JP2019042970A - ガスバリアフィルム、ガスバリアフィルムの製造方法、および、電子デバイス - Google Patents

ガスバリアフィルム、ガスバリアフィルムの製造方法、および、電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】高いガスバリア性を有し、さらに、耐久性にも優れるガスバリアフィルム、ガスバリアフィルムの製造方法、および、電子デバイスを提供する。【解決手段】支持体と、支持体に支持され、下地となる有機物の表面に形成される少なくとも1つの無機層と、少なくとも1組の有機物と無機層との界面に形成される混合層と、を有し、無機層は、ケイ素を含有し、混合層は、有機物に由来する成分と無機層に由来する成分とを含有し、混合層中には、炭素、窒素および酸素が化学結合したCNO結合成分が存在し、CN結合成分およびCNO結合成分の合計に対するCNO結合成分の割合が90%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ等に利用されるガスバリアフィルムおよびこのガスバリアフィルムの製造方法、ならびに、このガスバリアフィルムを用いた電子デバイスに関する。
光学素子、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置、半導体装置、薄膜太陽電池等の各種の装置における防湿性を要求される部位や部品、食品、衣料品、電子部品等の包装に用いられる包装材料に、ガスバリア膜(水蒸気バリア膜)が形成されている。また、樹脂フィルム等を支持体(基板)として、ガスバリア膜を形成(成膜)してなるガスバリアフィルムも、上記各用途に利用されている。
ガスバリア膜としては、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム等の各種の物質からなる膜が知られている。
中でも、高いガスバリア性を得ることができ、かつ、プラズマCVD(chemical vapor deposition)による成膜が可能で、良好な生産性を得られる無機層として、窒化ケイ素膜が知られている。
また、ガスバリアフィルムには、優れたガスバリア性のみならず、高い光透過性(透明性)や高い耐酸化性など、用途に応じて、各種の特性が要求される。これに対して、無機層と、有機材料からなる無機層の下地層との間に、無機層と有機材料との混合層を形成することで高いガスバリア性を得ることが記載されている。
例えば、特許文献1には、ハロゲンを含有しない有機層と、この有機層の上に形成される窒化珪素層と、有機層と窒化珪素層との間に形成される、ハロゲンを含有しない有機/窒化珪素混合層との3層の組み合わせを、1以上有する機能性フィルムが記載されている。
また、特許文献2には、有機材料からなる表面を有する基板と、基板上に形成された窒化ケイ素を主成分とする無機膜とを有するガスバリアフィルムであって、無機膜は、膜中の窒素とケイ素との組成比N/Siが1.00〜1.35であり、膜密度が2.1〜2.4g/cm3であり、膜厚が10〜60nmであり、記基板と無機膜との界面に形成された、有機材料と無機膜とに由来する成分を含有する混合層の厚みが5〜40nmであるガスバリアフィルムが記載されている。
特開2013−166298号公報 特開2013−203050号公報
ところで、有機EL装置などの用途拡大に伴って、ガスバリアフィルムにもより高い耐久性が求められるようになってきている。例えば、有機EL照明は、LED(light emitting diode)のような点光源と異なり面状に光るため、光を面状にするための反射板および導光板などのような光学部品を用いる必要が無いため、軽量化でき、また、基板をフレキシブルにすることができるため、デザインの自由度が高い。そのため、自動車用の灯具として利用することが検討されている。
しかしながら、例えば、自動車用灯具として用いる場合には、特に夏場は車内が高温高湿になり、その上、自動車の振動等により無機層の剥離などガスバリアフィルムの劣化が早く進行するおそれがある。このように、ガスバリアフィルムの用途拡大に伴って、ガスバリアフィルムにはより高い耐久性が求められている。
本発明の課題は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、高いガスバリア性を有し、さらに、耐久性にも優れるガスバリアフィルム、ガスバリアフィルムの製造方法、および、電子デバイスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、支持体と、支持体に支持され、下地となる有機物の表面に形成される少なくとも1つの無機層と、少なくとも1組の有機物と無機層との界面に形成される混合層と、を有し、無機層は、ケイ素を含有し、混合層は、有機物に由来する成分と無機層に由来する成分とを含有し、混合層中には、炭素、窒素および酸素が化学結合したCNO結合成分が存在し、CN結合成分およびCNO結合成分の合計に対するCNO結合成分の割合が90%以上であることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を解決することができることを見出した。
[1] 支持体と、
支持体に支持され、下地となる有機物の表面に形成される少なくとも1つの無機層と、
少なくとも1組の有機物と無機層との界面に形成される混合層と、を有し、
無機層は、ケイ素を含有し、
混合層は、有機物に由来する成分と無機層に由来する成分とを含有し、
混合層中には、炭素、窒素および酸素が化学結合したCNO結合成分が存在し、CN結合成分およびCNO結合成分の合計に対するCNO結合成分の割合が90%以上であるガスバリアフィルム。
[2] 有機物が支持体の成分であり、
無機層が支持体の表面に直接形成されて、支持体と無機層との界面に混合層が形成されている[1]に記載のガスバリアフィルム。
[3] 支持体と無機層との間に形成される有機層を有し、
有機物が有機層の成分であり、
無機層が有機層の表面に直接形成されて、有機層と無機層との界面に混合層が形成されている[1]に記載のガスバリアフィルム。
[4] 無機層と無機層の下地となる有機物との組み合わせを2以上有する[1]〜[3]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[5] 有機物が(メタ)アクリレートと光重合開始剤との反応物を含むものである[1]〜[4]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[6] 無機層が窒化ケイ素を含有する[1]〜[5]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
無機層の下地となる有機物の表面を、水素ガス、および、窒素原子を含むガスを用いてプラズマ処理するプラズマ処理工程と、
プラズマ処理工程の後に、有機物の表面に無機層を成膜する無機層形成工程と、を有するガスバリアフィルムの製造方法。
[8] プラズマ処理工程において、窒素原子を含むガスは、アンモニアガスである[7]に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
[9] 無機層形成工程は、シランガス、水素ガス、および窒素原子を含むガスを含む原料ガスをプラズマ励起電力によってプラズマ状態にして有機物の表面に無機層を成膜するものである[7]または[8]に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
[10] 窒素原子を含むガスは、アンモニアガスである[9]に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
[11] [1]〜[6]のいずれかに記載のガスバリアフィルムを用いた電子デバイス。
本発明によれば、高いガスバリア性を有し、さらに、耐久性にも優れるガスバリアフィルム、ガスバリアフィルムの製造方法、および、電子デバイスを提供することができる。
本発明のガスバリアフィルムの一例を概念的に示す図である。 本発明のガスバリアフィルムの他の一例を概念的に示す図である。 本発明のガスバリアフィルムの他の一例を概念的に示す図である。 本発明のガスバリアフィルムの製造方法を実施する成膜装置の一例を概念的に示す図である。
以下、本発明のガスバリアフィルム、このガスバリアフィルムの製造方法、および、電子デバイスについて、添付の図面に示される好適例を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
[ガスバリアフィルム]
本発明のガスバリアフィルムは、
支持体と、
支持体に支持され、下地となる有機物の表面に形成される少なくとも1つの無機層と、
少なくとも1組の有機物と無機層との界面に形成される混合層と、を有し、
無機層は、ケイ素を含有し、
混合層は、有機物に由来する成分と無機層に由来する成分とを含有し、
混合層中には、炭素、窒素および酸素が化学結合したCNO結合成分が存在し、CN結合成分およびCNO結合成分の合計に対するCNO結合成分の割合が90%以上であるガスバリアフィルムである。
図1に、本発明のガスバリアフィルムの一例を概念的に示す。
図1に示されるガスバリアフィルム80は、支持体Zの表面に形成された有機層82の表面上に、ガスバリア膜である無機層84を有し、有機層82と無機層84との界面に有機層82の有機材料と無機層84の材料とが混在する状態の有機材料/無機材料の混合層86(以下、便宜的に混合層86とする)が形成されたものである。
図1に示すガスバリアフィルム80においては、本発明における有機物は有機層82の成分である。
ここで、本発明においては、無機層84はケイ素(Si)を含有するものであり、混合層86は、炭素、窒素および酸素が化学結合したCNO結合成分(下記化学式参照)が存在し、CN結合成分およびCNO結合成分の合計に対するCNO結合成分の割合が90%以上である。
本発明において混合層86中にCNO結合成分が90%以上存在することにより、ケイ素原子(Si)と窒素原子(N)とが化学的に結合しやすくなり、緻密な無機層84が得られると考えられる。そのため、無機層84と有機層82との密着力が高くなり耐久性が向上すると考えられる。また、無機層84の微小な欠陥が減少しガスバリア性が向上すると考えられる。
後に詳述するが、本発明においては、無機層84を形成する前に、有機層82にプラズマ処理を行うことで、混合層86中に存在するCNO結合成分を90%以上とすることができる。
有機層82のプラズマ処理および無機層84の成膜前の有機層82の表面には、炭素原子(C)、水素原子(H)および酸素原子(O)が存在し、これらが化学結合している。この有機層82にプラズマ処理を行うと、表面の分子の化学結合が切断され、新たにCとNとOが上記化学式のように結合する。CNO結合成分が存在する有機層82表面は活性化状態であると推定される。活性化状態の有機層82の表面に無機層84を成膜するとCNO結合成分の窒素原子(N)と、無機層84のケイ素原子(Si)とが化学的に結合しやすくなると考えられる。
なお、混合層86は、有機層82に由来する成分と無機層84に由来する成分とを含む層である。無機層84は、ケイ素を含有するので、無機層84に由来する成分は、ケイ素等である。また、有機層82に由来する成分は、炭素等である。
従って、混合層86の領域は、ガスバリアフィルム80の無機層84側の表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光装置)によって元素分析を行って、ケイ素と炭素の有無を観察する方法により求めることができる。あるいは、ガスバリアフィルム80を厚さ方向に断面を取って、この断面を電子顕微鏡で観察して測定する方法により求めることができる。
また、混合層86中におけるCNO結合成分の割合は以下のようにして測定される。
まずダイプラ・ウィンテス株式会社製DN−20S等の装置を用いてSAICAS(Surface And Interfacial Cutting Analysis System)法により、ガスバリアフィルム80を斜めに切削して試料面を広くする。
次に、ION−TOF社製TOF−SIMS IV等の装置を用いてTOF−SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)により、試料面の混合層86の厚み方向の中央部分±10%の領域で、CN結合成分およびCNO結合成分を検出する。
測定結果から、CN結合成分およびCNO結合成分の合計に対するCNO結合成分の割合を求める。具体的には、試料面にGa+、Au+、Bi+といったイオンビームを照射し、試料表面から放出されるイオンを飛行時間差により分離して質量分離する。たとえばCNO結合成分はCNO-のイオンとして検出される。
なお、TOF−SIMSによって混合層86を検出することもできる。具体的には、無機層84の領域からはSiに由来するシグナルが検出される。混合層86からはSiに由来するシグナル、CN-、CNO-のイオンが検出される。有機層82からはSiに由来するシグナル、CN-、CNO-のイオンのいずれも検出されない。これにより、混合層86の領域を検出することができる。
無機層84と有機層82との密着力、および、ガスバリア性の観点から、混合層86中に存在するCNO結合成分の割合は92%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
ここで、図1に示す例では、支持体Z0と無機層84との間に有機層82を有し、無機層84が有機層82の表面に直接形成されて、有機層82と無機層84との界面に混合層86を有する構成としたが、これに限定はされない。
例えば、図2に示すガスバリアフィルム92のように、無機層84が支持体Z0の表面に直接形成されて、支持体Z0と無機層84との界面に混合層86を有する構成としてもよい。
図2に示すガスバリアフィルム92の場合には、本発明における有機物は支持体Z0の成分である。
また、図1に示す例では、無機層84とこの無機層84の下地となる有機層82との組み合わせを1組有する構成としたが、これに限定はされず、2組以上の無機層84とこの無機層84の下地となる有機層82との組み合わせを有する構成としてもよい。
例えば、図3に示すガスバリアフィルム90は、支持体Z0上に有機層82aと無機層84aと有機層82bと無機層84bとがこの順に積層された構成を有する。有機層82aは無機層84aの下地となる層であり、また、有機層82bは無機層84bの下地となる層である。すなわち、図3に示すガスバリアフィルム90は、2組の無機層84とこの無機層84の下地となる有機層82との組み合わせを有する。
このように、複数の有機層82と無機層84とを、交互に積層することにより、ガスバリア性、耐久性、柔軟性、機械的強度、長期にわたるガスバリア性の維持、光取り出し効率等の点で、より好ましい結果を得る。
また、本発明においては、有機層82および無機層84の両方が複数であるのが好ましいが、いずれか一方のみが複数層であってもよく、両層を複数層有する場合には、有機層82と無機層84の数は、同数でなくてもよい。
このガスバリアフィルム90においては、各組の有機層と無機層との界面に混合層が形成されている。すなわち、有機層82aと無機層84aとの界面に混合層86aが形成されており、また、有機層82bと無機層84bとの界面に混合層86bが形成されている。
ガスバリアフィルム90のように複数組の有機層82と無機層84とを有する構成の場合には、少なくとも1組の有機層82と無機層84との間に混合層86を有していればよく、すべての有機層82と無機層84との組み合わせの間に混合層86を有するのが好ましい。
また、複数の混合層86を有する場合には、少なくとも1層の混合層86中においてCNO結合成分の割合が90%以上であればよく、すべての混合層86中においてCNO結合成分の割合が90%以上であるのが好ましい。
なお、図3に示す例では、全ての無機層84が有機層82の表面に積層される構成としたが、最下層(支持体Z0側)の無機層84が支持体Z0に直接積層されて、他の無機層84は下地となる有機層82の表面に積層される構成としてもよい。
さらに、本発明においては、表面保護の点で有機層82を最上層としてもよく、特に、有機層82を、複数層、有する場合には、有機層82を最上層とするのが好ましい。
〔支持体〕
支持体Z0は、無機層84および有機層82を支持するものである。支持体Z0は、長尺なフィルム(ウエブ状のフィルム)やカットシート状のフィルムなどのフィルム状物(シート状物)が好適である。
支持体Z0としては、表面が有機材料および樹脂材料などの各種の有機材料(有機物)からなるもので形成され、プラズマCVDによる無機膜の成膜が可能なものであれば、各種の物が利用可能である。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、透明フッ素樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂などの高分子材料からなる支持体が、好適な一例として例示される。
支持体Z0は、その表面に、保護層、接着層、光反射層、遮光層、平坦化層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための機能層が形成されているものであってもよい。
この際において、これらの機能層は、1層に限定はされず、複数層の機能層が形成されているものを、支持体Z0として用いてもよい。
支持体Z0の厚みには、無機層および有機層を適切に支持できれば、特に限定はなく、要求される薄さ、可撓性、ガスバリア性等に応じて、適宜、設定すればよい。支持体Z0の厚みは、18μm〜150μmが好ましい。
〔有機層〕
有機層82は、無機層84の下地となる層である。有機層82を有することにより、支持体Z0の表面に存在する凹凸を埋没させて、無機層84の成膜面を平坦にすることができる。これにより、無機層84すなわちガスバリア膜の有する優れた特性を、十分に発現して、ガスバリア性のみならず、透明性や耐久性、さらには、柔軟性がより良好なガスバリアフィルム80を得ることができる。
本発明において、有機層82の形成材料(主成分)には、特に限定はなく、公知の有機物(有機化合物)が、各種、利用可能であり、特に、各種の樹脂(有機高分子化合物)が好適に例示される。
一例として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル、メタクリル酸―マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブタジエン共重合体等が例示される。
なかでも、有機層82は、(メタ)アクリレートと光重合開始剤との反応物を含むものであるのが好ましい。すなわち、(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含有する塗料を塗布し光硬化させた層であるのが好ましい。
さらに、本発明では、下記の一般式(1)で表される化合物における3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーも好適に利用可能である。
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は、置換基を表し、それぞれ、同一でも異なってもよい。nは、0〜5の整数を示し、それぞれ、同一でも異なってもよい。但し、R1の少なくとも1つは重合性基を含む。)
1の置換基としては、−CR2 2−(R2は、水素原子または置換基)、−CO−、−O−、フェニレン基、−S−、−C≡C−、−NR3−(R3は、水素原子または置換基)、−CR4=CR5−(R4、R5は、ぞれぞれ、水素原子または置換基)の1つ以上と、重合性基との組み合わせからなる基が挙げられ、−CR2 2−(R2は、水素原子または置換基)、−CO−、−O−およびフェニレン基の1つ以上と、重合性基との組み合わせからなる基が好ましい。
2は、水素原子または置換基であるが、好ましくは、水素原子またはヒドロキシ基である。
1の少なくとも1つが、ヒドロキシ基を含むのが好ましい。ヒドロキシ基を含むことにより、機層の硬化率が向上する。
1の少なくとも1つの分子量が10〜250であるのが好ましく、70〜150であるのがより好ましい。
1が結合している位置としては、少なくともパラ位に結合しているのが好ましい。
nは、0〜5の整数を示し、0〜2の整数であるのが好ましく、0または1であるのがより好ましく、いずれも1であるのがさらに好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、R1の少なくとも2つが同じ構造であるのが好ましい。さらに、nは、いずれも1であり、4つのR1の少なくとも2つずつがそれぞれ同じ構造であるのがより好ましく、nは、いずれも1であり、4つのR1が同じ構造であるのがさらに好ましい。一般式(1)が有する重合性基は、(メタ)アクリロイル基またはエポキシ基であるのが好ましく、(メタ)アクリロイル基であるのがより好ましい。一般式(1)が有する重合性基の数は、2つ以上であるのが好ましく、3つ以上であるのがより好ましい。また、一般式(1)が有する重合性基の数の上限は特に定めるものではないが、8つ以下であるのが好ましく、6つ以下であるのがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物の分子量は、600〜1400が好ましく、800〜1200がより好ましい。
以下に、一般式(1)で表される化合物における3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーの具体例を示すが、一般式(1)で表される化合物における3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーは、これに限定されない。また、以下の3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーでは、一般式(1)の4つのnがいずれも1の場合を例示しているが、一般式(1)の4つのnのうち、1つまたは2つまたは3つが0のものや、一般式(1)の4つのnのうち、1つまたは2つまたは3つ以上が2つ以上のもの(Rが1つの環に、2つ以上結合しているもの)も、一般式(1)で表される化合物における3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとして例示される。
一般式(1)で表される化合物における3官能以上の(メタ)アクリレートモノーは、市販品として入手できる。
また、一般式(1)で表される化合物における3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーは、公知の方法で合成できる。これらの(メタ)アクリレートモノマーを合成する際には、通常、目的とする(メタ)アクリレートモノマーとは異なる異性体等も生成する。これらの異性体を分離したい場合は、カラムクロマトグラフィによって分離できる。
本発明においては、このような3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーの中でも、DPHA、および、前述の一般式(1)で示される化合物における3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー等は、好適に利用される。
このような3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーは、複数を併用してもよい。
有機層82の成膜方法(形成方法)には、特に限定はなく、公知の有機物の膜の成膜方法が、全て利用可能である。
一例として、有機物や有機物モノマー、さらには重合開始剤等を溶媒に溶解(分散)して調製した塗料を、ロールコート、グラビアコート、スプレーコート、等の公知の塗布手段で被処理物Zに塗布して、乾燥し、必要に応じて、加熱、紫外線照射、電子線照射等によって硬化する、塗布法が例示される。また、有機物あるいは前記塗布法と同様の塗料を蒸発させて、その蒸気を支持体Z0に付着させて、冷却/凝縮して液体状の膜を形成し、この膜を紫外線や電子線によって硬化することで成膜を行なう、フラッシュ蒸着法も好適に利用可能である。また、シート状に成形した有機層82を転写する転写法も利用可能である。
また、有機層82を形成するための塗料に含まれる光重合開始剤としては、BASF社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が挙げられる。
有機層82の厚さには、特に限定はなく、支持体Z0の表面性状や厚さ、要求されるガスバリア性等に応じて、適宜、設定すればよいが、0.1〜50μmが好ましい。
有機層82の厚さを、上記範囲とすることにより、支持体Z0の表面に存在する凹凸をより確実に包埋して無機層84の成膜面を好適に平坦にできる、密着性、柔軟性を向上できる、高い透明性を保つことができる等の点で、好ましい結果を得ることができる。
なお、本発明において、有機層82は、1つの有機物の膜で形成されるのに限定はされず、複数の有機物の膜によって、有機層82を形成してもよい。
例えば、塗布法で成膜した有機物の膜の上に、フラッシュ蒸着で成膜した有機物の膜を設け、この2層の有機膜によって、有機層82を形成してもよい。
また、図3に示すガスバリアフィルム90のように、複数の有機層82を有する場合には、各有機層の形成材料は同じであっても異なっていてもよい。生産性等の観点から同じであるのが好ましい。また、各有機層の厚みも同じであっても異なっていてもよい。
〔無機層〕
無機層84は、支持体Z0の表面あるいは有機層82の表面に形成されるものであり、主にガスバリア性を発現する層である。
無機層84の形成材料は、所望のガスバリア性を得られ、窒化ケイ素を含有した材料であればよく、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)等が挙げられる。
無機層84の成膜方法(形成方法)には、特に限定はないが、下地となる有機層82(支持体Z0)との界面に混合層86を形成する観点から、原料ガスをプラズマ励起電力によってプラズマ状態にして有機層82の表面に無機層84を成膜するものであるのが好ましい。具体的には、CCP(Capacitively Coupled Plasma 容量結合型プラズマ)−CVD(chemical vapor deposition)等のプラズマCVDが好ましい。
無機層84の厚さは、10〜60nmとするのが好ましい。
無機層84の厚さを10nm以上とすることにより、十分なガスバリア性を安定して確保することができる。また、ガスバリア性は、基本的に、無機層84が厚い方が好ましいが、60nmを超えると柔軟性が低下してわれやすくなるため、60nm以下とすることにより、無機層84の柔軟性を確保できると同時に割れ等を好適に防止することができる。
また、上記利点を、より好適に得られる等の点で、無機層84の厚さは、より好ましくは、15〜50nmである。
また、図3に示すガスバリアフィルム90のように、複数の無機層84を有する場合には、各無機層の形成材料は同じであっても異なっていてもよい。生産性等の観点から同じであることが好ましい。また、各無機層の厚みも同じであっても異なっていてもよい。
また、複数の無機層を有する場合には、少なくとも1層が、ケイ素を含有する層であればよい。すなわち、無機層として酸化アルミニウム膜、酸化チタン膜等を有していてもよい。
〔混合層〕
有機層82と無機層84との界面には、混合層86が形成される。
混合層86とは、有機層82に由来する成分と、無機層84に由来する成分とを含む層である。したがって、無機層84に由来する成分が無くなった位置(面)が、有機層82と混合層86との境界であり、有機層82に由来する成分が無くなった位置(面)が、無機層84と混合層86との境界である。無機層84は、ケイ素を含有するので、無機層84に由来する成分は、ケイ素等である。また、有機層82に由来する成分は、炭素等である。
ガスバリアフィルム80は、有機層82と無機層84との間に、有機層82および無機層84に由来する成分を含む混合層86が形成されて、有機層82と無機層84との明確な界面が無い状態に形成されている。
有機層82と無機層84との間に、有機層82と無機層84の成分が混合された層である混合層86が形成されることにより、有機層82と無機層84との間に、明確な界面が存在しなくなり、有機層82と無機層84とが混合層86を介して化学的に結合され、強力な密着力を得ることができる。
ここで、前述のとおり、本発明においては、混合層86中にCNO結合成分が90%以上存在する。これにより、ケイ素原子(Si)と窒素原子(N)とが化学的に結合しやすくなり、有機層82の成分と無機層84の成分との化学的な結合の割合が増加して、より緻密な膜が得られると考えられる。そのため、無機層84と有機層82との密着力が高くなり耐久性が向上すると考えられる。また、無機膜84の微小な欠陥が減少しガスバリア性が向上すると考えられる。
混合層86の厚みは、5〜40nmであるのが好ましい。
有機化合物からなる有機層82と窒化シリコンを主成分とする無機層84とでは組成が異なるため密着性が低く、また、密度差があり柔軟性に差がある。そのため、有機層82と無機層84との間の混合層86の厚みが5nmより小さいと、密着性を十分に向上することができず、また、有機層82と無機層84との密度差を吸収し、柔軟性を確保することができない。厚みが5nm以上の混合層86を形成することにより、有機層82と無機層84の密着性を向上することができると共に、有機層82と無機層84との密度差を吸収し、柔軟性を確保することができる。
また、混合層86の厚みが40nmを超えると、成膜レートが低下してしまい、ガスバリアフィルムの生産効率が低下してしまう。そのため、40nm以下とすることにより、生産効率を低下させることなく、好適なガスバリアフィルムを製造することができる。
また、上記利点を、より好適に得られる等の点で、混合層86の厚さは、より好ましくは、10〜30nmである。
無機層84および混合層86の厚さは、ガスバリアフィルム80の無機層84側の表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光装置)によって元素分析を行って、シリコンと炭素の有無を観察する方法により求めることができる。あるいは、ガスバリアフィルム80を厚さ方向に断面を取って、この断面を電子顕微鏡で観察して測定する方法により求めることができる。
[ガスバリアフィルムの製造方法]
次に、本発明のガスバリアフィルムの製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)について説明する。
本発明の製造方法は、
無機層の下地となる有機物の表面を、水素ガス、および、窒素原子を含むガスを用いてプラズマ処理するプラズマ処理工程と、
プラズマ処理工程の後に、有機物の表面に無機層を成膜する無機層形成工程と、を有するガスバリアフィルムの製造方法である。
また、無機層形成工程は、シランガス、水素ガス、および窒素原子を含むガスを含む原料ガスをプラズマ励起電力によってプラズマ状態にして有機物の表面に無機層を成膜するものであるのが好ましい。
図4に、本発明の製造方法を実施する成膜装置の一例を概念的に示す。図4に示す成膜装置10は、プラズマ処理工程と無機層形成工程とを連続的に行なう、ロール・ツー・ロールの成膜装置である。
図示例の成膜装置10は、長尺な被処理物Z(フィルム原反)を長手方向に搬送しつつ、有機物からなる表面を有する被処理物Zの表面に、水素ガス、および、窒素原子を含むガスを用いてプラズマ処理するプラズマ処理工程と、プラズマCVDによって、有機物の表面に無機層を成膜する無機層形成工程とを行なうことによって、目的とする機能を発現する層(無機層および混合層)を成膜(製造/形成)して、ガスバリアフィルムを製造するものである。
また、この成膜装置10は、長尺な被処理物Zをロール状に巻回してなる基板ロール32から被処理物Zを送り出し、長手方向に搬送しつつ機能膜を成膜して、機能膜を成膜した被処理物Z(すなわち、ガスバリアフィルム)をロール状に巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll、以下、RtoRともいう)による成膜を行なう装置である。
被処理物Zは、支持体Z0であってもよく、図1に示すように、支持体Z0の上に有機層82を形成してなるものであってもよい。あるいは、図4に示すように、支持体Z0の上に有機層82a、混合層86a、無機層84a、および、有機層82bを形成してなるものであってもよい。
なお、以下の例では、支持体Z0の表面に有機層82を形成してなるものを被処理物Zとして処理するものとして説明を行う。
図4に示す成膜装置10は、真空チャンバ12と、この真空チャンバ12内に形成される、巻出し室14と、成膜室18と、ドラム30とを有して構成される。
成膜装置10においては、長尺な被処理物Zは、巻出し室14の基板ロール32から供給され、ドラム30に巻き掛けられた状態で長手方向に搬送されつつ、成膜室18において、プラズマ処理工程および無機層形成工程を施されて、次いで、再度、巻出し室14に搬送されて巻取り軸34に巻き取られる(ロール状に巻回される)。
ドラム30は、中心線を中心に図中反時計方向に回転する円筒状の部材である。
ドラム30は、後述する巻出し室14のガイドローラ40aよって所定の経路で案内された被処理物Zを、周面の所定領域に掛け回して、所定位置に保持しつつ長手方向に搬送して、成膜室18内に搬送して、再度、巻出し室14のガイドローラ40bに送る。
なお、ドラム30は、好ましい態様として温度調節機能を有していてもよい。
ここで、ドラム30は、後述する成膜室18のシャワー電極20およびシャワー電極70の対向電極としても作用するものである。すなわち、ドラム30とシャワー電極20とで電極対を構成し、また、ドラム30とシャワー電極70とで電極対を構成する。
また、ドラム30には、バイアス電源48が接続されている。
バイアス電源48は、ドラム30にバイアス電力を供給する電源である。
バイアス電源48は、基本的に、各種のプラズマCVD装置で利用されている、公知のバイアス電源である。
ここで、本発明のガスバリアフィルムの製造方法において、バイアス電源48がドラム30に供給するバイアス電力は、プラズマ励起電力よりも低い、0.1〜1MHz程度の周波数の電力であり、後述する高周波電源60がシャワー電極20に供給するプラズマ励起電力に対して、0.02〜0.5倍の電力である。
この点に関しては、後に詳述する。
巻出し室14は、真空チャンバ12の内壁面12aと、ドラム30の周面の一部と、内壁面12aからドラム30の周面の近傍まで延在する隔壁36aおよび隔壁36bとによって構成される。
ここで、隔壁36aおよび隔壁36bの先端(真空チャンバ12の内壁面と逆端)は、搬送される被処理物Zに接触しない可能な位置まで、ドラム30の周面に近接し、巻出し室14と、成膜室18とを、略気密に分離する。
このような巻出し室14は、前述の巻取り軸34と、ガイドローラ40aおよび40bと、回転軸42と、真空排気手段46とを有する。
ガイドローラ40aおよび40bは、被処理物Zを所定の搬送経路で案内する通常のガイドローラである。また、巻取り軸34は、成膜済みの被処理物Zを巻き取る、公知の長尺物の巻取り軸である。
図示例において、長尺な被処理物Zをロール状に巻回してなるものである基板ロール32は、回転軸42に装着される。基板ロール32が、回転軸42に装着されると、被処理物Zは、ガイドローラ40a、ドラム30、および、ガイドローラ40bを経て、巻取り軸34に至る、所定の経路を通される(挿通される)。
成膜装置10においては、基板ロール32からの被処理物Zの送り出しと、巻取り軸34における成膜済み被処理物Zの巻き取りとを同期して行なって、長尺な被処理物Zを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、成膜室18における成膜等を行なう。
真空排気手段46は、巻出し室14内を所定の真空度に減圧するための真空ポンプである。真空排気手段46は、巻出し室14内を、成膜室18の圧力(成膜圧力)に影響を与えない圧力(真空度)にする。
被処理物Zの搬送方向において、巻出し室14の下流には、成膜室18が配置される。
成膜室18は、内壁面12aと、ドラム30の周面の一部と、内壁面12aからドラム30の周面の近傍まで延在する隔壁36aおよび隔壁36bとによって構成される。
成膜装置10において、成膜室18は、シャワー電極70と、処理ガス供給手段72と、高周波電源74と、シャワー電極20と、原料ガス供給手段58と、高周波電源60と、真空排気手段62とを有する。
シャワー電極70は、成膜装置10において、被処理物Zの表面をプラズマ処理する際に、ドラム30と共に電極対を構成するものである。図4に示す例において、シャワー電極70は、一例として、中空の略直方体状であり、1つの最大面である放電面をドラム30の周面に対面して配置される。また、ドラム30との対向面である放電面には、多数の貫通穴が全面的に形成される。シャワー電極70は、その放電面と、電極対を形成するドラム30の周面との間でプラズマを生成する。
処理ガス供給手段72は、プラズマCVD装置等の真空成膜装置に用いられる公知のガス供給手段であり、シャワー電極70の内部に、処理ガスを供給する。
前述のように、シャワー電極70のドラム30との対向面には、多数の貫通穴が供給されている。従って、シャワー電極70に供給された処理ガスは、この貫通穴から、シャワー電極70とドラム30との間に導入される。
処理ガスは、水素ガス、および、窒素原子を含むガスを含むガスである。窒素原子を含むガスとしては、例えば、窒素ガス(N2)、アンモニアガス(NH3)、亜酸化窒素(N2O)等が挙げられる。
高周波電源74は、シャワー電極70に、プラズマ励起電力を供給する電源である。高周波電源74も、各種のプラズマCVD装置で利用されている、公知の高周波電源が、全て利用可能である。
処理ガス供給手段72から水素ガス、および、窒素原子を含むガスを含む処理ガスをシャワー電極70とドラム30との間の空間に供給し、高周波電源74がシャワー電極70にプラズマ励起電力を供給する。これにより、シャワー電極70とドラム30との間の空間で処理ガスをプラズマ状態にする。ドラム30に巻き掛けられてドラム30とシャワー電極70との間を搬送される被処理物Zは、プラズマ状態にされた処理ガスによって有機層82の表面をプラズマ処理される。
前述のとおり、プラズマ処理前の有機層82の表面には、炭素原子(C)、水素原子(H)および酸素原子(O)が存在し、これらが化学結合している。この有機層82にプラズマ処理を行うと、表面の分子の化学結合が切断され、新たにCとNとOが結合し、CNO結合成分が生成される。これにより、混合層86中におけるCN結合成分およびCNO結合成分の合計に対するCNO結合成分の割合を90%以上とすることができる。
高周波電源74が供給するプラズマ励起電力の周波数、電力および処理時間等は、混合層86中のCNO結合成分の割合が90%以上となるように適宜設定すればよい。
シャワー電極20は、成膜装置10において、CCP−CVDによって、被処理物Zの表面に成膜を行なう際に、ドラム30と共に電極対を構成するものである。図4に示す例において、シャワー電極20は、一例として、中空の略直方体状であり、1つの最大面である放電面をドラム30の周面に対面して配置される。また、ドラム30との対向面である放電面には、多数の貫通穴が全面的に形成される。シャワー電極20は、その放電面と、電極対を形成するドラム30の周面との間で、成膜のためのプラズマを生成し、成膜領域を形成する。
原料ガス供給手段52は、プラズマCVD装置等の真空成膜装置に用いられる公知のガス供給手段であり、シャワー電極20の内部に、原料ガスを供給する。
前述のように、シャワー電極20のドラム30との対向面には、多数の貫通穴が供給されている。従って、シャワー電極20に供給された原料ガスは、この貫通穴から、シャワー電極20とドラム30との間に導入される。
高周波電源60は、シャワー電極20に、プラズマ励起電力を供給する電源である。高周波電源60も、各種のプラズマCVD装置で利用されている、公知の高周波電源が、全て利用可能である。
さらに、真空排気手段62は、プラズマCVDによるガスバリア膜の成膜のために、成膜室18内を排気して、所定の成膜圧力に保つものであり、真空成膜装置に利用されている、公知の真空排気手段である。
原料ガス供給手段52からシランガス、水素ガス、および、窒素原子を含むガスを含む原料ガスをシャワー電極20とドラム30との間の空間に供給し、高周波電源60がシャワー電極20にプラズマ励起電力を供給する。これにより、シャワー電極20とドラム30との間の空間で原料ガスをプラズマ状態にする。ドラム30に巻き掛けられてドラム30とシャワー電極20との間を搬送される被処理物Zの表面に、プラズマ状態にされた原料ガスが析出して薄膜(無機層)が成膜される。
その際、プラズマ励起電力によってイオン化された原料ガスが被処理物Z側に引っ張られ、有機層82内に引き込まれることで、有機層82と無機層84との間に、混合層86が形成される。
ここで、前述のとおり、無機層形成工程の前に、プラズマ処理工程を行なって、被処理物の表面を活性化して、CNO結合成分の割合を増加させているので、無機層形成工程によって形成された混合層86中におけるCN結合成分およびCNO結合成分の合計に対するCNO結合成分の割合を90%以上とすることができる。CNO結合成分の割合が多い有機層82の表面に無機層84を成膜するとCNO結合成分の窒素原子(N)と、無機層84のケイ素原子(Si)とが化学的に結合しやすくなるため、緻密な無機層84が得られる。そのため、無機層84と有機層82との密着力が高くなり耐久性が向上する。また、無機膜84の微小な欠陥が減少しガスバリア性が向上する。
ここで、本発明の製造方法においては、高周波電源60が、電極対の一方であるシャワー電極20に対して、10〜100MHzの高周波のプラズマ励起電力を供給し、バイアス電源48が、シャワー電極20と電極対を構成するドラム30に対して、0.1〜1MHzの低い周波数で、プラズマ励起電力の0.02〜0.5倍のバイアス電力を供給し成膜を行うことが好ましい。
CCP−CVDによって、被処理物Z上に窒化ケイ素膜等の無機層を成膜する際に、シャワー電極20と電極対を構成するドラム30に対して、0.1〜1MHzの低い周波数で、プラズマ励起電力の0.02〜0.5倍のバイアス電力を供給すると、プラズマ励起電力によってイオン化された原料ガスが被処理物Z側に引っ張られ、有機層82内に引き込まれるので、ある程度の厚みのある、すなわち5〜40nmの厚みの混合層86を形成することができる。
バイアス電力が、プラズマ励起電力の0.02倍以下の場合には、十分な厚さの混合層を形成することができず柔軟性が低下するおそれがあり、また、無機層の膜密度が低くなり十分なガスバリア性を得ることができないおそれがある。
また、バイアス電力が、プラズマ励起電力の0.5倍以上の場合には、無機層の膜密度が高くなりすぎて柔軟性が低下するおそれがある。また、形成される混合層の厚さが厚くなりすぎて、十分な厚さの無機膜が成膜されるまでにより長い時間が必要となるので、成膜レートが低下するおそれがある。
従って、バイアス電力は、プラズマ励起電力の0.02〜0.5倍とすることが好ましい。
また、原料ガス供給手段52が供給する原料ガスは、反応ガスとして、少なくともシランガスと、水素ガスと、窒素原子を含むガスを含むことが好ましい。
窒素原子を含むガスとしては、例えば、窒素ガス(N2)、アンモニアガス(NH3)、亜酸化窒素(N2O)等が挙げられる。
窒素ガス、水素ガスおよび窒素原子を含むガスの流量比は成膜する無機層の組成等に応じて適宜設定すればよい。例えば、窒素原子を含むガスとしてアンモニアガスを含む場合には、シランガスとアンモニアガスの流量比が、SiH:NH=1:1.2〜1:3.0を満たすものであることが好ましい。
シランガスに対するアンモニアガスの流量比NH/SiHを3以下とすることで、無機層の膜中のN/Siの組成比が高くなりすぎるのを抑制し、また、膜密度が高くなりすぎるのを抑制して、耐久性および柔軟性を高くすることができる。一方、シランガスに対するアンモニアガスの流量比NH/SiHを1.2以上とすることで、N/Siの組成比が低くなりすぎるのを抑制して、可視光の透過率を高くすることができる。
従って、シランガスとアンモニアガスの流量比を、SiH:NH=1:1.2〜1:3.0とすることが好ましい。
なお、原料ガスは、必要に応じて、反応ガスに加え、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、ラドンガスなどの不活性ガス等の各種のガスを併用してもよい。
また、成膜室18内の成膜圧力は、絶対圧で10〜80Paとすることが好ましい。成膜圧力が10Pa未満の場合は、成膜レートを高くすることが困難である。また、成膜圧力が80Paを超える場合には、気中で原料ガスの反応が進み、微小粉末が発生してしまうおそれがある。そのため、被処理物Zに成膜される膜の膜質が低下してしまう。
また、上記実施形態においては、好ましい態様として、長尺な基板を、基板の長手方向に搬送しつつ、ドラムに巻き掛けて成膜を行なう、いわゆる、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)の構成としたが、本発明はこれに限定はされず、ロール・ツー・ロールの装置であって、成膜室に、対面して配置される板状の電極対を設け、この電極対の間を、長尺な基板を長手方向に搬送すると共に、基板と電極との間に原料ガスを供給してプラズマ処理工程および無機層形成工程を行なう構成としてもよい。
また、本発明の製造方法においては、プラズマ処理工程の前に、被処理物Zを加熱する工程を有していてもよい。すなわち、図4に示す成膜装置においてシャワー電極70よりも上流側にヒーター等の加熱手段を有していてもよい。プラズマ処理工程の前に被処理物Zを加熱することで、有機層82の表面をより活性化することができる。
[電子デバイス]
本発明の電子デバイスは、上述したガスバリアフィルムを用いた電子デバイスである。
例えば、上述したガスバリアフィルムを有機EL(Electroluminescence)用基板として用いて、ガスバリアフィルムの表面上に有機EL素子を形成して有機EL積層体とすることができる。上述したガスバリアフィルムを有機EL用基板として用いることで、可撓性(フレキシビリティ)を付与することができ、かつ、有機EL素子を封止して水分による劣化等を防止することができる。
また、上述したガスバリアフィルムが利用可能な電子デバイスとしては、例えば、有機ELディスプレイ、有機EL照明、有機太陽電池、CIGS(Copper indium gallium selenide)太陽電池等が挙げられる。
以上、本発明のガスバリアフィルム、ガスバリアフィルムの製造方法および電子デバイスについて詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
[実施例1]
図4に示すような成膜装置10を用いて、本発明の製造方法により、被処理物Zに窒化ケイ素膜である無機層84(ガスバリア膜)を形成した。
被処理物Zは、厚み100μmのPENフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製Q65HWA)からなる支持体Z0とした。
<プラズマ処理工程>
プラズマ処理工程における処理条件は以下のようにした。
処理ガスとして、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を用いた。窒素ガスの流量は400sccm、水素ガスの流量は1000sccmとした。
なお、単位sccmで表す流量は、1013hPa、0℃における流量(cc/min)に換算した値である。
高周波電源74として、周波数13.56MHzの高周波電源を用い、シャワー電極70に4kWの電力を供給した。
バイアス電源48として、周波数0.4MHzの高周波電源を用い、ドラム30に0.2kWの電力を供給した。
ドラム30の温度は60℃とした。
真空チャンバ内の圧力が50Paとなるように、真空チャンバ内の排気を調整した。
また、被処理物Zの搬送速度は、8.0m/minとした。
<無機層形成工程>
無機層形成工程における処理条件は以下のようにした。
原料ガスとして、シランガス(SiH4)、水素ガス(H2)および亜酸化窒素ガス(N2O)を用いた。シランガスの流量は100sccm、水素ガスの流量は1000sccm、酸化窒素ガスの流量は200sccmとした。
高周波電源60として、周波数13.56MHzの高周波電源を用い、シャワー電極20に6.5kWの電力を供給した。
バイアス電源48の周波数および電力、ドラム30の温度、真空チャンバ内の圧力、搬送速度は、プラズマ処理工程と同様である。
このような条件の下、成膜装置10において、被処理物Zにプラズマ処理および無機膜の成膜を10m行いガスバリアフィルムを作製した。成膜される無機層は酸窒化ケイ素膜(SiON)である。
作製したガスバリアフィルムの混合層86中のCNO結合成分の割合を以下のようにして測定した。
まず、ダイプラ・ウィンテス株式会社製DN−20Sを用いてSAICAS(Surface And Interfacial Cutting Analysis System)法により、ガスバリアフィルムを斜めに切削して試料面を広くした。
次に、ION−TOF社製TOF−SIMS IV用いてTOF−SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)により、試料面の混合層86の厚み方向の中央部分±10%の領域で、CN結合成分およびCNO結合成分を検出した。
検出結果から、CN結合成分およびCNO結合成分の合計に対するCNO結合成分の割合を求めた。その結果、CNO結合成分の割合は90%であった。
[評価]
作製したガスバリアフィルムの作製直後(0hr)、85℃で相対湿度85%の環境下に200時間放置した後、Φ6mmの円柱状の棒に巻付け、次いで、広げる行為を1000回行なった後(200hr)、および、85℃で相対湿度85%の環境下に500時間放置した後、Φ6mmの円柱状の棒に巻付け、次いで、広げる行為を1000回行なった後(500hr)、において、密着性およびガスバリア性を評価した。
<密着性>
密着性は、サンプルを用いて、1mm幅で100マスのクロスカット試験(JIS−K5600−5−6(1999))を行い、剥離しなかったマスの数により評価した。
密着性の評価基準は以下である。なお、A〜Bが合格にあたり、Cが不合格にあたる。
A:100
B:1以上99以下
C:0
<ガスバリア性>
ガスバリア性は、カルシウム腐食法(特開2005−283561号公報に記載される方法)によって水蒸気透過率[g/(m2・day)]を測定することで評価した。
[実施例2]
プラズマ処理工程において以下に示す処理ガスを用いた以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。
<プラズマ処理工程>
プラズマ処理工程における処理ガスとして、亜酸化窒素ガス(N2O)および水素ガス(H2)を用いた。亜酸化窒素ガスの流量は400sccm、水素ガスの流量は1000sccmとした。
[実施例3]
被処理物Zは、支持体Z0であるPENフィルムの表面に以下に示す有機層82を形成したものを用いた以外は実施例2と同様にしてガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。
<有機層>
支持体Z0の表面に、以下の塗料を塗布し、乾燥および光硬化させて、支持体Z0の表面に、厚み2μmの有機層82を形成した。
有機層82を形成する塗料は、下記の各成分を混合して調製した。
・アクリルモノマーTMPTA(新中村化学工業株式会社製) 95.5wt%
・光重合開始剤(Lanberti社製 KTO46) 4.5wt%
[実施例4]
無機層形成工程において以下に示す処理ガスを用いた以外は実施例3と同様にしてガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。成膜される無機層は窒化ケイ素膜(SiN)である。
<無機層形成工程>
無機層形成工程における原料ガスとして、シランガス(SiH4)、アンモニアガス(NH3)および水素ガス(H2)を用いた。シランガスの流量は100sccm、アンモニアガスの流量は200sccm、水素ガスの流量は1000sccmとした。
[実施例5〜7]
プラズマ処理工程において以下に示す処理ガスを用いた以外はそれぞれ実施例2〜4と同様にしてガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。
<プラズマ処理工程>
プラズマ処理工程における処理ガスとして、アンモニアガス(NH3)および水素ガス(H2)を用いた。アンモニアガスの流量は400sccm、水素ガスの流量は1000sccmとした。
[実施例8]
プラズマ処理工程の前に、ヒーターを用いて被処理物Zを60℃に加熱した以外は実施例7と同様にしてガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。
[実施例9]
実施例7で作製したガスバリアフィルムの無機層84aの表面に、さらに、有機層82b(以下、第2の有機層82bともいう)を形成し、支持体Z0の表面に有機層82a、無機層84aおよび第2の有機層82bが積層されたものを被処理物Zとして再度、プラズマ処理工程および無機層形成工程を行なった。すなわち、図3に示すような2組の有機層82および無機層84を有するガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。
プラズマ処理工程および無機層形成工程の処理条件は実施例7と同様とした。
<第2の有機層>
無機層84aの表面に、以下の塗料を塗布し、乾燥および光硬化させて、厚み0.5μmの第2の有機層82bを形成した。
第2の有機層82bを形成する塗料は、下記の各成分を混合して調製した。
・アクリルモノマー 下記化合物EA 56.2wt%
・アクリルモノマーTMPTA(新中村化学工業株式会社製) 19.7wt%
・アクリルポリマー8BR500MB(大成ファインケミカル株式会社製)
3.0wt%
・シランカップリング剤KBM5103(信越化学工業株式会社製)
19.5wt%
・光重合開始剤(Lanberti社製 KTO46) 1.6wt%
化合物EA
[実施例10]
プラズマ処理工程の前に、ヒーターを用いて被処理物Zを60℃に加熱した以外は実施例9と同様にしてガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。
[比較例1〜3]
プラズマ処理工程を行なわず(高周波電源74の電力を0Wとし)、無機層形成工程の際のドラム30の温度を30℃とし、高周波電源60が、シャワー電極20に供給する電力を2kWとした以外はそれぞれ実施例2〜4と同様にしてガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。
[比較例4]
無機層形成工程の際のドラム30の温度を−20℃とし、バイアス電源48がドラム30に供給する電力を0.5kWとし、高周波電源60が、シャワー電極20に供給する電力を3kWとし、原料ガスとして、シランガス(SiH4)、アンモニアガス(NH3)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を用いた以外は比較例3と同様にしてガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。
シランガスの流量は100sccm、アンモニアガスの流量は200sccm、窒素ガスの流量は500sccm、水素ガスの流量は500sccmとした。
[比較例5]
プラズマ処理工程を行なわない(高周波電源74の電力を0Wとした)以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを作製し、密着性およびガスバリア性を評価した。
各実施例および比較例のプラズマ処理工程の条件を表1に、無機層形成工程の条件を表2に、評価結果を表3に示す。なお、表3の層構成の項目において、支持体に直接形成される有機層をUCと示し、無機層の上に形成される有機層(第2の有機層)をMCと示す。
表3に示されるように、本発明の実施例である実施例1〜10は、比較例に比べて密着性およびガスバリア性が高く、また、200hrおよび500hrにおいても密着性およびガスバリア性の低下が少なく耐久性が高いことがわかる。
また、実施例1、2および5の対比から、プラズマ処理工程の処理ガスとしてアンモニアガスを含むことが好ましいことがわかる。
また、実施例2および3の対比、ならびに、実施例5および6の対比から、下地となる有機層を有するのが好ましいことがわかる。また、有機層が(メタ)アクリレートと光重合開始剤の反応物を有するのが好ましいことがわかる。
また、実施例3および4の対比、ならびに、実施例6および7の対比から、無機層が窒化ケイ素を含むことが好ましいことがわかる。
実施例7および8の対比、ならびに、実施例9および10の対比から、プラズマ処理工程の前に被処理物を加熱する工程を有するのが好ましいことがわかる。
また、実施例7および9の対比、ならびに、実施例8および10の対比から、下地となる有機層と無機層との組み合わせを2組以上有するのが好ましいことがわかる。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
10 成膜装置
12 真空チャンバ
12a 内壁面
14 巻出し室
18 成膜室
20、70 シャワー電極
30 ドラム
32 基板ロール
34 巻取り軸
36a、36b 隔壁
40a、40b ガイドローラ
42 回転軸
46、62 真空排気手段
48 バイアス電源
58 原料ガス供給手段
60、74 高周波電源
72 処理ガス供給手段
80、90、92 ガスバリアフィルム
82、82a、82b 有機層
84、84a、84b 無機層
86、86a、86b 混合層
Z 被処理物
支持体

Claims (11)

  1. 支持体と、
    前記支持体に支持され、下地となる有機物の表面に形成される少なくとも1つの無機層と、
    少なくとも1組の前記有機物と前記無機層との界面に形成される混合層と、を有し、
    前記無機層は、ケイ素を含有し、
    前記混合層は、前記有機物に由来する成分と前記無機層に由来する成分とを含有し、
    前記混合層中には、炭素、窒素および酸素が化学結合したCNO結合成分が存在し、CN結合成分および前記CNO結合成分の合計に対する前記CNO結合成分の割合が90%以上であるガスバリアフィルム。
  2. 前記有機物が前記支持体の成分であり、
    前記無機層が前記支持体の表面に直接形成されて、前記支持体と前記無機層との界面に前記混合層が形成されている請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記支持体と前記無機層との間に形成される有機層を有し、
    前記有機物が前記有機層の成分であり、
    前記無機層が前記有機層の表面に直接形成されて、前記有機層と前記無機層との界面に前記混合層が形成されている請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記無機層と前記無機層の下地となる前記有機物との組み合わせを2以上有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記有機物が(メタ)アクリレートと光重合開始剤との反応物を含むものである請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  6. 前記無機層が窒化ケイ素を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
    無機層の下地となる有機物の表面を、水素ガス、および、窒素原子を含むガスを用いてプラズマ処理するプラズマ処理工程と、
    前記プラズマ処理工程の後に、前記有機物の表面に前記無機層を成膜する無機層形成工程と、を有するガスバリアフィルムの製造方法。
  8. 前記プラズマ処理工程において、前記窒素原子を含むガスは、アンモニアガスである請求項7に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  9. 前記無機層形成工程は、シランガス、水素ガス、および窒素原子を含むガスを含む原料ガスをプラズマ励起電力によってプラズマ状態にして前記有機物の表面に前記無機層を成膜するものである請求項7または8に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  10. 前記窒素原子を含むガスは、アンモニアガスである請求項9に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムを用いた電子デバイス。
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