JP2019056898A - 反射型マスクブランク、反射型マスク及び反射型マスクブランクの製造方法 - Google Patents

反射型マスクブランク、反射型マスク及び反射型マスクブランクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射型マスクの製造時の洗浄耐性に優れる吸収層を備える反射型マスクブランクを提供する。【解決手段】反射型マスクブランク10Aは、基板11上に、EUV光を反射する反射層12と、EUV光を吸収する吸収層14とを基板側からこの順に有する反射型マスクブランクであって、吸収層14は、Snを主成分として含有し、かつTaを25at%以上含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、反射型マスクブランク、反射型マスク及び反射型マスクブランクの製造方法に関する。
近年、半導体デバイスを構成する集積回路の微細化に伴い、可視光や紫外光(波長365〜193nm)又はArFエキシマレーザ光(波長193nm)等を用いた従来の露光技術に代わる露光方法として、極端紫外光(Etreme Ultra Violet:以下、「EUV」と呼ぶ。)リソグラフィが検討されている。
EUVリソグラフィでは、露光に用いる光源として、ArFエキシマレーザ光よりも短波長のEUV光が用いられる。なお、EUV光とは、軟X線領域又は真空紫外線領域の波長の光をいい、具体的には、波長が0.2〜100nm程度の光である。EUV光としては、例えば、波長が13.5nm程度のEUV光が使用される。
EUV光は、あらゆる物質に対して吸収され易いため、従来の露光技術で用いられていた屈折光学系を使用できない。そのため、EUVリソグラフィでは、反射型マスクやミラー等の反射光学系が用いられる。EUVリソグラフィにおいては、反射型マスクが転写用マスクとして用いられる。
反射型マスクは、基板上にEUV光を反射する反射層が形成され、該反射層の上にEUV光を吸収する吸収層がパターン状に形成されている。反射型マスクは、基板上に反射層及び吸収層をこの順に積層して構成された反射型マスクブランクを原板として用いて、吸収層の一部を除去して所定のパターンに形成した後、洗浄液で洗浄することで得られる。
反射型マスクに入射したEUV光は、吸収層で吸収され、反射層で反射される。反射されたEUV光は、光学系によって露光材料(レジストを塗布したウエハ)の表面に結像される。これにより、吸収層のパターンが露光材料の表面に転写される。
EUVリソグラフィにおいては、EUV光は、通常、約6°傾斜した方向から反射型マスクに入射し、同様に斜めに反射している。そのため、吸収層の膜厚が厚いと、EUV光の光路が遮られる(シャドウィング(Shadowing))可能性がある。シャドウィングの影響により、基板等に吸収層の影となる部分が生じると、露光材料の表面上には反射型マスクのパターンが忠実に転写されず、パターン精度が悪化する可能性がある。一方、吸収層の膜厚を薄くすると、反射型マスクでのEUV光の遮光性能は低下し、EUV光の反射率が大きくなるため、反射型マスクのパターン部分とそれ以外の部分とのコントラストが低下する可能性がある。
そこで、反射型マスクのパターンを忠実に転写しつつコントラストの低下が抑えられる反射型マスクブランクについて検討されている。例えば、特許文献1には、吸収体膜を、Taを主成分として50原子%(at%)以上含み、さらにTe、Sb、Pt、I、Bi、Ir、Os、W、Re、Sn、In、Po、Fe、Au、Hg、Ga及びAlから選ばれた少なくとも一種の元素を含む材料で構成した反射型マスクブランクが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の反射型マスクブランクでは、反射型マスクの製造時に吸収体膜が洗浄液に対する耐性(洗浄耐性)を有することについては検討されていない。そのため、吸収体膜にパターンを安定して形成できない可能性がある。
特開2007−273678号公報
本発明の一態様は、反射型マスクの製造時の洗浄耐性に優れる吸収層を有する反射型マスクブランクを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る反射型マスクブランクは、基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収層とを基板側からこの順に有する反射型マスクブランクであって、前記吸収層は、Snを主成分として含有し、かつTaを25at%以上含有する。
本発明の一態様によれば、反射型マスクの製造時の洗浄耐性に優れる吸収層を有する反射型マスクブランクを提供できる。
第1の実施形態に係る反射型マスクブランクの概略断面図である。 吸収層の表面に不動態皮膜が形成される状態を示す説明図である。 Ta含有量と、吸収層の表面に形成される不動態皮膜の膜厚との関係の一例を示す図である。 反射型マスクブランクの製造方法の一例を示すフローチャートである。 反射型マスクブランクの他の形態の一例を示す概略断面図である。 反射型マスクブランクの他の形態の一例を示す概略断面図である。 反射型マスクの概略断面図である。 反射型マスクの製造工程を説明する図である。 第2の実施形態に係る反射型マスクブランクの概略断面図である。 洗浄前後の反射型マスクブランクの状態を示す説明図である。 第3の実施形態に係る反射型マスクブランクの概略断面図である。 吸収層の膜厚と反射率との関係を示す図である。 吸収層の膜厚と反射率との関係をシミュレーションした結果を示す図である。 Sn含有量と、反射率の関係との関係を示す図である。 SnTa膜のTa含有量と膜減りとの関係を示す図である。 吸収層及びTaNのエッチング速度を測定した結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、ガラス基板の主面における座標をX軸方向及びY軸方向とし、高さ方向(厚さ方向)をZ軸方向とする。ガラス基板の下から上に向かう方向(ガラス基板の主面から反射層に向かう方向)を+Z軸方向とし、その反対方向を−Z軸方向とする。以下の説明において、+Z軸方向を上といい、−Z軸方向を下という場合がある。
[第1の実施形態]
<反射型マスクブランク>
第1の実施形態に係る反射型マスクブランクについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る反射型マスクブランクの概略断面図である。図1に示すように、反射型マスクブランク10Aは、基板11、反射層12、保護層13及び吸収層14を有する。反射型マスクブランク10Aは、基板11、反射層12、保護層13及び吸収層14を、基板11側からこの順に積層して構成している。
(基板)
基板11は、熱膨張係数が小さいのが好ましい。基板11の熱膨張係数が小さい方が、EUV光による露光時の熱により吸収層14に形成されるパターンに歪みが生じるのを抑制できる。基板11の熱膨張係数は、具体的には、20℃において、0±1.0×10-7/℃が好ましく、0±0.3×10-7/℃がより好ましい。熱膨張係数が小さい材料としては、例えば、SiO−TiO系ガラス等を用いることができる。SiO2−TiO2系ガラスは、SiOを90〜95質量%、TiOを5〜10質量%含む石英ガラスを用いることが好ましい。TiOの含有量が5〜10質量%であると、室温付近での線膨張係数が略ゼロであり、室温付近での寸法変化がほとんど生じない。なお、SiO2−TiO2系ガラスは、SiO及びTiO以外の微量成分を含んでもよい。
基板11の反射層12が積層される側の第1主面11aは、高い表面平滑性を有することが好ましい。第1主面11aの表面平滑性は、表面粗さで評価することができる。第1主面11aの表面粗さは、二乗平均平方根粗さRqで、0.15nm以下であることが好ましい。なお、表面平滑性は、原子間力顕微鏡で測定することができる。
第1主面11aは、所定の平坦度となるように表面加工されることが好ましい。これは、反射型マスクが高いパターン転写精度及び位置精度を得るためである。基板11は、第1主面11aの所定の領域(例えば、132mm×132mmの領域)において、平坦度が100nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下である。
また、基板11は、反射型マスクブランク、パターン形成後の反射型マスクブランク又は反射型マスクの洗浄等に用いる洗浄液に対して耐性を有することが好ましい。
さらに、基板11は、基板11上に形成される膜(反射層12等)の膜応力による変形を防止するために、高い剛性を有するのが好ましい。例えば、基板11は、65GPa以上の高いヤング率を有しているのが好ましい。
基板11の大きさや厚さ等は、反射型マスクの設計値等により適宜決定される。
基板11の第1主面11aは、平面視において、矩形や円形に形成されている。本明細書において、矩形とは、長方形や正方形の他、長方形や正方形の角に丸みを形成した形を含む。
(反射層)
反射層12は、EUV光に対して高い反射率を有する。具体的には、EUV光が入射角6°で反射層12の表面に入射した際、波長13.5nm付近のEUV光の反射率の最大値は、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましい。また、反射層12の上に、保護層13及び吸収層14が積層されている場合でも、同様に、波長13.5nm付近のEUV光の反射率の最大値は、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましい。
反射層12は、屈折率の異なる元素を主成分とする各層が周期的に複数積層された多層膜である。反射層12は、一般に、EUV光に対して高い屈折率を示す高屈折率層と、EUV光に対して低い屈折率を示す低屈折率層とを基板11側から交互に複数積層させた多層反射膜が用いられる。
前記多層反射膜は、高屈折率層と低屈折率層とを基板11側からこの順に積層した積層構造を1周期として複数周期積層してもよいし、低屈折率層と高屈折率層とをこの順に積層した積層構造を1周期として複数周期積層してもよい。なお、この場合、前記多層反射膜は、最表面の層(最上層)を、高屈折率層とすることが好ましい。これは、低屈折率層は容易に酸化され易いため、低屈折率層が反射層12の最上層となると、反射層12の反射率が減少する可能性があるためである。
高屈折率層としては、Siを含む層を用いることができる。Siを含む材料としては、Si単体の他に、Siに、B、C、N及びOからなる群から選択される1種以上を含むSi化合物を用いることができる。Siを含む高屈折率層を用いることによって、EUV光の反射率に優れた反射型マスクが得られる。低屈折率層としては、Mo、Ru、Rh及びPtからなる群から選択される金属又はこれらの合金を用いることができる。本実施形態では、低屈折率層がMo層であり、高屈折率層がSi層であることが好ましい。なお、この場合、反射層12の最上層を高屈折率層(Si層)とすることで、最上層(Si層)と保護層13との間に、SiとOとを含むケイ素酸化物層を形成し、反射型マスクの洗浄耐性を向上させる。
反射層12は、高屈折率層及び低屈折率層をそれぞれ複数備えているが、高屈折率層同士の膜厚又は低屈折率層同士の膜厚は、必ずしも同じでなくてもよい。
反射層12を構成する各層の膜厚及び周期は、使用する膜材料、反射層12に要求されるEUV光の反射率又はEUV光の波長(露光波長)等により適宜選択することができる。例えば、反射層12が波長13.5nm付近のEUV光の反射率の最大値を60%以上とする場合、低屈折率層(Mo層)と高屈折率層(Si層)とを交互に30〜60周期積層したMo/Si多層反射膜が好ましく用いられる。
なお、反射層12を構成する各層は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等の公知の成膜方法を用いて所望の膜厚になるように成膜することができる。例えば、イオンビームスパッタリング法を用いて反射層12を作製する場合、高屈折率材料のターゲット及び低屈折率材料のターゲットに対して、イオン源からイオン粒子を供給することにより行う。反射層12がMo/Si多層反射膜である場合、イオンビームスパッタリング法により、例えば、まずSiターゲットを用いて、所定の膜厚のSi層を基板11上に成膜する。その後、Moターゲットを用いて、所定の膜厚のMo層を成膜する。このSi層及びMo層を1周期として、30〜60周期積層させることにより、Mo/Si多層反射膜が成膜される。
(保護層)
保護層13は、後述する反射型マスク20(図7参照)の製造時において、吸収層14をエッチング(通常、ドライエッチング)して吸収層14に吸収体パターン141(図7参照)を形成する際、反射層12の表面がエッチングによるダメージを抑制し、反射層12を保護する。また、エッチング後の反射型マスクブランクに残っているレジスト層18(図8参照)を洗浄液を用いて剥離して、反射型マスクブランクを洗浄する際に、反射層12を洗浄液から保護する。そのため、得られる反射型マスク20(図7参照)のEUV光に対する反射率は良好となる。
図1では、保護層13が1層の場合を示しているが、保護層13は複数層でもよい。
保護層13を形成する材料としては、吸収層14のエッチングの際に、エッチングによる損傷を受け難い物質が選択される。この条件を満たす物質としては、例えば、Ru金属単体、Ruに、B、Si、Ti、Nb、Mo、Zr、Y、La、Co及びReからなる群から選択される1種以上の金属を含有したRu合金、前記Ru合金に窒素を含む窒化物等のRu系材料;Cr、Al、Ta及びこれらに窒素を含む窒化物;SiO2、Si34、Al23又はこれらの混合物等が例示される。これらの中でも、Ru金属単体及びRu合金、CrN及びSiO2が好ましい。Ru金属単体及びRu合金は、酸素を含まないガスに対してエッチングされ難く、反射型マスクの加工時のエッチングストッパとして機能する点から、特に好ましい。
保護層13がRu合金で形成される場合、Ru合金中のRu含有量は、95at%以上100at%未満が好ましい。Ru含有量が上記範囲内であれば、反射層12がMo/Si多層反射膜である場合、反射層12のSi層からSiが保護層13に拡散することを抑制することができる。また、保護層13は、EUV光の反射率を十分確保しながら、吸収層14をエッチング加工した時のエッチングストッパとしての機能を有することができる。さらに、反射型マスクの洗浄耐性を有することができると共に反射層12の経時的劣化を防止することができる。
保護層13の膜厚は、保護層13としての機能を果たすことができる限り特に制限されない。反射層12で反射されたEUV光の反射率を保つ点から、保護層13の膜厚は、1nm以上が好ましく、1.5nmがより好ましく、2nmがさらに好ましい。保護層13の膜厚は、8nm以下が好ましく、6nm以下がより好ましく、5nm以下がさらに好ましい。
保護層13の形成方法としては、マグネトロンスパッタリング法又はイオンビームスパッタリング法等の公知の膜形成方法を用いることができる。
(吸収層)
吸収層14は、EUVリソグラフィの反射型マスクに使用するためには、EUV光の吸収係数が高いこと、洗浄液に対する洗浄耐性が高いこと、及び容易にエッチングできること等、所望の特性を有している必要がある。
吸収層14は、EUV光を吸収し、EUV光の反射率が極めて低い。具体的には、EUV光が吸収層14の表面に照射された際の、波長13.5nm付近のEUV光の反射率の最大値は、1%以下が好ましい。そのため、吸収層14は、EUV光の吸収係数が高いことが必要である。
また、吸収層14は、後述する反射型マスク20(図7参照)の製造時において、エッチング後の反射型マスクブランクに残っているレジストパターン181(図8参照)を洗浄液で除去する際に洗浄液に晒される。その際、洗浄液としては、硫酸過水(SPM)、硫酸、アンモニア、アンモニア過水(APM)、OHラジカル洗浄水及びオゾン水等が用いられる。EUVリソグラフィでは、レジストの洗浄液としてSPMが、一般に使用される。なお、SPMは、硫酸と過酸化水素とを混合した溶液であり、硫酸と過酸化水素とを、体積比で、例えば3:1で混合できる。このとき、SPMの温度は、エッチング速度を向上させる点から、100℃以上に制御されることが好ましい。そのため、吸収層14は、洗浄液に対する洗浄耐性が高いことが必要である。吸収層14は、例えば、硫酸が75vol%、過酸化水素が25vol%の100℃の溶液に浸漬したときのエッチング速度が低い(例えば、0.10nm/分以下)ことが好ましい。
さらに、吸収層14は、Cl、SiCl4及びCHCl3等の塩素(Cl)系ガス又はCF、CHF等のフッ素(F)系ガスを用いたドライエッチング等によりエッチングして加工される。そのため、吸収層14は、容易にエッチングできることが必要である。
上記のような特性を達成するため、吸収層14は、Snを主成分とし、Taを25at%以上含有する。吸収層14はSn−Ta合金で形成できる。Sn−Ta合金は、Sn及びTaの成膜条件やそれぞれの含有量に応じて、Ta、Sn、TaSn及びTa3Snからなる群より選ばれる1種以上を含んだ状態で存在している。
本明細書において、Snを主成分とは、当該材料中に、at%で、Snを他の金属元素よりも一番多く含むことを意味する。吸収層14が、SnやTa等の金属元素以外に、NやO等の非金属元素を含有する場合、主成分とは、非金属元素を除外してat%を算出したときに一番多く含まれる金属元素をいう。すなわち、主成分とは、非金属元素を除外した、金属元素の中での主成分を意味する。Snの含有量(Sn含有量)は、30at%以上が好ましく40at%以上がより好ましく、50at%以上がさらに好ましく、55at%以上が特に好ましい。Sn含有量は、75at%以下が好ましく、70at%以下がさらに好ましく、65at%以下が特に好ましい。
Sn含有量が30at%以上であれば、SnはEUV光の吸収係数が高いので、吸収層14の膜厚を薄くしても、吸収層14は高い光吸収量を有する。そのため、吸収層14の膜厚を薄くできる。
Sn含有量が75at%以下である場合、Taの含有量(Ta含有量)は25at%以上とする。この場合、後述する反射型マスク20(図7参照)の製造時において、エッチング後の反射型マスクブランクを洗浄液としてSPMを用いて洗浄した際、図2に示すように、吸収層14の表面に酸化タンタル(Ta)からなる表面酸化膜(不動態皮膜)15が形成される。これにより、吸収層14が保護されるので、吸収層14のエッチングが抑制され、吸収層14は高い耐洗浄性を有する。
反射型マスク20(図7参照)を製造する際、反射型マスクブランク10A(図1参照)上に形成したレジスト層18(図8参照)を電子ビームにより描画(露光)する(EB露光)。EB露光後、吸収層14をドライエッチング(図8参照)して、レジスト層18を剥離する(図7参照)。レジスト層18の剥離にはアッシングが用いられるが、レジスト残渣を完全に除去するため、さらにSPMによる洗浄が必要とされる。吸収層14は、Sn含有量を75at%以下とし、Ta含有量を25at%以上とすることで、SPM等の洗浄液に対する洗浄耐性を高くできる。これにより、吸収層14は、反射型マスク20(図7参照)に要求される洗浄耐性を満たすことができる。
また、エッチング後の反射型マスクブランクの洗浄によって形成される不動態皮膜15が厚すぎると、吸収層14の反射率が変動する可能性がある。Sn含有量が75at%以下であり、Ta含有量が25at%以上であれば、吸収層14の表面に形成される不動態皮膜15の膜厚を小さく抑えることができる。これにより、吸収層14の反射率が変動するのを抑制することができる。
ここで、図3に、吸収層のTa含有量と、吸収層14の表面に形成される不動態皮膜15の膜厚との関係の一例を示す。SPM洗浄前の吸収層14の表面には、自然酸化膜が約2nm形成されている。SPM洗浄後には、SPMの酸化作用により、酸化膜の膜厚が増加して内部を保護する。そして、この自然酸化膜が、不動態皮膜15となる。図3に示すように、吸収層の、Ta含有量が25at%以上であれば、不動態皮膜15の膜厚を6nm以下に抑えることができる。なお、自然酸化膜は、吸収層がスパッタ後に大気に晒されることで吸収層の表面に発生する。そのとき、この自然酸化膜の組成は、SnTaOとなっている。その後、自然酸化膜は、SPM洗浄時にSnが溶出して、TaOに変わり、不動態皮膜15となっていると考えられる。
なお、本明細書において、不動態皮膜15の膜厚とは、吸収層14の表面に垂直な方向の長さをいう。不動態皮膜15の膜厚は、例えば、不動態皮膜15の断面において、任意の場所を測定した時の厚さである。不動態皮膜15の断面において、任意の場所で数カ所測定した場合は、これらの測定箇所の膜厚の平均値としてもよい。
また、Snを主成分とし、Ta含有量が25at%以上である場合、SnはCl系ガスでエッチングされ易く、TaはCl系ガスやF系ガス等でエッチングされ易いため、吸収層14は、Cl系ガスで容易にエッチングできる。
吸収層14は、SPMに対するエッチング速度が、0.10nm/分以下であることが好ましい。より好ましくは0.09nm/分であり、さらに好ましくは0.07nm/分、特に好ましくは0.05nm/分である。吸収層14の、SPMに対するエッチング速度が、0.10nm/分以下であれば、反射型マスク20(図7参照)の製造時に、吸収層14の上に設けられるレジストパターンに対応して吸収体パターン141(図7参照)を略均等に形成できる。なお、吸収層14のSPMに対するエッチング速度は、例えば、硫酸が75vol%、過酸化水素が25vol%であって、100℃に加熱したSPMに浸漬して求めることができる。
吸収層14は、Sn及びTa以外に、N、O、B、Hf、Si、Zr、Ge、Pd及びHからなる群から選択される1種以上の元素を含有してもよい。中でも、N、O又はBを含むことが好ましい。Sn及びTaにNとOとの少なくとも一方の元素を含むことで、吸収層14の酸化に対する耐性を向上させることができるため、経時的な安定性を向上できる。Sn及びTaにBを含むことで、吸収層14は、結晶状態がアモルファス又は微結晶の構造にできる。吸収層14は、結晶状態がアモルファスであることが好ましい。このため、吸収層14は、優れた表面平滑性及び平坦度を有する。また、吸収層14の表面平滑性及び平坦度が向上することで、吸収体パターン141(図7参照)のエッジラフネスが小さくなり、吸収体パターン141(図7参照)の寸法精度を高くできる。
吸収層14は、単層の膜でもよいし複数の膜からなる多層膜でもよい。吸収層14が単層膜である場合は、マスクブランク製造時の工程数を削減できて生産効率が上げることができる。吸収層14が多層膜である場合、吸収層14の上層側の層の光学定数や膜厚を適切に設定することで、検査光を用いて吸収体パターン141(図7参照)を検査する際の反射防止膜として使用することができる。これにより、吸収体パターンの検査時における検査感度を向上できる。
吸収層14の膜厚は、吸収層14の組成等により適宜設計可能であるが、反射型マスクブランク10Aの厚さを抑える点から薄い方が好ましい。吸収層14の膜厚は、吸収層14の反射率を1%以下に維持しつつ、十分なコントラストを得る点から、例えば、40nm以下であることが好ましい。吸収層14の膜厚は、35nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましく、25nm以下が特に好ましく、20nm以下が最も好ましい。吸収層14の膜厚は反射率で決定され、薄いほどよい。吸収層14の膜厚は、例えば、X線反射率法(XRR)又はTEM等を用いて測定できる。
吸収層14は、マグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタリング法等の公知の成膜方法を用いて形成できる。例えば、吸収層14として、マグネトロンスパッタリング法を用いてSnTa膜を形成する場合、Sn及びTaを含むターゲットを用い、Arガスを用いたスパッタリング法により、吸収層14を成膜できる。
このように、反射型マスクブランク10Aは、上記のように、Snを主成分とし、かつTaを25at%以上含有する吸収層14を備えている。吸収層14は、Sn及びTaをそれぞれの所定の範囲内で含有することで、反射型マスク(図7参照)の製造時において優れた洗浄耐性を有することができる。そのため、反射型マスクブランク10Aは、吸収層14に吸収体パターン141(図7参照)を安定して形成できる。
また、反射型マスクブランク10Aは、吸収層14をより薄くしてもEUV光の吸収率は高くできるので、反射型マスクブランク10Aの薄膜化を図りつつ、吸収層14でのEUV光の反射率を低くできる。
さらに、反射型マスクブランク10Aは、吸収層14を容易にエッチングできるので、加工性に優れる。
<反射型マスクブランクの製造方法>
次に、図1に示す反射型マスクブランク10Aの製造方法について説明する。図4は、反射型マスクブランク10Aの製造方法の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、基板11上に反射層12を形成する(反射層12の形成工程:ステップS11)。
反射層12は、基板11上に、上記のように、公知の成膜方法を用いて所望の膜厚になるように成膜する。
次いで、反射層12上に、保護層13を形成する(保護層13の形成工程:ステップS12)。保護層13は、反射層12上に、公知の膜形成方法を用いて、所望の膜厚になるように成膜する。
次いで、保護層13上に吸収層14を形成する(吸収層14の形成工程:ステップS13)。吸収層14は、保護層13の上に、公知の成膜方法を用いて、所望の膜厚になるように成膜する。
これにより、図1に示すような反射型マスクブランク10Aを得る。
(その他の層)
反射型マスクブランク10Aは、図5に示すように、吸収層14上にハードマスク層16を備えることができる。ハードマスク層16としては、Cr系膜又はSi系膜等のエッチングに対して耐性の高い材料が用いられる。Cr系膜としては、例えば、Cr単体及びCrにO又はNを加えた材料等が挙げられる。具体的には、CrO及びCrN等が挙げられる。Si系膜としては、Si単体並びにSiにO、N、C及びHからなる群から選択される一種以上を加えた材料等が挙げられる。具体的には、SiO、SiON、SiN、SiO、Si、SiC、SiCO、SiCN及びSiCON等が挙げられる。中でも、Si系膜は、吸収層14をドライエッチングする際に側壁の後退が生じ難いため、好ましい。
吸収層14上にハードマスク層16を形成することで、吸収体パターン141(図7参照)の最小線幅が小さくなっても、ドライエッチングを実施できる。そのため、吸収体パターン141(図7参照)の微細化に対して有効である。なお、吸収層14の上に他の層が積層される場合には、ハードマスク層16は吸収層14の最表面側の層の上に設ければよい。
反射型マスクブランク10Aは、図6に示すように、基板11の反射層12が積層される側とは反対側の第2主面11bに、静電チャック用の裏面導電層17を備えることができる。裏面導電層17には、特性として、シート抵抗値が低いことが要求される。裏面導電層17のシート抵抗値は、例えば、250Ω/□以下であり、200Ω/□以下が好ましい。
裏面導電層17を含む材料は、例えば、Cr若しくはTa等の金属、又はこれらの合金を用いることができる。Crを含む合金としては、Crに、B、N、O及びCからなる群から選択される1種以上を含有したCr化合物を用いることができる。Cr化合物としては、例えば、CrN、CrON、CrCN、CrCON、CrBN、CrBON、CrBCN及びCrBOCN等を挙げることができる。Taを含む合金としては、Taに、B、N、O及びCからなる群から選択される1種以上を含有したTa化合物を用いることができる。Ta化合物としては、例えば、TaB、TaN、TaO、TaON、TaCON、TaBN、TaBO、TaBON、TaBCON、TaHf、TaHfO、TaHfN、TaHfON、TaHfCON、TaSi、TaSiO、TaSiN、TaSiON及びTaSiCON等を挙げることができる。
裏面導電層17の膜厚は、静電チャック用としての機能を満足する限り特に限定されないが、例えば、10〜400nmとする。また、この裏面導電層17は、反射型マスクブランク10Aの第2主面11b側の応力調整も備えることができる。すなわち、裏面導電層17は、第1主面11a側に形成された各種層からの応力とバランスをとって、反射型マスクブランク10Aを平坦にするように調整することができる。
裏面導電層17の形成方法は、マグネトロンスパッタリング法又はイオンビームスパッタリング法等の公知の成膜方法を用いることができる。
裏面導電層17は、例えば、保護層13を形成する前に、基板11の第2主面11bに形成することができる。
<反射型マスク>
次に、上述の、図1に示す反射型マスクブランク10Aを用いて得られる反射型マスクについて説明する。図7は、反射型マスクの構成の一例を示す概略断面図である。図7に示すように、反射型マスク20は、図1に示す反射型マスクブランク10Aの吸収層14に、所望の吸収体パターン141を形成したものである。
反射型マスク20の製造方法の一例について説明する。図8は、反射型マスク20の製造工程を説明する図である。図8(a)に示すように、上述の、図1に示す反射型マスクブランク10Aの吸収層14上にレジスト層18を形成する。
その後、レジスト層18に所望のパターンを露光する。露光後、レジスト層18の露光部分を現像して、純水で洗浄(リンス)することで、図8(b)に示すように、レジスト層18に所定のレジストパターン181を形成する。
その後、レジストパターン181が形成されたレジスト層18をマスクとして使用して、吸収層14をドライエッチングする。これにより、図8(c)に示すように、レジストパターン181に対応した吸収体パターン141を吸収層14に形成する。
エッチングガスとしては、F系ガス、Cl系ガス、Cl系ガスと、O2、He又はArを所定の割合で含む混合ガス等を用いることができる。
その後、レジスト剥離液等によりレジスト層18を除去し、吸収層14に所望の吸収体パターン141を形成する。これにより、図7に示すように、吸収層14に、所望の吸収体パターン141が形成された反射型マスク20を得ることができる。
得られた反射型マスク20に、露光装置の照明光学系よりEUV光を照射させる。反射型マスク20に入射したEUV光は、吸収層14のない部分(吸収体パターン141の部分)では反射され、吸収層14のある部分では吸収される。その結果、吸収層14で反射されたEUV光の反射光は、露光装置の縮小投影光学系を通って、露光材料(例えば、ウエハ等)に照射される。これにより、吸収層14の吸収体パターン141が露光材料上に転写され、露光材料上に回路パターンが形成される。
反射型マスク20は、吸収層14が高い耐洗浄性を有するので、吸収層14に吸収体パターン141を安定して形成できる。そのため、反射型マスク20は、高いパターン精度を有する。
また、反射型マスク20は、吸収層14を薄膜化できる。そのため、吸収層14の吸収体パターン141の線幅が小さくなっても、シャドウィングの影響を軽減することができる。そのため、反射型マスク20は、層の膜厚を小さくしつつ、露光材料の表面上に吸収層14の吸収体パターン141を忠実に転写できる。また、反射型マスク20は、吸収層14におけるEUV光の反射率を低くできるので、吸収層14を薄膜化しても、高いコントラストを有する。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る反射型マスクブランクについて、図面を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。図9は、第2の実施形態に係る反射型マスクブランクの概略断面図である。図9に示すように、反射型マスクブランク10Bは、図1に示す反射型マスクブランク10Aの吸収層14の上に、安定層19を有する。すなわち、反射型マスクブランク10Bは、基板11、反射層12、保護層13、吸収層14及び安定層19を、基板11側からこの順に積層して構成している。
安定層19は、TaとSnとを含む酸化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物及び酸ホウ化物、Taの酸化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物及び酸ホウ化物、並びにRuを含むRu系材料(Ru系化合物)からなる群から選択される1種以上の化合物を含有できる。
安定層19が、TaとSnとを含む酸化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物及び酸ホウ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物である場合、TaとSnとを含む酸化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物及び酸ホウ化物として、例えば、TaSnO、TaSnN、TaSnB、TaSnON、TaSnBO、TaSnBN及びTaSnBON等を挙げることができる。
安定層19が、TaとSnとを含む酸化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物及び酸ホウ化物として、Ta及びSnからなる酸化膜や酸窒化膜である場合、安定層19は、吸収層14と同一の材料を用いて形成できる。そのため、安定層19の形成時に使用されるターゲットは、吸収層14の形成時に使用されたターゲットを使用できる。この結果、安定層19は、吸収層14の主面上に容易に形成できるため、生産性に優れる。この場合、安定層19は、洗浄後でも膜厚の変動は生じないが、膜の組成は変化する場合がある。
ここで、安定層19が、Ta及びSnからなる膜(Ta含有量50at%)である場合、SPM洗浄前後の安定層19の表面をX線光電子分光法(XPS)を用いて測定した時のSnとTaとの強度比の一例を表1に示す。XPSを用いて測定されるXPSスペクトルは、安定層19の膜表面の組成の強度比を反映している。表1では、Snは、3d5/2軌道に対応する光電子スペクトルの強度を測定し、Taは、4d5/2軌道に対応する光電子スペクトルの強度を測定した。
表1より、SPM洗浄により、膜表面のSn含有量が大幅に減少し、膜表面の成分の組成が変化している。これは、エッチング後の反射型マスクブランクの洗浄時に、吸収層14の表面にTaからなる不動態皮膜15が形成される場合と同様(図2参照)、安定層19の表面のTaが酸化して、安定層19の表面にTaからなる不動態皮膜15(図2参照)を形成するためである。そのため、安定層19がTa及びSnからなる酸化膜や酸窒化膜である場合、安定層19の表面に不動態皮膜15(図2参照)が形成され、膜の組成が変化する場合がある。
安定層19が、Taの酸化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物及び酸ホウ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物である場合、安定層19として、Taの酸化膜、窒化膜、ホウ化膜、酸窒化膜及び酸ホウ化膜を使用できる。Taの酸化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物及び酸ホウ化物としては、例えば、TaO、Ta、TaN、TaB2、TaON、TaCON、TaBN、TaBO、TaBON、TaBCON、TaHfO、TaHfN、TaHfON、TaHfCON、TaSiO、TaSiN、TaSiON及びTaSiCON等を挙げることができる。安定層19として、Taの酸化膜や酸窒化膜を用いれば、洗浄により安定層19中の組成の変化は生じないため、より安定した安定層19を形成できる。
また、安定層19としてRu系材料を含む膜(Ru系膜)を使用できる。安定層19としてRu系膜を用いれば、反射率を1%以下に維持しつつ吸収層14を更に薄膜化できる。
安定層19の膜厚は、10nm以下が好ましい。安定層19の膜厚は、7nm以下がより好ましく、6nm以下がさらに好ましく、5nm以下が特に好ましく、4nm以下が最も好ましい。安定層19の膜厚は、1nm以上がより好ましく、2nm以上がさらに好ましく、3nm以上が特に好ましい。
安定層19は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法又は反応性スパッタリング法等の公知の成膜方法を用いて形成することができる。なお、反応性スパッタリング法は、例えば、ターゲットに、Ta、Sn又はSnTaを使用し、スパッタガスとしてArやKr等の不活性ガスに酸素や窒素を混合した混合ガスを使用する方法である。
反射型マスクブランク10Bは、吸収層14上に安定層19を有することで、吸収層14の耐洗浄性をさらに高くできる。安定層19を有することにより、強固で安定した膜を再現性良く形成でき、反射型マスクブランク及び反射型マスクの特性を安定化できる。また、図10に示すようにドライエッチング後には吸収層14の側壁が露出する。しかし、洗浄後、吸収層14の側壁には、不動態皮膜15が形成されるので、洗浄により吸収層14がエッチングされることを抑制でき、吸収層14は保護される。
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る反射型マスクブランクについて、図面を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。図11は、第3の実施形態に係る反射型マスクブランクの概略断面図である。図11に示すように、反射型マスクブランク10Cは、図9に示す反射型マスクブランク10Bの吸収層14と安定層19との間であって、吸収層14の上に防止層21を有する。すなわち、反射型マスクブランク10Cは、基板11、反射層12、保護層13、吸収層14、防止層21及び安定層19を、基板11側からこの順に積層して構成している。
防止層21を形成する材料としては、Ta、Cr又はSiを用いることができる。これらの元素は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
防止層21は、Ta単体、Cr単体、Si単体、Taの窒化物、Crの窒化物、Siの窒化物、Taのホウ化物、Crのホウ化物、Siのホウ化物又はTaのホウ素窒化物を用いることができる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
防止層21の好ましい組成は、例えば、Ta、TaN、TaB又はTaBNである。例えば、安定層19がTaの酸化物、酸窒化物又は酸ホウ化物を含むとする。この場合、防止層21がこれらの材料であれば、防止層21と安定層19とを成膜する際に、同じターゲットを用いることができる。そのため、必要な成膜室の数を削減できる等、反射型マスクブランク10Cの生産性に優れる。
防止層21は、さらに、He、Ne、Ar、Kr又はXe等の元素を含んでもよい。
防止層21は、酸素を含有しない層である。酸素を含有しないとは、防止層21を成膜した直後には、防止層21の表面及び内部に酸素が存在しないことをいう。安定層19を成膜する際に、酸素を含む反応性スパッタリング法を用いると、防止層21が酸素と接触する面には、防止層21に含まれる成分が酸素と反応(酸化)することで、防止層21の表面に酸化物の膜が生成される場合がある。なお、酸素を含有しないとは、防止層21を成膜した後の工程で、防止層21が酸素と接触した面において生成した酸化物の膜がある場合、その酸化物の膜に含まれる酸素は含まない。一方、吸収層14と防止層21との界面は、酸素に触れることがないため、防止層21の吸収層14との界面及びその近傍には酸素は含まれない。なお、近傍とは、界面から防止層21の深さ方向に数nmの範囲をいう。
防止層21は、マグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタリング法等の公知の成膜方法を用いて形成できる。例えば、防止層21として、マグネトロンスパッタリング法を用いてTa膜、TaB膜又はSi膜を形成する場合、Ta、TaB又はSiを含むターゲットを用い、スパッタガスとして、He、Ar又はKr等の不活性ガスを用いることにより、防止層21が成膜される。
防止層21の膜厚は、反射型マスクブランク10Cのパターンの厚さを抑える点から、数nm程度であればよく、10nm以下であることが好ましい。防止層21の膜厚は、8nm以下がより好ましく、6nm以下がさらに好ましく、5nm以下が特に好ましく、4nmが最も好ましい。防止層21の膜厚は、0.5nm以上がより好ましく、1nm以上がさらに好ましく、1.5nm以上が特に好ましく、2nm以上が最も好ましい。防止層21の膜厚は、例えば、XRRやTEM等を用いて測定できる。
吸収層14が酸素と接触すると、吸収層14の表面に存在する、一部のSnが酸素と反応して、吸収層14の表面にSnを含む微粒子等の析出物が発生する可能性がある。例えば、安定層19が反応性スパッタリング法を用いて形成される場合、上述の通り、スパッタガスとしてHe、Ar又はKr等の不活性ガスに酸素を混合した混合ガスが使用される。吸収層14の表面がスパッタガスである混合ガスに触れると吸収層14の表面に析出物が発生する可能性がある。
防止層21は、上述の通り、吸収層14の上に、スパッタガスとしてHe、Ar又はKr等の不活性ガスのみを使用して成膜される。そのため、吸収層14が酸素等のガスに触れる前に防止層21を形成することで、吸収層14が酸素に触れることを防止できるので、吸収層14の表面に析出物が発生することを防止できる。
よって、反射型マスクブランク10Cは、吸収層14の上に防止層21を有することで、吸収層14の表面に析出物が発生することを防止できるため、反射型マスクの作製時に、反射型マスクに欠陥が発生するのを抑制できる。これにより、欠陥のない膜を安定して形成できる。
反射型マスクブランク10Cは、防止層21を、Ta、Cr又はSiの少なくとも1つ以上の元素を含んで形成できる。これらの元素はドライエッチングが容易であり、洗浄耐性にも優れる。よって、防止層21がTa等を含んで構成すれば、吸収層14がSnを含んでいても、吸収層14の表面の酸化を防止しつつ、洗浄耐性の強い吸収体パターン141(図7参照)が形成できる。
反射型マスクブランク10Cは、防止層21を、Ta単体、Cr単体、Si単体、Taの窒化物、Crの窒化物、Siの窒化物、Taのホウ化物、Crのホウ化物、Siのホウ化物又はTaのホウ素窒化物を用いて形成できる。これらの単体、窒化物、ホウ化物及びホウ素窒化物はアモルファスであるため、吸収体パターン141(図7参照)のエッジラフネスを抑制できる。よって、防止層21をTaの窒化物等を含んで構成すれば、Snを含む吸収層14の表面の酸化を防止しつつ、高精度の吸収体パターン141(図7参照)が形成できる。
反射型マスクブランク10Cは、防止層21に、He、Ne、Ar、Kr又はXeの少なくとも1つ以上の元素を含んで形成できる。防止層21の成膜時にこれらの元素がスパッタガスとして使用されることで、これらの元素が防止層21に微量含まれる場合がある。この場合でも、防止層21の性質に影響を与えることなく、防止層21の機能を発揮できる。
反射型マスクブランク10Cは、防止層21膜厚を10nm以下とすることができる。これにより、防止層21の厚さを抑えることができるので、反射型マスクブランク10Cは、吸収体パターン141(図7参照)と、その上に形成される防止層21および安定層19のパターンとの全体の厚さを抑えることができる。
<例1>
例1−1は実施例であり、例1−2は比較例である。
[例1−1]
(反射型マスクブランクの作製)
成膜用の基板として、SiO2−TiO2系のガラス基板(外形が約152mm角、厚さが約6.3mm)を使用した。なお、ガラス基板の熱膨張係数は0.02×10−7/℃であった。ガラス基板を研磨して、表面粗さが二乗平均平方根粗さRqで0.15nm以下であり、平坦度が100nm以下の平滑な表面に加工した。ガラス基板の裏面上には、マグネトロンスパッタリング法を用いて、膜厚が約100nmのCr層を成膜し、静電チャック用の裏面導電層(導電膜)を形成した。Cr層のシート抵抗値が100Ω/□程度であった。Cr膜を用いてガラス基板を固定した後、ガラス基板の表面上にイオンビームスパッタリング法を用いて、Si膜及びMo膜を交互に成膜することを40周期繰り返した。Si膜の膜厚は、約4.5nmとし、Mo膜の膜厚は、約2.3nmとした。これにより、合計の膜厚が約272nm((Si膜:4.5nm+Mo膜:2.3nm)×40)の反射層(多層反射膜)を形成した。その後、反射層の上に、イオンビームスパッタリング法を用いてRu層(膜厚が約2.5nm)を成膜して、保護層(保護膜)を形成した。次に、保護層の上に、Sn−Ta合金からなる吸収層(吸収体膜)をマグネトロンスパッタリング法により成膜した。スパッタガスにはArガスを用いた。スパッタに用いたターゲットは、Snが60at%、Taが40at%であったが、スパッタされた吸収層中のTa含有量は、48at%であった。なお、吸収層中のSn含有量及びTa含有量は、蛍光X線分析法(XRF)(オリンパス社製、Delta)を用いて測定した。吸収層のスパッタ時にステージの回転を止めることにより、面内で、30〜53nmの大きな膜厚分布を有する吸収層を得た。これにより、図6に示す反射型マスクブランク10Aを作製した。吸収層の膜厚は、X線回折装置(株式会社リガク社製、SmartLab HTP)を用いてXRRにて測定した。なお、同装置を用いたX線回折(XRD)測定結果よりSn−Ta合金からなる吸収層はアモルファスであることが確認された。
(吸収層の膜厚と反射率との関係)
反射型マスクブランクの吸収層の膜厚と反射率の関係を測定した。反射率の測定には、マスクブランク用EUV反射率計(AIXUV社製、MBR)を用いて行った。EUV光の波長は13.5nmとした。吸収層の膜厚と反射率との関係を図12に示す。反射型マスクが十分なコントラストを得るためには、反射率を1%以下にすることが必要である。
[例1−2]
例1−1において、吸収層をSn−Ta合金に代えて、TaNを用いて作製したこと以外は、例1−1と同様にして行った。吸収層の膜厚と反射率との関係を図12に示す。
図12に示すように、例1−1の方が例1−2よりも反射率は小さかった。これは、Snの消衰係数の方が、Taの消衰係数よりも大きいためであると考えられる。例1−2では、吸収層の反射率が1%以下であることを維持するためには、吸収層の膜厚を約62nmまでしか薄膜化できなかった。これに対し、例1−1では、吸収層の膜厚を約40nmまで薄くできた。
よって、吸収層をSn52at%、Ta48at%含む合金を用いて形成すれば、吸収層の膜厚が40nmでも、EUV光の反射率を1%以下にできるので、十分なコントラストを得ることができる。よって、吸収層は、吸収層の膜厚を40nm以下にできることが確認された。
<例2>
例2−1〜例2−5は実施例であり、例2−6は参考例である。
[例2−1]
(吸収層の屈折率と消衰係数)
Sn−Ta合金からなる吸収層の反射率をシミュレーションした。吸収層のSn含有量を30at%、Ta含有量を70at%とした。シミュレーションには、吸収層の屈折率(n)と消衰係数(k)が必要となる。SnとTaの屈折率と消衰係数として、Center for X−Ray Optics,Lawrence Berkeley National Laboratoryのデータベースの値を用いた。波長13.5nmにおいて、Snの屈折率nは0.9416であり、消衰係数kは0.0725であり、Taの屈折率nは0.9429であり、消衰係数は0.0408である。Sn−Ta合金の屈折率及び消衰係数は、合金の密度を用いて計算できる。合金の密度は、Snの密度(7.365g/cm)と、Taの密度(16.69g/cm)を組成比で補間して計算した。
(吸収層の膜厚と反射率との関係)
吸収層の膜厚は30〜60nmとして、EUV光を、反射型マスクブランク10Aに、反射型マスクブランク10Aに対する入射角が6°となるように照射した場合を想定したシミュレーションを行った。EUV光の波長は13.5nmとした。吸収層の膜厚と反射率との関係をシミュレーションした結果を図13に示す。例1−1と同様、反射型マスクが十分なコントラストを得るためには、反射率を1%以下にすることが必要である。
[例2−2〜例2−6]
例2−1において、吸収層のSn含有量を40at%、50at%、60at%、70at%又は80at%に変更したこと以外は、例2−1と同様にシミュレーションを行った。反射型マスクブランクの吸収層の膜厚と反射率の関係をシミュレーションした結果を図13に示す。
図13に示すように、例2−1〜例2−6では、吸収層の膜厚が約40nmでEUV光の反射率が1.0%以下であった。例2−4〜例2−6では、吸収層の膜厚が約32nmでも、EUV光の反射率が1.0%以下であった。よって、吸収層のSn含有量が30〜80at%であれば、吸収層の膜厚を約40nmまで薄くしても、吸収層の反射率を1%以下に維持できるので、十分なコントラストを得ることができる。また、吸収層のSn含有量が60〜80at%であれば、吸収層の膜厚をさらに約32nmにしても、吸収層の反射率を1%以下に維持できる。しかし、例2−6の場合、吸収層のSn含有量が80at%であるため、後述するように、SPMを用いて洗浄した際、膜減りが大きい(図15参照)。
よって、吸収層は、吸収層のSn含有量が30at%以上であれば、吸収層の膜厚を40nmにまで薄膜化しても吸収層の反射率を1%以下にできることが確認された。
<例3>
例3−1及び例3−2は、実施例である。
[例3−1]
吸収層の膜厚を40nmに固定して、Sn含有量を変えて、例2−1と同様にして、EUV光の反射率をシミュレーションした。Sn含有量と反射率の関係をシミュレーションした結果を図14に示す。
[例3−2]
吸収層の膜厚を33nmに固定したこと以外は、例3−1と同様にして行った。Sn含有量が60%の場合には、EUV光の反射率は、1.0%程度であった。Sn含有量が70%の場合には、EUV光の反射率は0.8%程度であった。Sn含有量が60%の場合には、EUV光の反射率は0.6%程度であった。
(Sn含有量と反射率との関係)
図14に示すように、例3−1では、吸収層の反射率を1%以下とするためには、Sn含有量が30at%以上あれば、十分であるといえる。よって、吸収層の膜厚が40nmである場合、Sn含有量が30at%以上であれば、EUV光の反射率を1%以下にできることが確認された。例3−2では、なお、吸収層の膜厚をさらに薄く、例えば、吸収層の膜厚を33nmとする場合、Sn含有量を60at%以上とすれば、EUV光の反射率を1%以下にできることが確認された(図13の例2−4、例2−5、例2−6参照)。
したがって、吸収層の膜厚が40nmとした場合、Sn含有量を30at%以上で調整することで、EUV光の反射率を1%以下にできる。さらにSn含有率を60at%以上まで高めれば、吸収層の膜厚を33nmまで薄膜化できる。
<例4>
例4−1〜例4−4は実施例であり、例4−5は比較例であり、例4−6は参考例である。
[例4−1]
(吸収層の作製)
成膜用の基板として、Si基板を用いた。Si基板の表面上に、Sn−Ta合金からなる吸収体膜をマグネトロンスパッタリング法により成膜した。スパッタガスにはArガスを用いた。TaターゲットとSnターゲットとの2元スパッタで、吸収層中のTa含有量が約30at%、Sn含有量が約70at%となるように、膜厚が40nmまで吸収層を成膜した。
(Ta含有量と、吸収層の膜減りとの関係)
その後、洗浄液としてSPM(硫酸が75vol%、過酸化水素が25vol%)を用い、吸収層が成膜されたガラス基板を100℃に加熱したSPMに約20分間、浸漬した。Si基板をSPMから引き上げた後、Si基板に成膜された吸収層の膜厚を測定し、膜厚の減少量(膜減り)を求めた。Ta含有量と、吸収層の膜減りとの関係を表2及び図15に示す。なお、膜減りは、従来より吸収層として用いられているCr膜の膜減り以下であることが必要である。Cr膜の膜減りは、2.2nmとした。図15中、Cr膜の膜減りを破線で示す。
[例4−2〜4−6]
例4−1において、吸収層中のTa含有量及びSn含有量を、それぞれ、表2に示す値に変更したこと以外は、例4−1と同様にして行った。Ta含有量と、吸収層の膜減りとの関係を表2及び図15に示す。
図15に示すように、例4−1〜例4−3は、Cr膜よりも膜減りが小さかった。一方、例4−5は、Cr膜よりも膜減りが大きかった。例4−4及び例4−6は、吸収層の膜厚が増えた。これは、洗浄液に浸漬した際に、吸収層の表面に不動態皮膜が形成し、成長したためと考える。例4−6の吸収層は、洗浄耐性を有するが、Sn含有量が低いため反射率が大きくなる。
図15より、吸収層中のTa含有量が25at%以上であれば、吸収層として従来用いられているCr膜以上の洗浄耐性を得ることができる。したがって、吸収層は、吸収体パターンを安定して形成できることを確認された。
<例5>
例5−1は実施例であり、例5−2は比較例である。
[例5−1]
(吸収層の作製)
例4−1と同様の吸収層をSi基板に成膜した。
(Ta含有量と、エッチング速度との関係)
吸収層が成膜されたガラス基板を、ICPプラズマエッチング装置を用いて、エッチングした。エッチングガスは塩素(Cl2)ガスを用いた。ICPソースパワーは100W、バイアスパワーは40Wとした。吸収層及びTaN膜の膜厚は、XRRを用いて測定した。エッチング後の吸収層の膜厚を測定し、吸収層のエッチング速度を測定した。エッチング速度を測定した結果を図16に示す。
[例5−2]
例5−1において、吸収層をSn−Ta合金に代えて、TaNを用いて作製したこと以外は、例5−1と同様にして行った。エッチング速度を測定した結果を図16に示す。
図16に示すように、例5−1の方が例5−2よりもエッチング速度は速かった。よって、吸収層を、Snを70at%、Taを30at%含むSn−Ta合金を用いて形成すれば、TaN等の従来から用いられている材料で形成された吸収層よりも、Cl2ガスで容易にエッチングできる。よって、吸収層は、エッチング加工し易い。
<例6>
例6は、実施例である。
(反射型マスクブランクの作製)
例1−1と同様にして、反射型マスクブランクを作製した。その後、吸収層の上にTaOからなる安定層をマグネトロンスパッタリング法により約4nm成膜した。これにより、図9に示す反射型マスクブランクを作製した。
(反射率の測定)
作製した反射型マスクブランクの上(+Z軸方向)から、反射型マスクブランクの表面に、波長13.53nmのEUV光を入射角6°で入射させ、反射型マスクで反射されたEUV光の反射率を測定した。その結果、吸収層と安定層との総膜厚が40nmの部分において、EUV光の反射率は、約0.8%であった。
よって、吸収層と安定層の総膜厚が約40nmの反射型マスクブランクでも、EUV光の反射率を1%以下にできる。よって、本実施形態の反射型マスクブランクは、従来の反射型マスクブランクよりも吸収層の薄膜化を図ることができる。
<例7>
例7は、実施例である。
(反射型マスクブランクの作製)
例1−1と同様にして、反射型マスクブランクを作製した。その際、ガラス基板の熱膨張係数は0.02×10−7/℃以下とし、吸収層(吸収体膜)の膜厚は40nmとした。その後、吸収層(吸収体膜)の上に、Taからなる防止層をマグネトロンスパッタリング法により2nm成膜し、さらに防止層の上に、TaOからなる安定層を反応性スパッタ法を用いて2nm成膜した。これにより、図11に示す反射型マスクブランク10Cを作製した。なお、防止層をマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜する際、スパッタガスにはArガスを用いた。安定層を反応性スパッタ法を用いて成膜する際、スパッタガスとしてAr及び酸素を混合した混合ガスを用い、Arの流量は40sccmとし、酸素の流量は30sccmとした。
成膜後の反射型マスクブランクの防止層及び安定層をXRRで測定したところ、Taの膜厚は0.9nm、TaOの膜厚は4.6nmとなっていた。これはTa膜上にTaO膜を成膜する際に、スパッタガス中に含まれる酸素とTa膜のTaが反応してTaO膜となり、膨張したためだと考えられる。
その後、図11に示す反射型マスクブランク10Cを、ドライエッチング装置を用いてドライエッチングした。ドライエッチングは、F系ガスを用いて防止層及び安定層を除去した後、Cl系ガスを用いて吸収層を除去した。
(反射型マスクブランクの表面の観察)
反射型マスクブランクの表面を走査型電子顕微鏡(カール・ツァイス社製、Ultra60)を用いて観察したところ、微粒子等の析出物は観察されなかった。本例では、防止層を成膜する際、スパッタガスとしてはArのみを用いている。そのため、吸収層の表面が酸素を含む雰囲気に晒されることがないため、吸収層の表面に存在するSnが酸素と反応することはない。これにより、吸収層の表面に析出物が発生することが抑えられたといえる。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10A〜10C 反射型マスクブランク
11 基板
12 反射層
13 保護層
14 吸収層
15 表面酸化膜(不動態皮膜)
16 ハードマスク層
17 裏面導電層
18 レジスト層
19 安定層
20 反射型マスク
21 防止層

Claims (19)

  1. 基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収層とを基板側からこの順に有する反射型マスクブランクであって、
    前記吸収層は、Snを主成分として含有し、かつTaを25at%以上含有する反射型マスクブランク。
  2. 前記吸収層のSnの含有量は、30at%以上である請求項1記載の反射型マスクブランク。
  3. 前記吸収層の膜厚は、40nm以下である請求項1又は2記載の反射型マスクブランク。
  4. 前記吸収層の硫酸過水に対するエッチング速度は、0.10nm/分以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の反射型マスクブランク。
  5. 前記吸収層は、N、O、B、Hf、Si、Zr、Ge、Pd及びHからなる群から選択される1種以上の元素を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  6. 前記吸収層の上に安定層を有する請求項1〜5の何れか一項に記載の反射型マスクブランク。
  7. 前記安定層は、TaとSnとを含む酸化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物及び酸ホウ化物、Taの酸化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物及び酸ホウ化物、並びにRuを含むRu系材料からなる群から選択される1種以上の化合物を含有する請求項6に記載の反射型マスクブランク。
  8. 前記安定層の膜厚は、10nm以下である請求項6又は7に記載の反射型マスクブランク。
  9. 前記吸収層の上に防止層を有する請求項6〜8の何れか一項に記載の反射型マスクブランク。
  10. 前記防止層は、前記吸収層と前記安定層との間に形成される請求項9に記載の反射型マスクブランク。
  11. 前記防止層は、Ta、Cr及びSiからなる群から選択される1種以上の元素を含有する請求項9又は10に記載の反射型マスクブランク。
  12. 前記防止層は、Ta単体、Cr単体、Si単体、Taの窒化物、Crの窒化物、Siの窒化物、Taのホウ化物、Crのホウ化物、Siのホウ化物及びTaのホウ素窒化物からなる群から選択される1種以上の成分を含有する請求項11に記載の反射型マスクブランク。
  13. 前記防止層は、He、Ne、Ar、Kr、および、Xeからなる群より選択される1種以上の元素を含む請求項9〜12の何れか一項に記載の反射型マスクブランク。
  14. 前記防止層の膜厚は、10nm以下である請求項9〜13の何れか一項に記載の反射型マスクブランク。
  15. 前記反射層と前記吸収層との間に保護層を有する請求項1〜14の何れか一項に記載の反射型マスクブランク。
  16. 前記吸収層の上又は前記吸収層の最表面側の層の上にハードマスク層を有する請求項1〜15の何れか一項に記載の反射型マスクブランク。
  17. 前記ハードマスク層は、Cr又はSiの少なくとも一方の元素を含む請求項16に記載の反射型マスクブランク。
  18. 請求項1〜17の何れか一項に記載の反射型マスクブランクの前記吸収層に、パターンが形成されている反射型マスク。
  19. 基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収層とをこの順に有する反射型マスクブランクの製造方法であって、
    前記基板上に前記反射層を形成する工程と、
    前記反射層の上に、Snを主成分として含有し、かつTaを25at%以上含有する吸収層を形成する工程と、
    を含む反射型マスクブランクの製造方法。
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