JP2019045267A - 比色検出型キラルセンサーを用いる光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度の決定方法 - Google Patents

比色検出型キラルセンサーを用いる光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度の決定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】目視によりキラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度の決定方法を提供する。【解決手段】下記式(I)の一方向巻きのらせん構造を有するポリ化合物と、光学純度が異なる光学活性キラルアミン化合物をアミド化した誘導体を、特定の混合溶媒に溶解させた溶液を標準サンプルとして調製する工程、式(I)の化合物を、キラリティー及び光学純度が未知の光学活性キラルアミン化合物と反応・アミド化した誘導体を、混合溶媒に溶解させた溶液を調製し、溶液の色調及び/又は蛍光強度を標準サンプルと比較観測して被験対象の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を決定する工程を含むキラリティー及び光学純度の決定方法。【選択図】なし

Description

本発明は、らせん状のポリ(ジフェニルアセチレン)化合物からなる比色検出型キラルセンサーを用いる光学活性キラルアミン化合物の簡便且つ実用的なキラリティー及び光学純度の新規な決定方法に関する。
有機化合物には物理的、化学的性質、例えば沸点、融点、溶解度といった物性が全く同一であるが、生理活性に差が見られる光学異性体が多く存在する。医薬等の技術分野では、生体内の特定の受容体との結合のし易さによる薬理活性の違いがよく研究されており、光学異性体(すなわち、エナンチオマー)間で薬効、毒性の点で顕著な差が見られる場合が多いことが広く知られている。このような事情から、光学異性体の選択的な合成技術やラセミ体からの光学異性体の分離技術等と並び、光学異性体のセンシング技術(光学異性体のキラリティーを判定する技術)も注目されている。すなわち、光学異性体が存在する化合物が合成され又は提供された場合において、その化合物がいずれのキラリティーを有するのか、又はラセミ体であるのか等を高精度で判定できる、簡便なキラリティーの識別方法の開発は極めて重要な課題となっている。
分子の不斉を直接反映したスペクトルを与える円二色性(CD)スペクトルを利用したキラリティー識別、NMRシフト試薬、キラルHPLC等を利用したキラリティー識別等に関する多くの研究がこれまでに報告されているが、キラリティーの検出装置としては非常に高価であるため、簡便なセンシング手法であるとは言い切れない。最も簡便にキラリティーを識別する手法の一つとして、目に見える色の変化を利用したキラリティーセンシングの手法が挙げられる。
かかる手法として、光学活性クラウンエーテル構造を有する蛍光性ホスト化合物(又はポリマー)によるホスト−ゲスト錯形成平衡反応の特徴を利用した、蛍光性キラルセンサーが報告されている(特許文献1、2)。これらは、ホスト化合物である光学活性クラウンエーテル構造とゲスト化合物(識別対象)であるキラル第一級アミンとの錯形成による分子認識に基づくキラリティーセンシングの手法であるが、その識別感度は、蛍光測定の際の濃度等の条件による影響を受けやすく、また、ホスト化合物のゲスト認識部位に高価な光学活性官能基を導入しておく必要があるなどの課題が残されていた。
本発明者らは、最近、光学活性キラルアミン化合物を、一方向巻きのらせん構造を有する下記式(I):
[式中、
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、トリ置換シリル基、トリ置換シロキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基を示し;並びに
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリ(ジフェニルアセチレン)化合物と反応させてアミド化し、該誘導体の溶液の色調と蛍光の変化を観測することにより、光学活性キラルアミン化合物のキラリティーを感度良く識別する方法を見出した(特許文献3)。この方法によれば、該誘導体が低光学純度領域(すなわち、0〜10%ee)において大きな非線形応答性を示し、この領域における精度の高い検出が可能であるが、より需要の高い高光学純度領域(すなわち、90〜100%ee)や、その他の光学純度領域(すなわち、10〜90%ee)では非線形応答性を示さず、殆ど識別することは出来なかった。一般に、非線形応答領域は、キラルセンサーの分子設計の段階で決まることが多いため、この方法は、低光学純度領域以外の光学活性キラルアミン化合物の光学純度の決定に用いることはできないと考えられていた。
特許第3950117号公報 特許第4545370号公報 特開2016−155781号公報
このような背景のもと、いずれの光学純度領域においても、安価に感度良く様々な種類の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を、簡便且つ正確に識別(決定)することができる実用的なキラリティーセンシングの手法の開発がますます求められている。
本発明の目的は、それ自体に高価な光学活性官能基を有さない、らせん状ポリ(ジフェニルアセチレン)化合物を利用して、様々な種類の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を、特殊な装置を用いることなく、いずれの光学純度領域においても、目に見える色(及び蛍光)の変化を利用して識別及び決定することが可能な、簡便且つ実用的なキラリティーセンシングの手法を提供することである。
本発明者らは、かかる状況下、鋭意検討を重ねた結果、一方向巻きのらせん構造を有する下記式(I):
[式中、
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、トリ置換シリル基、トリ置換シロキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基を示し;並びに
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリ(ジフェニルアセチレン)化合物(以下、「化合物(I)」と称することもある。)又はその塩を、光学純度が異なる2種以上の既知の光学活性キラルアミン化合物のそれぞれと縮合させてアミド化された2種以上の化合物を調製し、特定の2種類の溶媒の混合比の異なる、2種以上の混合溶媒に各化合物をそれぞれ溶解させた溶液を標準サンプルとして調製する工程、並びに化合物(I)又はその塩を、キラリティー及び光学純度が未知の光学活性キラルアミン化合物(被験対象化合物)と縮合させてアミド化された化合物を、前記いずれかの混合溶媒に溶解させた溶液を調製し、該溶液の色調及び/又は蛍光強度を標準サンプルと比較観測することにより、被験対象の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を、いずれの光学純度領域においても、目視若しくは安価な測定機器により簡便且つ正確に識別(決定)することができる実用的なキラリティーセンシング手法として有用であることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]一方向巻きのらせん構造を有する式(I):
[式中、
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、トリ置換シリル基、トリ置換シロキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基を示し;並びに
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリ(ジフェニルアセチレン)化合物又はその塩と、光学純度が異なる2種以上の既知の光学活性キラルアミン化合物のそれぞれを縮合させてアミド化された2種以上の化合物を得る工程、
前記アミド化された2種以上の化合物を、比誘電率が10未満の有機溶媒である第一の溶媒及び比誘電率が15以上40以下の有機溶媒である第二の溶媒からなる混合溶媒にそれぞれ溶解させた溶液を標準サンプルとして調製する工程、前記式(I)の化合物又はその塩と、キラリティー及び光学純度が未知の被験対象の光学活性キラルアミン化合物を縮合させてアミド化された化合物を、前記混合溶媒に溶解させた溶液を調製する工程、並びに前記アミド化された化合物の溶液の色調及び/又は蛍光強度を、前記標準サンプルと比較観測することにより、前記被験対象の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を決定する工程を含むことを特徴とする、光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度の決定方法。
[2]前記標準サンプルとして調製された溶液の混合溶媒を、混合比の異なる2種以上の混合溶媒から選択する工程を含む、上記[1]記載の方法。
[3]第一の溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンであり、且つ第二の溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドである、上記[1]又は[2]記載の方法。
[4]第一の溶媒が、1,1,2,2−テトラクロロエタン又はテトラヒドロフランであり、且つ第二の溶媒が、アセトン又はN,N−ジメチルホルムアミドである、上記[1]又は[2]記載の方法。
[5]溶液の色調及び/又は蛍光強度を、目視又は写真画像により比較観測することを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれか記載の方法。
[6]一方向巻きのらせん構造を有する式(II):
[式中、
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、トリ置換シリル基、トリ置換シロキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基を示し;
RNHは、キラルアミノ基を示し;並びに
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリ(ジフェニルアセチレン)化合物(以下、「化合物(II)」と称することもある。)又はその塩の、比誘電率が10未満の有機溶媒である第一の溶媒及び比誘電率が15以上40以下の有機溶媒である第二の溶媒からなる混合溶媒溶液。
[7]第一の溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンであり、且つ第二の溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドである、上記[6]記載の溶液。
[8]第一の溶媒が、1,1,2,2−テトラクロロエタン又はテトラヒドロフランであり、且つ第二の溶媒が、アセトン又はN,N−ジメチルホルムアミドである、上記[6]記載の溶液。
光学活性キラルアミン化合物と化合物(I)とを縮合させてアミド化して得られる化合物(II)を、比誘電率が10未満の有機溶媒である第一の溶媒及び比誘電率が15以上40以下の有機溶媒である第二の溶媒からなる混合溶媒に溶解させてなる溶液は、第一の溶媒と第二の溶媒の混合比を変化させるだけで、その色調(紫外・可視吸収)及び蛍光強度における非線形応答性が大きい光学純度領域を自在にシフトすることができるので、需要は高いが、これまで目視や蛍光スペクトルによる光学純度の決定が困難であった高光学純度領域(90〜100%ee)においても非常に高い分解能で光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を決定することが可能である。また、本発明によれば、様々な種類の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を、高価且つ特殊な測定機器を使用することなく、安価なカメラやスマートフォンによる写真撮影後の画像解析(RGB解析により作成される検量線)や目視によって、光学純度既知の標準サンプル溶液の色調等と比較観測するだけで、鏡像異性体過剰率の差異を精度良く識別することが可能である。
aは、化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミドを90:10の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルであり、bは、化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミドを90:10の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の蛍光スペクトルである。 aは、化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミドを100:0、90:10及び85:15の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の蛍光スペクトルを励起波長540nmで測定した際の蛍光強度の最大値をプロットしたグラフを示し、bは、化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミドを100:0、90:10及び85:15の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の蛍光スペクトルを励起波長350nmで測定した際の蛍光強度の最大値をプロットしたグラフを示す。 図2aにおいて大きな色の変化を示した、化合物(II−1−Y)(Y=S100(a)、S80(b)、S60(c))を、テトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミドを100:0の溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)、及び化合物(II−1−Y)(Y=R20(d)、R40(e)、R60(f))を、テトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミドを90:10の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の写真を示す。 化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラクロロエタン/アセトンを100:0及び80:20の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の520nmの吸収強度をプロットしたグラフを示す。 化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン/アセトンを100:0、80:20、60:40及び40:60の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の540nmの吸収強度をプロットしたグラフを示す。 化合物(II−1−Y)(Y=R90、R92、R94、R96、R98、R100)を、テトラヒドロフラン/アセトンを30:70の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを示す。 化合物(II−1−Y)(R90(a)、R92(b)、R94(c)、R96(d)、R98(e)、R100(f))を、テトラヒドロフラン/アセトンを30:70の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の写真を示す。 化合物(II−1−Y)(R90(a)、R92(b)、R94(c)、R96(d)、R98(e)、R100(f))を、テトラヒドロフラン/アセトンを30:70の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の写真(図7)から抽出したRGB成分をプロットしたグラフを示す。 化合物(II−2−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、クロロホルム/アセトンを100:0及び95:5の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の520nmの吸収強度をプロットしたグラフを示す。 化合物(II−3−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミドを100:0及び90:10の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の560nmの吸収強度をプロットしたグラフを示す。 化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン/ジメチルスルホキシドを100:0、96.5:3.5及び95:5の混合比で調製した混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の550nmの吸収強度をプロットしたグラフを示す。
以下に本発明の詳細を説明する。
(定義)
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
本明細書中、「アルキル(基)」としては、直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1以上のアルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C1−20アルキル基であり、中でも、C1−12アルキル基がより好ましく、C1−6アルキル基が特に好ましい。
本明細書中、「C1−20アルキル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜20のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、エイコシル等が挙げられる。
本明細書中、「C1−12アルキル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜12のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。
本明細書中、「シクロアルキル(基)」とは、環状アルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C3−8シクロアルキル基である。
本明細書中、「C3−8シクロアルキル(基)」とは、炭素原子数3〜8の環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、C3−6シクロアルキル基が好ましい。
本明細書中、「アルコキシ(基)」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基が酸素原子と結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1−6アルコキシ基である。
本明細書中、「C1−6アルコキシ(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも、C1−4アルコキシ基が好ましい。
本明細書中、「アルキルチオ(基)」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基が硫黄原子と結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1−6アルキルチオ基である。
本明細書中、「C1−6アルキルチオ(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルキルチオ基を意味し、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、ヘキシルチオ等が挙げられる。中でも、C1−4アルキルチオ基が好ましい。
本明細書中、「アルキルスルホニル(基)」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基がスルホニル基に結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1−6アルキルスルホニル基である。
本明細書中、「C1−6アルキルスルホニル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルキル基がスルホニル基に結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、1−エチルプロピルスルホニル、ヘキシルスルホニル、イソヘキシルスルホニル、1,1−ジメチルブチルスルホニル、2,2−ジメチルブチルスルホニル、3,3−ジメチルブチルスルホニル、2−エチルブチルスルホニル等が挙げられる。
本明細書中、「アリールスルホニル(基)」とは、アリール基がスルホニル基に結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C6−10アリールスルホニル基である。
本明細書中、「C6−10アリールスルホニル基」とは、「C6−10アリール基」がスルホニル基に結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル等が挙げられる。
本明細書中、「アルキルスルホニルオキシ(基)」とは、アルキルスルホニル基が酸素原子に結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1−6アルキルスルホニルオキシ基である。
本明細書中、「C1−6アルキルスルホニルオキシ(基)」とは、C1−6アルキルスルホニル基が酸素原子に結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ、ブチルスルホニルオキシ等が挙げられる。
本明細書中、「アリールスルホニルオキシ(基)」とは、アリールスルホニル基が酸素原子に結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C6−10アリールスルホニルオキシ基である。
本明細書中、「C6−10アリールスルホニルオキシ(基)」とは、C6−10アリールスルホニル基が酸素原子に結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニルオキシ、1−ナフチルスルホニルオキシ、2−ナフチルスルホニルオキシ等が挙げられる。
本明細書中、「アシル(基)」とは、アルカノイル又はアロイルを意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1−7アルカノイル基又はC7−11アロイルである。
本明細書中、「C1−7アルカノイル(基)」とは、炭素原子数1〜7の直鎖又は分枝鎖状のホルミル又はアルキルカルボニルであり、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等が挙げられる。
本明細書中、「C7−11アロイル(基)」とは、炭素原子数7〜11のアリールカルボニルであり、ベンゾイル等が挙げられる。
本明細書中、「アシルオキシ(基)」とは、アルカノイル基又はアロイル基が酸素原子と結合した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1−7アルカノイルオキシ基又はC7−11アロイルオキシ基である。
本明細書中、「C1−7アルカノイルオキシ(基)」としては、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ、ペンチルカルボニルオキシ、イソペンチルカルボニルオキシ、ネオペンチルカルボニルオキシ、ヘキシルカルボニルオキシ等が挙げられる。
本明細書中、「C7−11アロイルオキシ(基)」としては、例えば、ベンゾイルオキシ、1−ナフトイルオキシ、2−ナフトイルオキシ等が挙げられる。
本明細書中、「アリール(基)」とは、芳香族性を示す単環式あるいは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−アンスリル等のC6−14アリール基を示す。中でもC6−10アリール基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリール(基)」とは、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルを示し、フェニルが特に好ましい。
本明細書中、「アラルキル(基)」とは、アルキル基にアリール基が置換した基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C7−14アラルキルである。
本明細書中、「C7−14アラルキル(基)」とは、「C1−4アルキル基」に「C6−10アリール基」が置換した基を意味し、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、(ナフチル−1−イル)メチル、(ナフチル−2−イル)メチル、1−(ナフチル−1−イル)エチル、1−(ナフチル−2−イル)エチル、2−(ナフチル−1−イル)エチル、2−(ナフチル−2−イル)エチル、ビフェニリルメチル等が挙げられる。
本明細書中、「トリ置換シリル(基)」とは、同一又は異なる3個の置換基(例、C1−6アルキル基、C6−10アリール基等)により置換されたシリル基を意味し、当該基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基(好ましくは、トリC1−6アルキルシリル基)、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が好ましい。
本明細書中、「トリ置換シロキシ(基)」とは、トリ置換シリル基が酸素原子と結合した基を意味する。当該基としては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基等のトリアルキルシロキシ基(好ましくは、トリC1−6アルキルシロキシ基)が好ましい。
本明細書中、「保護されたアミノ基」とは、「保護基」で保護されたアミノ基を意味する。当該「保護基」としては、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons刊(1980)に記載のアミノ基の保護基を使用し得、例えば、C1−6アルキル基、C7−14アラルキル基、C6−10アリール基、C1−7アルカノイル基、C7−14アラルキル−カルボニル基、トリC1−6アルキルシリル基等の保護基が挙げられる。上記の保護基は、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はニトロ基により更に置換されていてもよい。当該アミノ基の保護基の具体例としては、メチル、アセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよい」とは、1個以上の置換基を有していてもよいことを意味し、該「置換基」としては、(1)ハロゲン原子、(2)ニトロ、(3)シアノ、(4)C1−6アルキル、(5)C3−8シクロアルキル、(6)C1−6アルコキシ、(7)C6−10アリール、(8)C7−14アラルキル、(9)C1−7アルカノイルオキシ、(10)C7−11アロイルオキシ、(11)C1−7アルカノイル、(12)C7−11アロイル、(13)アジド、(14)C1−6アルキルチオ、(15)C6−10アリールチオ、(16)C1−6アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル、(17)C1−6アルキルスルホニルオキシ基、(18)C6−10アリールスルホニルオキシ基、(19)トリC1−6アルキルシリル基、(20)保護されたアミノ基等が挙げられる。中でも、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アセチル、ホルミル、カルバモイル、アジド、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ、ベンジルオキシカルボニルアミノ等が好ましく、ハロゲン原子が特に好ましい。また、複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
上記置換基は、さらに上記置換基で置換されていてもよい。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。当該置換基はまたさらにC1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、C7−14アラルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、保護されたアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基等で置換されていてもよい。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
本明細書中、「一方向巻きのらせん構造」とは、右巻き又は左巻きのいずれかに片寄ったらせん構造であればよく、好ましくは完全に右巻き又は左巻きのらせん構造である。「一方向巻きのらせん構造」を有する化合物は、分子中に光学活性な官能基を有さなくても、片寄ったらせん構造のみに起因して光学活性を示す。
本明細書中、「光学活性」とは、光の平面偏光を回転させる性質、すなわち、旋光能を有する状態を意味する。好ましくは、光学的に純粋な状態である。
本明細書中、「キラルアミン化合物」とは、中心性キラリティー、軸性キラリティー又は面性キラリティーを持つ有機アミン化合物を意味し、例えば、中心性キラリティー(不斉中心、すなわち、不斉炭素原子)を持つ有機アミン化合物が挙げられる。
本明細書中、「光学活性キラルアミン化合物」としては、光の平面偏光を回転させる性質、すなわち、旋光能を有する化合物であり、中心性キラリティー、軸性キラリティー又は面性キラリティーを持つ有機アミン化合物が挙げられる。好ましくは、光学的に純粋な不斉炭素原子を1つ有するアミン化合物であり、分子量500以下のものが本発明に適用可能であり、例えば、光学的に純粋な両エナンチオマーが市販品として入手可能な1−フェニルエチルアミン、1−シクロヘキシルエチルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、1−(2−ナフチル)エチルアミン、sec−ブチルアミン、1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、β−メチルフェネチルアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、1−アミノ−2−インダノール、2−アミノ−1−フェニル−1、3−プロパンジオール、2−アミノ−1−プロパノール、ロイシノール、フェニルアラニノール、2−フェニルグリシノール、バリノール、ノルエフェドリン、メチオニノール、1−ベンジル−3−アミノピロリジン、2−(メトキシメチル)ピロリジン、1−メチル−2−(1−ピペリジノメチル)ピロリジン、1−(2−ピロリジノメチル)ピロリジン、1−アセチル−3−ピロリジノール、1−ベンジル−3−ピロリジノール、1−アセチル−3−ピロリジノール、1−メチル−3−ピロリジノール、キニジン、キニン、キンコリン、キンコリジン、シンコニジン、シンコニン、カルボキシ基を保護したアミノ酸等のキラル化合物の光学活性体等が挙げられる。「光学活性キラルアミン化合物」には、光学的に純粋な化合物だけでなく、光学純度の低い化合物も包含される。該低分子化合物は、液体でも固体でもよく、好ましくは、液体である。
本明細書中、「ee」とは、鏡像体過剰率(enantiomeric excess)の略称であり、キラルアミン化合物の光学純度を表す。「ee」は、多い方の鏡像体の物質量から少ない方の鏡像体の物質量を引き、全体の物質量で割った値に100を掛けて算出され、「%ee」で表される。
本明細書中、「光学的に純粋な」とは、99%ee以上の光学純度を示す状態を表す。
本明細書中、「鏡像異性体」とは、光学活性な低分子化合物中の全ての不斉炭素原子の立体配置が異なっている光学的対掌体を意味し、光学活性な低分子化合物と互いに右手と左手との関係にある1対の光学異性体を構成している。具体的には、例えば、光学活性な化合物が(R)−(+)−1−フェニルエチルアミンである場合の鏡像異性体は(S)−(−)−1−フェニルエチルアミンである。
本明細書中、「ラセミ体」とは、キラルアミン化合物の2種類の鏡像異性体(エナンチオマー)が等量存在することにより旋光性を示さなくなった状態の化合物を意味する。
本明細書中、「キラルセンサー」とは、光学活性キラルアミン化合物についてキラリティー及び光学純度を高感度に計測、判別することができる物質(化合物等)を意味する。本明細書中、「キラルセンサー」を利用した計測、判別を行うことを「キラルセンシング」という。
本明細書中、「比色検出」とは、測定物質、または反応生成物を発色物質に変化させ、その発色の度合を適当な波長の可視光線を用いて吸光度により比色定量する方法である。本発明における「比色検出」には、目に見える色の変化を利用した検出方法、蛍光強度の変化を利用した蛍光検出方法、及び紫外・可視吸収スペクトルを利用した検出方法も包含される。
本明細書中、「RGB」とは、色の表現法の一種で、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の三つの原色を混ぜて幅広い色を再現する加法混合の一種である。RGBは三原色の頭文字である。デジタルカメラ等で画像再現に使われるものである。
本明細書中、「非線形応答性」とは、被験(識別)対象となる光学活性キラルアミンの光学純度と、当該キラルアミンが導入されたポリ(ジフェニルアセチレン)の特定吸収領域の吸光度及び/又は蛍光強度の変化が比例関係に無いことを意味する。特定の光学純度領域における吸光度及び/又は蛍光強度の変化量を、線形応答の場合(比例関係にある場合)と比較して大きくすることが可能であるため、キラルセンシングの精度を向上させるための技術として用いられる。
一般に、キラルセンサー分子が非線形応答性を示すか否かについては、分子構造から予測することは極めて困難である。ましてや、溶媒の選択(溶媒の種類や混合比等)により非線形応答性を発現させた報告例は、本発明者らの知る限り皆無である。
(本発明の比色検出型キラルセンサー)
本発明の比色検出型キラルセンサーは、化合物(I)、すなわち、そのポリマー主鎖に一方向巻きのらせん構造を有する下記式(I):
[式中、
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、トリ置換シリル基、トリ置換シロキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基を示し;並びに
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリ(ジフェニルアセチレン)化合物又はその塩、或いはその溶媒和物からなる、比色検出型キラルセンサーである。
化合物(I)の塩とは、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、アミノ酸との塩等が挙げられる。
無機塩基との塩として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
有機塩基との塩として、例えば、メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、グアニジン、ピリジン、ピコリン、コリン、シンコニン、メグルミン等との塩が挙げられる。
アミノ酸との塩として、例えば、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
化合物(I)又はその塩の溶媒和物とは、化合物(I)又はその塩に、溶媒の分子が配位したものであり、水和物も包含される。例えば、化合物(I)またはその塩の水和物、エタノール和物、ジメチルスルホキシド和物等が挙げられる。
以下、化合物(I)の各基について説明する。
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、トリ置換シリル基、トリ置換シロキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基を表す。
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、好ましくは、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、トリアルキルシリル基又はトリアルキルシロキシ基であり、より好ましくは、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、トリC1−6アルキルシリル基又はトリC1−6アルキルシロキシ基であり、中でも、水素原子又はハロゲン原子が特に好ましい。
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、好ましくは、RとR’、RとR’、RとR’及びRとR’が、それぞれ同一の基である。R、R’、R、R’、R、R’R及びR’の全てが同一の基であってもよい。
nは、10以上の整数であり、好ましくは、100以上10000以下の整数である。
化合物(I)としては、以下の化合物が好適である。
[化合物(IA)]
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、トリアルキルシリル基又はトリアルキルシロキシ基であり、且つRとR’、RとR’、RとR’及びRとR’が、それぞれ同一の基であり;並びに
nが、10以上の整数である、化合物(I)。
より好適な化合物(I)は、以下の化合物である。
[化合物(IB)]
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、トリC1−6アルキルシリル基又はトリC1−6アルキルシロキシ基であり、且つRとR’、RとR’、RとR’及びRとR’が、それぞれ同一の基であり;並びに
nが、10以上10000以下の整数である、化合物(I)。
更に好適な化合物(I)は、以下の化合物である。
[化合物(IC)]
、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子又はハロゲン原子であり、且つRとR’、RとR’、RとR’及びRとR’が、それぞれ同一の基であり;並びに
nが、10以上10000以下の整数である、化合物(I)。
化合物(I)の数平均重合度(1分子中に含まれるジフェニルエチレン単位の平均数)は、10以上、好ましくは100以上であり、特に上限はないが、10000以下であることが取り扱いの容易さの点で望ましい。
また、化合物(I)は、同位元素(例えば、H、H(D)、14C、35S等)で標識されていてもよい。
(化合物(I)の合成)
化合物(I)の製造方法としては、特に限定されないが、前記した特許文献3(特開2016−155781号公報)に記載の自体公知の方法またはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
(化合物(I)による光学活性キラルアミン化合物のキラリティーの識別及び光学純度の決定方法)
化合物(I)は、被験(識別)対象である光学活性キラルアミン化合物との縮合(1分子の化合物(I)に対して、2分子の同一の光学純度を有する同一の光学活性キラルアミン化合物が縮合)によりアミド化されると、被験対象が持つ絶対立体配置や光学純度の僅かな差異に応じて、該アミド体を特定の混合溶媒に溶解させた溶液の色調、及び/又は蛍光強度に顕著な変化が観測される。そして、その色調、及び/又は蛍光強度の顕著な変化をカメラやスマートフォン又は目視により観測することにより、識別対象である光学活性キラルアミン化合物の絶対立体配置や光学純度を感度良く正確に識別及び決定することが可能である。
本発明の被験(識別)対象である光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度の決定方法は、以下の工程を含む。
(工程1)化合物(I)と、光学純度が異なる2種以上の既知の光学活性キラルアミン化合物のそれぞれを縮合させてアミド化された2種以上の化合物(例、各光学純度領域(例、90%ee〜100%eeの範囲)において光学純度を2%ee毎に変化させたキラルアミン化合物が縮合した化合物)を得る工程、
(工程2)前記アミド化された2種以上の化合物を、比誘電率が10未満の有機溶媒である第一の溶媒及び比誘電率が15以上40以下の有機溶媒である第二の溶媒からなる混合溶媒にそれぞれ溶解させた溶液を標準サンプルとして調製する工程、
(工程2’)前記標準サンプルとして調製された溶液の混合溶媒を、混合比の異なる2種以上の混合溶媒から選択する工程(すなわち、目的の光学純度領域において非線形応答性を示す混合溶媒を選択する工程)、
(工程2’’)前記標準サンプルの各溶液の吸光度及び/又は蛍光強度、あるいは写真画像のRGB解析結果から検量線を作成する工程、
(工程3)化合物(I)と、キラリティー及び光学純度が未知の被験対象の光学活性キラルアミン化合物を縮合させてアミド化された化合物を、前記混合溶媒(すなわち、目的の光学純度領域において非線形応答性を示す混合溶媒)に溶解させた溶液を調製する工程、
(工程4)前記アミド化された化合物の溶液の色調及び/又は蛍光強度を、目視又は写真画像のRGB解析により前記標準サンプル(標準サンプルの吸光度及び/又は蛍光強度、あるいは写真画像のRGB解析結果から作成された検量線)と比較観測することにより、前記被験対象の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を決定する工程。
キラリティーの識別が可能な光学活性キラルアミンとしては、特に限定されないが、好ましくは、第1級アミン類(例、1−(1−ナフチル)エチルアミン、1−フェニルエチルアミン、2−ブチルアミン、1−シクロヘキシルエチルアミン等)、アミノアルコール類(例、2−フェニルグリシノール、フェニルアラニノール、2−アミノプロパノール等)、アミノ酸誘導体(例、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン等のアミノ酸のt−ブチルエステル等)等の光学活性体が挙げられ、中でも、第1級アミノ基を有する化合物が特に好適である。
化合物(I)と識別対象である光学活性キラルアミン化合物との縮合体である化合物(II)は、前記した特許文献3(特開2016−155781号公報)に記載の自体公知の方法またはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
化合物(II)を、比誘電率が10未満の有機溶媒である第一の溶媒及び比誘電率が15以上40以下の有機溶媒である第二の溶媒からなる混合溶媒に溶解させ、化合物(II)の溶液を調製すると、化合物(II)中のキラルアミノ基のキラリティーや光学純度の違いにより、溶液の色調、及び/又は蛍光強度に変化が観測される。そして、本発明においては、驚くべきことに、溶液を調製する際に使用する混合溶媒を構成する第一の溶媒と第二の溶媒の選択及びそれらの混合比を調整することにより、識別対象の光学活性キラルアミン化合物の光学純度の高低に依らず、いずれの光学純度領域においても、紫外・可視吸収及び蛍光強度について非線形応答性を示すよう調整することが可能であることを見出した。これにより、識別対象の光学活性キラルアミン化合物のキラリティーの識別及び光学純度を、後述する実施例に記載するように、安価なカメラやスマートフォンにより撮影された写真の画像解析(RGB解析処理)や目視により観察するだけで簡便且つ高精度に決定することが可能である。具体的には、後述する実施例5に記載するように、2種以上の異なる鏡像異性体過剰率(ee)を有する識別対象の光学活性キラルアミン化合物(既知サンプル)を特定濃度含有する標準サンプルを、各ee毎に作成し、各サンプルを写真撮影した写真の画像解析(RGB解析)処理を行い、図8のような検量線を作成することにより、光学純度が未知の識別対象の光学純度を精度よく決定することが可能である。
また、本発明の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度の決定方法には、紫外・可視吸収スペクトルのデータと組み合わせて、光学活性キラルアミン化合物の光学純度を決定する方法も包含される。
第一の溶媒としては、比誘電率が10未満の有機溶媒が挙げられ、具体的には、例えば、クロロホルム(4.89)、ジクロロメタン(9.02)、1,1,2,2−テトラクロロエタン(8.42)、テトラヒドロフラン(7.47)、1、4-ジオキサン(2.10)等の低極性有機溶媒が好適である。中でも、特に好ましくは、1,1,2,2−テトラクロロエタン又はテトラヒドロフランである。括弧内の数値は、各溶媒の25℃における比誘電率(数値は、奥山格,有機化学反応と溶媒,丸善 (1998)に記載のものを掲載)を示す。
第二の溶媒としては、比誘電率が15以上40以下の有機溶媒が挙げられ、具体的には、例えば、アセトン(21.4)、メチルエチルケトン(18.9)、N,N−ジメチルホルムアミド(37.1)、N,N−ジメチルアセトアミド(38.3)等の高極性有機溶媒が好適である。中でも、特に好ましくは、アセトン又はN,N−ジメチルホルムアミドである。括弧内の数値は、各溶媒の25℃における比誘電率(数値は、奥山格,有機化学反応と溶媒,丸善 (1998)に記載のものを掲載)を示す。
第二の溶媒として、比誘電率が40よりも大きい有機溶媒(例、ジメチルスルホキシド(25℃における比誘電率:46.7(奥山格,有機化学反応と溶媒,丸善 (1998)に記載のものを掲載)))を用いた場合には、第一の溶媒への少量の添加によっても、非線形応答性を示す光学純度領域(精度よく測定可能な領域)が大きくシフトするため、測定誤差が生じる可能性がある(実施例8参照)。これに対し、比誘電率が15以上40以下の有機溶媒を用いた場合には、非線形応答性を示す光学純度領域のシフトは穏やかであるため、測定誤差が生じにくいという利点を有する。
本発明の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度の決定方法は、化合物(I)と光学活性キラルアミン(識別対象)とが共有結合により強固に結合しているので、従来公知の分子認識(非共有結合的相互作用)を利用したキラルセンサーと比較して、化学平衡等の影響を考慮する必要がないので、測定条件(濃度や温度等)に依存せず、再現性良く、識別対象のキラリティーを識別することができる。
また、本発明の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度の決定方法によれば、使用するキラルセンサーである化合物(I)が高価な光学活性な官能基を一切導入する必要がなく、簡便且つ安価に主鎖に一方向巻きのらせんのキラリティーを導入することができるものであるという利点を有しており、また、溶液を調製する際に使用する混合溶媒を構成する第一の溶媒と第二の溶媒の選択及びそれらの混合比を調整することにより、識別対象の光学活性キラルアミン化合物の光学純度の高低に依らず、紫外・可視吸収及び蛍光強度について非線形応答性を示すように自在に制御することが可能であるという利点も有する。それ故、通常、目視によっては識別が困難な光学純度の決定を、混合溶媒を構成する第一の溶媒と第二の溶媒の選択及びそれらの混合比を変化させるという極めて簡便な操作により精度良く決定することができるという点で、高価且つ特殊な測定装置を必要としない、実用的なキラリティーセンシング手法である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらより何ら限定されるものではない。
平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(日本分光製高速液体クロマトグラフィーポンプ PU−2080、日本分光製紫外可視検出器 UV−970、日本分光製カラムオーブン CO−1560、Shodex製カラム KF−805L)によりポリスチレン換算で算出した。
円二色性(CD)測定は日本分光製円二色性分散計 J−725、紫外可視吸収測定は日本分光製紫外可視分光光度計 V−570、蛍光測定は、日本分光製分光蛍光光度計 FP−6300を用いて行った。
写真撮影は Apple社製iPhone 6Sを用いた。撮影した画像の RGB解析はアプリケーションのPixel Pickerを用いて行った。
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約25℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
実施例1
プロット作成のための分析サンプル(化合物(II−1−Y)の合成
(1)化合物(I−1):
は、特許文献3(特開2016−155781号公報)に記載の方法に従い合成し、前駆体であるジヘプチルエステル体のゲル浸透クロマトグラフィーの測定結果が数平均分子量M=1.25×10、分散度M/M=1.85 (ポリスチレン換算)であるものを用いた。化合物(I−1)の円二色性スペクトル測定を行った際に、光学純度を示す395nmのΔε値が19〜21の範囲のものを用いた。
(2)化合物(II−1−Y)の合成
化合物(I−1)(3.2mg,12μmol)を、THF/HO=4/1 (v/v)に溶解させた溶液A、eeを調整した1−フェニルエチルアミン(6.3μL,49μmol)をTHF/HO=4/1(v/v)に溶解させた溶液B、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)(13.6mg,49μmol)をTHF/HO=2/1(v/v)に溶解させた溶液Cを調製した。溶液A、B及びCを反応用のバイアル管内で室温条件下混合し、一時間撹拌を行った。反応終了後、THFを減圧留去し、バイアル管内に残留したHOを一晩凍結乾燥することにより除去した。その後、THF(1.2mL)を加えて生成ポリマーを溶解させメンブレン濾過を行うことにより、析出したDMT−MMを除去した。得られた濾液をバイアル管に一定量ずつ分けて加え、真空乾燥を行うことで、各バイアル管に1μmolの化合物(II−1)を得た。さらに、eeの異なる1−フェニルエチルアミン(S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R90、R92、R94、R96、R98、R100(%ee))を用いて、同様の操作を行うことにより、異なるeeの1−フェニルエチルアミンを導入した化合物(II−1−Y)をそれぞれ得た。
その他のキラルアミン(1−シクロヘキシルエチルアミン及びアラニンtert−ブチルエステル)についても同様の操作により異なるeeのキラルアミンが導入された化合物(II−2−Y)及び化合物(II−3−Y)をそれぞれ合成した。
実施例2
化合物(II−1−Y)におけるテトラヒドロフラン(第一の溶媒)/N,N−ジメチルホルムアミド(第二の溶媒)系での色調及び蛍光強度変化の非線形応答性の制御
実施例1で得られた化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100(%ee))を、テトラヒドロフラン(第一の溶媒)/N,N−ジメチルホルムアミド(第二の溶媒)の90:10混合溶媒に溶解させた溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際のeeの違いによる吸収強度の変化及び350nmで励起した際の蛍光スペクトルの変化を図1のaおよびbに示した。さらに、混合溶媒比を100:0、90:10及び85:15に変えた際の吸収スペクトルの540nmの吸収強度変化をプロットしたものを図2のaに、蛍光強度の最大値をプロットしたものをbに示した。これらの結果から芳香環を含む脂肪族第一級アミンである1−フェニルエチルアミンの鏡像体過剰率に対する非線形応答性は吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルのいずれにおいても、テトラヒドロフランとジメチルホルムアミドの混合比を調節することにより変化させることが可能であることが分かった。また図3のa〜fに示されるように、これらの非線形応答性が大きな領域での溶液の色の変化は目視によっても容易に認識可能であることが分かった。
実施例3
化合物(II−1−Y)におけるテトラクロロエタン(第一の溶媒)/アセトン(第二の溶媒)系での色調変化の非線形応答性の制御
実施例1で得られた化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラクロロエタン(第一の溶媒)/アセトン(第二の溶媒)の100:0、及び80:20の混合溶媒に溶解させた各溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の520nmの吸収強度変化をプロットしたものを図4に示した。これらの結果から1−フェニルエチルアミンの鏡像体過剰率に対する非線形応答性は第一の溶媒をテトラヒドロフランからテトラクロロエタンに代えた場合でも同様に第二の溶媒との組み合わせにより制御可能であることが分かった。
実施例4
化合物(II−1−Y)におけるテトラヒドロフラン(第一の溶媒)/アセトン(第二の溶媒)系での色調変化の非線形応答性の制御
実施例1で得られた化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン(第一の溶媒)/アセトン(第二の溶媒)の100:0、80:20、60:40及び40:60の混合溶媒に溶解させた各溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の540nmの吸収強度の変化をプロットしたものを図5に示した。これらの結果から1−フェニルエチルアミンの鏡像体過剰率に対する非線形応答性は第二の溶媒をN,N−ジメチルホルムアミドからアセトンに代えた場合でも同様に第一の溶媒との組み合わせにより制御可能であることが分かった。
実施例5
化合物(II−1−Y)の高光学純度領域における鏡像体過剰率の比色識別
実施例1で得られた化合物(II−1−Y)(Y=R90、R92、R94、R96、R98、R100)を、テトラヒドロフラン(第一の溶媒)/アセトン(第二の溶媒)の30:70混合溶媒に溶解させた各溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)(標準サンプル)の吸収スペクトルを測定した際の鏡像体過剰率の違いによる吸収強度の変化を図6に示した。図6の結果によれば、1−フェニルエチルアミンの高光学純度領域(90〜100%ee)における鏡像体過剰率の違いについても第一の溶媒及び第二の溶媒を適切に選択することで識別可能であることが明らかとなった。また、図7に示すように、これら2%ee毎の溶液色の変化は目視によっても容易に認識可能であることが分かった。さらに、図8に示されるように、人間の眼では認識することが難しい色調のわずかな変化に関しても、市販のApple社製iPhone 6Sのカメラ機能を用いた画像撮影を行い、得られた画像をiPhone内蔵の画像解析アプリケーションPixel Pickerを用いたRGB解析処理によってRed(R)、Green(G)、Blue(B)の3成分に分割し、前記標準サンプルのRGBプロット(図8)を作成したところ、特にRとG成分に関しては高光学純度領域においても大きく強度が変化したことから、スマートフォン等を用いることで目視による識別が困難な色調の変化を基にした場合にも鏡像体過剰率の差異を識別することが可能であることが確認された。
上記のような標準サンプルやRGB解析処理により作成された検量線と比較観測することにより、光学純度が未知な1−フェニルエチルアミンのキラリティー及び光学純度を正確に決定することができる。
実施例6
化合物(II−2−Y)におけるテトラヒドロフラン(第一の溶媒)/アセトン(第二の溶媒)系での色調変化の非線形応答性の制御
実施例1で得られた化合物(II−2−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、クロロホルム(第一の溶媒)/アセトン(第二の溶媒)の100:0及び95:5の混合溶媒に溶解させた各溶液(標準サンプル)(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の520nmの吸収強度の変化をプロットしたものを図9に示した。図9の結果によれば、芳香環を含まない脂肪族第一級アミンである1−シクロヘキシルエチルアミンの鏡像体過剰率に対する非線形応答性は、1−フェニルエチルアミンの場合と同様に第一の溶媒と第二の溶媒の混合比を調節することにより、制御可能であることが分かった。
この結果から、1−フェニルエチルアミンの場合と同様に、光学純度が未知な1−シクロヘキシルエチルアミンのキラリティー及び光学純度を正確に決定することができる。
実施例7
化合物(II−3−Y)におけるテトラヒドロフラン(第一の溶媒)/N,N−ジメチルホルムアミド(第二の溶媒)系での色調変化の非線形応答性の制御
実施例1で得られた化合物(II−3−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン(第一の溶媒)/N,N−ジメチルホルムアミド(第二の溶媒)の100:0及び90:10の混合溶媒に溶解させた各溶液(標準サンプル)(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の560nmの吸収強度の変化をプロットしたものを図10に示した。図10の結果によれば、アミノ酸誘導体であるアラニンtert−ブチルエステルの鏡像体過剰率に対する非線形応答性は1−フェニルエチルアミンの場合と同様に第一の溶媒と第二の溶媒の混合比を調節することにより、制御可能であることが分かった。
この結果から、1−フェニルエチルアミンの場合と同様に、光学純度が未知なアラニンtert−ブチルエステルのキラリティー及び光学純度を正確に決定することができる。
実施例8
化合物(II−1−Y)におけるテトラヒドロフラン(第一の溶媒)/ジメチルスルホキシド(第二の溶媒)系での色調変化の非線形応答性の制御
実施例1で得られた化合物(II−1−Y)(Y=S100、S80、S60、S40、S20、S0、R20、R40、R60、R80、R100)を、テトラヒドロフラン(第一の溶媒)/ジメチルスルホキシド(第二の溶媒)の100:0、96.5:3.5及び95:5の混合溶媒に溶解させた各溶液(ポリマー濃度:1.0×10−3M)の吸収スペクトルを測定した際の550nmの吸収強度の変化をプロットしたものを図11に示した。図11の結果によれば、フェニルエチルアミンの鏡像体過剰率に対する非線形応答性は第二の溶媒を比誘電率が15以上40以下のN,N−ジメチルホルムアミド(38.3)やアセトン(21.4)から比誘電率が40よりも大きいジメチルスルホキシド(46.7)に代えた場合には、実施例2〜4の場合と異なり、第二の溶媒の添加量の微量の変化により非線形応答性を示す光学純度領域(精度良く測定可能な領域)が大きくシフトする様子が確認された。それ故、第二の溶媒として比誘電率が40よりも大きい溶媒を使用する場合には、第二の溶媒の秤量誤差などに基づく測定誤差の影響が無視できなくなるため、精度の高い非線形応答性の制御が困難になる可能性があることが分かった。
以上の結果は、高価且つ特殊な分析機器を用いなければ正確なキラリティーの識別や光学純度の決定が通常難しい、光学活性キラルアミンのキラリティー及び光学純度を、市販のデジタルカメラやスマートフォンにより撮影された写真画像や目視によっても簡便且つ正確に識別及び決定することが可能であることを示すものである。
光学活性キラルアミン化合物と化合物(I)とを縮合させてアミド化して得られる化合物(II)を、比誘電率が10未満の有機溶媒である第一の溶媒及び比誘電率が15以上40以下の有機溶媒である第二の溶媒からなる混合溶媒に溶解させてなる溶液は、第一の溶媒と第二の溶媒の混合比により、その色調及び蛍光における非線形応答性が大きい領域を光学純度領域に自在にシフトさせることができるので、需要は高いが、これまで目視や蛍光スペクトルによる光学純度の決定が困難であった高光学純度領域(90〜100%ee)においても非常に高い精度で光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を決定することが可能である。また、本発明によれば、様々な種類の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を、高価且つ特殊な測定機器を使用することなく、安価なカメラやスマートフォンによる写真撮影後の画像解析(RGB解析により作成される検量線)や目視によって、光学純度既知の標準サンプル溶液の色調等と比較観測するだけで、鏡像異性体過剰率の差異を精度良く識別及び決定することが可能な、簡便且つ実用的なキラリティーセンシングの手法を提供することが可能である。

Claims (8)

  1. 一方向巻きのらせん構造を有する式(I):

    [式中、
    、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、トリ置換シリル基、トリ置換シロキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基を示し;並びに
    nは、10以上の整数を示す。]
    で表されるポリ(ジフェニルアセチレン)化合物又はその塩と、光学純度が異なる2種以上の既知の光学活性キラルアミン化合物をそれぞれ縮合させてアミド化された2種以上の化合物を得る工程、
    前記アミド化された2種以上の化合物を、比誘電率が10未満の有機溶媒である第一の溶媒及び比誘電率が15以上40以下の有機溶媒である第二の溶媒からなる混合溶媒にそれぞれ溶解させた溶液を標準サンプルとして調製する工程、前記式(I)の化合物又はその塩と、キラリティー及び光学純度が未知の被験対象の光学活性キラルアミン化合物を縮合させてアミド化された化合物を、前記混合溶媒に溶解させた溶液を調製する工程、並びに前記アミド化された化合物の溶液の色調及び/又は蛍光強度を、前記標準サンプルと比較観測することにより、前記被験対象の光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度を決定する工程を含むことを特徴とする、光学活性キラルアミン化合物のキラリティー及び光学純度の決定方法。
  2. 前記標準サンプルとして調製された溶液の混合溶媒を、混合比の異なる2種以上の混合溶媒から選択する工程を含む、請求項1記載の方法。
  3. 第一の溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンであり、且つ第二の溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 第一の溶媒が、1,1,2,2−テトラクロロエタン又はテトラヒドロフランであり、且つ第二の溶媒が、アセトン又はN,N−ジメチルホルムアミドである、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 溶液の色調及び/又は蛍光強度の変化を、目視又は写真画像により比較観測することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 一方向巻きのらせん構造を有する式(II):

    [式中、
    、R’、R、R’、R、R’R及びR’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、トリ置換シリル基、トリ置換シロキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基を示し;
    RNHは、キラルアミノ基を示し;並びに
    nは、10以上の整数を示す。]
    で表されるポリ(ジフェニルアセチレン)化合物又はその塩の、比誘電率が10未満の有機溶媒である第一の溶媒及び比誘電率が15以上40以下の有機溶媒である第二の溶媒からなる混合溶媒溶液。
  7. 第一の溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンであり、且つ第二の溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドである、請求項6記載の溶液。
  8. 第一の溶媒が、1,1,2,2−テトラクロロエタン又はテトラヒドロフランであり、且つ第二の溶媒が、アセトン又はN,N−ジメチルホルムアミドである、請求項6記載の溶液。
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