JP2019044016A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアリーレンスルフィド(以下、PAS)の原料を脱水する際、反応液の発泡と不溶性生成物の副生とを抑制することができるPASの製造方法を提供する
【解決手段】本発明に係るPASの製造方法は、有機極性溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合させてPASを製造する方法であって、前記方法は、硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上である硫黄源水溶液に有機極性溶媒を添加して、硫黄源含有溶液を得る有機極性溶媒添加工程と、前記硫黄源含有溶液からの脱水を行う脱水工程と、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド(以下、「PPS」とも称する。)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、「PAS」とも称する。)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度、電気特性、寸法安定性等に優れたエンジニアリングプラスチックである。PASは、押出成形、射出成形、圧縮成形等の一般的溶融加工法により、各種成形品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であるため、電気機器、電子機器、自動車機器、包装材料等の広範な技術分野において汎用されている。
PAS製造の生産性を向上させるために数々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、脱水工程中の気相温度が特定の範囲の温度になるように蒸気を冷却して、芳香族ポリハロゲン化合物を液相へ還流する方法が開示されている。この方法により、芳香族ポリハロゲン化合物の反応容器外部への流出が抑制され、かつ脱水工程の時間が短縮されることで生産性を向上させることができる。
特開2008−248154号公報
本発明者らの検討によれば、PASの原料を脱水する際、反応溶媒である有機極性溶媒から生成される化合物により反応液が発泡することが観測されている。脱水時に反応液が発泡すると、泡が反応装置のノズルに浸入し、侵入した反応液が固化することでノズルの閉塞が起こる場合がある。一方、本発明者らの検討によれば、発泡の原因である有機極性溶媒の非存在下でPASの原料の脱水を行うと、有機極性溶媒も水にも溶解しない生成物が副生する場合がある。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、PASの原料を脱水する際、反応液の発泡と不溶性生成物の副生とを抑制することができるPASの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上である硫黄源水溶液に有機極性溶媒を添加して得られる硫黄源含有溶液からの脱水を行うことにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係るPASの製造方法は、
有機極性溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合させてPASを製造する方法であって、
前記方法は、
硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上である硫黄源水溶液に有機極性溶媒を添加して、硫黄源含有溶液を得る有機極性溶媒添加工程と、
前記硫黄源含有溶液からの脱水を行う脱水工程と、
を含む。
本発明に係るPASの製造方法は、更に、有機極性溶媒添加工程前に、
前記硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が前記硫黄源水溶液の含水量よりも多い脱水前硫黄源水溶液からの脱水を行って、前記硫黄源水溶液を得る予備脱水工程を含むことが好ましい。
本発明に係るPASの製造方法において、有機極性溶媒添加工程における前記有機極性溶媒の添加量は、前記硫黄源1モルに対し1モル以上であることが好ましい。
本発明に係るPASの製造方法において、前記硫黄源水溶液の含水量は、前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上8.0モル以下であることが好ましい。
本発明に係るPASの製造方法において、脱水工程終了時における前記硫黄源含有溶液の含水量は、前記硫黄源1モルに対し1.2モル以上2.1モル未満であることが好ましい。
本発明によれば、PASの原料を脱水する際、反応液の発泡と不溶性生成物の副生とを抑制することができるPASの製造方法を提供することができる。結果として、脱水工程初期の泡立ちを抑制して、ノズルの閉塞を防止し、かつ、不溶性生成物の副生を抑制しつつ、PASを製造することができる。
なお、本発明によれば、有機極性溶媒添加工程に用いられる硫黄源水溶液を調製する際には、脱水により蒸発する物質は水しかないため、精留の必要がなく、精製系の負荷の低減が期待される。また、上記理由で、精留の必要がなく、還流を行わないため、従来と同じ留出速度でも短時間で脱水が済む上に、還流に必要なエネルギーを削減できることが期待される。更に、本発明によれば、脱水工程初期の泡立ちを抑制することができることから、脱水工程初期から泡立ちが発生する従来の方法と比較して、反応缶における最大液レベルを低くすることができるため、反応缶の容量を小さくできることが期待される。
本発明に係るPASの製造方法の一実施形態について以下に説明する。本実施形態におけるPASの製造方法は、必須の工程として、有機極性溶媒添加工程と、脱水工程とを含む。本実施形態におけるPASの製造方法は、更に、有機極性溶媒添加工程前に、予備脱水工程を含んでもよい。また、通常、脱水工程の後に重合工程を含み、所望により、仕込み工程、冷却工程、後処理工程等を含むことができる。以下、本発明に用いられる各材料について詳細に説明するとともに、各工程について詳細に説明する。
(有機極性溶媒、硫黄源、ジハロ芳香族化合物、及びアルカリ金属水酸化物)
有機極性溶媒、硫黄源、ジハロ芳香族化合物、及びアルカリ金属水酸化物としては、PASの製造において通常用いられるものを用いることができる。有機極性溶媒、硫黄源、ジハロ芳香族化合物、及びアルカリ金属水酸化物の各々は、単独で用いてもよいし、PASの製造が可能である組み合わせであれば、2種類以上を混合して用いてもよい。
有機極性溶媒としては、例えば、有機アミド溶媒;有機硫黄化合物からなる非プロトン性有機極性溶媒;環式有機リン化合物からなる非プロトン性有機極性溶媒が挙げられる。有機アミド溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム化合物;N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」とも称する。)、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン化合物又はN−シクロアルキルピロリドン化合物;1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素化合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキルリン酸トリアミド化合物等が挙げられる。有機硫黄化合物からなる非プロトン性有機極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン等が挙げられる。環式有機リン化合物からなる非プロトン性有機極性溶媒としては、1−メチル−1−オキソホスホラン等が挙げられる。中でも、入手性、取り扱い性等の点で、有機アミド溶媒が好ましく、N−アルキルピロリドン化合物、N−シクロアルキルピロリドン化合物、N−アルキルカプロラクタム化合物、及びN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物がより好ましく、NMP、N−メチル−ε−カプロラクタム、及び1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンが更により好ましく、NMPが特に好ましい。
硫黄源としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、硫化水素を挙げることができ、アルカリ金属硫化物及びアルカリ金属水硫化物であることが好ましい。硫黄源は、例えば、水性スラリーや水溶液の状態で扱うことができ、計量性、搬送性等のハンドリング性の観点から、水溶液の状態であることが好ましい。アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムが挙げられる。アルカリ金属水硫化物としては、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムが挙げられる。
ジハロ芳香族化合物としては、o−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ−ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシド、ジハロジフェニルケトン等が挙げられ、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素の各原子を指し、ジハロ芳香族化合物における2個のハロゲン原子は、同じでも異なっていてもよい。中でも、入手性、反応性等の点で、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、及びこれら両者の混合物が好ましく、p−ジハロベンゼンがより好ましく、p−ジクロロベンゼン(以下、「pDCB」とも称する。)が特に好ましい。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムが挙げられる。
(予備脱水工程)
予備脱水工程は、硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が後述の有機極性溶媒添加工程における硫黄源水溶液の含水量よりも多い脱水前硫黄源水溶液からの脱水を行って、前記硫黄源水溶液を得る工程である。前記硫黄源水溶液は、有機極性溶媒添加工程に関して後述する通り、硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上である。予備脱水工程により、前記脱水前硫黄源水溶液を含む系内から、水を含む留出物が、系外に排出される。なお、前記硫黄源水溶液及び前記脱水前硫黄源水溶液は、アルカリ金属水酸化物を含んでもよい。
前記硫黄源水溶液の含水量とは、前記硫黄源水溶液中の硫黄源1モルに対する、前記硫黄源水溶液中の水のモル数をいう。また、前記脱水前硫黄源水溶液の含水量とは、前記脱水前硫黄源水溶液中の硫黄源1モルに対する、前記脱水前硫黄源水溶液中の水のモル数をいう。ここで、含水量の決定に際しては、前記硫黄源水溶液又は前記脱水前硫黄源水溶液の調製時又は調製後の化学反応全般に伴う水の増減を考慮し、但し、有機極性溶媒の化学反応に伴う水の増減(例えば、硫化ナトリウムと水との反応により水硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムとが生成し、生成した水酸化ナトリウムとNMPとの反応によりNMPが開環する一連の反応における水の消費)は考慮しない。
硫黄源とジハロ芳香族化合物との重合反応は、重合反応系に存在する水分量によって促進又は阻害される等の影響を受ける。したがって、上記水分量が重合反応を阻害しないように、重合の前に脱水処理を行うことにより、重合反応系内の水分量を減らすことが好ましい。
予備脱水工程では、不活性ガス雰囲気下での加熱により脱水を行うことが好ましい。予備脱水工程で脱水されるべき水分とは、脱水前硫黄源水溶液を調製するために仕込んだ水、脱水前硫黄源水溶液を調製するために仕込んだ水以外の各原料が含有する水、水性混合物の水媒体、各原料間の反応により副生する水等である。
予備脱水工程における加熱温度は、300℃以下であれば特に限定されず、好ましくは100〜250℃である。加熱時間は、15分〜24時間であることが好ましく、30分〜10時間であることがより好ましい。
予備脱水工程では、得られる硫黄源水溶液の含水量が前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上である限り、脱水の終期は特に限定されず、例えば、得られる硫黄源水溶液の含水量が前記硫黄源1モルに対し、好ましくは2.1モル以上8.0モル以下、より好ましくは2.1モル以上6.3モル以下、更により好ましくは2.1モル以上2.5モル以下になるまで脱水される。上記含水量が前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上であると、不溶性生成物の副生を効果的に抑制することができる。上記含水量が前記硫黄源1モルに対し8.0モル以下であると、反応液が発泡する原因となる有機極性溶媒を添加するタイミングを十分に遅くすることができるため、後述の脱水工程において反応液の発泡が抑制されやすい。
(有機極性溶媒添加工程)
有機極性溶媒添加工程は、硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上である硫黄源水溶液に有機極性溶媒を添加して、硫黄源含有溶液を得る工程である。有機極性溶媒添加工程で用いる硫黄源水溶液としては、硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上である限り特に限定されず、例えば、予備脱水工程で得た硫黄源水溶液を用いることができる。
有機極性溶媒添加工程における前記有機極性溶媒の添加量は、特に限定されず、例えば、前記硫黄源1モルに対し、好ましくは1モル以上であり、より好ましくは1.2〜10.5モルであり、更により好ましくは1.6〜3.7モルである。上記添加量が前記硫黄源1モルに対し1モル以上であると、NaSH−SMAB錯体等の、重合に必要な中間体を得るのに必要最低限の前記有機極性溶媒を確保しやすい。なお、上記添加量は、例えば、前記硫黄源1モルに対し、好ましくは100グラム以上でも、より好ましくは120〜1000グラムでも、更により好ましくは160〜360グラムでもよい。
(脱水工程)
脱水工程は、有機極性溶媒添加工程で得られた前記硫黄源含有溶液からの脱水を行う工程である。脱水工程により、前記硫黄源含有溶液を含む系内から、水を含む留出物が、系外に排出される。脱水工程は、上述の予備脱水工程と同様、重合反応系に存在する水分量が重合反応を阻害しないように、上記水分量を減らすことを目的とする。
脱水工程では、不活性ガス雰囲気下での加熱により脱水を行うことが好ましい。脱水工程で脱水されるべき水分は、予備脱水工程について説明した通りである。
脱水工程における加熱温度及び加熱時間は、予備脱水工程について説明したのと同様である。
脱水工程では、脱水工程終了時における前記硫黄源含有溶液の含水量が、前記硫黄源1モルに対し、好ましくは1.2モル以上2.1モル未満、より好ましくは1.2〜1.8モルであり、更により好ましくは1.2〜1.5モルになるまで脱水を行う。上記含水量が上記範囲内であると、副反応の程度、重合速度、収量、反応熱除去、析出物の有無等のバランスを良好に保ちつつ、十分に脱水を行いやすい。脱水工程で水分量が少なくなり過ぎた場合は、重合工程に先立つ仕込み工程において水を添加して所望の水分量に調節すればよい。
(仕込み工程)
仕込み工程は、有機極性溶媒、硫黄源、ジハロ芳香族化合物、及び水を含有する混合物を調製する工程である。仕込み工程において仕込まれる混合物を、「仕込み混合物」とも称する。
仕込み混合物における硫黄源の量(以下、「仕込み硫黄源」(有効硫黄源)の量とも称する)は、原料として投入した硫黄源のモル量から、脱水工程で揮散した硫化水素のモル量を引くことによって、予備脱水工程を行う場合は、更に、予備脱水工程で揮散した硫化水素のモル量を引くことによって、算出することができる。
仕込み工程では脱水工程後に系内に残存する混合物に、必要に応じてアルカリ金属水酸化物及び水を添加することが出来る。特に、脱水時に生成した硫化水素の量と脱水時に生成したアルカリ金属水酸化物の量とを考慮したうえで、アルカリ金属水酸化物を添加する。
仕込み混合物において、有機極性溶媒及びジハロ芳香族化合物の各々の使用量は、例えば、硫黄源の仕込み量1モルに対し、重合工程に関する下記の説明中で示す範囲に設定される。
(重合工程)
重合工程では、有機極性溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合させてPASを生成させる。本重合工程における重合反応は、前記硫黄源と前記ジハロ芳香族化合物とを含む混合物を加熱して行う。より高粘度のPASを得るために、重合反応を2段階以上に分けて行ってもよい。前記重合反応は、例えば、前記硫黄源と前記ジハロ芳香族化合物との前段重合反応であることが好ましい。前段重合反応は、前記硫黄源と前記ジハロ芳香族化合物とを含む混合物を加熱して重合反応を開始させ、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる重合反応である。なお、前段重合反応に続いて、前記プレポリマーの重合度を上昇させるために、後段重合工程を行ってもよい。後段重合工程は、水、有機カルボン酸金属塩、又はこれらの組み合わせ等の相分離剤の共存下で行ってもよい。
前記重合反応では、重合反応の効率等の観点から、温度170〜300℃の加熱下で重合反応を行うことが好ましい。前記重合反応での重合温度は、180〜280℃の範囲であることが、副反応及び分解反応を抑制する上でより好ましい。特に、前段重合反応では、重合反応の効率等の観点から、温度170〜270℃の加熱下で重合反応を開始させ、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させることが好ましい。前段重合反応での重合温度は、180〜265℃の範囲から選択することが、副反応及び分解反応を抑制する上で好ましい。
本重合工程において、前段重合反応におけるジハロ芳香族化合物の転化率は、好ましくは50〜98%、より好ましくは60〜97%、更に好ましくは65〜96%、特に好ましくは70〜95%である。ジハロ芳香族化合物の転化率は、反応混合物中に残存するジハロ芳香族化合物の量をガスクロマトグラフィにより求め、その残存量とジハロ芳香族化合物の仕込み量と硫黄源の仕込み量に基づいて算出することができる。
本重合工程における重合反応は、バッチ式で行ってもよいし、連続的に行ってもよい。例えば、少なくとも、有機極性溶媒、硫黄源、及びジハロ芳香族化合物の供給と、有機極性溶媒中での硫黄源とジハロ芳香族化合物との重合によるPASの生成と、PASを含む反応混合物の回収と、を同時並行で行うことにより、重合反応を連続的に行うことができる。
有機極性溶媒の使用量は、重合反応の効率等の観点から、上記硫黄源1モルに対し、1〜30モルが好ましく、3〜15モルがより好ましい。
ジハロ芳香族化合物の使用量は、硫黄源の仕込み量1モルに対し、好ましくは0.90〜1.50モルであり、より好ましくは0.92〜1.10モルであり、更により好ましくは0.95〜1.05モルである。上記使用量が上記範囲内であると、分解反応が生じにくく、安定的な重合反応の実施が容易であり、高分子量ポリマーを生成させやすい。
(冷却工程)
冷却工程は、重合工程後に、前記反応混合物を冷却する工程である。冷却工程における具体的な操作は、例えば、特許第6062924号公報に記載の通りである。
(後処理工程(分離工程、洗浄工程、回収工程等))
本実施形態におけるPASの製造方法においては、重合反応後の後処理工程を、常法によって、例えば、特開2016−056232号公報に記載の方法によって、行うことができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に限られるものではない。
[実施例1]
反応缶に、NMPを仕込まず、水酸化ナトリウム(NaOH)、硫黄源(NaSH)、及び水(HO)を仕込んだ。この時点で反応缶内の各成分の濃度は、投入された硫黄源をSとした場合、NMP/Sが0g/モル、NaOH/Sが0.9モル/モル、HO/Sが6.41モル/モルだった。反応缶内を窒素ガスで置換後、約2時間かけて、撹拌機により回転数280rpmで撹拌しながら、徐々に昇温し、反応缶から硫化水素及び水を留出させた(予備脱水工程)。含水量HO/Sが3.16モル/モルとなった段階でNMPを反応缶に投入した(有機極性溶媒添加工程)。その後、更に、反応缶からNMP、硫化水素及び水を留出させ、含水量HO/Sが1.20モル/モルとなった段階で脱水を終了させた(脱水工程)。各段階での含水量HO/S、NMP濃度NMP/S、最大泡高さ(即ち、脱水開始時からNMP添加時又は脱水終了時までの最大の泡高さ)、及び析出の有無を表1に示す。
Figure 2019044016
表1から分かる通り、いずれの段階でも、析出は確認されなかった。また、脱水終了時に発泡が確認されたが、泡高さは低く、反応装置のノズルの閉塞が発生しない程度に、発泡は抑制されていた。
[比較例1]
比較例1では、含水量HO/Sが1.06モル/モルとなった段階で、NMPを反応缶に投入し、かつ、脱水を終了させ、NMP添加時のNMP濃度NMP/Sが160g/モルとなるようにNMPの投入量を変更した以外は、実施例1と同様に操作を行った。NMP添加時の含水量HO/S、NMP添加時のNMP濃度NMP/S、最大泡高さ(即ち、脱水開始時からNMP添加時までの最大の泡高さ)、及び析出の有無を表2に示す。
[比較例2]
比較例2では、含水量HO/Sが1.56モル/モルとなった段階で、NMPを反応缶に投入し、かつ、脱水を終了させ、NMP添加時のNMP濃度NMP/Sが300g/モルとなるようにNMPの投入量を変更した以外は、実施例1と同様に操作を行った。NMP添加時の含水量HO/S、NMP添加時のNMP濃度NMP/S、最大泡高さ(即ち、脱水開始時からNMP添加時までの最大の泡高さ)、及び析出の有無を表2に示す。
Figure 2019044016
表2から分かる通り、NMP添加時に発泡は確認されなかったが、予備脱水工程の終盤に固形分が析出し、反応缶内の混合物はスラリー状となった。この混合物にNMPを添加しても、析出物は溶解しなかった。
[比較例3]
比較例3では、反応缶に、水酸化ナトリウム(NaOH)、硫黄源(NaSH)、及び水(HO)とともに、NMPを仕込み、脱水終了時のNMP濃度NMP/Sが160g/モルとなるようにNMPの投入量を設定した以外は、実施例1と同様に操作を行った。脱水終了時の含水量HO/S、脱水終了時のNMP濃度NMP/S、脱水開始時から脱水終了時までの平均泡高さ、及び析出の有無(仕込み時から脱水終了時まで)を表3に示す。
Figure 2019044016
表3から分かる通り、いずれの段階でも、析出は確認されなかったが、脱水終了時に発泡が確認され、平均泡高さは、反応装置のノズルの閉塞が発生する程度に高かった。

Claims (5)

  1. 有機極性溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法であって、
    前記方法は、
    硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上である硫黄源水溶液に有機極性溶媒を添加して、硫黄源含有溶液を得る有機極性溶媒添加工程と、
    前記硫黄源含有溶液からの脱水を行う脱水工程と、
    を含む方法。
  2. 更に、有機極性溶媒添加工程前に、
    前記硫黄源及び水を含有し、有機極性溶媒を含有せず、含水量が前記硫黄源水溶液の含水量よりも多い脱水前硫黄源水溶液からの脱水を行って、前記硫黄源水溶液を得る予備脱水工程を含む請求項1に記載の方法。
  3. 有機極性溶媒添加工程における前記有機極性溶媒の添加量は、前記硫黄源1モルに対し1モル以上である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記硫黄源水溶液の含水量は、前記硫黄源1モルに対し2.1モル以上8.0モル以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 脱水工程終了時における前記硫黄源含有溶液の含水量は、前記硫黄源1モルに対し1.2モル以上2.1モル未満である請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
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