JP2019041553A - 車両の制御装置、車両の制御システムおよび車両の制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の目的は、車両安定性を向上できる車両の制御装置、車両の制御システムおよび車両の制御方法を提供することにある。
図1は、実施例1の電動車両の制御システムを示す図である。
実施例1の電動車両は、前輪1FL,1FRが駆動輪、後輪1RL,1RRが従動輪であり、前輪1FL,1FRに駆動トルクを付与する駆動源として、電動モータ(以下、モータ)2を有する。モータ2および前輪1FL,1FR間の動力伝達は、減速ギヤ3、ディファレンシャルギヤ4および駆動軸5FL,5FRを介して行われる。各車輪1FL,1FR,1RL,1RRは、車輪速度を検出する車輪速度センサ6FL,6FR,6RL,6RRを有する。モータ2は、モータ回転速度を検出するレゾルバ7を有する。車両は、低電圧バッテリ8および高電圧バッテリ9を有する。低電圧バッテリ8は、例えば鉛蓄電池である。高電圧バッテリ9は、例えばリチウムイオン電池またはニッケル水素電池である。高電圧バッテリ9は、DC-DCコンバータ10により昇圧された電力により充電される。各車輪1FL,1FR,1RL,1RRは、ブレーキ装置として液圧式のブレーキユニット11FL,11FR,11RL,11RRを有する。ブレーキユニット11FL,11FR,11RL,11RRは、供給されたブレーキ液圧(ホイルシリンダ液圧)に応じて、対応する車輪1FL,1FR,1RL,1RRに制動トルクを付与する。
スプリットμ路において、運転者がアクセルペダルを踏み込み、車両を発進後の時刻t1において、駆動トルクの上昇に伴い、低μ路側のスリップ輪のスリップ量が増大し、スリップ制御目標車輪速度を上回る。よって、スリップ制御トルクが算出され、ドライバ要求トルクよりも小さなトルクが駆動輪に出力される。
時刻t2において、スリップ輪の実駆動輪速がBLSD目標車輪速度を超えると、BLSD制御によってスリップ輪にBLSD要求液圧が作用する。これにより、スリップ輪の実駆動輪速が低下すると共に、BLSD制御によって非スリップ輪にBLSD要求液圧に応じたトルクが作用する。スリップ輪の実駆動輪速がBLSD目標車輪速度に収束すると、スリップ制御トルク及びBLSD要求液圧が共にドライバ要求トルクに向けて増大する。
ドライバ要求トルク算出処理部12aは、アクセル操作量および車両速度からマップを参照してドライバ要求トルク(要求駆動トルク)を算出する。
増減圧判断閾値算出部12bは、車両が走行している路面の勾配推定値と、ドライバ要求トルクと、車両速度とに基づいて増減圧判断閾値を算出する。増減圧判断閾値とは、スリップ制御トルクがドライバ要求トルクに到達する前に、BLSD要求液圧を抑制する指令を出力するための閾値である。
ブレーキ増圧禁止閾値算出部104では、ドライバ要求トルクからブレーキ増圧禁止トルク幅を減算し、ブレーキ増圧禁止閾値を算出する。
ブレーキ減圧許可閾値算出部106では、ドライバ要求トルクからブレーキ減圧許可トルク幅を減算し、ブレーキ減圧許可閾値を算出する。ブレーキ減圧許可閾値とは、ブレーキ増圧を禁止後、ブレーキ減圧の許可を行いつつモータ2のトルク制御を行う閾値である。尚、増圧を禁止後、減圧を許可するまでの間は、BLSD要求液圧を保持する。
ステップS1では、増圧禁止フラグがONか否かを判断し、ONの場合はステップS2に進んで前回のBLSD要求液圧を保持する。一方、増圧禁止フラグがOFFの場合は初期BLSD要求液圧をそのまま最終的なBLSD要求液圧として出力する。
ステップS3では、減圧許可フラグがONか否かを判断し、ONの場合はステップS4に進んで減圧を許可する。このとき、減圧は、予め設定された所定変化率に制限しつつ徐々に減圧する。これにより、駆動トルクの急変を抑制する。一方、減圧許可フラグがOFFの場合は、ステップS2の保持処理を継続する。
スプリットμ路において、運転者がアクセルペダルを踏み込み、車両を発進後の時刻t1において、駆動トルクの上昇に伴い、低μ路側のスリップ輪のスリップ量が増大し、スリップ制御目標車輪速度を上回る。よって、スリップ制御トルクが算出され、ドライバ要求トルクよりも小さなトルクが駆動輪に出力される。時刻t2において、スリップ輪の実駆動輪速がBLSD目標車輪速度を超えると、BLSD制御によってスリップ輪にBLSD要求液圧が作用する。これにより、スリップ輪の実駆動輪速が低下すると共に、BLSD制御によって非スリップ輪にBLSD要求液圧に応じたトルクが作用する。スリップ輪の実駆動輪速がBLSD目標車輪速度に収束すると、スリップ制御トルク及びBLSD要求液圧が共にドライバ要求トルクに向けて増大する。このとき、ブレーキ増圧禁止閾値及びブレーキ減圧許可閾値が設定される。
時刻t22において、スリップ制御トルクがブレーキ減圧許可閾値を超えると、BLSD要求液圧の減圧を開始する。このとき、所定変化率に制限しながら徐々に減圧する。これにより、スリップ輪に作用するブレーキ液圧が減少し、スリップ量が徐々に回復する。
時刻t24において、スリップ制御トルクがブレーキ増圧禁止閾値を下回ると、BLSD要求液圧の増圧が許可される。よって、スリップ制御トルクとBLSD要求液圧との協調により車両加速度を安定させた状態で、スリップ輪を適正なスリップ量に収束させる。
このように、モータ2よりも応答性の低い液圧ブレーキの制御にあっては、BLSD要求液圧を増圧・保持・減圧を行いつつ、応答性の高いモータ2で制御する余地を確保することで、車両の安定性を効果的に向上できる。
(1)車両の前輪1FL,1FR(第1駆動輪と第2駆動輪)とを接続する駆動軸を介して接続され、駆動軸に駆動力を発生させるモータ2(駆動源)と、前輪1FL,1FRに各々制動力を与えることが可能なブレーキユニット11FL,11FR(ブレーキ装置)と、を備える車両の制御装置であって、車両のアクセル操作に基づくドライバ要求トルク(要求駆動力)を演算し、前輪1FL,1FRの一方の接地路面の摩擦係数が、他方の接地路面の摩擦係数より低いスプリットμ路において、モータ2によって一方の前輪に与えるスリップ制御トルク(駆動力)を演算し、スプリットμ路において、ブレーキユニット11FL,11FRによって一方の前輪に与えるBLSD要求液圧(制動力)を演算し、スリップ制御トルクが、ドライバ要求駆動トルクより小さいブレーキ増圧禁止閾値(第1閾値)を上回った場合、BLSD要求液圧を保持する。
よって、スプリットμ路での車両安定性を向上できる。具体的には、モータトルクを一定、かつ、BLSD要求液圧の変動に伴う加速度変動が生じることを抑制できる。
駆動源による駆動力がブレーキ増圧禁止閾値を超えた後、すぐにブレーキ装置による制動力を低減させないことで、ブレーキ制御と駆動力(トルク)制御とが制御ハンチングによって不安定になることを抑制できる。
登り勾配では駆動力(トルク)が多く必要になるため、ブレーキ増圧禁止閾値を大きくすることで、より駆動力(トルク)を出すことができる。
車両速度が大きい場合、スリップ量の変化に対して摩擦ブレーキの低減で対応すると、車両にヨー方向の動きが発生しやすくなる。高速域ではブレーキ増圧禁止閾値を小さくすることで、モータトルクで、よりスリップ量を制御できるようになる。
例えば、スプリットμ路で、低μ路側でモータトルクによるスリップ制御とBLSDが介入する状態を意図的に作り出し、モータトルクがドライバ要求駆動トルクに近づくときのBLSDによるブレーキ液圧を確認する。この時、ブレーキ液圧が一度保持され、更にモータトルクが要求駆動力に近づいた時に減圧するように作動する。これにより、特にスプリットμ路での車両安定性を向上できる。
(他の実施例)
実施例1では、前輪駆動の電動車両に適用した例を示したが、エンジンを備えた車両に本発明を適用してもよい。また、前輪駆動に限らず、後輪駆動や四輪駆動の車両に適用してもよい。
また、実施例1では、ブレーキ減圧許可閾値をブレーキ増圧禁止閾値とスリップ制御トルクとの中央値に設定したが、よりスリップ制御トルクに近い値、もしくはブレーキ増圧禁止閾値に近い値に設定してもよい。
1RL,1RR 後輪
2 モータ(駆動源)
5FL,5FR 駆動軸
11FL,11FR,11RL,11RR ブレーキユニット(ブレーキ装置)
12 車両制御装置(コントロールユニット)
12a ドライバ要求トルク算出処理部(要求駆動トルク演算ステップ)
12b 増減圧判断閾値算出部
12c スリップ制御トルク算出部(スリップ制御部)
12d 増減圧判断部
12e BLSD要求液圧算出部(摩擦ブレーキ演算ステップ)
Claims (10)
- 車両の第1駆動輪と第2駆動輪とを接続する駆動軸を介して接続され、前記駆動軸に駆動力を発生させる駆動源と、
前記第1駆動輪と第2駆動輪に各々制動力を与えることが可能なブレーキ装置と、
を備える車両の制御装置であって、
前記車両のアクセル操作に基づく要求駆動力を演算し、
前記第1駆動輪の接地路面の摩擦係数が、前記第2駆動輪の接地路面の摩擦係数より低いスプリットμ路において、前記駆動源によって前記第1駆動輪に与える駆動力を演算し、
前記スプリットμ路において、前記ブレーキ装置によって前記第1駆動輪に与える制動力を演算し、
前記駆動力が、前記要求駆動力より小さい第1閾値を上回った場合、前記制動力を保持することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記演算した駆動力が、前記要求駆動力より小さく、前記第1閾値より大きい第2閾値を上回った場合、前記制動力を低減させることを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記第1閾値は、前記車両の接地路面の登り勾配が小さい場合に対して大きい場合の方が大きく設定されることを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記第1閾値は、前記車両の速度が小さい場合に対して大きい場合の方が小さく設定されることを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記駆動源はモータであることを特徴とする車両の制御装置。 - 車両の第1駆動輪と第2駆動輪とを接続する駆動軸を介して接続され、前記駆動軸に駆動力を発生させる電動モータと、
前記第1駆動輪と第2駆動輪に各々制動力を与えることが可能なブレーキ装置と、
を備える車両の制御装置であって、
前記第1駆動輪の接地路面の摩擦係数が、前記第2駆動輪の接地路面の摩擦係数より低いスプリットμ路において、前記電動モータによって前記第1駆動輪に与えられる駆動力が、前記車両のアクセル操作に基づく要求駆動力に近づくにつれて、前記ブレーキ装置によって前記第1駆動輪に与えられる制動力が保持された後に、低減する指令を前記ブレーキ装置に出力する車両の制御装置。 - 車両の第1駆動輪と第2駆動輪とを接続する駆動軸を介して接続され、前記駆動軸に駆動力を発生させる駆動源と、
前記第1駆動輪と第2駆動輪に各々制動力を与えることが可能なブレーキ装置と、
前駆駆動源及びブレーキ装置を制御するコントロールユニットであって、
前記車両のアクセル操作に基づく要求駆動力を演算し、
前記第1駆動輪の接地路面の摩擦係数が、前記第2駆動輪の接地路面の摩擦係数より低いスプリットμ路において、前記駆動源によって前記第1駆動輪に与える駆動力を演算し、
前記スプリットμ路において、前記ブレーキ装置によって前記第1駆動輪に与える制動力を演算し、
前記演算した駆動力が、前記要求駆動力より小さい第1閾値を上回った場合、前記制動力を保持するコントロールユニットと、
を備えることを特徴とする車両の制御システム。 - 請求項7に記載の車両の制御システムにおいて、
前記駆動力演算部によって求められた駆動力が、前記要求駆動力より小さく、前記第1閾値より大きい第2閾値を上回った場合、前記制動力を低減させる摩擦ブレーキ低減部を備えることを特徴とする車両の制御システム。 - 前記車両のアクセル操作に基づく要求駆動力を求める要求駆動力演算ステップと、
前記車両の第1駆動輪の接地路面の摩擦係数が、前記第1駆動輪と駆動軸を介して接続される第2駆動輪の接地路面の摩擦係数より低いスプリットμ路において、前記駆動軸に駆動力を発生させる駆動源によって前記第1駆動輪に与える駆動力を求める駆動力演算ステップと、
前記スプリットμ路において、前記第1駆動輪と第2駆動輪に各々制動力を与えることが可能なブレーキ装置によって前記第1駆動輪に与える制動力を求める摩擦ブレーキ演算ステップと、
前記駆動力演算ステップによって求められた駆動力が、前記要求駆動力演算ステップによって求められた要求駆動力より小さい第1閾値を上回った場合、前記摩擦ブレーキ演算ステップによって求められた制動力を保持する摩擦ブレーキ保持ステップと、
を備えることを特徴とする車両の制御方法。 - 請求項9に記載の車両の制御方法において、
前記駆動力演算ステップによって求められた駆動力が、前記要求駆動力演算ステップによって求められた要求駆動力より小さく、前記第1閾値より大きい第2閾値を上回った場合、前記摩擦ブレーキ演算ステップによって求められた制動力を低減させる摩擦ブレーキ低減ステップを備えることを特徴とする車両の制御方法。
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