JP2019044072A - インクジェット記録ヘッド用クリーニング液 - Google Patents
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Abstract
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(式中、R1,R2は水素、メチル基又はエチル基を表し、R1とR2の炭素数の和が2以下であって、R1,R2が共にメチル基の場合を除く。)
潮解性とは、物質が空気中の水分を吸収して溶解する性質をいう。本明細書中における潮解性付与剤は、記録ヘッドのノズル面に付着したクリーニング液とインクの混合物に潮解性を付与して乾燥を防止する機能を有するものである。本発明のクリーニング液には潮解性付与剤として、下記の化学式(1)で表される化合物が配合される。
(式中、R1,R2は水素、メチル基又はエチル基を表し、R1とR2の炭素数の和が2以下であって、R1,R2が共にメチル基の場合を除く。)
本発明のクリーニング液には、有機溶剤として2−ピロリドンが配合される。2−ピロリドンは5員環ラクタム構造を持つ有機化合物であり、水や多くの有機溶媒と互いに混合可能であるため工業用溶媒として広く用いられている。2−ピロリドンはインクの溶解性に重要な物質であり、2−ピロリドンの配合量が少なすぎると、インクが十分に溶解されず拭き取り性が低下するおそれがある。一方、2−ピロリドンの配合量が多すぎると、インクとの混和性(クリーニング液に対する顔料分散体の分散性)が低下し、却って溶解性が低下するため拭き取り性が低下するおそれがある。2−ピロリドンの配合量は、クリーニング液全体に対して5質量%以上20質量%以下とする。
水は、有機溶剤と共に潮解性付与剤を溶解する溶媒としての機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される水としては、精製水やイオン交換水が挙げられる。
界面活性剤は、記録ヘッドとワイパーとの潤滑性を高めるために配合される。本発明のクリーニング液に配合される界面活性剤としては、ベタイン構造を有する両性界面活性剤が好ましい。ベタイン構造を有する両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン構造、オクタン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアミドプロピルベタイン構造を有するものが挙げられる。特に、脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する両性界面活性剤は、潤滑効果が高くノズル面に形成される撥水膜の削れを抑制して撥水性を長期間維持できるため好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する両性界面活性剤の中でも、アルキル鎖長が長く潤滑性の高いヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。
水性インクに配合されるバインダー樹脂としては、分子内に酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が多く用いられる。そのため、インクはアルカリ性に維持しておく必要があり、クリーニング液もインクと同様にアルカリ性のものを使用する必要がある。塩基性化合物は、クリーニング液のpHをアルカリ性に維持する機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される塩基性化合物としては特に限定されず、無機または有機の塩基性化合物が配合される。無機塩基性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。有機塩基性化合物としては、低分子量の1級〜3級アミン化合物が挙げられる。これらの中でも、強アルカリであって微量でpHを調整可能な水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましい。
多価アルコールは、2以上の水酸基を有する化合物であり、クリーニング液の保湿性性を高めてノズル面の乾燥を抑制する機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される多価アルコールとしては、1,2−オクタンジオールや1,3−プロパンジオール等のジオール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類やグリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
[参考例]
表1に示す顔料(ピグメントブルー15:3)、分散樹脂(スチレンアクリル樹脂)、溶剤(1,2−オクタンジオール)および水を、湿式分散機であるダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製)に投入し、顔料分散体を得た。なお、ダイノミルに代えて、ナノグレンミル(浅田鉄鋼社製)やMSCミル(三井鉱山社製)等の他の湿式分散機も使用可能である。
潮解性付与剤として、R1、R2の異なる式(1)の化合物、界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンCBH、第一工業製薬社製)、多価アルコールとして1,3−プロパンジオール、有機溶剤として2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール30、KHネオケム社製)を表3に示す配合割合(質量%)で配合し、イオン交換水を加えて100質量%としてクリーニング液(本発明1〜4、比較例1)を得た。
ノズル数が1列で166個、1ヘッド(4列)当たりのノズル数が664個のピエゾ型インクジェット記録ヘッドを作製した。そして、同一列内のノズル間ピッチを150dpi、且つ、隣り合う列を1/4ピッチずつずらして配置することで全体として解像度を600dpiとした。
顔料インク/クリーニング液=1/300で希釈した溶液を調製し、顔料分散体の分散粒径(初期分散粒径)を測定した。この溶液を60℃で1時間放置し、顔料分散体の分散粒径(60℃分散粒径)を測定した。分散粒径比(=初期分散粒径/60℃分散粒径)が1.05以下であれば拭き取り性が良好である。インク拭き取り性の評価結果および分散粒径比を表4に示す。
潮解性付与剤として、R1、R2が共にメチル基である式(1)の化合物(1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオン、ロンザジャパン社製)、界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンCBH、第一工業製薬社製)、多価アルコールとして1,3−プロパンジオール、塩基性化合物として1N水酸化ナトリウム水溶液、有機溶剤として2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール30、KHネオケム社製)を表5に示す配合割合(質量%)で配合し、イオン交換水を加えて100質量%としてクリーニング液(本発明5〜7、比較例2、3)を得た。
実施例1と同様の方法および評価基準によりインク拭き取り性、クリーニング液に対するインク分散性を評価した。インク拭き取り性の評価結果および分散粒径比を表6に示す。
潮解性付与剤として、R1、R2が共にメチル基である式(1)の化合物(1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオン、ロンザジャパン社製)、界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンCBH、第一工業製薬社製)、多価アルコールとして1,3−プロパンジオール、塩基性化合物として1N水酸化ナトリウム水溶液、有機溶剤として2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール30、KHネオケム社製)を表7に示す配合割合(質量%)で配合し、イオン交換水を加えて100質量%としてクリーニング液(本発明8〜10、比較例4、5)を得た。
実施例1と同様の方法および評価基準によりインク拭き取り性、クリーニング液に対するインク分散性を評価した。インク拭き取り性の評価結果および分散粒径比を表8に示す。
17a〜17c 記録ヘッド
18 ヘッド部
18a インク吐出ノズル
22 インク
35 ワイパー
60 クリーニング液供給部材
60a クリーニング液供給口
70 供給路
F1 インク吐出面(ノズル面)
F2 クリーニング液供給面
Ra〜Rd ノズル領域
Claims (7)
- 水性インクを吐出するインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル面に供給され、前記ノズル面をクリーニングするインクジェット記録ヘッド用クリーニング液であって、
潮解性付与剤として以下の式(1)で表される化合物を1質量%以上5質量%以下と、有機溶剤として2−ピロリドンを5質量%以上20質量%以下と、水とを含有するクリーニング液。
(式中、R1,R2は水素、メチル基又はエチル基を表し、R1とR2の炭素数の和が2以下であって、R1,R2が共にメチル基の場合を除く。) - ベタイン構造を有する両性界面活性剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング液。
- 前記両性界面活性剤が、脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有することを特徴とする請求項2に記載のクリーニング液。
- 塩基性化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクリーニング液。
- 前記塩基性化合物が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする請求項4に記載のクリーニング液。
- pHが8.5〜10であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のクリーニング液。
- 1種以上の多価アルコールをさらに含有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のクリーニング液。
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WO2021235339A1 (ja) * | 2020-05-18 | 2021-11-25 | ブラザー工業株式会社 | クリーニング液、クリーニング方法、及び記録装置 |
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