JP2019052395A - 海島型複合繊維及び極細繊維 - Google Patents

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泰之 米田
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卓 中島
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慧 須之内
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Abstract

【課題】 生産性、品質が良好で、海成分のアルカリ減量除去の際のトラブルの発生が少ない海島型複合繊維を得ると共に、該複合繊維の海成分をアルカリ減量除去することにより、極細繊度でありながら、破断強度、破断伸度、および伸長弾性率(フィット性)に優れた、ポリトリメチレンテレフタレートからなる極細繊維を得ること。
【解決手段】 上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に達した。
すなわち、本発明によれば、
溶解性の異なる2種類のポリマーからなる海島型複合繊維であって、海成分を構成するポリマーのガラス転移温度が60℃以下、かつ融点が220℃以下であり、島成分としてポリトリメチレンテレフタレートを90重量%以上含むポリマーからなり、島成分径が50〜1,500nm、海島型複合繊維の伸長弾性率が65%以上となる海島型複合繊維である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、海成分がポリトリメチレンテレフタレートからなる海島型複合繊維であり、該海島型複合繊維を用いた破断強度、破断伸度、および伸長弾性率に優れたポリトリメチレンテレフタレート極細繊維に関するものである。
極細繊維の実用化においては、極細繊維の繊維径の均一性と生産性の向上が課題となっている。かかる極細繊維の製造方法としては、海島型複合紡糸法、直接紡糸法、さらに最近注目を集めているエレクトロスピニングなどがある。このうち、直接紡糸法は細繊度化が難しいという問題があり、エレクトロスピニングは数十nmレベルの繊維径を持つ不織布の製造は可能であるが、繊維径のばらつきが大きく、強度が弱いために応用面で限界があり、また、製造方法が、溶剤や高電圧を使用するなど、安全性や環境負荷の観点から問題がある。
これに対して、海島型複合紡糸法では、例えば、海成分と島成分となるポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸した繊維から海成分を抽出除去して極細繊維を得る方法(特許文献1)が知られており、かかる方法は従来ある装置で容易に製造できることから広く利用されている。
しかし、この方法により得られた極細繊維は繊維径のばらつきが大きいという問題点がある。
一方、繊維径の均一な極細繊維を作成するためには、断面形状が海島型である複合繊維から海成分を溶解除去する方法が知られている。
海成分ポリマーの溶解速度が遅いと、繊維断面中央部の海成分を溶解する間に、分離した最外層にあった島成分が溶解されて、島成分の太さ斑などによる強度劣化が発生し、毛羽や染め斑が起こる。
かかる問題に対して、海成分ポリマーの溶解速度を早くするために、特許文献1では、6〜15mol%の5−ナトリウムスルホイソフタル酸、分子量4,000〜12,000のポリエチレングリコールを特定の範囲で共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分に用いた複合繊維が提案されている。
一方、近年のファブリック需要として、伸縮性、フィット性が求められており、ポリエチレンテレフタレートにくらべて、伸長弾性率に優れるポリトリメチレンテレフタレート繊維が注目されている。
特許文献2にはポリトリメチレンテレフタレートを用いた海島型複合繊維が提案されているが、さらなるフィット性を高めるために、0.01dtexよりさらに細繊度で、かつ物性に優れたポリトリメチレンテレフタレートからなる海島型複合繊維及び極細繊維が求められていた。
特開2007−100253号公報 特開2001−348735号公報
生産性、品質が良好で、海成分のアルカリ減量除去の際のトラブルの発生が少ない海島型複合繊維を得ると共に、該複合繊維の海成分をアルカリ減量除去することにより、極細繊度でありながら、破断強度、破断伸度、および伸長弾性率(フィット性)に優れた、ポリトリメチレンテレフタレートからなる極細繊維を得ること。
上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に達した。
すなわち、本発明によれば、
溶解性の異なる2種類のポリマーからなる海島型複合繊維であって、海成分を構成するポリマーのガラス転移温度が60℃以下、かつ融点が220℃以下であり、島成分としてポリトリメチレンテレフタレートを90重量%以上含むポリマーからなり、島成分径が50〜1,500nm、海島型複合繊維の伸長弾性率が65%以上となる海島型複合繊維である。
生産性、品質が良好で、海成分のアルカリ減量除去の際のトラブルの発生が少ない海島型複合繊維を得ることができる。そして、該複合繊維の海成分をアルカリ減量除去することにより、極細繊度でありながら、物性、ぬめり性、およびフィット性に優れたポリトリメチレンテレフタレートからなる極細繊維を得ることができる。
本発明の海島型複合繊維を紡糸するために用いる口金の概略図。
本発明は、易溶解性ポリマーを海成分、難溶解性ポリマーを島成分として海島型に複合した溶融ポリマーを、複合紡糸口金(図1)から溶融吐出し、これを巻き取って海島型複合繊維を得る。得られた海島型複合繊維を、アルカリ溶液に浸漬し、海成分を溶解して極細繊維を得る。
(海島型複合繊維)
本発明において、易溶解性ポリマー、難溶解性ポリマーとは、アルカリ水溶液に対して溶解性の異なる2種類のポリマーにおいて、溶解性の高い方を易溶解性ポリマー、溶解性の低い、つまり溶けにくい方を、難溶解性ポリマーという。
また、海島型複合繊維の海成分:島成分の重量比率は50:50〜10:90の範囲、好ましくは40:60〜15:85の範囲とする。
海成分の割合が50%を超える場合は、海成分の溶解に必要な溶剤の量が多くなり、生産性が低下するだけでなく、安全性や環境負荷の点でも好ましくない。一方、海成分の割合が10%未満の場合には島同士が膠着する可能性が高くなり、均一な繊維径の極細繊維が得られにくくなる。
海島型複合繊維の海成分を構成する易溶解性ポリマーは、ガラス転移温度が60℃以下で、かつ融点が220℃以下である。
海成分ポリマーのガラス転移温度が60℃以下、かつ融点が220℃以下の条件を満たさないと、海島型複合繊維の破断強度、破断伸度をそれぞれ2.0cN/dtex以上、20〜50%としようとした際に、海島型複合繊維紡糸時の断糸が増加し、工程安定性が悪化する傾向にある。
また、海成分のガラス転移温度の下限は160℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。
海成分の融点が160℃未満であると、島成分の融点との差が大きくなり、海島型複合繊維の紡糸時の工程安定性が悪くなる。
上記、海島型複合繊維の島成分を構成するポリマーは、ポリトリメチレンテレフターレートが好ましい。島成分にポリトリメチレンテレフタレートを用いることによって、伸長弾性率の良好な複合繊維を得ることができる。また、該複合繊維の海成分をアルカリ減量除去することにより極細繊度でありながら、かつ破断強度、破断伸度、および伸長弾性率に優れた極細繊維をつくることができる。
生産性、物性が損なわれない範囲で島成分ポリマー中に他のポリマーを10重量%以下の範囲で含んでもよい。
よって、島成分としてポリトリメチレンテレフタレートを90重量%以上含み、好ましくは95%重量%以上含み、より好ましくは100重量%である。
海島型複合繊維を構成する島数は100〜1,000、好ましくは200〜900、さらに好ましくは300〜800である。
島数が多いほど海成分を溶解除去して極細繊維を製造する場合の生産性が高くなり、しかも得られる極細繊維の細さも顕著となって極細繊維特有のぬめり感を得ることができる。
島数が100未満の場合は、海成分を溶解除去しても繊維径の小さい超極細繊維が得られ難くなる。また、島数が1,000より多くなりすぎると紡糸口金の製造コストが高くなるだけではなく、加工精度自体も低下しやすくなる。
次に、島成分径(直径)は50〜1,500nm、好ましくは100〜1,000nm、より好ましくは150〜900nm、最も好ましくは200〜800nmである。島成分径が50nm未満の場合には、繊維構造が不安定で物性や繊維形態が不安定で好ましくなく、一方、島成分径が1,500nmを超える場合には、極細繊維特有のぬめり感が得られない。
島成分径が、1,500nm以下でぬめり感が得られるが、1,000nm以下であれば、さらなるぬめり感が得られる。
海成分である易溶解ポリマーは、島成分である難溶解性ポリマーと比較し、溶解速度比(海成分/島成分)が200倍以上、好ましくは300倍以上であることが好ましい。溶解速度比が200倍未満の場合には、海島型複合繊維の断面中央部の海成分を溶解する間に、分離した繊維断面表層部の島成分が溶解されるため、島成分の太さ斑や島成分自体の溶剤侵食につながり、本発明の目的とする均一な繊維径の極細繊維が得ることができないおそれがある。
海成分を形成する易溶解性ポリマーとしては、特に繊維形成性の良いポリエステル類、脂肪族ポリアミド類、ポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン類を好ましい例としてあげることができる。中でも繊維成型性に優れることからポリエステル類がとくに好ましい。
ポリエステル系ポリマーの中でも、ポリエチレングリコール、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、およびジエチレングリコールを含むポリエステル共重合体が好ましい。
ここで、海成分の構成について、以下に述べる。
本願発明の海成分の構成は、ジカルボン酸(A)、ジオール(B)、そしてポリエチレングリコール(C、またはPEG)からなる。
ジカルボン酸(A)の一部に用いる、5−ナトリウムスルホイソフタル酸は、親水性と溶融粘度の向上を目的とし、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性の向上、ジオール(B)として用いるジエチレングリコール(DEG)はガラス転移点、および融点の調整と親水性の向上に寄与する。
海成分であるポリエステル共重合体中の、前記5−ナトリウムスルホイソフタル酸は、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分(A)中に対して、4〜14モル%、好ましくは6〜12モル%含むことが好ましい。
5−ナトリウムスルホイソフタル酸が4モル%未満であると、海成分を構成する易溶解性ポリマーの溶解速度が低くなるため、繊維断面中央部の海成分が完全に溶解除去されていないにもかかわらず、既に分離した繊維断面表層部の島成分がさらに侵食され、島成分の太さ斑が発生するだけでなく、強度劣化が発生して、毛羽や染め斑が起こるなどの問題が生じる。
一方、14モル%を超えると、固有粘度が低下し、高速紡糸性が悪くなる。
海成分であるポリエステル共重合体中の、ポリエチレングリコール(PEG)の量は、ポリエステル共重合体(A+B+PEG)100重量%中の1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、さらに好ましくは3〜6重量%である。
PEGの共重合量が1重量%未満であると、海成分を構成する易溶解性ポリマーの溶解速度が低くなり、繊維断面中央部の海成分が完全に溶解除去されていないにもかかわらず、既に分離した繊維断面表層部の島成分がさらに侵食されるため、島成分の太さ斑が発生するだけでなく、強度劣化が発生して、毛羽や染め斑が起こるなどの問題が生じる。
一方、PEGの量が10重量%を超えると、溶融粘度が低下し高速紡糸性が悪くなる。
また、PEGの分子量は2,000〜14,000、好ましくは3,000〜12,000の範囲である。14,000を超えると、高次構造に起因すると考えられる親水性増加作用はあるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、紡糸における耐熱性や高速紡糸安定性の面で問題が生じることがある。
次に、易溶解性ポリマーであるポリエステル共重合体中の前記ジオール(B)中のジエチレングリコール(DEG)の量は、5モル%以上、好ましくは7モル%以上である。DEGの量が5モル%未満の場合、ガラス転移温度が60℃以上、融点が220℃以上となり、海島型複合繊維の破断強度、破断伸度をそれぞれ2.0cN/dtex以上、20〜50%としようとした際に、複合繊維紡糸時の断糸が増加し、工程安定性が悪化する傾向があるので好ましくない。
この他、ガラス転移温度及び融点を調整するために、エチレングリコール(EG)以外のジオール成分、例えば1.4ブタンジオール(TMG)をジオール成分に加えても良い。
また、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が、島成分の溶融粘度よりも大きいことにより、海島断面形成性が良好となる。
この条件を満たしていれば、海成分ポリマーの重量が海島型複合繊維に対して50%以下になっても、島同士が膠着しにくくなる。島同士が膠着してしまうと、海成分を溶解除去した際に極細繊維だけではなく異形繊維まで作成されることとなり、染め斑やピリングなど品位に問題が生じやすくなる。
上述のように、海島型複合繊維を構成する各ポリマーの溶融粘度比(海成分/島成分)は、1.1〜5.0が必要であり、好ましくは1.2〜4.0、さらに好ましくは1.3〜3.0の範囲である。この比が1.1未満の場合には溶融紡糸時に島同士が膠着しやすくなる。
一方、5.0を超えると粘度差が大きすぎるために、紡糸性が低下しやすい。
溶融紡糸に用いられる口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば、中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島型断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。好ましく用いられる紡糸口金例を図1に示す。
溶融吐出された海島型複合繊維は、冷却風により固化され巻き取られる。この巻取り速度としては、1,000〜5,000m/minであることが望ましい。巻取り速度が1,000m/min未満では生産性が悪く、一方5,000m/minを超えると紡糸安定性が悪くなる傾向にある。
本発明の海島型複合繊維の製造方法において、前記引き取られた海島型複合繊維を、60〜220℃の温度において、配向結晶化延伸する工程をさらに含んでいてもよい。本発明の海島型複合繊維の製造方法において、前記引き取られた海島型複合繊維を、温度60〜150℃の余熱ローラー上で余熱し、延伸倍率1.2〜6.0、好ましくは2.0〜5.0で延伸し、120〜220℃のセットローラー上で熱セットして巻き取る工程をさらに含んでいてもよい。
海島型複合繊維の10%伸長時の伸長弾性率は65%以上、好ましくは70%以上である。伸長弾性率が65%以上であれば、繰返しの取扱いや長期保存等でのへたりが減る傾向にある。
海島型複合繊維の破断強度は2.0cN/dtex以上、好ましくは2.5cN/dtex以上とすることが好ましい。2.0cN/dtex未満では実用上の耐久性が望めず好ましくない。破断伸度は20〜50%、好ましくは25〜40%とすることが好ましい。20%未満では風合いが硬くなり、後工程で毛羽や断糸が発生しやすくなり取扱い性が低下する。一方、50%を超えると品質安定性が低下し、十分な強度も得られなくなる傾向にあり好ましくない。
(極細繊維)
また、この海島型複合繊維を、例えば織物や編物などの布帛に成形し、海成分を溶解することによって、海島型複合繊維を分割し、極細繊維からなる長繊維を得ることができる。
極細繊維の直径は、50〜1,500nm、好ましくは100〜1,000nm、より好ましくは150〜900nm、最も好ましくは200〜800nmである。
極細繊維が50nm未満の場合には、繊維構造が不安定で物性や繊維形態が不安定で好ましくなく、一方1,500nmを超えると、極細繊維特有のぬめり感が得られず好ましくない。
上記のポリトリメチレンテレフタレートからなる極細繊維において、破断強度は2.0cN/dtex、好ましくは2.5cN/dtex以上である。2.0cN/dtex未満では実用上の耐久性が望めず好ましくない。
破断伸度は20〜100%、好ましくは25〜90%である。
20%未満では風合いが硬くなり、後工程で毛羽や断糸が発生しやすくなり取扱い性が低下する。一方100%を超えると品質安定性が低下し、十分な強度も得られなくなる傾向にあり好ましくない。
また、極細繊維の10%伸長時の伸長弾性率は65%以上、好ましくは70%以上である。
伸長弾性率が65%以上とすることで、本願の極細繊維で構成する布帛の伸縮性、フィット性(肌触り)が優れる。一方、伸長弾性率が65%未満となると、満足のいくフィット性が得られない。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。各評価項目は下記の方法で測定した。
(1)溶融粘度
乾燥処理後のポリマーを、紡糸時のメルター溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1,000秒−1の時の溶融粘度を見る。
また、本願における溶融粘度比とは、海成分と島成分の溶融粘度の比率(海成分/島成分)から求めた。
(2)海成分ポリマーの融点:Tm
規定量のポリマーチップをアルミサンプルパンに封入し、DSCにて窒素雰囲気下で室
温〜300℃まで昇温速度10℃/minで昇温した昇温曲線から融点を測定した。
(3)海成分ポリマーのガラス転移点:Tg
規定量のポリマーチップをアルミサンプルパンに封入し、DSCにて窒素雰囲気下で室
温〜300℃まで昇温速度10℃/minで昇温した昇温曲線からガラス転移点を測定し
た。
(4)海島型複合繊維の破断強度、破断伸度
海島型複合繊維10,000mの重量をn=3回測定して平均値から繊度を求めた。そして、室温で初期試料長=200mm、引っ張り速度200m/minとして荷重−伸長曲線を作成した。上記チャートから、海島型複合繊維の破断強度(cN/dtex)及び破断伸度(%)を求めた。
(5)海島型複合繊維の伸長弾性率
JIS L 1013A法に準じて 室温で初期試料長=200mm、引っ張り速度100m/minとして10%伸長時の伸長弾性率を測定した。
(6)島成分径(直径)
海島型複合繊維を繊維長方向と垂直の方向に繊維断面を切断し、繊維断面を30,000倍でTEM観察により、1本の複合繊維内の島成分について、それぞれの島成分の直径を観察し、n=100の平均から島成分径を測定した。
(7)極細繊維の破断強度、破断伸度
海島型複合繊維糸から、質量1g以上の筒編み布を作製し、この編布を溶剤処理した。海成分を除去した。得られた微細繊維束からなる編物をほどき、得られた微細繊維束の荷重−伸長曲線チャートを、室温、初期試料長=100mm、引張速度=200m/minの条件下に作成した。上記チャートから、破断強度(cN/dtex)及び破断伸度(%)を求めた。
(8)極細繊維の伸長弾性率
JIS L 1013A法に準じて 室温で初期試料長=200mm、引張り速度100m/minとして10%伸長時の伸長弾性率を測定した。
(9)極細繊維の直径
海島型複合繊維糸から、質量1g以上の筒編み布を作製、この編布を溶剤処理し、海成分を除去し、得られた微細繊維束からなる編物をほどき、繊維長方向と垂直の方向に繊維断面を切断し、繊維断面を30,000倍でTEM観察により、n=100の単繊維径を測定しその平均値を求めた。
(10)海島溶解速度比
海成分ポリマーおよび島成分ポリマーを各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1,000〜2,000m/minの紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、75de/24filのマルチフィラメントを作成する。
これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。これにより、溶解速度に対する海成分の溶解速度の比(海島溶解速度比=海島成分の溶解速度/島成分の溶解速度×100)を求め、海島溶解速度比が200倍以上の場合を○、200倍未満の場合を×とした。
(11)ぬめり感
モニター7人に対して官能試験を実施し、2段階評価した。
○ : 極細繊維特有のぬめり感があると評価した人が5人以上
× : 極細繊維特有のぬめり感があると評価した人が4人以下
(12)フィット性
モニター7人に対して官能試験を実施し、2段階評価した。
○ : フィット性(伸縮性)が良好と評価した人が5人以上
× : フィット性(伸縮性)が良好と評価した人が4人以下
[実施例1]
260℃での溶融粘度が1,900poiseのポリトリメチレンテレフタレート(PTT:Dupont社製)を島成分とし、260℃での溶融粘度が2,500poiseであり、全ポリマー重量に対して平均分子量4,000のポリエチレングリコール(PEG)を3wt%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(SIP)をポリエステルを構成するジカルボン酸成分に対して9mol%、またポリエステルを構成するジオール成分に対して、エチレングリコール(EG)を92mol%、ジエチレングリコール(DEG)を8mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート(改質PET1)を海成分として海島型複合繊維を作製した。ここで海/島の重量比率を30/70とし、島数が867である図1の紡糸口金を用いて紡糸温度を260℃として溶融紡出し、1,500m/minで巻き取り、3倍に延伸を行った。なお、海成分ポリマーのガラス転移温度(Tg)は58℃、融点(Tm)は205℃であり、アルカリ減量速度比は1,000倍であった。この時の海島型複合繊維の破断強度は2.5cN/dtex、破断伸度は25%、伸長弾性率は82%であった。複合繊維断面をTEM観察したところ、海島断面形成性は良好であり、島成分径(直径)は700nmであった。この後、4%NaOH水溶液で80℃にて7分浸漬し、30%減量した。アルカリ減量後の極細繊維の物性は、破断強度は2.8cN/dtex、破断伸度は80%、伸長弾性率は72%であった。結果を表1に示す。
極細繊維断面をTEM観察したところ、極細繊維の直径は700nmであった。
複合繊維の物性は良好で、ぬめり感、フィット感共に満足できるものであった。
[実施例2]
260℃での溶融粘度が3,000poiseであり、全ポリマー重量に対して平均分子量4,000のポリエチレングリコール(PEG)を3wt%、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分に対して5−ナトリウムスルホイソフタル酸(SIP)を9mol%、またポリエステルを構成するジオール成分に対して、1,4ブタンジオール(TMG)を92mol%、ジエチレングリコール(DEG)を8mol%共重合した共重合ポリブチレンテレフタレート(改質PBT1)を海成分とした以外は実施例1と同様に海島型複合繊維を作製した。海成分ポリマーのガラス転移温度Tgは30℃未満であった。Tmは200℃であり、アルカリ減量速度比は500倍であった。この時、海島型複合繊維の破断強度は2.8cN/dtex、破断伸度は50%、伸長弾性率は85%であった。海島型複合繊維断面をTEM観察したところ、海島断面形成性は良好であり、島成分径は700nmであった。この後、4%NaOH水溶液で80℃にて7分浸漬し、30%減量した。アルカリ減量後の極細繊維物性は、破断強度は3.2cN/dtex、破断伸度は65%、伸長弾性率は80%であった。また極細繊維断面をTEM観察したところ、極細繊維の直径は700nmであった。結果を表1に示す。
海島型複合繊維の物性は良好で、ぬめり感、フィット感共に満足できるものであった。
[比較例1]
260℃での溶融粘度が3,000poiseであり、全ポリマー重量に対して平均分子量4,000のポリエチレングリコール(PEG)を3wt%、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分に対して5−ナトリウムスルホイソフタル酸(SIP)を9mol%、また、ポリエステルを構成するジオール成分に対して、エチレングリコール(EG)を100mol%、共重合した改質ポリエチレンテレフタレート(改質PET2)を海成分とした以外は、実施例1と同様に海島型複合繊維を作製した。海成分ポリマーのガラス転移温度Tgは71℃であり、Tmは225℃であり、アルカリ減量速度比は1,000倍であった。
この時、海島型複合繊維の破断強度は、1.5cN/dtex、破断伸度は20%、伸長弾性率は80%であった。海島型複合繊維断面をTEM観察したところ、海島断面形成性は良好であり、島成分径は700nmであった。この後、4%NaOH水溶液で80℃にて7分浸漬し、30%減量した。アルカリ減量後の極細繊維物性の破断強度は1.8cN/dtex、破断伸度は100%、伸長弾性率は72%であった。また極細繊維断面をTEM観察したところ、極細繊維の直径は700nmであった。結果を表1に示す。
極細繊維のぬめり感、フィット感は得られたものの、海島型複合繊維、極細繊維共に強度が低い結果となった。複合繊維紡糸時の断糸、工程安定性が懸念される。
[比較例2]
島成分に290℃での溶融粘度が1,000poiseのポリエチレンテレフタレート(PET:帝人製)を島成分とし、海成分ポリマーに改質PET1を用いた。
上記以外は、実施例1と同様に海島型複合繊維を作製した。海成分ポリマーのガラス転移温度Tgは58℃であり、Tmは205℃であり、アルカリ減量速度比は1,000倍であった。
この時の海島型複合繊維の破断強度は3.0cN/dtex、破断伸度は20%、伸長弾性率は60%であった。海島型複合繊維断面をTEM観察したところ、海島断面形成性は良好で、島成分径は700nmであった。この後、4%NaOH水溶液で80℃にて7分浸漬し、30%減量した。アルカリ減量後の極細繊維の物性は、破断強度は3.5cN/dtex、破断伸度は50%、伸長弾性率は40%であった。結果を表1に示す。極細繊維断面をTEM観察したところ、極細繊維の直径は700nmであった。
従来にあるPETの極細繊維に見られるぬめり感はあるものの、本願発明のトリポリメチレンテレフタレートの極細繊維よりも伸長弾性率が低いためにフィット感におとる結果となった。
[実施例3]
海島型複合繊維の島成分径を200nmに変更した以外は、実施例1と同条件で実施した。結果を表1に示す。
海島型複合繊維の物性は良好であり、極細繊維のぬめり感、フィット感共に満足できるものであった。
[実施例4]
海島型複合繊維の島成分径を900nmに変更した以外は、実施例1と同条件で実施した。結果を表1に示す。
海島型複合繊維の物性は良好であり、極細繊維のぬめり感、フィット感共に満足できるものであった。
[比較例3]
海島型複合繊維の島成分径を40nmに変更した以外は、実施例1と同条件で実施した。
複合繊維が細くなりすぎて、紡糸することができなかった。結果を表1に示す。
[比較例4]
海島型複合繊維の島成分径を1800nmに変更した以外は、実施例1と同条件で実施した。
海島型複合繊維の物性は良好であったが、極細繊維の直径が大きく、ぬめり感は満足できるものではなかった。結果を表1に示す。
Figure 2019052395
1:分配前島成分ポリマー溜め部分
2:島成分分配用導入孔
3:海成分導入孔
4:分配前海成分ポリマー溜め部分
5:個別海/島=鞘/芯構造形成部
6:海島全体合流絞り部
7:最外列の島成分分配用導入孔から外周までの距離

Claims (5)

  1. 溶解性の異なる2種類のポリマーからなる海島型複合繊維であって、海成分を構成するポリマーのガラス転移温度が60℃以下、かつ融点が220℃以下であり、島成分としてポリトリメチレンテレフタレートを90重量%以上含むポリマーからなり、島成分径が50〜1,500nm、海島型複合繊維の伸長弾性率が65%以上となる海島型複合繊維。
  2. 破断強度が2cN/dtex以上、破断伸度が20〜50%である請求項1記載の海島型複合繊維。
  3. 海成分である易溶解性ポリマーが、ポリエチレングリコール系化合物、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、およびジエチレングリコールを含むポリエステル共重合体であり、溶解速度比(海成分/島成分)が200倍以上である請求項1または2記載の海島型複合繊維。
  4. 海島型複合繊維を構成する海成分と島成分の溶融粘度比(海/島)が、1.1〜5.0の範囲である請求項1〜3記載の海島型複合繊維。
  5. 請求項1〜4記載の海島型複合繊維から、海成分を溶解除去することによって繊維を分割し、作製された極細繊維であって、極細繊維の直径が50〜1500nm、破断強度が2cN/dtex以上、破断伸度が20〜100%、伸長弾性率が65%以上であるポリトリメチレンテレフタレート極細繊維。


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