JP2019052263A - 熱硬化性絶縁性樹脂組成物、シート状熱硬化性絶縁性樹脂組成物、カバーレイ、および剥離性フィルム付きのシート状熱硬化性絶縁性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性絶縁性樹脂組成物、シート状熱硬化性絶縁性樹脂組成物、カバーレイ、および剥離性フィルム付きのシート状熱硬化性絶縁性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】FPCやフラットケーブル等に好適に用いられる絶縁層を形成するための熱硬化性絶縁性樹脂組成物であって、難燃性と高度な絶縁性を両立できる熱硬化性絶縁性樹脂組成物の提供。【解決手段】無機酸化物が、25℃で固体の難燃剤の表面の少なくとも一部に付着している表面処理難燃剤(A)と、熱硬化性樹脂(B)と、前記熱硬化性樹脂(B)に対する硬化剤(C)とを含有する熱硬化性絶縁性樹脂組成物。25℃で固体の難燃剤100質量部に対し無機酸化物が0.01〜10質量部付着している、表面処理難燃剤(A)の表面に更にシランカップリング剤が付着している熱硬化性絶縁性材料。【選択図】なし

Description

本発明は、表面処理難燃剤を含有する熱硬化性絶縁性樹脂組成物、シート状熱硬化性絶縁性樹脂組成物、カバーレイ、および剥離性フィルム付きのシート状熱硬化性絶縁性樹脂組成物に関する。
近年、エレクトロニクス分野の発展が目覚しく、特に電子機器の小型化、軽量化、高密度化が進み、プリント配線板をはじめとする電子材料には、薄型化、多層化、高精細化がますます要求されるようになっている。従来のガラスエポキシ基板等に代表される肉厚のリジッド基板の場合にも、狭いスペースに対応するために高い電気絶縁性(以下、絶縁性という)が求められてはいた。
しかし、フレキシブルプリント配線板(以下、FPCという)に代表される最近のプリント配線板やフラットケーブル等の電子材料には、肉厚のリジッド基板の場合に比して、遥かに狭いスペースに対応することが求められるので、絶縁性についてもより高度なレベルが求められている。
また近年の環境問題から、ハロゲン系の難燃剤を使用することなく、非ハロゲン系の難燃剤で良好な難燃性を持つ材料も求められている。
例えば、特許文献1には、(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)酸化チタン、(C)リン化合物を有することが開示されている。
WO2011/105277
特許文献1にはカルボキシル基含有樹脂、酸化チタン、リン化合物を含むポリエステル基材用の樹脂組成物を光硬化もしくは熱硬化することで、難燃性皮膜を提供できる旨が記載されている。
しかし、上記の樹脂組成物では難燃剤由来の不純物によって、高温高湿下での絶縁性が低下する可能性があると考えられる。
絶縁層の厚みを厚くすることによって絶縁性の改良は期待できる。しかし、より狭いスペースへの対応が要求されるFPCやフラットケーブル等の場合、難燃性と絶縁性を両立させることは難しい。そこで本発明は、FPCやフラットケーブル等に好適に用いられる絶縁層を形成するための熱硬化性絶縁性樹脂組成物であって、難燃性と高度な絶縁性を両立できる熱硬化性絶縁性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、固体の難燃剤の表面をシリカ等の無機酸化物で表面処理してなる難燃剤を用いることで、難燃性と絶縁性の両立が可能となり以下の[1]〜[9]の発明を完成させるに至った。
[1] 無機酸化物が25℃で固体の難燃剤の表面の少なくとも一部に付着している表面処理難燃剤(A)と、熱硬化性樹脂(B)と、前記熱硬化性樹脂(B)に対する硬化剤(C)とを含有する熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
[2] 25℃で固体の難燃剤100質量部に対し、無機酸化物が0.01〜10質量部付着している前記[1]記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
[3] 表面処理難燃剤(A)の表面にさらにシランカップリング剤が付着している、前記[1]または[2]記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
[4] 熱硬化性樹脂(B)100質量部に対し、表面処理難燃剤(A)を0.1〜100質量部含有する前記[1]〜[3]いずれかに記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
[5] 25℃で固体の難燃剤が、ホスフィン酸塩もしくはホスホン酸塩である前記[1]〜[4]いずれかに記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
[6] 熱硬化性樹脂(B)が、カルボキシル基、カルボキシル基の無水物基、アミノ基、および水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、前記[1]〜[5]いずれかに記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
[7] シート状である、前記[1]〜[6]いずれかに記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
[8] 前記[7]記載のシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物が、耐熱性樹脂フィルムの一方の面に配置されてなるカバーレイ。
[9] 前記[7]記載のシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物の両面が、剥離性フィルムで覆われている、剥離性フィルム付きのシート状熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
固体の難燃剤の表面をシリカ等の無機酸化物で表面処理してなる難燃剤を用いることによって、FPCやフラットケーブル等に要求される難燃性と高度な絶縁性を両立できる熱硬化性絶縁性樹脂組成物を提供することができるようになった。
本発明における絶縁性評価方法を説明するため模式図を示す。
<表面処理難燃剤(A)>
本発明で表面処理される対象とされる難燃剤は、25℃で固体である以外には特に限定されるものではなく、形状としては粉粒状等が挙げられる。
本発明において、25℃で固体とは、融点が25℃以上のものを指す。ただし融点での溶融と共に分解反応を含む場合もある。
例えば、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン、ポリリン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アミドアンモニウム、ポリリン酸アミドアンモニウム、リン酸カルバメート、ポリリン酸カルバメート等の(ポリ)リン酸塩系化合物、有機リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスホン酸化合物、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、メチルエチルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、エチルブチルホスフィン酸アルミニウム、メチルブチルホスフィン酸アルミニウム、ポリエチレンホスフィン酸アルミニウム等のホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、ホスホルアミド化合物等のリン系難燃剤;
炭酸アンモニウム、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤;
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、等の無機難燃剤等が挙げられる。
難燃剤としては、近年取り沙汰されている、環境への影響を配慮すると、リン系難燃剤や窒素系難燃剤等のノンハロゲン系難燃剤を使用することが望ましく難燃性により効果のあるホスファゼン化合物、ホスフィン化合物、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート、水酸化化合物物等を用いることが好ましく、特にホスフィン化合物のうちホスフィン酸塩が好ましい。
また、誘電率や誘電正接を低下させる点では、ホスフィン化合物を使用することが好ましく、難燃性と絶縁性のバランスのみならず、誘電特性、接着性、屈曲性、耐熱性とのバランスに優れた硬化物を得ることができるようになる。
本発明において、これら難燃剤は、単独又は複数を併用して用いることができる。
これら難燃剤の平均粒子径は、0.1〜25μmであることが好ましい。0.1μmに近い平均粒子径を示す難燃剤を用いた場合、難燃剤による改質効果が得やすく、さらに分散性や分散液の安定性が向上しやすい。また、25μmに近い平均粒子径を示す難燃剤を用いた場合、硬化物の機械特性が向上しやすくなる。
なお、本発明でいう平均粒子径は、D95は粒度分布において体積積算値95%が含まれる時の粒径を示す。
本発明で用いる表面処理難燃剤(A)は、前記の25℃で固体の難燃剤の表面の少なくとも一部に、無機酸化物を付着させたものである。
付着させる無機酸化物としては特に指定されないが、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどが好適に用いられる。
付着させる無機酸化物の量は、前記の25℃で固体の難燃剤100質量部に対し、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部〜10質量部、さらに好ましくは0.1質量部〜5質量部であることがより好ましい。0.01質量部以上とすることにより絶縁性を向上できる。また10質量部以下とすることにより難燃性が優れる。
25℃で固体の難燃剤の表面の少なくとも一部に、無機酸化物を付着させる方法としては特に限定されないが、噴霧法、ゾルゲル法等が用いられる。例えば、無機酸化物の原料を表面処理の対象である難燃剤に噴霧したり、無機酸化物の原料と表面処理の対象である難燃剤とを混合しスラリーにしたりした後に、無機酸化物の原料を加水分解したり焼成したりすることによって、難燃剤の表面の少なくとも一部に無機酸化物を付着することができる。前記スラリーは、融解状態の無機酸化物の原料と表面処理の対象である難燃剤とを混合することによって得ることもできるし、いわゆる有機溶媒中に無機酸化物の原料と表面処理の対象である難燃剤とを分散することによって得ることもできる。
本発明では、25℃で固体の難燃剤の表面の少なくとも一部に、無機酸化物を付着させた表面処理難燃剤(A)の表面に、さらにシランカップリング剤を付着させたものを用いることが好ましい。さらにシランカップリング剤を付着させたものを用いることによって、難燃剤表面の疎水性が向上し、さらに絶縁性能を上げることができる。
上述のシランカップリング剤は特に限定されないが、例えばビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、1,2−エタンジアミン,N−{3−(トリメトキシシリル)プロピル}−,N−{(エテニルフェニル)メチル}誘導体・塩酸塩、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシランに加え、官能基がアルコキシ基で保護されたシランカップリング剤や、スルフィド・ポリスルフィド系のシランカップリング剤、ポリマー型のアルコキシオリゴマータイプや多官能基タイプシランカップリング剤などを用いることができる。
付着させるシランカップリング剤の量は、前記の25℃で固体の難燃剤100質量部に対し、0,005〜5質量部であることが好ましく、0.05〜2質量部であることがより好ましい。付着させるシランカップリング剤量が0.005質量部以上であることによって絶縁性が向上する。また付着量が5質量部以下であることによって難燃性が優れる。
表面処理難燃剤(A)の表面にさらにシランカップリング剤を付着させる方法としては特に限定されないが、乾式法もしくは高精度な処理が可能である湿式法が好適に利用される。この湿式法は無機酸化物の付着した表面処理難燃剤を分散させた分散液中にシランカップリング剤を添加し、表面処理難燃剤の表面にシランカップリング剤を結合させ、その後分散媒を除去して乾燥させる方法である。
<熱硬化性樹脂(B)>
本発明で用いられる熱硬化性樹脂(B)は、カルボキシル基やその無水物基、アミノ基、水酸基といった熱硬化性官能基を1分子中に2個以上有することが好ましいが、特に限定されるものではない。そのような樹脂としてたとえばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、スチレンとオレフィンとのブロック重合体であるスチレン系エラストマー、ポリオレフィン樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂など任意のものを用いることが出来る。また、熱硬化性樹脂(B)としてエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用い、後述する硬化剤(C)としてエポキシ樹脂に対するアミノ基やカルボキシル基の無水物基などを有するものを用いることもできる。
なお、熱硬化性樹脂(B)は、活性エネルギー線硬化性官能基を有するものは除く。
本発明の熱硬化性絶縁性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(B)100質量部に対し、表面処理難燃剤(A)を0.1〜100質量部含有することが好ましく、5〜80質量部含有することがより好ましい。表面処理難燃剤(A)の含有量が0.1質量部以上であることによって難燃性が優れる。また含有量が80質量部以下であることによって絶縁性が優れる硬化塗膜を得ることができる。
<硬化剤(C)>
本発明で用いる硬化剤(C)は熱硬化性樹脂(B)の有する反応性官能基と反応するものであれば良く、硬化剤1分子中に反応基を2個以上有することが好ましいが、特に限定されるものではない。たとえば、アミン硬化剤、無水物硬化剤、エポキシ硬化剤、イソシアネート硬化剤など任意のものを用いることが出来る。
本発明の熱硬化性絶縁性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(B)100質量部に対し、硬化剤(C)を0.01〜30質量部含有することが好ましく、0.1〜10量部含有することがより好ましい。塗液のポットライフの点から硬化剤の含有量は0.01質量部以上であることが好ましく、架橋密度の点から30質量部以下が好ましい。
本発明の熱硬化性絶縁性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(B)に表面処理難燃剤(A)および硬化剤(C)を加えることによって得ることができる。
例えば、熱硬化性樹脂(B)に表面処理難燃剤(A)および硬化剤(C)を添加し3本ロールなどを用いて表面処理難燃剤(A)を分散する方法、表面処理難燃剤(A)を含む分散液を用意し、これを熱硬化性樹脂(B)と硬化剤(C)との混合物に添加する方法などが挙げられる。また、表面処理難燃剤(A)を良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等を熱硬化性絶縁性樹脂組成物としての性能に影響を及ぼさない範囲で用いることもできる。あるいは、熱硬化性樹脂(B)の一部もしくは全部に表面処理難燃剤(A)を加え、表面処理難燃剤(A)を良好に分散させた後、残りの熱硬化性樹脂(B)と硬化剤(C)とを加えることもできる。
本発明の熱硬化性絶縁性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(B)に表面処理難燃剤(A)および硬化剤(C)の他に、いわゆる有機溶剤等の揮発性の液状媒体を含む、液状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物として用いることができる。
ポリイミド等の耐熱性フィルム上に設けられた導電性回路面を覆うように、液状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を塗布し、前記の揮発性の液状媒体を揮発させた後、加熱したオーブンや熱プレスなどで熱硬化性絶縁性樹脂組成物を硬化し、絶縁膜で導電性回路面を被覆することができる。
<シート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物>
剥離性フィルムに液状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を塗布し、前記の揮発性の液状媒体を揮発させ、シート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を得ることができる。形成されたシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物の他方の面に、別の他の剥離性フィルムを重ね、シート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物の両面が、剥離性フィルムで覆われている、剥離性フィルム付きのシート状熱硬化性絶縁性樹脂組成物とすることもできる。
ポリイミド等の耐熱性樹脂フィルム上に設けられた導電性回路面を覆うように、これらシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を重ね、加熱することによって熱硬化性絶縁性樹脂組成物を硬化し、硬化した絶縁膜で導電性回路面を被覆することができる。
剥離性シートとしては、ポリエステルフィルムを剥離処理したものなどが挙げられる。
<カバーレイ>
剥離性フィルムに液状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を塗布し、前記の揮発性の液状媒体を揮発させ、シート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を得た後、シート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物の他方の面をカプトン50ENに代表されるポリイミド等の耐熱性樹脂フィルムで覆い、剥離性フィルム付きのカバーレイとすることができる。
あるいは、ポリイミド等の耐熱性樹脂フィルムに液状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を塗布し、前記の揮発性の液状媒体を揮発させ、シート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を得た後、シート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物の他方の面を剥離性フィルムで覆い、剥離性フィルム付きのカバーレイとすることもできる。
そして、剥離性フィルム付きのカバーレイから剥離性フィルムを剥がし、ポリイミド等の耐熱性樹脂フィルム上に設けられた導電性回路面を覆うように、シート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を重ね、加熱することによって熱硬化性絶縁性樹脂組成物を硬化する。熱硬化性絶縁性樹脂組成物の硬化物を接着層として利用して、耐熱性樹脂フィルムで導電性回路面を被覆することができる。
剥離性シートとしては、前記と同様の物が挙げられる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」をそれぞれ意味する。
(合成例1)表面処理難燃剤(A1)の合成、および分散体の調整
オルトケイ酸テトラエチル(以下、TEOSともいう)のエタノール溶液(濃度:0.4%)800mlに、後述する方法で求めたD95粒子径が5μmのホスフィン酸アルミ1を10g加え、濃NH3水でpHを12に調整した後、3時間撹拌し、ろ過、エタノールで洗浄することで、ホスフィン酸アルミ1の表面にシリカが付着している表面処理難燃剤(A1)を得た。
表面に付着しているシリカの量を、後述するICP発光分光分析法により求めたところ、ホスフィン酸アルミ1:100質量部に対し、0.01質量部であった。
<表面処理難燃剤の分散体の調整>
表面処理難燃剤(A1)100質量部に対して、分散剤としてDISPERBYK−2155を15部となるよう添加し、MEK溶剤で固形分濃度が35質量%になるよう配合した。その後スキャンデックスにて1時間振とうさせ、表面処理難燃剤(A1)の分散体を調整した。
(合成例2〜7)
TEOSのエタノール溶液に加えるホスフィン酸アルミ1の量を代えた以外は合成例1と同様にして、ホスフィン酸アルミ1が100質量部に対し、表面に付着しているシリカの量が0.1、0.5、1、5、10、50質量部の表面処理難燃剤(A2)〜(A7)、および固形分35質量%の分散体を調整した。
(合成例8〜13)
表面処理難燃剤(A1)100重量部をミキサーに入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、シランカップリング剤である東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6610を10質量部、エタノール10質量部を噴霧し、150℃で2時間加熱撹拌し、溶剤を除去して冷却した。このようにして前記表面処理難燃剤(A1)の表面にさらにシランカップリング剤が付着した表面処理難燃剤(A8)を得、合成例1と同様にして、固形分35質量%の分散体を調整した。
噴霧に使うシランカップリング剤の量を変更する以外は同様にして、(A9)〜(A13)の分散体を調整した。
なお、表面処理難燃剤(A8)〜(A13)中のシランカップリング剤の量は、後述する方法にて求めたものであり、前記表面処理難燃剤(A1)中のホスフィン酸アルミ1が100質量部に対し、シランカップリング剤の量が0.01、0.1、0.2、0.5、2.0、7.0質量部であった。
(合成例14〜18)
ホスフィン酸アルミ1の代わりに、D95が10μmのホスフィン酸アルミ2、D95が20μmのホスフィン酸アルミ3、赤リン、ホスフィン酸マグネシウム6水和物、D95が10μmのメラミンシアヌレートを用いた以外は、合成例3と同様にして表面に付着しているシリカの量が0.5質量部である表面処理難燃剤(A14)〜(A18)、および各分散体を得た。
(合成例19)
ホスフィン酸アルミ1(D95粒子径5μm)50gを純水950gに分散させ、この難燃剤スラリーを還流基付反応器に入れ、濃度1重量%のNaOH水溶液にて分散液のpHを11に調整した後、撹拌しながら95℃にて30分間加熱し、難燃剤の塩基性スラリーを得た。
次いでAl23としての濃度が0.5重量%のアルミン酸ソーダ水溶液(Na2O/Al23=モル比1/2)1250gを5g/分の速度で上記難燃剤の塩基性スラリーに添加して、アルミナ表面処理層を有するホスフィン酸アルミ1の分散液を得た。
前記分散液に陽イオン交換樹脂を加えてpHが3になるまでイオン交換し、次いで陽イオン交換樹脂から難燃剤を含むスラリーを分離し、乾燥して、アルミナ表面処理層を有するホスフィン酸アルミ(A19)を得た。
(合成例20)
ホスフィン酸アルミ1(D95粒子径5μm)200gを、イソプロピルアルコール130gとチタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH324))7.56gとの混合溶液に、加え、室温で混合、攪拌してホスフィン酸アルミ1の表面にチタンテトライソプロポキシドを吸着させた。次に、ここにイオン交換水1.93gとイソプロピルアルコール1.93gとの混合水溶液を徐々に加え、チタンテトライソプロポキシドを加水分解処理し、洗浄し、加熱し、酸化チタン表面処理層を有するホスフィン酸アルミ(A20)を得た。
(合成例21)
ホスフィン酸アルミ1(D95粒子径5μm)200gを500gの純水に添加し、水性スラリーを得た。
このスラリー500gを撹拌しながら40℃に昇温し、この温度とスラリーのpHを7に維持しながらホスフィン酸アルミ1に対しZrO換算で1質量%に相当する100g/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液と30%水酸化ナトリウムを60分間かけて同時に添加し、30分間かけて熟成した。このスラリーを洗浄、固液分離した。得られた固体を900℃で1時間加熱焼成し、酸化ジルコニウム表面処理層を有するホスフィン酸アルミ(A21)を得た。
<ICP発光分光分析法によるシリカ表面処理の定量>
表面処理難燃剤0.25gを精秤し、硝酸7mlを加え、マイクロウェーブ型湿式分解装置を用い、150℃で2分、180℃で2分、210℃で10分と段階的に続けて加熱し、硝酸で分解処理した後、蒸留水で50ml定溶とし室温にてICP測定(装置名:ICP発光分光分析装置 SPECTRO ARCOS アメテック社製)を行った。
<D95粒子径の測定方法>
D95は難燃剤の粒度分布において体積積算値95%が含まれる時の粒径を示す。難燃剤の粒子径は、マイクロトラックMT3000EX(日機装株式会社製)を用いて測定した。1%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を撹拌しながら、0.5gの難燃剤を分散させ測定試料を作製した。測定は、水の屈折率、および難燃剤の屈折率を入力し、計測時間20秒、Signal Levelが緑色範囲内になるように試料濃度を調整して行った。
(調整例)未処理難燃剤の分散体の調整
表面処理難燃剤(A1)の代わりに、D95が5μmのホスフィン酸アルミ1、D95が10μmのホスフィン酸アルミ2、D95が20μmのホスフィン酸アルミ3、D95が0.3μmの水酸化アルミニウム、D95が5μmの赤リン、D95が1μmのシリカを用い、合成例1の場合と同様にして未処理難燃剤の分散体を得た。
(合成例101)ポリアミド樹脂1の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、プリポール1009を431.6g、5−HIPA 109.3g、テレフタル酸24.9g、C36ダイマージアミン(プリアミン1074:クローダジャパン株式会社製、アミン価=210mgKOH/g)を742.2g、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2KPaの真空下で、1時間保持した。その後、温度を低下し、ポリアミド樹脂1を得た。質量平均分子量は23,600、酸価は9.53mgKOH/g、アミン価は0.20mgKOH/g、フェノール価は25.73mgKOH/gであった。
(合成例102)ポリアミド樹脂2の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、プリポール1009を202.9g、5−HIPA 25,7g、テレフタル酸35.1g、C36ダイマージアミン(プリアミン1074:クローダジャパン株式会社製、アミン価=210mgKOH/g)を188.4g、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2KPaの真空下で、1時間保持した。その後、温度を低下し、ポリアミド樹脂2を得た。質量平均分子量は2,600、酸価は87.49mgKOH/g、アミン価は0.20mgKOH/g、フェノール価は17.5mgKOH/gであった。
(合成例103)ポリウレタン1の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、1.6−ヘキサンジオール10.6g、C36ダイマージオール(PRIPOL2033:クローダジャパン株式会社製、OH価=207mgKOH/g)113.3g、トリレンジイソシアネート44.3g、溶剤としてトルエン240gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いてこのフラスコに、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.016gを投入し、100℃で3時間攪拌し、ウレタン化の反応を行った。次に、トルエン40g、無水トリメリット酸17.6gを投入し、90℃で1時間攪拌後、135℃に昇温し、4時間反応させた。室温まで冷却し、ポリウレタン系樹脂を得た。質量平均分子量は1.1万、酸価は55.3mgKOH/gであった。
(合成例104)ポリエステル1の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、セバシン酸57.6g、トリメシン酸3.2g、シクロへキサンジメタノール27.5g、1.6−ヘキサンジオール9.7g、テトラブチルチタネート0.012gを仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、温度が安定したのを確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2KPaの真空下で、1時間保持した。その後、温度を低下し、ポリエステル樹脂を得た。質量平均分子量は3.2万、酸価は39.8mgKOH/gであった。
(合成例105)アクリル1の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、メチルエチルケトン(以下、MEKという)300gを入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸ブチル30g、メタクリル酸メチル28g、メタクリル酸ラウリルとメタクリル酸トリデシルとの1:1(質量比)混合品3g、メタクリル酸12g、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.8gの混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2部をMEK50gに溶解させたものを添加し、80℃で1時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。質量平均分子量は5.2万、酸価は78.2mgKOH/gであった。
[実施例1]
熱硬化性樹脂(B)としてカルボン酸無水物基を有するスチレン系エラストマーである旭化成(株)製の「M1913」100質量部に対して、硬化剤(C)として三菱ケミカル株式会社製の「jER1035」を10質量部添加した。
さらに表面処理難燃剤(A1)の分散体(固形分35質量%)を143部(表面処理難燃剤(A1)を50部含む)添加し、MEK溶剤で固形分濃度が15%になるよう希釈して、液状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を調整した。
この液状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように均一に塗工して乾燥し、剥離性フィルムで片面が覆われたシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成した。
[実施例2〜7]
表面処理難燃剤(A1)の分散体の代わりに、表面に付着しているシリカの量の異なる表面処理難燃剤(A2)〜(A7)の分散体を用いた以外は実施例1と同様にして、液状およびシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
[実施例8〜13]
表面処理難燃剤(A1)の分散体の代わりに、表2に示すように表面にさらにシランカップリング剤を付着させた表面処理難燃剤(A8)〜(A13)の分散体を用いた以外は実施例1と同様にして、液状およびシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
[実施例14〜19]
熱硬化性樹脂(B)としてカルボン酸無水物基を有するスチレン系エラストマーである旭化成(株)製の「M1913」の代わりに、表3−1で示すように
合成例101で作製したポリアミド樹脂1、
合成例102で作製したポリアミド樹脂2、
合成例103で作製したポリウレタン樹脂1、
合成例104で作製したポリエステル樹脂1、
合成例105で作製したアクリル樹脂1、
をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、液状およびシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
なお、実施例14は実施例3と同じものであるが、分かりやすさのために実施例14として表4に合わせて表記した。
[実施例20〜25]
熱硬化性樹脂(B)に対する硬化剤(C)として三菱化学(株)製のjER1031Sの代わりに、表3−2で示すように住化コベストロウレタン(株)製のデスモジュールXP2565へ変更した以外は、実施例14〜19と同様にして、液状およびシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
[実施例26〜35]
熱硬化性樹脂(B)であるカルボン酸無水物基を有するスチレン系エラストマーである旭化成(株)製の「M1913」100質量部に対して、表面処理難燃剤(A1)の固形分の量が表4−1に示す量となるように、表面処理難燃剤(A1)の分散体の量を変更した以外は、実施例1と同様にして、液状およびシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
[実施例36〜45]
熱硬化性樹脂(B)であるポリアミド樹脂1:100質量部に対して、表面処理難燃剤(A1)の固形分の量が表4−2に示す量となるように、表面処理難燃剤(A1)の分散体の量を変更した以外は、実施例1と同様にして、液状およびシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
[実施例46〜51]
表面処理難燃剤(A)として、表面処理難燃剤(A3)の分散体の代わりに、表面処理難燃剤(A14)〜(A18)の分散体を用いた以外は実施例3と同様にして、液状およびシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
なお実施例46は実施例3と同じであるが、わかりやすさのため実施例46として表5へ合わせて表記した。
[実施例52〜57]
実施例3において熱硬化性絶縁性樹脂組成物中に含まれていた表面処理難燃剤(A3)の50質量部のうち、15質量部を未処理難燃剤に置き換えるように調整例で調整した未処理難燃剤の分散体を用いた以外は実施例3と同様に、液状およびシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
[実施例58〜61]
表面処理難燃剤(A)として、合成例19〜21で作製した(A19)〜(A21)の分散体を用いた以外は、実施例3と同様にして、液状およびシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
[比較例1〜7]
比較例1〜6では、表面処理難燃剤(A1)の代わりに、調整例で得た下記の未処理難燃剤の分散体をそれぞれ50部用いた以外は、
また、比較例7では、表面処理難燃剤(A1)の代わりに、ホスフィン酸アルミ1の分散体とシリカの分散体を25質量部ずつ併用した以外は、
実施例1と同様にして、液状およびシート状の感光性絶縁性樹脂組成物を形成し、同様に評価した。
比較例1:D95が5μmのホスフィン酸アルミ1の分散体
比較例2:D95が10μmのホスフィン酸アルミ2の分散体
比較例3:D95が20μmのホスフィン酸アルミの分散体3
比較例4:D95が0.3μmの水酸化アルミニウムの分散体
比較例5:D95が5μmの赤リンの分散体
比較例6:D95が1μmのシリカの分散体
比較例7:D95が5μmのホスフィン酸アルミ1の分散体と、D95が1μmのシリカの分散体
実施例、比較例で得られた剥離性フィルムで片面が覆われたシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物について、難燃性、電気絶縁性を以下の方法で評価した。結果を表1〜7に示す。
(1)難燃性
(難燃性評価用試料の作製)
耐熱性樹脂フィルムとして厚さが12.5μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン(株)製〔カプトン50EN〕]を用意した。
剥離性フィルムで片面が覆われたシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物の剥離性フィルムで覆われてはいない方の面に,80℃で前記耐熱性樹脂フィルムをラミネートした後、160℃で60分間加熱し、熱硬化した。
得られた積層体は、耐熱性樹脂フィルムと熱硬化性絶縁性樹脂組成物の硬化物と剥離性フィルムとがこの順番で積層されている。
(難燃性の評価)
得られた積層体を20cm×20cmの大きさに切り、剥離性フィルムを剥がした後、耐熱性樹脂フィルムが外側を向くように筒状に丸め、評価用試験片とした。
この試験片について、UL94規格に準拠した薄材垂直燃焼試験を行い、燃焼した長さに応じて結果を次の基準で判断した。
A・・・燃焼距離 ≦ 1cm
B・・・1cm < 燃焼距離 ≦ 3cm
C・・・3cm < 燃焼距離 ≦ 5cm
D・・・5cm < 燃焼距離 ≦ 7cm
E・・・7cm < 燃焼距離 ≦ 10cm
F・・・10cm < 燃焼距離
(2)電気絶縁性
(絶縁性評価用試料の作製)
ポリイミドフィルム上に3種類の櫛型の銅回路パターン(導体パターン幅/スペース幅=50μm/50μm、100μm/100μm、200μm/200μm)が形成されたプリント配線板を用意した(図1(1)参照)。
剥離性フィルムで片面が覆われたシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物の剥離性フィルムで覆われてはいない方の面に、80℃で前記プリント配線板の回路面をラミネートした後、160℃で60分間加熱し、シート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物熱硬化した。
得られた積層体は、プリント配線板の回路面と感光性絶縁性樹脂組成物の硬化物と剥離性フィルムとがこの順番で積層されている。
(絶縁性の評価)
前記積層体から剥離性フィルムを剥がし、絶縁性評価用の試験片とした(図1(2)参照)。なお、図では説明のために感光性絶縁性樹脂組成物の硬化物を透して櫛形の銅回路を見えるように示した。
温度60℃、相対湿度85%、および温度80℃、相対湿度85%の二種類の雰囲気下において、絶縁性評価用の試験片の銅回路にそれぞれ直流電圧50Vを連続的に100時間加え、二つの雰囲気下におけるリークタッチ(ショート)するまでの時間(hr)を測定した。評価基準は以下の通りである。
A・・・いずれの温度、回路パターンにおいても100時間後までリークタッチなし。
B・・・温度85℃、回路パターン50/50の条件では100時間後までにリークタッチが生じたが、上記以外の条件では100時間後までリークタッチが生じなかった。
C・・・温度85℃、回路パターン50/50および100/100の条件では100時間後までにリークタッチが生じたが、上記以外の条件では100時間後までリークタッチが生じなかった。
D・・・温度85℃かつすべての回路パターンの条件では100時間後までにリークタッチが生じたが、温度60℃かつすべての回路パターンの条件では100時間後までリークタッチが生じなかった。
E・・・温度85℃かつすべての回路パターンの条件では100時間後までにリークタッチが生じ、温度60℃の場合、回路パターン50/50の条件では100時間後までにリークタッチが生じたが、温度60℃の場合、回路パターン100/100、200/200のうち少なくとも一方の条件では100時間後までリークタッチが生じなかった。
F・・・すべての条件で100時間後までにリークタッチが生じた。
表1の実施例1〜7に示すように、付着しているシリカの量を増やすと難燃性は低下し、絶縁性は向上する傾向にある。
表2の実施例8〜14に示すように、付着しているシランカップリング剤の量を増やすと絶縁性は向上するものの、添加量が多くなると悪化する傾向にある。
表3−1、表3−2の実施例14〜25に示すように、他の熱硬化性樹脂や他の硬化剤の場合でも実施例3と同様の効果を確認できた。
表4−1、表4−2の実施例26〜45に示すように、表面処理された難燃剤を多く添加するほど、難燃性は向上するが、絶縁性は悪化する傾向にある。
表5の実施例46〜51に示すように、小粒径の表面処理難燃剤を用いることで、難燃性が向上する。これは表面積の大きい小粒径難燃剤のほうが、難燃機構上有利なためである。
表7の実施例58〜61に示すように、難燃剤の表面に付着させる無機酸化物としては、絶縁性向上の点からシリカが好ましい。
表8の比較例1〜6に示すように、表面処理難燃剤を全く添加しない場合には、難燃性が大幅に悪化する。また比較例7に示すように、シリカを難燃剤に予め付着させずに、分散体として単に配合した場合も難燃性が悪化し、絶縁性にもさほど効果がない。
1:ポリイミドフィルム
2:カソード電極用櫛形信号配線
2’:カソード電極接続点
3:アノード電極用櫛形信号配線
3’:アノード電極接続点
4:感光性絶縁性樹脂組成物の硬化物

Claims (9)

  1. 無機酸化物が25℃で固体の難燃剤の表面の少なくとも一部に付着している表面処理難燃剤(A)と、熱硬化性樹脂(B)と、前記熱硬化性樹脂(B)に対する硬化剤(C)とを含有する熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
    (但し、前記熱硬化性樹脂(B)は、活性エネルギー線硬化性官能基を有するものは除く。)
  2. 25℃で固体の難燃剤100質量部に対し、無機酸化物が0.01〜10質量部付着している請求項1に記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
  3. 表面処理難燃剤(A)の表面にさらにシランカップリング剤が付着している、請求項1または2に記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
  4. 熱硬化性樹脂(B)100質量部に対し、表面処理難燃剤(A)を0.1〜100質量部含有する請求項1〜3いずれか1項に記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
  5. 25℃で固体の難燃剤が、ホスフィン酸塩である請求項1〜4いずれか1項に記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
  6. 熱硬化性樹脂(B)が、カルボキシル基、カルボキシル基の無水物基、アミノ基、および水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、請求項1〜5いずれか1項に記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
  7. シート状である、請求項1〜6いずれか1項に記載の熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
  8. 請求項7記載のシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物が、耐熱性樹脂フィルムの一方の面に配置されてなるカバーレイ。
  9. 請求項7記載のシート状の熱硬化性絶縁性樹脂組成物の両面が、剥離性フィルムで覆われている、剥離性フィルム付きのシート状熱硬化性絶縁性樹脂組成物。
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