JP2019052331A - 表面処理銅微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温域において使用可能なペーストに好適に使用できる新規な表面処理銅微粒子を、水溶液中での表面処理によって製造する方法を提供する。【解決手段】BET比表面積が0.1〜10.0m2/gである銅微粒子と、式(I)〜(IV)で表される化合物から選択された化合物の水溶液を、混合する工程、を含む、低温焼結性表面処理銅微粒子の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、表面処理銅微粒子の製造方法に関する。
近年、環境保護の観点から、ガソリン車に変わって、ハイブリッド自動車、電気自動車市場の成長が見込まれている。これらのタイプでは電池搭載スペースを確保するために、従来のSiを使用したパワーモジュールから、SiC、GaN等の次世代型パワーモジュールの採用が検討されている。次世代型パワーモジュールでは、従来のパワーモジュールに比べて、耐圧が高い、高温で動作する、電流密度が高くできる、スイッチングが高速である、オン抵抗が小さいなどの利点がある。
次世代型パワーモジュールでは、動作温度が250℃を超えると言われているので、Pbフリーの、融点が220℃であるSn−3Ag−0.5Cuのはんだでチップを接合すると、動作中に接合層が溶融する可能性がある。そこで、Pbフリーの耐熱はんだとしてはAu系はんだ(Au−Sn、Au−Si、Au−Ge)の使用が検討されている(非特許文献1〜3)。しかしながら、Au系のはんだは耐熱性がある一方で、Auを使用するので、材料コストがかかる。
そこで、はんだに代わって、近年注目されているのは金属粉ペーストである。金属粉のサイズが小さいと、表面エネルギーが高く、その金属の融点よりもはるかに低い温度で粉体間の焼結が起こる。はんだとは異なり、いったん焼結すれば、その金属の融点近くまで昇温しなければ、再溶融しない。このような特徴を生かし、Ag粉ペースト、Cu粉ペーストの開発が進められている(特許文献1〜3)。
P.Alexandrov,W.Wright,M.Pan,M.Weiner,L.Jiao and J.H.Zhao,Solid−State Electron.,47(2003)p.263.
R.W.Johnson and L.Williams,Mater.Sci.Forum 483−485(2005)p.785.
S.Tanimoto,K.Matsui,Y.Murakami,H.Yamaguchi and H.Okumura,Proceedings of IMAPS HiTEC 2010(May 11−13,2010,Albuquerque,New Mexico,USA),p.32−39.
本発明者の検討によれば、特許文献1に記載されるようなAg粉ペーストも材料コストがかかる上、使用環境下によってはマイグレーション対策が必要となる。また、特許文献2に記載されるCu粉を使ったペーストは、Cu粉の表面処理をアルコール等の有機溶剤を使用して行わなければならないため、生産量が増えた場合に管理上の制約が生じる可能性がある。さらに、このCu粉はアルコール系の溶剤のみとの組み合わせでペースト化されるので、チップ搭載部へのペースト塗工方法には制約がある。特許文献3に記載されるCu粉は、水溶液中での表面処理が可能な上、低温焼成では粉体間の焼結障害となるバインダー樹脂をペーストに添加しても、バインダー樹脂の燃焼温度以下で焼成しても、粉体間での焼結が起こり、さらに、バインダー樹脂をペーストに添加可能なので、粘度制御が容易になり、チップ搭載部へのペースト塗工方法の幅が広がる点で有利であるが、一方で、より低温での接合能力にはさらに向上の余地がある。
したがって、本発明の目的は、低温域において使用可能なペーストに好適に使用できる新規な表面処理銅微粒子を、水溶液中での表面処理によって製造する方法を提供することにある。
本発明者は、これまでの鋭意研究の結果、後述する特定の有機化合物を使用することによって、水溶液中での表面処理によって表面処理微粒子の製造が可能であること、得られた表面処理銅微粒子は、低温域において使用可能なペーストに好適に使用できることを見いだして、本発明に到達した。
したがって、本発明は以下の(1)以下を含む。
(1)
BET比表面積が0.1〜10.0m2/gである銅微粒子と、以下の式(I)〜(IV)で表される化合物から選択された化合物の水溶液を、混合する工程、
を含む、低温焼結性表面処理銅微粒子の製造方法:
式(I):
(ただし、式(I)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数である)
式(II):
(ただし、式(II)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、x+y+zは3〜45の整数である)
式(III):
(ただし、式(III)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数であり、2≦n+m≦45を満たす)
式(IV):
(ただし、式(IV)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、wは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数であり、z+wは2〜45の整数である)。
(2)
銅微粒子が、乾式法で調製された銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸と混合して調製された銅微粒子である、(1)に記載の製造方法。
(3)
(1)〜(2)のいずれかに記載の製造方法によって製造された低温焼結性表面処理銅微粒子を、溶剤、バインダー樹脂と混合する工程、
を含む、銅微粒子ペーストの製造方法。
(4)
(3)に記載の製造方法によって製造された銅微粒子ペーストを使用して、300℃以下の温度で、ダイと支持体とを接合する工程、
を含む、パワーモジュールの製造方法。
(5)
(3)に記載の製造方法によって製造された銅微粒子ペーストを使用して、300℃以下の温度で、銅板と窒化物基板とを接合する工程、
を含む、パワーモジュールの製造方法。
(6)
接合する工程が、ギ酸を含む窒素雰囲気下、又は5vol%以下の水素を含む窒素雰囲気下で行われる、(4)又は(5)に記載の製造方法。
(7)
以下の式(I)〜(IV)で表される化合物から選択された化合物からなる、銅微粒子用低温焼結化表面処理剤:
式(I):
(ただし、式(I)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数である)
式(II):
(ただし、式(II)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、x+y+zは3〜45の整数である)
式(III):
(ただし、式(III)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数であり、2≦n+m≦45を満たす)
式(IV):
(ただし、式(IV)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、wは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数であり、z+wは2〜45の整数である)。
(8)
銅微粒子が、乾式法で調製された銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸と混合して調製された銅微粒子である、(7)に記載の銅微粒子用低温焼結化表面処理剤。
(1)
BET比表面積が0.1〜10.0m2/gである銅微粒子と、以下の式(I)〜(IV)で表される化合物から選択された化合物の水溶液を、混合する工程、
を含む、低温焼結性表面処理銅微粒子の製造方法:
式(I):
(ただし、式(I)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数である)
式(II):
(ただし、式(II)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、x+y+zは3〜45の整数である)
式(III):
(ただし、式(III)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数であり、2≦n+m≦45を満たす)
式(IV):
(ただし、式(IV)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、wは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数であり、z+wは2〜45の整数である)。
(2)
銅微粒子が、乾式法で調製された銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸と混合して調製された銅微粒子である、(1)に記載の製造方法。
(3)
(1)〜(2)のいずれかに記載の製造方法によって製造された低温焼結性表面処理銅微粒子を、溶剤、バインダー樹脂と混合する工程、
を含む、銅微粒子ペーストの製造方法。
(4)
(3)に記載の製造方法によって製造された銅微粒子ペーストを使用して、300℃以下の温度で、ダイと支持体とを接合する工程、
を含む、パワーモジュールの製造方法。
(5)
(3)に記載の製造方法によって製造された銅微粒子ペーストを使用して、300℃以下の温度で、銅板と窒化物基板とを接合する工程、
を含む、パワーモジュールの製造方法。
(6)
接合する工程が、ギ酸を含む窒素雰囲気下、又は5vol%以下の水素を含む窒素雰囲気下で行われる、(4)又は(5)に記載の製造方法。
(7)
以下の式(I)〜(IV)で表される化合物から選択された化合物からなる、銅微粒子用低温焼結化表面処理剤:
式(I):
(ただし、式(I)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数である)
式(II):
(ただし、式(II)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、x+y+zは3〜45の整数である)
式(III):
(ただし、式(III)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数であり、2≦n+m≦45を満たす)
式(IV):
(ただし、式(IV)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、wは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数であり、z+wは2〜45の整数である)。
(8)
銅微粒子が、乾式法で調製された銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸と混合して調製された銅微粒子である、(7)に記載の銅微粒子用低温焼結化表面処理剤。
本発明によれば、低温焼結性表面処理銅微粒子を、水溶液中での表面処理によって得ることができる。本発明によって得られる低温焼結性表面処理銅微粒子は、低温域において使用可能なペーストに好適に使用できる。本発明によって得られるペーストは半導体チップ(ダイ)と、支持体(基板)とを、低温域の接合条件において、好適に接合して、接合体を製造することができる。
以下に本発明を実施の態様をあげて詳細に説明する。本発明は以下にあげる具体的な実施の態様に限定されるものではない。
[低温焼結性表面処理銅微粒子の製造]
本発明による低温焼結性表面処理銅微粒子の製造方法は、BET比表面積が0.1〜10.0m2/gである銅微粒子と、以下の式(I)〜(IV)で表される化合物から選択された化合物の水溶液を、混合する工程、を含む製造方法にある。
[低温焼結性表面処理銅微粒子の製造]
本発明による低温焼結性表面処理銅微粒子の製造方法は、BET比表面積が0.1〜10.0m2/gである銅微粒子と、以下の式(I)〜(IV)で表される化合物から選択された化合物の水溶液を、混合する工程、を含む製造方法にある。
[表面処理剤]
以下の式(I)〜(IV)で表される化合物は、低温焼結性表面処理銅微粒子を製造するための表面処理に使用することができる。本発明は、銅微粒子用低温焼結化表面処理剤にもある。
[式(I)で表される化合物]
上記化合物として、次の式(I)で表される化合物を使用できる。
以下の式(I)〜(IV)で表される化合物は、低温焼結性表面処理銅微粒子を製造するための表面処理に使用することができる。本発明は、銅微粒子用低温焼結化表面処理剤にもある。
[式(I)で表される化合物]
上記化合物として、次の式(I)で表される化合物を使用できる。
式(I):
式(I)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基、好ましくはC10〜C14のアルキル基またはC10〜C14のアルケニル基である。
式(I)において、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数であり、好ましくはx+yは8〜16の整数であり、さらに好ましくはx+yは10〜14の整数である。
式(I)で表される化合物として、式(I)を満たす化合物の混合物を使用することができる。例えば、Rが上記のアルキル基である化合物と、Rが上記のアルケニル基である化合物との混合物を使用することができる。
[式(II)で表される化合物]
上記化合物として、次の式(II)で表される化合物を使用できる。
上記化合物として、次の式(II)で表される化合物を使用できる。
式(II):
式(II)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基であり、好ましくはC14〜C18のアルキル基またはC14〜C18のアルケニル基である。
式(II)において、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、x+y+zは3〜45の整数であり、好ましくはx+y+zは10〜20の整数であり、さらに好ましくはx+y+zは13〜17の整数である。
式(II)で表される化合物として、式(II)を満たす化合物の混合物を使用することができる。例えば、Rが上記のアルキル基である化合物と、Rが上記のアルケニル基である化合物との混合物を使用することができる。
[式(III)で表される化合物]
上記化合物として、次の式(III)で表される化合物を使用できる。
上記化合物として、次の式(III)で表される化合物を使用できる。
式(III):
式(III)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基、好ましくはC8〜C18のアルキル基またはC8〜C18のアルケニル基である。
式(III)において、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数であり、2≦n+m≦45を満たし、好ましくは5≦n+m≦40を満たし、さらに好ましくは10≦n+m≦30を満たす。
式(III)で表される化合物として、式(III)を満たす化合物の混合物を使用することができる。例えば、Rが上記のアルキル基である化合物と、Rが上記のアルケニル基である化合物との混合物を使用することができる。
[式(IV)で表される化合物]
上記化合物として、次の式(IV)で表される化合物を使用できる。
上記化合物として、次の式(IV)で表される化合物を使用できる。
式(IV):
式(IV)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基、好ましくはC8〜C18のアルキル基またはC8〜C18のアルケニル基である。
式(IV)において、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、wは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数であり、z+wは2〜45の整数である。好ましくはx+yは2〜20の整数であり、さらに好ましくはx+yは4〜12の整数であり、さらに好ましくはx+yは6〜10の整数である。好ましくはz+wは2〜20の整数であり、さらに好ましくはz+wは4〜12の整数であり、さらに好ましくはz+wは6〜10の整数である。
式(IV)で表される化合物として、式(IV)を満たす化合物の混合物を使用することができる。例えば、Rが上記のアルキル基である化合物と、Rが上記のアルケニル基である化合物との混合物を使用することができる。
[表面処理される銅微粒子とBET比表面積]
本発明で表面処理される銅微粒子として、BET比表面積が0.1〜10.0m2/gである銅微粒子が使用される。好適な実施の態様において、銅微粒子のBET比表面積は、0.5〜6.0m2/gとすることができる。銅微粒子のBET比表面積は、例えばMacsorb HM model−1201(株式会社マウンテック)によって測定算出することができる。
本発明で表面処理される銅微粒子として、BET比表面積が0.1〜10.0m2/gである銅微粒子が使用される。好適な実施の態様において、銅微粒子のBET比表面積は、0.5〜6.0m2/gとすることができる。銅微粒子のBET比表面積は、例えばMacsorb HM model−1201(株式会社マウンテック)によって測定算出することができる。
[表面処理される銅微粒子と平均粒径]
好適な実施の態様において、本発明で表面処理される銅微粒子として、平均粒径が例えば0.1〜1.0μmの範囲にある銅微粒子を、好適に表面処理することができる。平均粒径はSEM像からの画像解析、レーザー回折法、動的光散乱法によって求めることができる。
好適な実施の態様において、本発明で表面処理される銅微粒子として、平均粒径が例えば0.1〜1.0μmの範囲にある銅微粒子を、好適に表面処理することができる。平均粒径はSEM像からの画像解析、レーザー回折法、動的光散乱法によって求めることができる。
[表面処理される銅微粒子]
表面処理される銅微粒子として、乾式法で調製された銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸と混合して調製された銅微粒子をあげることができる。
表面処理される銅微粒子として、乾式法で調製された銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸と混合して調製された銅微粒子をあげることができる。
[乾式法による銅微粒子]
乾式法による銅微粒子として、熱プラズマ法を行って得られた銅微粒子を、好適に使用することができる。BET比表面積が0.1m2/gを超えるのであれば、熱プラズマ法以外の乾式法で製造した銅粉を適用してもよい。熱プラズマ法以外の乾式法としては、例えばCVD方式による塩化物の水素還元法や、金属酸化物の酸素燃焼法をあげることができる。
乾式法による銅微粒子として、熱プラズマ法を行って得られた銅微粒子を、好適に使用することができる。BET比表面積が0.1m2/gを超えるのであれば、熱プラズマ法以外の乾式法で製造した銅粉を適用してもよい。熱プラズマ法以外の乾式法としては、例えばCVD方式による塩化物の水素還元法や、金属酸化物の酸素燃焼法をあげることができる。
[熱プラズマ法]
熱プラズマ法は、公知の手段によって行うことができ、これによって微細なサイズの銅微粒子、例えばサブミクロンサイズの銅微粒子を得ることができる。
熱プラズマ法は、公知の手段によって行うことができ、これによって微細なサイズの銅微粒子、例えばサブミクロンサイズの銅微粒子を得ることができる。
[酸処理]
好適な実施の態様において、乾式法によって得られた銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸溶液、好ましくは天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した希硫酸と混合して、酸処理を行って、表面処理される銅微粒子として、使用することができる。希硫酸との混合は、例えば天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した0.1N〜30Nの範囲の希硫酸を、銅微粒子と撹拌や超音波を照射しながら混合することで行うことができる。酸処理した銅微粒子は、公知の手段によって希硫酸を含むスラリーのなかから分離して、その後の表面処理に、供することができる。銅微粒子は希硫酸を含むスラリーから分離後に水洗等の手段によって表面に残存して酸を取り除いたのちに表面処理をしてもよい。
好適な実施の態様において、乾式法によって得られた銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸溶液、好ましくは天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した希硫酸と混合して、酸処理を行って、表面処理される銅微粒子として、使用することができる。希硫酸との混合は、例えば天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した0.1N〜30Nの範囲の希硫酸を、銅微粒子と撹拌や超音波を照射しながら混合することで行うことができる。酸処理した銅微粒子は、公知の手段によって希硫酸を含むスラリーのなかから分離して、その後の表面処理に、供することができる。銅微粒子は希硫酸を含むスラリーから分離後に水洗等の手段によって表面に残存して酸を取り除いたのちに表面処理をしてもよい。
[天然樹脂、多糖類、ゼラチン]
上記酸処理において酸溶液に添加される、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンは、銅微粒子に対する天然樹脂、多糖類、又はゼラチンの量として、例えば0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%の範囲で添加することができる。0.1質量%未満の場合と比べて0.1質量%を上回るとより銅微粒子間での焼結が進行する。10質量%を超えると効果が飽和する。酸溶液のpHは0〜7、好ましくは0〜3とすることができる。
上記酸処理において酸溶液に添加される、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンは、銅微粒子に対する天然樹脂、多糖類、又はゼラチンの量として、例えば0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%の範囲で添加することができる。0.1質量%未満の場合と比べて0.1質量%を上回るとより銅微粒子間での焼結が進行する。10質量%を超えると効果が飽和する。酸溶液のpHは0〜7、好ましくは0〜3とすることができる。
なお、上記酸処理において、上記天然樹脂、多糖類、又はゼラチンが添加されない酸溶液を用いて酸処理を行った後に、銅微粒子を回収し、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンの水溶液と混合することもできる。酸溶液のpHは0〜7、好ましくは0〜3とすることができる。
天然樹脂としては、例えばアラビアゴム、セラックをあげることができ、特にアラビアゴムが好ましい。多糖類としては、例えば、キトサン、デキストリン、オリゴ糖をあげることができ、特にキトサンが好ましい。ゼラチンとしては、例えば動物由来の膠、ほ乳類由来の膠、あるいは魚類由来の膠をあげることができ、ほ乳類としては例えば牛、馬、豚をあげることができる。
[式(I)〜(IV)で表される化合物の水溶液]
上記の式(I)〜(IV)で表される化合物は、水溶液として、表面処理に使用することができる。水溶液中の化合物(表面処理剤)の濃度は、例えば0.1〜30質量%、0.5〜20質量%の範囲とすることができる。あるいは、水溶液中の化合物(表面処理剤)の濃度は、化合物の質量が、銅微粒子の質量に対して、0.1〜15質量%、0.1〜12質量%、0.1〜10質量%の範囲となるように、調製して使用することができる。
上記の式(I)〜(IV)で表される化合物は、水溶液として、表面処理に使用することができる。水溶液中の化合物(表面処理剤)の濃度は、例えば0.1〜30質量%、0.5〜20質量%の範囲とすることができる。あるいは、水溶液中の化合物(表面処理剤)の濃度は、化合物の質量が、銅微粒子の質量に対して、0.1〜15質量%、0.1〜12質量%、0.1〜10質量%の範囲となるように、調製して使用することができる。
[混合する工程]
BET比表面積が0.1〜10m2/gである銅微粒子と、式(I)〜(IV)のいずれかの化合物の水溶液を、混合する工程において、混合は、公知の手段によって行うことができる。混合は、例えば大気圧下、例えば5〜40℃の温度、例えば10分〜3時間、行うことができる。溶液と混合された銅微粒子は、公知の手段によって、分離回収されて、所望によりその後の処理に供することができる。
BET比表面積が0.1〜10m2/gである銅微粒子と、式(I)〜(IV)のいずれかの化合物の水溶液を、混合する工程において、混合は、公知の手段によって行うことができる。混合は、例えば大気圧下、例えば5〜40℃の温度、例えば10分〜3時間、行うことができる。溶液と混合された銅微粒子は、公知の手段によって、分離回収されて、所望によりその後の処理に供することができる。
[低温焼結性表面処理銅微粒子]
本発明によって得られる低温焼結性表面処理銅微粒子は、水溶液と混合する工程によって得られた後に、適宜水溶液から分離し、必要に応じて乾燥や解砕を行って、その後の導電性ペースト(銅微粒子ペースト)の製造に適した形態とすることができる。
本発明によって得られる低温焼結性表面処理銅微粒子は、水溶液と混合する工程によって得られた後に、適宜水溶液から分離し、必要に応じて乾燥や解砕を行って、その後の導電性ペースト(銅微粒子ペースト)の製造に適した形態とすることができる。
[低温焼結性]
本発明によって得られる表面処理銅微粒子は、低温焼結性に優れ、例えば銅微粒子ペーストとした場合に、例えば400℃以下、350℃以下、300℃以下、250℃以下の焼成温度、例えば200℃以上、230℃以上、250℃以上の焼成温度で、優れた焼結体を得ることができる。すなわち、本発明によって得られる表面処理銅微粒子は、低温焼結性に優れているために、銅微粒子ペーストとした場合に、樹脂の分解温度以下の温度条件を選択して、焼結させることができる。
本発明によって得られる表面処理銅微粒子は、低温焼結性に優れ、例えば銅微粒子ペーストとした場合に、例えば400℃以下、350℃以下、300℃以下、250℃以下の焼成温度、例えば200℃以上、230℃以上、250℃以上の焼成温度で、優れた焼結体を得ることができる。すなわち、本発明によって得られる表面処理銅微粒子は、低温焼結性に優れているために、銅微粒子ペーストとした場合に、樹脂の分解温度以下の温度条件を選択して、焼結させることができる。
[銅微粒子ペースト]
表面処理銅微粒子を使用して、公知の手段によって、導電性ペースト(銅微粒子ペースト)を製造することができる。好適な実施の態様において、例えば表面処理銅微粒子を、溶剤と混合して銅微粒子ペーストを得ることができる。好ましくはペーストには粘度調整のためにバインダー樹脂を加える。所望に応じて、優れた低温焼結性を妨げない範囲内で、添加剤、ガラスフリット等を添加して使用してもよい。混合は、公知の手段によって行うことができ、1段階又は2段階以上の混練によって行ってもよい。
表面処理銅微粒子を使用して、公知の手段によって、導電性ペースト(銅微粒子ペースト)を製造することができる。好適な実施の態様において、例えば表面処理銅微粒子を、溶剤と混合して銅微粒子ペーストを得ることができる。好ましくはペーストには粘度調整のためにバインダー樹脂を加える。所望に応じて、優れた低温焼結性を妨げない範囲内で、添加剤、ガラスフリット等を添加して使用してもよい。混合は、公知の手段によって行うことができ、1段階又は2段階以上の混練によって行ってもよい。
[ペーストの溶剤]
溶剤としては、沸点50℃以上、250℃以下である溶剤を好適に使用することができる。このような溶剤として、エーテル、ケトン、芳香族化合物、テルペン、アルコール、及びグリコールをあげることができる。溶剤として、特にターピネオール、ジヒドロターピネオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。ペースト中の溶剤の含有量は、例えば5〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲で添加して使用することができる。
溶剤としては、沸点50℃以上、250℃以下である溶剤を好適に使用することができる。このような溶剤として、エーテル、ケトン、芳香族化合物、テルペン、アルコール、及びグリコールをあげることができる。溶剤として、特にターピネオール、ジヒドロターピネオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。ペースト中の溶剤の含有量は、例えば5〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲で添加して使用することができる。
[ペーストのバインダー樹脂]
バインダー樹脂としては、Tgが50〜200℃であるバインダー樹脂であれば特に制限なく使用することができる。銅微粒子は非酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で焼成されるので、バインダー樹脂としては熱分解温度の低いバインダー樹脂が好ましい。好適なバインダー樹脂として、例えば、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂をあげることができる。特に窒素雰囲気でTG測定(熱重量測定)をした場合、250〜350℃での重量減少が30%以上であるバインダー樹脂を好適に使用することができる。
バインダー樹脂としては、Tgが50〜200℃であるバインダー樹脂であれば特に制限なく使用することができる。銅微粒子は非酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で焼成されるので、バインダー樹脂としては熱分解温度の低いバインダー樹脂が好ましい。好適なバインダー樹脂として、例えば、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂をあげることができる。特に窒素雰囲気でTG測定(熱重量測定)をした場合、250〜350℃での重量減少が30%以上であるバインダー樹脂を好適に使用することができる。
好適な実施の態様において、本発明による表面処理微粒子は優れた低温焼結性を備えるために、例えば、焼結障害となりうるバインダー樹脂をペースト中に加えた場合であっても、その樹脂を窒素雰囲気でTG測定をした場合に重量減少が90%に達する温度以下の温度で焼結させることができる。
[焼結体]
銅微粒子ペーストを使用して、公知の手段によって、塗工等を行い、焼成を行って、焼結体(焼成体)を製造することができる。好適な実施の態様において、例えば銅微粒子ペーストを、非酸化性雰囲気下で300℃以下で焼結(焼成)して焼結体(焼成体)を得ることができる。
銅微粒子ペーストを使用して、公知の手段によって、塗工等を行い、焼成を行って、焼結体(焼成体)を製造することができる。好適な実施の態様において、例えば銅微粒子ペーストを、非酸化性雰囲気下で300℃以下で焼結(焼成)して焼結体(焼成体)を得ることができる。
[接合]
銅微粒子ペーストは、焼成によって接合を行う導電性接合材料として、好適に使用することができる。好適な実施の態様において、銅微粒子ペーストを使用して、公知の手段によって、半導体チップ(ダイ)と基板(支持体)とを、接合することができる。このような接合は、特にダイボンディングと呼ばれる。したがって本発明による接合方法は、ダイボンディング方法にもあり、本発明による接合体の製造は、パワーモジュールの製造方法にもある。さらに、銅板と窒化物基板との接合にも、好適に使用できる。
銅微粒子ペーストは、焼成によって接合を行う導電性接合材料として、好適に使用することができる。好適な実施の態様において、銅微粒子ペーストを使用して、公知の手段によって、半導体チップ(ダイ)と基板(支持体)とを、接合することができる。このような接合は、特にダイボンディングと呼ばれる。したがって本発明による接合方法は、ダイボンディング方法にもあり、本発明による接合体の製造は、パワーモジュールの製造方法にもある。さらに、銅板と窒化物基板との接合にも、好適に使用できる。
接合は、ペーストを、例えば半導体チップ(ダイ)と基板(支持体)のいずれかの接合面、又は両方の接合面に塗布して、半導体チップ(ダイ)と基板(支持体)の接合面を塗布されたペーストを介して密着させて配置して、これを焼成(焼結)することによって行うことができる。ペーストを介して密着させて配置する際に、密着を確実にするために接合面に圧力をかけてもよい。あるいは、ペーストを介した密着配置を確実にするために、焼結に先立って、予備的な加熱による予備的な固定を行って、いったん積層体を形成させてもよい。
[接合の温度]
本発明の銅微粒子ペーストは、低温域の焼成によって、好適に接合を行うことができる。焼成の温度(接合の温度)として、例えば400℃以下、350℃以下、300℃以下とすることができ、例えば200〜300℃の範囲とすることができる。
本発明の銅微粒子ペーストは、低温域の焼成によって、好適に接合を行うことができる。焼成の温度(接合の温度)として、例えば400℃以下、350℃以下、300℃以下とすることができ、例えば200〜300℃の範囲とすることができる。
[雰囲気]
上記の焼結(焼成)は、例えば非酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で行うことができる。非酸化性雰囲気とは、酸化性気体が含まれない又は低減された雰囲気をいい、例えば酸素が完全又は十分に除去された雰囲気をいう。還元性雰囲気は、雰囲気中にCO、H2S、SO2、H2、HCHO、HCOOH、H2O等の還元性気体が、0.5vol%以上、好ましくは1.0vol%以上で含まれる雰囲気をいう。好適な実施の態様において、ギ酸を含む窒素雰囲気下、又は5vol%以下の水素を含む窒素雰囲気下で、焼結して、接合することができる。
上記の焼結(焼成)は、例えば非酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で行うことができる。非酸化性雰囲気とは、酸化性気体が含まれない又は低減された雰囲気をいい、例えば酸素が完全又は十分に除去された雰囲気をいう。還元性雰囲気は、雰囲気中にCO、H2S、SO2、H2、HCHO、HCOOH、H2O等の還元性気体が、0.5vol%以上、好ましくは1.0vol%以上で含まれる雰囲気をいう。好適な実施の態様において、ギ酸を含む窒素雰囲気下、又は5vol%以下の水素を含む窒素雰囲気下で、焼結して、接合することができる。
[接合強度]
本発明による銅微粒子ペーストは、表面処理銅微粒子の優れた低温焼結性を反映して、低温での焼成によっても、接合強度に優れた接合体を製造することができる。接合体の接合強度は、実施例に記載の手段によって、測定することができる。好適な実施の態様において、例えば、20[MPa]以上、20〜50[MPa]の範囲という接合強度を達成することができる。
本発明による銅微粒子ペーストは、表面処理銅微粒子の優れた低温焼結性を反映して、低温での焼成によっても、接合強度に優れた接合体を製造することができる。接合体の接合強度は、実施例に記載の手段によって、測定することができる。好適な実施の態様において、例えば、20[MPa]以上、20〜50[MPa]の範囲という接合強度を達成することができる。
[比抵抗]
本発明による銅微粒子ペーストは、表面処理銅微粒子の優れた低温焼結性を反映して、低温での焼成によっても、比抵抗に優れた焼成体(焼結体)を製造することができる。焼成体の比抵抗[μΩ・cm]は、実施例に記載の手段によって、測定することができる。好適な実施の態様において、比抵抗の値は、焼成温度300℃で20μΩ・cm以下、焼成温度250℃で20μΩ・cm以下、焼成温度200℃で25μΩ・cm以下とすることができる。
本発明による銅微粒子ペーストは、表面処理銅微粒子の優れた低温焼結性を反映して、低温での焼成によっても、比抵抗に優れた焼成体(焼結体)を製造することができる。焼成体の比抵抗[μΩ・cm]は、実施例に記載の手段によって、測定することができる。好適な実施の態様において、比抵抗の値は、焼成温度300℃で20μΩ・cm以下、焼成温度250℃で20μΩ・cm以下、焼成温度200℃で25μΩ・cm以下とすることができる。
[パワーモジュールの製造]
本発明による銅微粒子ペーストは、表面処理銅微粒子の優れた低温焼結性を反映して、低温での焼成によっても、上述のように、優れた接合強度と比抵抗を達成することができる。すなわち、パワーモジュールの製造のためのダイボンディングに特に好適である。
本発明による銅微粒子ペーストは、表面処理銅微粒子の優れた低温焼結性を反映して、低温での焼成によっても、上述のように、優れた接合強度と比抵抗を達成することができる。すなわち、パワーモジュールの製造のためのダイボンディングに特に好適である。
以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[例1:熱プラズマ法による銅微粒子の調製]
熱プラズマ法で作製されたBET比表面積3.0m2/gの銅微粒子20gを、プラズマトーチ(MODEL PL−50、TEKNA Plasma Systems Inc.)、2MHz高周波電源(日本高周波)、水冷構造反応容器とステンレスフィルターで構成されているプラズマ粉末装置を使用して以下の手順で作製した。Ar−H2プラズマを高周波電源に接続されたトーチ内に発生させた。Arガスを誘導コイルに垂直方向からセントラルガスとして供給し、Ar−H2混合ガスをシースガスをしてセントラルガスの周囲に供給した。原料粉末として電解銅粉(JX金属、52−H(平均粒径25μm))をキャリアガスとともにトーチ上部から粉体導入ノズルを通してプラズマ中に注入した。この時の電解銅粉供給速度は1.9g/minを基本とした(「粉体および粉末冶金」第54巻第1号、p39−)。電解銅粉の供給速度を変えることで、比表面積が異なる銅微粒子を作製した。
熱プラズマ法で作製されたBET比表面積3.0m2/gの銅微粒子20gを、プラズマトーチ(MODEL PL−50、TEKNA Plasma Systems Inc.)、2MHz高周波電源(日本高周波)、水冷構造反応容器とステンレスフィルターで構成されているプラズマ粉末装置を使用して以下の手順で作製した。Ar−H2プラズマを高周波電源に接続されたトーチ内に発生させた。Arガスを誘導コイルに垂直方向からセントラルガスとして供給し、Ar−H2混合ガスをシースガスをしてセントラルガスの周囲に供給した。原料粉末として電解銅粉(JX金属、52−H(平均粒径25μm))をキャリアガスとともにトーチ上部から粉体導入ノズルを通してプラズマ中に注入した。この時の電解銅粉供給速度は1.9g/minを基本とした(「粉体および粉末冶金」第54巻第1号、p39−)。電解銅粉の供給速度を変えることで、比表面積が異なる銅微粒子を作製した。
[BET比表面積]
それぞれのBET比表面積は、次の手順によって測定した。得られた結果を表1に示す。
Macsorb HM model−1201(株式会社マウンテック)を使って、1点式で測定した。測定は銅微粒子10g、脱気温度150℃、脱気時間15分で行った。
それぞれのBET比表面積は、次の手順によって測定した。得られた結果を表1に示す。
Macsorb HM model−1201(株式会社マウンテック)を使って、1点式で測定した。測定は銅微粒子10g、脱気温度150℃、脱気時間15分で行った。
[例2:実施例1〜11、13〜23、25〜35、37〜47の評価]
[銅微粒子の表面処理]
例1の手順で得られた銅微粒子20gをアラビアゴム、魚から精製した膠、牛から精製した膠、キトサンのいずれかを所定量含む希硫酸に浸し、酸化物を取り除いた。その後、吸引濾過により銅微粒子を回収した。これらの銅微粒子に対して所定量の有機化合物(表面処理剤)を含む水溶液40mLと銅微粒子を、撹拌子を用いて300rpmで1時間混合した後、銅微粉を回収した。その後、窒素中で70℃で1時間乾燥させた後、解砕し、表面処理された銅微粒子を得た。
[銅微粒子の表面処理]
例1の手順で得られた銅微粒子20gをアラビアゴム、魚から精製した膠、牛から精製した膠、キトサンのいずれかを所定量含む希硫酸に浸し、酸化物を取り除いた。その後、吸引濾過により銅微粒子を回収した。これらの銅微粒子に対して所定量の有機化合物(表面処理剤)を含む水溶液40mLと銅微粒子を、撹拌子を用いて300rpmで1時間混合した後、銅微粉を回収した。その後、窒素中で70℃で1時間乾燥させた後、解砕し、表面処理された銅微粒子を得た。
それぞれの実施例で使用したそれぞれの表面処理剤の構造は、後述して示す。それぞれの実施例において使用した、銅微粒子に対する表面処理剤の質量の比は、表1にまとめて示す。
[ペーストの調製]
得られた、表面処理銅微粒子を、金属比率が80%、アクリル樹脂ビークル(互応化学、KFA−2000、固形分32〜35質量%)を樹脂分が1%、残部をジヒドロターピネオール(溶剤として用いた)として用いて、ミキサーでかき混ぜた後に3本ロールを使ってペーストを調製した。
得られた、表面処理銅微粒子を、金属比率が80%、アクリル樹脂ビークル(互応化学、KFA−2000、固形分32〜35質量%)を樹脂分が1%、残部をジヒドロターピネオール(溶剤として用いた)として用いて、ミキサーでかき混ぜた後に3本ロールを使ってペーストを調製した。
[接合強度の測定]
得られた各ペーストを銅板上にメタルマスクで厚み50μmに塗工し、塗工されたペーストの上に5mm角の銅板を載せ、大気中で120℃、1分で加熱して積層体を得た。
得られた積層体を、室温でギ酸バブリングした窒素を流しながら250℃または200℃、10分で0.4MPaの圧力をかけて、接合させて接合体を得た。
得られた接合体の接合強度を、次の手順によって測定した。得られた結果を表1に示す。
接合部分横からツールを当て、5mm角の銅板がはがれるまで荷重をかけた。5mm角の銅板がはがれた時の荷重を25mm2で割った値を接合強度として求めた。
得られた各ペーストを銅板上にメタルマスクで厚み50μmに塗工し、塗工されたペーストの上に5mm角の銅板を載せ、大気中で120℃、1分で加熱して積層体を得た。
得られた積層体を、室温でギ酸バブリングした窒素を流しながら250℃または200℃、10分で0.4MPaの圧力をかけて、接合させて接合体を得た。
得られた接合体の接合強度を、次の手順によって測定した。得られた結果を表1に示す。
接合部分横からツールを当て、5mm角の銅板がはがれるまで荷重をかけた。5mm角の銅板がはがれた時の荷重を25mm2で割った値を接合強度として求めた。
[比抵抗の測定]
上記手順で調製されたペーストを、スライドガラス上に5mm幅、20mm長さで印刷し、室温でギ酸バブリングした窒素を流しながら250℃、または200℃、10分で焼成し、比抵抗を測定した。
比抵抗は、次の手順によって測定した。得られた結果を表1に示す。
まず、焼成体の抵抗をロレスターGXで測定した。その後、3次元測定装置で焼成体の厚みを算出し、抵抗値と焼成体断面積、焼成体長さから比抵抗を求めた。
上記手順で調製されたペーストを、スライドガラス上に5mm幅、20mm長さで印刷し、室温でギ酸バブリングした窒素を流しながら250℃、または200℃、10分で焼成し、比抵抗を測定した。
比抵抗は、次の手順によって測定した。得られた結果を表1に示す。
まず、焼成体の抵抗をロレスターGXで測定した。その後、3次元測定装置で焼成体の厚みを算出し、抵抗値と焼成体断面積、焼成体長さから比抵抗を求めた。
[表面処理剤]
上記使用した有機化合物(表面処理剤)の構造を以下に示す。
・表面処理剤A: (青木油脂製、製品名:blaunonL207)(下記において、x+y=12であり、Rは炭素数12のアルキル基である)
上記使用した有機化合物(表面処理剤)の構造を以下に示す。
・表面処理剤A: (青木油脂製、製品名:blaunonL207)(下記において、x+y=12であり、Rは炭素数12のアルキル基である)
・表面処理剤B: (ライオン製、製品名:リポノール DA−T/25)(下記において、x+y+z=15であり、Rは炭素数14〜18のアルキル基または炭素数14〜18のアルケニル基である)
・表面処理剤C: (三洋化成製、製品名:サンニックスNP)(下記において、2≦n+m≦45であり、Rは炭素数8〜20のアルキル基または炭素数8〜20のアルケニル基である)
・表面処理剤D: (ライオン製、製品名:リポノール C/18−18)(下記において、x+y=8、z+w=8であり、Rは炭素数8〜18のアルキル基または炭素数8〜18のアルケニル基である)
[例3:実施例12、24、36、48の評価]
例1の手順で得られた銅微粒子を例2の手順で高分子を使った酸処理、次いで表面処理剤A〜Dを使って表面処理をし、表面処理銅微粒子を得た。焼成雰囲気をギ酸バブリングした窒素から2%H2を含む窒素へと変更した以外は例2と同様の手順で接合強度、比抵抗を測定した。
例1の手順で得られた銅微粒子を例2の手順で高分子を使った酸処理、次いで表面処理剤A〜Dを使って表面処理をし、表面処理銅微粒子を得た。焼成雰囲気をギ酸バブリングした窒素から2%H2を含む窒素へと変更した以外は例2と同様の手順で接合強度、比抵抗を測定した。
[例4:比較例1、2の評価]
[銅微粒子の調製]
例1、2と同様の手順で、アラビアゴムを使った酸処理された銅微粒子を得た。
[銅微粒子の調製]
例1、2と同様の手順で、アラビアゴムを使った酸処理された銅微粒子を得た。
[有機化合物の合成]
窒素含有有機物(有機物)として以下の手順でアミン化合物を合成した。エポキシ化合物(デナコールEX−521(ナカセケムテックス株式会社製))10.0gとジエタノールアミン5.72g、またはジメチルアミン2.45gを三口フラスコに投入し、ドライアイス−メタノールを冷却媒体とした冷却管を用意して、60℃で3時間反応を行い、ジエタノールアミン又はジメチルアミンで変性した化合物を得た。
窒素含有有機物(有機物)として以下の手順でアミン化合物を合成した。エポキシ化合物(デナコールEX−521(ナカセケムテックス株式会社製))10.0gとジエタノールアミン5.72g、またはジメチルアミン2.45gを三口フラスコに投入し、ドライアイス−メタノールを冷却媒体とした冷却管を用意して、60℃で3時間反応を行い、ジエタノールアミン又はジメチルアミンで変性した化合物を得た。
[銅微粒子の表面処理]
上記得られた変性化合物(有機化合物)を比較例の表面処理剤として使用して、例2と同様の手順によって、上記得られた銅微粒子に対して表面処理を行って、表面処理銅微粒子を得た。比較例として使用した表面処理剤の種類、使用量を、表1にまとめて示す。
上記得られた変性化合物(有機化合物)を比較例の表面処理剤として使用して、例2と同様の手順によって、上記得られた銅微粒子に対して表面処理を行って、表面処理銅微粒子を得た。比較例として使用した表面処理剤の種類、使用量を、表1にまとめて示す。
[ペーストの調製、接合強度の測定、比抵抗の測定]
上記得られた、表面処理された銅微粒子を使用して、例1と同様の手順によって、ペーストを調製し、接合強度を測定し、比抵抗を測定して、評価した。得られた結果を表1に示す。
上記得られた、表面処理された銅微粒子を使用して、例1と同様の手順によって、ペーストを調製し、接合強度を測定し、比抵抗を測定して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[例5:比較例3]
例1の手順で得られた銅微粒子を例2の手順でペースト化し、接合強度、比抵抗を測定した。
例1の手順で得られた銅微粒子を例2の手順でペースト化し、接合強度、比抵抗を測定した。
[例2〜例5の結果]
表1に示されるように、実施例では、比抵抗、接合強度が良好であった。比較例では、比抵抗及び/又は接合強度が実施例のそれよりも劣っていた。
表1に示されるように、実施例では、比抵抗、接合強度が良好であった。比較例では、比抵抗及び/又は接合強度が実施例のそれよりも劣っていた。
[表1]
[表1のつづき]
本発明によれば、低温焼結性に優れた、表面処理銅微粒子を、水溶液中での混合という簡素な工程によって得ることができる。本発明は産業上有用な発明である。
Claims (8)
- BET比表面積が0.1〜10.0m2/gである銅微粒子と、以下の式(I)〜(IV)で表される化合物から選択された化合物の水溶液を、混合する工程、
を含む、低温焼結性表面処理銅微粒子の製造方法:
式(I):
(ただし、式(I)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数である)
式(II):
(ただし、式(II)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、x+y+zは3〜45の整数である)
式(III):
(ただし、式(III)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数であり、2≦n+m≦45を満たす)
式(IV):
(ただし、式(IV)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、wは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数であり、z+wは2〜45の整数である)。 - 銅微粒子が、乾式法で調製された銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸と混合して調製された銅微粒子である、請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の製造方法によって製造された低温焼結性表面処理銅微粒子を、溶剤、バインダー樹脂と混合する工程、
を含む、銅微粒子ペーストの製造方法。 - 請求項3に記載の製造方法によって製造された銅微粒子ペーストを使用して、300℃以下の温度で、ダイと支持体とを接合する工程、
を含む、パワーモジュールの製造方法。 - 請求項3に記載の製造方法によって製造された銅微粒子ペーストを使用して、300℃以下の温度で、銅板と窒化物基板とを接合する工程、
を含む、パワーモジュールの製造方法。 - 接合する工程が、ギ酸を含む窒素雰囲気下、又は5vol%以下の水素を含む窒素雰囲気下で行われる、請求項4又は請求項5に記載の製造方法。
- 以下の式(I)〜(IV)で表される化合物から選択された化合物からなる、銅微粒子用低温焼結化表面処理剤:
式(I):
(ただし、式(I)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数である)
式(II):
(ただし、式(II)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、x+y+zは3〜45の整数である)
式(III):
(ただし、式(III)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数であり、2≦n+m≦45を満たす)
式(IV):
(ただし、式(IV)において、Rは、C8〜C20のアルキル基またはC8〜C20のアルケニル基を示し、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、zは1以上の整数であり、wは1以上の整数であり、x+yは2〜45の整数であり、z+wは2〜45の整数である)。 - 銅微粒子が、乾式法で調製された銅微粒子を、天然樹脂、多糖類、又はゼラチンのいずれかを添加した酸と混合して調製された銅微粒子である、請求項7に記載の銅微粒子用低温焼結化表面処理剤。
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