ基を有するシランカップリング剤(D1)の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−(2−(2−アミノエチル)アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどのアミノ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンなどのケチミン型シラン類を挙げることができる。
アミノ基を有するシランカップリング剤(D1)は、1種のみを用いてもよく、複数種を組み合わせて用いても良い。これらのうち、良好な接着性を確保するためには、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好ましい。
シランカップリング剤の配合量は、接着剤組成物の全量に対して、0.01〜20重量%の範囲が好ましく、0.05〜15重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがさらに好ましい。20重量%を超える配合量の場合、接着剤組成物の保存安定性が悪化し、また0.1重量%未満の場合は接着耐水性の効果が十分発揮されないためである。
上記以外の活性エネルギー線硬化性ではないシランカップリング剤の具体例としては、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。
<ビニルエーテル基を有する化合物>
本発明で使用する接着剤組成物がビニルエーテル基を有する化合物を含有する場合、偏光子と接着剤層との接着耐水性が向上するため好ましい。かかる効果が得られる理由は明らかではないが、化合物が有するビニルエーテル基が偏光子と相互作用することにより、偏光子と接着剤層との接着力が高まることが理由の一つであると推測される。偏光子と接着剤層との接着耐水性をさらに高めるためには、化合物はビニルエーテル基を有するラジカル重合性化合物であることが好ましい。また、化合物の含有量は、接着剤組成物の全量に対して0.1〜19重量%含有することが好ましい。
<ケト−エノール互変異性を生じる化合物>
本発明で使用する接着剤組成物には、ケト−エノール互変異性を生じる化合物を含有させることができる。例えば、架橋剤を含む接着剤組成物または架橋剤を配合して使用され得る接着剤組成物において、上記ケト−エノール互変異性を生じる化合物を含む態様を好ましく採用することができる。これにより、有機金属化合物配合後における接着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化、ならびにミクロゲル物の生成を抑制し、該組成物のポットライフを延長する効果が実現され得る。
上記ケト−エノール互変異性を生じる化合物としては、各種のβ−ジカルボニル化合物を用いることができる。具体例としては、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5―ヘプタンジオン、2−メチルヘキサン−3,5−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオンなどのβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert−ブチルなどのアセト酢酸エステル類;プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸tert−ブチルなどのプロピオニル酢酸エステル類;イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸tert−ブチルなどのイソブチリル酢酸エステル類;マロン酸メチル、マロン酸エチルなどのマロン酸エステル類;などが挙げられる。なかでも好適な化合物として、アセチルアセトンおよびアセト酢酸エステル類が挙げられる。かかるケト−エノール互変異性を生じる化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ケト−エノール互変異性を生じる化合物の使用量は、例えば有機金属化合物1重量部に対して0.05重量部〜10重量部、好ましくは0.2重量部〜3重量部(例えば0.3重量部〜2重量部)とすることができる。上記化合物の使用量が有機金属化合物1重量部に対して0.05重量部未満であると、十分な使用効果が発揮され難くなる場合がある。一方、該化合物の使用量が有機金属化合物1重量部に対して10重量部を超えると、有機金属化合物に過剰に相互作用しすぎて目的とする耐水性を発現しにくくなる場合がある。
<ポリロタキサン>
本発明の接着剤組成物には、ポリロタキサンを含有させることができる。上記ポリロタキサンは、環状分子と、該環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子と、該直鎖状分子から該環状分子が脱離しないように該直鎖状分子の両端に配置される封鎖基と、を有する。環状分子は活性エネルギー線硬化性の官能基を有していることが好ましい。
環状分子としては、その開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接され、直鎖状分子上で移動可能な分子であり、活性エネルギー線重合性基を有するものであれば特に限定されない。なお、本明細書において、「環状分子」の「環状」は、実質的に「環状」であることを意味する。すなわち、直鎖状分子上で移動可能であれば、環状分子は完全には閉環でなくてもよい。
環状分子の具体例としては、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミン等の環状ポリマー、および、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンが好ましく挙げられる。なかでも、比較的入手が容易であり、かつ、封鎖基の種類を多数選択できることから、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンが好ましい。環状分子は、ポリロタキサン中または接着剤中で2種以上混在していてもよい。
本発明に用いられるポリロタキサンにおいて、上記環状分子は、活性エネルギー線重合性基を有する。これにより、ポリロタキサンと活性エネルギー線硬化性成分とが反応して、硬化後においても架橋点が可動である接着剤が得られ得る。環状分子が有する活性エネルギー線重合性基は、上記活性エネルギー線硬化性化合物と重合可能な基であればよく、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性基が挙げられる。
環状分子としてシクロデキストリンを使用する場合、活性エネルギー線重合性基は、好ましくはシクロデキストリンの水酸基に任意の適切なリンカーを介して導入される。ポリロタキサンが1分子中に有する活性エネルギー線重合性基の数は、好ましくは2個〜1280個、より好ましくは50個〜1000個、さらに好ましくは90個〜900個である。
環状分子には、疎水性修飾基が導入されていることが好ましい。疎水性修飾基の導入により、活性エネルギー線硬化性成分との相溶性が向上し得る。また、疎水性が付与されるので、偏光フィルムに用いられた場合に接着剤層と偏光子との界面への水の浸入を防止して、耐水性をより一層向上させ得る。疎水性修飾基としては、ポリエステル鎖、ポリアミド鎖、アルキル鎖、オキシアルキレン鎖、エーテル鎖等が挙げられる。具体例としては、WO2009/145073の[0027]〜[0042]に記載の基が挙げられる。
ポリロタキサンを含有した樹脂組成物を接着剤として使用した偏光フィルムは、耐水性に優れる。偏光フィルムの耐水性が向上される理由は定かではないが、以下のように推測される。すなわち、ポリロタキサンの環状分子の可動性に起因して架橋点が移動し得ること(いわゆる、滑車効果)により硬化後の接着剤に柔軟性が付与され、偏光子の表面凹凸への密着性が増した結果、偏光子と接着剤層との界面への水の侵入が防止されたものと考えられる。さらに、ポリロタキサンが疎水性修飾基を有することにより接着剤に疎水性が付与されたことも偏光子と接着剤層との界面への水の侵入防止に寄与したと考えられる。
ポリロタキサンの含有量は、樹脂組成物に対し、2重量%〜50重量%であることが好ましい。
前記接着剤組成物は、下記一般式(5):
Figure 2019056932
で表される化合物(ただし、Xはビニル基、(メタ)アクリル基、スチリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタン基およびメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性基を含む官能基であり、RおよびR10はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい、脂肪族炭化水素基、アリール基、またはヘテロ環基を表す)を含有することができる。一般式(5)に記載の化合物は、ポリビニルアルコール系偏光子が有する水酸基と容易にエステル結合を形成する。また、前記一般式(5)に記載の化合物はさらに反応性基を含むXを有し、Xが含む反応性基を介して接着剤組成物に含まれる他の硬化性成分と反応する。つまり、硬化性樹脂層が有するホウ酸基および/またはホウ酸エステル基が、偏光子が有する水酸基と共有結合を介して強固
に接着する。これにより、偏光子と硬化性樹脂層との界面に水分が存在しても、これらが水素結合および/またはイオン結合のみならず、共有結合を介して強固に相互作用しているため、偏光子と硬化性樹脂層との間の接着耐水性が飛躍的に向上する。偏光子と硬化物層との接着性および耐水性向上、特には偏光子と透明保護フィルムとを接着剤層を介して接着させる場合の接着性および耐水性向上の見地から、接着剤組成物中、一般式(5)に記載の化合物の含有量は、0.001〜50重量%であることが好ましく、0.1〜30重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることが最も好ましい。
<有機金属化合物>
本発明の接着剤組成物が、金属アルコキシドおよび金属キレートからなる群より選択される少なくとも1種の有機金属化合物と重合性官能基およびカルボキシル基を有する重合性化合物とを同時に含有する場合、偏光子と接着剤層との接着耐水性が向上するため好ましい。有機金属化合物は、水分の介在により活性な金属種となり、その結果、有機金属化合物が偏光子、および接着剤層を構成する活性エネルギー線硬化性成分の両方と強固に相互作用する。これにより、偏光子と接着剤層との界面に水分が存在しても、これらが有機金属化合物を介して強固に相互作用しているため、偏光子と接着剤層との間の接着耐水性が飛躍的に向上する。有機金属化合物は接着剤層の接着性・耐水性向上に大きく寄与するものの、これを含む組成物は、液安定性が不安定になることに起因して、ポットライフが短くなり、生産性が悪化する傾向がある。これは、有機金属化合物の反応性が高く、組成物中に微量に含まれる水分と接触し、加水分解反応と自己縮合反応とを起こす結果、自己凝集して組成物液が白濁化(凝集物の発生、相分離、沈殿)してしまうことが原因の一つと推測される。しかしながら組成物中に有機金属化合物とともに重合性官能基およびカルボキシル基を有する重合性化合物を含有する場合、有機金属化合物の加水分解反応と自己縮合反応とを抑制し、組成物中での有機金属化合物の液安定性を飛躍的に向上することができる。有機金属化合物の割合は組成物全量の0.05〜15重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましい。15重量%を超える配合量の場合、組成物の保存安定性が悪化したり、偏光子や保護フィルムに接着するための成分の比率が相対的に不足し接着性が低下するおそれがある。また0.05重量%未満の場合は接着耐水性の効果が十分発揮されないためである。硬化型接着剤組成物中、有機金属化合物の全量をα(mol)としたとき、合性官能基およびカルボキシル基を有する重合性化合物の含有量が0.25α(mol)以上であることが好ましく、0.35α(mol)以上であることがより好ましく、0.5α(mol)以上であることが特に好ましい。合性官能基およびカルボキシル基を有する重合性化合物の含有量が0.25α(mol)未満の場合は、有機金属化合物の安定化が不十分となり、加水分解反応と自己縮合反応が進み、ポットライフが短くなる場合がある。なお、有機金属化合物の全量α(mol)に対する重合性化合物の含有量の上限は特に限定は無いが、例えば4α(mol)程度が例示可能である。
<塩素化ポリオレフィン>
本発明に係る接着剤組成物中に塩素化ポリオレフィンを配合しても良い。この場合、得られる接着剤層は、ポリビニルアルコール系偏光子由来のヨウ素化合物に起因した被染色性が著しく低減され、偏光子からのヨウ素化合物の遊離・拡散を抑える保護層として機能する。その結果、本発明に係る接着剤組成物を偏光フィルム用途に使用した場合、偏光フィルムの光学耐久性が著しく向上する。なお、本発明に係る接着剤組成物は光学的に透明である必要があり、ポリオレフィン系樹脂として、活性エネルギー線硬化性成分に可溶であり、層分離や沈殿を生じさせない塩素化ポリオレフィンを選択することが好ましい。塩素化を施していないポリオレフィンは活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性成分に対する溶解性が著しく低いため好ましくない。
本発明で使用可能な塩素化ポリオレフィンとしては、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、アクリル変性あるいはウレタン変性塩素化ポリオレフィンなどがあげられる。
塩素化ポリオレフィン中の塩素含有量は、25〜50重量%であることが好ましく、30〜45重量%であることがより好ましい。25重量%を下回ると、活性エネルギー線硬化性成分に対する溶解性が低下し光学的に透明な組成物を形成することが困難となる場合がある。50重量%を超えると偏光フィルムにした際の過酷な加湿条件下における光学特性の変化が大きくなり本発明の効果が得られなくなる場合がある。塩素化ポリオレフィン中の塩素含有量は、JIS−K7229に準じて測定することができる。より具体的には例えば、塩素含有樹脂を酸素雰囲気下で燃焼させ、発生した気体塩素を水で吸収し、滴定により定量する「酸素フラスコ燃焼法」を用いて測定することができる。
また、塩素化ポリオレフィン)の重量平均分子量は3,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜80,000、最も好ましくは10,000〜20,000の範囲のものが用いられる。塩素化ポリオレフィンの分子量が低すぎると、硬化物にした際に十分に耐水性が向上しない場合がある。また分子量が高すぎると、活性エネルギー線硬化性成分に対する溶解性が著しく低下し光学的に透明な組成物を形成することが困難となる場合がある。
塩素化ポリオレフィンについて市販品として入手可能なものとしては、例えば、スーパークロンシリーズ(日本製紙ケミカル社製)、ハードレンシリーズ(東洋紡社製)、エラスレンシリーズ(昭和電工社製)などを例示することができる。
市販品として入手可能なものの中でも、スーパークロンシリーズ(日本製紙ケミカル社製)の「スーパークロン814HS」、「スーパークロン390S」、「スーパークロン803MW」、「スーパークロン803L」、「スーパークロンB」、ハードレンシリーズ(東洋紡社製)の「ハードレン16−LP」、「ハードレン15−LP」、エラスレンシリーズ(昭和電工社製)の「エラスレン404B」、「エラスレン402B」、「エラスレン401A」等がより好ましく使用でき、特に「スーパークロン814HS」は活性エネルギー線硬化性成分に対する溶解性と、偏光フィルムにした際の過酷な加湿条件下における光学特性の安定性のバランスに優れるためより好適に使用することができる。
<上記以外の添加剤>
また、本発明で使用する接着剤組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマーなどのポリマーあるいはオリゴマー;フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどの重合禁止剤;重合開始助剤;界面活性剤;可塑剤;紫外線吸収剤;無機充填剤;顔料;染料などを挙げることができる。
上記の添加剤は、接着剤組成物の全量に対して、通常0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、最も好ましくは0〜3重量%である。
<接着剤組成物の特性>
接着剤組成物のSP値は、積層光学フィルムを構成する透明保護フィルムのSP値との間のSP値距離が12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。これにより、透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層がより確実に形成されるため好ましい。本発明においては、接着剤組成物を構成する単量体などのSP値を参考に、混合割合などを適宜調整することにより、接着剤組成物のSP値を所望の範囲内に調整することが可能である。なお、接着剤組成物のSP値の測定方法については後述する。
ラミ気泡の発生を効果的に抑制するために、本発明で使用する接着剤組成物は、硬化前の表面張力が30mN/m以下であることが好ましい。硬化前の接着剤組成物の表面張力の測定方法については後述する。
本発明で使用する接着剤組成物は、当該組成物を硬化させて得られる硬化物を23℃の純水に24時間浸漬した場合に、バルク吸水率が10重量%以下であることが好ましい。バルク吸水率は、以下式で表される。
式:{(M2−M1)/M1}×100(%)、
但し、M1:浸漬前の硬化物の重量、M2:浸漬後の硬化物の重量バルク吸水率を10重量%以下にすることにより、偏光フィルムを過酷な高温高湿の環境下においた時の偏光子への水の移動が抑制され、偏光子の透過率上昇、偏光度低下を抑制することができる。前記バルク吸水率は、偏光フィルムの接着剤層について、高温下の過酷な環境下における光学耐久性をより良好にする観点から、5重量%以下であるのが好ましく、さらには3重量%以下、最も好ましくは1重量%以下であるのが好ましい。一方、偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせる際、偏光子は一定量の水分を保持しており、当該硬化型接着剤と偏光子に含まれる水分とが接触した際にハジキ、気泡などの外観不良が発生することがある。外観不良を抑制するためには、当該硬化型接着剤は一定量の水分を吸収できることが好ましい。より具体的には、バルク吸水率は0.01重量%以上であるのが好ましく、さらには、0.05重量%以上であるのが好ましい。
本発明で使用する接着剤組成物の粘度は3〜100mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜50mPa・sであり、最も好ましくは10〜30mPa・sである。接着剤組成物の粘度が高い場合、塗布後の表面平滑性が乏しく外観不良が発生するため好ましくない。本発明において使用する接着剤組成物は、該組成物を加熱または冷却して好ましい範囲の粘度に調整して塗布することができる。
本発明で使用する接着剤組成物は、オクタノール/水分配係数(以下,logPow値,という)が高いものが好ましい。logPow値とは物質の親油性を表す指標であり、オクタノール/水の分配係数の対数値を意味する。logPowが高いということは親油性であることを意味し、即ち、吸水率が低いことを意味する。logPow値は測定することも可能(JIS−Z−7260記載のフラスコ浸とう法)だが、偏光フィルム用硬化型接着剤の構成成分(硬化性成分等)である各化合物の構造をもとに計算によって算出することもできる。本明細書では、ケンブリッジソフト社製ChemDraw Ultraで計算されたlogPow値を用いる。
上記計算値を基に、本発明における偏光フィルム用硬化型接着剤のlogPow値は、下記式によって計算することができる。
硬化型接着剤のlogPow=Σ(logPowi×Wi)
logPowi:硬化型接着剤の各成分のlogPow値
Wi:(i成分のモル数)/(硬化型接着剤の各成分の総モル数)
上記の計算にあたっては、硬化型接着剤の各成分のなかで、重合開始剤や光酸発生剤などの硬化物(接着剤層)の骨格を形成しない成分は、上記計算における成分から除かれる。本発明の偏光フィルム用硬化型接着剤のlogPow値は好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、最も好ましくは2以上である。これにより接着耐水性や加湿耐久性を高めることができる。一方、本発明の偏光フィルム用硬化型接着剤のlogPow値は通常8以下程度であって、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。このlogPow値が高すぎると、前述の通りハジキや気泡などの外観不良が発生しやすくなるため好ましくない。
更に、本発明で使用する接着剤組成物は水または揮発性溶剤を実質的に含まないことが好ましい。揮発性溶剤を実質的に含まないことで、加熱処理が不要になり、生産性に優れるだけでなく、熱による偏光子の光学特性低下を抑制できるため好ましい。「実質的に含まない」とは、例えば接着剤組成物の全量を100重量%以下としたとき、5重量%未満含有することを意味し、特には2重量%未満含有することを意味するものとする。
また、本発明で使用する接着剤組成物は、硬化性成分を有することから、当該接着剤組成物を硬化させた場合には、通常、硬化収縮が生じる。硬化収縮率は、樹脂組成物から接着剤層を形成する時における硬化収縮の割合を示す指標である。接着剤層の硬化収縮率が大きくなると、接着剤組成物を硬化させて接着剤層を形成する時に界面ひずみが生じて、接着不良が生じることを抑制するうえで好ましい。上記観点から、本発明の効果があった樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物に係る上記硬化収縮率は10%以下であるのが好ましい。前記硬化収縮率は小さいことが好ましく、前記硬化収縮率は8%以下が好ましく、さらには5%以下が好ましい。前記硬化収縮率は、特開2013−104869号に記載の方法によって測定され、具体的には実施例に記載のセンテック社製硬化収縮センサーによる方法により測定される。
また本発明で使用する接着剤組成物は、安全性の観点から、前記硬化性成分として皮膚刺激の低い材料を使用することが好ましい。皮膚刺激性は、P.I.Iという指標で判断することができる。P.I.Iは皮膚障害の度合いを示すものとして広く用いられ、ドレーズ法により測定される。測定値は0〜8の範囲で表示され、値が小さいほど刺激性は低いと判断されるが、測定値の誤差が大きいため参考値として捉えるのが良い。P.I.Iは、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、最も好ましくは2以下である。
本発明においては、積層光学フィルムを構成する透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成されている点が特徴である。以下に、透明保護フィルムについて説明する。
<透明保護フィルム>
透明保護フィルムは、接着剤層との間で相溶層を形成するために、好適には接着剤層を形成する側の面に有機溶剤を接触させる前処理工程を施したものを使用することが好ましい。前処理工程では、例えば有機溶剤中に透明保護フィルムをディッピングするなどしても良いが、生産性を考慮した場合、透明保護フィルムに有機溶剤を塗工することが好ましい。
透明保護フィルムに有機溶剤を塗工する方法としては、目的とする塗工厚みによって適宜選択され、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーターなどが挙げられる。
有機溶剤としては、透明保護フィルムとのSP値距離が12以下となるものを好適に使用可能であり、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸2−ヒドロキシエチル等のエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル類;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等の脂肪族または脂環族アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類およびこれらの混合物などが挙げられる。有機溶剤としては、透明保護フィルムとのSP値距離が10以下となるものを使用することがより好ましい。使用する有機溶剤は実質的に溶質を含まないことが好ましく、より具体的には、有機溶剤の溶質含有量が5重量%未満であることが好ましく、1重量%未満であることがより好ましく、溶質を含まない有機溶剤を使用することがさらに好ましい。有機溶剤のSP値の測定方法については後述する。
透明保護フィルムとしては、接着剤層を形成するための原料となる接着剤組成物とのSP値距離が10以下となるフィルムを好適に使用可能である。透明保護フィルムのSP値の測定方法については後述する。
透明保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーのブレンド物なども上記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。これらの中でも、本発明においてはポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル系ポリマーおよびトリアセチルセルロースが好ましい。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などが挙げられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性などが十分に発現できないおそれがある。
本発明に係る積層光学フィルム、特に偏光フィルムは、偏光子と波長365nmの光線透過率が5%未満である透明保護フィルムとを接着剤層を介して積層されたものであることが好ましい。本発明で使用する接着剤組成物は、上述した一般式(2)の光重合開始剤を含有することによって、UV吸収能を有する透明保護フィルム越しに紫外線を照射して、接着剤層を硬化形成することができる。よって、偏光子の両面にUV吸収能を有する透明保護フィルムを積層した偏光フィルムにおいても、接着剤層を硬化させることができる。ただし、当然ながら、UV吸収能を有さない透明保護フィルムを積層した偏光フィルムにおいても、接着剤層を硬化させることができる。なお、UV吸収能を有する透明保護フィルムとは、380nmの光に対する透過率が10%未満である透明保護フィルムを意味する。
透明保護フィルムへのUV吸収能の付与方法としては、透明保護フィルム中に紫外線吸収剤を含有させる方法や、透明保護フィルム表面に紫外線吸収剤を含有する表面処理層を積層させる方法が挙げられる。
紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、従来公知のオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
紫外線硬化性または可視光線硬化性において、紫外線または可視光線を照射する前に偏光フィルム用接着剤組成物を加温すること(照射前加温)が好ましく、その場合40℃以上に加温することが好ましく、50℃以上に加温することがより好ましい。また、紫外線または可視光線を照射後に偏光フィルム用接着剤組成物を加温すること(照射後加温)も好ましく、その場合40℃以上に加温することが好ましく、50℃以上に加温することがより好ましい。
また、透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が挙げられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムが挙げられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光フィルムの歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
透明保護フィルムとしては、Tg(ガラス転移温度)が好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、偏光フィルムの耐久性に優れたものとなりうる。上記透明保護フィルムのTgの上限値は特に限定きれないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
上記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましく、特に透湿度が150g/m/24h以下であるものがより好ましく、140g/m/24h以下のものが特に好ましく、120g/m/24h以下のものさらに好ましい。透湿度は、実施例に記載の方法により求められる。
前記低透湿度を満足する透明保護フィルムの形成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;アリレート系樹脂;ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有する環状オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、またはこれらの混合体を用いることができる。前記樹脂のなかでも、ポリカーボネート系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂が好ましく、特に、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
透明保護フィルムの厚みは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性などの作業性、薄層性などの点より5〜100μmが好ましい。特に10〜60μmが好ましく、20〜40μmがより好ましい。
前記透明保護フィルムは、正面位相差が40nm未満、かつ、厚み方向位相差が80nm未満であるものが、通常、用いられる。正面位相差Reは、Re=(nx−ny)×d、で表わされる。厚み方向位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×d、で表される。また、Nz係数は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)、で表される。[ただし、フィルムの遅相軸方向、進相軸方向および厚さ方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとし、d(nm)はフィルムの厚みとする。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率の最大となる方向とする。]。なお、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、透明保護フィルムに起因する偏光フィルムの着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
一方、前記透明保護フィルムとして、正面位相差が40nm以上および/または、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有する位相差板を用いることができる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。透明保護フィルムとして位相差板を用いる場合には、当該位相差板が透明保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどが挙げられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などが挙げられる。これらの高分子素材は延伸などにより配向物(延伸フィルム)となる。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどを挙げられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサー部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどが挙げられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサー部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどが挙げられる。これらの液晶ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコールなどの薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角などの補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差などの光学特性を制御したものなどであっても良い。
位相差板は、nx=ny>nz、nx>ny>nz、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz=nx>ny、nz>nx>ny、nz>nx=ny、の関係を満足するものが、各種用途に応じて選択して用いられる。なお、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、実質的にnyとnzが同じ場合も含む。
例えば、nx>ny>nz、を満足する位相差板では、正面位相差は40〜100nm、厚み方向位相差は100〜320nm、Nz係数は1.8〜4.5を満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nx>ny=nz、を満足する位相差板(ポジティブAプレート)では、正面位相差は100〜200nmを満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nz=nx>ny、を満足する位相差板(ネガティブAプレート)では、正面位相差は100〜200nmを満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nx>nz>ny、を満足する位相差板では、正面位相差は150〜300nm、Nz係数は0を超え〜0.7を満足するものを用いるのが好ましい。また、前記の通り、例えば、nx=ny>nz、nz>nx>ny、またはnz>nx=ny、を満足するものを用いることができる。
透明保護フィルムは、適用される液晶表示装置に応じて適宜に選択できる。例えば、VA(VerticalAlignment,MVA,PVA含む)の場合は、偏光フィルムの少なくとも片方(セル側)の透明保護フィルムが位相差を有している方が望ましい。具体的な位相差として、Re=0〜240nm、Rth=0〜500nmの範囲である事が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>ny>nz、nx>nz>ny、nx=ny>nz(ポジティブAプレート,二軸,ネガティブCプレート)の場合が望ましい。VA型では、ポジティブAプレートとネガティブCプレートの組み合わせ、または二軸フィルム1枚で用いるのが好ましい。液晶セルの上下に偏光フィルムを使用する際、液晶セルの上下共に、位相差を有している、または上下いずれかの透明保護フィルムが位相差を有していてもよい。
例えば、IPS(In−Plane Switching,FFS含む)の場合、偏光フィルムの片方の透明保護フィルムが位相差を有している場合、有していない場合のいずれも使用できる。例えば、位相差を有していない場合は、液晶セルの上下(セル側)ともに位相差を有していない場合が望ましい。位相差を有している場合は、液晶セルの上下ともに位相差を有している場合、上下のいずれかが位相差を有している場合が望ましい(例えば、上側にnx>nz>nyの関係を満足する二軸フィルム、下側に位相差なしの場合や、上側にポジティブAプレート、下側にポジティブCプレートの場合)。位相差を有している場合、Re=−500〜500nm、Rth=−500〜500nmの範囲が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz>nx=ny、nz>nx>ny(ポジティブAプレート,二軸,ポジティブCプレート)が望ましい。
透明保護フィルムは、その機械的強度や取扱性を補うため、剥離性基材をさらに積層していてもよい。剥離性基材は透明保護フィルムと偏光子を貼り合せる前もしくは後に、工程中もしくは別工程にて、透明保護フィルムと偏光子を含む積層体から剥離することができる。
<光学フィルム>
本発明に係る積層光学フィルムにおいて、光学フィルムは偏光子であることが好ましく、特に本発明では、積層光学フィルムが、偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層された偏光フィルムであることが好ましい。
<偏光子>
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚みは、2〜30μmであることが好ましく、より好ましくは4〜20μm、最も好ましくは5〜15μmである。偏光子の厚みが薄い場合、光学耐久性が低下するため好ましくない。偏光子の厚みが厚い場合、高温高湿下での寸法変化が大きくなり、表示ムラの不具合が発生するため好ましくない。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
また本発明で使用する接着剤組成物は、偏光子としては厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いた場合、その効果(高温高湿下の過酷な環境における光学耐久性を満足する)を顕著に発現することができる。上記厚みが10μm以下の偏光子は、厚みが10μmを超える偏光子に比べて相対的に水分の影響が大きく、高温高湿下の環境において光学耐久性が十分でなく、透過率上昇や偏光度低下が起こりやすい。即ち、上記10μm以下の偏光子を本発明のバルク吸水率が10重量%以下の 接着剤層で積層した場合、過酷な高温高湿下の環境において偏光子への水の移動が抑制されることによって、偏光フィルムの透過率上昇、偏光度低下などの光学耐久性の悪化を顕著に抑制することができる。偏光子の厚みは薄型化の観点から言えば1〜7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少なく、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
薄型の偏光子としては、代表的には、特開昭51−069644号公報や特開2000−338329号公報や、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。これら薄型偏光膜は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法による得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断などの不具合なく延伸することが可能となる。
前記薄型偏光膜としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
本発明では積層光学フィルムを構成する偏光子の貼合面に、下記一般式(6):
Figure 2019056932
で表される化合物(ただし、Xは反応性基を含む官能基であり、R10およびR11はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい、脂肪族炭化水素基、アリール基、またはヘテロ環基を表す)を備えてもよい。前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の置換基を有してもよい直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3〜20の置換基を有してもよい環状アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜20の置換基を有してもよいフェニル基、炭素数10〜20の置換基を有してもよいナフチル基等が挙げられ、ヘテロ環基としては例えば、少なくとも一つのヘテロ原子を含む、置換基を有してもよい5員環または6員環の基が挙げられる。これらは互いに連結して環を形成してもよい。一般式(6)中、R10およびR11として好ましくは、水素原子、炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子である。なお、一般式(6)で表される化合物は積層光学フィルム中で、未反応の状態で偏光子と接着剤層との間および/または透明保護フィルムと接着剤層との間に介在しても良く、各官能基が反応した状態で介在しても良い。また、「偏光子の貼合面に、一般式(6)で表される化合物を備える」とは、例えば一般式(6)で表される化合物が、該貼合面に少なくとも1分子存在することを意味する。ただし、偏光子と接着剤層との間の接着耐水性を十分に向上させるためには、一般・BR>ョ(6)で表される化合物を含む易接着組成物を用いて、易接着層を該貼合面の少なくとも一部に形成することが好ましく、該貼合面の全面に易接着層を形成することがより好ましい。
一般式(6)で表される化合物が有するXは反応性基を含む官能基であって、接着剤層を構成する硬化性成分と反応し得る官能基であり、Xが含む反応性基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、ビニル基、(メタ)アクリル基、スチリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタン基、α,β−不飽和カルボニル基、メルカプト基、ハロゲン基などが挙げられる。接着剤層を構成する硬化性樹脂組成物が活性エネルギー線硬化性である場合、Xが含む反応性基は、ビニル基、(メタ)アクリル基、スチリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタン基およびメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性基であることが好ましく、特に接着剤層を構成する硬化性樹脂組成物がラジカル重合性である場合、Xが含む反応性基は、(メタ)アクリル基、スチリル基および(メタ)アクリルアミド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性基であることが好ましく、一般式(6)で表される化合物が(メタ)アクリルアミド基を有する場合、反応性が高く、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との共重合率が高まるためより好ましい。また、(メタ)アクリルアミド基の極性が高く、接着性に優れるため本発明の効果を効率的に得られるという点からも好ましい。接着剤層を構成する硬化性樹脂組成物がカチオン重合性である場合、Xが含む反応性基は、ヒドロキシル基、アミノ基、アルデヒド、カルボキシル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタン基、メルカプト基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有することが好ましく、特にエポキシ基を有する場合、得られる硬化性樹脂層と被着体との密着性に優れるため好ましく、ビニルエーテル基を有する場合、硬化性樹脂組成物の硬化性が優れるため好ましい。
一般式(6)で表される化合物の好ましい具体例としては、下記一般式(6’)
Figure 2019056932
で表される化合物(ただし、Yは有機基であり、X、R10およびR11は前記と同じ)が挙げられる。さらに好適には、以下の化合物(6a)〜(6d)が挙げられる。
Figure 2019056932
本発明においては、一般式(6)で表される化合物が、反応性基とホウ素原子とが直接結合するものであっても良いが、前記具体例で示したように、一般式(6)で表される化合物が、反応性基とホウ素原子とが、有機基を介して結合したものであること、つまり、一般式(6’)で表される化合物であることが好ましい。一般式(6)で表される化合物が、例えばホウ素原子に結合した酸素原子を介して反応性基と結合したものである場合、偏光フィルムの接着耐水性が悪化する傾向がある。一方、一般式(1)で表される化合物が、ホウ素−酸素結合を有するものではなく、ホウ素原子と有機基とが結合することにより、ホウ素−炭素結合を有しつつ、反応性基を含むものである場合(一般式(6’)である場合)、偏光フィルムの接着耐水性が向上するため好ましい。前記有機基とは、具体的には、置換基を有してもよい、炭素数1〜20の有機基を意味し、より具体的には例えば、炭素数1〜20の置換基を有してもよい直鎖または分岐のアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよい環状アルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよいフェニレン基、炭素数10〜20の置換基を有してもよいナフチレン基等が挙げられる。
一般式(6)で表される化合物としては、前記例示した化合物以外にも、ヒドロキシエチルアクリルアミドとホウ酸のエステル、メチロールアクリルアミドとホウ酸のエステル、ヒドロキシエチルアクリレートとホウ酸のエステル、およびヒドロキシブチルアクリレートとホウ酸のエステルなど、(メタ)アクリレートとホウ酸とのエステルを例示可能である。
偏光子の貼合面に、一般式(6)で表される化合物を含む易接着組成物を用いて易接着層を形成する方法としては、例えば一般式(6)で表される化合物を含む易接着組成物(A)を製造し、これを偏光子の貼合面に塗布などすることにより形成する方法が挙げられる。易接着組成物(A)中、一般式(6)で表される化合物以外に含んでも良いものとして、溶媒および添加剤などが挙げられる。
易接着組成物(A)が溶媒を含む場合、偏光子の貼合面に組成物(A)を塗布して、必要に応じて乾燥工程や硬化処理(熱処理など)を行ってもよい。
易接着組成物(A)が含んでもよい溶媒としては、一般式(6)で表される化合物を安定化して、溶解または分散し得るものが好ましい。かかる溶媒は、有機溶媒、水、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。前記溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸2−ヒドロキシエチル等のエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル類;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等の脂肪族または脂環族アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;等から選択される。
易接着組成物(A)が含んでもよい添加剤としては、たとえば、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、重合性モノマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、チタンカップリング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などが挙げられる。
なお、易接着組成物(A)が重合開始剤を含有する場合、接着剤層を積層する前に、易接着層中、一般式(6)で表される化合物が反応する場合があり、本来の目的である偏光フィルムの接着耐水性向上効果が十分に得られない場合がある。したがって、易接着層中、重合開始剤の含有量は2重量%未満であることが好ましく、0.5重量%未満であることが好ましく、重合開始剤を含まないことが特に好ましい。
易接着層中、一般式(6)で表される化合物の含有量が少なすぎると、易接着層表面に存在する一般式(6)で表される化合物の割合が低下し、易接着効果が低くなる場合がある。したがって、易接着層中、一般式(1)で表される化合物の含有量は、1重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることがさらに好ましい。
前記易接着組成物(A)を用いて易接着層を偏光子上に形成する方法については、偏光子を組成物(A)の処理浴に直接浸漬させる方法や公知の塗布方法が適宜用いられる。前記塗布方法としては具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、カーテンコート法があげられるがこれらに限定はされない。
本発明において、偏光子が備える易接着層の厚みが厚すぎる場合、易接着層の凝集力が低下し、易接着効果が低くなる場合がある。したがって、易接着層の厚みは2000nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。一方、易接着層が効果を十分に発揮するための厚みの最下限としては、少なくとも一般式(1)で表される化合物の単分子膜の厚みが挙げられ、好ましくは1nm以上であり、より好ましくは2nm以上であり、さらに好ましくは3nm以上である。
偏光子の貼合面に易接着層を形成する場合は、偏光子の貼合面に形成された易接着層中、一般式(6)に記載の化合物に加えて、構造式中にM−O結合(Mはケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムであって、Oは酸素原子を示す)を有する化合物を含有してもよい。特に本発明においては、M−O結合を有する化合物として、有機ケイ素化合物、ならびに金属アルコキシドおよび金属キレートからなる群より選択される少なくとも1種の有機金属化合物であることが好ましい。
有機ケイ素化合物としては、Si−O結合を有するものを特に限定なく使用することができるが、具体例として、活性エネルギー線硬化性の有機ケイ素化合物、あるいは活性エネルギー線硬化性ではない有機ケイ素化合物が挙げられる。特に、有機ケイ素化合物が有する有機基の炭素数が3以上であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性の化合物としてビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
好ましくは、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
活性エネルギー線硬化性ではない化合物の具体例としては、アミノ基を有する化合物が好ましい。アミノ基を有する化合物の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−(2−(2−アミノエチル)アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどのアミノ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンなどのケチミン型シラン類を挙げることができる。
アミノ基を有する化合物は、1種のみを用いてもよく、複数種を組み合わせて用いても良い。これらのうち、良好な接着性を確保するためには、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好ましい。
上記以外の活性エネルギー線硬化性ではない化合物の具体例としては、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。
金属アルコキシドは、金属に有機基であるアルコキシ基が少なくとも一つ以上結合した化合物であり、金属キレートは、金属に酸素原子を介して有機基が結合または配位した化合物である。金属としてはチタン、アルミニウム、ジルコニウムが好ましい。この中でも、チタンに比べてアルミニウムおよびジルコニウムは反応性が速く、易接着層を形成する組成物(A)のポットライフが短くなるとともに、接着耐水性の向上効果が低くなる場合がある。したがって、易接着層の接着耐水性向上の観点から、有機金属化合物の金属としてチタンがより好ましい。
易接着層を形成するための易接着組成物(A)が、有機金属化合物として金属アルコキシドを含有する場合、金属アルコキシドが有する有機基の炭素数が3以上のものを使用することが好ましく、6以上のものを含有することがより好ましい。炭素数が2以下であると、組成物(A)のポットライフが短くなるとともに、接着耐水性の向上効果が低くなる場合がある。炭素数が6以上の有機基としては例えば、オクトキシ基が挙げられ、好適に使用可能である。好適な金属アルコキシドの例としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、ターシャリーアミルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラオクトキシド、ジルコニウムテトラターシャリーブトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、アルミニウムsecブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプレピレート、アルミニウムブチレート、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリブチレート、モノsecブトキシアルミニウムジイソプロピレート、などが挙げられる。なかでも、テトラオクチルチタネートが好ましい。
易接着層を形成するための易接着組成物(A)が、有機金属化合物として金属キレートを含有する場合、金属キレートが有する有機基の炭素数が3以上のものを含有することが好ましい。炭素数が2以下であると、易接着組成物(A)のポットライフが短くなるとともに、接着耐水性の向上効果が低くなる場合がある。炭素数が3以上の有機基としては例えば、アセチルアセトナート基、エチルアセトアセテート基、イソステアレート基、オクチレングリコレート基などが挙げられる。これらの中でも、易接着層の接着耐水性向上の観点から、有機基としてアセチルアセトナート基またはエチルアセトアセテート基が好ましい。好適な金属キレートの例としては、例えば、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、ポリヒドロキシチタンステアレート、ジプロポキシ−ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシチタン−ビス(オクチレングリコレート)、ジプロポキシチタン−ビス(エチルアセトアセテート)、チタンラクテート、チタンジエタノールアミネート、チタントリエタノールアミネート、ジプロポキシチタン−ビス(ラクテート)、ジプロポキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、ジ−n−ブトキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウム、りん酸チタン化合物、チタンラクテートアンモニウム塩、チタン−1,3−プロパンジオキシビス(エチルアセトアセテート)、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、チタンアミノエチルアミノエタノレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが挙げられる。なかでも、チタンアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテートが好ましい。
本発明で使用可能な有機金属化合物として、上記以外にオクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫などの有機カルボン酸金属塩、アセチルアセトン亜鉛キレート、ベンゾイルアセトン亜鉛キレート、ジベンゾイルメタン亜鉛キレート、アセト酢酸エチル亜鉛キレートなどの亜鉛キレート化合物などが挙げられる。
易接着層中、M−O結合を有する化合物の含有量は、0〜90重量%であることが好ましく、1〜70重量%であることがより好ましく、10〜50重量%であることが特に好ましい。
偏光子、透明保護フィルムは、上記接着剤組成物を積層する前に、表面改質処理を行ってもよい。特に偏光子は、接着剤組成物を塗布、または貼り合せる前に、偏光子の表面に表面改質処理を行うことが好ましい。表面改質処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、イトロ処理、エキシマ処理、低圧UV処理などの処理が挙げられ、特にコロナ処理であることが好ましい。コロナ処理を行うことで偏光子表面にカルボニル基やアミノ基などの極性官能基が生成し、硬化性樹脂層との密着性が向上する。また、アッシング効果により表面の異物が除去されたり、表面の凹凸が軽減されたりして、外観特性に優れる偏光フィルムを作成することができる。
偏光子に表面改質処理を施す場合、偏光子の表面の表面粗さが0.6nm以上になるように施されることが好ましい。前記表面粗さは好ましくは0.8nm以上であり、さらに好ましくは1nm以上である。前記表面粗さを0.6nm以上にすることにより、偏光フィルムの製造工程において、偏光子の表面をガイドロールに接触させた場合においても、偏光子を良好に搬送させることができる。なお、前記表面粗さが、大きくなりすぎると耐温水性が悪くなるため、前記表面粗さは10nm以下であるのが好ましく、さらには5nm以下であるのが好ましい。
前記表面粗さの測定は、算出平均粗さ(表面の凹凸の平均値)で表面粗さを表すパラメータである。表面粗さの測定は、ビーコ社製の原子間力顕微鏡(AFM)NanoscopeIVを用いてTappingモードにて測定した値である。カンチレバーは、例えば、メトロロジープローブ:Tap300(RTESPタイプ)を使用した。測定範囲は1μm四方である。
<偏光フィルム>
ポリビニルアルコール系偏光子、接着剤層、および透明保護フィルム、必要に応じて粘着剤層を積層して得られる偏光フィルムの厚みは150μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下である。偏光フィルムの厚みが厚過ぎる場合、高温高湿下での寸法変化が大きくなり、表示ムラの不具合が発生するため好ましくない。
上記接着剤組成物により形成された硬化物層、特には接着剤層の厚みは、0.2〜3μmであることが好ましい。硬化物層の厚みが薄過ぎる場合、硬化物層の凝集力が不足し、剥離力が低下するため好ましくない。硬化物層の厚みが厚すぎる場合、偏光フィルムの断面に応力をかけた際の剥離が起こりやすくなり、衝撃による剥がれ不良が発生するため好ましくない。接着剤層の厚みは、より好ましくは0.3〜2μm、最も好ましくは0.4〜1.5μmである。
また、接着剤層の厚みをdμm、接着剤層に含まれる気泡抑制剤の含有量をy重量%としたとき、下記式(1)を満たす場合、ラミ気泡の抑制効果と接着性向上効果とを両立できるため好ましい。
0.1−0.02d≦y≦0.6−0.08d (1)
本発明に係る積層光学フィルム、特に偏光フィルムは、下記製造方法;
光学フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して透明保護フィルムが積層された積層光学フィルムの製造方法であって、透明保護フィルムの接着剤層を形成する側の面に、透明保護フィルムとのSP値距離が10以下である有機溶剤を接触させる前処理工程と、透明保護フィルムの有機溶剤との接触面および光学フィルムの透明保護フィルム側の面の少なくとも一方の面に接着剤組成物を直接塗工する塗工工程と、透明保護フィルムと光学フィルムとを、接着剤組成物を介して貼り合せることにより、透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層を形成する貼合工程と、光学フィルム面側または透明保護フィルム面側から活性エネルギー線を照射して、接着剤組成物を硬化させることにより形成された接着剤層を介して、光学フィルムおよび透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含む積層光学フィルムの製造方法、により製造可能である。ここで、透明保護フィルムのSP値と接着剤組成物のSP値との間のSP値距離は10以下であることが好ましい。
接着剤組成物を塗工する方法としては、組成物の粘度や目的とする厚みによって適宜選択され、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーターなどが挙げられる。
通常、2枚のフィルムを積層する場合、片側のフィルムの貼合面、例えば透明保護フィルムの有機溶剤との接触面に接着剤組成物を塗布し積層するのが通例だが、両側のフィルムの貼合面、具体的には透明保護フィルムの有機溶剤との接触面および光学フィルムの透明保護フィルム側の面の両方の面に接着剤層を塗工した後に積層することで、外観品位に優れた積層フィルムを得ることができる。塗工の方法としては、後計量塗工方式であることが好ましい。本発明において「後計量塗工方式」とは、液膜に外力を与えて過剰液を除去し、所定の塗工膜厚を得る方式を意味する。本発明に係る偏光フィルムの製造方法では、接着剤組成物からなる液膜にかかる外力が与えられる際に、貼合面に存在するゴミや埃などの異物などが掻き取られる。後計量塗工方式の具体例としては、グラビアロール塗工方式、フォワードロール塗工方式、エアナイフ塗工方式、ロッド/バー塗工方式などが挙げられるが、異物の除去精度や塗布膜厚の均一性などの観点から、本発明においては、前記塗工方式が、グラビアロールを使用したグラビアロール塗工方式であることが好ましい。
上記のように塗工した接着剤組成物を介して、偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせることができる。偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーターなどにより行う事ができる。偏光子の両面に保護フィルムを積層する方法は、偏光子と1枚の保護フィルムを貼り合せた後に更にもう1枚の保護フィルムを貼り合せる方法と、偏光子と2枚の保護フィルムを同時に貼り合せる方法から選択される。貼り合せる際に発生する噛みこみ気泡は、前者の方法、すなわち偏光子と1枚の保護フィルムを貼り合せた後に更にもう1枚の保護フィルムを貼り合せる方法を採用することで顕著に低減することができるため好ましい。
硬化工程において使用する活性エネルギー線は、電子線硬化性、紫外線硬化性、可視光線硬化性に大別することができる。本発明において、波長範囲10nm〜380nm未満の活性エネルギー線を紫外線、波長範囲380nm〜800nmの活性エネルギー線を可視光線として表記する。本発明に係る偏光フィルムの製造においては、380nm〜450nmの可視光線を利用することが特に好ましい。
本発明に係る積層光学フィルム、特には偏光フィルムでは、偏光子および/または透明保護フィルムに直接、偏光フィルム用接着剤組成物を塗工し、偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせた後に、活性エネルギー線(電子線、紫外線、可視光線など)を照射し、接着剤組成物を硬化して接着剤層を形成する。活性エネルギー線(電子線、紫外線、可視光線など)の照射方向は、任意の適切な方向から照射することができる。好ましくは透明保護フィルム側から照射する。偏光子側から照射すると、偏光子が活性エネルギー線(電子線、紫外線、可視光線など)によって劣化するおそれがある。
電子線硬化性において、電子線の照射条件は、上記偏光フィルム用接着剤組成物を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5kV〜300kVであり、さらに好ましくは10kV〜250kVである。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が偏光フィルム用接着剤組成物まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて、透明保護フィルムや偏光子にダメージを与えるおそれがある。照射線量としては、5〜100kGy、さらに好ましくは10〜75kGyである。照射線量が5kGy未満の場合は、偏光フィルム用接着剤組成物が硬化不足となり、100kGyを超えると、透明保護フィルムや偏光子にダメージを与え、機械的強度の低下や黄変を生じ、所定の光学特性を得ることができない。
電子線照射は、通常、不活性ガス中で照射を行うが、必要であれば大気中や酸素を少し導入した条件で行ってもよい。透明保護フィルムの材料によるが、酸素を適宜導入することによって、最初に電子線があたる透明保護フィルム面にあえて酸素阻害を生じさせ、透明保護フィルムへのダメージを防ぐことができ、接着剤にのみ効率的に電子線を照射させることができる。
本発明に係る積層光学フィルム、特には偏光フィルムの製造方法では、活性エネルギー線として、波長範囲380nm〜450nmの可視光線を含むもの、特には波長範囲380nm〜450nmの可視光線の照射量が最も多い活性エネルギー線を使用することが好ましい。紫外線硬化性、可視光線硬化性において、紫外線吸収能を付与した透明保護フィルム(紫外線不透過型透明保護フィルム)を使用する場合、およそ380nmより短波長の光を吸収するため、380nmより短波長の光は接着剤組成物に到達せず、その重合反応に寄与しない。さらに、透明保護フィルムによって吸収された380nmより短波長の光は熱に変換され、透明保護フィルム自体が発熱し、偏光フィルムのカール・シワなど不良の原因となる。そのため、本発明において紫外線硬化性、可視光線硬化性を採用する場合、活性エネルギー線発生装置として380nmより短波長の光を発光しない装置を使用することが好ましく、より具体的には、波長範囲380〜440nmの積算照度と波長範囲250〜370nmの積算照度との比が100:0〜100:50であることが好ましく、100:0〜100:40であることがより好ましい。本発明に係る活性エネルギー線としては、ガリウム封入メタルハライドランプ、波長範囲380〜440nmを発光するLED光源が好ましい。あるいは、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザーまたは太陽光などの紫外線と可視光線を含む光源を使用することができ、バンドパスフィルターを用いて380nmより短波長の紫外線を遮断して用いることもできる。偏光子と透明保護フィルムとの間の接着剤層の接着性能を高めつつ、偏光フィルムのカールを防止するためには、ガリウム封入メタルハライドランプを使用し、かつ380nmより短波長の光を遮断可能なバンドパスフィルターを介して得られた活性エネルギー線、またはLED光源を使用して得られる波長405nmの活性エネルギー線を使用することが好ましい。
本発明に係る偏光フィルムを連続ラインで製造する場合、ライン速度は、接着剤組成物の硬化時間によるが、好ましくは5〜100m/min、より好ましくは10〜50m/min、さらに好ましくは20〜30m/minである。ライン速度が小さすぎる場合は、生産性が乏しい、または透明保護フィルムへのダメージが大きすぎ、耐久性試験などに耐えうる偏光フィルムが作製できない。ライン速度が大きすぎる場合は、接着剤組成物の硬化が不十分となり、目的とする接着性が得られない場合がある。
本発明の偏光フィルムは、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4などの波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光フィルムに更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光フィルムまたは半透過型偏光フィルム、偏光フィルムに更に位相差板が積層されてなる楕円偏光フィルムまたは円偏光フィルム、偏光フィルムに更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光フィルム、あるいは偏光フィルムに更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光フィルムが好ましい。
偏光フィルムに上記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業などに優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層などの適宜な接着手段を用いうる。上記の偏光フィルムやその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光フィルムや、偏光フィルムを少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セルなどの他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
粘着層は、異なる組成または種類などのものの重畳層として偏光フィルムや光学フィルムの片面または両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光フィルムや光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚みなどの粘着層とすることもできる。粘着層の厚みは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜100μmであり、5〜30μmが好ましく、特に10〜20μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止などを目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚み条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体などの適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデンなどの適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
本発明では、前述した透明保護フィルム、偏光子、および輝度向上フィルムなどの機能性フィルムを任意に組み合わせて、様々な積層光学フィルムを製造可能である。以下に、これらの一例を示す。
(パターン1)
偏光子の一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層された偏光フィルムであって、透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成された偏光フィルム。偏光子の接着剤層側の面には、前記一般式(6)で表される化合物を少なくとも含む易接着層が形成されていてもよい。
(パターン2)
偏光子の両面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層された偏光フィルムであって、少なくとも一方の透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成された偏光フィルム。偏光子の接着剤層側の面には、前記一般式(6)で表される化合物を少なくとも含む易接着層が形成されていてもよい。また、透明保護フィルムの接着剤層と反対側の面には、粘着剤層が積層されてもよい。
(パターン3)
偏光子の一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層され、偏光子の他方の面に、粘着剤層が積層された偏光フィルムであって、透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成された偏光フィルム。偏光子の接着剤層側の面には、前記一般式(6)で表される化合物を少なくとも含む易接着層が形成されていてもよい。また、粘着剤層の偏光子と反対側の面には、機能性フィルムが積層されてもよく、透明保護フィルムの接着剤層と反対側の面には粘着剤層が積層されてもよい。
(パターン4)
少なくとも2枚の透明保護フィルムが接着剤層を介して積層された積層光学フィルムであって、少なくとも1枚の透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成された積層光学フィルム。積層される透明保護フィルムは、同じ種類の透明保護フィルムであってもよく、異なる種類の透明光学フィルムであってもよい。また、透明保護フィルムの接着剤層と反対側の面には粘着剤層が積層されてもよい。
(パターン5)
偏光子の両面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層された偏光フィルムであって、少なくとも一方の透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成され、少なくとも一方の透明保護フィルムの接着剤層と反対側の面には、さらに接着剤層を介して透明保護フィルムが積層された偏光フィルム。最外側に位置する透明保護フィルムの接着剤層と反対側の面には、粘着剤層が積層されてもよい。
(パターン6)
偏光子の一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが積層され、透明保護フィルムの接着剤層と反対側の面には、接着剤層を介してさらに透明保護フィルムが積層され、偏光子の他方の面に、粘着剤層を介して機能性フィルムが積層された偏光フィルムであって、少なくとも一方の透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層が形成された偏光フィルム。粘着剤層の偏光子と反対側の面には、機能性フィルムが積層されてもよく、透明保護フィルムの接着剤層と反対側の面には粘着剤層が積層されてもよい。
本発明の偏光フィルムまたは光学フィルムは液晶表示装置などの各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光フィルムまたは光学フィルム、および必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光フィルムまたは光学フィ・BR>泣 を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側または両側に偏光フィルムまたは光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光フィルムまたは光学フィルムは液晶セルの片側または両側に設置することができる。両側に偏光フィルムまたは光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
本発明において、SP値およびSP値距離については以下の方法により決定した。
<活性エネルギー線硬化型接着剤組成物のSP値の推定方法>
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物のSP値は、組成物の構成材料それぞれについてHansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)のY−MB法によりハンセンの溶解度パラメーター(SP値)を計算し、組成物中のモル比に応じて平均値をとることで求めた。
<有機溶剤のSP値の推定方法>
有機溶剤のSP値は、Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)ver.4.1.07に収蔵されたハンセンの溶解度パラメーター(SP値)データベースからオフィシャル値を得た。有機溶剤を2種類以上混合して使用する場合は、モル比に応じて平均値をとることで求めた。
<透明保護フィルムのSP値測定方法>
透明保護フィルムを、溶解度の異なる14種の溶媒、水、アセトン、シクロペンタノン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、トルエン、p−キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、酢酸エチル、トリクロロベンゼン、アニソールおよびそれらの混合溶媒に、10分間浸漬した。10分間浸漬後の透明保護フィルムの様子を(1)溶解、(2)膨潤、(3)不溶の3段階に分類した。こうして得られた各溶媒への溶解度の情報を元にHansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)ver.4.1.07(http://www.hansen−solubility.com/index.php)によってハンセンの溶解度パラメーター(SP値)を計算した。
<透明保護フィルムのSP値と接着剤組成物のSP値との間のSP値距離(Ra−1)>
透明保護フィルムのハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσd、極性項をσp、水素結合項をσhとし、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσAd、極性項をσAp、水素結合項をσAhとしたとき、下記数式;Ra−1=[4×(σd−σAd)+2×(σp−σAp)+2×(σh−σAh)1/2を「透明保護フィルムのSP値と接着剤組成物のSP値との間のSP値距離」(=Ra−1)の定義とした。前述の方法で算出された透明保護フィルムおよび活性エネルギー線硬化型接着剤組成物のハンセンの溶解度パラメーターを用いて計算した。
<透明保護フィルムのSP値と有機溶剤のSP値との間のSP値距離Ra−2>
透明保護フィルムのハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσd、極性項をσp、水素結合項をσhとし、有機溶剤のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσBd、極性項をσBp、水素結合項をσBhとしたとき、下記数式;Ra−2=[4×(σd−σBd)+2×(σp−σBp)+2×(σh−σBh)1/2を「透明保護フィルムのSP値と有機溶剤のSP値との間のSP値距離」(=Ra−2)の定義とした。前述の方法で算出された透明保護フィルムおよび有機溶剤のハンセンの溶解度パラメーターを用いて計算した。
本発明において、透明保護フィルムと接着剤層との間に、これらの層が連続的に変化する相溶層(表1〜表8中では、単に「相溶層」とする)が形成されているか否かについては、以下の方法を用いた。
<相溶層の確認>
フィルム断面を観察するために、超薄切片法により作製した試験片を透過型電子顕微鏡
(TEM)(日立製作所製、製品名「H−7650」)を用いて、加速電圧100kVにて観察し、TEM写真を撮影した。相溶層が形成されている場合を「有」、相溶層が形成されていない場合を「無」とした。
実施例1−1〜実施例1−9および比較例1−1〜比較例1−6
<偏光子の作製>
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み45μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、トータルの延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、ポリビニルアルコール系偏光子X(厚み18μm)を得た。次に、ワイヤーバー(第一理化株式会社製、No.2)を用いて、偏光子Xの両面に、4−ビニルフェニルボロン酸1重量%およびイソプロピルアルコール99重量%含有する易接着剤組成物を塗布し、60℃で1分間風乾燥させることにより溶剤を除去して、易接着層の乾燥後厚みが1nmである易接着層付偏光子を作製した。
<透明保護フィルム1>
攪拌装置を備えた反応容器中、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン2.70kg、テトラブチルアンモニウムクロライド0.06kgを1M水酸化ナトリウム溶液25Lに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライド1.22kgとイソフタル酸クロライド0.81kgを30Lのトルエンに溶解させた溶液を攪拌しながら加え、室温で90分間攪拌した。その後、重合溶液を静置分離してポリマーを含んだトルエン溶液を分離し、ついで酢酸水で洗浄し、イオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾過し、減圧下で乾燥することで、白色のポリマー3.41kg(収率92%)を得た。
得られたポリマーをトルエンに溶解させ、ニ軸延伸ポリプロピレン上に塗布し、80℃で5分乾燥させた後に、110℃で5分間乾燥させ、塗布膜が15μmである積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを同時二軸延伸機を用いて、搬送させながら、145℃で幅方向に1.2倍延伸し、かつ、MDに0.75倍になるよう収縮させることでロール状のポリアリレート系透明保護フィルム1を得た。得られた透明保護フィルム1は厚み15.0μmで、Re=275nm、Rth=138nm、Nz係数=0.5であった。
透明保護フィルム1の接着剤層を形成する側の面に、ワイヤーバー(第一理化株式会社製、No.3)を用いて、透明保護フィルム1とのSP値距離が表1に記載のRa−1となるような組成である有機溶剤を塗工する前処理を行った。次いで、透明保護フィルム1の有機溶剤との接触面に、透明保護フィルム1ムとのSP値距離が表1に記載のRa−2となるような組成である接着剤組成物をMCDコーター(富士機械社製)(セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:1000本/inch、回転速度140%/対ライン速)を用いて、厚み1μmになるように塗工し、上記偏光子Xの両面にロール機で貼り合わせた。その後、貼り合わせた透明保護フィルム1側(両側)から、活性エネルギー線照射装置により上記可視光線を両面に照射して硬化型接着剤を硬化させた後、70℃で3分間熱風乾燥して、偏光子の両側に透明保護フィルム1を有する偏光フィルムを得た。貼り合わせのライン速度は25m/minで行った。
得られた偏光フィルムの接着性を以下の方法により評価した。
<初期接着力>
偏光フィルムを偏光子の延伸方向と平行に200mm、直行方向に15mmの大きさに切り出し、偏光フィルムをガラス板に貼り合わせた。そして透明保護フィルムと偏光子との間にカッターナイフで切り込みを入れ、テンシロンにより、90度方向に保護フィルムと偏光子とを剥離速度300mm/minで剥離し、その剥離強度(N/15mm)を測定した。また、剥離後の剥離面の赤外吸収スペクトルをATR法によって測定し、剥離形態を下記の基準に基づき評価した。結果を表1−8に示す。なお、表1−8中、剥離強度が「破断」と記載されているものは、基材の破断強度よりも接着強度が勝っているため、剥離強度測定時に基材が破断したものを意味する。
〇:透明保護フィルムが材料破壊した場合または偏光子が材料破壊した場合
△:透明保護フィルムの材料破壊および透明保護フィルムと接着剤層間との間の界面剥離が混在した場合、あるいは偏光子の材料破壊および偏光子と接着剤層間との界面剥離が混在した場合
×:透明保護フィルムと接着剤層間とが界面剥離した場合、または偏光子と接着剤層間とが界面剥離した場合
<85℃85RH−48h後接着力> 偏光フィルムを偏光子の延伸方向と平行に200mm、直行方向に15mmの大きさに切り出し、偏光フィルムをガラス板に貼り合わせ、85℃85%RHの環境下に48時間暴露した。その後、初期接着力評価時と同様の評価を行い、剥離強度および剥離形態を評価した。結果を表1に示す。
実施例2−1〜実施例2−12−および比較例2−1〜比較例2−8
透明保護フィルムを下記に示すポリカーボネートに変更し、有機溶剤および接着剤組成物を表2に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により偏光フィルムを製造し、評価した。
<透明保護フィルム2>
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン29.60質量部(0.046mol)、ISB 29.21質量部(0.200mol)、SPG 42.28質量部(0.139mol)、DPC
63.77質量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10−2質量部(6.78×10−5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。
得られたポリカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み135μmの樹脂フィルムを作製した。
得られた長尺状の樹脂フィルムを、幅方向に、延伸温度134℃、延伸倍率2.8倍で延伸し、続いて、延伸後のフィルムの幅方向に緩和処理を施すことにより、延伸フィルムを作製した。緩和処理の条件は、緩和温度130℃、緩和率4.5%とした。厚み48μmのポリカーボネート系透明保護フィルム2を得た。
実施例3−1〜実施例3−11および比較例3−1〜比較例3−3
透明保護フィルムを下記に示すアクリルに変更し、有機溶剤および接着剤組成物を表3に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により偏光フィルムを製造し、評価した。
<透明保護フィルム3>
透明保護フィルムA(グルタルイミド単位含有):MS樹脂(MS−200;メタクリル酸メチル/スチレン(モル比)=80/20の共重合体,新日鐵化学(株)製)をモノメチルアミンでイミド化(イミド化率:5%)した。得られたイミド化されたMS樹脂は、特開2016−139027に記載の一般式(1)で表されるグルタルイミド単位(式中、RおよびRはメチル基、Rは水素原子である)、特開2016−139027に記載の一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位(Rは水素原子、RおよびRはメチル基である)、およびスチレン単位を有する。なお、前記イミド化には、口径15mmの噛合い型同方向回転式二軸押出機を用いた。押出機の各温調ゾーンの設定温度を230℃、スクリュー回転数150rpm、MS樹脂を2.0kg/hrで供給し、モノメチルアミンの供給量はMS樹脂100重量部に対して2重量部とした。ホッパーからMS樹脂を投入し、ニーディングブロックによって樹脂を溶融、充満させた後、ノズルからモノメチルアミンを注入した。反応ゾーンの末端にはシールリングを入れて樹脂を充満させた。反応後の副生成物および過剰のメチルアミンをベント口の圧力を−0.08MPaに減圧して脱揮した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。前記イミド化されたMS樹脂を溶融押出製膜した。このとき、紫外線吸収剤(ADEKA社製、「T−712」)をMS樹脂100重量部に対して0.66重量部供給した。次いで、縦2倍、横2倍に二軸延伸したアクリル系透明保護フィルム3(厚さ40μm,Re=2nm,Rth=2nm)を作製した。
実施例4−1〜4−7および比較例4−1〜比較例4−8
透明保護フィルムを下記に示すトリアセチルセルロース(TAC)に変更し、有機溶剤および接着剤組成物を表4に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により偏光フィルムを製造し、評価した。
<透明保護フィルム2>
厚み60umのトリアセチルセルロースフィルム 品名:TG60UL 富士フィルム社製
実施例5−1〜5−4および比較例5−1
有機溶剤を塗工する前処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により偏光フィルムを製造し、評価した。
実施例6−1〜6−6および比較例6−1〜6−2
有機溶剤を塗工する前処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の方法により偏光フィルムを製造し、評価した。
実施例7−1〜7−3および比較例7−1
有機溶剤を塗工する前処理を行わなかったこと以外は、実施例3と同様の方法により偏光フィルムを製造し、評価した。
実施例8−1〜8−7および比較例8−1
有機溶剤を塗工する前処理を行わなかったこと以外は、実施例4と同様の方法により偏光フィルムを製造し、評価した。
表1〜表8中、接着剤組成物として使用した化合物を以下に示す。
HEAA;ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)
DEAA;ジエチルアクリルアミド(興人社製)
19ND−A;1,9−ノナンジオールジアクリレート(商品名「ライトアクリレート1、9ND−A」、共栄社化学社製)
HPAA;ヒドロキシピバリン酸ジジアクリレート(商品名ライトアクリレートHPPA、共栄社化学社製)
DCP−A;ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A、共栄社化学社製)
M−220;トリプロピレングリコールジアクリレート(商品名「アロニックスM−220」、東亞合成社製
NP−A;ネオペンチルグリコールジアクリレート(商品名「ライトアクリレートNP−A」、共栄社化学社製)
ACMO:アクリロイルモルホリン(興人社製)
ワスマー2MA;N−メトキシメチルアクリルアミド(商品名「ワスマー2MA」、笠野興産社製)
NVP;N−ビニルピロリドン(商品名「NVP」、日本触媒社製)
IB−XA;イソボルニルアクリレート(商品名「ライトアクリレートIB−XA」、共栄社化学社製)
GBLA;γブチロラクトンアクリレート(商品名「GBLA」、大阪有機化学工業社製)
M5700;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(商品名アロニックスM5700、東亞合成社製)
APG100;ジプロピレングリコールジアクリレート(商品名APG100、新中村化学社製)
AAEA;2−アセトアセトキシエチルアクリレート(商品名AAEA、日本合成化学社製)
ISTA;イソステアリルアクリレート(商品名ISTA、大阪有機化学工業社製)
セロキサイド2021P;3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名セロキサイド2021P、 ダイセル社製)
FA513AS;ジシクロペンタニルアクリレート(商品名ファンクリルFA513AS、日立化成社製)GBL;γ−ブチロラクトン(三菱化学社製)炭酸プロピレン(東京化成工業社製)アニソール(東京化成工業社製)
Figure 2019056932
Figure 2019056932
Figure 2019056932
Figure 2019056932
Figure 2019056932
Figure 2019056932
Figure 2019056932
Figure 2019056932

Claims (7)

  1. 光学フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤組成物を硬化することにより形成された接着剤層を介して透明保護フィルムが積層された積層光学フィルムの製造方法であって、
    前記透明保護フィルムの前記接着剤層を形成する側の面に、前記透明保護フィルムとのSP値距離が12以下である有機溶剤を接触させる前処理工程と、
    前記透明保護フィルムの前記有機溶剤との接触面および前記光学フィルムの前記透明保護フィルム側の面の少なくとも一方の面に前記接着剤組成物を直接塗工する塗工工程と、
    前記透明保護フィルムと前記光学フィルムとを、前記接着剤組成物を介して貼り合せることにより、前記透明保護フィルムと前記接着剤層との間に、これらの組成が連続的に変化する相溶層を形成する貼合工程と、
    前記光学フィルム面側または前記透明保護フィルム面側から活性エネルギー線を照射して、前記接着剤組成物を硬化させることにより形成された接着剤層を介して、前記光学フィルムおよび前記透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含む積層光学フィルムの製造方法。
  2. 前記透明保護フィルムのSP値と前記接着剤組成物のSP値との間のSP値距離が12以下である請求項1に記載の積層光学フィルムの製造方法。
  3. 前記塗工行程が、前記光学フィルムの前記透明保護フィルム側の面に前記接着剤組成物を塗工する工程であり、前記貼合行程が、前記接着剤組成物が塗工された前記光学フィルムを、前記接着剤組成物の塗工面側から前記透明保護フィルムの前記有機溶剤との接触面に貼り合わせる工程である請求項1または2に記載の積層光学フィルムの製造方法。
  4. 前記塗工行程が、前記透明保護フィルムの前記有機溶剤との接触面および前記光学フィルムの前記透明保護フィルム側の面の両方の面に前記接着剤組成物を塗工する工程であり、前記貼合行程が、両方の塗工面側から前記透明保護フィルムと前記光学フィルムとを貼り合せることにより形成されたものである請求項1または2に記載の積層光学フィルムの製造方法。
  5. 前記接着剤組成物が、重合性基を有する単量体を含有する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物である請求項1〜4のいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
  6. 前記光学フィルムが、ポリビニルアルコール系偏光子である請求項1〜5のいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
  7. 前記透明保護フィルムが、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル系ポリマーおよびトリアセチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
JP2018238503A 2018-12-20 2018-12-20 積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置 Active JP6511580B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018238503A JP6511580B2 (ja) 2018-12-20 2018-12-20 積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018238503A JP6511580B2 (ja) 2018-12-20 2018-12-20 積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017181319A Division JP7027003B2 (ja) 2017-09-21 2017-09-21 積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019056932A true JP2019056932A (ja) 2019-04-11
JP6511580B2 JP6511580B2 (ja) 2019-05-15

Family

ID=66106536

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018238503A Active JP6511580B2 (ja) 2018-12-20 2018-12-20 積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6511580B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021039987A1 (ja) * 2019-08-28 2021-03-04 日東電工株式会社 偏光フィルム積層体、該偏光フィルム積層体が使用される光学表示パネル、透明接着層付きの偏光フィルム積層体、及び偏光フィルム組立体
WO2022014101A1 (ja) * 2020-07-13 2022-01-20 日東電工株式会社 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置
WO2022014102A1 (ja) * 2020-07-13 2022-01-20 日東電工株式会社 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7027003B2 (ja) * 2017-09-21 2022-03-01 日東電工株式会社 積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014129505A (ja) * 2012-06-08 2014-07-10 Nitto Denko Corp 活性エネルギー線硬化型接着剤組成物、偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2014215560A (ja) * 2013-04-26 2014-11-17 日東電工株式会社 偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
WO2015012014A1 (ja) * 2013-07-23 2015-01-29 コニカミノルタ株式会社 偏光板及びva型液晶表示装置
JP2016024228A (ja) * 2014-07-16 2016-02-08 日東電工株式会社 積層光学フィルムの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014129505A (ja) * 2012-06-08 2014-07-10 Nitto Denko Corp 活性エネルギー線硬化型接着剤組成物、偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2014215560A (ja) * 2013-04-26 2014-11-17 日東電工株式会社 偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
WO2015012014A1 (ja) * 2013-07-23 2015-01-29 コニカミノルタ株式会社 偏光板及びva型液晶表示装置
JP2016024228A (ja) * 2014-07-16 2016-02-08 日東電工株式会社 積層光学フィルムの製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021039987A1 (ja) * 2019-08-28 2021-03-04 日東電工株式会社 偏光フィルム積層体、該偏光フィルム積層体が使用される光学表示パネル、透明接着層付きの偏光フィルム積層体、及び偏光フィルム組立体
WO2022014101A1 (ja) * 2020-07-13 2022-01-20 日東電工株式会社 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置
WO2022014102A1 (ja) * 2020-07-13 2022-01-20 日東電工株式会社 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置
JP2022017089A (ja) * 2020-07-13 2022-01-25 日東電工株式会社 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置
JP2022017074A (ja) * 2020-07-13 2022-01-25 日東電工株式会社 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置
JP7176829B2 (ja) 2020-07-13 2022-11-22 日東電工株式会社 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置
JP7179802B2 (ja) 2020-07-13 2022-11-29 日東電工株式会社 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6511580B2 (ja) 2019-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7027003B2 (ja) 積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置
JP6560999B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置
WO2017199979A1 (ja) 積層樹脂フィルムおよびその製造方法、積層光学フィルム、画像表示装置ならびに易接着処理樹脂フィルム
JP2017194633A (ja) 硬化性樹脂組成物、偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置
JP6511580B2 (ja) 積層光学フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置
JP2017137397A (ja) 硬化性樹脂組成物
JP6786328B2 (ja) 偏光フィルム用硬化型接着剤組成物およびその製造方法、偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置
JP7379310B2 (ja) 偏光フィルム用硬化型接着剤組成物およびその製造方法、偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置
JP2018087968A (ja) 光学フィルム用硬化型樹脂組成物、光学フィルムおよびその製造方法
JP6383887B2 (ja) 偏光フィルム用接着剤組成物、偏光フィルム、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2018013769A (ja) 粘着層付き偏光フィルムおよび該粘着層付き偏光フィルムの製造方法
WO2018147284A1 (ja) 偏光フィルム用接着剤組成物、偏光フィルム、光学フィルムおよび画像表示装置
WO2021141037A1 (ja) 偏光フィルムの製造方法
WO2020196625A1 (ja) 偏光フィルムの製造方法
JP6820216B2 (ja) 偏光フィルム用硬化型樹脂組成物、偏光フィルムおよびその製造方法
JP7311291B2 (ja) 偏光フィルムの製造方法
JP7315357B2 (ja) 偏光フィルムの製造方法
WO2018008443A1 (ja) 粘着層付き偏光フィルムおよび該粘着層付き偏光フィルムの製造方法
JP2021009231A (ja) 偏光フィルム及びその製造方法、光学フィルム、並びに画像表示装置
WO2018096928A1 (ja) 光学フィルム用硬化型樹脂組成物、光学フィルムおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190304

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190319

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190408

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6511580

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250