以下、図1〜図11を用いて本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10について説明する。
図3に示されるように、車両用ワイパ装置10は、略長尺状に形成されたワイパアーム12と、車両(自動車)のウインドシールドガラスWGの被払拭面Sを払拭するワイパブレード14と、を含んで構成されている。最初に、図1〜図3を用いて、車両用ワイパ装置10の全体的な構成について概説する。
(ワイパアーム12の全体的な構成について)
図1及び図2に示されるように、ワイパアーム12は、長尺状に形成された開断面構造のアーム本体16と、このアーム本体16の底部を塞ぐ裏面カバー(不図示)と、アーム本体16の先端部に装着された先端カバー20と、によってその外郭が構成されている。なお、これらのアーム本体16、裏面カバー及び先端カバー20は、いずれも樹脂製とされている。
具体的には、アーム本体16は、その長手方向に対して直交する方向に切断したときの断面形状が略U字状(開断面構造)に形成されている。また、ワイパアーム12は、アーム本体16の開口側がウインドシールドガラスWG側となるように配置されている。さらに、アーム本体16は、互いに対向して配置された一対の側壁部16A、16Bと、これらの側壁部16A、16Bを繋ぐ頂壁部16Cとを備えている。
また、アーム本体16の基端側には、有底円筒状に形成された固定部22が形成されている。固定部22の底部の軸芯部には、円形の貫通孔24が同軸上に形成されている。この貫通孔24内へピボット軸26(図3参照)の先端部がアーム下方側から挿通されて固定されることにより、ワイパアーム12の基端部がピボット軸26に固定されている。これにより、ワイパアーム12は、ピボット軸26が回動すると、ピボット軸26回りに一体に回動する構成である。
また、アーム本体16の先端側には、アーム幅方向一方側へクランク状に屈曲された横曲げ部28が一体に形成されている。さらに、図3に示されるように、横曲げ部28に続いてアーム本体16の先端側にブレード連結部29が形成されており、アーム本体16の長手方向に対してブレード連結部29の長手方向がアーム幅方向一方側へオフセットしている。また、図1に示されるように、アーム本体16の先端(ブレード連結部29の先端)はアーム長手方向へ開放されている。この開放端部に位置するアーム本体16(ブレード連結部29)の側壁部16A、16BにはU字状のスリット30がそれぞれ平行に形成されている。また、アーム本体16の先端側に位置する頂壁部16Cには、矩形状に開口された係合孔32が形成されている。そして、アーム本体16の先端の開放側から図示しないクリップがアーム長手方向へ挿入されてアーム本体16の先端部の内側に装着されるようになっている。すなわち、クリップ(不図示)は、その長手方向に見て略U字状に形成されており、その両側部の外側面に形成された係合凸部がスリット30に差込まれ、かつ頂部に形成された矩形状の係合突起が係合孔32にアーム下方側から弾性的に係合されることにより、アーム本体16の先端部の内側に収容状態で装着されている。さらに、クリップの両側部の内側面には、円柱状の支軸部が同軸上に一体に形成され、ワイパブレード14の後述する連結ホルダに回動可能に取付けられている。
さらに、上記クリップが装着された状態で、アーム本体16の先端部には、先端カバー20が装着されている。先端カバー20は、その長手方向に対して直交する方向に切断したときの断面形状が略U字状に形成されており、アーム本体16の先端部に被嵌されている。さらに、先端カバー20の先端は、ワイパブレード14の後述する連結ホルダが挿入可能なように開放されている。
(ワイパブレード14について)
図1〜図3に示されるように、ワイパブレード14は、略長尺状に形成されたゴム製のブレードラバー34を備えている。ブレードラバー34は、上部側に配置された略矩形断面状の基部34Aと、この基部34Aから首部を介して連結された略三角形断面状の払拭部34Bとによって構成されている。払拭部34Bの先端部(下端部)には、ウインドシールドガラスWGの被払拭面Sを払拭するリップが形成されている。また、基部34Aの上面には、バネ板材によって構成された略長尺板状のバッキング(図示省略)が配置されている。ブレードラバー34の基部34A及びバッキングは、長尺状に形成されかつ断面形状が略C字状とされた図示しない保持ケースによって覆われた状態で保持されている。
また、ワイパブレード14の長手方向の中央部には図示しない連結ホルダが配設されており、この連結ホルダによってバッキングがその長手方向の移動が規制された状態で保持されており、保持ケースと共にブレードラバー34及びバッキングが保持されている。さらに、連結ホルダには、ワイパアーム12のアーム本体16の先端部が連結される前述したクリップが支軸部回りに回動可能に組付けられるようになっている。
前述したワイパアーム12は図示しない付勢機構によってウインドシールドガラスWGの被払拭面S側へ押圧付勢されており、上記構成のワイパブレード14のブレードラバー34はこの押圧力(付勢力)を受けてウインドシールドガラスWGの被払拭面Sに押圧接触されている。
図3には、上記構成のワイパアーム12及びワイパブレード14を備えた車両用ワイパ装置10の払拭範囲が示されている。この図に示されるように、ワイパブレード14は、ワイパアーム12に対して回動方向一方側(横曲げ部28によるアーム本体16の曲げ方向側)にオフセット状態で配置されている。また、前述したようにワイパアーム12の基端部に形成された固定部22には、略円柱形状のピボット軸26の先端部が締結固定されている。このピボット軸26は、車両のフレーム等に固定されたピボットホルダ(図示省略)に回動自在に支持されると共に、リンク機構を介してワイパモータWM(図9参照)に連結されている。そして、ワイパモータWMの駆動力によってピボット軸26が往復回動することで、ワイパアーム12が、停止位置(図3の実線図示位置)と反転位置(図3の一点鎖線図示位置)との間を往復回動するようになっている。なお、ワイパアーム12が、停止位置から反転位置へ向かう方向(図3の矢印A方向)が回動方向一方側(往復回動の往動側)とされており、反転位置から停止位置へ向かう方向(図3の矢印B方向)が回動方向他方側(往復回動の復動側)とされている。
次に、本実施形態の要部について説明する。
(ワイパアーム12内に収容された各部品のレイアウトについて)
図1に示されるように、上述したワイパアーム12のアーム本体16内には、各々ゴム製とされた第1系統のホース40と第2系統のホース42とがアーム幅方向に並んだ状態で収容されている。また、アーム本体16の長手方向の中間側には、第1ノズル44(「中間側ノズル」等と称してもよい。)が配設されている。さらに、アーム本体16の長手方向の先端側には第2ノズル46(「先端側ノズル」もしくは「第1先端側ノズル」等と称してもよい。)が配設されていると共に、アーム本体16の前述した横曲げ部28には第3ノズル48(「先端側ノズル」もしくは「第2先端側ノズル」又は「横曲げ側ノズル」等と称してもよい。)が配設されている。以下、詳細に説明する。
(第1系統のホース40及び第2系統のホース42について)
第1系統のホース40は、基端側ホース50と中間上流側ホース52と中間下流側ホース54と先端側ホース56の4つに分割されている。
基端側ホース50の先端部と中間上流側ホース52の基端部とは、ホース接続部材58を介して相互に連結及び連通されている。ホース接続部材58は、軸方向の両端部に笠状の係止部がそれぞれ形成されかつ軸芯部に流路となる貫通孔が形成された筒状部材として構成され、流路となる貫通孔には不図示のチェックバルブが内蔵されている。このチェックバルブは各ホース内に洗浄液を残留させておくと共にノズルから洗浄液が漏れ出てしまうことを防止するものである。また、中間下流側ホース54の先端部と先端側ホース56の基端部とは、前記ホース接続部材58と同一構成のホース接続部材60を介して相互に連結及び連通されている。
一方、第2系統のホース42は、第1系統のホース40の基端側ホース50と並行に配置され当該基端側ホース50と同一の長さに設定された基端側ホース62と、第1系統のホース40の中間上流側ホース52、中間下流側ホース54及び先端側ホース56と並行に配置された1本の主ホース64と、によって構成されている。すなわち、第2系統のホース42は、2本のホースに分割されている。
基端側ホース62の先端部と主ホース64の基端部とは、前記ホース接続部材58と同一構成のホース接続部材66を介して相互に連結及び連通されている。
(第1ノズル44及び第2ホース保持部82について)
図5(A)、(B)に示されるように、第1ノズル44は、軸芯部に流路となる貫通孔68が形成された筒状部70Aと、この筒状部70Aの軸方向の一端部に形成された笠状の第1ホース接続部70Bと、筒状部70Aの軸方向の他端部に形成された笠状の第2ホース接続部70Cとから成る第1ホース保持部70を備えている。図4に示されるように、第1ノズル44がアーム本体16内に組付けられた状態では、第1ホース接続部70Bがアーム基端側を向き、第2ホース接続部70Cがアーム先端側を向くように配置されている。第1ホース接続部70Bには、第1系統のホース40の中間上流側ホース52の先端部が接続されている。また、第2ホース接続部70Cには、第1系統のホース40の中間下流側ホース54の基端部が接続されている。
さらに、図4及び図5に示されるように、第1ホース保持部70における筒状部70Aの外周部には、筒状部70Aの軸方向に見て略J字状に形成された支持壁74が一体に形成されている。第1ノズル44がアーム本体16内に組付けられた状態では、支持壁74のアーム幅方向外側の面が、アーム本体16の一方の側壁部16Aの内側面に当接する当接面74Aとされている。さらに、当接面74Aの長手方向の中間部には、アーム長手方向に沿って細長い直角三角柱形状の第1係合部76が一体に形成されている。第1係合部76は、アーム幅方向外側へ突出されている。これに対応して、アーム本体16の一方の側壁部16Aの内側面には、第1係合部76とアーム幅方向に対応する箇所に第1係合部76が係合可能な長孔とされた第1被係合部78が設けられている。なお、第1被係合部78は、第1係合部76が係合可能な直角三角柱形状の凹溝状に形成されていてもよい。また、第1係合部76と第1被係合部78との凹凸関係は逆であってもよいし、各々が凹凸部を有して互いに嵌合される関係であってもよい。上記変形例及び代替関係は、後述する第2係合部96と第2被係合部98、第3係合部124と第3被係合部126、第4係合部134と第4被係合部136においても同様に当てはまる。
また、上述した支持壁74の上端部には、ノズル部80と第2ホース保持部82とが筒状部70Aの軸方向に並んだ状態で一体に形成されている。ノズル部80は、支持壁74の上端部における第1ホース接続部70B側の端部から所定の幅で筒状部70Aの外周部に沿って円弧面状に延出された部分として構成されている。ノズル部80の延出方向先端側には、洗浄液84(図11(A)、(B)参照)が噴射される中間噴射孔86が形成されている。中間噴射孔86は筒状部70A内と連通されている。
第2ホース保持部82は、ノズル部80との間に溝88を隔てて配置されている。なお、ノズル部80との間に溝88を隔てるのは、後述する一対の脚部90が弾性変形したときの影響がノズル部80に及ばないようにするためである。また、第2ホース保持部82は、支持壁74の上端部から筒状部70Aを上方から覆うように筒状部70Aの長手方向に見てS字状に延出されている。また、第2ホース保持部82は、延出途中で二股に分かれており、筒状部70Aの軸方向に並ぶ一対の脚部90を備えている。一対の脚部90の上部90A及び中間部90Bと筒状部70Aの外周部との間には、所定の隙間92が形成されている。これにより、一対の脚部90は、縮まる方向へ弾性変形可能とされている。また、各脚部90の下部90Cの延出方向側の端部には、矩形平板状の押圧部94がそれぞれ形成されている。押圧部94は脚部90の下部90Cに対して直交する方向(脚部90の板厚方向)に延設されている。さらに、押圧部94の中央には、アーム長手方向に沿って細長いトラック形状の第2係合部96が一体にそれぞれ形成されている。これに対応して、アーム本体16の他方の側壁部16Bの内側面には、一対の第2係合部96とアーム幅方向に対応する箇所に第2係合部96が係合可能な長孔として形成された第2被係合部98が設けられている。
また、図4に示されるように、第1ノズル44がアーム本体16内に装着された状態では、一対の脚部90の下部90Cの下方側に、第2系統のホース42の主ホース64を収容及び保持するための空間部100が形成されている。この空間部100は、アーム本体16の内方でかつ筒状部70Aの側方に設けられている。また、脚部90の下部90Cの下面は主ホース64と接触するため、主ホース64の曲面形状に沿った凹曲面状に形成されている。さらに、脚部90の中間部90Bは、筒状部70Aの下部側までアーム本体16の底面(頂壁部16Cの裏面)側へ延出されている。中間部90Bの下端とアーム本体16の底面までの離間距離が主ホース64の外径と同等となるように中間部90Bの長さを設定することが好ましい。これにより、中間部90Bにアーム本体16の内部空間をアーム長手方向に二分する仕切り壁としての機能が付与される。
(第2ノズル46について)
図6及び図7に示されるように、第2ノズル46は、略矩形平板状に形成されたノズル部46Aと、このノズル部46Aの裏面側でかつ長手方向の一方側に一体に形成された小矩形平板状の嵌合部46Bと、この嵌合部46Bの裏面中央部から略L字状に延出された筒状部46Cと、嵌合部46Bの裏面側かつ筒状部46Cの根元に一体に形成された矩形薄板状の挟持部46Dと、筒状部46Cの先端部に形成された第3ホース接続部46Eと、によって構成されている。
ノズル部46Aのアーム長手方向の先端側でかつウインドシールドガラスWG側に位置するコーナー部の近傍には、洗浄液84を噴射する先端噴射孔102が形成されている。また、挟持部46Dは嵌合部46Bから張り出して延出されている。さらに、アーム本体16の他方の側壁部16Bには、嵌合部46Bが嵌合可能な矩形の開口部104が形成されている。この開口部104の開口幅は、嵌合部46Bの基端から挟持部46Dの先端までの長さよりも僅かに長く設定されている。そして、第2ノズル46は、第3ホース接続部46Eから開口部104内へアーム外側から挿入され、挟持部46Dを潜らせつつ、嵌合部46Bを開口部104に嵌合させた後、ノズル部46Aと挟持部46Dとの間に開口部104の周縁部が挟持されるようにノズル部46Aをアーム長手方向に沿ってスライドさせる。その後、第3ホース接続部46Eに主ホース64の先端部を接続することにより、第2ノズル46がアーム本体16の先端側(ブレード連結部29)の他方の側壁部16Bの外側面に装着される。
(第3ノズル48及び第2ホース保持部118について)
図6〜図8に示されるように、第3ノズル48は、軸芯部に流路となる貫通孔108が形成されると共に先端部が閉止された略筒状の筒状部48Aと、この筒状部48Aの軸方向の一端部(アーム本体16の基端側の端部)に形成された「第1ホース保持部」としての笠状の第4ホース接続部48Bと、筒状部48Aの軸方向の他端部に略鍔状に形成されたノズル部48Cと、を備えている。なお、筒状部48Aの軸方向の他端部におけるノズル部48Cが形成された側と反対側は、円弧面ではなくアーム本体16の一方の側壁部16Aと平行な垂直面110とされている。第3ノズル48がアーム本体16内に組付けられた状態では、第4ホース接続部48Bがアーム基端側を向き、ノズル部48Cがアーム先端側を向くように配置されている。第4ホース接続部48Bには、第1系統のホース40の中間下流側ホース54の先端部が接続されている。
前述したように、第3ノズル48は、アーム本体16の横曲げ部28に(ノズル部48Cが配置されるように)配設されている。正確には、アーム本体16の一方の側壁部16Aにおいて横曲げ部28に移行する直線部112のアーム先端側から横曲げ部28の基端側にかけての範囲に側壁部上端から切欠かれた切欠部114が形成されており、この切欠部114に半周の鍔状に形成されたノズル部48Cが嵌合されている。切欠部114の切欠深さはノズル部48Cの板厚寸法に略一致されている。また、ノズル部48Cの外周面は、アーム本体16の一方の側壁部16Aの形状に合致するようにストレートな面と湾曲面とが複合した形状に形成されている。このノズル部48Cの外周面の先端側に洗浄液84が噴射される(第2の)先端噴射孔116が形成されている。この先端噴射孔116は、筒状部48Aの先端部と連通されている。第3ノズル48に形成された先端噴射孔116の向きと前述した第1ノズル44に形成された中間噴射孔86及び第2ノズル46に形成された先端噴射孔102の向きとは、アーム本体16に対して互いに反対方向に設定されている。しかしながら、横曲げ部28によってワイパブレード14がアーム本体16に対してアーム幅方向一方向側に位置されるので、中間噴射孔86と先端噴射孔116の向きはアーム本体16に対して互いに反対方向であっても、両噴射孔86、116から噴射される洗浄液84は、ワイパブレード14に対して同一側に着水される(図11B参照)。すなわち、横曲げ部28によってアーム本体16の長手方向に対してアーム本体16の先端側(ブレード連結部29)がアーム本体16に対してアーム幅方向一方向側に位置されるので、ワイパブレード14もアーム本体16の長手方向に対してアーム幅方向一方向側に位置される。これにより、アーム本体16に対してアーム幅方向他方向側に位置された先端噴射孔116から噴射される洗浄液84は、ワイパアーム12を横切ることなくワイパブレード14のCLOSE側(ワイパブレード14に対して図3の矢印B方向側)に向けて噴射できる。さらに、アーム本体16に対してアーム幅方向一方向側に位置された中間噴射孔86から噴射される洗浄液84も、ワイパアーム12を横切ることなくワイパブレード14のCLOSE側であってしかも基端部位近傍に向けて噴射できる。
さらに、第3ノズル48には、前述した第2ホース保持部82と同様構造の第2ホース保持部118が一体に形成されている。具体的に説明すると、筒状部48Aの軸方向中間部(概ね第4ホース接続部48Bとノズル部48Cが形成された範囲を除く部分)の外周部には、ノズル部48Cと同一方向側に支持壁120が一体に形成されている。第2ホース保持部118は、ノズル部48Cとの間に溝122を隔てて配置されている。なお、ノズル部48Cとの間に溝122を隔てるのは、後述する一対の脚部128が弾性変形したときの影響がノズル部48Cに及ばないようにするためである。第3ノズル48がアーム本体16内に組付けられた状態では、支持壁120のアーム幅方向外側の垂直面110が、アーム本体16の一方の側壁部16Aの内側面に当接する当接面とされている。さらに、垂直面110の長手方向の中間部には、アーム長手方向に沿って細長い直角三角柱形状の第3係合部124が一体に形成されている。第3係合部124は、アーム幅方向外側へ突出されている。これに対応して、アーム本体16の一方の側壁部16Aの内側面には、第3係合部124とアーム幅方向に対応する箇所に第3係合部124が係合可能な長孔とされた第3被係合部126が設けられている。
また、上述した支持壁120の上端部には、第2ホース保持部118が一体に形成されている。第2ホース保持部118は、支持壁120の上端部から筒状部48Aを上方から覆うように筒状部48Aの長手方向に見てS字状に延出されている。また、第2ホース保持部118は、延出途中で二股に分かれており、筒状部48Aの軸方向に並ぶ一対の脚部128を備えている。一対の脚部128の上部128Aは筒状部48Aの外周部と一体化されているが、中間部128Bと筒状部48Aの外周部との間には所定の隙間130が形成されている。これにより、一対の脚部128は、中間部128Bが筒状部48Aと接近する方向へ弾性変形可能とされている。なお、中間部128Bだけでなく上部128Aをも筒状部48Aとの間に所定の隙間が形成されるようにしてもよい。また、各脚部128の下部128Cの延出方向側の端部には、矩形平板状の押圧部132が形成されている。一対の脚部128は押圧部132によって連結されている。また、押圧部132は脚部128の下部128Cに対して直交する方向(脚部128の板厚方向)に延設されている。さらに、押圧部132の中央には、アーム長手方向に沿って細長いトラック形状の第4係合部134が一体にそれぞれ形成されている。これに対応して、アーム本体16の他方の側壁部16Bの内側面には、第4係合部134とアーム幅方向に対応する箇所に第4係合部134が係合可能な長孔として形成された第4被係合部136が設けられている。
また、第3ノズル48がアーム本体16内に装着された状態では、一対の脚部128の下部128Cの下方側に、第2系統のホース42の主ホース64を収容及び保持するための空間部138が形成されている。この空間部138は、アーム本体16の内方でかつ筒状部48Aの側方に設けられている。また、脚部128の下部128Cの下面は主ホース64と接触するため、主ホース64の曲面形状に沿った凹曲面状に形成されている。
また、上述した第1系統のホース40の基端側ホース50及び第2系統のホース42の基端側ホース62は、ジョイント部材140(図2参照)を介して図示しない第2ウォッシャポンプ及び第1ウォッシャポンプとそれぞれ接続されている。第1ウォッシャポンプは図示しないウォッシャタンクと接続されており、第1ウォッシャポンプモータPM1(図9参照)が駆動されることにより、洗浄液84が供給されるように構成されている。同様に、第2ウォッシャポンプは図示しないウォッシャタンクと接続されており、第2ウォッシャポンプモータPM2(図9参照)が駆動されることにより、洗浄液84が供給されるように構成されている。
(車両用ワイパ装置10の電気的構成について)
次に、上記のように構成された車両用ワイパ装置10の電気的構成について図9を用いて説明する。
車両用ワイパ装置10は、ワイパスイッチsw1及びワイパモータWMを備えている。そして、ワイパスイッチsw1がONされることで、ワイパモータWMが駆動されて、ピボット軸26が回動されるようになっている。このワイパスイッチsw1は、「+B端子」、「S端子」、「+1端子」、「+2端子」を有しており、「+B端子」は車両のバッテリーに接続されている。
ワイパモータWMは、車両用ワイパ装置10を高速で作動させる高速モード及び低速で作動させる低速モードに対応させるために、高速用ブラシ、低速用ブラシ、及び低速と高速とに共通して使用される共通ブラシを有している。そして、ワイパモータWMの低速用ブラシに接続される正極端子がワイパスイッチsw1の「+1端子」に接続されており、高速用ブラシに接続される正極端子が、「+2端子」に接続されている。また、ワイパモータWMの共通ブラシに接続される負極端子はGND接地されている。
ワイパモータWMには、ワイパブレード14の払拭位置に対応してカムスイッチcswが設けられており、ワイパブレード14が停止位置以外に配置された状態でワイパスイッチsw1がOFFされても、カムスイッチcswによってワイパブレード14が停止位置に戻るように構成されている。
カムスイッチcswは、「a接点」、「b接点」、「c接点」、「d接点」、及びカムプレートcpを有している。「a接点」はワイパスイッチsw1の「+B端子」に接続されており、「b接点」はワイパモータWMの負極端子と共にGND接地されている。また、「c接点」はワイパスイッチsw1の「S端子」に接続されており、「d接点」は、後述するウォッシャシステムのリレーのコイルLに接続されている。
カムプレートcpは、ワイパモータWMの出力軸に連結されたウォームホイール(図示省略)と一体回転するように構成されており、ワイパブレード14が、停止位置と反転位置との間を一往復するとカムプレートcpが一回転されるようになっている。なお、図3では、ワイパブレード14が停止位置に配置された状態を示している。そして、ワイパモータWMが駆動されることでカムプレートcpが回転し、カムプレートcpによって「c接点」が「b接点」又は「a接点」の何れか一方に接続されるようになっている。具体的には、ワイパブレード14が停止位置以外にあるときは、「c接点」が「a接点」と接続されるようになっている。これにより、ワイパブレード14が停止位置以外にあるときにワイパスイッチsw1がOFFされても、カムスイッチcswを介してワイパモータWMに駆動電流が供給されるようになっている。そして、ワイパブレード14が停止位置に回動されると、「c接点」が「b接点」に接続されるようになっている。これにより、ワイパモータWMの低速用ブラシと共通ブラシがGND電位で閉回路となって、ワイパモータWMが停止位置で停止されるように構成されている。
また、車両用ワイパ装置10はウォッシャシステムを備えており、ウォッシャシステムは、第1ウォッシャポンプを駆動する第1ウォッシャポンプモータPM1と、第2ウォッシャポンプを駆動する第2ウォッシャポンプモータPM2と、を有している。第1ウォッシャポンプモータPM1及び第2ウォッシャポンプモータPM2のそれぞれの一端はウォッシャスイッチsw2を介してGND接地されている。また、第1ウォッシャポンプモータPM1及び第2ウォッシャポンプモータPM2の他端の何れか一方が、ウォッシャリレーの切替接点によって車両のバッテリーに接続されるようになっている。
また、第1ウォッシャポンプモータPM1及び第2ウォッシャポンプモータPM2とウォッシャスイッチsw2との間には、ウォッシャ連動回路を介してワイパスイッチsw1が接続されている。これにより、ウォッシャスイッチsw2がONされると、ウォッシャ連動回路内のワイパリレーによってワイパが作動されるようになっている。
そして、カムプレートcpが「d接点」と接続されるか否かに基づいてウォッシャシステムのウォッシャリレーのコイルLが作動されて、第1ウォッシャポンプモータPM1及び第2ウォッシャポンプモータPM2の何れか一方に択一的に電流が供給されるようになっている。なお、カムプレートcp、コイルL、第1ウォッシャポンプモータPM1及び第2ウォッシャポンプモータPM2が本発明における「切替え機構」に相当する。
具体的には、図10のタイミングチャートに示されるように、車両のイグニッションスイッチ(IG SW)がONされている状態で、ウォッシャスイッチsw2がONされると、ウォッシャリレーによって第1ウォッシャポンプモータPM1がONされる。そして、ウォッシャ連動回路内のワイパリレーによってワイパモータWMがONされて、ワイパブレード14が停止位置から反転位置へ回動(往動)される。なお、図10では、ワイパブレード14が回動方向一方側に回動(往動)されている状態を「OPEN」として記載され、ワイパブレード14が回動方向他方側に回動(復動)されている状態を「CLOSE」として記載されている。
そして、ワイパブレード14が反転位置(「OPEN」から「CLOSE」に切替わる位置)に到達する手前の位置で、ウォッシャリレーによって第1ウォッシャポンプモータPM1の駆動から第2ウォッシャポンプモータPM2の駆動へ切替わるように設定されている。以下、この切替わる位置を「上切替位置」と称し、このときのワイパブレード14の位置は図3の一点鎖線で示される位置に対応している(図3参照)。
一方、ワイパブレード14が反転位置から停止位置へ回動(復動)されると、ワイパブレード14が停止位置(「CLOSE」から「OPEN」に切替わる位置)に到達する手前の位置で、ウォッシャリレーによって第2ウォッシャポンプモータPM2の駆動から第1ウォッシャポンプモータPM1の駆動へ切替わるように設定されている。以下、この切替わる位置を「下切替位置」と称し、このときのワイパブレード14の位置は図3の一点鎖線で示される位置に対応している。
すなわち、図11(A)に示されるように、ワイパアーム12が回動方向一方側へ回動されて上切替位置に到達するまでは、第2系統のホース42を介して第2ノズル46から洗浄液84が供給される。そして、反転位置の手前の上切替位置において、第1ウォッシャポンプモータPM1の駆動から第2ウォッシャポンプモータPM2の駆動に切替わり、第1系統のホース40を介して第1ノズル44及び第3ノズル48から洗浄液84が供給されるように構成されている。
一方、図11(B)に示されるように、反転位置からワイパアーム12が回動方向他方側へ回動されて下切替位置に到達するまでは、第1系統のホース40を介して第1ノズル44及び第3ノズル48から洗浄液84が供給される。そして、停止位置の手前の下切替位置において、第2ウォッシャポンプモータPM2の駆動から第1ウォッシャポンプモータPM1の駆動へ切り替わり、第2系統のホース42を介して第2ノズル46から洗浄液84が供給されるように構成されている。
そして、上切替位置と下切替位置との間の領域が、中央払拭領域CA(図3参照)とされており、中央払拭領域CAにおける回動方向の中央位置(停止位置及び反転位置から等距離に離間された位置)が回動方向中央位置CL(図3参照)とされている。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
上記のように構成された車両用ワイパ装置10では、洗浄液84をウインドシールドガラスWGの被払拭面Sに供給して、ワイパブレード14によって被払拭面Sを払拭する際には、ウォッシャスイッチsw2をONにする。ウォッシャスイッチsw2がONされると、ウォッシャスイッチsw2に連動してワイパモータWMが所定時間駆動されて、ワイパアーム12と共にワイパブレード14が停止位置から回動方向一方側へ低速で回動される。このときには、第1ウォッシャポンプモータPM1が駆動されて、第2ノズル46からワイパブレード14に対して回動方向一方側(払拭進行方向側)へ洗浄液84が供給される。そして、上切替位置において、第1ウォッシャポンプモータPM1の駆動から第2ウォッシャポンプモータPM2の駆動へ切替わり、第1ノズル44及び第3ノズル48から洗浄液84が供給される。
ワイパブレード14が上切替位置から回動方向一方側へさらに回動されると、ワイパブレード14が、反転位置において反転されて、回動方向他方側へ回動される。このときには、第1ノズル44及び第3ノズル48からワイパブレード14に対して回動方向他方側(払拭進行方向側)へ洗浄液84が供給されている。そして、下切替位置において、第2ウォッシャポンプモータPM2の駆動から第1ウォッシャポンプモータPM1の駆動へ切替わり、第2ノズル46から洗浄液84が供給される。
ワイパブレード14が下切替位置から回動方向他方側へさらに回動されると、ワイパブレード14は、停止位置において反転されて、回動方向一方側へ回動される。以下、上記ワイパブレード14の往復回動が、設定された所定の回数繰り返される。
ところで、本実施形態に係るワイパアーム12では、ワイパアーム12のアーム本体16はアーム長手方向に対して直交する方向に切断したときの断面形状がU字状とされており、当該アーム本体16内に第1ノズル44及び第3ノズル48と接続された第1系統のホース40及び第2ノズル46と接続された第2系統のホース42といった2系統のホースが並んだ状態で収容される。第1系統のホース40に洗浄液84が供給されたときには、第1ノズル44の中間噴射孔86及び第3ノズル48の先端噴射孔116から洗浄液84が噴射される。また、第2系統のホース42に洗浄液84が供給されたときには、第2ノズル46の先端噴射孔102から洗浄液84が噴射される。このように本実施形態に係るワイパアーム12では、2系統のホースを使って二箇所に設けた第1ノズル44、第2ノズル46から洗浄液84をそれぞれ別個に異なる噴射(例えば、噴射タイミングや噴射圧力などが異なる噴射)をさせることができるので、1系統のホースで二箇所に設けたノズルから洗浄液を噴射する場合に比べて適切な洗浄液の供給ができ、良好な払拭性能が得られる。
ここで、本実施形態に係るワイパアーム12では、アーム本体16の長手方向の先端側にアーム幅方向一方側へ屈曲する横曲げ部28が形成されており、第3ノズル48のノズル部48Cは横曲げ部28のアーム幅方向他方側に位置するアーム本体16の側壁部16Aに配置されている。また、第2ノズル46もアーム本体の長手方向の所定位置に配設されている。従って、ワイパブレードにノズル部が設定される構成に比し、第1系統のホース40及び第2系統のホース42の長さを短くすることができる。これにより、アーム本体16内に2系統のホースを配策したときに安定した配策状態を維持することができる。 しかも、横曲げ部28のアーム幅方向他方側に位置するアーム本体16の側壁部16Aに第1ノズル部(第3ノズル48のノズル部48C)が配置される構成であるため、ワイパブレード14が障害物とならず、そればかりかワイパブレード14の直前に向けて洗浄液84を容易に噴射することができる。このため、噴射した洗浄液84を直ちにワイパブレード14によって払拭させることができ、着水した洗浄液84による運転視界の妨げを防止することができる。
また、本実施形態に係るワイパアーム12では、第2ノズル46(のノズル部46A)がアーム本体16の横曲げ部28よりも先端側においてアーム幅方向一方側に配設されるため、横曲げ部28の先端側のブレード連結部29で連結されるワイパブレード14に対し、第3ノズル48のノズル部48C(第1ノズル部)がアーム幅方向他方側に位置し、第2ノズル46のノズル部46A(第2ノズル部)がアーム幅方向一方側に位置する。このため、2系統のホース40,42から供給される洗浄液をワイパブレード14の両側にそれぞれ別個に異なる噴射(例えば、噴射タイミングや噴射圧力などが異なる噴射)をさせることができる。また、第2ノズル46(のノズル部46A)がアーム本体16の横曲げ部28よりも先端側に配設されるため、横曲げ部28に配置された第3ノズル48のノズル部48Cの側方には、第2ノズル46と接続された第2系統のホース42の主ホース64が配策されることになる。このため、横曲げ部28内の部品の納まりが良くなる。つまり、本実施形態のように横曲げ部28に第3ノズル48と第2系統のホース42の主ホース64とを組合わせて配策することにすれば、横曲げ部28に円滑にノズルやホースといった部品を納めることができる(横曲げ部28に当該部品をコンパクトに納めることができる)。
さらに、本実施形態に係るワイパアーム12では、アーム本体16の長手方向の中間側には第1ノズル44が配設されていると共に、第3ノズル48と当該第1ノズル44とは第1系統のホース40によって相互に連通されているため、洗浄液84はアーム本体16の長手方向の先端側に配置された第3ノズル48のノズル部48C及び第2ノズル46のノズル部46Aとワイパアーム12の長手方向の中間側に配置された第3ノズル48部のノズル部80の三箇所から噴射される。しかも、ワイパブレード14の長手方向基端側に着水した洗浄液は、ワイパブレード14が払拭途中位置にある(ワイパブレード14の長手方向が車両前後方向に位置している)ときにワイパブレード14の基端側から走行風でワイパアーム12の長手方向へ洗浄液84が広く延ばされる。従って、このワイパアーム12を用いた車両用ワイパ装置10を搭載した車両では、ワイパブレード14の長手方向基端側にも洗浄液84が充分に供給される。このため、ワイパブレード14の長手方向に洗浄液84が行渡り、払拭性能が向上される。
また、本実施形態に係るワイパアーム12では、アーム本体16に第3ノズル48が装着されており、この第3ノズル48が備える第4ホース接続部48Bによって第1系統のホース40の先端側ホース56が保持され、更に第2ホース保持部118によって第2系統のホース42が保持される。つまり、ホースごとにホース保持部が設定されている。このため、ワイパアーム12の回動動作によって第1系統のホース40と第2系統のホース42の配策状態が錯綜等することなく、安定した配策状態を維持することができる。しかも、第2ホース保持部118は第1ホース保持部としての第4ホース接続部48Bに一体的に設けられているので、ホースごとにホース保持部を別々に設ける場合に比し、部品点数が削減される。
さらに、本実施形態に係るワイパアーム12によれば、第3ノズル48の第4ホース接続部48Bに第1系統のホース40の先端側ホース56が接続されることで、第1系統のホース40がアーム本体16内にしっかりと保持される。一方、第2ホース保持部118は、第3ノズル48の第4ホース接続部48Bの元となる筒状部48Aから延出されてアーム本体16の内壁面との間に空間部138を形成する。そして、この空間部138に第2系統のホース42の主ホース64が配策されることで、第2系統のホース42が(第1系統のホース40とは別個に)アーム本体16内に保持される。このため、第2系統のホース42の主ホース64は、空間部138内で(例えば第2系統のホース42の長手方向に)多少動くことができる。従って、第2ノズル46のノズル部46Aに負荷がかかり難くなり、第2ノズル46の姿勢が安定し、先端噴射孔102から噴射された洗浄液84の着水点がずれ難くなる。なお、上記効果は、第3ノズル48と同一のホース保持構造を有する第1ノズル44でも同様に得られる。
また、本実施形態に係るワイパアーム12は、第3ノズル48のアーム幅方向外側には、アーム本体16の一方の側壁部16Aに形成された第3被係合部126に係合される第3係合部124が形成されていると共に、第3ノズル48の第2ホース保持部118のアーム幅方向外側には、アーム本体16の他方の側壁部16Bに形成された第4被係合部136に係合される第3係合部134が形成されており、さらに、当該第2ホース保持部118は、その延出方向に弾性変形可能に構成されている。このため、一例として、第3ノズル48はアーム本体16の先端側(横曲げ部28)に以下の如くして組付けられる。まず、第3係合部124が、アーム本体16の先端側の一方の側壁部16Aに形成された第3被係合部126に係合される。次に、第2ホース保持部118をその延出方向に弾性変形させつつ(縮ませつつ)、第4係合部134が、アーム本体16の先端側の他方の側壁部16Bに形成された第4被係合部136に係合される。これにより、第2ホース保持部118が弾性復帰し、その弾性復元力が第4係合部134を第2被係合部136に係合させる力として作用する。このように本実施形態によれば、第3ノズル48をアーム本体16内にワンタッチで装着することができ、しかも第3ノズル48をアーム本体16に装着した後は車体振動や洗浄液供給時の脈動等によって第3ノズル48がアーム本体16から不用意に外れることが防止される。なお、上記効果は、第3ノズル48と同一の固定構造を有する第1ノズル44でも同様に得られる。
さらに、本実施形態に係るワイパアーム12では、第1ノズル44にも第1ホース保持部70及び第2ホース保持部82が一体的に設けられているため、第1ノズル44側においても第3ノズル48側と同様に、第1ホース保持部70による第1系統のホース40の保持、並びに第2ホース保持部82による第2系統のホース42の保持が可能となる。このため、ワイパアーム12の回動動作によって第1系統のホース40と第2系統のホース42の配策状態が錯綜等することなく、安定した配策状態を維持することができる。しかも、第1ノズル44のノズル部80に第1ホース保持部70及び第2ホース保持部82が一体的に設けられているので、ノズル部46Aと第1ホース保持部70、第2ホース保持部82とが別個に構成されている構成や、ホースごとにホース保持部を設ける構成に比し、部品点数が削減される。
また、本実施形態に係るワイパアーム12は、第1ノズル44と第3ノズル48とが、アーム本体16に対して互いに反対方向へ洗浄液84を噴射するように中間噴射孔86及び先端噴射孔116の向きが設定されているため、第1ノズル44の中間噴射孔86から噴射される洗浄液84の噴射方向と第3ノズル48の先端噴射孔116から噴射される洗浄液84の噴射方向とがアーム本体16に対して互いに反対方向となる。このため、第1系統のホース40に供給された洗浄液84は、アーム本体16に対して常に互いに反対方向へ噴射されるも、第1ノズル44の中間噴射孔86から噴射される洗浄液84と第3ノズル48の先端噴射孔116から噴射される洗浄液84をワイパブレード14に対して同一側に着水させることができる。
以上説明したように、本実施形態に係るワイパアーム12を備えた車両用ワイパ装置10によれば、アーム本体16内に第1系統のホース40及び第2系統のホース42といった2系統のホースを配策したときに安定したホースの配策状態を維持することができ、しかも部品点数を抑制することができる。
また、本実施形態に係る車両用ワイパ装置10は、ワイパブレード14の払拭方向進行側に洗浄液84が噴射されるように第1系統のホース40と第2系統のホース42に択一的に洗浄液84の供給を切替える切替え機構を有している。このため、噴射された洗浄液84は直ちにワイパブレード14で払拭されるため、着水した洗浄液84が払拭されるまで比較的長い間残されてしまうことが防止される。
(上記実施形態の補足説明)
(1)本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係について、以下に補足説明する。
上述した実施形態において、第3ノズル48のノズル部48Cが本発明における「第1ノズル部」に相当し、第2ノズル46のノズル部46Aが本発明における「第2ノズル部」に相当し、第1ノズル44のノズル部80が本発明における「第3ノズル部」に相当する。
なお、本発明の構成要素ではないが、第3係合部124、第3被係合部126は「第1係合部」、「第1被係合部」として把握することができ、第4係合部134、第4被係合部136は「第1係合部」、「第1被係合部」として把握することができる。
さらに、本発明における「ホース保持部」は、第1ノズル44及び第3ノズル48の双方に適用されている。第1ノズル44にあっては、第1ホース保持部70及び第2ホース保持部82が本発明における「ホース保持部」に相当し、第3ノズル48にあっては第4ホース接続部48B及び第2ホース保持部118が、本発明における「ホース保持部」に相当する。なお、第3ノズル48の第4ホース接続部48Bは、本発明における「第1ホース保持部」でもある。このように本実施形態では、ワイパアーム12にホース保持部を第1ノズル44及び第3ノズル48の二箇所に設定したが、これに限らず、いずれか一方でもよいし、三箇所以上に設定してもよい。
(2)上述した本実施形態では、アーム本体16がその長手方向の全長に亘って断面U字状に形成されているが、本発明には、アーム本体の長手方向の一部(例えば、先端部)が断面U字状になっていないが全体としては断面U字状に形成された形態も含まれる。また、本実施形態の「断面形状がU字状」には、断面形状がU字形であるものの他に、略U字形であるものが含まれる。
(3)上述した本実施形態では、第1ノズル44を例にとると、第1ホース保持部70及び第2ホース保持部82を備えた「ホース保持部」にノズル部80を一体的に設けたが、これに限らず、ノズル部をホース保持部から分離して別々に設定してもよい。また、本発明において「第1ノズル部には、・・・ホース保持部が一体的に設けられている」には、第1ノズル部がホース保持部に一体成形されている形態の他、第1ノズル部がホース保持部とは別体で形成されて第1ノズル部がホース保持部に接着剤やビス、嵌合構造等で取り付けられている形態も含まれる。
(4)上述した本実施形態では、第1系統のホース40に第1ノズル44と第3ノズル48を接続する構成を採ったが、これに限らず、第1系統のホースの長さを第2系統のホースと同じ長さに設定し、先端側にのみノズルを配設するようにしてもよいし、第1系統のホース40には中間側のみにノズルを配設するようにしてもよい。すなわち、2系統のホースがアーム本体内に配策されていればよく、各系統のホースの分割の有無、分割の数は、生産性等を考慮して適宜設定される。