JP2019042640A - マイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法及び装置 - Google Patents

マイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】連続的かつ工業的に成立し得る高速液液抽出プロセスの提供。【解決手段】原料水溶液が高圧環境に連続供給され、別途高圧二酸化炭素が高圧環境に連続供給され、それぞれの高圧流体がマイクロ混合器により混合される。混合後の流体は任意の滞留時間を有する滞留管を経て、混合器及び滞留部の圧力を制御する第1圧力制御弁を通過し、流体を減圧して分離器に供給される。分離器内では上部から高圧二酸化炭素と抽出対象物が排出されるよう圧力を制御する第2圧力制御弁を与えられる。第2圧力制御弁で減圧後、高圧二酸化炭素中に溶解する抽出対象物が析出することを抑制する析出抑制流体を第2圧力制御弁の上流で混合し、分離器内の液面レベルを検知する液面検知手段を分離器に与える。また分離器の液面レベルを一定とするように分離器の下部にレベル制御弁を有して下部から抽出後の水溶液を排出する。【選択図】図1

Description

本発明は、水溶液中に含まれる有価物を高圧二酸化炭素によって液液抽出する方法及び装置に関し、特に、両流体の混合にマイクロ混合器を用いて迅速、かつ均一に混合させて、瞬時に抽出平衡状態に到達させて、その後分離器で上部に高圧二酸化炭素と抽出対象物、下部に抽出後の水溶液に分離する液液抽出方法及び装置に関する。
超臨界状態を含む高圧二酸化炭素の密度、粘度、及び誘電率は、ベンゼンやヘキサン、トルエンなどの低極性有機溶剤とほとんど同じ値となるため、低極性有機溶剤の代替が可能となる。また、二酸化炭素が溶媒特性を有するのは高圧環境下のみであり、大気圧に減圧すると溶媒特性を失う。更に、大気温度により瞬時に気化するため、高圧二酸化炭素中に溶解していた化学物質との分離が容易で、かつ乾燥のエネルギーが不要となる。このような特徴を利用して食品分野の抽出技術として古くから研究され、一部実用化されている。代表的な実用化例は、コーヒー豆からカフェインを抽出し、カフェインレスコーヒーと天然物由来のカフェインを得る技術(非特許文献1)、生姜パウダーから生姜エキスを抽出する技術(特許文献1)、マヨネーズからコレステロールを抽出する技術(特許文献2)などがある。
これらは食品であるため被抽出物、若しくは抽出残物が直接体内に取り込まれる。既存の有機溶剤を使った抽出プロセスでは残留溶剤が懸念され、高圧二酸化炭素を溶媒として使う技術の方が本質的に安全性を確保し得る。また、食品以外にも医製薬や化粧品なども同様に、直接体内に取り込まれる製品の抽出技術にも高圧二酸化炭素の溶媒特性を利用するプロセスの実現可能性は高いと考えられる。
現状の食品、医製薬、化粧品の製造プロセスでも得られる化学物質の抽出には、従来から用いられている有機溶剤が使用されている。目的抽出物の溶解度パラメーター(SP値)に対して少量添加で最大溶解度を得られるような単一溶媒、若しくは混合溶媒の設計、また溶媒抽出した後、凍結乾燥、減圧蒸留などにより抽出対象物が熱変性を受けないように溶剤を分離し、かつ体内に取り込んで問題のないような溶媒に転換することを志向している。この製造プロセスにおいて、残留溶剤リスクを極力低減する対策がGMP(Good Manufacturing Process)基準として定められている。
すでに実用化されているコーヒー豆からカフェインを抽出する装置フローについて図3に示した。
凝縮器に供給された高圧二酸化炭素は十分に冷却され、凝縮器内の温度を一定にすることで、その温度での飽和蒸気圧力に制御される。例えば、5℃に制御すると、4MPaで一定となる。液体二酸化炭素を高圧吐出する高圧ポンプ内でベーパーロックを生じないように過冷却状態に冷却するため、凝縮器と高圧ポンプの間に予冷却器が設けられ、十分に液化冷却された二酸化炭素を高圧二酸化炭素ポンプで高圧吐出する。高圧吐出された高圧二酸化炭素は、加熱器により31℃以上に加熱されると超臨界二酸化炭素となる。抽出対象物を含む固体原料は抽出槽に充填されており、抽出槽下部より高圧二酸化炭素が供給されて、固形原料中に高圧二酸化炭素が含浸して、固形原料中の抽出対象物を表面まで移動させ、固体外部の高圧二酸化炭素に溶解させて抽出を行う。
高圧二酸化炭素中に溶解した抽出対象物は、抽出槽の圧力を一定に制御する背圧弁を経て蒸発器に流入する。蒸発器圧力は抽出槽に比べて低く、かつ凝縮器と連結されているため凝縮器と同じ圧力になり、かつ同じ温度となる。抽出槽出口の背圧弁上流の温度、圧力によって、減圧後の気液割合が決定される。抽出対象物は高圧環境では高圧二酸化炭素中に溶解しているが、圧力を下げることにより二酸化炭素が気液に分離し、気体二酸化炭素中の溶解度は瞬時に低下し、抽出対象物は液体二酸化炭素中に溶解、若しくは同伴される。従って、蒸発器下部に液体二酸化炭素と抽出対象物が存在するようになるため、蒸発器下部から定期的にブローすることで抽出対象物と液体二酸化炭素が排出され、瞬時に液体二酸化炭素は気体二酸化炭素に蒸発するため抽出対象物を回収することができる。
高圧二酸化炭素抽出プロセスのほとんどは、二酸化炭素を再利用する必要があるため、蒸発器内部に加熱手段として内部加熱器を設ける、若しくは蒸発器外周からの加熱などにより、高圧二酸化炭素回収系の温度、圧力(ここでは5℃、4MPa)で液体二酸化炭素を蒸発させる必要がある。そのためには液体二酸化炭素の液面レベルを検知する手段が必要となり、その手段は産総研の特許に詳細は記載している(特許文献3)。
蒸発された液体二酸化炭素は、減圧により一部気化した二酸化炭素と共に、蒸気圧分、気液平衡の気相に分配される有機物を溶解しているため、活性炭槽で有機物を除去された後、凝縮器で液化回収され循環再利用される。
現状の食品、医製薬、化粧品の製造プロセスでも得られる化学物質の抽出には、従来から用いられている有機溶剤が使用されている。残留溶剤リスクを極力低減する対策がGMP(Good Manufacturing Process)基準として定められているものの、有機溶剤を使用している限り残留溶剤リスクが排除されることはなかった。そもそも、体内に取り込む製品を製造するプロセスにおいては、有機溶剤を使用しない技術が求められている。
高圧二酸化炭素は、密度、粘度、誘電率が既存の低極性有機溶剤の物性とほぼ同じ値となるため、有機溶剤の代替が可能となる。従って、既存の有機溶剤による抽出技術を高圧二酸化炭素による抽出技術に代替は可能である。
従来から検討されてきた高圧二酸化炭素を用いた抽出技術は、以下に示す実用化にいくつかの障壁があった。
第1に、高圧二酸化炭素への抽出対象物の溶解度が低い点である。無機ガスの中で有機物を溶解できるガスは高圧二酸化炭素以外ないが、高圧二酸化炭素中への有機物の溶解度は高くても1wt%程度と低く、1のカフェインを抽出するために99の高圧二酸化炭素が必要となり、効率的なプロセスは期待できない。これは、抽出対象物を含む固形物の抽出処理量が大きい場合、処理プロセスが大型化する。また、固形物中の抽出対象物濃度が高い場合も、溶解度律速となるためこの場合も処理プロセスが大型化する。いずれも高圧二酸化炭素は循環再利用することが前提の大型装置が必要となる。
第2に、固形物中の抽出対象物を固形物表面に移動させるための物質移動律速である。従来からの高圧二酸化炭素による抽出技術は、抽出対象物は固形物中に含まれる場合が多く、固形物内部に高圧二酸化炭素が浸透し、抽出対象物を同伴して固形物内部を移動し、固形物表面に到達して固形物周囲に存在する高圧二酸化炭素に溶解して抽出される。固形物内部の物質移動が制限されるため、抽出速度は速くない。
第3に、大型圧力容器による設備コストの増大である。固形物を高圧容器に充填して処理をするため、処理量が大きくなると高圧容器が大型化する。高圧容器の円筒胴部の強度計算上、容器内径が大きくなると、比例的に肉厚も厚くなる。高圧容器に用いる材料は鍛造品がほとんどで製造サイズの制限がない継目溶接タイプ(セミシーム)を強度上、使用するケースはほぼない。従って、一品一品、インゴットとして鍛造する必要があるため材料が高価で、かつ鍛造サイズの限界があるため容器サイズに制限が生じる。よって、大処理量プロセスの場合、複数並列化するなどプラントコストは増大する傾向になる。
第4に、固形物を高圧容器に出し入れするため半回分式処理となるため、処理効率は高くない。固形物を出し入れする間は生産時間ではなくロスタイムとなる。
上記課題はあるものの、人の体内に取り込むような対象物、特に食品対象プロセスには、高圧二酸化炭素の溶剤残留の懸念がないことが勝るため、いくつかの適用例で実用化プロセスが稼働している。
近年、原料は固形物を対象にしているものの、疎水性を有する高圧二酸化炭素と親水性を有する水の両方を抽出槽に供給して、例えば抽出槽内で固形物を親水性の水中に保持して、抽出対象物の親水性物質を水中に溶解させ、疎水性を有する高圧二酸化炭素を底部からバブリングして疎水性有機物は高圧二酸化炭素中に溶解させる技術が提案されている(特許文献4)。
しかし、図4に示す通り、特許文献3に記載の方法では、抽出槽内に液面が存在し、その検知手段として液面計や差圧伝送器を使用すると記載されているが、抽出槽内の液面レベルを一定にする手段は開示されていない。さらに、抽出槽内径について、内径変化など液面検知手段が開示されておらず、水と高圧二酸化炭素など密度差が小さい流体同士のレベル変位は小さくなるため、制御性を著しく欠くことが推察される。また、高圧二酸化炭素側の流出ラインに、飛沫同伴される水をトラップする容器を有すると記載があるが、その容器からの水の排出手段が開示されておらず、時間の問題で高圧二酸化炭素回収ラインに本来混入させたくない水が流入する結果を招く。また、当該特許に記載の方法では、分散板を用いて少しでも気液接触効率を向上させる工夫はされているものの、水相の途中に分散板を用いた場合、分散板下部に存在する水と高圧二酸化炭素の接触効率は悪いままであり、気液接触効率が大幅に改善するほどの効果は期待できない。
また、近年マイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出技術に関して報告されている(非特許文献2)。この文献によると、原料水溶液と高圧二酸化炭素と連続供給し、マイクロデバイスで瞬時に平衡に達して、減圧して分離するというマイクロデバイスを用いた液液抽出について報告している。一方、この文献に記載の装置フローから、分離器は通常の縦型円筒容器を用いており、液面レベルを検知して、かつ液面レベルを連続的に制御する機構が示されていない。従って、連続的にかつ工業的に成立し得るプロセスの提案はなされていない。
また、マイクロデバイスを用いた液液平衡の測定に関する報告がされている(非特許文献3〜5)。これらの文献によると、マイクロデバイスで液液は瞬時に平衡状態に到達することが記載されている。この文献に記載の装置フローから、液液平衡のデータを取るために可視化セルを用いており、状態観察に特化している。従って、液面レベルを検知して、かつ液面レベルを連続的に制御する機構が示されていない。
特開2005−143308号公報 特開平5−146276号公報 特開2008−14876号公報 特開2008−55255号公報 特開2008−012453号公報 特開2013−188654号公報 特開2012−086145号公報
Peker, H., Srinivasan, M. P., Smith J. M., Mccoy, B. J., "Caffeine extraction rates from coffee beans with supercritical carbon dioxide", AIChE J. 38 (1992) 761-770. Candela C. D. and Thomas G.,"Procsess intensification by the use of micro device for liquid fractionation with supercritical carbon dioxide, Chem. Eng. Res. Des.108(2016)139-145. M.Togo,Y.Inamori and Y.Shimoyama,"Phase transitions on (liquid + liquid) equilibria for (water + 1-methylnaphthalene + light aromatic hydrocarbon) ternary systems at T = (563, 573, and 583)K", J. Chem. Thermodyn.55(2012)1-6. M.Togo,T.Maeda,A.Ito,Y.Shimoyama,"Phase equilibria for the [{water + 1-methylnaphthalene + p-xylene}] system at T = (573, 623 and 653) K", J. Chem. Thermodyn.61(2013)100-104. M.Togo,T.Maeda,A.Ito,Y.Shimoyama,"Measurement and correlation of phase equilibria for (water + aromatic hydrocarbon) binary mixture at T = (573 to 623) K using microfluidic mixing" J. Chem. Thermodyn.67(2013)247-252. K.Brudi, N.Dahmen, H. Schmieder, "Partition coefficients of organic substances in two-phase mixtures of water and carbon dioxide at pressures of 8 to 30 MPa and temperatures of 313 to 333 K", J. Supercrit. Fluids 9 (1996) 146-151.
以上述べたように、現時点で高速液液抽出に関して、連続的、かつ工業的に成立し得るプロセスの提案はなされていない。
本発明者らは、上記従来技術の各種の問題に鑑みて鋭意研究開発を積み重ねた結果、液状物を対象として、高圧二酸化炭素をマイクロ混合器で混合し、高速液液抽出を行うことを発明するに至った。対象物は水溶液中の疎水性有機物であり、高圧二酸化炭素とマイクロ混合を用いて混合することで、従来からの固形物中からの高圧二酸化炭素抽出に比べて物質移動を劇的に改善し、瞬時に抽出平衡に到達させることが可能となる。さらに、分離器で瞬時に高圧二酸化炭素と水溶液を分離することに成功した。これにより、高圧二酸化炭素抽出技術が抱える課題を解決するに至った。
本発明は、以下の技術的手段から構成される。
第1発明は、原料水溶液中に含まれる抽出対象物を、高圧二酸化炭素で液液抽出する場合において、原料水溶液が高圧環境に連続供給され、別途高圧二酸化炭素が高圧環境に連続供給され、それぞれの高圧流体がマイクロ混合器により混合され、混合後の流体が任意の滞留時間を有する滞留管を経て、混合器及び滞留部の圧力を制御する第1の圧力制御弁を有し、第1の圧力制御弁を経て減圧された流体が分離器に供給され、分離器内で上部から高圧二酸化炭素と抽出対象物を排出し、分離器の上部に分離器の圧力を制御する第2の圧力制御弁を有し、高圧二酸化炭素中に溶解する抽出対象物が、第2の圧力制御弁で減圧された後に析出することを抑制するために、析出抑制流体を第2の圧力制御弁の上流で混合し、分離器内の液面レベルを検知する液面検知手段を分離器に有し、分離器の液面レベルを一定するように分離器の下部にレベル制御弁を有して下部から抽出後の水溶液を排出することを特徴としたマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法である。
第2発明は、高圧二酸化炭素が超臨界状態を含む高圧二酸化炭素であることを特徴とした上記第1発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法である。
第3発明は、原料水溶液中に含まれる抽出対象物が、超臨界状態を含む高圧二酸化炭素に溶解する有機物であることを特徴とした上記第1及び第2発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法である。
第4発明は、原料水溶液と超臨界状態を含む高圧二酸化炭素を混合するマイクロ混合器が、マイクロT字ミキサー、マイクロY字ミキサー、マイクロスワールミキサー、クシバ型マイクロミキサー、IMMインターデジタルマイクロミキサー、多段分割流路型マイクロ混合器の何れかであることを特徴とした上記第1から第3発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法である。
第5発明は、析出抑制流体が、抽出対象物に対して良溶媒であることを特徴とした上記第1から第4発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法である。
第6発明は、マイクロ混合器で流体を均一化して瞬時に抽出平衡に到達させた後、分離器で瞬時に高圧二酸化炭素と水を分離するため、分離器に流入する連結管の内径は3mm以上と太く、流入する流体の流速を遅くして、かつ連結管の出口は分離器の内面に沿う、若しくは分離器の内面に衝突させる構造を有することを特徴とする上記第1から第5発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法である。
第7発明は、分離器内の上部と下部からそれぞれ単独に高圧配管で接続された高圧微差圧計を用いて分離器内の液面レベルを検知し、分離器の上部に、抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と、抽出後の水溶液を効率よく分離するため下部の液面計測領域より断面積が大きい分離領域を有し、分離器の下部に抽出後の水溶液の液面レベルを検知するため上部の分離領域よりも断面積が小さい液面計測領域を有する分離器を用い、第1の圧力制御弁及び第2の圧力制御弁、レベル制御弁を流量、前後差圧、流体粘度から適切なCv値のものを選定することを特徴とした上記第1から第6発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法である。
第8発明は、原料水溶液中に含まれる抽出対象物を、超臨界状態を含む高圧二酸化炭素で液液抽出する場合において、原料水溶液を高圧環境に連続供給する原料水溶液高圧供給手段と、別途高圧二酸化炭素を高圧環境に連続供給する高圧二酸化炭素高圧供給手段と、それぞれの高圧流体を混合するマイクロ混合器と、混合後の流体が任意の滞留時間を有する滞留管と、混合器及び滞留管の圧力を制御する第1の圧力制御弁と、第1の圧力制御弁を経て減圧された流体が分離器に供給される連結管と、連結管が内径3mm以上であり、かつ連結管の出口は分離器の内面に沿う、若しくは分離器の内面に衝突させる構造を有し、分離器内で上部から抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素を排出する抽出対象物排出ラインと、抽出対象物排出ラインに分離器の圧力を制御する第2の圧力制御弁と、高圧二酸化炭素中に溶解した抽出対象物が、第2の圧力制御弁で減圧された後に析出することを抑制するために、析出抑制流体を供給する析出抑制流体高圧供給手段と、析出抑制流体を第2の圧力制御弁の上流で混合するマイクロ混合器と、分離器内の液面レベルを検知する液面検知手段と、分離器の液面レベルを一定するように分離器の下部にレベル制御弁を有して下部から抽出後の水溶液を排出する抽出後流体排出ラインと、原料水溶液と、高圧二酸化炭素を任意の温度に調節する温調手段を有することを特徴としたマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置である。
第9発明は、原料水溶液と超臨界状態を含む高圧二酸化炭素を混合するマイクロ混合器が、内部流路が1mm以下であり、その形状がマイクロT字ミキサー、マイクロY字ミキサー、マイクロスワールミキサー、クシバ型マイクロミキサー、IMMインターデジタルマイクロミキサー、クシバ型マイクロ混合器、多段分割流路型マイクロ混合器の何れかであることを特徴とした上記第8発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置である。
第10発明は、分離器内の上部と下部からそれぞれ単独に高圧配管で接続された高圧微差圧計を用いて分離器内の液面レベルを検知し、分離器の上部に、抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と、抽出後の水溶液を効率よく分離するため下部の液面計測領域より断面積が大きい分離領域を有し、分離器の下部に抽出後の水溶液の液面レベルを検知するため上部の分離領域よりも断面積が小さい液面計測領域を有し、分離器に流入する連結管が内径3mm以上であり、かつ連結管の出口は分離器の内面に沿う、若しくは分離器の内面に衝突させる構造を有した分離器を用いることを特徴とした上記第8から第9発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置である。
本発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置を示す図である。 本発明の分離器を示す図である。 固形物を対象とした従来法の高圧二酸化炭素抽出装置を示す図である。 液状物を対象とした従来法の高圧二酸化炭素抽出装置を示す図である。
従来から行われてきた高圧二酸化炭素抽出技術の原料である固形物を、本発明では水溶液に限定し、さらに抽出対象物を原料水溶液中に存在する疎水性有価物に限定することにした。その結果、従来から行われてきた高圧二酸化炭素を用いた抽出技術の実用化障壁の課題がいくつか解決される可能性が高くなる。また、適用分野として食品、医製薬、化粧品の製造プロセスが挙げられる。この分野は製品を直接体内に取り込むため、従来型の有機溶剤抽出技術を高圧二酸化炭素抽出技術で代替される可能性を有している。
前述した高圧二酸化炭素抽出技術の実用化への障壁について、本発明による1つの対策を述べる。
第1に、高圧二酸化炭素中への有機物の溶解度が低い問題である。疎水性有価物の高圧二酸化炭素中への溶解度を増加させるには、エントレーナー(助溶媒)を添加しない限り不可能である。このエントレーナー添加は、処理規模が小さく高付加価値の抽出対象物を得る場合のみ実現可能性がある。しかし、処理規模が大きく、付加価値がそれほど高くない抽出対象物を得る場合は、添加溶剤がランニングコストを高騰させることになる。
一方、原料水溶液中に存在する抽出対象物である疎水性有価物はもともと水への溶解度が低いため一般的に低濃度であり、高圧二酸化炭素の溶解律速になる可能性が低い。また、原料水溶液の処理量が多い場合は、従来と同様に使用する高圧二酸化炭素を循環再利用するプロセスが必要となる点は変わらない。
第2に、物質移動律速である。これは従来からの原料が固形物であったのに対して、水溶液となる。従って、原料水溶液と高圧二酸化炭素とも高圧ポンプで送液が可能であり、加えて両流体の混合にマイクロ混合器を用いることで混合界面積を増大させて物質移動を促進させる機構を適用している。実施例に記載する通り、実験により両流体が混合されて数秒で抽出平衡状態に到達することが確認されたことより、高速液液抽出の実現可能性が高いことが分かる。
第3に、大型容器による設備コストの増大である。原料が固形物である場合、大型圧力容器が必要であったが、本発明は原料を水溶液に限定しているため、高圧ポンプで吐出してマイクロ混合器で混合し、小型の分離器で分離することができるため、大型圧力容器が不要となる。つまり、設備がコンパクト化され、省スペース化と設備コストの大幅な圧縮が可能となる。
第4に、半回分式処理による処理効率の低下である。これは、上記の通り、連続処理となるため処理効率は高くなる。
上記した通り、本発明では、原料を水溶液とし、マイクロ混合器で原料水溶液と高圧二酸化炭素を混合して、瞬時に抽出平衡に到達させること、また原料水溶液と高圧二酸化炭素の疑似均一流体を瞬時に分離する分離器を有しており、この分離器内で水溶液液面を一定レベルに制御するシステムを有していることが特徴となる。
具体的に本発明の内容について説明する。
第1発明については、原料は水溶液で、抽出対象物は原料水溶液中に含まれる疎水性有価物である。これを高圧二酸化炭素で液液抽出する際、それぞれの流体が高圧環境に連続的に供給されており、マイクロ混合器を用いて混合される。また混合後の流体が任意の滞留時間を有する滞留管を経る。この滞留管は処理流量と抽出対象物によって最適化される必要があるが、おおむね原料水溶液と高圧二酸化炭素の混合流体が、乱流状態を保ったまま圧力損失が1MPa未満となる条件で、混合流体の体積流量と滞留管内容積から算出される滞留時間が30秒未満、好ましくは20秒未満が好ましい。混合器及び滞留部の圧力と、分離部の圧力を異なる圧力で操作した方が高い抽出率や分離効率を得る場合は、第1の圧力制御弁を設置して圧力区分を設けることができる。一方、混合器と滞留部の圧力と、分離部の圧力が同じ圧力で構わない場合、第1の圧力制御弁を省くことができる。
原料水溶液と高圧二酸化炭素の混合流体は、相互溶解性は低いもののマイクロ混合器によって疑似均一流体となる。これにより原料水溶液中の疎水性有機物である抽出対象物の抽出効率は高くなるが、この疑似均一流体を分離する必要がある。高圧二酸化炭素の密度は例えば、40℃一定の場合、10MPaで0.63g/cc、20MPaで0.84g/cc、30MPaで0.91g/cc、40MPaで0.96g/cc、50MPaで0.99g/ccとなり、一般的な高圧二酸化炭素抽出収率が高い高圧ほど水溶液の密度1.0g/ccとほとんど差がなくなる。相互溶解しない両流体は比重差で分離する他なく、比重差が小さい場合、分離は困難となる。高圧二酸化炭素中に抽出、溶解された抽出対象物の二酸化炭素中の溶解度は温度、圧力によって変化するため、二酸化炭素中に溶解し得る範囲で温度、圧力を変化させて、水溶液との比重差を得て分離するために、第1圧力調節弁によりマイクロ混合器と滞留部の圧力と、分離部の圧力を変化させることも重要となる場合がある。
例えば、抽出条件を40℃、30MPaで行い、分離条件を40℃、20MPaとした場合、目的抽出物が高圧二酸化炭素中に存在するのであれば、抽出部で0.09g/ccであった比重差は、分離部で0.16g/ccにまで拡大し、比重差による分離性能及び液面検出に用いる差圧計の安定検出範囲となる。例えば、少し高圧二酸化炭素の温度を高めて抽出する場合、60℃一定の場合は、10MPaで0.29g/cc、20MPaで0.72g/cc、30MPaで0.83g/cc、40MPaで0.89g/cc、50MPaで0.93g/ccとなる。任意の温度、圧力で高圧二酸化炭素は密度を変化させることができるが、併せて抽出対象物の溶解度も変化するため、注意が必要である。
高圧二酸化炭素と水溶液はマイクロ混合器で疑似均一化された後、連結管を経て分離器に流入する。分離器上部からは抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素を排出する配管が接続されている。上述した通り、マイクロ混合器と滞留管の圧力と分離器圧力を同一圧力で制御する場合は、プロセス全体の圧力制御を行う圧力制御弁を抽出対象物排出ラインに設ける。また、混合器及び滞留管と分離器の圧力を別々で操作する場合は、この分離器上部の抽出対象物排出ラインに第2の圧力制御弁を設ける。またこの圧力制御弁で抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素を大気圧へ開放する場合は、高圧二酸化炭素に溶解した抽出対象物が減圧過程で固体析出するため、圧力制御性を悪化させる。抽出対象物の析出抑制のために、減圧前の抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素に、析出抑制流体を直接混合して、減圧時に抽出対象物の固体析出を抑制することが好ましい。
また、分離器下部に滞留する抽出後の水溶液の液面レベルを検出する手段として、高圧環境で微小差圧が計測できる差圧計を用いる。差圧計で計測している液面レベルを一定に制御するように分離器下部の水溶液排出配管にはレベル制御弁を設けることを与えている。差圧計で計測した液面レベルを一定に制御するレベル制御弁は、フジキン社製ミニュコンやリサーチコントロール社のバージャメーターなどその型式は問わないが、電空変換器付の制御弁が好ましい。以上が、マイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法に関する第1発明である。
第2発明については、第1発明における高圧二酸化炭素が超臨界状態を含む高圧二酸化炭素であることを要件に追加している。二酸化炭素の臨界点は31℃、7.4MPaであり、臨界温度、臨界圧力を超過しているものが超臨界二酸化炭素である。ここで取り扱う抽出対象物は、物質によっては温度により変性を受ける物質もあることが想定され、操作温度は30から60℃、より好ましくは40から60℃であり、操作圧力は8から60MPa、より好ましくは20から40MPaである。以上が、マイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法に関する第2発明である。
第3発明については、第1及び第2発明において、水溶液中に含まれる有価物が超臨界状態を含む高圧二酸化炭素に溶解する有機物であることを要件に与えている。抽出対象物が、多量の有機物の中の特定の有機物であった場合、高圧二酸化炭素の溶媒能力であっても特定の有機物を抽出することは不可能である。高圧二酸化炭素の溶媒特性を利用して、原料水溶液中に微量に溶解している疎水性有機物が抽出対象物である場合、原料水溶液と高圧二酸化炭素の極性が大きく異なるため、相互溶解しない点がポイントとなる。マイクロ混合器で疑似均一流体にして物質移動の場を作って極短時間の滞留時間で抽出を行い、分離器で即座に分離して抽出・分離操作が完了することが特徴である。以上が、マイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法に関する第3発明である。
第4発明については、第1乃至第3発明において、原料水溶液と超臨界状態を含む高圧二酸化炭素を混合するマイクロ混合器について、内部流路が1mm以下であり、その形状がマイクロT字ミキサー、マイクロY字ミキサー、マイクロスワールミキサー、クシバ型マイクロミキサー、IMMインターデジタルマイクロミキサー、多段分割流路型マイクロ混合器の何れかであることを与えている。ここで、マイクロT字ミキサーは例えば、Swagelok社のガスクロマトグラフ用継手SS−1F0−3GCなどであり、この継手は1/16インチ用のT字継手である。
内部流路は内径0.3mmのマイクロサイズとなっており、マイクロ流路の長さは1.3mmと短く、圧力損失を低減している。通常のスタンダード型T字継手SS−100−3は内径が1.3mmで、長さ9mmの流路となっている。マイクロT字ミキサーの方がスタンダードT字ミキサーに比べて圧倒的に混合性能において高い。マイクロY字ミキサーは、例えばYMC社において提供されている。
また、マイクロスワールミキサーについては、杉山商事社から販売されている(特許文献5)。また、クシバ型マイクロミキサーは、産総研が開発したマイクロ混合器で後述するIMMインターデジタルマイクロミキサーを改良したものである。また、IMMインターデジタルマイクロミキサーはドイツマインツのIMM社のものであるが、現在、IMM社は存在しない。従来、株式会社アイテック社が国内代理店として販売をしていた。
また、多段分割流路型マイクロ混合器が提案されている(特許文献6)。マイクロT字ミキサー、マイクロY字ミキサー、マイクロスワールミキサーは1点混合型のマイクロミキサーであり、混合する流体の粘度が低いことが条件である。粘度が高いとマイクロ流路中で圧力損失が発生して処理流量を低く抑えなければならない。
また、IMM社のインターデジタルマイクロミキサーは流路が分割されているものの、ミキサー内部の構造体の強度が低いため、流路が分割されて圧力損失は低減される傾向にはあるが、内部の構造体の機械的強度が低いため、許容できる圧力損失が低くなり、処理量、流体粘度に上限があり、数10cc/minレベルの処理量が上限となる。
一方、産総研が開発したクシバ型マイクロミキサーと多段分割流路型マイクロ混合器は、内部の構造体の強度が高いため、許容できる圧力損失が高い。部材強度はあるものの連続プロセスにおける部材圧力損失はそれほど大きくない方が好ましい。例えば、多段分割流路型マイクロ混合器で混合器の圧力損失を1MPa未満とした場合、本発明のように原料水溶液と高圧二酸化炭素の場合で計算すると処理量は実験室レベルの混合器であっても数t/hr・基を実現可能である。以上が、マイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法に関する第4発明である。
第5発明については、第1乃至第4発明において、析出抑制流体が被抽出物に対して良溶媒であることを与えている。抽出対象物が高圧二酸化炭素によって、原料水溶液から抽出され、分離器上部から抽出対象物排出ラインに設置された第2の圧力制御弁を経て減圧される。二酸化炭素は高圧条件のみ溶媒効果を保有するが、大気圧に減圧されると瞬時にその効果を失う。その結果、高圧二酸化炭素に溶解していた抽出対象物は大気圧環境で析出することになる。常温、常圧環境で抽出対象物が固体か液体かによって、高圧二酸化炭素を大気圧へ減圧した際に析出する抽出対象物の状態が変化する。減圧後の抽出対象物が固体、液体に関わらず、高圧二酸化炭素は高圧から大気圧へ減圧された際に周囲流体を冷却する特徴、すなわちジュールトムソン効果が大きい流体であるため、急冷される。その場合、液体でも固化する、若しくは固体の場合はそのまま析出するという課題を有する。
さらに、二酸化炭素はよほどの高温条件を除いてほとんどの条件から大気圧に減圧すると三重点を経由して、固気条件となるため二酸化炭素の一部が氷となる。固化する場所は、減圧を行う第2の圧力制御弁内部から制御弁出口近傍であり、析出閉塞のトラブルを回避するため、減圧前の抽出対象物を溶解させている高圧二酸化炭素に、析出抑制流体を直接混合することが一般的である。
本発明においては、大気圧で析出する抽出対象物に対して、減圧前に混合する析出抑制流体が良溶媒であることを与えている。特に処理量が多い場合は、析出抑制流体に高価なものを用いることはできないため、水、若しくはアルコール水溶液、アルコールを用いる。また、処理量が小さい場合、疎水性有機溶剤を析出抑制流体に用いることで、本技術によって抽出と溶媒転用、濃縮を同時に行うことも可能である。以上が、マイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法に関する第5発明である。
第6発明は、第1乃至第5発明において、分離器内部に流入する連結管の末端開口部は3mm以上の内径を有するものに拡大して疑似均一流体の流速を下げて分離器内に液滴を噴出させないように工夫をしたものである。さらに連結管出口は分離器の内面に沿う、若しくは分離器の内面に衝突させる構造としている。
滑らかな管路を流体が流れる場合、管壁近くと中心部付近とでは流れの様子が異なる。その主たる原因は、管壁付近を流れる流体には、物体の種類や粘性、流速の大小に関わらず、管壁との間に必ず摩擦力が働くことにある。プラントルは、「管壁付近の流速分布は、流体の密度、動粘性係数、管面摩擦応力、壁からの距離によってきまり、管全体の流れを表す量であるレイノルズ数には無関係になる」ことを明らかにした。これをプラントルの壁法則という。
ここで、疑似均一流体とは言え、高圧二酸化炭素と水溶液は相溶しているわけではない。比重は近いものの粘度は異なる。例えば、40℃、20MPaの水の粘度は0.655cP、高圧二酸化炭素の粘度は0.078cPと約10倍差がある。粘度の異なる流体を分離するためには、固体壁に沿わす流れを作ると粘性を有する流体(この場合は水)は壁面で粘性底層を形成するため、壁に沿う流れの速度は遅くなり、疑似均一流体から水は分離しやすくなる。従って、分離器の内面に流体が沿う、若しくは噴霧しないように連結管内径を大きくして噴出し流速を下げた上で、分離器の内面に衝突して壁沿いに水溶液が付着して壁に沿う流れを生じる構造とした。
加えて、分離部に流入する流体が分離器内で噴霧されて飛沫同伴されないように飛沫を合一させて分離を促進する目的で、分離器上部にデミスターを設置することも可能である。このデミスターは圧力損失を発生せずに、飛沫同伴を抑制する機能を発揮するものであれば、「ステンレスたわし」のような簡易的なものでもよく、性能を重視してその形態は問わない。
第7発明については、分離器内の上部と下部からそれぞれ高圧配管で接続された高圧微差圧計を用いて分離器内の液面レベルを検知し、分離器の上部に、抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と、抽出後の水溶液を効率よく分離するため下部の液面計測領域より断面積が大きい分離領域を有し、分離器の下部に抽出後の水溶液の液面レベルを検知するため上部の分離領域よりも断面積が小さい液面計測領域を有する分離器を用い、第1の圧力制御弁及び第2の圧力制御弁、レベル制御弁を流量、前後差圧、流体粘度から適切なCv値のものを選定することを特徴としたマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法である。ここで用いる高圧微差圧計は、例えば、横河電機社製、EJX130J−DMSOH−7A0DD/JF3/G11/M61/Z(耐圧42MPa、計測可能差圧範囲0〜400、若しくは700KPa)などを適用できるがこれに限定されるものではない。この差圧計を用いて液面レベルを検知する方法は公知の方法を用いることができる。
この差圧計は、上部高圧二酸化炭素環境と、下部抽出後の水溶液にそれぞれ配管を独立して接続されている。若しくは、下部抽出後の水溶液の配管は差圧計のH側の下部からに接続されており、さらに差圧計のH側の上部に差圧計のH側上下接続部を貫通させるように配管を接続し、H側上部の配管を、分離器上部高圧二酸化炭素と接続して、かつ折り返して差圧計L側上部に接続することも可能である。
Figure 2019042640
但し、上記式(1)に示す記号は、以下の通りである。
ΔP:差圧[Pa]
:液体側圧力[Pa]
:気体側圧力[Pa]
ρ:液体密度[kg/m
ρ:気体密度[kg/m
g:重力加速度(ρ・g=γ(比重量))
h:高さ[m]
この関係式で示すように水密度と高圧二酸化炭素密度の差分が位置ヘッドの計測のポイントとなる。即ち、Δρが小さいと、位置ヘッドの計測値の変化が小さくなるため工夫が必要となる。前述の通り、原料水溶液と高圧二酸化炭素の混合流体において、相互溶解性は低いもののマイクロ混合器によって疑似均一流体となる。
これにより原料水溶液中の疎水性有機物である抽出対象物の抽出効率は高くなるが、この疑似均一流体を分離する必要がある。そのため、前述の通り、分離器に流入する連結管の内径は3mm以上と太く、流入する流体の流速を遅くして、かつ連結管の出口は分離器の内面に沿う、若しくは分離器の内面に衝突させる構造を有するなどの工夫を行っている。
高圧二酸化炭素中に抽出、溶解された抽出対象物の二酸化炭素中の溶解度は温度、圧力によって変化するため、抽出対象物が二酸化炭素中に溶解し得る範囲で温度、圧力を変化させて、水溶液との比重差を得て分離するために、第1圧力調節弁によりマイクロ混合器と滞留部の圧力と、分離部の圧力を変化させることも重要となる場合がある。任意の温度、圧力で高圧二酸化炭素は密度を変化させることができるが、併せて抽出対象物の溶解度も変化するため、注意が必要である。従って、分離器には疑似均一流体の分離と、液面レベルの制御のための応答性の2つの役割が求められる。
液面レベルの制御のための応答性について以下に記載する。
初めに、分離器上部には疑似均一流体の比重差分離を促進させる分離領域を設ける。分離領域では飛沫を同伴しないような以下の工夫が求められる。
・疑似均一流体が分離器に流入する際に高速で噴出して微粒化されないように、連結管内径を1/16インチなど細いものを用いずに内径3mm以上として疑似均一流体を分離器内壁に衝突させる、若しくは内壁に沿わして流入させる工夫を行う。
・分離領域上部には飛沫同伴を抑制するためにデミスターを設置する。
・分離領域の内径を小さくせずに飛沫粒径を仮定してその沈降速度以下の上昇流速、即ち分離領域の線速度を高めない工夫を行う。
次に、レベルを検知して、抽出後の水溶液の分離器内での液面レベル制御応答性を高めるため、流入流量に対して液面検知領域の内径を適切に設計することが非常に重要である。液面レベルを一定にするようにレベル制御弁を開閉するシステムの場合、レベル制御弁を閉じたときはレベルが増加し、開けたときはレベルが減少する。そのためには流入流量に対してレベルの応答性が重要となるため、少なくとも数分以内にレベルが変化するレベル検知領域の内径に設計する必要がある。
第8発明については、原料水溶液中に含まれる抽出対象物を、超臨界状態を含む高圧二酸化炭素で液液抽出する場合において、原料水溶液を高圧環境に連続供給する原料水溶液高圧供給手段と、別途高圧二酸化炭素を高圧環境に連続供給する高圧二酸化炭素高圧供給手段と、それぞれの高圧流体を混合するマイクロ混合器と、混合後の流体が任意の滞留時間を有する滞留管と、混合器及び滞留管の圧力を制御する第1の圧力制御弁と、第1の圧力制御弁を経て減圧された流体が分離器に供給される連結管と、分離器内で上部から抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素を排出する抽出対象物排出ラインと、抽出対象物排出ラインに分離器の圧力を制御する第2の圧力制御弁と、高圧二酸化炭素中に溶解した抽出対象物が、第2の圧力制御弁で減圧された後に析出することを抑制するために、析出抑制流体を供給する析出抑制流体高圧供給手段と、析出抑制流体を第2の圧力制御弁の上流で混合する混合ラインと、分離器内の液面レベルを検知する液面検知手段と、分離器の液面レベルを一定するように分離器の下部にレベル制御弁とを有して下部から抽出後の水溶液を排出する抽出後流体排出ラインと、水溶液と、高圧二酸化炭素を含む任意の温度に調節する温調手段を有することを特徴としたマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置である。
ここでは、原料水溶液と高圧二酸化炭素は個別に高圧環境に定量供給される。原料水溶液を高圧環境に連続的に供給する手段は、プランジャーポンプ、ダイアフラムポンプ、インテンシファイアーポンプなど、任意の流量を一定に高圧連続吐出できるものであればその種類は問わない。高圧二酸化炭素は、サイフォン型二酸化炭素ボンベからポンプ吸込までの間に冷却器を設けて二酸化炭素を液化温度以下まで十分に冷却する。さらにポンプヘッドも冷却してベーパーロックによる吐出不良を回避している。高圧二酸化炭素の高圧供給手段は、プランジャーポンプ、ダイアフラムポンプ、インテンシファイアーポンプなど、任意の流量を一定に高圧連続吐出できるものであればその種類は問わない。
また、高圧二酸化炭素は原料水溶液に比べて、圧力変化に対して密度も変化する量が大きい。プロセスの圧力が変動した場合、原料水溶液はポンプ吐出から混合器までの容積を瞬時に圧力上昇、降下が可能なので安定的に連続供給される。
一方、高圧二酸化炭素は圧力変動に応じて、高圧二酸化炭素の密度が変化するため、ポンプ吐出から混合器までの容積をプロセス圧力が降下している場合は、高圧二酸化炭素も追従して降下することは容易であるが、プロセス圧力が上昇している場合、ポンプから混合器までの容積を昇圧することにのみ利用され、混合器以降に高圧二酸化炭素は連続的に供給されない。そのため、高圧二酸化炭素の高圧ポンプ出口から混合器までの間の高圧二酸化炭素供給ラインの途中に、背圧弁を設けて混合器圧力よりも2MPa程度上流側を高く設定して、プロセス圧力変動に対して混合器直前まですでに2MPa高い圧力で待機していることで、間欠供給を抑制している(特許文献7)。
粘度差、流量差のある流体同士を混合する際に、高圧二酸化炭素供給ラインに圧力を区分する背圧弁を設けることで、プロセス圧力の変動によって生じる高圧二酸化炭素間欠供給を抑制し、安定的な連続供給を実現することができる。
混合後の流体は任意の滞留時間を有する滞留管を通過する。マイクロ混合器の混合性能が高ければ瞬時に均一性の高い流体となるが、助走距離の観点から短時間ではあるが一定の滞留時間を要した方がより混合後の流体が安定化する。この滞留時間は混合器から分離器へ連結する滞留管の滞留時間である。滞留時間は長くても1min、より好ましくは30sec、さらに好ましくは20secである。滞留管は高圧の配管であればそのサイズは問わないものの、管内流れが乱流であればよく、圧力損失も滞留管なしで1MPa未満であることが求められる。
混合器及び滞留管の圧力を制御する第1の圧力制御弁を滞留管の下流に設けることができる。この第1の圧力制御弁を設ける理由は混合部及び滞留管圧力と、分離器圧力を変える場合、第1の圧力制御弁を用いて混合部及び滞留管圧力を制御するためである。混合部及び滞留管圧力の方が、分離器圧力よりも高い圧力で制御される必要がある。混合部及び滞留管圧力は、抽出対象物の抽出に好適な条件で操作され、分離器圧力は高圧二酸化炭素と抽出後の水溶液の分離に好適な条件で操作される。
ここで、抽出対象物が混合器及び滞留管圧力では高圧二酸化炭素に溶解しているが、混合器及び滞留管圧力よりも低い分離器圧力では、高圧二酸化炭素中に溶解できなくなり、原料水溶液中に再溶解することを抑制する必要がある。従って、混合器及び滞留管の圧力と、分離器の圧力に圧力区分を設けない場合、第1の圧力制御弁は省略することができる。第1の圧力制御弁から分離器には、両社を接続する連結管を有している。分離器には、上部から抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素を排出する抽出対象物排出ラインが接続されており、そのラインには分離器圧力を制御する第2の圧力制御弁が設けられる。第1の圧力制御弁を用いない場合、第2の圧力制御弁がプロセス全体の圧力を制御する。
また、抽出対象物は高圧環境でのみ発現する二酸化炭素の溶媒効果により高圧二酸化炭素中に溶解している。即ち、第2の圧力制御弁により大気圧に減圧されると、二酸化炭素は瞬時に気体となるため溶解力を失い、抽出対象物が析出する。高圧二酸化炭素は高圧環境から大気圧に減圧されると、ジュールトムソン効果により周囲の流体を一気に冷却する特徴を有している。
抽出対象物が常温で固体の物質は、二酸化炭素が大気圧で気化することにより固体析出する。抽出対象物が常温で液体の物質であっても、冷却効果により固体となるか、若しくは原料水溶液由来の水分が低濃度でも高圧二酸化炭素に混入した場合は、水が氷となる。
さらに、二酸化炭素はよほどの高温条件を除いてほとんどの条件から大気圧に減圧すると三重点を経由して、固気条件となるため二酸化炭素の一部が氷となる。従って、抽出対象物を溶解している高圧二酸化炭素を連続的に大気圧に減圧する場合は、減圧機構の上流に析出抑制流体を混合する必要がある。析出抑制流体は、抽出対象物にとって良溶媒であれば、その種類を問わない。析出抑制流体を抽出対象物排出ラインの第2の圧力制御弁上流に混合するために、高圧環境に連続的に供給する手段としては、前述の原料水溶液供給手段と同等であれば、その型式は問わない。
また、析出抑制流体と抽出対象物を溶解している高圧二酸化炭素を混合する混合器は、原料水溶液と高圧二酸化炭素を混合するマイクロ混合器と同様の構造を有するものを選定すれば、その型式は問わない。
また、分離器内の液面レベルを検知する手段を有する。この検知手段は液面変位を連続的に計測できる方法であればその手段を問わない。一例として、高圧環境で使用できる微差圧計があげられる。例えば、横河電機社製EJX130J-DMSOH-7A0DD/JF3/G11/M61/Z(耐圧42MPa、計測可能差圧範囲0〜400、若しくは700KPa)などが適用できるが、これに限定されるものではない。また、液面を一定に制御するためのレベル制御弁を分離器下部に接続されている抽出後流体排出ラインに設ける。
レベル制御弁は、フジキン社製ミニュコンやリサーチコントロール社のバージャメーターなどその型式は問わないが、電空変換器付の制御弁が好ましい。また、原料水溶液と高圧二酸化炭素を任意の温度に調節する温調手段を有する。温調手段の型式は問わないものの、温水加熱は電気加熱と違ってホットスポットができないので好ましいが、処理規模が大きくなると電気加熱による温調であってもかまわない。
第9発明については、原料水溶液と超臨界状態を含む高圧二酸化炭素を混合するマイクロ混合器が、マイクロT字ミキサー、マイクロY字ミキサー、マイクロスワールミキサー、クシバ型マイクロミキサー、IMMインターデジタルマイクロミキサー、クシバ型マイクロ混合器、多段分割流路型マイクロ混合器の何れかであることを特徴とした上記第8発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置である。詳細については、第4発明のマイクロ混合器を原料水溶液と高圧二酸化炭素の混合器として用いることを参照されたい。
第10発明については、分離器内の上部と下部からそれぞれ単独に高圧配管で接続された高圧微差圧計を用いて分離器内の液面レベルを検知し、分離器の上部に、抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と、抽出後の水溶液を効率よく分離するため下部の液面計測領域より断面積が大きい分離領域を有し、分離器の下部に抽出後の水溶液の液面レベルを検知するため上部の分離領域よりも断面積が小さい液面計測領域を有し、分離器に流入する連結管が内径3mm以上であり、かつ連結管の出口は分離器の内面に沿う、若しくは分離器の内面に衝突させる構造を有した分離器を用いることを特徴とした第8及び第9発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置である。
この連続処理プロセスにおいて、混合性能の高いマイクロ混合器を用いて混合することで相溶しない流体同士を疑似均一流体として瞬時に抽出平衡に到達させる。ここまでは性能の良いマイクロ混合器を用いることで比較的に容易に実現できる。一方、この疑似均一流体を分離器で瞬時に分離して、さらに分離器の液面を一定に制御するプロセスは解決困難な課題である。この瞬時分離技術と液面制御技術が確立されたので定常的に高圧二酸化炭素と抽出後の水溶液を連続に安定して排出できることになり、液液抽出操作が実現できた。
ここで第1のポイントは、疑似均一相を分離器内で配管を3mm以上の太い管で開放することにより疑似均一流体の速度を低下させ、かつ分離器内壁に沿う流れを形成する、若しくは衝突させることにより、疑似均一流体を分離器内に噴霧させないことである。これにより、前述のプラントルの壁効果を最大限利用して粘度差が10倍異なる高圧二酸化炭素と抽出後の水溶液を分離することである。
また、第2のポイントは、液面検知手段として高圧微差圧計を液面レベルの検知に用いることである。レベル検知方法としてフロート接点式などがあるが、検出部が不連続で間欠的な動作となるため、液面の上下動が生じる。例えば、円筒胴型の分離器の場合、レベル検知法は連続的に液面を計測する手段の方が、レベル制御弁の動作をPID制御するなど一定の液面レベルを保持することが可能となり、プロセスの安定性を確保し得ることである。高圧微差圧計は、分離器内の上部と下部からそれぞれ単独に高圧配管で接続されている。分離器上部及び下部から排出される排出ラインとも区別され、それぞれ単独に分離器から高圧微差圧計に接続されていないと、エゼクター効果で差圧計測が安定せずに、正確な液面レベルを検知し得ない。
第2のポイントは、差圧計の計測原理は、高圧側に分離器下部の水溶液配管を接続し、低圧側に分離器上部の高圧二酸化炭素配管を接続する。差圧計の測定値は両流体の密度が大きく影響する。分離器内に任意の水量を充填し、大気圧下で計測した水位を表すΔPは、40℃、20MPaの高圧二酸化炭素を上部に充填すると、実際の水面は変わらないものの上部の流体(高圧二酸化炭素)の密度が上昇するため、密度差がΔPに大きく影響を及ぼすため水位を表すΔPは低下する。従って、流入する抽出後の水溶液の流量が一定であっても、大気圧下でのレベル上昇速度に比べて、高密度の高圧二酸化炭素環境下のレベル上昇速度は小さくなる。
レベル制御の安定性を確保するためには、1〜2minの間のレベル変位量がある程度ないと、検知している液面を一定にするため、制御システムで通常よく用いられるオートチューニングによるレベル制御弁のPID制御変数の決定が困難となる。従って、高圧二酸化炭素のように、抽出後の水溶液との密度差が小さい流体同士の水溶液の液面レベルを検知する手段として高圧微差圧計を用いる場合、レベル検知領域の内径は細い方が単位時間当たりのレベル変位量を高められるため、レベル制御弁の制御応答性を確保することが可能となる。
さらに当然のことではあるが、レベル制御弁のオリフィス流量係数Cv値を適切に選定することが非常に重要となる。レベル制御弁のCv値が適正値よりも大きい場合、レベル制御弁が開動作した場合に、分離器内のレベルが低下し、高圧二酸化炭素流入量が変化したレベル分の容積を満たすことができなかった場合、圧力は低下することになる。その場合、高圧二酸化炭素中の溶解度も同時に低下し、一定の抽出操作ができなくなる。
また、閉動作した場合、レベル制御値に上昇するまでレベル制御弁から抽出後の水溶液は排出されないため、間欠的な流出となる。安定した制御とは、投入流量と排出流量が一定で、かつお互い連続的に流れる状態であり、良好な制御性とは言えない。また、レベル制御弁のCv値が適正値よりも小さい場合は、流入する抽出後の水溶液を排出できなくなるため、本質的な問題となる。
以上より、本発明のポイントを以下に総括する。
・原料は水溶液としその中に含まれる疎水性有機物を抽出対象物とした。
・原料と高圧二酸化炭素をそれぞれ連続的に供給し、マイクロ混合器を用いて瞬時に均一混合を行う。
・上記疑似均一流体となることで、物質移動を促進させることができるため、短時間で抽出平衡に達する。
・疑似均一流体を混合器、第1の圧力制御弁から分離器に連結される連結管が、分離器内で疑似均一流体を噴霧させることなく、壁面に沿う流れを作り、若しくは壁に衝突する流れを作り、さらには分離器上部にデミスターを併用して液滴を合一させて高圧二酸化炭素との分離を促進させる機構を有している。
・分離器上部から抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素を排出するラインを設ける。また、減圧後に抽出対象物が析出しないように析出抑制流体を連続的に供給し、減圧前の抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と混合して抽出対象物の析出を抑制する。
・分離器は、上部に抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と原料水溶液を分離するための分離領域と、分離器下部に貯留される抽出後の水溶液の液面レベルを検知するためのレベル検知領域に分けた構造を有している。また、レベル検知領域の内径は分離領域の内径よりも細く、流入量に応じて制御性を向上し得る適切な内径を有している。
・分離下部から抽出後の水溶液を一定のレベルを制御して連続的に排出するレベル制御弁を有している。
本発明の構成を採用することにより、以下のような効果が奏される。
・原料水溶液中に含まれる疎水性有価物を、高圧二酸化炭素によって高速に抽出するプロセスが確立される。
・高圧二酸化炭素と水溶液の分離器、液面検出、レベル制御技術が提供されることで、高圧二酸化炭素抽出の連続処理が実現できる。
図3に固形物を対象とした従来法の高圧二酸化炭素抽出装置について示す。二酸化炭素はボンベ、若しくはローリーから液体状態で凝縮器41に供給される。凝縮器41はチラー42によって十分に冷却されている。蒸発器51、活性炭容器54、凝縮器41、液化二酸化炭素タンク43、予冷却器44が二酸化炭素回収系となり、凝縮器41は唯一温度制御が可能で、容積が最も大きいことが必要となる。そのため、凝縮器41の温度に応じて、凝縮器41の圧力が飽和蒸気圧力で一義的に制御され、回収系すべてがその圧力となる。
凝縮器41の中には冷却する機構としてチラー42と、冷却しすぎた際に復旧時間を短縮するために内部に加熱手段(図示せず)を設ける方が好ましい。例えば、凝縮器の温度を5℃に制御すると、二酸化炭素の5℃の飽和蒸気圧は4MPaであるため、二酸化炭素回収系のブースターなどの昇圧機器を用いない場合の回収可能圧力下限は4MPaとなる。
凝縮器で冷却液化された二酸化炭素は、液化二酸化炭素タンク43に貯留され、高圧二酸化炭素ポンプ45の吸込ラインに予冷却器44を設けて、十分に過冷却することで高圧二酸化炭素ポンプ内でのベーパーロック発生による昇圧不良を防いでいる。高圧条件に吐出された高圧二酸化炭素は46の加熱器で31℃を超過すると、超臨界二酸化炭素となる。高圧二酸化炭素の流量は、質量流量計47を用いて流量を計測する。例えば、コリオリ流量計などを用いることができる。質量流量計は加熱器の上下流何れであってもかまわない。
その後、抽出槽48に流入し、抽出対象物を高圧二酸化炭素中に溶解させる。抽出槽下流に熱交換器49を設ける。減圧前の高圧二酸化炭素の温度、圧力は、減圧後の二酸化炭素の気液分配比を決定するため、必要に応じて加熱、冷却を行う。抽出圧力は圧力制御弁50で一定に制御される。
圧力制御弁は、制御信号を電空ポジショナーにより空気圧に変化させて、空気圧によりバルブ開度を調節する工業用に用いられる圧力制御弁、例えばフジキン社製ミニュコンやリサーチコントロールバルブ社製の圧力制御弁、若しくはテスコム社製の手動背圧弁などが用いられる。
減圧後の二酸化炭素は蒸発器51に流入する。蒸発器51は、二酸化炭素回収系に接続されているため、凝縮器41が5℃、4MPaに制御されている場合は、蒸発器51の圧力も4MPaとなる。従って、抽出槽48の条件が40℃、20MPaであった場合、熱交換器49で加熱、冷却を行わずに5℃、4MPaに減圧すると、30%が気体、70%が液体となる。例えば、減圧前の熱交換器49で102℃、20MPaに加熱を行うと、5℃、4MPaに減圧した際、100%気体となる。減圧前の流体温度は、抽出対象物の熱安定性、蒸発器での気液分配比をいくつにするかによって決定される。ここでは、40℃、20MPaから、5℃、4MPaに減圧され、30%の気体、70%の液体二酸化炭素となる場合も用いて説明する。70%の液体二酸化炭素は蒸発器下部に貯留される。抽出対象物も同時に蒸発器下部に貯留される。一般的には5℃、4MPaの液化二酸化炭素中の抽出対象物の溶解度は、40℃、20MPaの超臨界二酸化炭素中の溶解度より低くなる。
また、液体二酸化炭素中に溶解していたとしても、蒸発器下部から抽出対象物を排出する際、下部に排出バルブを設けることにより、高圧二酸化炭素と抽出対象物を分離タンクに回収が可能であり、蒸発器と分離タンクをバルブで仕切って、分離タンクの圧力を大気圧に減圧することにより、抽出対象物を析出回収が可能となる。
何れにせよ、5℃、4MPaの液体二酸化炭素(密度:0.896g/cc)と抽出対象物の比重差により抽出対象物の存在位置は決定され、溶解している場合は均一相、溶解していない場合は、液体二酸化炭素の上面、若しくは底面に存在する。差圧伝送器52を用いた蒸発器の液面レベル検知手段は、特許文献3に記載の方法を用いれば可能となる。
蒸発器51に設置されている差圧伝送器52を用いて計測している液体二酸化炭素の液面レベルを一定にするために、内部加熱器53の出力を差圧伝送器52の表示値と目標値により制御し、5℃、4MPaで液体二酸化炭素を蒸発する機構を有している。その際、抽出対象物は分配係数に従って、気液分配されるものの、液体二酸化炭素を激しく沸騰させないように蒸発器の内径に対して内部加熱器の配置を考慮する。
また、サイリスターとPID制御を用いた加熱制御が好ましい。抽出対象物は定期的に蒸発器下部から高圧バルブを介して、分離タンク54に回収される。蒸発器51で蒸発された気体二酸化炭素と、圧力制御弁50上流の流体条件(温度、圧力)により気化する二酸化炭素中には、気体二酸化炭素側の分配係数分の抽出対象物が含まれる。この気体二酸化炭素に同伴された抽出対象物を除去するために活性炭タンク55が設けられている。活性炭タンクを経て、清浄度を回復した気体二酸化炭素は凝縮器41に戻されて、液化されて、プラント内で循環再利用される。
この循環再利用型高圧二酸化炭素プロセスは、コーヒービーンズからカフェインを抽出するなどの固形物を対象とした従来法の高圧二酸化炭素抽出方法として多用されている。このプロセスは、凝縮器で冷却、ポンプ出口の加熱器で加熱、蒸発器で加熱など何度も加熱冷却を繰り返すエネルギー多量消費型のプロセスであった。しかし、食品など直接体内へ取り込む対象物を、既存の有機溶媒を用いた抽出では、残留溶剤のリスクを排除できないため、高圧二酸化炭素による抽出技術を採用し、いくつか実用化されているわけである。
この固形物を対象とした従来法の高圧二酸化炭素抽出方法は、前述の通り以下の課題がある。
(1)高圧二酸化炭素への抽出対象物の溶解度が低い。
(2)抽出対象物が固形物中に存在するため、抽出対象物が存在する固形物内部まで高圧二酸化炭素が到達する必要があり、物質移動律速となる。
(3)大型圧力容器による設備コストの増大。
(4)固形物を処理するため、高圧容器への出し入れが必要となり、処理効率は高くない。
(1)については、より高圧条件による溶解度上昇、若しくはエントレーナー添加による方法で溶解度を上げるなど、イニシャルコストアップやランニングコストアップにつながり適切な方法とは言い難い。(2)は抽出対象物が固形物中に存在する限り、粉砕して表面積を増やす以外に解決策はない。(3)及び(4)は固形物である以上、解決策はない。
次に、液状物を対象とした従来法の高圧二酸化炭素抽出装置について、図4を用いて説明する。
図3では、抽出対象物が固形物中に含まれるものを処理対象としたが、図4では、抽出対象物が液体中に含まれるものに限定している。図4の装置は、二酸化炭素回収系、高圧二酸化炭素供給系はほぼ同じである。異なるのは、抽出槽が上部から原料水溶液、下部から高圧二酸化炭素を供給して向流接触させる構造となっている。抽出槽は上部から供給される原料水溶液を均等に抽出槽断面に分配させて流下させる構造を有していると考えられ、さらに下部から供給される高圧二酸化炭素も原料水溶液と効率的に接触する工夫がされていると推測される。しかも、並流接触が分配係数の壁を越えられないのに対して、向流接触は溶解度以下であれば、高圧二酸化炭素中の抽出対象物の濃度は分配係数で定義される濃度を超えることができる。しかし、このプロセスは実用化されていない。
特許文献4に記載の装置フローからも抽出槽内に液面が存在し、その検知手段として液面計や差圧伝送器を使用すると記載があるが、抽出槽内の液面レベルを一定にする手段は開示されていない。さらに、抽出槽内径について、内径変化など液面検知手段が開示されておらず、水と高圧二酸化炭素など密度差が小さい流体同士のレベル変位は小さくなるため、制御性を著しく欠くことが推察される。
また、高圧二酸化炭素側の流出ラインに、飛沫同伴される水をトラップする容器を有すると記載があるが、その容器からの水の排出手段が開示されておらず、時間の問題で高圧二酸化炭素回収ラインに本来混入させたくない水が流入する結果を招く。また、当該特許に記載の方法では、分散板を用いて少しでも気液接触効率を向上させる工夫はされているものの、水相の途中に分散板を用いた場合、分散板下部に存在する水と高圧二酸化炭素の接触効率は悪いままであり、気液接触効率が大幅に改善するほどの効果は期待できない。
そこで、発明者らは既存技術の課題を精査し、発明に至った。
本発明のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置について図1に示す。本発明の対象は、疎水性有機物を含む原料水溶液に限定される。原料水溶液は、原料水溶液タンク1に充填され、高圧原料水溶液ポンプ2を用いて高圧吐出される。高圧流体を発生させるポンプは定量性を有するポンプであれば、プランジャータイプ、ダイアフラムタイプ、ピストンタイプ、インテンシファイアータイプなどその型式は問わない。
また、図示の有無に関わらず高圧ポンプ出口には圧力計、圧力センサー、安全弁を設けることが好ましい。また、原料水溶液は高圧二酸化炭素と混合する前に予熱手段によって任意の混合温度まで加熱される。加熱手段は温水、電気、加熱媒体などその手段は限定されない。高圧二酸化炭素はボンベ7(若しくは、ロータリーストレージ)から予冷却器8を経て十分に冷却液化された液体二酸化炭素が高圧二酸化炭素ポンプ9の吸込に接続され、高圧環境に定量的に吐出される。高圧二酸化炭素ポンプは、プランジャータイプ、ダイアフラムタイプ、ピストンタイプ、インテンシファイアータイプとその型式を限定するものではない。高圧二酸化炭素は安全弁の代わりに、高圧二酸化炭素戻り圧力制御弁12を使用し、第1または第2の圧力制御弁で最大吐出圧力を設定し、それ以上に圧力が上昇しないように高圧二酸化炭素ポンプの吸込部に返流させる構造となっている。
また、高圧二酸化炭素吐出ラインには、圧力計10、圧力センサー11を設ける。原料水溶液と同様に混合部の温度に加熱する予熱器13を設け、その加熱手段は温水、電気、熱媒体加熱などその方式は限定しない。原料水溶液と高圧二酸化炭素はマイクロ混合器14により迅速混合され、疑似均一流体を形成する。
マイクロ混合器14の下流には、第1の圧力制御弁15を設けて、マイクロ混合器圧力と、分離器17の圧力を独立して設定することも可能である。また、この第1圧力制御弁15は省くことも可能である。第1の圧力制御弁15は混合後の圧力を計測している圧力センサー(図示せず)の計測値を設定値に制御するための制御出力の電気信号を、空気圧力に変換する電空ポジショナー付きの空気圧制御による開度調節弁であればその型式などは問わない。
例えば、フジキン社製ミニュコンやリサーチコントロール社製のコントロール弁で構わない。また、テスコム社製の背圧弁でも構わない。第1圧力制御弁15の下流配管で、分離器17内部に疑似均一流体を解放する配管を連結管16としている。連結管は、分離器内で疑似均一流体を噴霧させることなく、壁面に沿う流れを作り、若しくは分離器内壁に衝突させる。
また、分離領域内部にデミスターを併用して液滴を合一させて高圧二酸化炭素との分離を促進させる、飛沫同伴を抑制する機構を有している。疑似均一流体であっても、原料水溶液は液体であるため、噴霧微粒化するとミストとなって高圧二酸化炭素に飛沫同伴されると考えられるが、噴霧微粒化させずに分離器内壁に沿う様に分離器17に流入すると、高圧二酸化炭素と原料水溶液の2相に分離すると考えられる。分離器内で相分離した抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と、抽出後の水溶液は分離器上部から抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素、分離器下部から抽出後の水溶液を連続的に排出する。そのために、抽出後の水溶液の液面レベルを検知する差圧伝送器20を設けている。差圧伝送器によって液面レベルを検知する手段の詳細は後述する。
分離器の圧力は第2の圧力制御弁19を用いて一定に制御される。この第2圧力制御弁19は分離器の圧力を計測している圧力センサー(図示せず)の計測値を設定値に制御するための制御出力の電気信号を、空気圧力に変換する電空ポジショナー付きの空気圧制御による開度調節弁であればその型式などは問わない。例えば、フジキン社製ミニュコンやリサーチコントロール社製のコントロール弁で構わない。また、テスコム社製の背圧弁でも構わない。
抽出後の水溶液の分離器内の液面は、差圧伝送器20により検知され、液面レベルはレベル制御弁21により一定に制御される。レベル制御弁21はレベル計測値を設定値に制御するための制御出力の電気信号を空気圧力に変換する電空ポジショナー付きの空気圧制御による開度調節弁であればその型式などは問わない。例えば、フジキン社製ミニュコンやリサーチコントロール社製のコントロール弁で構わない。
分離器17上部から抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素が第2の圧力制御弁19を経て減圧排出される際、高圧二酸化炭素は大気圧になると同時に有機物の溶解度を急激に失うため、抽出対象物が常温で固体であれば大気圧の気体二酸化炭素中で固体析出する。
また、二酸化炭素はジュールトムソン効果が大きいガスであるため、高圧から大気圧に減圧する際に周囲の流体を急激に冷却する。抽出対象物が常温で液体であっても、ジュールトムソン効果による冷却により固化する可能性はある。
また、高圧二酸化炭素は原料水溶液と疑似均一流体を形成し、かつ分離器で高圧二酸化炭素は飽和濃度の水分を含んでいるため、その水分は二酸化炭素のジュールトムソン効果で減圧と同時に氷になる。従って、そのまま抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素を減圧すると、固体析出して閉塞を生じる危険性が高い。多くの高圧二酸化炭素抽出ではこのような課題をはらんでいる。そこで、析出抑制流体18を高圧二酸化炭素の減圧前に混合する。ここで、析出抑制流体18は抽出対象物にとって良溶媒でなければならない。
具体的には、水、エタノールが好ましい。図示しないものの、析出抑制流体を供給する手段は、高圧原料水溶液ポンプと同等の高圧ポンプを用いて連続的に供給し、抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と析出抑制流体の混合器は、マイクロ混合器14と同等のものを用いる。
ここで、本発明の重要な発明の1つである分離器の構造について図2を用いて説明する。
差圧伝送器の測定原理は、液面水位を基準面からの圧力で表す。図2の差圧伝送器37を基準面として、H1[m]の水位に対して、上部流体が大気圧の空気であった場合、差圧計に生じる圧力Pは、
Figure 2019042640
ここで、P:差圧[kPa]、ρ:水密度[kg/m]、g:重力加速度(9.8m/s)、H1:水位[m]、γ:水比重[kgf/m]である。差圧計には空気の圧力もかかっているものの、水比重の1/1000であるため無視できる。これが、高圧二酸化炭素が上部に存在すると、差圧伝送器への導管内の分離器上部側、すなわち高圧二酸化炭素側の密度が大きくなるため、大気圧での差圧と大きく異なる。
また、高圧二酸化炭素は、その温度、圧力により密度は変化する。例えば、40℃、18MPa、40℃、22MPaの場合、密度は0.820g/cc、0.857g/ccとなる。具体的には、分離器圧力を制御している高圧二酸化炭素ラインの第2の圧力制御弁36の制御安定性のみならず、圧力一定であっても液面レベル制御弁の制御性が低ければ、液面を完全に排出してしまった場合は、下部からも高圧二酸化炭素が排出されるため、圧力は低下する。
従って、液面制御性が本発明の液液抽出プロセスの時間安定性に大きく影響を及ぼす。水密度と近い高圧二酸化炭素を上部流体として取り扱う際の下部水の液面制御は高圧二酸化炭素の密度を考慮する必要がある。
図2を用いて、上部に40℃、20MPaの高圧二酸化炭素、下部に40℃、20MPaの水が存在する場合の、差圧発信器表示について記載する。差圧発信器に係る差圧は、
Figure 2019042640
ここで、ΔP:差圧[kPa]、P:水側差圧[kPa]、PCO2:CO側差圧[kPa]、P:容器内圧[kPa]、ρ:水密度[kg/m]、g:重力加速度(9.8m/s)、H1:基準面からの液面水位[m]、ρCO2:高圧二酸化炭素密度[kg/m]、H:液面から高圧二酸化炭素取り出し配管の高さ[m]である。
ここで、密度に重力加速度をかけたものを比重量γ[kgf/m]とすると、差圧は
Figure 2019042640
で表される。ここで、例えば内径100mmの円筒状の分離器の場合、水の流入流量が10cc/minの場合、1mAq=9.80665kPaの液面上昇速度は0.021231mm/sである。大気圧で発生する差圧上昇速度は0.00020821kPa/sとなる。一方、40℃、20MPa、密度0.84g/ccの高圧二酸化炭素が上部を満たしている場合、同じ液面上昇速度0.021231mm/sの場合、差圧上昇速度は0.0000333kPa/sと16%に低下する。液面レベルを一定に調節するためには、目標設定値に対して単位時間当たりに変化する液面レベル、即ち差圧上昇速度に応じてレベル制御弁のPID制御を行う。その場合、差圧伝送器の測定範囲が0〜700kPaであり、上記差圧上昇速度はあまりにも小さい。
従って、差圧伝送器で数値の変化が現れるようにレベル検知部の内径を小さくすることで、レベル制御弁の制御性を格段に向上させることとした。レベル検知部の内径を上記100mmから10mmに小さくした場合、水の流入流量が10cc/minで液面上昇速度が0.021231mm/s(内径100mm)が2.12314mm/s(内径10mm)に上昇する。上部の流体が40℃、20MPaの高圧二酸化炭素の場合、差圧上昇速度は0.0000333kPa/s(内径100mm)から0.003329kPa/s(内径10mm)に内径が10倍小さくなると、断面積は長さの2乗なので差圧上昇速度は100倍に増加する。従って、レベル制御弁の制御応答性は十分に時間安定性を増す。
以下、実施例によって、マイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法及び装置についてさらに具体的に説明するが、以下の例に限定されるものではない。
(装置構成)
後述する実施例において、特に言及しない限りは本項で説明する装置構成によって液液抽出を実施した。
図1における、高圧原料水溶液ポンプ2として、プランジャータイプの定量ポンプ(日本精密社製)を用いた。原料水溶液の加熱は、一定温度で保たれたウォーターバス内に所定の時間流通させることにより行った。高圧二酸化炭素はボンベ7から予冷却器8を経て液体二酸化炭素が高圧二酸化炭素ポンプ9の吸い込みに接続され、高圧環境に定量的に吐出される。高圧二酸化炭素ポンプ9にはプランジャータイプの定量ポンプ(日本精密社製)を用いた。原料水溶液と同様に混合部の温度に加熱する予熱器13を設け、その加熱手段としてはウォーターバスによる温水加熱を用いた。原料水溶液と高圧二酸化炭素はマイクロ混合器14により迅速混合され、疑似均一流体を形成する。
マイクロ混合器には1/16インチのマイクロT字ミキサー(内径0.3mm、スウェージロック社製、ロー・デッドボリューム・ティー)を用いた。第1の圧力制御弁(15)は省略とした。下流配管で、分離器17内部に疑似均一流体を開放する配管を連結管16としている。連結管は1/4インチのSUS316製チューブを用いた。第2の圧力制御弁(19)には、テスコム社製の背圧弁を用いた。差圧伝送器20には、横河社製の差圧伝送器を用い、レベル制御弁21にはリサーチコントロール社製のコントロール弁を用いた。CO側出口に合流させる析出抑制流体18にはエタノールまたは2−プロパノールを用いた。析出抑制流体を供給する手段としては、プランジャータイプの定量ポンプ(日本精密社製)を用い、混合器としては1/8インチマイクロT字ミキサー(スウェージロック社製)を用いた。
(原料水溶液)
下記実施例1においては、原料水溶液として、水100gに対してバニリン0.1g、バニリン酸0.03g、アセトバニロン0.015gを溶解させた水溶液を用いた。実施例2−4および比較例1−4においては、上記水溶液にさらにグアヤコール0.015gを溶解させた水溶液を原料水溶液として用いた。実施例5−7においては、上記水溶液にさらに炭酸水素ナトリウムを7.6g溶解させた水溶液を原料水溶液として用いた。
実施例8および比較例5においては、原料水溶液として、製紙プロセスから得られる黒液を用いた。当該黒液は、バニリン0.092wt%、バニリン酸0.028wt%、アセトバニロン0.018wt%、グアヤコール0.013wt%、塩(炭酸水素ナトリウムを主成分とする塩の混合物)7.6wt%のほか未同定の有機成分を炭素換算で90wt%超含む溶液である。
実施例9においては、原料水溶液として、クロスカップリング反応後の溶液として想定されるp−シアノビフェニル0.38wt%、KCO0.32wt%、KHCO0.22wt%、KBr0.28wt%、B(OH)0.14wt%を含む、エタノール―水等量混合溶液を用いた。
(分析方法)
得られたCO側・液側のそれぞれのサンプルについて、HPLCを用いた分析により、バニリン、バニリン酸、アセトバニロンおよびグアヤコール、またはp−シアノビフェニルの濃度を測定した。この結果を基に、CO側・液側における各成分の流量を算出し、各成分の供給流量で割ることによってCO側・液側における各成分の収率を算出した。また、CO側の収率を液側の収率で割ることにより、各成分のCO側への分配係数を算出した。
(実施例1)
原料水溶液流量は約10g/minとし、CO流量は40g/min、抽出温度は40℃、抽出圧力は20MPaとした。内径40mmの分離器にテフロン(登録商標)のスペーサーを入れることにより、分離部の内径は20mm、液面制御部の内径は10mmとした。本実施例では析出抑制流体としてエタノールを用いた。析出抑制流体の流量はCO流量と同等とした。表1に実施例におけるCO側・液側への収率と分配係数を示す。40℃、20MPaにおけるCO側のバニリン抽出率は75.4%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.75g/g(1.83mol/mol)であったが、この値は文献値の1.94mol/molに近い値であり、平衡分配係数に近い値を得られたことが確認できた(非特許文献6、以下引用する分配係数の文献値は本非特許文献の値である)。
(実施例2)
抽出圧力を15MPaとした以外は実施例1と同じ条件で抽出実験を行った。40℃、15MPaにおけるCO側のバニリン抽出率は69.9%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.57g/g(1.39mol/mol)であったが、文献値の1.41mol/molと近い値であり、20MPaの時と同様に平衡分配係数に近い値を得られたことが確認できた。
(実施例3)
抽出圧力を10MPaとした以外は実施例1と同じ条件で抽出実験を行った。40℃、10MPaにおけるCO側のバニリン抽出率は53.0%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.28g/g(0.67mol/mol)であったが、文献値は、0.68mol/molと近い値であり、20、15MPaの時と同様に平衡分配係数に近い値を得られたことが確認できた。
実施例1〜3により、10〜20MPaの範囲で、圧力により抽出率や分配係数を制御することができることを明らかにした。また、40℃において、圧力によらず平衡分配係数に近い値が得られることを明らかにした。
(実施例4)
抽出温度を60℃とした以外は実施例1と同じ条件で抽出実験を行った。60℃、20MPaにおけるCO側のバニリン抽出率は66.9%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.51g/g(1.25mol/mol)であった。
実施例1及び4により、圧力20MPaにおいて、温度40−60℃で抽出率や分配係数を制御することができることを明らかにした。
(比較例1)
CO流量を20g/minとした以外は実施例1と同じ条件で抽出実験を行った。CO側のバニリン収率は60.0%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.75g/g(1.88mol/mol)であった。40℃、20MPaでは、分配係数が大きく変わることなく、COと原料水溶液の流量比によってCO側への各成分の抽出率が決まっていることを確認した。
(比較例2)
CO流量を20g/minとした以外は実施例2と同じ条件で抽出実験を行った。CO側のバニリン収率は52.9%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.55g/g(1.35mol/mol)であった。40℃、15MPaにおいても、分配係数が大きく変わることなく、COと原料水溶液の流量比によってCO側への各成分の抽出率が決まっていることを確認した。
(比較例3)
CO流量を20g/minとした以外は実施例3と同じ条件で抽出実験を行った。CO側のバニリン収率は34.7%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.26g/g(0.64mol/mol)であった。40℃、10MPaにおいても、分配係数が大きく変わることなく、COと原料水溶液の流量比によってCO側への各成分の抽出率が決まっていることを確認した。
(比較例4)
CO流量を20g/minとした以外は実施例4と同じ条件で抽出実験を行った。CO側のバニリン収率は49.7%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.49g/g(1.19mol/mol)であった。60℃、20MPaにおいても、分配係数が大きく変わることなく、COと原料水溶液の流量比によってCO側への各成分の抽出率が決まっていることを確認した。
比較例1〜4により、CO流量を下げると、分配係数は大幅に変わることなく、CO抽出率が低下することを確認した。
Figure 2019042640
(実施例5)
原料水溶液として、炭酸水素ナトリウム含有する原料水溶液を用いた以外は実施例1と同じ条件で抽出実験を行った。CO側のバニリン収率は80.4%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は1.13g/gであった。実施例1と比べて、CO側へのバニリンおよびアセトバニロン、グアヤコールの抽出率、分配係数が上昇し、バニリン酸はその逆の結果となった。
(実施例6)
抽出圧力を15MPaとした以外は、実施例5と同様の条件で抽出実験を行った。CO側のバニリン収率は75.9%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.85g/gであった。炭酸水素ナトリウムを含む以外は同じ条件で抽出を行った実施例2と比べて、CO側へのバニリンおよびアセトバニロン、グアヤコールの抽出率、分配係数が上昇し、バニリン酸はその逆の結果となった。
(実施例7)
抽出圧力を10MPaとした以外は、実施例5と同様の条件で抽出実験を行った。CO側のバニリン収率は57.6%であった。また、バニリンのCO側への分配係数は0.36g/gであった。炭酸水素ナトリウムを含む以外は同じ条件で抽出を行った実施例3と比べて、CO側へのバニリンおよびアセトバニロン、グアヤコールの抽出率、分配係数が上昇し、バニリン酸はその逆の結果となった。
Figure 2019042640
実施例5〜7と実施例1〜3を比較すると、炭酸水素ナトリウムの含有する場合、バニリン・アセトバニロン・グアヤコールのCO側への分配係数が増大し、バニリン酸の分配係数が減少した。炭酸水素ナトリウムなどの塩が存在することで、水の極性が変化することやバニリン酸塩などを形成することにより、各溶媒への溶解度が変化し、ひいては、分配係数が変化したと考えられる。導入される塩の濃度をコントロールすることによっても分配係数を制御できることを示唆している。
(実施例8)
原料水溶液として、黒液を用いた。また、内径40mmの分離器にテフロン(登録商標)のスペーサーを入れることにより、液面制御部の内径を20mmとした。抽出温度は40℃、圧力は20MPaとした。原料水溶液の流量は約10g/min、CO流量は60g/minとした。上記以外は実施例1と同様である。
表3に結果を示す。バニリン抽出率は81.3%で、バニリンのCO側への分配係数は0.77g/gであった。また、バニリン酸、アセトバニロン、グアヤコールのCO側への分配係数はそれぞれ、0.00、1.29、0.77g/gであった。実施例1−7、比較例1−4の水溶液と同様に、有機物を多量に含む系においても、バニリンを、80%を超える抽出率で抽出することができることを確認した。
(比較例5)
CO流量を40g/minとした以外は実施例8と同様の条件で抽出実験を行った。バニリン抽出率は77.0%で、バニリンのCO側への分配係数は0.81g/gであった。また、バニリン酸、アセトバニロン、グアヤコールのCO側への分配係数はそれぞれ、0.01、1.42、2.26g/gであった。実施例8と比較して、原料水溶液に対するCOの流量が小さいため、バニリン等の抽出率が減少したと考えられる。
Figure 2019042640
実施例8および比較例5では、実施例1と異なり高濃度の未同定有機物を含有するような黒液を原料水溶液とする本実施例においても、実施例1と同等レベルでCO側への高いバニリン・アセトバニロン・グアヤコール収率および分配係数が得られることが確認できた。
(実施例9)
原料水溶液として、クロスカップリング反応後の溶液として想定されるp−シアノビフェニル0.38wt%、KCO0.32wt%、KHCO0.22wt%、KBr0.28wt%、B(OH)0.14wt%を含む、エタノール―水等量混合溶液を用いた。原料水溶液流量は約17.8g/minとし、CO流量は40g/min、抽出温度は40℃、抽出圧力は20MPaとした。内径40mmの分離器にテフロン社製のスペーサーを入れることにより、分離部の内径は20mm、液面制御部の内径は10mmとした。本実施例では析出抑制流体として2−プロパノールを用いた。析出抑制流体の流量はCO流量と同等とした。
得られたCO側・液側のそれぞれのサンプルについて、HPLCを用いた分析により、p−シアノビフェニルの濃度を測定した。この結果を基に、CO側・液側におけるp−シアノビフェニルの流量を算出し、p−シアノビフェニルの供給流量で割ることによってCO側・液側におけるp−シアノビフェニルの収率を算出した。p−シアノビフェニルのCO側、及び、液側の収率はそれぞれ、89.8%、11.3%となった。本実施例により、エタノールを水と等量含むような混合水溶液においても、目的成分を高い抽出率で得ることができることが示された。
以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
1 原料水溶液タンク 2 高圧原料水溶液ポンプ
3 圧力計 4 圧力センサー
5 安全弁 6 原料水溶液予熱器
7 二酸化炭素ボンベ(サイフォン式) 8 予冷却器
9 高圧二酸化炭素ポンプ 10 圧力計
11 圧力センサー 12 高圧二酸化炭素戻り圧力制御弁
13 高圧二酸化炭素予熱器 14 マイクロ混合器
15 第1圧力制御弁 16 連結管
17 分離器 18 析出抑制流体(供給設備は図示せず)
19 第2圧力調節弁 20 差圧伝送器
21 レベル制御弁 31 連結管
32 分離器 33 分離領域
34 レベル検知領域 35 析出抑制流体(供給設備は図示せず)
36 第2圧力制御弁 37 差圧伝送器
38 レベル制御弁 41 凝縮器
42 チラー 43 液化二酸化炭素タンク
44 予冷却器 45 高圧二酸化炭素ポンプ
46 加熱器 47 質量流量計
48 抽出槽 49 熱交換器
50 圧力制御弁 51 蒸発器
52 差圧伝送器 53 内部加熱器
54 分離タンク 55 活性炭容器
61 凝縮器 62 チラー
63 液化二酸化炭素タンク 64 予冷却器
65 高圧二酸化炭素ポンプ 66 加熱器
67 質量流量計 68 抽出槽
69 原料水溶液タンク 70 高圧原料水溶液ポンプ
71 抽出後の水溶液タンク 72 圧力制御弁
73 加熱器 74 蒸発器
75 差圧伝送器 76 内部加熱器
77 分離タンク 78 活性炭容器

Claims (10)

  1. 原料水溶液中に含まれる抽出対象物である有価物を高圧二酸化炭素で液液抽出する方法であって、
    前記原料水溶液を高圧環境に連続供給するとともに別途高圧二酸化炭素を前記高圧環境に連続供給しそれぞれの高圧流体をマイクロ混合器により混合し混合後の流体を任意の滞留時間だけ滞留させる滞留管を経て前記マイクロ混合器及び前記滞留管の圧力を制御する第1圧力制御弁を通過させ、
    前記第1圧力制御弁を経て減圧された流体を分離器に供給するとともに前記分離器内で上部から高圧二酸化炭素と抽出対象物を排出し前記分離器の上部に前記分離器の圧力を制御する第2圧力制御弁を通過させ、
    前記第2圧力制御弁で減圧された後での高圧二酸化炭素中に溶解する抽出対象物の析出を抑制する析出抑制流体を前記第2圧力制御弁の上流で混合し、前記分離器内の液面レベルを検知する液面検知手段を前記分離器に与え前記分離器の液面レベルを一定にするようにしつつ前記分離器の下部にレベル制御弁を与えて下部から抽出後の水溶液を排出することを特徴とするマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法。
  2. 高圧二酸化炭素が超臨界状態を含む高圧二酸化炭素であることを特徴とする請求項1記載のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法。
  3. 原料水溶液中に含まれる抽出対象物が超臨界状態を含む高圧二酸化炭素に溶解する有機物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法。
  4. 原料水溶液と超臨界状態を含む高圧二酸化炭素を混合する前記マイクロ混合器がマイクロT字ミキサー、マイクロY字ミキサー、マイクロスワールミキサー、クシバ型マイクロミキサー、IMMインターデジタルマイクロミキサー、多段分割流路型マイクロ混合器の何れかであることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法。
  5. 析出抑制流体が抽出対象物に対して良溶媒であることを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法。
  6. 前記マイクロ混合器で流体を均一化して瞬時に抽出平衡に到達させた後、前記分離器で瞬時に高圧二酸化炭素と水を分離するため、前記分離器に流入する連結管の内径は2mm以上と太くして流入する流体の流速を遅くし、かつ前記連結管の出口は前記分離器の内面に沿う、若しくは前記分離器の内面に衝突させる構造を有することを特徴とする請求項1乃至5のうちの1つに記載のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法。
  7. 前記分離器内の上部と下部からそれぞれ単独に高圧配管で接続された高圧微差圧計を用いて前記分離器内の液面レベルを検知し、前記分離器の上部に、抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と、抽出後の水溶液を効率よく分離するため下部の液面計測領域より断面積が大きい分離領域を有し、前記分離器の下部に抽出後の水溶液の液面レベルを検知するため上部の分離領域よりも断面積の小さい液面計測領域を有する前記分離器を用い、前記第1及び第2圧力制御弁、前記レベル制御弁を流量、前後差圧、流体粘度から適切なCv値のものを選定することを特徴とする請求項1乃至6のうちの1つに記載のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出方法。
  8. 原料水溶液中に含まれる抽出対象物を超臨界状態を含む高圧二酸化炭素で液液抽出する装置であって、
    原料水溶液を高圧環境に連続供給する原料水溶液高圧供給手段と、
    別途高圧二酸化炭素を高圧環境に連続供給する高圧二酸化炭素高圧供給手段と、
    それぞれの高圧流体を混合するマイクロ混合器と、混合後の流体を任意の滞留時間だけ滞留させる滞留管と、
    前記マイクロ混合器及び前記滞留管の圧力を制御する第1圧力制御弁と、
    前記第1圧力制御弁を経て減圧された流体を分離器に供給する内径2mm以上の連結管と、
    前記連結管の出口を前記分離器の内面に沿う若しくは前記分離器の内面に衝突させるようにして前記分離器内で上部から抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素を排出する抽出対象物排出ラインと、
    前記抽出対象物排出ラインに前記分離器の圧力を制御する第2圧力制御弁と、
    高圧二酸化炭素中に溶解した抽出対象物を前記第2圧力制御弁で減圧された後に析出することを抑制する析出抑制流体を供給する析出抑制流体高圧供給手段と、
    前記析出抑制流体を前記第2圧力制御弁の上流で混合するマイクロ混合器と、
    前記分離器内の液面レベルを検知する液面検知手段と、
    前記分離器の液面レベルを一定するように前記分離器の下部にレベル制御弁を有し且つ下部から抽出後の水溶液を排出する抽出後流体排出ラインと、
    原料水溶液及び高圧二酸化炭素を任意の温度に調節する温調手段と、を有することを特徴とするマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置。
  9. 原料水溶液と超臨界状態を含む高圧二酸化炭素を混合するマイクロ混合器は、1mm以下の内部流路であり、その形状をマイクロT字ミキサー、マイクロY字ミキサー、マイクロスワールミキサー、クシバ型マイクロミキサー、IMMインターデジタルマイクロミキサー、クシバ型マイクロ混合器、多段分割流路型マイクロ混合器の何れかとしたことを特徴とする請求項8記載のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置。
  10. 前記分離器内の上部と下部からそれぞれ単独に高圧配管で接続された高圧微差圧計を用いて前記分離器内の液面レベルを検知し、前記分離器の上部に、抽出対象物を溶解した高圧二酸化炭素と抽出後の水溶液を効率よく分離するために下部の液面計測領域より断面積の大きい分離領域を与え、前記分離器の下部に抽出後の水溶液の液面レベルを検知するため上部の分離領域よりも断面積の小さい液面計測領域を与え、
    前記分離器に流入する連結管が内径2mm以上であり、かつ前記連結管の出口が前記分離器の内面に沿う、若しくは前記分離器の内面に衝突させるようになされていることを特徴とする請求項8又は9に記載のマイクロ混合器を用いた高圧二酸化炭素による液液抽出装置。

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