JP2019048557A - 車両用シート構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】座り心地が損なわれることを抑制しつつ、車両の急減速時に乗員の腰部が前方側へ移動することを抑制する。【解決手段】車両用シート構造は、左右一対のサイドフレーム22と、左右一対のサイドフレーム22をシート幅方向につなぐ固定パイプ24と、固定パイプ24よりも後方側において左右一対のサイドフレーム22をシート幅方向につなぎ、着座乗員の前方側への移動に伴い前方側へ移動されるスライドパイプ28と、を備えている。また、固定パイプ24とスライドパイプ28との前後方向の中間部に設けられた上昇パイプ30を備えている。さらに、スライドパイプ28の前方側への移動に伴い上昇パイプ30を上昇させることで、シートクッション12の前部12Aを上昇させるリンク機構を備えている。また、上昇パイプ30を上昇させる方向へリンク機構を付勢するトーションバネを備えている。【選択図】図5

Description

本発明は、車両用シート構造に関する。
下記特許文献1には、車両の衝突時等の急減速時に乗員を保護する乗員保護装置が開示されている。この文献に記載された乗員保護装置は、車両用シート上に設置されるシートクッション部を有する補助シートと、シートクッション部の前方部分を押し上げる押し上げ機構と、を備えている。そして、車両の急減速時に、補助シートに着座した乗員に前方への慣性力が作用してシートクッション部が前方に移動することに伴って、シートクッション部の前方部分が押し上げられる。これにより、シートクッション部への乗降性が低下することを抑制しつつ、車両の急減速時に乗員の腰部が前方に移動することを抑制することが可能となっている。
特開2015−107713号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された構成では、車両が急減速する前の状態において、押し上げ機構の一部を構成するリンクがシート側面視で上方側へ凸状に屈曲された状態となっている。そのため、シートクッション部の前方部分と乗員の大腿部との接触圧力が高くなり、シートクッション部への座り心地が損なわれることが考えられる。
本発明は上記事実を考慮し、座り心地が損なわれることを抑制しつつ、車両の急減速時に乗員の腰部が前方側へ移動することを抑制することができる車両用シート構造を得ることが目的である。
請求項1記載の車両用シート構造は、乗員が着座するシートクッションの骨格を形成し、シート幅方向に間隔をあけて配置された左右一対のサイドフレームと、前記シートクッションの前部において前記左右一対のサイドフレームをシート幅方向につなぐ固定接続部と、前記シートクッションの前部かつ前記固定接続部よりも後方側において前記左右一対のサイドフレームをシート幅方向につなぎ、着座乗員の前方側への移動に伴い前方側へ移動される移動接続部と、前記固定接続部と前記移動接続部との前後方向の中間部において前記左右一対のサイドフレーム間に掛け渡されるように設けられた上昇部と、前記固定接続部と前記上昇部とをつなぐと共に前記移動接続部と前記上昇部とをつなぎ、前記移動接続部の前方側への移動に伴い前記上昇部を上昇させることで、前記シートクッションの前部を上昇させるリンク機構と、前記上昇部を上昇させる方向へ前記リンク機構を付勢する付勢部材と、を備えている。
請求項1記載の車両用シート構造によれば、乗員がシートクッションに着座した状態で、車両が急減速すると、乗員に作用する慣性力により、乗員が前方側へ移動する。また、乗員が前方側へ移動すると、移動接続部が前方側へ移動する。これにより、固定接続部と上昇部とをつなぐと共に移動接続部と上昇部とをつなぐリンク機構が作動されて、上昇部が上昇する。その結果、シートクッションの前部が上昇して、乗員の腰部の前方側へ移動が抑制される。
また、請求項1記載の発明では、リンク機構が付勢部材によって上昇部が上昇する方向へ付勢されている。これにより、上昇部を上昇し易くするために、上昇部を固定接続部及び移動接続部よりも上方側へ配置しておくことが不要となる、又は、上昇部の固定接続部及び移動接続部に対する上方側へのオフセット量を小さくすることができる。その結果、シートクッションの前部と乗員の大腿部との接触圧力が増加することが抑制される。これにより、シートクッションへの座り心地が損なわれることが抑制される。
本発明に係る車両用シート構造は、座り心地が損なわれることを抑制しつつ、車両の急減速時に乗員の腰部が前方側へ移動することを抑制することができる、という優れた効果を有する。
本実施形態の車両用シート構造が適用された車両用シートのシートクッションフレーム等を示す斜視図である。 本実施形態の車両用シート構造が適用された車両用シートのシートクッション等を示す側面図である。 固定パイプとリンク機構との間に設けられたトーションバネを示す拡大背面図である。 図3に示された4−4線に沿って切断した固定パイプ等を示す断面図である。 車両が急減速した際の車両用シートのシートクッション等を示す図2に対応する側面図である。 車両の急減速時における腰部変位量に対するシート反力を示すグラフである。 第1のエネルギ吸収機構が適用されたスライドパイプ周縁部の構成を示す側断面図である。 第1のエネルギ吸収機構が適用されたスライドパイプ周縁部の構成を示す側断面図であり、車両が急減速した際の状態を示している。 第2のエネルギ吸収機構が適用されたスライドパイプ周縁部の構成を示す側断面図である。 第2のエネルギ吸収機構が適用されたスライドパイプ周縁部の構成を示す側断面図であり、車両が急減速した際の状態を示している。 第3のエネルギ吸収機構が適用されたスライドパイプ周縁部の構成を示す側断面図である。 第3のエネルギ吸収機構が適用されたスライドパイプ周縁部の構成を示す側断面図であり、車両が急減速した際の状態を示している。
図1〜図4を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シート構造が適用された車両用シートについて説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両用シートに着座した乗員から見た前後左右上下の方向を示すものとし、また各図に適宜示す矢印FRは前方向、矢印UPは上方向、矢印RHは右方向、矢印LHは左方向をそれぞれ示すものとする。また、矢印RH及び矢印LHは、シート幅方向と一致している。
図2に示されるように、本実施形態の車両用シート10は、乗員Pの臀部P1及び大腿部P2を支持するシートクッション12と、乗員Pの上体P3を支持するシートバック14と、を備えている。
シートクッション12は、後述するシートクッションフレーム20に表皮材に被われたシートクッションパッド16が取付けられることによって構成されている。また、シートバック14は、シートクッション12と同様にシートバックフレーム18に表皮材に被われたシートバックパッドが取付けられることによって構成されている。
シートクッションフレーム20は、シートクッション12の骨格を構成している。このシートクッションフレーム20は、シート幅方向に間隔をあけて配置され前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム22を備えている。サイドフレーム22は、鋼板材等の板状の部材にプレス加工等が施されることによって形成されており、シート幅方向を厚み方向として前後方向に延びる平行板部22Aを備えている。そして、右側のサイドフレーム22の平行板部22Aと左側のサイドフレーム22の平行板部22Aとは略平行となっている。
左右のサイドフレーム22の平行板部22Aの前端部には、丸パイプ材を用いて形成された固定接続部としての固定パイプ24の左側の端部及び右側の端部がそれぞれ接合されている。これにより、左右のサイドフレーム22の平行板部22Aの前端部が、固定パイプ24を介して左右方向につながれている。
また、左右のサイドフレーム22の平行板部22Aの前端部かつ固定パイプ24が接合された部分よりも後方側には、前後方向を長手方向とする長孔26が形成されている。また、左右のサイドフレーム22の平行板部22Aに形成された長孔26には、丸パイプ材を用いて形成された移動接続部としてのスライドパイプ28の左側の端部及び右側の端部がそれぞれ挿通されている。これにより、左右のサイドフレームの平行板部22Aの前端部が、スライドパイプ28を介して左右方向につながれている。なお、スライドパイプ28の左側の端及び右側の端には、長孔26の内径よりも大きな外径となるように拡径加工等が施されている。これにより、スライドパイプ28が左右のサイドフレーム22の平行板部22Aに形成された長孔26から抜け出さないようになっている。
さらに、固定パイプ24とスライドパイプ28との前後方向の中間部には、丸パイプ材を用いて形成されていると共に左右のサイドフレーム22の平行板部22Aの間に架け渡されるように設けられた上昇部としての上昇パイプ30が設けられている。この上昇パイプ30の左右の両端部は、後述するリンク機構を構成する第1リンク32及び第2リンク34を介して固定パイプ24及びスライドパイプ28にそれぞれつながれている。
リンク機構を構成する第1リンク32及び第2リンク34は、それぞれ左右方向を厚み方向とする矩形板状に形成されている。第1リンク32の長手方向一方側の端部には、固定パイプ24が挿通される円形の開口部が形成ており、第1リンク32の長手方向他方側の端部には、上昇パイプ30が挿通される円形の開口部が形成されている。また、第2リンク34の長手方向一方側の端部には、スライドパイプ28が挿通される円形の開口部が形成ており、第2リンク34の長手方向他方側の端部には、上昇パイプ30が挿通される円形の開口部が形成されている。
ここで、図2に示されるように、スライドパイプ28が長孔26の後端部に位置している状態では、第1リンク32及び第2リンク34がシート側面視で互いの長手方向に直線状に配置されている。この状態では、第1リンク32及び第2リンク34につながれた上昇パイプ30が、左右のサイドフレーム22の上縁部よりも下方側に配置されている。
また、図1に示されるように、スライドパイプ28が長孔26の前端部に位置している状態では、第1リンク32及び第2リンク34がシート側面視で上方側へ向けて凸状に屈曲されている。この状態では、第1リンク32及び第2リンク34につながれた上昇パイプ30が、左右のサイドフレーム22の上縁部よりも上方側に配置されている。これにより、図5に示されるように、上昇パイプ30がシートクッションパッド16の前部を上方側へ押し上げることにより、シートクッション12の前部12Aが上昇するようになっている。
図3及び図4に示されるように、第1リンク32とサイドフレーム22との間には、付勢部材としてのトーションバネ36が設けられている。なお、トーションバネ36は、右側の第1リンク32と右側のサイドフレーム22との間及び左側の第1リンク32と左側のサイドフレーム22との間の少なくとも一方に設けられていればよい。トーションバネ36は、針金状の部材が環状に巻回された巻回部36Aを含んで構成されている。この巻回部36Aに固定パイプ24が挿通された状態で、トーションバネ36の一方側の端部36B及び他方側の端部36Cが、第1リンク32に設けられたトーションバネ係止部32A及びサイドフレーム22に設けられたトーションバネ係止部22Bにそれぞれ係止されている。このトーションバネ36を有することによって、第1リンク32が、固定パイプ24を回転中心として上昇パイプ30を上昇させる方向へ回転付勢されている。ここで、トーションバネ36が第1リンク32を付勢する力(回転トルク)は、当該第1リンク32につながれた上昇パイプ30がシートクッションパッド16(図2参照)の前端部を押し上げるのに必要な力と比べて低くなっている。これにより、車両が急減速する前の状態では、トーションバネ36の付勢力によってシートクッションパッド16の前端部が押し上げられることはない。
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
図2に示されるように、乗員Pがシートクッション12に着座した状態では、当該乗員Pの臀部P1及び大腿部P2がシートクッション12によって支持されている。そして、乗員Pがシートクッション12に着座した状態で、車両が急減速すると、乗員Pに作用する慣性力により、乗員Pが前方側へ移動する。
図5に示されるように、乗員Pが前方側へ移動すると、当該乗員Pの臀部P1がシートクッションパッド16の一部を介してスライドパイプ28を前方側へ移動させる。これにより、第1リンク32及び第2リンク34がシート側面視で上方側へ向けて凸状に屈曲されて、第1リンク32及び第2リンク34につながれた上昇パイプ30がシートクッションパッド16の前部を上方側へ押し上げる。その結果、シートクッション12の前部12Aが上昇して、乗員Pの臀部P1及び腰部P4の前方側への移動がシートクッション12の前部12Aによって妨げられる。
ここで、図6には、車両の急減速時における腰部変位量(乗員Pの腰部P4(骨盤P5)の前方側への移動量)に対するシート反力(シートクッション12の前部12Aから乗員Pに入力される荷重)を示すグラフが示されている。この図に示されるように、シートクッション12の前部12Aを上昇させる機構を備えている場合B1では、当該機構を備えていない場合B2に比べて、乗員Pの腰部P4の前方側への移動量がスライドパイプ28と対応する位置Cを超えた後において大きなシート反力が得られることがわかる。これにより、シートクッション12の前部12Aを上昇させる機構を備えている場合B1では、当該機構を備えていない場合B2に比べて、乗員Pの腰部P4の前方側への移動量を小さくすることができる。これにより、本実施形態では、車両の急減速時におけるサブマリン現象を効果的に抑制することができる。
図2、図3及び図4に示されるように、本実施形態では、第1リンク32が、トーションバネ36によって固定パイプ24を回転中心として上昇パイプ30を上昇させる方向へ回転付勢されている。これにより、車両の急減速時に上昇パイプ30を上昇させ易くするために、上昇パイプ30を固定パイプ24及びスライドパイプ28よりも上方側へ配置しておくことが不要となる、又は、上昇パイプ30の固定パイプ24及びスライドパイプ28に対する上方側へのオフセット量を小さくすることができる。換言すると、第1リンク32及び第2リンク34を予めシート側面視で上方側へ向けて凸状に屈曲させておくことが不要となる、又は、第1リンク32及び第2リンク34の屈曲角度を浅くすることができる。その結果、シートクッション12の前部12Aと乗員Pの大腿部P2との接触圧力が増加することが抑制され、シートクッション12への座り心地が損なわれることを抑制することができる。
(エネルギ吸収機構について)
ところで、車両の急減速時の乗員Pの運動エネルギを吸収することができれば、乗員Pの腰部P4の前方側への移動量をより小さくすることができる。以下、車両の急減速時の乗員Pの運動エネルギを吸収するためのエネルギ吸収機構をサイドフレーム22及びスライドパイプ28に設けた場合について説明する。
図7に示されるように、第1のエネルギ吸収機構では、長孔26の短手方向への寸法Dが、前方側へ向かうにつれて次第に小さくなっている。当該構成では、図8に示されるように、スライドパイプ28が前方側へ移動されると、スライドパイプ28が上下方向に圧縮されるように変形すると共にスライドパイプ28と長孔26の縁部26Aとの摩擦力が前方側へ向かうにつれて増加する。これにより、車両の急減速時の乗員Pの運動エネルギをスライドパイプ28の変形及びスライドパイプ28と長孔26の縁部26Aとの摩擦や両者の塑性変形によって吸収することができる。
図9に示されるように、第2のエネルギ吸収機構では、長孔26の短手方向の両縁部26Aから突出する鋸刃状の複数の歯部26Bが長孔26の長手方向に沿って形成されている。当該構成では、図10に示されるように、スライドパイプ28が前方側へ移動されると、当該スライドパイプ28が複数の歯部26Bの間を通過する。これにより、スライドパイプ28が上下方向に圧縮されるように変形すると共にスライドパイプ28と複数の歯部26Bとの間に摩擦力が生じる。これにより、車両の急減速時の乗員Pの運動エネルギをスライドパイプ28の変形及びスライドパイプ28と複数の歯部26Bとの摩擦や両者の塑性変形によって吸収することができる。
図11に示されるように、第3のエネルギ吸収機構では、長孔26の内部に配置されていると共に当該長孔26の長手方向にスライド可能とされたスライダブロック38と、当該スライダブロック38を後方側へ向けて付勢するエネルギ吸収バネ40と、が設けられている。当該構成では、図12に示されるように、スライドパイプ28が前方側へ移動されると、当該スライドパイプ28がスライダブロック38を前方側へ移動させる。これにより、エネルギ吸収バネ40がスライダブロック38と長孔26の縁部26Aの前端側との間で圧縮される。その結果、車両の急減速時の乗員Pの運動エネルギをエネルギ吸収バネ40の変形によって吸収することができる。なお、エネルギ吸収バネ40に代えてダンパを設けてもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
12 シートクッション
22 サイドフレーム
24 固定パイプ(固定接続部)
28 スライドパイプ(移動接続部)
30 上昇パイプ(上昇部)
32 第1リンク(リンク機構)
34 第2リンク(リンク機構)
36 トーションバネ(付勢部材)

Claims (1)

  1. 乗員が着座するシートクッションの骨格を形成し、シート幅方向に間隔をあけて配置された左右一対のサイドフレームと、
    前記シートクッションの前部において前記左右一対のサイドフレームをシート幅方向につなぐ固定接続部と、
    前記シートクッションの前部かつ前記固定接続部よりも後方側において前記左右一対のサイドフレームをシート幅方向につなぎ、着座乗員の前方側への移動に伴い前方側へ移動される移動接続部と、
    前記固定接続部と前記移動接続部との前後方向の中間部において前記左右一対のサイドフレーム間に掛け渡されるように設けられた上昇部と、
    前記固定接続部と前記上昇部とをつなぐと共に前記移動接続部と前記上昇部とをつなぎ、前記移動接続部の前方側への移動に伴い前記上昇部を上昇させることで、前記シートクッションの前部を上昇させるリンク機構と、
    前記上昇部を上昇させる方向へ前記リンク機構を付勢する付勢部材と、
    を備えた車両用シート構造。
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