JP2019049419A - 故障確率評価システム - Google Patents

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Abstract

【課題】機械システムの複数の構成要素に対して高精度な故障確率評価または余寿命評価を行うことができる故障確率評価システムを提供する。
【解決手段】機械システムに含まれる複数の機械要素の故障確率を評価するシステムであって、機械要素の疲労損傷または経年変化によって変化する物理量1を基にして、機械要素の健全性を表す状態量を評価する手段と、機械要素が受ける荷重や負荷によって変化する物理量2若しくは機械要素の運転データを基にして、機械要素の累積疲労損傷度を評価する手段と、状態量および疲労損傷度を保存する保存部と、複数の機械要素のうち、故障が発生した機械要素における状態量と疲労損傷度に基づき、複数の機械要素のうち故障が発生していない機械要素の故障確率を算出する故障確率評価部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は,機械システムに含まれる複数の同型機械群の故障確率評価システムに関する。
過去に,いくつかの機械システム疲労故障に対する余寿命評価法方法が提案されてきた。代表的な例として,線形累積損傷則(非特許文献1)を利用するものがある。具体的には例えば特許文献1に記載の方法がある。一方,機械コンポーネントの健全性を評価する他の方法として,異常診断あるいは予兆検知と呼ばれる手法が知られている(特許文献2)。
特開2015-229939 WO2016/117021
M.A. Miner: Cumulative Damage in Fatigue, J. Appl. Mech., 12(3), ppA159-A164
機械システムにおいて,動的な荷重負荷に晒される機械要素や機械構造物(以下,機械コンポーネントと総称する)は,要求される寿命を満足するように疲労寿命設計がなされる。しかしながら,実際の使用において,これらに作用する動的荷重は使用環境や使用条件に応じてばらつく。同時に,これらの機械コンポーネントの各個体が有する疲労寿命も,潜在的にばらつきを有する。したがって,疲労寿命設計段階ではこれらのばらつき幅を想定した上で,疲労破壊・疲労故障に至らないように安全側の設計がなされる。しかし,近年では,機械システムが想定外の環境に曝されるケースや,省資源・省エネルギといった観点から,機械コンポーネントが有する寿命を安全に使い切るような機械システムの運用・保守が求められている。このような状況を鑑みれば,実際に稼動状態にある機械システムの各コンポーネントの余寿命をより正確に把握することは極めて重要である。また,前述したように機械コンポーネントが有する寿命は,ある確率分布に基づくばらつきを有する。したがって,余寿命とは確率論的に定義されるものであり,余寿命を評価することは,ある時点から任意の時間(余寿命)が経過した時点における故障確率を評価することと等価である。故障確率として対象の健全性を評価することができれば,対象が故障した際に発生する損失額と故障確率を掛け合わせることにより,損失額の期待値を理論的に算出することが可能となり,結果として運用・保守の意思決定を経済的な観点から容易に行うことができるようになる。
このような背景の下,いくつかの機械システム疲労故障に対する余寿命評価法方法が提案されてきた。代表的な例は,線形累積損傷則(非特許文献1)を利用するものである。例えば機械構造物であれば,対象部位にひずみゲージなどのひずみや応力を計測するセンサを取り付けておき,その時刻歴データを取得する。得られた時刻歴データに対し,レインフロー法などの波形カウント法を適用し,ひずみや応力波形の発生頻度分布を求める。この発生頻度分布に対して,対象部位を構成する材料の疲労線図を参照し,線形累積損傷則により疲労損傷度を求める。ここで,疲労損傷度とは,対象の平均疲労寿命に対する疲労寿命の消費率を表す物理量である(特許文献1)。さらに,疲労損傷度が求まり,疲労線図に定義される寿命ばらつきを参照すれば,任意の疲労損傷度における故障確率を求めることが可能である。また,なんらかの手法を用いて,任意時間が経過した後の疲労損傷度を予測することが可能であれば,その際の故障確率を求めることも可能になり,余寿命を確率論的に評価することが可能となる。しかしながら,通常の機械コンポーネントにおける疲労寿命は,対象にもよるが1/10から10倍程度のばらつき幅を有することもある。したがって,このように比較的疲労寿命のばらつき幅が大きい機械コンポーネントに対しては,本手法のみによって運用・保守に必要な精度で余寿命や故障確率評価を提供することが難しいこともある。
一方,機械コンポーネントの健全性を評価するその他の方法として,異常診断あるいは予兆検知と呼ばれる手法がある(特許文献2)。あらかじめ,健全な状態にある機械コンポーネントの稼動状態を定量的に定義あるいは学習しておく。ここで稼動状態とは,対象の振動加速度や周波数,温度など,健全性に応じて変化することが期待される物理量あるいはそれらの組合せによって表現される状態量である。稼働中は状態量を常時評価しておき,健全状態からの逸脱度に応じてアラートを発報したり,自動的に機械システムを停止させたりする応用例がある。本手法では,直接的に健全性をモニタリングするため,比較的高感度な健全性変化の検知を期待出来る。しかし,本手法を応用して定量的に余寿命や故障確率を算出するためには,状態量の変化と,ある状態量変化が発生した場合における余寿命あるいは故障確率の関係を予め取得しておく必要があるが,材料レベルではなく,機械コンポーネントレベルあるいは機械システムレベルでの事前試験が必要となるため,その時間やコストを考慮すれば現実的とは言いがたい。
また,例えば風力発電システムのように,稼動状態が時々刻々変化する機械システムにおいては,余寿命を最初から時間の単位で算出する方式は実用的ではない。例えば風力発電システムでは,風況や制御条件に応じて,各機械コンポーネントに作用する単位時間当たりの負荷が異なる。そのため,想定するこれらの条件に応じて,余寿命や故障確率が変化することが望ましいが,時間単位での余寿命評価では,このような要求に対応することができない。
先に述べたとおり,機械システムの疲労による故障確率あるいは余寿命を評価する方法としては,線形累積損傷則に基づく手法が知られているが,その精度は実用上十分でないことが多い。また,異常診断に基づく健全性評価方式では,比較的高精度に健全性変化を検知可能であるが,定量的に故障確率を評価するためには,時間・コストを要する事前試験が必要となる。また,余寿命を時間で評価する手法は,特に稼動状態が一定でない機械システムでは,実用上不都合が生じる場合が多い。したがって,風力発電システムなどの不確定要素の強い環境下で運用される機械システム向けに,実用的かつ高精度な故障確率評価または余寿命評価を提供するシステムの出現が待たれていた。
上記課題を解決するために,例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが,その一例を挙げるならば,機械システムに含まれる複数の機械要素の故障確率を評価するシステムであって,前記機械要素の疲労損傷または経年変化によって変化する物理量1を基にして,前記機械要素の健全性を表す状態量を評価する手段と,前記機械要素が受ける荷重や負荷によって変化する物理量2若しくは前記機械要素の運転データを基にして,前記機械要素の累積疲労損傷度を評価する手段と,前記状態量および前記疲労損傷度を保存する保存部と,前記複数の機械要素のうち,故障が発生した機械要素における前記状態量と前記疲労損傷度に基づき,前記複数の機械要素のうち故障が発生していない機械要素の故障確率を算出する故障確率評価部と,を有することを特徴とした故障確率評価システム。
本発明は公知技術と同様に,センサによる計測やシミュレーションに基づき,対象の疲労損傷度を評価する機能を有すると同時に,センサ計測に基づく健全性状態評価機能を備える。さらに,機械システムの余寿命を時間軸ではなく,疲労損傷度軸で評価することによって,稼動状態が一定でない機械システムに対しても有効な余寿命評価を提供することが可能となる。また,ある健全性状態が観測された条件における余寿命のばらつきに確率分布を仮定する統計モデリングによって,任意の損傷度がさらに累積した将来における故障確率を提供することが可能となる。
本発明を軸受群に適用した場合の動作を説明する模式図。 本発明を軸受群に適用し,ある一つの軸受に故障が発生した以降の動作を説明する模式図。 本発明の実施例の1つにおける表示部による表示例。 本発明における故障確率算出方法を説明する模式図。 本発明の実施例の1つにおける表示部による表示例。
以下,実施例を図面を用いて説明する。
図1は,機械コンポーネント(機械要素)として回転軸受1を例にとり,本発明における故障確率評価システム100の動作を模式的に説明する図である。本発明は,複数の,望ましくは同種の,機械コンポーネント群を対象とする。観測対象である各機械コンポーネントには,健全性を反映して変化する物理量を計測するセンサと,疲労損傷度を評価することを目的とし,機械コンポーネントが受ける荷重や負荷によって変化する物理量を計測するセンサをそれぞれ取り付ける。本実施例においては,前者が加速度センサ2,後者がロードセル3および回転計4にそれぞれ該当する。すなわち,加速度センサ2によって,損傷が生じた軸受から生じる回転振動加速度を計測し,ロードセル3と回転計4によって軸受に作用する荷重の振幅と繰り返し数を取得する。なお,健全性を評価する物理量は直接計測する必要があるため,そのための少なくとも1つのセンサは本実施例において必須であるが,対象に負荷される荷重は,必ずしも直接計測されなくともよい。例えば,風力発電機や自動車に用いられる回転軸受であれば,前者であれば風況や発電量の履歴,後者であれば速度やエンジン回転数の履歴など,機械コンポーネントの運転データから,軸受に負荷される荷重の履歴を推定することも可能である。また,本実施例では,加速度センサ2による健全性評価を前提とするが,センサの種類を加速度センサに限定するものではなく,例えばAEセンサや温度センサを用いたり,複数種類のセンサを組み合わせて用いたりしてもよい。また,荷重や負荷によって変化する物理量を計測するセンサはひずみセンサでもよい。各種センサは故障確率評価システム100の一部として新たに設置してもよいし,故障確率評価システム100に図示されない信号受信部があり,機械コンポーネントに設置されているセンサーの検出値を受信するようにしてもよい。
加速度センサ2によって得られた振動加速度データは,A/D変換部5を経て,状態評価部6に伝送される。ここで,振動加速度データは,軸受1の健全性を評価する状態量に変換される。健全性を示す状態量はいくつかの手法が考えられるが,例えば軸受であれば,繰り返しの荷重負荷に伴って,内輪あるいは外輪に微細なクラックやフレーキングが発生する場合がある。これらの損傷位置を内部の転動体が通過するたびに,振動が発生する。したがって,回転数に転動体数を乗じた値に相当する周波数に転動体数を乗じた周波数帯の加速度実効値などを用いることが効果的である。すなわち,本実施例では,特定周波数帯の加速度実効値を,健全性を表す状態量(以下,状態量)として,以降の評価に用いる。前述のように,複数種類のセンサを用いる場合には,例えばクラスタリング分析などを適用することにより,得られる複数の物理量データを1つの状態量として変換して用いることが望ましい。得られた状態量は,状態量変化一時保存部8に伝送され,一時的に時系列データとして保存される。ここで,時系列データの保存期間は任意に設定してよいが,対象の保守や交換作業に必要なリードタイムと同等の期間を設定することが,機能を損なわずに必要な記憶領域を抑制するという観点から最も効果的である。
一方,ロードセル3および回転計4を用いて得られる荷重振幅および繰り返し数は,疲労損傷度評価部7に伝送される。疲労損傷度評価部7では,線形累積損傷則(非特許文献1)に基づき疲労損傷度を算出する。本実施例ではロードセル3より取得した荷重を荷重振幅とし,回転計4より取得した回転数を繰り返し数として疲労損傷度を算出するが,例えば機械構造物を対象とする場合には,ロードセル3に換えてひずみゲージなどのひずみセンサを用いて,評価部位の応力時系列変化を直接計測する方式としてもよい。算出された疲労損傷度は,前記状態量と同様に損傷度変化一時保存部9に伝送され,ここで一時的に保存される。ここでの保存期間も,前記状態量変化一時保存部8の保存期間と同様に,保守や交換作業のリードタイムと同等に設定することが最も効果的である。
以上に示した状態評価部6,疲労損傷度評価部7は,図1中ではそれぞれ独立した構成要素として示したが,本発明はこれらの実装形態を特に制限するものではない。例えば,それぞれを単一のコンピュータシステムの中のソフトウェアで構成しても機能の実現上問題はない。また,状態量変化一時保存部および損傷度変化一時保存部についても,独立した構成要素として示したが,同一の記憶装置上に構成してもよい。また,以上の構成要素は,図1に示すように対象とする全ての機械コンポーネント(すなわち1番目からn番目の軸受全て)について用意するが,状態評価部6や疲労損傷度評価部7,状態量変化一時保存部8や損傷度変化一時保存部9は,共通のハードウェア上に構成する方式としてもよい。
図2は,図1の構成でシステムを運用中に,個体番号nの軸受が故障した時点以降において,未故障状態にあるその他の軸受(ここでは個体番号1)の故障確率を評価する際のシステムの動作を模式的に説明する図である。まず,故障が発生した個体については,各センサからのデータ伝送が停止するが,故障発生を契機として,状態量変化一時保存部9および損傷度変化一時保存部8に保存されていた状態量変化および損傷度変化の時系列データは,故障履歴評価部12に伝送される。詳細は後述するが,故障履歴評価部12では任意の状態量が観測されたとき,その時点から任意の損傷度がさらに累積した時点までに故障が発生する確率(故障確率)を定義づける統計モデル20(関係式)が構築される。この統計モデルは,故障確率評価部11に伝送され,未故障の個体についての現時点で状態量と合わせて,任意の損傷度が累積した後の故障確率が算定される。このとき同個体については,これまでの損傷度変化が損傷度変化一時保存部9に保存されているため,損傷度変化の傾向から以降の損傷度変化を損傷度変化予測部10において予測し(すなわち損傷度変化と時間経過の関係を定義し),故障確率評価部11において,故障確率変化と時間経過の関係を評価する方式を採用してもよい。
故障確率評価部11において算定される故障確率は,以降の累積損傷度あるいは時間との関係として定義付けられる関数であり,1つの値に定まるものではない。したがって,表示部13においては,図3に示すように現時点以降の損傷度の累積状況または時間の経過に伴った故障確率の変化として,グラフ形式で表示することにより,ユーザーは以降における運用・保守の意思決定を容易に行うことができるようになる。例えば,運転モードを切り替えることが可能な機械システムで,運転モードによって対象への負荷が変化するものであれば,図3に示すように,各運転モードそれぞれで以降の運転を行った際の故障確率変化を表示させれば,保守の時期の決定と併せて運用方針の決定も効率的に支援することが可能となる。
故障確率評価の結果,比較的近い未来に高い故障確率が算出された場合は,結果を表示させるのみならず,対象の制御装置に対して停止命令あるいは縮退運転命令を送信する機能を持たせることが望ましい。故障の直近とならないと状態量変化が検出されたいような対象についてはユーザーの判断を待っていると,早い段階で故障発生につながる可能性がある。その場合は,評価結果に応じてシステムを自動的に停止あるいは縮退運転させるような機能を持たせることで,故障の発生を未然に防止しやすくなる。
前述した任意の損傷度が蓄積した後の,故障確率を定義づける統計モデルの構築方法について,図4の模式図を用いて説明する。まず,ステップS1として,故障が発生した個体番号nの軸受については,故障に至る直前までの状態量時系列データ19(S=f(t))と損傷度時系列データ18(D=f(t))が保存されている。
次に,ステップS2として,これら2つの時系列データを故障に至るまでの損傷度増分(ΔD)と状態量の関係X(ΔD =f(St))として関係づける。すなわち,観測された状態量を変数として,故障に至るまでの損傷度増分を関数として表すことと等価である。具体的には,状態量時系列データ19(S=f(t))と損傷度時系列データ18(D=f(t))において,同じ時間t1に記録された状態量と,t1から故障発生するまでの損傷度差分をデータセットとして,故障が発生した個体番号nが故障に至るまでの過程における状態量と損傷度増分の関係を表すデータを生成する。次にこのデータに対して,ある確率分布に従うばらつきを仮定した統計モデリングを行い,統計モデル20を取得する。統計モデリングの手法としては,最も簡易的には正規分布を仮定する最小二乗法を用いてもよいが,確率分布を当てはめるべき損傷度増分は非負の値として定義されるため,正規分布を仮定することは厳密には適当でない。軸受を対象とした発明者らの検討では,非負値の分布として定義されるガンマ分布を確率密度関数(PDF)として採用した一般化線形モデル(GLM)が,比較的よくデータの分布を表現することが分かっている。このとき,GLMのリンク関数には逆数関数を用いることが望ましい。
故障が発生した個体番号nにおける,故障までの損傷度増分ΔD と,観測された状態量Sの関係が統計モデル20として定義づけられたので,それに基づき,次にステップS3として,故障確率Fと故障までの損傷度増分ΔD の関係を定義づける。故障がまだ発生していない何れかの個体において,ある状態量S1が観測され,それ以降に任意の損傷度ΔDaが増加したことを仮定する。ここで状態量S1における故障までの損傷度増分のPDFをP=f(S1)と表す。このとき損傷度増分ΔDaだけ,以降に損傷度が増加した時点における故障確率Fは,数式1と表される。
Figure 2019049419
これは,統計モデリングによって得られたPDFに対する累積分布関数(CDF)を用いて累積確率を算出することと等価である。すなわち,故障がまだ発生していない個体で観測された任意の状態量Sによって,参照すべきPDFが決定され,次に,以降に増加すると想定する損傷度増分ΔDaを,対応するCDFに代入することで,故障がまだ発生してない個体における故障確率Fを算出することが可能である。したがって,ある状態量Sが観測されたとき,以降の損傷度増分の増加に伴う故障確率Fの変化21は,統計モデルより得られるPDFに対応するCDFそのものに他ならない。
以上の手順により,故障が発生した個体番号nにおける故障までの損傷度増分ΔD と観測された状態量Sの関係である統計モデル20を用いて,類似の環境におかれた,特に同型機械であって,故障がまだ発生していない他の個体で観測された状態量Sに基づき,他の個体ごとに故障確率Fが算出できる。
更に,異なる負荷条件で運転した場合の時間当たりの損傷度ΔDaの関係に基づき,故障確率Fを時間に基づき表すことで,今後異なる負荷条件で運転した場合の故障確率Fの変動を予測することができる。図3の故障確率予測16の表示は,メニュー151で選択した個体番号1の現在の状態量Sに基づき,それぞれ高出力モード,通常モード,縮退モードで運転した場合の運転時間による故障確率Fの変動を表示している。図3の全体状況サマリ17は,個体番号1〜10のそれぞれで選択された運転モードにおける,10日後の故障確率Fを表示している。これにより,ユーザーは以降における運用・保守の意思決定を容易に行うことができるようになる。
実施例1においては,図3に示したように現在から未来に渡る故障確率の変化を表示する方式を採用した。本方式は,運用・保守の意思決定の支援という観点からは有効な方式といえる。しかしながら,図1中の状態評価部6において算出される状態量は,例えば軸受で計測される振動数に基づき算出されるため,大きな傾向変化とは別に,運転状況により短周期の変動が観測される可能性がある。各個体の故障確率Fを算出する前提となる状態量の時間変動が比較的大きい場合には,図3中の故障確率将来予測表示16におけるグラフ全体が過度に頻繁に更新されてしまう可能性がある。その場合には,図5中の故障確率予測履歴表示部22に示すように,故障確率を評価する未来の時点を時間または損傷度増分値で予め固定しておき,故障確率評価結果のこれまでの推移を表示するような形式としてもよい。図5では例えば故障確率予測履歴表示部22で表示する予測時期を,メニュー152で選択できるようにしている。このような表示形式を採用することで,これまでの故障確率評価結果の履歴を容易に確認することができるので,以降の傾向をユーザーが容易に推定することが可能となる。
実施例1および実施例2においては,同型の機械コンポーネントの故障を契機として,故障に至るまでのデータを統計的に処理することにより,未故障の対象の故障確率を評価した。この手法では,状態量に基づく分析となるため高精度な評価が可能となるが,一方で実際の故障データが得られるまでの間は故障確率を定義することはできない。そこで,対象となる機械コンポーネント群の中でいずれかの故障が発生するまでの間は,背景技術の項で述べたように,図1中の疲労損傷度評価部7で得られる累積疲労損傷度を用いて故障確率を定義してもよい。この期間において,実際に故障した同じ群の他の個体データに基づく予測ほど高い予測精度は期待できないが,故障データが取得できない状態であっても,システム構成を大きく変更せずに故障確率を評価することが可能となる。
また故障履歴評価部12は,故障評価システムとは別体で設けることもできる。その場合,故障が発生した際の故障個体データに基づき故障履歴評価部12で評価用の統計モデルを作成し,故障評価システムに保存しておき,統計モデルに基づき故障確率評価部11が複数の機械コンポーネントを含む機械システムの故障評価を行う。
1. 軸受
2. 加速度センサ
3. ロードセル
4. 回転計
5. A/D変換部
6. 状態評価部
7. 疲労損傷度評価部
8. 状態量変化一時保存部
9. 損傷度変化一時保存部
10. 損傷度変化予測部
11. 故障確率評価部
12. 故障履歴評価部
13. 表示部
14. 制御部
15. 表示部における表示内容
16. 故障確率将来予測表示
17. 故障確率全体状況サマリ
18. 損傷度時系列データ
19. 状態量時系列データ
20. 統計モデル
21. 故障確率予測
22. 故障確率予測履歴表示部

Claims (12)

  1. 機械システムに含まれる複数の機械要素の故障確率を評価するシステムであって,
    前記機械要素の疲労損傷または経年変化によって変化する物理量1を基にして,前記機械要素の健全性を表す状態量を評価する手段と,
    前記機械要素が受ける荷重や負荷によって変化する物理量2若しくは前記機械要素の運転データを基にして,前記機械要素の累積疲労損傷度を評価する手段と,
    前記状態量および前記疲労損傷度を,保存する保存部と,
    前記複数の機械要素のうち,故障が発生した機械要素における前記状態量と前記疲労損傷度に基づき,前記複数の機械要素のうち故障が発生していない機械要素の故障確率を算出する故障確率評価部と,
    を有することを特徴とした故障確率評価システム。
  2. 前記複数の機械要素のうち,故障が発生した機械要素における前記状態量と故障発生までの前記疲労損傷度の増分の関係を統計的に関係づける故障履歴評価部を有することを特徴とする,請求項1に記載の故障確率評価システム。
  3. 前記保存部は任意の期間の状態量及び累積疲労損傷度を,一時的に保存することを特徴とする一時保存部であることを特徴とする,請求項1に記載の故障確率評価システム。
  4. 前記物理量2は荷重若しくはひずみであることを特徴とする,請求項1から請求項3のいずれかに記載の故障確率評価システム。
  5. 前記機械要素は軸受であることを特徴とする,請求項1から請求項4のいずれかに記載の故障確率評価システム。
  6. 前記累積疲労損傷度を評価する手段は,線形累積損傷則に基づいて疲労損傷度を算出することを特徴とした請求項1から請求項5のいずれかに記載の故障確率評価システム。
  7. 前記物理量1は,複数種類の物理量の集合であり,前記状態量を評価する手段において,前記複数物理量に基づいて状態量を算出することを特徴とした,請求項1から請求項6のいずれかに記載の故障確率評価システム。
  8. 前記故障履歴評価部は,前記故障が発生した機械要素の前記状態量及び疲労損傷度の時系列データを用いて,故障発生までの前記疲労損傷度の増分を関数とし,前記状態量を変数とした統計モデルを生成し,前記統計モデルにおける前記疲労損傷度の増分のばらつきを表す確率密度関数に対応する累積分布関数を算出することを特徴とした請求項2に記載の故障確率評価システム。
  9. 前記統計モデルは一般化線形モデルであることを特徴とした請求項8に記載の故障確率評価システム。
  10. 前記確率密度関数はガンマ分布を用いることを特徴とした請求項8または請求項9のいずれかに記載の故障確率評価システム。
  11. 前記故障確率評価部によって算出された前記複数の機械要素のうちいずれか一つ以上についての故障確率と,将来想定される疲労損傷度の増分または時間の関係を,グラフとして表示する機能を備えた表示部を有することを特徴とした請求項1から請求項10のいずれかに記載の故障確率評価システム。
  12. 前記故障確率評価部によって算出された前記複数の機械要素のうちいずれか一つ以上についての故障確率のうち,将来想定される疲労損傷度の増分または時間によって決定される未来における少なくとも1つの状態について評価された故障確率について,現時点までの予測値と前記疲労損傷度または時間の関係をグラフとして表示する表示部を有することを特徴とした請求項1から請求項10のいずれかに記載の故障確率評価システム。
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