JP2019043137A - 積層シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネート層1,4,5の上面に第一の制振層2が、及び該ポリカーボネート層の下面に第二の制振層3が積層された積層構造からなる積層シートであって、第一の制振層及び第二の制振層が、ジカルボン酸成分とジオール成分とを含む成分から構成される熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、可塑剤及び/又はエラストマーである成分(B)、並びに無機充填剤(C)を含有してなるポリエステル樹脂組成物のシート状成形体である、積層シート。
【選択図】図1
Description
〔1〕 ポリカーボネート層の上面に第一の制振層が、及び該ポリカーボネート層の下面に第二の制振層が積層された積層構造からなる積層シートであって、
第一の制振層及び第二の制振層が、ジカルボン酸成分とジオール成分とを含む成分から構成される熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、可塑剤及び/又はエラストマーである成分(B)、並びに無機充填剤(C)を含有してなるポリエステル樹脂組成物のシート状成形体である、積層シート。
本発明の積層シートは、ポリカーボネート層の上面に第一の制振層が、及び該ポリカーボネート層の下面に第二の制振層が積層された積層構造からなる積層シートであって、
第一の制振層及び第二の制振層が、ジカルボン酸成分とジオール成分とを含む成分から構成される熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、可塑剤及び/又はエラストマーである成分(B)、並びに無機充填剤(C)を含有してなるポリエステル樹脂組成物のシート状成形体であることを特徴の一つとする。
本発明の積層シートの層構成について説明する。
本発明の積層シート全体の厚み(即ち、総厚み)としては、使用用途で要求される強度および剛性の観点から、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは1.0mm以上、更に好ましくは1.5mm以上、更に好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは2.5mm以上であり、使用用途で要求される質量、強度および剛性の観点から、好ましくは30mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは5.0mm以下である。
ポリカーボネート層は、後述のポリカーボネート樹脂組成物から成形されるシート状成形体である。
第一の制振層は、後述の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有してなるポリエステル樹脂組成物のシート状成形体である。
第二の制振層は、後述の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有してなるポリエステル樹脂組成物のシート状成形体である。
次に、各層を構成する樹脂成分について具体的に説明する。
本発明において、ポリカーボネート層に使用されるポリカーボネートは、分子の主鎖中に炭酸エステル結合を含む構造、即ち、−(O−R−OCO)−(ここで、Rは脂肪族基、芳香族基又は脂肪族基と芳香族基の両者を含むもの、さらに直鎖構造又は分岐構造を持つもの)を単位構造として有するものであれば特に限定されない。このようなポリカーボネートを含有するポリカーボネート樹脂組成物のシート状成形物を使用することで、形状を保持するための金属板が不要な自立性を有する積層シートを得ることができる。
本発明における第一の制振層及び第二の制振層に用いられるポリエステル樹脂組成物は、ジカルボン酸成分とジオール成分とから構成される熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、可塑剤/又はエラストマーである成分(B)、並びに無機充填剤(C)を含有する。本発明において、第一の制振層を構成するポリエステル樹脂組成物の組成は、第二の制振層を構成するポリエステル樹脂組成物の組成と同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、ジカルボン酸成分とジオール成分とから構成され、ジカルボン酸成分とジオール成分の重縮合の組み合わせにより得ることができる。なお、本明細書において、ジカルボン酸成分とは、ジカルボン酸及びその低級エステル誘導体を含み、これらを総称してジカルボン酸成分とする。
本発明における成分(B)としては、可塑剤及びエラストマーからなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いる。なお、本明細書において、可塑剤及び/又はエラストマーを、まとめて成分(B)と記載することもある。
本発明における可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、及びビスフェノール系可塑剤からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。
化合物群(A) 分子中に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールであるエステル化合物
化合物群(B) 式(I):
R1O−CO−R2−CO−〔(OR3)mO−CO−R2−CO−〕nOR1 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が2〜6のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは1〜12の数を示し、但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよく、全てのR3は同一でも異なっていてもよい)
で表される化合物
化合物群(C) 分子中に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分がモノアルコールであるエステル化合物
化合物群(A)に含まれるエステル化合物としては、分子中に2個以上のエステル基を有する多価アルコールエステル又は多価カルボン酸エーテルエステルであって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールであるエステル化合物が好ましい。
式(I)におけるR1は、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、1分子中に2個存在して、分子の両末端に存在する。R1は炭素数が1〜4であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基の炭素数としては、耐着色性及び可塑化効果を発現させる観点から、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基が挙げられ、なかでも、損失係数を向上させる観点から、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
(1)炭素数が1〜4のアルキル基を有する一価アルコール
(2)炭素数が2〜4のアルキレン基を有するジカルボン酸
(3)炭素数が2〜6のアルキレン基を有する二価アルコール
炭素数が1〜4のアルキル基を有する一価アルコールとしては、前記R1を含むアルコールであり、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、tert−ブタノールが挙げられる。なかでも、損失係数を向上させる観点から、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが更に好ましい。
炭素数が2〜4のアルキレン基を有するジカルボン酸としては、前記R2を含むジカルボン酸であり、具体的には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びそれらの誘導体、例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等が挙げられる。なかでも、損失係数を向上させる観点から、コハク酸、アジピン酸及びそれらの誘導体、例えば、コハク酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル、アジピン酸ジメチルが好ましく、コハク酸及びその誘導体、例えば、コハク酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチルがより好ましい。
炭素数が2〜6のアルキレン基を有する二価アルコールとしては、前記R3を含む二価アルコールであり、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールが挙げられる。なかでも、損失係数を向上させる観点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールがより好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが更に好ましい。
(1)一価アルコールがメタノール、エタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールからなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、(2)ジカルボン酸がコハク酸、アジピン酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、(3)二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、及び1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、
(1)一価アルコールがメタノール及びエタノールからなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、(2)ジカルボン酸がコハク酸、アジピン酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、(3)二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることがより好ましく、
(1)一価アルコールがメタノールであり、(2)ジカルボン酸がコハク酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、(3)二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及び1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることが更に好ましい。
態様1:(2)ジカルボン酸と(1)一価アルコールのエステル化反応を行ってジカルボン酸エステルを合成する工程と、得られたジカルボン酸エステルと(3)二価アルコールをエステル化反応させる工程を含む方法
態様2:(1)一価アルコール、(2)ジカルボン酸、及び(3)二価アルコールを一括反応させる工程を含む方法
化合物群(C)に含まれるエステル化合物としては、具体的には、アジピン酸と2−エチルヘキサノールとのエステル(DOA)、フタル酸と2−エチルヘキサノールとのエステル(DOP)が好ましい。
本発明においては、高温域及び低温域での制振性向上の観点から、1種又は2種以上のエラストマーが用いられる。本発明におけるエラストマーとしては、熱可塑性エラストマーが好ましい。
エラストマーとして熱可塑性エラストマーを用いることで、高温域及び低温域での制振性が向上する効果が奏されるため、好ましい。さらに可塑剤と併用することにより、さらに高温域及び低温域での広い温度領域で制振性を向上させることができる。
本発明におけるスチレン系熱可塑性エラストマー(以下、スチレン系エラストマーと称する場合がある。)は、ハードセグメントを構成するスチレン系化合物が重合してなるブロックA、及びソフトセグメントを構成する共役ジエンが重合してなるブロックBからなるものである。重合体ブロックAに用いるスチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン等のスチレン化合物;ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等のビニル基を有する多環芳香族化合物等が挙げられ、これらのうちスチレン化合物の重合体が好ましく、スチレンの重合体がより好ましい。重合体ブロックBに用いる共役ジエンとしては、例えばブタジエン、イソプレン、ブチレン、エチレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、好ましくはポリイソプレン、ポリブタジエン、およびイソプレンとブタジエンの共重合体が挙げられ、これらの共役ジエン単量体から選ばれる1種又2種以上を重合したブロック共重合体である。またブロックBには前記重合体ブロックAに用いるスチレン系化合物が共重合されていても良い。各々の共重合体の場合には、その形態としてはランダム共重合体、ブロック共重合体、およびテーパード共重合体のいずれの形態も選択することができる。また、水素添加された構造でもよい。
本発明におけるスチレン・イソプレンブロック共重合体は、両末端にポリスチレンブロックを有し、その間にポリイソプレンブロック又はビニル−ポリイソプレンブロックの少なくとも一方のブロックを有するブロック共重合体である。また、イソプレンブロックやブタジエンブロックが共重合されていてもよく、水素添加された構造でもよい。
本発明におけるスチレン・ブタジエンブロック共重合体は、両末端にポリスチレンブロックを有し、その間にポリブタジエンブロックまたはその水素添加物を有するブロック共重合体である。また、イソプレンブロックやブタジエンブロックが共重合されていてもよく、水素添加された構造でもよい。
さらに、ポリカーボネートとの接着性の観点から、酸化劣化のしにくい、又は酸化劣化が生じないエラストマーが好ましい。かかる観点から好ましいエラストマーとしては、上記の各種エラストマーの中で、水素添加されたものが挙げられる。
さらに、ポリカーボネートとの接着性の観点から、ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン共重合体(SEBS)を使用することが好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、剛性向上の観点から、無機充填剤(C)を含有する。本発明における無機充填剤(C)としては、公知の無機充填剤であれば特に限定されず、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる無機充填剤で、具体的には、板状の充填剤、粒状の充填剤、針状の充填剤、及び繊維状の充填剤からなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂の結晶化速度を向上させ、ポリエステル樹脂の結晶性を向上させ、曲げ弾性率を向上させる観点から、有機結晶核剤を含有することができる。
次に、本発明の積層シートの製造方法について説明する。
本発明の積層シートは、従来公知の方法により製造することができる。例えば、各層を予め別々に形成しておきラミネートする又は熱圧着プレスする方法、予め形成した層の上面又は下面にコーティングして他の層を形成させる方法、それぞれの樹脂層を共押出し方により積層する方法等が挙げられる。以下、製造方法の一例として、各層を予め別々に形成しておき、各層を積み重ねた後に熱圧着プレスする方法をより具体的に述べる。
ポリカーボネート層として使用されるポリカーボネート樹脂組成物から成形されるシート状成形体は、公知の方法、例えばインフレーション成形、押出シート成形、プレス成型、キャスト成形等の方法により、所望の厚みのものを得ることができる。
前述のようにして調製されるポリエステル樹脂組成物の溶融混練物を、例えば、公知の押出機や延伸機に供給して延伸することによって、所望の厚みの第一の制振層を製造することができる。
第二の制振層も、第一の制振層と同様の方法で製造することができる。
前述のようにして製造した各層を所定の順序で重ね合わせる。プレス機にセットし、圧力1〜7MPa、温度170〜190℃、プレス時間0.5〜2.0分間の条件で圧着して、その後、常温になるまで水冷し、所定の積層シートを得ることができる。熱圧着プレスで積層シートを製造する場合、プレス前後でポリカーボネート層や制振層の厚さの変化はほとんど無視できる程度である。
第一の制振層及び第二の制振層が、ジカルボン酸成分とジオール成分とを含む成分から構成される熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、可塑剤及び/又はエラストマーである成分(B)、並びに無機充填剤(C)を含有してなるポリエステル樹脂組成物のシート状成形体である、積層シート。
<3> 制振層の総厚みを100%とした場合、ポリカーボネート層の総厚みが100%以上、好ましくは200%以上、より好ましくは300%以上であり、そして、2000%以下、好ましくは1000%以下である、前記<1>又は<2>に記載の積層シート。
<4> 第一の制振層の上面に、又は第二の制振層の下面に、さらにポリカーボネート層が積層されている、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の積層シート。
<5> 第一の制振層の上面と第二の制振層の下面に、それぞれさらにポリカーボネート層が積層されている、前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の積層シート。
<6> 積層シートにおける各層の好ましい配置が、制振層(PBT)/ポリカーボネート層(PC)/PBT、PC/PBT/PC/PBT、PBT/PC/PBT/PC、PC/PBT/PC/PBT/PC、及びPBT/PC/PBT/PC/PBTからなる群より選択される1種又は2種以上である、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の積層シート。
<7> 積層シート全体の厚みが、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは1.0mm以上、更に好ましくは1.5mm以上、更に好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは2.5mm以上であり、そして、好ましくは30mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは5.0mm以下である、前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の積層シート。
<8> 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)がポリブチレンテレフタレートである、前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の積層シート。
<9> 無機充填剤(C)が板状充填剤である、前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の積層シート。
<10> 成分(B)が、1種以上の可塑剤と1種以上のエラストマーとを含む、前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の積層シート。
<12> ポリエステル樹脂組成物中の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下であり;ポリエステル樹脂組成物中の可塑剤の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下であり;ポリエステル樹脂組成物中のエラストマーの含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは9.5質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり;ポリエステル樹脂組成物中の無機充填剤の含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは23質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である、前記<1>〜<11>のいずれか1項に記載の積層シート。
<13> 成分(B)と無機充填剤(C)の質量比(成分(B)/無機充填剤(C))が、好ましくは10/90〜60/40、より好ましくは25/75〜50/50、更に好ましくは40/60〜47/53である、前記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の積層シート。
<14> 損失係数が好ましくは0.063以上であり、そして好ましくは0.11以下である、前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の積層シート。
<15> 曲げ弾性率が好ましくは2.4以上であり、そして好ましくは2.8以下である、前記<1>〜<14>のいずれか1項に記載の積層シート。
ペレットサンプル0.6mgをHFIP(1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanol 和光純薬社製)2gに完全に溶解させ、ゲル浸透クロマトグラフィー(TOSOH社製:EcoSEC HLC−8320GPC)を用いて分子量測定を行う。測定条件については、溶離液はHFIP/0.5mM トリフルオロ酢酸Na、流量は0.2mL/min、測定温度は40℃で行う。検量線の作成のための標準ポリマーとしては、ポリスチレン(東ソー株式会社製)を使用する。なお、複数のピークや肩部が認められた時、単一のピークとしてポリエステル樹脂の分子量分布とする。
ポリエステル樹脂組成物をプレス成形して得られた平板試験片(127mm×12.7mm×1.6mm)について、XRD(Rigaku社製:MiniFlex II DESKTOP X−ray DIFFRACTOMETER)を用いて、X線入射角2θ=5°〜40°における回折光の計測を行い、ピークとハローの強度から、絶対結晶化度を算出する。
後述と同様にして調製したポリエステル樹脂組成物のシート状成形体又はエラストマーであるスチレン・イソプレンブロック共重合体の平板試験片(40mm×5mm×0.4mm)を作製する。次いで、DMA装置(SII社製、EXSTAR6000)を用い、測定周波数を1Hzとして、昇温速度2℃/分で−50℃から250℃まで昇温し、得られた損失弾性率のピーク温度をガラス転移点として求める。
熱可塑性ポリエステル樹脂試料約7mgを計量し、DSC装置(パーキンエルマー社製、DSC8500)を用い、JIS K7122(1999)に準じて、昇温速度20℃/minで樹脂を25℃から300℃まで加熱し、その状態で5分間保持後、次いで25℃以下となるよう−20℃/minで冷却したとき、結晶化に伴う発熱ピークから結晶化エンタルピーを算出する。
エラストマーを重水素化クロロホルムに溶解し、その試料溶液のH−NMRスペクトルを観測幅15ppmで測定する。またあらかじめ、3種の濃度のポリスチレン/重水素化クロロホルム溶液のH−NMRスペクトルのスチレンのピーク面積と濃度から検量線を求め、この検量線を用いて、試料溶液のスチレンのピーク面積からスチレンの含有量を算出する。
ASTM D1238に準拠して、試験温度300℃、試験荷重1.2kgfの条件で求める。
表1に示すポリエステル樹脂組成物の原料を、同方向噛み合型二軸押出機(日本製鋼所社製 TEX−28V)を用いて240℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、樹脂組成物のペレットを得た。なお、得られたペレットは、110℃で3時間除湿乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
〔熱可塑性ポリエステル樹脂〕
PBT(700FP):ポリブチレンテレフタレート樹脂、ジュラネックス700FP(ポリプラスチックス社製、非強化、ガラス転移温度:50℃、結晶化エンタルピーΔHmc:44J/g)
〔可塑剤〕
DAIFATTY−101:アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1との混合ジエステル(大八化学工業社製);5%質量減少温度:235℃
〔エラストマー〕
スチレン・イソプレンブロック共重合体:ハイブラー5127(クラレプラスチック社製、ガラス転移温度:8℃、スチレン含有量:20質量%)
ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン共重合体:S.O.E.S1605(旭化成社製、ガラス転移温度:8℃、スチレン含有量:67質量%)
〔無機充填剤〕
マイカ:A−21S(ヤマグチマイカ社製、最大面における最長辺の長さ:23μm、最大面の厚み:0.33μm、アスペクト比:70)
ポリカーボネート樹脂(サビック社製、商品名:LEXAN、MFR:7g/10分(300℃、1.2kgf))のペレットを、先端に500mm幅のダイとフィルム引き取り装置を取り付けた直径50mmの単軸押出機に供給しながら、バレル温度260〜300℃にて製膜し、厚み0.5mmのポリカーボネート樹脂組成物シートを得た。
製造例1で製造されたシート状成形体を2枚、製造例2で製造されたシートを1枚用意した。1枚のシート状成形体の上面に該シートを1枚積層し、該シートの上面にシート状成形体を1枚積層した。次いで、この3枚の積層物をプレス加熱温度が180℃に設定されたプレス機を用いて、圧力3〜4MPaの条件で1分間加熱圧縮して一体化させ、次いで冷却プレスにより常温まで冷却した。このようにして、厚み1.5mmの積層シートを製造した。
製造例1で製造されたシート状成形体を2枚、製造例2で製造されたシートを2枚用意した。1枚のシートの上面にシート状成形体を1枚積層し、該シート状成形体の上面にシートを1枚積層し、該シートの上面にシート状成形体を1枚積層した。次いで、この4枚の積層物を、製造例1と同じ条件で加熱圧縮して一体化させ、次いで冷却プレスにより常温まで冷却した。このようにして、厚み2.0mmの積層シートを製造した。
製造例2で製造されたシートを3枚用意した。1枚のシートの上面にシートを2枚積層した。次いで、この3枚の積層物を製造例1と同じ条件で加熱圧縮して一体化させ、次いで冷却プレスにより常温まで冷却した。このようにして、厚み1.5mmの積層シートを製造した。
製造例1で製造されたシート状成形体を1枚、製造例2で製造されたシートを2枚用意した。1枚のシートの上面にシート状成形体を1枚積層し、該シート状成形体の上面にシートを1枚積層した。次いで、この3枚の積層物を製造例1と同じ条件で加熱圧縮して一体化させ、次いで冷却プレスにより常温まで冷却した。このようにして、厚み1.5mmの積層シートを製造した。
製造例1で製造されたシート状成形体を3枚用意した。1枚のシート状成形体の上面に1シート状成形体を2枚積層した。次いで、この3枚の積層物を製造例1と同じ条件で加熱圧縮して一体化させ、次いで冷却プレスにより常温まで冷却した。このようにして、厚み1.5mmの積層シートを製造した。
製造例1で製造されたシート状成形体を2枚、製造例2で製造されたシートを2枚用意した。1枚のシートの上面にシート状成形体を1枚積層し、該シート状成形体の上面にシート状成形体を1枚積層し、該シート状成形体の上面にシートを1枚積層した。次いで、この4枚の積層物を、製造例1と同じ条件で加熱圧縮して一体化させ、次いで冷却プレスにより常温まで冷却した。このようにして、厚み2.0mmの積層シートを製造した。
製造例1で製造されたシート状成形体を2枚、製造例2で製造されたシートを3枚用意した。1枚のシートの上面にシート状成形体を1枚積層し、該シート状成形体の上面にシートを1枚積層し、該シートの上面にシート状成形体を1枚積層し、さらに該シート状成形体の上面にシートを1枚積層した。次いで、この5枚の積層物を、製造例1と同じ条件で加熱圧縮して一体化させ、次いで冷却プレスにより常温まで冷却した。このようにして、厚み2.5mmの積層シートを製造した。
製造例1で製造されたシート状成形体を3枚、製造例2で製造されたシートを2枚用意した。1枚のシート状成形体の上面にシートを1枚積層し、該シートの上面にシート状成形体を1枚積層し、該シート状成形体の上面にシートを1枚積層し、さらに該シートの上面にシート状成形体を1枚積層した。次いで、この5枚の積層物を、製造例1と同じ条件で加熱圧縮して一体化させ、次いで冷却プレスにより常温まで冷却した。このようにして、厚み2.5mmの積層シートを製造した。
製造例2で製造されたシートを1枚、製造例3で製造されたシート状成形体を2枚用意した。1枚のシート状成形体の上面に該シートを1枚積層し、該シートの上面にシート状成形体を1枚積層した。次いで、この3枚の積層物をプレス加熱温度が180℃に設定されたプレス機を用いて、圧力3〜4MPaの条件で1分間加熱圧縮して一体化させ、次いで冷却プレスにより常温まで冷却した。このようにして、厚み1.5mmの積層シートを製造した。
各積層シートを127mm×12.7mm×厚み(1.5〜2.0)mm(厚みは各実施例及び比較例で得られた積層シートの厚みによる)のサイズに裁断して、平板試験片とした。
平板試験片について、JIS K7391に基づいて、中央加振法により計測した周波数応答関数の2次共振のピークから、半値幅法により損失係数を算出した。発振器はType 3160、増幅器はType 2718、加振器はType 4810、加速度センサはType 8001で構成されるシステムを用い(いずれもB&K社製)、損失係数計測ソフトウェアMS18143を用いた。測定環境は恒温槽(エスペック社製、PU−3J)で制御し、23℃で測定した。積層シートの損失係数が高いほど、振動の減衰が速い、即ち積層シートの制振効果が高いと判断できる。
各積層シートを30mm×25mm×厚み(1.5〜2.0)mm(厚みは各実施例及び比較例で得られた積層シートの厚みによる)のサイズに裁断して、平板試験片とした。平板試験片について、JIS K7171に基づいて、テンシロン万能材料試験機(オリエンテック社製、RTC−1250A)を用いて、支点間距離を24mm、試験速度を1mm/minに設定して曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。曲げ弾性率が2.0GPa以上の場合に曲げ弾性率が高く、良好な剛性を有すると判断できる。
2 第一の制振層
3 第二の制振層
4 ポリカーボネート層
5 ポリカーボネート層
6 制振層
Claims (8)
- ポリカーボネート層の上面に第一の制振層が、及び該ポリカーボネート層の下面に第二の制振層が積層された積層構造からなる積層シートであって、
第一の制振層及び第二の制振層が、ジカルボン酸成分とジオール成分とを含む成分から構成される熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、可塑剤及び/又はエラストマーである成分(B)、並びに無機充填剤(C)を含有してなるポリエステル樹脂組成物のシート状成形体である、積層シート。 - 請求項1記載の積層構造を含む積層シート。
- 制振層の総厚みを100%とした場合、ポリカーボネート層の総厚みが100%以上2000%以下である、請求項2に記載の積層シート。
- 第一の制振層の上面に、又は第二の制振層の下面に、さらにポリカーボネート層が積層されている、請求項2又は3に記載の積層シート。
- 第一の制振層の上面と第二の制振層の下面に、それぞれさらにポリカーボネート層が積層されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の積層シート。
- 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)がポリブチレンテレフタレートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層シート。
- 無機充填剤(C)が板状充填剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層シート。
- 成分(B)が、1種以上の可塑剤と1種以上のエラストマーとを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層シート。
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