以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのインクジェットプリンタについて説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態におけるインクジェットプリンタの要部を示す斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるインクジェットプリンタの要部断面図である。
図において、10はインクジェットプリンタ、Csは該インクジェットプリンタ10の本体、すなわち、装置本体を包囲する筐体(外装体)、Frはインクジェットプリンタ10のフレームである。
該フレームFrは、インクジェットプリンタ10を前側(図2において手前側)から見たときの左端から右端にかけて延在させて配設された受け板PB、該受け板PBの左端から立ち上げて形成された第1の主フレームとしてのサイドプレートPL1、受け板PBの右端から立ち上げて形成された第2の主フレームとしてのサイドプレートPR1、前記サイドプレートPL1より所定の距離だけ右方において受け板PBから立ち上げて形成された第1の副フレームとしての枠体PL2、前記サイドプレートPR1より所定の距離だけ左方において受け板PBから立ち上げて形成された第2の副フレームとしての枠体PR2、並びに各サイドプレートPL1、PR1及び枠体PL2、PR2の各上端を連結する上板PTを備える。
前記筐体Csは、頂壁Wt、該頂壁Wtの前端部から斜め下方に向けて延在させられる前壁Wf、頂壁Wtの後端部から垂下させて延在させられる背壁Wr、及び頂壁Wtの左右の端部からサイドプレートPL1、PR1に沿って垂下させて延在させられる図示されない側壁を備え、前記前壁Wfにおける枠体PL2、PR2間に、光透過材料(透明又は半透明の材料)で形成された、筐体Cs内の状態を観察するための透過窓としての板状のカバー28が、上端に配設されたヒンジhgによって開閉自在に配設される。前記カバー28は、上端が下端より背壁Wr側に位置するように傾斜させて配設され、通常は自重で閉状態に置かれ、操作者が下端を持ち上げることによって開状態に置かれる。
前記筐体Cs内において、サイドプレートPL1、PR1間に、レール15が配設(架設)され、該レール15に沿ってキャリッジ17が左右方向、すなわち、主走査方向に移動自在に配設される。そのために、前記サイドプレートPR1に駆動側のプーリ18が、サイドプレートPL1に従動側のプーリ19が回転自在に配設され、駆動側のプーリ18と従動側のプーリ19とによって無端ベルト21が走行自在に張設され、該無端ベルト21の所定の箇所に前記キャリッジ17が取り付けられる。該キャリッジ17には、一つ又は複数の、本実施の形態においては、カラーの画像を形成することができるように、複数の記録ヘッドHdi(i=1、2、…、n)が搭載される。また、駆動側のプーリ18に近接させてキャリッジ走行用の駆動部としてのキャリッジモータ24が配設される。
前記キャリッジ17は、レール15より前方に形成された第1の部分としての主ケース17A、及び該主ケース17Aの上端から後方に向けて延在させて形成された第2の部分としての副ケース17Bを備え、前記主ケース17A内に、前記記録ヘッドHdiがノズル面を下方に向けて配設される。なお、主ケース17Aは、前壁Wfと同じ角度で傾斜させて形成され、記録ヘッドHdiの上方を覆う傾斜壁部Vfを備える。
前記レール15に沿って、かつ、レール15と平行に延在させてリニアスケール23が配設され、該リニアスケール23の目盛りが、キャリッジ17に配設された図示されないエンコーダによって読み取られ、該エンコーダのセンサ出力に基づいてキャリッジ17の位置が検出される。また、キャリッジ17の位置の変化及び時間に基づいてキャリッジ17の移動速度が算出される。
したがって、前記キャリッジモータ24を駆動することによって前記駆動側のプーリ18を回転させ、無端ベルト21を走行させると、キャリッジ17を主走査方向に移動させ、各記録ヘッドHdiを主走査方向に移動させることができる。このとき、キャリッジ17の移動に伴って各記録ヘッドHdiから各色のインク滴が記録媒体Pに向けて吐出され、記録媒体Pに付着させられることによって、記録媒体Pに文字、イメージ等の画像が形成される。なお、記録媒体Pとしては、用紙のほかに、塩化ビニル、PET等の樹脂製のフィルム等を使用することができる。
このようにして、記録ヘッドHdiによる記録が行われ、印刷が行われる。
なお、Qa、Qbは、前記枠体PR2とサイドプレートPR1との間に配設された図示されないn個のインクカートリッジとキャリッジ17との間を連結するチューブユニット、Qcはキャリッジ17と各記録ヘッドHdiとを連結するチューブユニットであり、各インクカートリッジのインクは、チューブユニットQa〜Qcを介して各記録ヘッドHdiに供給される。
また、前記レール15に沿って、かつ、レール15と平行に、すなわち、主走査方向に延在させて、プレート状の形状を有するプラテン25が配設される。該プラテン25は、筐体Cs内において、前記受け板PB上における枠体PL2、PR2間に延在させて配設され、プラテン25上を搬送される記録媒体Pを支持する。
そして、前記プラテン25の下方に、記録媒体Pを負圧によってプラテン25に引き寄せるための空気吸引装置38が配設される。該空気吸引装置38は、プラテン25の下方の全域に形成され、複数の部屋に区画された吸引室39、該各吸引室39の前面に配設された図示されない吸引用のファン等から成る。前記プラテン25には複数の孔が形成され、吸引用のファンによって前記各孔を介して吸引室39に吸引された筐体Cs内の空気は、図示されないダクトを介して筐体Cs外に排出される。これにより、記録媒体Pはプラテン25によって平坦に支持される。
また、前記筐体Cs内におけるプラテン25より後方に、第1の媒体案内部としてのリヤペーパガイド26が配設され、該リヤペーパガイド26は、図示されない繰出しロールから繰り出された記録媒体Pを前記プラテン25に向けて案内する。そのために、背壁Wrにおけるリヤペーパガイド26と対向する箇所に媒体導入口Eiが形成され、前記リヤペーパガイド26とプラテン25との間に、搬送部材としての搬送ローラ対30が回転自在に配設される。
該搬送ローラ対30は、プラテン25に隣接させて、インクジェットプリンタ10の走査方向に延在させて回転自在に配設された第1のローラとしての搬送ローラ31、及び該搬送ローラ31より上方において、所定のピッチで複数箇所に回転自在に配設され、記録媒体Pを搬送ローラ31に押し付ける第2のローラとしてのピンチローラ32から成る。搬送用の駆動部としての図示されない搬送モータを駆動し、搬送ローラ31を回転させると、ピンチローラ32が連れ回りで回転させられる。
これにより、記録媒体Pが、搬送ローラ31とピンチローラ32とによって挟まれた状態で繰出しロールから繰り出され、リヤペーパガイド26上をプラテン25に向けて送られる。そして、プラテン25上を搬送されている間に、記録媒体Pと記録ヘッドHdiのノズル面とが対向させられ、記録ヘッドHdiからインク滴が吐出され、記録媒体Pに付着させられる。
この場合、前記搬送モータを駆動して記録媒体Pを所定の距離搬送した後、搬送モータを停止させ、その状態でキャリッジ17を移動させ、記録ヘッドHdiからインク滴を吐出することによって、1走査が行われ、1ライン分の画像が形成される。1走査が終了すると、前記搬送モータを再び駆動して記録媒体Pを所定の距離搬送した後、搬送モータを停止させ、その状態でキャリッジ17を移動させ、記録ヘッドHdiからインク滴を吐出することによって、1走査が行われ、1ライン分の画像が形成される。この動作を繰り返すことによって、記録媒体Pに画像が形成され、印刷が行われる。
なお、本実施の形態においては、シングルパス方式によって印刷が行われるようになっているが、マルチパス方式によって印刷を行う場合は、前記記録媒体Pを搬送する距離が記録ヘッドHdiの図示されないノズル列より短くされ、複数の走査を行うことによって1ライン分の画像が形成される。
そして、前記筐体Cs内におけるプラテン25より前方に、印刷が行われた後の記録媒体Pを筐体Cs外に案内し、排出するための第2の媒体案内部としてのフロントペーパガイド33が配設される。該フロントペーパガイド33は、前記プラテン25から水平方向に排出された記録媒体Pを下方に向けて(図3の矢印方向に)案内するために、湾曲した形状を有する。また、カバー28の下端とフロントペーパガイド33との間に媒体排出口Eoが形成される。
したがって、媒体導入口Eiから筐体Cs内に供給された記録媒体Pは、リヤペーパガイド26によって案内されてプラテン25に送られ、プラテン25上において、記録ヘッドHdiから吐出されたインク滴が付着させられて印刷が行われ、印刷が行われた後、フロントペーパガイド33によって案内されて媒体排出口Eoから筐体Cs外に排出され、フレームFrに配設された図示されない巻取装置に送られて、巻き取られる。
なお、前記リヤペーパガイド26、プラテン25及びフロントペーパガイド33には加熱部材としての図示されないヒータが埋設され、記録媒体Pが、リヤペーパガイド26において予熱され、プラテン25及びフロントペーパガイド33において加熱され、これにより、記録媒体Pに付着したインク滴が乾燥するのが促進される。
また、筐体Cs内における枠体PR2とサイドプレートPR1との間には、記録ヘッドHdiの図示されないノズルを良好な状態に保持するために、各記録ヘッドHdiのノズル面を払拭する第1のメンテナンス装置としてのワイプユニット41が、サイドプレートPL1と枠体PL2との間には、ノズルの乾燥を防止するとともに、ノズル内で粘度が高くなったインクを吸引する吸引機構等から成る第2のメンテナンス装置としてのキャップユニット42が配設される。
ところで、本実施の形態においては、前述されたように、キャリッジ17に複数の記録ヘッドHdiが搭載され、各記録ヘッドHdiから各色のインク滴が吐出され、記録媒体Pに付着させられる。
この場合、記録ヘッドHdiが有する機械的な公差、キャリッジ17への取付け上の公差等によって、各記録ヘッドHdiのノズルの位置が相対的にずれると、色ずれが生じ、記録媒体Pに形成された画像の画像品位が低下してしまう。
そこで、キャリッジ17に対する各記録ヘッドHdiの取付位置を調整することができるように、位置調整装置が配設される。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるキャリッジに記録ヘッドを取り付けた状態を示す平面図である。なお、この場合、キャリッジ17に4個の記録ヘッドHdi(i=1、2、…、4)が配設される例について説明する。
図において、17はキャリッジ、Vbは該キャリッジ17の底壁部であり、該底壁部Vbに矩形の形状を有する4個の開口haが形成される。
また、Hdiは記録ヘッドであり、各記録ヘッドHdiは、矩形の形状を有し、長手方向における一方の端部に形成された第1の縁部としてのエッジeg1、長手方向における他方の端部に形成された第2の縁部としてのエッジeg2、前記他方の端部から前記一方の端部を見たときの左側においてエッジeg1、eg2間を結ぶ第3の縁部としてのエッジeg3、及び前記他方の端部から前記一方の端部を見たときの右側においてエッジeg1、eg2間を結ぶ第4の縁部としてのエッジeg4を備え、ノズル面を、開口haを介して前記プラテン25(図2)と対向させて配設される。
前記記録ヘッドHdiは、長手方向における一方の端部において、キャリッジ17の底壁部Vbから立ち上げて形成された第1の軸支持部としてのピンp1に対して揺動自在に支持される。そのために、各記録ヘッドHdiは、エッジeg1から突出させて形成され、矩形の形状を有する係合部51を備え、該係合部51に形成された貫通孔52に前記ピンp1が相対的に回転自在に嵌入される。
また、Ui(i=1、2、…、4)は、各記録ヘッドHdiの他方の端部に隣接させて配設された位置決め装置であり、該位置決め装置Uiは、樹脂材料から成る平板状のプレート部材によって形成され、キャリッジ17の底壁部Vbから立ち上げて形成された第2の軸支持部としてのピンp2に対して揺動自在に支持される。
そして、前記位置決め装置Uiは、円形の形状を有する押圧部材としてのカム55、及び該カム55と一体に形成され、ほぼ扇形の形状を有する操作・表示部としてのアーム部57を備える。該アーム部57は、カム55と共にピンp2に対して揺動自在に支持される。
そして、位置決め装置Uiが回転させられ、カム55が回転させられると、記録ヘッドHdiは、他方の端部においてカム55によって押され、ピンp1を中心にして回転させられる。
そのために、前記カム55の外周縁の近傍に、カム55の中心に対して偏心させて、貫通孔58が形成され、該貫通孔58に前記ピンp2が相対的に回転自在に嵌入される。そして、前記カム55の周方向に形成されたカム面Saと記録ヘッドHdiのエッジeg3に形成された当接面Sbとが当接させられ、カム55が回転させられるのに伴って、カム面Saにおける当接面Sbと当接する部分、すなわち、押圧部が、エッジeg3におけるカム面Saと当接する部分、すなわち、被押圧部を押す。
また、前記アーム部57におけるカム55の外周縁より所定の距離だけ径方向外方に、位置決め装置Uiを操作するための操作部としての摘み61が立ち上げて形成され、前記アーム部57における摘み61より所定の距離だけ径方向外方に、孤状の形状を有するスケールGrがアーム部57の外周縁に沿って形成される。そして、前記キャリッジ17の底壁部Vbにおける所定の位置、すなわち、アーム部57の回転方向における基準位置に、スケールGrと対向させて指示部としてのマーク63が形成される。
前記スケールGrには、前記アーム部57を回転させたときに、マーク63が指す位置が分かるように所定の長さの目盛りが形成され、アーム部57を回転させたときの、アーム部57の操作量、本実施の形態においては、記録ヘッドHdiの回転角度がスケールGrによって表される。なお、前記マーク63は、アーム部57が基準位置に置かれているときに、目盛りの周方向における中央を指す。
そして、前記アーム部57における摘み61より所定の距離だけ径方向外方で、かつ、前記スケールGrより所定の距離だけ径方向内方に、ピンp2を中心とする円周方向に延在させて、孤状の形状を有する長溝m1が形成される。また、案内部材としてのポスト65が、キャリッジ17の底壁部Vbから立ち上げて形成され、アーム部57を回転させたときに、長溝m1内を移動させられ、アーム部57を案内する。そのために、長溝m1は、記録ヘッドHdiの取付位置を調整するために必要な長さ(周方向寸法)を有し、ポスト65の径よりわずかに大きい溝幅を有する。なお、ポスト65は、アーム部57が基準位置に置かれ、マーク63が目盛りの周方向における中央を指すときに、長溝m1の周方向における中央に置かれる。
また、前記各記録ヘッドHdiの長手方向における他方の端部に、第1の付勢部材としてのスプリング53が、一端をエッジeg2に当接させて、他端を底壁部Vbに固定して配設され、所定の付勢力で記録ヘッドHdiをピンp1に向けて付勢する。さらに、前記各記録ヘッドHdiの長手方向における他方の端部の近傍に、第2の付勢部材としてのスプリング54が、一端をエッジeg4に当接させて、他端を底壁部Vbに固定して配設され、所定の付勢力で記録ヘッドHdiを位置決め装置Uiに向けて付勢する。
そして、各記録ヘッドHdiの長手方向における他方の端部の近傍に、記録ヘッドHdiの位置決めが終了した後に、記録ヘッドHdiがキャリッジ17に対して移動するのを阻止するための固定部67が配設され、該固定部67に、キャリッジ17の底壁部Vbを貫通させてねじ孔68が形成され、該ねじ孔68に対して固定要素としてのねじbtが螺合させられる。また、キャリッジ17の底壁部Vbに図示されない長孔が形成され、ねじbtの先端が、長孔を貫通してキャリッジ17の裏面に突出させられ、図示されないボルトと連結される。したがって、ねじbtを回転させてねじ孔68と螺合させると、ボルトが引き上げられ、ねじbtとボルトとによって底壁部Vbが挟まれ、これにより、記録ヘッドHdiがロックされる。
なお、前記位置決め装置Ui及びスプリング53、54によって、位置調整装置が形成される。
次に、該位置調整装置の動作について説明する。
操作者が、摘み61を保持し、ピンp2を回転中心にして位置決め装置Uiを回転させると、カム55が、位置決め装置Uiと同様に、前記ピンp2を回転中心にして回転させられ、カム面Saを当接面Sbと摺動させながら、記録ヘッドHdiを押す。このとき、カム55が記録ヘッドHdiを押す押付力がスプリング54の付勢力より大きいかどうかによって、ピンp2と当接面Sbとの距離(直線距離)εi(i=1、2、…、4)が変化させられる。
すなわち、操作者が、位置決め装置Uiを図1における反時計回りに回転させると、カム55が前記ピンp2を回転中心にして反時計回りに回転させられ、ピンp2と前記押圧部との間の距離が長くなり、カム面Saが、スプリング54の付勢力に抗して当接面Sbを押す。このとき、カム55による押付力がスプリング54の付勢力より大きくなり、記録ヘッドHdiは、図1における反時計回りに回転させられ、距離εiが長くなる。
また、操作者が、位置決め装置Uiを図1における時計回りに回転させると、カム55が前記ピンp2を回転中心にして時計回りに回転させられ、ピンp2と前記押圧部との間の距離が短くなり、当接面Sbが、スプリング54の付勢力によってカム面Saを押す。このとき、カム55による押付力がスプリング54の付勢力より小さくなり、記録ヘッドHdiは、図1における時計回りに回転させられ、距離εiが短くなる。
なお、カム55による押付力とスプリング54の付勢力とが等しい場合、記録ヘッドHdiは回転させられず、距離εiは変化しない。
したがって、操作者が、記録媒体Pに形成された画像に基づいて、位置決め装置Uiを反時計回り又は時計回りに回転させ、各記録ヘッドHdiをピンp1を回転中心にしてそれぞれ所定の回転角度回転させることによって、各記録ヘッドHdiの取付位置を調整することができる。
位置決め装置Uiを回転させる間、スプリング53の付勢力によって記録ヘッドHdiがピンp1に向けて付勢され、スプリング54によって記録ヘッドHdiが位置決め装置Uiに向けて付勢されるので、記録ヘッドHdiを安定させた状態で回転させることができる。したがって、各記録ヘッドHdiの取付位置を容易に、かつ、安定させて調整することができる。
このようにして、各記録ヘッドHdiの取付位置が調整されると、操作者は、各記録ヘッドHdiの固定部67において、ねじbtを回転させ、前記ボルトを引き上げ、各記録ヘッドHdiを取付位置にロックする。
このように、各記録ヘッドHdiの取付位置を調整することによって、各記録ヘッドHdiのノズル列を互いに平行にすることができる。
本実施の形態において、操作者は、アーム部57においてマーク63が指す位置のスケールGrの目盛りを読むことによって記録ヘッドHdiの回転角度を知ることができるので、スケールGrの目盛りを読みながらアーム部57を回転させることができる。したがって、各記録ヘッドHdiの取付位置を精度良く調整することができる。
また、スケールGrがピンp2の位置から十分に離れた箇所に形成されるので、スケールGrの周方向長さ、すなわち、目盛りの長さを十分に採ることができる。したがって、アーム部57をわずかに回転させるだけで、マーク63が指す位置を大きく変化させることができるので、記録ヘッドHdiの回転角度を精度良く知ることができる。その結果、取付位置の調整範囲を広くすることができるので、各記録ヘッドHdiの取付位置を一層精度良く調整することができる。
なお、ピンp1から前記押圧部までの距離、ピンp2から押圧部までの距離等を長くすることによって、位置決め装置Uiを回転させたときの各記録ヘッドHdiの回転角度を小さくすることができる。したがって、各記録ヘッドHdiの取付位置を一層精度良く調整することができる。
また、位置決め装置Uiを回転させる際に、ポスト65が長溝m1内を移動させられ、アーム部57が案内されるので、アーム部57を円滑に回転させることができる。したがって、各記録ヘッドHdiの取付位置を確実に調整することができる。
このようにして各記録ヘッドHdiの取付位置が調整されると、例えば、図1に示されるように、記録ヘッドHd1、Hd3ついては、位置決め装置U1、U3を回転させることなく基準の取付位置に置くことができる。このとき、マーク63はスケールGrの目盛りの中央を指す。
また、記録ヘッドHd2については、位置決め装置U2を時計回りに回転させることによって基準の取付位置に置くことができ、このとき、マーク63はスケールGrの目盛りの中央より右側を指す。そして、記録ヘッドHd4については、位置決め装置U4を反時計回りに回転させることによって基準の取付位置に置くことができ、このとき、マーク63はスケールGrの目盛りの中央より左側を指す。
なお、記録ヘッドHd1、Hd3の距離ε1、ε3は、記録ヘッドHd2の距離ε2より長くなり、記録ヘッドHd4の距離ε4より短くなる。
次に、記録媒体Pにインク滴を吐出したときに形成されるドット列について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における記録ヘッドからインク滴を吐出したときに形成されるドット列の例を示す図である。
図において、Dot1は記録ヘッドHd1で形成されたドット列、Dot2は取付位置が調整される前の記録ヘッドHd2で形成されたドット列、Dot3は取付位置が調整された後の記録ヘッドHd2で形成されたドット列である。
例えば、取付位置が調整される前において、記録ヘッドHd1が基準の取付位置に置かれ、記録ヘッドHd2が記録ヘッドHd1と平行ではなく、記録ヘッドHd2の他方の端部が記録ヘッドHd3側に寄って傾斜している場合、記録ヘッドHd1、Hd2によって、下端が開いたドット列Dot1、Dot2が形成されてしまう。
したがって、記録ヘッドHd2の取付位置を調整することなく画像を形成すると、色ずれが生じ、画像に線状の模様等が形成され、画像品位が低下してしまう。
そこで、図1に示されるように、位置決め装置U2を時計回りに回転させることによって、記録ヘッドHd2の取付位置を調整すると、記録ヘッドHd1、Hd2が基準の取付位置に置かれ、平行なドット列Dot1、Dot3が形成される。その結果、画像品位が低下するのを防止することができる。
このように、本実施の形態においては、アーム部57を回転させ、カム55によって記録ヘッドHdiを押したときに、アーム部57に形成されたスケールGrによってアーム部57の操作量が表されるので、記録ヘッドHdiの取付位置を容易に、かつ、精度良く調整することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図5は本発明の第2の実施の形態におけるキャリッジに記録ヘッドを取り付けた状態を示す平面図である。
この場合、各記録ヘッドHdiは、長手方向における一方の端部において、キャリッジ17(図1)の底壁部Vbから立ち上げて形成された第1の軸支持部としてのピンp1に対して揺動自在に支持される。そのために、各記録ヘッドHdiは、第1の縁部としてのエッジeg1から突出させて形成された係合部151を備え、該係合部151とピンp1とが相対的に回転自在に係止させられる。
前記係合部151は、第1、第2の面としての傾斜面S1、S2を隣接させることによって形成された「V」字状の形状を有する溝m2を備え、前記ピンp1が溝m2に係止させられる。記録ヘッドHdiは、第2の縁部としてのエッジeg2と当接させて配設された第1の付勢部材としてのスプリング53の付勢力によってピンp1に向けて付勢されるので、ピンp1が溝m2から外れることはない。
この場合、係合部151がエッジeg1における第4の縁部としてのエッジeg4側の端部に形成されるので、係合部151とカム面Saが当接面Sbに当接する点とを記録ヘッドHdiにおける対角線上に置くことができる。したがって、ピンp1から押圧部までの距離Lを長くすることができるので、各記録ヘッドHdiの取付位置を精度良く調整することができる。
また、傾斜面S1、S2を隣接させることによって形成された溝m2にピンp1が係止させられるようになっているので、ピンp1から押圧部までの距離Lを十分に長くすることができる。
なお、本実施の形態においては、係合部151がエッジeg1におけるエッジeg4側の端部に形成されるので、スプリング53を、エッジeg2におけるエッジeg4側の端部に当接させるようにしている。したがって、スプリング53の付勢力がエッジeg2におけるエッジeg4側の端部に加わるので、記録ヘッドHdiをピンp1に向けて安定させて付勢することができる。
前記各実施の形態においては、インクジェットプリンタ10について説明したが、本発明を複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。