JPH0852315A - 溶液から溶質を分離する方法及び装置 - Google Patents

溶液から溶質を分離する方法及び装置

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JPH0852315A
JPH0852315A JP7172580A JP17258095A JPH0852315A JP H0852315 A JPH0852315 A JP H0852315A JP 7172580 A JP7172580 A JP 7172580A JP 17258095 A JP17258095 A JP 17258095A JP H0852315 A JPH0852315 A JP H0852315A
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fluid
supercritical fluid
collector
supercritical
solvent
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JP7172580A
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English (en)
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Neil Graham Smart
ニール・グラハム・スマート
Mark D Burford
マーク・デイー・バーフオード
Anthony A Clifford
アンソニー・エイ・クリフオード
Keith D Bartle
キース・デイー・バートル
Catherine M Cowey
キヤサリン・エム・カウエイ
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British Nuclear Fuels PLC
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D11/00Solvent extraction
    • B01D11/04Solvent extraction of solutions which are liquid
    • B01D11/0403Solvent extraction of solutions which are liquid with a supercritical fluid
    • B01D11/0407Solvent extraction of solutions which are liquid with a supercritical fluid the supercritical fluid acting as solvent for the solute
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D11/00Solvent extraction
    • B01D11/02Solvent extraction of solids
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超臨界流体から溶質を分離する方法及び装置
であって、流量制限器の閉塞を免れた新規な方法及び装
置の提供。 【解決手段】 本発明は、超臨界流体から溶質を分離す
る方法であって、超臨界流体の圧力を減少することを含
み、溶質を伴った超臨界流体を、加圧した別の流体と混
合して超臨界流体の圧力を部分的に減少させ、その後超
臨界流体及び前記別の流体を含む流体混合物の圧力を減
少させることを特徴とする方法を提供する。本発明は、
上記方法を実施するための装置であって、捕集器と、溶
質種を含有する超臨界流体を捕集器に配送し、それによ
って溶質種が捕集器において捕集されることを可能にす
る手段とを含み、捕集器への配送前に超臨界流体に、加
圧した別の流体を混合し、それによって超臨界流体の圧
力を部分的に減少させる手段を特徴とする装置も提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液からの溶質の
分離に係わる。本発明は特に、化学プロセス、特に分析
または分取目的で行なわれる超臨界流体抽出で用いられ
た超臨界流体を含む溶液から溶質を分離することに係わ
る。
【0002】
【従来の技術】二酸化炭素などの超臨界流体は、ホスト
媒質から所望の化学種を抽出するのに用いる有機溶媒の
代替物として一般的となりつつある。超臨界流体での抽
出は、例えば液体または固体試料の化学分析や化学処理
工業の分離工程において用いられ得る。ホスト媒質に超
臨界流体を接触させ、所望の種を前記流体に溶解させて
該流体中に抽出する。抽出終了後、超臨界流体を減圧気
化させることによって該流体から抽出種を取り出し、そ
れによって、例えば捕集を容易にする有機捕集溶媒を収
容していてもよい捕集器において抽出種が沈澱すること
を可能にする。システムの抽出圧を維持すると同時に超
臨界流体を制御下に減圧するには、背圧調整器として機
能する流量制限器が必要である。しかし、減圧が流量制
限器内でかまたは流量制限器の出口側端部において起こ
るので、当該端部においてジュール−トムソン冷却効果
が生じるとともに、それに伴い流体密度が低下して、抽
出種の溶解度を低下させかねず、そうなれば沈澱が起こ
り、最後には流量制限器が詰まる。
【0003】流量制限器の閉塞は超臨界流体抽出の際、
特に流体が抽出種で飽和している場合にきわめて普通に
生起する。流量制限器の閉塞を防止するアプローチの一
つに、様々な製造元、例えばHewlett−Pack
ard(ヨーロッパ特許出願公開第384969号明細
書)、Suprex(Technical noteP
D−12,9/92)及びJASCO Corpora
tion(M. Saito, T. Hondo及び
Y. Yamauchi, “Supercritic
al Fluid Chromatography,”
RSC Chromatography Monog
raphs, p.203, London, 198
9)が用いているような可変オリフィスを具備した機械
的及び/または電気的フィードバック調整器を用いるこ
とが有る。
【0004】ヨーロッパ特許出願公開第384969号
明細書には、流量を密度及び温度とは独立に設定するこ
とを可能にする可変オリフィスが開示されている。流量
制限器ノズルのオリフィスの寸法が、必要な圧力に応じ
て変化する。抽出された溶質は収着媒/捕集トラップに
付着し、これを抽出終了後に有機溶媒で洗浄して溶質を
捕集バイアル内に溶離する。
【0005】Suprex Corporationは
上記参考文献で、電子センサーを具備した可変自動流量
制限器を開示しており、このセンサーは流量制限器に閉
塞物が生成したのを検出すると、流量制限器を自動的に
開閉して流れが一定になるようにする。抽出種は、該種
を抽出の間保持する捕集トラップと(抽出終了後に)溶
媒を圧送して前記トラップ中を通過させ、それによって
溶質を捕集バイアル内に移す溶媒ポンプとから成る捕集
モジュールにおいて捕集される。
【0006】JASCO Corporationは上
記参考文献で、フィードバック機構を有する圧力センサ
ーを具備した可変流量制限器を開示しており、前記セン
サーは抽出圧が必要な値を上回っているか下回っている
かに応じて出口オリフィスの開閉を制御する。背圧調整
器から放出された溶質は捕集器において大気条件下に捕
集される。
【0007】機械的及び/または電気的フィードバック
調整器とは別のアプローチとして、一定の内径を具えた
管から構成された線形流量制限器が有る。この流量制限
器はその閉塞を回避するべく加熱され、なぜなら流量制
限器の加熱は該制限器の端部においてジュール−トムソ
ン冷却効果を相殺し、或る程度揮発性である抽出種の超
臨界流体への溶解度を高めるからである。幾つかの製造
元、即ちSuprex(米国特許第5,205,987
号明細書)、Dionex(国際特許出願公開第92/
06058号明細書)及びISCO(米国特許第5,2
68,103号明細書)は加熱式の線形流量制限器を用
いている。
【0008】米国特許第5,203,987号明細書に
は、正確に機械加工されたステンレス鋼製オリフィスと
して構成された流量制限器が開示されており、この流量
制限器は溶質の環境を高圧から低圧に変換する。低圧側
は、捕集手段と、流体が流通できるように連通してい
る。
【0009】国際特許出願公開第92/06058号明
細書には、ステンレス鋼管の内側にエポキシ樹脂で固定
された温度制御式の溶融シリカ製流量制限器が開示され
ている。この流量制限器はその大部分が直接加熱され、
抽出種は有機溶媒中に捕集される。
【0010】米国特許第5,268,103号明細書に
は、全体が加熱される温度制御式のステンレス鋼製流量
制限器が開示されている。この流量制限器の端部は、溶
質が液体の捕集溶媒中に直接捕集され得るように有機溶
媒中に配置される。
【0011】上記公知システムはいずれも非常に高価で
あり、かつそのうちの幾つかでは抽出種を有機溶媒中に
直接捕集することはできない。そのうえ、流量制限器の
閉塞を回避するのに、これらのシステムは総て熱に頼っ
たり、オリフィス開閉装置を追加してシステムが複雑に
なったりする。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、流量制限器
の閉塞という先に述べた問題点に対する新規なアプロー
チを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、超臨界流体の
圧力を減少させることを含む超臨界流体から溶質を分離
する方法であって、溶質を伴った超臨界流体を、加圧し
た別の流体と混合して超臨界流体の圧力を部分的に減少
させ、その後超臨界流体及び前記別の流体を含む流体混
合物の圧力を減少させることを特徴とする方法を提供す
る。
【0014】流体混合物の減圧は捕集器において行ない
得る。その場合、予め捕集器内に捕集溶媒を存在させ得
る。あるいはその代わりに、超臨界流体を部分的に減圧
するのに用いる上記別の流体が捕集器内で捕集溶媒とし
て機能するようにしてもよい。
【0015】捕集器は1個以上の捕集容器を含み、また
はその代わりに溶質を捕捉、収集するための固相トラッ
プもしくは充填カラムを含み得る。
【0016】本明細書では、上記超臨界流体を流体1、
上記別の流体を流体2とそれぞれ呼称する。抽出開始前
に捕集器内に流体を存在させる場合はその流体を捕捉溶
媒と呼称する。捕集溶媒は流体2と同じものとし得る。
流体1及び流体2は、第一の流体流と第二の流体流とか
ら成っていてもよく、これらの流体流は混合されて上記
流体混合物を形成する。本発明の方法では、流体混合物
中の流体1と流体2との体積比は、ポンプによって正確
に配送できるならば、どのような体積比も用い得る。
【0017】上述の流体1と流体2との混合物は、捕集
溶媒を収容していてもよい捕集器内に通し得る。捕集器
内で流体混合物を大気条件まで減圧することによって、
流体1が含有する溶質を流体1から分離し得、その際流
体1はガスに戻して大気中に排出し、一方溶質は流体2
または捕集溶媒中で溶媒和する。後に、流体2または捕
集溶媒から溶質を公知方法で、例えば蒸発、濾過、遠心
分離または浮選により分離し得る。
【0018】流体1は、従来技術で用いられる公知の超
臨界流体のうちのいずれか、例えば二酸化炭素、亜酸化
窒素、クロロジフルオロメタンまたは水とし得る。流体
1は20〜400℃の適当温度に加熱し得る。特定用途
のために流体1を他の任意成分、例えばメタノールや四
塩化炭素などの有機または無機改質剤と各々組み合わせ
てもよく、また、本明細書でも後述し本出願人による同
時係属国際特許出願第GB/95/00891号に開示
された錯化剤(complexants)、誘導体化剤
(derivatizing agents)及び/ま
たはコンディショニング剤(conditioning
agents)即ち酸化または還元剤と組み合わせる
ことも可能である。
【0019】流体2は、有機溶媒(例えばメタノール)
もしくは無機溶媒(例えば四塩化炭素)、または有機溶
媒と無機溶媒との混合物とし得る。流体2を従来技術で
用いられる公知の超臨界流体のうちのいずれか、例えば
二酸化炭素、亜酸化窒素、クロロジフルオロメタンまた
は水とすることも可能である。流体2を有機溶媒とする
場合、その溶媒は従来技術で用いられる公知の有機捕集
溶媒のうちのいずれか、例えばメタノール、ジクロロメ
タンまたは水であり得る。流体2を構成する溶媒は捕集
溶媒と同じものとし得る。超臨界流体を用いる場合は流
体2を超臨界状態に維持する一助として、あるいはまた
有機もしくは無機流体中の溶質の溶解度を維持する一助
として流体2を加熱することが可能である。
【0020】捕集溶媒は、従来技術で用いられる有機捕
集溶媒のうちのいずれか、例えばメタノール、ジクロロ
メタンまたは水とし得る。捕集溶媒は、本発明の方法を
実施し始める時点で捕集器内に存在させてもさせなくて
もよい。
【0021】流体1を含む溶液は、高圧の流体1を流体
2と混合してより低い圧力を有する流体混合物とする前
に流量制限器、例えば小径管に通し得る。このことは、
流体1の流量が流体2との混合前に正の値となることを
確実にする。更に、混合システムの所定箇所での2流体
の混合前に流体1が流体2によって汚染されることを防
ぐべく、流体1の流路内に逆止弁を組み込んでもよい。
【0022】流体1と流体2との混合物は、混合流体を
減圧して溶質の溶解度低下及び放出を可能にし得る背圧
調整器から成る弁に通し得る。
【0023】流量制限器及び/または背圧調整器をサー
モスタット制御式の加熱装置で加熱し、それによって減
圧された超臨界流体が該流量制限器及び/または背圧調
整器において示すジュール−トムソン冷却効果を相殺す
ることが可能である。
【0024】本発明による方法を用いることによって実
質的に一定の超臨界流体流量を達成でき、これにより、
従来技術において超臨界流体を減圧した時に生起する、
先に述べた閉塞は起こらなくなる。この閉塞は、例えば
後の具体例の説明で実施例6に例示したようなものであ
る。流体2から成る移動溶媒(mobile solv
ent)の使用は、溶質を流体2及び/または捕集器に
収容した捕集溶媒中に効率的に捕集することを容易にす
る。流体2から成る移動溶媒はまた、捕集溶媒の蒸発の
恐れを減じ、また捕集溶媒における望ましくないエーロ
ゾル生成を防止する。これらの問題は従来技術に伴うも
のであった。
【0025】本発明を(室温より低温に)冷却した捕集
器と共に用いることも可能であり、その場合は混合した
流体1及び流体2を、冷却システム(例えば冷蔵ユニッ
トや、アセトン−氷冷浴等)で外部から冷却した低温の
捕集器内に捕集することができ、その結果液体溶媒の蒸
発を更に低減し、かつ揮発性の分析対象物の捕集効率を
高めることができる。
【0026】捕集器に配送される流体1と流体2との混
合物は、例えば管壁に設置したサーモスタット制御式の
加熱フィラメントによって加熱した配送管によって配送
するのが有利である。
【0027】溶質を加圧流体2に溶解させることより、
流体1から成る超臨界流体を捕集溶媒または流体2中で
直接減圧することが可能となり、これにより非常に揮発
性である溶質の効率的捕集が可能になる。
【0028】そのうえ、流体2を適当な流量で用いるこ
とによって、流体2の捕集器内への添加を、捕集溶媒の
体積が抽出の間中維持されるように捕集溶媒の蒸発速度
に合わせることができる。捕集溶媒の量をこのような方
法でほぼ一定に維持することにより、システムの捕集効
率を高め、また、もはや抽出の間捕集溶媒を人手により
補給することが必要でなくなるので、本発明の方法を実
施する装置を監視無しで運転することが可能になる。
【0029】流体2の圧力を変更することによって流体
1の流量を再現可能に、かつ可逆的に制御し得る。流体
1の流量は、流体2の圧力を増大させると低下し、流体
2の圧力を減少させると上昇する。
【0030】加圧流体即ち流体2を用いて流体1から成
る超臨界流体の圧力を部分的に減少させることにより、
流体1の圧力を流体2との混合前に減少するのに大断面
積の線形流量制限器を用いることが可能となる。従来技
術とは異なってこのことがただ1個の流量制限器を用い
て様々な温度及び圧力下に流体1の流量を広範囲とする
ことを可能にする。従って、本発明の方法を実施する装
置は、実験条件が異なる場合に流量制限器を交換するべ
く減圧及び分解しなくともよい。このことは作動時間を
短縮し、コストを低減する。そのうえ、上記線形流量制
限器は詰まってもその場で流体2で“バックフラッシュ
(back−flush)”可能であり、システムを分
解する必要は無い。即ち、圧力勾配次第で流量制限器内
部に順逆両方向への流体流を生じさせることができ、従
ってシステムの清掃が容易となる。
【0031】また、例えば後述する実施例5に示したよ
うに、超臨界流体を用いて抽出した溶質の捕集効率は、
異なる溶質を捕集しようとする場合に高くなる。
【0032】本発明による方法において超臨界流体溶媒
により化学種を除去することが望ましい媒質は、固体媒
質であっても液体媒質であってもよい。固体である場合
上記媒質は、土壌、スラッジ、空中浮遊粒子、食物、工
業処理残渣、工業処理スラグまたは工業処理製品等の粒
状物質を含み得る。化学種はこれらの粒子表面に保持さ
れ得、及び/またはこれらの粒子中に結合し得る。ある
いは他の場合には、媒質は除染するべき物質、例えば金
属もしくはコンクリート構造物や、砕石などの廃棄建材
や、ゴム、プラスチックもしくは繊維材料などの汚染廃
棄物質であり得る。液体である場合は上記媒質は、例え
ば処理溶媒または工業廃液を含み得る。
【0033】本発明の方法は、例えば液体または固体試
料中の問題の化学種の濃度を分析するのに用い得る。汚
染物質の存在を分析したりする場合はストック溶液を製
造し、これを後に、異なる分析用に多くの試料に分割す
ることが望ましい場合が有る。
【0034】本発明を表面の除染に用いる場合、当該表
面の汚染は放射性または非放射性の有毒重金属種もしく
は他の有害物質によるものであり得る。
【0035】あるいはまた本発明は、通常の溶媒抽出を
用いる処理、例えばコーヒーからのカフェインの抽出、
食物からの脂質の抽出、土壌からの農薬及び多環式芳香
族化合物の抽出、原鉱からの石油生成物の抽出、ビタミ
ンの精製、ポリマーの分画、照射済み核燃料の再処理に
おけるアクチニドの溶解、またはウラン鉱石の製錬処理
におけるウランの溶解に用い得る。
【0036】本発明を土地改良のための土壌浄化に用い
ることも可能である。本発明のこのような使用によっ
て、もしくは放射性重金属汚染の除去において抽出する
べき種としては、(i)アクチニドもしくはその放射性
壊変物またはその化合物、(ii)核分裂生成物、及び
(iii)重金属またはその化合物が挙げられる。
【0037】アクチニドは原子番号89〜104の元素
である。本発明によって抽出するべき種が非放射性の重
金属種を含む場合も有る。本発明の方法によって分離す
ることが望まれる非放射性重金属にはコバルト、クロ
ム、鉛、カドミウム及び水銀などの有毒金属が含まれ、
このような金属は通常工業プラント近傍及び廃棄物処分
場において土壌汚染物質として見出され、また当該元素
を含有する化学薬剤を用いた水性沈降物中にも見出され
る。
【0038】本発明を放射性または非放射性重金属種の
抽出に用いる場合は、超臨界流体溶媒から成る流体即ち
流体1に、先に言及した錯化剤及び/または酸化もしく
は還元剤を含有させることが望ましい。本発明による方
法で用いる錯化剤は抽出するべき金属種に応じて選択す
る。錯化剤は高い揮発性を有し、超臨界流体中でのその
溶解度が温度と共に著しく変化するものであることが望
ましい。これによって、形成された錯体を溶媒から沈澱
などの公知の処理で分離することが可能となる。
【0039】本発明による方法において、有機もしくは
無機改質剤、酸化もしくは還元剤、錯化剤及び/または
誘導体化剤などのコンディショニング剤は流体1の調製
に用いる超臨界流体に、抽出するべき種を含有する媒質
との接触の前またはその最中の任意時点に添加し得る。
例えば、別に調製したコンディショニング剤を抽出剤混
合物中に加えたものを抽出剤容器内で超臨界流体に添加
し、このように調製した抽出溶媒を加圧下に管を介して
接触器に送り、この接触器において処理するべき媒質と
接触させることが可能である。あるいはその代わりに、
超臨界流体を処理するべき媒質に接触させる前かまたは
接触させている最中に、コンディショニング剤を前記媒
質に直接添加し得る。しかし、酸化剤または錯化剤など
のコンディショニング剤を用いて金属を抽出する場合は
前記試薬がステンレス鋼を腐食させるために、超臨界流
体抽出で通常用いられるステンレス鋼システムの適用が
制限される。そこで、金属抽出用途のためには、例えば
チタン、タンタル及び/またはジルカロイなどの耐食性
材料から成るより高耐食性の高温高圧システムを用いる
ことが望ましい。耐食性金属を用いることの利点は、例
えば後段に説明する特定の具体例の実施例8に示してあ
る。
【0040】本発明を具現化する抽出、精製、分画とい
った化学処理及び反応速度論的技術での超臨界流体の使
用は、それ自体環境に苛酷ではない化学薬剤を用いるこ
とにより、従来技術では生成する水性、有機及び/また
は無機の二次廃棄物流を実質的に生成させずに好ましく
実施し得る。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の具体例を、添付図面を参
照して以下に説明する。
【0042】図1に示したように、周囲温度の液体二酸
化炭素(流体1)は供給源1から高圧ポンプ2内に引き
出され、そこで約400気圧の所望運転圧力に圧縮され
る。ポンプ2は上記圧力のCO2の連続出力流を、管路
3を経て二方弁5に配送する。弁5はCO2を螺旋管7
沿いに進ませ、かつ抽出セル9を経て、T字管継手11
に接続されたオン−オフ弁11aまで送り得る。あるい
はその代わりに、CO2は管路13を経て直接継手11
に移送され得る。抽出セル9は、該セル9の両端に位置
するガラスビーズの集合16及び18間に充填された、
例えば土壌粒子の固体または液体試料15を含有する。
ガラスビーズは約100μmの平均直径を有する。螺旋
管7、抽出セル9、弁11a、管路13及びT字管継手
11はいずれも、内部の温度を約20〜400℃の適当
温度に維持されたオーブン17に収容されている。
【0043】T字管継手11を出た高圧CO2は、やは
りオーブン17内に位置する管路19を経て、例えば約
60μmの小さい内径を有する長尺溶融シリカ管または
ステンレス鋼管から成る毛管状流量制限器21に配送さ
れる。制限器21は管路19とユニオン19aを介して
接続されている。流体2が“バックフラッシュ”せず、
T字管継手23における流体1との混合前に流体1を確
実に汚染しないようにするべく、管路19には逆止弁1
9bを設けてもよい。流量制限器21はアルミニウム加
熱ブロック22内に収容されており、このブロック22
は試料15に応じて20℃から約400℃までの温度に
加熱され、かつ当該温度にサーモスタット制御で維持さ
れる。流量制限器21の出口端はT字管継手23に接続
されている。
【0044】供給源20からの有機溶媒流体(流体2)
はポンプ25によって圧送されてオン−オフ弁27を通
り、次いでサーモスタット加熱されるアルミニウムブロ
ック30の周囲に巻かれた螺旋管28を通る。螺旋管2
8はT字管継手23に接続されている。背圧調整器31
により、ポンプ25を出た溶媒は調整可能な背圧で加圧
される。従ってT字管継手23は、流量制限器21から
出たCO2流を螺旋管28から出た加圧有機溶媒流と混
合する。
【0045】T字管継手23を出たCO2と有機溶媒と
の混合流は管路29を経て背圧調整器31に通され、か
つ出口管32を経て、有機捕集溶媒35を収容していて
もよい捕集容器33に送られる。背圧調整器31は、サ
ーモスタット制御式の熱源31aで加熱され得る。背圧
調整器31を加熱することは、図2に示したように(例
えば冷蔵ユニットや、アセトン−氷冷浴等によって)外
部から冷却されるか、または捕集溶媒中での超臨界流体
の断熱膨張が原因で冷却される冷却捕集容器33内で抽
出物を捕集する場合特に重要となる。抽出物中に(自然
界中の試料の通常成分である)水が存在すると、この水
は、(0℃より低温に)冷却されたバイアル型捕集容器
33内に挿入された背圧調整器出口管32内で凍結し、
出口管32を詰まらせる。しかし、背圧調整器出口管3
2を図2に示した耐水/耐溶媒性のサーモスタット制御
式加熱エレメント32aで加熱すれば、ほぼ一定の抽出
流量を得ることができる。捕集容器33及び溶媒35は
図2では、デュワーフラスコ39に収容された温度−1
5℃のアセトン−氷混合物37によって冷却されるよう
に示してある。
【0046】図1に示した装置の使用において、分析す
るべき適当な固体試料は試料15として提供される。図
示した装置は最初、弁11aの閉止下にCO2を、弁5
を経て管路13沿いに流すことによって所望の制限器流
量を生じさせるべく加圧される。所望流量が達成された
ら、試料15並びにガラスビーズ18及び16を装填し
た抽出セル9を螺旋管7及び弁11aと接続してもよ
い。その後、弁5及び11aが操作されてCO2の流れ
を、CO2が螺旋管7を通り、抽出セル9内部の試料1
5中を通過し、かつ管路19を経て流量制限器21に達
するように切り替える。管7は、CO2の温度がCO2
試料15との接触前にオーブン17の温度に到達するこ
とを可能にする。CO2が試料15中を通過して、分析
対象物は超臨界抽出剤のCO2中に規則的に抽出され
る。ガラスビーズの集合16及び18は、CO2中の分
析対象物の飛沫同伴を回避し、かつ試料15を構成する
物質が抽出セル9の出口に詰まりそれによって該出口の
閉塞を惹起するのを防止するべく存在する。分析対象物
を含有するCO2流は流量制限器21において部分的に
減圧され、かつT字管継手23によって加圧有機溶媒流
と混合される。有機溶媒、CO2、及び抽出された分析
対象物から成る混合流は管路29を経て(周囲温度及び
圧力下に有り得、または図2に示したように冷却され得
る)捕集容器33内へ送られる。二酸化炭素がガスとし
て大気中へ逃げる。CO2の圧力降下により、捕集容器
33内で分析対象物の溶解度が低下する。分析対象物は
有機溶媒(流体2)及び/または捕集溶媒中で溶媒和す
る。分析対象物は後に、蒸発や先に述べた他の分離法の
うちのいずれかなどの適当な分離処理によって取り出さ
れ得る。捕集された分析対象物の量は、公知の方法、例
えば分光法またはクロマトグラフィー法によって測定さ
れ得る。
【0047】CO2の瞬間流量は、公知の方法、例えば
ポンプ2からの出口流の測定か、または捕集容器33か
ら逃げる減圧ガスの比率の測定によって測定され得る。
抽出操作に用いられたCO2の量は、ポンプ2によって
押し出された液体CO2の量としてか、または捕集容器
33から逃げた減圧ガスの量として、例えば湿式試験ま
たは乾式試験測定器を用いて測定され得る。
【0048】背圧調整器31を調節して、供給源20か
らポンプ25によって圧送される有機溶媒の圧力を増大
させると、T字管継手23において該有機溶媒と混合さ
れる、分析対象を含有する超臨界CO2の流量は低下す
る。この流量低下は可逆的であり、背圧調整器31を調
節して有機溶媒の圧力を減少させれば、超臨界CO2
流量は急速に上昇する。本発明者は、CO2の流量が上
述のように、即ち背圧調整器31の調節によって変化す
る際の応答時間が僅か数秒であり、従って流量調節は迅
速に可能であることを発見した。
【0049】
【実施例】以下の実施例によって、図1に示した装置
の、超臨界CO2抽出による試料15の分析への使用を
説明する。
【0050】実施例1 有機溶媒としてメチルアルコールMeOHを用いた。
【0051】比較的大型(内径60μm)の流量制限器
を用い、かつ超臨界流体を一定の圧力モードで配送する
高圧ポンプ2と、有機溶媒を一定の流量モードで配送す
る高圧ポンプ25とを用いて様々な有機溶媒圧力及び超
臨界流体流量を達成した。例えば、超臨界CO2を温度
60℃において圧力400barとし、かつ60μm流
量制限器21を温度20℃として、有機溶媒の圧力を1
barから395barまで変更することにより3.2
ml/分から0.1ml/分までの流量(揚程において
測定した液体二酸化炭素流量)を達成できた(図3参
照)。100barという低い超臨界CO2圧力におい
ても、0.8ml/分から0.08ml/分までの流量
を有する適度な流れが実現した。即ち、超臨界流体圧力
を高くした時と低くした時とのいずれにおいても、有機
溶媒圧力の全範囲で流れを生じさせることが可能であっ
た。このようにして、0.1〜1.0ml/分の典型的
溶出流量と、0.5〜2.0ml/分の典型的分析抽出
流量との両方を同じ流量制限器21で達成でき、従って
所望の流れを得るべく流量制限器を交換しなくともよく
なった。これらの結果を図3に示す。図中、曲線A、
B、C及びDは4種のCO2ポンプ圧力、即ち100b
ar、200bar、300bar及び400barに
おけるCO2流量(ml/分)とMeOH圧力(ba
r)との関係をそれぞれ示している。
【0052】実施例2 加圧有機溶媒MeOHと組み合わせて用い得る超臨界C
2の流れを制御する別の一手段は、流量制限器21を
加熱することによって超臨界CO2の粘度を高め、従っ
て抽出流体流量を低下させることを含む。例えば、流量
制限器21を温度20℃で運転し、かつ有機溶媒を1b
arとして超臨界CO2を200barに加圧した場合
は約1.9ml/分の流量(揚程において測定した液体
二酸化炭素流量)が得られた。しかし、流量制限器21
を400℃に加熱すると、超臨界流体流量は1.1ml
/分まで再現可能に、かつ可逆的に低下した。従って、
制限器21の加熱温度は、制限器21出口端部における
断熱冷却を低減して制限器21内での分析対象物の溶解
度の維持を補助するのに用い得たのみでなく、抽出流体
流量の制御にも用い得た。
【0053】これらの結果を次の表1に示す。
【0054】 制限器21の温度(℃) 超臨界CO 2の流量(ml/分) 20 1.90 100 1.75 200 1.59 300 1.32 400 1.14 表1に示した結果を得るにあたり、超臨界流体(C
2)は温度60℃及び圧力200barとし、また有
機溶媒MeOHは温度20℃及び圧力1barとした。
流量は、ポンプ2から配送された液体二酸化炭素の流量
として測定した。
【0055】実施例3 超臨界流体を用いて行なうことがきわめて困難な実験の
一つに溶解度調査が有り、なぜなら超臨界流体は当該分
析対象物で飽和するからである。従来技術では、分析対
象物を捕集するべくシステムを減圧すると甚だしい流量
制限器閉塞を招きかねない。従って、溶解度調査は、本
発明の具体例の流量制限器閉塞を排除する能力を正確に
示す理想的手段である。分析対象物には代表的なフェロ
センを選択したが、これはフェロセンの超臨界二酸化炭
素への溶解度が高く(フェロセン約2重量%)、またフ
ェロセンは高度に呈色する(鮮やかな橙色)ので閉塞が
起こった場合に閉塞箇所を決定することが管系及び弁を
視覚的に点検すれば可能だからである。
【0056】超臨界流体が標的分析対象物で飽和した状
態となることを確実にするべく、試料量を10gと比較
的多くし、かつシラン化ガラスビーズ(外径100μ
m)を試料15に混合して超臨界流体と分析対象物との
接触を促進した。
【0057】次の表2に、様々なCO2圧力及び温度に
おけるフェロセンの超臨界二酸化炭素への溶解度を示
す。
【0058】 表 2 流量(ml/分) 溶解度(モル分率) CO 2 圧力134bar CO2温度40℃ 0.24(2.4) 1.49×10-3(5.4) CO2温度50℃ 0.23(1.0) 1.37×10-3(2.1) CO2温度60℃ 0.21(1.8) 1.08×10-3(5.7) CO2温度70℃ 0.21(0.3) 7.72×10-4(0.4)CO 2 圧力245bar CO2温度40℃ 0.19(2.0) 2.46×10-3(4.3) CO2温度50℃ 0.22(2.8) 3.17×10-3(3.8) CO2温度60℃ 0.20(4.4) 3.92×10-3(6.2) CO2温度70℃ 0.22(5.9) 4.81×10-3(3.0)CO 2 圧力335bar CO2温度40℃ 0.27(7.4) 3.09×10-3(9.1) CO2温度50℃ 0.20(6.2) 3.54×10-3(8.2) CO2温度60℃ 0.19(7.8) 4.83×10-3(5.2) CO2温度70℃ 0.22(7.4) 5.98×10-3(4.9) 表2において流量値及び溶解度値の後に括弧に入れて示
した各値は、三重抽出法を用いて得た相対標準偏差であ
る。
【0059】二酸化炭素が約2重量%に達するフェロセ
ンを含有する場合でも、再現可能な流量を相対標準偏差
10%未満で得ることができた。フェロセンが高度に溶
解性であることから、流量制限器21を温度200℃に
加熱し、かつ有機溶媒を70℃に加熱して、連続的な抽
出流量を確実に実現させた。この溶解度調査の際に得ら
れた、相対標準偏差8%未満のほぼ一定の流量は、条件
が変化してフェロセンの二酸化炭素への溶解度が上昇し
ても閉塞が生起しなかったことを明示している。
【0060】実施例4 暗緑色のニッケル錯体Ni[C22224]も溶解度調
査の分析対象物として調べた。この錯体は、実施例3で
用いたフェロセン錯体よりも3桁小さい溶解度しか有し
ていなかった。ニッケル錯体はフェロセン錯体同様、通
常のオフライン捕集技術を用いて捕集した時には線形流
量制限器を甚だしく詰まらせた。しかし、図1に示した
装置を用いて流量制限器21を加熱し、かつ加圧した有
機溶媒を用いたところ、ニッケル錯体の場合でも連続的
な抽出流量が実現可能となった(表3)。ニッケル錯体
の超臨界流体への溶解度が比較的低いので、抽出流量の
維持のためには流量制限器21を125℃に、加圧有機
溶媒を60℃に加熱すればよかった。
【0061】次の表3に、様々なCO2圧力に関して得
られたニッケル錯体の溶解度を示す。
【0062】 表 3 Ni[C22H22N4]錯体の溶解度 流量(ml/分) 溶解度(モル分率) CO 2 圧力161bar 60℃ CO2 0.21(8.1) 3.4 ×10-8(1.8) 60℃ CO2/10%MeOH 0.22(3.1) 6.72×10-7(2.0)CO 2 圧力252bar 60℃ CO2 0.21(6.2) 6.2 ×10-7(7.2) 60℃ CO2/10%MeOH 0.20(2.1) 2.26×10-6(6.7)CO 2 圧力342bar 60℃ CO2 0.21(2.1) 1.4 ×10-6(5.3) 60℃ CO2/10%MeOH 0.21(2.6) 3.05×10-6(4.3) 表3において流量値及び溶解度値の後に括弧に入れて示
した各値は、三重抽出法を用いて得た相対標準偏差であ
る。
【0063】表3に示したように、ニッケル錯体を用い
ることにより、8%未満の低い相対標準偏差(RSD)
しか有しない、きわめて再現可能な抽出流量値及び溶解
度値が得られた。溶解度測定値の低いRSD値には、抽
出、捕集、及び分析対象の定量分析に伴うあらゆる変動
分が含まれ、即ちこの実施例では本発明による方法の確
実性及び再現可能性が証明された。純粋な超臨界CO2
へのニッケル錯体の溶解度は非常に低いので、超臨界流
体に改質剤(10重量%メタノール)を添加して分析対
象物の溶解度を上昇させた。溶融シリカ製の流量制限器
は、有機物を用いて改質した超臨界CO2と共に用いる
と脆化し、破損することから、CO2/10%メタノー
ル抽出流体の時に用いたのは内径60μmのステンレス
鋼製流量制限器21であった。改質抽出流体の場合に得
られた流量値及び溶解度値は純粋CO2の場合に得られ
た値と同程度に再現可能で、即ちRSD値が約7%以下
であった。従って、図1に示した装置は改質された超臨
界流体にも純粋流体に対してと同等に適し、改質流体で
も同じ範囲の流量が実現可能である。
【0064】実施例5 図1に示した装置の捕集効率を、n−アルカンを収着媒
樹脂Tenax TA(商標)上に付着させ、かつ超臨
界CO2で抽出することによって調べた。得られた結果
(表4)は、図1に示した装置及び本発明による方法を
用いれば、線形流量制限器をヒートガンで加熱する通常
のオフライン捕集方法を用いた場合CO2を減圧して大
気条件下に捕集器内の有機捕集溶媒に混入するので、種
々の分析対象物がはるかに効率的に保持され得ることを
示している。分析対象物の捕集に加圧した有機溶媒(流
体2)を用いることによって効率的な捕集が確実とな
り、かつ捕集容器33に有機溶媒を連続的に添加するの
で、抽出の間の溶媒及び分析対象物の蒸発の問題が軽減
される。
【0065】更に、捕集容器33を冷却装置(例えば冷
蔵ユニットや、アセトン−氷冷浴等)で外部から冷却す
れば溶媒の蒸発を低減することができ、その結果捕集溶
媒量の維持に必要な溶媒は減少し得、一方システムの捕
集効率は上昇する。
【0066】図2に示した冷却式捕集容器33を図1に
示した装置と組み合わせて用いたところ、捕集溶媒量を
30分の抽出の間維持するにの必要な溶媒の量を、通常
の抽出システム(例えばヒートガンで周期的に加熱する
線形流量制限器)が必要とする量の2/3に減少でき
た。後出の表4を参照されたい。抽出した水が背圧調整
器の出口管内で凍結しないことを確実にするべく(背圧
調整器の出口管は、その一部が図2に示したように冷却
した捕集溶媒中に配置されるので間接的に冷却され
る)、前記出口管を耐水/耐溶媒性の加熱エレメントで
温度20℃までサーモスタット制御で加熱した。加熱し
た背圧調整器を冷却した捕集溶媒(図2)と共に用いる
ことによって、図1に示した装置が連続的な抽出流量を
維持しながら、通常の抽出システムで得られるものをは
るかに凌駕する非常に高い捕集効率及び非常に低い捕集
溶媒蒸発率も維持することが可能となった。
【0067】実施例5で得られた結果を次の表4に示
す。表4中の記号BPRは、流量制限器21を使用した
こととその温度とを超臨界CO2に加えて加圧溶媒を使
用したことと共に示す。(BPR=背圧調整器)。
【0068】 表 4 分析対象 (n-アルカン) 捕集効率(%) BPR加熱せず BPR加熱(20℃) 通常方法 捕集容器冷却せず 捕集容器冷却(−10℃) (注記a参照) (注記b参照) (注記c参照) C6 17(6) 20(17) 36(22) C7 51(8) 65(15) 75(8) C8 75(3) 87(8) 90(2) C9 90(2) 95(4) 95(1) C10 100(2) 97(2) 99(2) C11 101(3) 96(1) 100(1) C12 100(2) 97(1) 102(2) C15 101(4) 99(1) 101(2) 溶媒添加(注記d参照) 0.5ml/分 0.45ml/分 0.35ml/分 注記a: 通常の捕集方法では、CO2を減圧して大気
条件下に有機捕集溶媒に混入するので線形流量制限器を
ヒートガンで加熱する。分析対象物はTenaxTAか
ら、60℃、400barのCO2で30分間抽出し
た。
【0069】注記b: 流量制限器21を100℃に設
定したサーモスタット制御式の加熱ブロックで加熱し、
分析対象物を(350barに)加圧した捕集溶媒中に
捕集する。背圧調整器出口管や捕集容器の温度制御は行
なわなかった。分析対象物はTenax TAから、6
0℃、400barのCO2で30分間抽出した。
【0070】注記c: 流量制限器21を100℃に設
定したサーモスタット制御式の加熱ブロックで加熱し、
分析対象物を(350barに)加圧した捕集溶媒中に
捕集する。背圧調整器出口管をサーモスタット制御式の
耐水/耐溶媒性ヒーターで20℃に加熱し、かつ捕集容
器をアセトン−氷冷浴で−10℃に冷却した。分析対象
はTenax TAから、60℃、400barのCO
2で30分間抽出した。
【0071】注記d: 捕集溶媒量を30分の抽出の間
維持するのに必要な液体溶媒添加速度。
【0072】実施例6 背圧調整器の図2に示した変形例と組み合わせた図1の
装置を用いて実在試料の抽出を行ない、きわめて汚染さ
れた自然界中の試料(粗石油ピッチ)と天然産物(ラベ
ンダー植物材料)との両方に関して連続的な抽出流を得
た。得られた結果を図4のグラフに示す。これに対し
て、ヒートガンで周期的に加熱する線形流量制限器を具
備した通常の抽出システムを用いて上記実在試料の抽出
を行なった場合は、流量制限器が徐々に閉塞状態となっ
たり(ラベンダー試料)完全に閉塞したり(石油試料)
した。図4を参照されたい。
【0073】図4中、記号A、B、C及びDを付した曲
線は、 A:石油粗生成物を通常の抽出システムで抽出する実
験、 B:ラベンダー植物材料を通常の抽出システムで抽出す
る実験、 C:石油粗生成物を、加熱した背圧調整器(20℃)及
び冷却した捕集容器(−10℃)を用いて抽出する実
験、及び D:ラベンダー植物材料を、加熱した背圧調整器(20
℃)及び冷却した捕集容器(−10℃)を用いて抽出す
る実験 を表わす。
【0074】実施例7 図1に示した装置は、超臨界流体中での拡散係数の測定
にも用い得る。溶質を抽出セル内に注入する替わりに空
の流体導管内に注入すると、間欠的に注入された溶質は
流体導管に沿って移動するにつれて、軸線方向及び半径
方向分散作用によって広がる。測定した出口曲線の幅か
ら、超臨界流体中での溶質の拡散係数を計算することが
できる。しかし、信頼できるデータを得るべきである場
合は非常に低い流量の、溶質を高濃度で含有する超臨界
流体が必要となる。通常の装置は、流体が上記のように
分析対象物を高濃度で含有する場合は一定しない流れを
もたらすが、本発明はこのような流れの問題を克服し、
きわめて再現可能でかつ一定した低い超臨界流体流量を
実現し得る。
【0075】実施例8 高温高圧システムの構築におけるステンレス鋼の使用
は、抽出過程で、ステンレス鋼に作用して腐食の問題を
惹起しかねない錯化剤を存在させる場合制限される。同
様の高温高圧下に用い得るが、超臨界流体抽出条件下に
上記試薬がもたらす腐食に対して耐性であるステンレス
鋼代替材料が好ましい。本発明をそのような材料と共に
用いる一例を次のように実行した。
【0076】1gの外径100μmの金属粒子(金属は
後出の表5中に掲げたものの中から選択)、10mgの
錯化剤及び10μlの蒸留水を1ml容の抽出セルに入
れた。抽出セルを400atm、60℃のCO2で加圧
し、かつ30分間放置して静的に平衡させた。平衡ステ
ップ後、セルの中身を400atm、60℃のCO
で、流量1ml/分で10分間動的に抽出した。抽出
物を、図1に示した装置を用いてメタノール中に捕集
し、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析に
よって分析した。
【0077】得られた結果を次の表5に示す。
【0078】 表 5 錯化剤 抽出金属(μg) ステンレス鋼(Fe) タンタル チタ ジルコニウム テノイルトリフル オロアセトン 145.2 <0.002 0.3 0.7 ジエチルアンモニ ウム-ジエチルジ チオカルバメート 7.3 <0.002 0.06 0.02 5-フルオロ-8- ヒドロキシキノリン 3.6 <0.002 0.06 0.7 代替材料Ta、Ti及びZrを用いると、腐食を数桁低
減して、超臨界流体中に腐食性の上記試薬を存在させな
がら図1の装置を通常どおり運転することを可能にする
レベル以内とすることができる。上記代替材料、特にチ
タン及びタンタルは管、弁及びユニオンへと容易に機械
加工可能であり、実用的なチタン製システムは腐食性の
錯化剤を用いる超臨界流体抽出の条件下に好ましく運転
され、その際腐食に関して大した問題は生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】超臨界流体抽出を用いて試料を分析する装置
を、ある程度概略的なブロック線図の形態で示す説明図
である。
【図2】図1に示した装置の一部分の特定の形態を示す
拡大図である。
【図3】図1に示した装置の一使用法における超臨界流
体流量対メチルアルコール流量のグラフである。
【図4】図1に示した装置の一使用法における超臨界C
2流量対抽出時間のグラフである。
【符号の説明】
1 液体二酸化炭素源 2,25 高圧ポンプ 9 抽出セル 15 試料 17 オーブン 20 有機溶媒源 21 流量制限器 22 加熱ブロック 31 背圧調整器 31a 熱源 32 出口管 32a 加熱要素 33 捕集容器 35 有機捕集溶媒 37 アセトン−氷冷浴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マーク・デイー・バーフオード イギリス国、エル・エス・2・9・ジエ イ・テイー、リーズ、ユニバーシテイ・オ ブ・リーズ、スクール・オブ・ケミストリ ー気付(番地なし) (72)発明者 アンソニー・エイ・クリフオード イギリス国、エル・エス・2・9・ジエ イ・テイー、リーズ、ユニバーシテイ・オ ブ・リーズ、スクール・オブ・ケミストリ ー気付(番地なし) (72)発明者 キース・デイー・バートル イギリス国、エル・エス・2・9・ジエ イ・テイー、リーズ、ユニバーシテイ・オ ブ・リーズ、スクール・オブ・ケミストリ ー気付(番地なし) (72)発明者 キヤサリン・エム・カウエイ イギリス国、エル・エス・2・9・ジエ イ・テイー、リーズ、ユニバーシテイ・オ ブ・リーズ、スクール・オブ・ケミストリ ー気付(番地なし)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超臨界流体の圧力を減少させることを含
    む超臨界流体から溶質を分離する方法であって、溶質を
    伴った超臨界流体を、加圧した別の流体と混合して超臨
    界流体の圧力を部分的に減少させ、その後超臨界流体及
    び前記別の流体を含む流体混合物の圧力を減少させるこ
    とを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 流体混合物の減圧を捕集器において行な
    い、超臨界流体が捕集器からガスとして排出されること
    を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 捕集器内に捕集溶媒が存在することを特
    徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記別の流体が捕集器内で捕集溶媒とし
    て機能することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 後に捕集溶媒から溶質を分離処理によっ
    て分離することを特徴とする請求項3または4に記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 超臨界流体を前記別の流体との混合前に
    流量制限器に通すことを特徴とする請求項1から5のい
    ずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記別の流体の圧力を背圧調整器で変更
    及び制御することを特徴とする請求項1から6のいずれ
    か1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 背圧調整器を、超臨界流体及び前記別の
    流体を含む混合流体の流れの中に配置することを特徴と
    する請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項2に記載の方法を実施するための
    装置であって、捕集器と、溶質種を含有する超臨界流体
    を捕集器に配送し、それによって溶質種が捕集器におい
    て捕集されることを可能にする手段とを含み、捕集器へ
    の配送前に超臨界流体に、加圧した別の流体を混合し、
    それによって超臨界流体の圧力を部分的に減少する手段
    を特徴とする装置。
  10. 【請求項10】 請求項2に記載の方法を実施する間捕
    集溶媒の量を、捕集器に適量の流体を添加することによ
    って維持するべく構成されていることを特徴とする請求
    項9に記載の装置。
  11. 【請求項11】 超臨界流体の流れを前記別の流体との
    混合前に絞る流量制限器を含むことを特徴とする請求項
    9または10に記載の装置。
  12. 【請求項12】 前記別の流体の圧力を変更及び制御す
    る背圧調整器を含むことを特徴とする請求項9から11
    のいずれか1項に記載の装置。
  13. 【請求項13】 背圧調整器が超臨界流体と前記別の流
    体との混合物の流路内に配置されていることを特徴とす
    る請求項12に記載の装置。
  14. 【請求項14】 背圧調整器を加熱する手段を含むこと
    を特徴とする請求項12または13に記載の装置。
  15. 【請求項15】 捕集器がジャケットに収容されてお
    り、前記ジャケット内には冷却材が存在することを特徴
    とする請求項9から14のいずれか1項に記載の装置。
  16. 【請求項16】 流体を捕集器内に配送する配送管を含
    み、この配送管は該管を加熱する手段を具備しているこ
    とを特徴とする請求項9から15のいずれか1項に記載
    の装置。
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