(実施の形態1)
[1−1.照明システムの概要]
先に、本実施の形態に係る照明システムの概要について説明する。図1は、照明システムにおいて、照明器具を1台ずつペアリングする様子を示す図であり、(a)は比較例の照明システム、(b)は実施の形態1の照明システムを示す図である。
比較例および実施の形態1の照明システムは、複数の照明器具1、2、3、4と、複数の照明器具1〜4と通信する照明コントローラ(図示省略)とを備えている。これらの照明システムでは、照明コントローラおよび各照明器具1〜4を建物の造営材等に設置した後、設置した作業者によって照明コントローラと各照明器具1〜4とのペアリング作業が行われる。ペアリング作業とは、照明コントローラと各照明器具1〜4とで、通信アドレスを交換し、お互いに通信相手を特定できる状態にする作業である。
比較例の照明システムでは、例えば照明器具1〜4のうち照明器具3が故障している場合であっても、作業者はその情報を知らないため、図1の(a)に示すように、故障している照明器具3に対してペアリングを試みるという無駄な作業が発生する。また、照明器具3に対してペアリングできない原因を究明するため、ペアリング作業が停滞するという問題がある。
本実施の形態の照明システムは、照明システムのペアリング作業を行う前に、照明器具および照明コントローラの不具合有無を確認させるための確認通知を行う。そのため、ペアリングできない照明器具または照明コントローラが存在する場合は、図1の(b)に示すように、事前にその照明器具または照明コントローラをペアリングの対象から除外してペアリング作業を行うことができる。これにより、照明システムにおけるペアリング作業を効率的に行うことができる。
以下、実施の形態に係る照明システム等について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
[1−2.照明システムの構成]
図2は、実施の形態1に係る照明システム100であって、照明システム100が備える照明器具、照明コントローラおよび端末装置を示す模式図である。図3は、照明システム100の構成を示すブロック図である。
まず、照明システム100の全体構成について説明する。
照明システム100は、複数の照明器具1、2、3、4、5、6、7、8、9と、複数の照明コントローラ21、22、23と、端末装置30とを備える。なお以下において、照明器具1〜9の全部または一部を指して照明器具10と呼ぶ場合がある。照明コントローラ21〜23の全部または一部を指して照明コントローラ20と呼ぶ場合が有る。
図2に示すように、照明器具10および照明コントローラ20には、それぞれに電力を供給するための電源線L1が接続されている。
複数の照明器具1〜7のそれぞれと照明コントローラ22とは、無線r1によって通信可能となっており、複数の照明器具8、9のそれぞれと照明コントローラ23とは、無線r1によって通信可能となっている。無線r1による通信方式としては、920MHz帯または2.4GHz帯の周波数を利用した特定小電力無線、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または、WiFi(登録商標)などの方式が用いられる。
照明コントローラ21は、照明コントローラ22、23の上位コントローラである。照明コントローラ21は、照明コントローラ22、23のそれぞれと有線(通信経路L2)で接続されている。照明コントローラ21と端末装置30とは、WiFiなどの無線r2によって通信可能となっている。端末装置30は、WiFiなどの無線r3によって各照明器具1〜9と通信可能となっている。
なお、照明器具10と照明コントローラ22、23とは、有線で通信可能であってもよい。上位の照明コントローラ21と下位の照明コントローラ22、23とは、無線で通信可能であってもよい。
次に、照明システム100の各構成について説明する。
照明器具1〜9は、例えば、LEDライトである。照明器具1〜9は、建物の造営材(天井など)に100台以上設置されることがある。以下、照明器具1〜9のうち照明器具1を代表例に挙げて説明する。
照明器具1は、外部の照明コントローラ22と通信する通信部10aと、点灯部10dと、通信部10aおよび点灯部10dに接続された制御部10cとを備えている。
通信部10aは、アンテナおよび無線モジュールなどにより構成されている。通信部10aは、前述したように、無線r1にて照明コントローラ22と通信する。
点灯部10dは、例えば、白色光、赤色光、緑色光または青色光を発する複数の発光ダイオードなどの光源を含む。
制御部10cは、CPU(central processing unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(read only memory)などにより構成される。制御部10cには、MACアドレス(Media Access Control address)など、照明器具1自身の識別子が記憶されている。制御部10cは、照明コントローラ22または端末装置30から送信された指示に基づいて点灯部10dの点灯状態(点灯、消灯、点滅、調光および調色)を制御する。
照明コントローラ21、22のそれぞれは、例えば、無線コントローラまたは無線アダプタである。各照明コントローラ21、22は、通信部20aと、パイロットランプ等のランプ20dと、通信部20aおよびランプ20dに接続された制御部20cとを備えている。
下位の照明コントローラ22の通信部20aは、アンテナおよび無線モジュールなどにより構成されている。この通信部20aは無線r1によって照明器具1と通信し、また、有線によって上位の照明コントローラ21と通信する。照明コントローラ22の制御部20cは、CPU、RAMおよびROMなどにより構成される。この制御部20cには、MACアドレスなど、照明コントローラ22自身の識別子が記憶されている。この制御部20cは、上位の照明コントローラ21から送信された指示に基づいて、ランプ20dの点灯状態を制御する。
上位の照明コントローラ21の通信部20aは、アンテナおよび無線モジュールなどにより構成されている。この通信部20aは、無線r2によって端末装置30と通信し、また、有線によって下位の照明コントローラ22と通信する。照明コントローラ21の制御部20cは、CPU、RAMおよびROMなどにより構成される。この制御部20cには、MACアドレスなど、照明コントローラ21自身の識別子が記憶されている。照明コントローラ21の制御部20cは、例えば端末装置30から送信された指示に基づいて、ランプ20dの点灯状態を制御する。
端末装置30は、例えば、携帯型のタブレット端末である。端末装置30は、照明コントローラ22と照明器具1とのペアリングを行うための設定器である。
端末装置30は、通信部30aと、入力部30bと、表示部30dと、通信部30a、入力部30bおよび表示部30dに接続された制御部30cとを備えている。
通信部30aは、アンテナおよび無線モジュールなどにより構成されている。通信部30aは、無線r2によって照明コントローラ21と通信し、無線r3によって照明器具1と通信する。
表示部30dは、制御部30cから出力された確認通知を表示する部分である。確認通知とは、照明器具10および照明コントローラ20の不具合有無を作業者等に確認させるための通知である。入力部30bは、上記確認通知に対する確認結果を受け付ける部分である。端末装置30は、入力部30bおよび表示部30dの両方の機能を有するタッチパネルを有している。
制御部30cは、CPU、RAMおよびROMなどにより構成されている。制御部30cには、建物内における照明器具10および照明コントローラ20のレイアウト情報が保存されている。また、制御部30cには、ペアリングさせるべき照明器具10と照明コントローラ20との組み合わせに関する情報が保存されている。
本実施の形態において、制御部30cは、照明器具10と照明コントローラ20とのペアリングが行われる前に、照明器具10および照明コントローラ20の電源に関する確認通知を出力する。また、電源に関する確認通知を出力した後であって上記ペアリングが行われる前に、照明器具10および照明コントローラ20の通信に関する確認通知を出力する。表示部30dは、制御部30cから出力された上記確認通知のそれぞれを表示する。
このように、本実施の形態の照明システム100では、ペアリング作業が行われる前に、照明器具10および照明コントローラ20の不具合有無を確認する構成となっている。そのため、照明器具10または照明コントローラ20に不具合があった場合に、不具合を有する照明器具10または照明コントローラ20をペアリングの対象から外すことができる。これにより、ペアリング作業の作業効率を向上することができる。
[1−3.照明システムのペアリング方法]
次に、照明システム100のペアリング方法について説明する。図4は、照明システム100のペアリング方法を示す全体フローである。
照明システム100のペアリング方法は、電源に関する確認工程S10と、照明コントローラ20の通信に関する確認工程S20と、照明器具10の通信に関する確認工程S30と、ペアリング工程S40とを含む。
この照明システム100のペアリング方法では、まず、電源に関する確認工程S10で、機器(照明コントローラ20および照明器具10を指す。以下同じ)の電源に関する不具合有無を確認し、不具合がある場合は不具合を有する機器をペアリングの対象から外す。次に、通信に関する確認工程S20およびS30で、機器の通信に関する不具合有無を確認し、不具合がある場合は不具合を有する機器をペアリングの対象から外す。そして、ペアリング工程S40では、ペアリング対象から外されていない照明コントローラ20と照明器具10とのペアリングを行う。以下、各工程S10〜S40について説明する。
まず、照明システム100の電源に関する確認を行う。図5Aは、電源に関する確認工程S10を示すフローチャートである。図5Bは、確認工程S10における、端末装置30の表示部30dおよび入力部30bを示す図である。
初めに、全ての照明器具10および照明コントローラ20の電源をONする(S11)。照明システム100の電源に関して異常がなければ、この電源ONによって、全ての照明器具10の点灯部10dが100%点灯し、また、全ての照明コントローラ20のランプ20dが点灯する。
また電源ONによって、端末装置30の制御部30cは、照明コントローラ20および照明器具10の電源に関する確認通知を出力する(S12)。表示部30dは、図5Bの(a)に示すように、制御部30cから出力された確認通知の内容「全ての照明コントローラ、照明器具が点灯しているか確認してください」を表示する。また、制御部30cは、表示部30d上に、確認通知に対する作業者の確認結果を受け付ける入力部30bを表示させる。これにより表示部30dは、入力部30bである2つのアイコン「点灯している」、「点灯していない」を表示する。
作業者は目視によって、設置されている全ての機器が点灯しているか否かを確認し、入力部30bにて確認結果の入力を行う。
制御部30cは、入力部30bを介して上記確認結果を受け付け(S13)、非通電状態の機器の有無を判断する(S14)。具体的には、2つのアイコンのうち「点灯している」が入力されると、全ての機器が通電状態であると判断し(S14のN)、電源に関する確認工程S10を終える(S19)。一方「点灯していない」が入力されると、照明システム100中に点灯していない機器が存在し、その機器が非通電状態であると判断する(S14のY)。
制御部30cは、上記のように「点灯していない」という入力を受け、非通電状態の機器が存在する確認結果を取得した場合に、非通電状態の機器の電源線L1の配線経路を確認させる確認通知を出力する(S15)。なお、電源線L1の配線経路の確認とは、例えば、非通電状態の照明コントローラ20または照明器具10に電源線L1が接続されているか、電源線L1に断線がないかを確認することである。表示部30dは、図5Bの(b)に示すように、制御部30cから出力された確認通知の内容「電源線の配線経路を確認してください」を表示する。また、制御部30cは、表示部30d上に、確認通知に対する確認結果を受け付ける入力部30bを表示させる。これにより表示部30dは、入力部30bである2つのアイコン「電源復旧済」、「復旧しない」を表示する。
作業者は、点灯していない機器の電源線L1の配線経路を確認し、電源線L1が外れていたり、断線していたりすればその修理を行う。そして修理した機器を点灯させ、復旧できたか否かを確認し、再び入力部30bにて確認結果の入力を行う。
制御部30cは、上記確認結果を受け付け(S16)、非通電の機器がまだ存在するかを判断する(S17)。具体的には、2つのアイコンのうち「電源復旧済」が入力されると、非通電状態の機器は存在しないと判断し(S17のN)、電源に関する確認工程S10を終える(S19)。一方「復旧しない」が入力されると、電源線L1の配線経路に異常がないにもかかわらず機器が点灯しないので、その機器自体に不具合があると判断する(S17のY)。
制御部30cは、上記のように「復旧しない」という入力を受けた場合、すなわち非通電状態である機器の電源線L1の配線経路に異常がない確認結果を取得した場合、その機器をペアリングの対象から外すか否かを確認する確認通知を出力する。表示部30dは、図5Bの(c)に示すように、制御部30cから出力された確認通知の内容「復旧しない機器をペアリングの対象から外しますか」を表示する。また、制御部30cは、表示部30d上に、確認通知に対する確認結果を受け付ける入力部30bを表示させる。これにより表示部30dは、入力部30bである2つのアイコン「ペアリングの対象から外す」、「対象外とせずに中断」を表示する。
作業者は、2つのアイコンを確認し、入力部30bにて確認結果の入力を行う。「対象外とせずに中断」が入力された場合(S18のN)は、ペアリング作業を中断して、不具合を有する機器を完全に復旧させる。
一方、制御部30cは、上記確認通知に対する確認結果として、「ペアリングの対象から外す」という確認結果を取得した場合に(S18のY)、その機器をペアリングの対象から外して、確認工程S10を終える(S19)。制御部30cは、ペアリングの対象から外された機器を、照明システム100のレイアウト情報として記憶する。
図5Cは、非通電状態の照明コントローラをペアリングの対象から外す様子を示す図である。図5Cの(a)に示すように、例えば、照明コントローラ23をペアリングの対象から外す場合、表示部30d上の入力画面において、照明コントローラ23のマークに触れる。これにより、図5Cの(b)に示すように、照明コントローラ23をペアリングの対象から外すことができる。その際、照明コントローラ23とペアリングする予定であった照明器具8、9もペアリングの対象から外される。
図5Dは、非通電状態の照明器具をペアリングの対象から外す様子を示す図である。図5Dの(a)に示すように、例えば、照明器具6をペアリングの対象から外す場合、表示部30d上の入力画面において照明器具6のマークに触れる。これにより、図5Dの(b)に示すように、照明器具6をペアリングの対象から外すことができる。
このように、電源に関する確認工程S10によって、電源線L1の配線経路に異常がないにもかかわらず非通電状態となっている機器、すなわち電源自体に不具合を有する機器をペアリングの対象から除外することができる。
次に、照明コントローラ20の通信に関する確認を行う。図6Aは、照明コントローラ20の通信に関する確認工程S20を示すフローチャートである。図6Bは、確認工程S20における、端末装置30の表示部30dおよび入力部30bを示す図である。
まず、端末装置30と照明コントローラ20との通信可否(第1の通信可否)を確認するため、端末装置30から照明コントローラ20に点滅指示信号を送信する(S21)。具体的には、端末装置30から上位の照明コントローラ21に対して点滅指示信号を送信する。また、端末装置30から照明コントローラ21を介して下位の照明コントローラ22、23に対して点滅指示信号を送信する。照明コントローラ20の通信系統に異常がなければ、この点滅指示信号の送信によって、全ての照明コントローラ20のランプ20dが点滅する。
また、端末装置30の制御部30cは、照明コントローラ20の通信に関する確認通知を出力する(S22)。表示部30dは、図6Bの(a)に示すように、制御部30cから出力された確認通知の内容「全ての照明コントローラが点滅しているか確認してください」を表示する。また、制御部30cは、表示部30d上に、確認通知に対する作業者の確認結果を受け付ける入力部30bを表示させる。これにより表示部30dは、入力部30bである2つのアイコン「点滅している」、「点滅していない」を表示する。
作業者は目視によって、設置されている全ての照明コントローラ20が点滅しているか否かを確認し、入力部30bにて確認結果の入力を行う。
制御部30cは、入力部30bを介して上記確認結果を受け付け(S23)、不通信である照明コントローラ20の有無を判断する(S24)。具体的には、2つのアイコンのうち「点滅している」が入力されると、全ての照明コントローラ20が通信可能であると判断し(S24のN)、照明コントローラ20の通信に関する確認工程S20を終える(S29)。一方「点滅していない」が入力されると、点滅していない照明コントローラ20が存在し、その照明コントローラ20が不通信であると判断する(S24のY)。
制御部30cは、上記のように「点滅していない」という入力を受け、不通信である照明コントローラ20が存在する確認結果を取得した場合(S24のY)、不通信である照明コントローラ20の通信経路L2を確認させる確認通知を出力する(S25)。なお、通信経路L2の確認とは、例えば、照明コントローラ22が不通信である場合に、下位の照明コントローラ22と上位の照明コントローラ21との通信線が接続されているか、通信線に断線がないかを確認することである。表示部30dは、図6Bの(b)に示すように、制御部30cから出力された確認通知の内容「照明コントローラの通信経路を確認してください」を表示する。また、制御部30cは、表示部30d上に、確認通知に対する「確認結果」を受け付ける入力部30bを表示させる。これにより表示部30dは、入力部30bである2つのアイコン「通信復旧済」、「復旧しない」を表示する。
作業者は、点滅していない照明コントローラ20の通信経路L2を確認し、通信線が外れていたり、断線していたりすればその修理を行う。そして修理した照明コントローラ20を点滅させて、復旧できたか否かを確認し、再び入力部30bにて確認結果の入力を行う。
制御部30cは、上記確認結果を受け付け(S26)、不通信の照明コントローラ20がまだ存在するかを判断する(S27)。具体的には、2つのアイコンのうち「通信復旧済」が入力されると、不通信である照明コントローラ20は存在しないと判断し(S27のN)、照明コントローラ20の通信に関する確認工程S20を終える(S29)。一方「復旧しない」が入力されると、通信経路L2に異常がないにもかかわらず照明コントローラ20が点滅しないので、その照明コントローラ20の通信部20aが不具合を有していると判断する(S27のY)。
制御部30cは、上記のように「復旧しない」という入力を受け、不通信である照明コントローラ20の通信経路L2に異常がない確認結果を取得した場合、その照明コントローラ20をペアリングの対象から外すか否かを確認する確認通知を出力する。表示部30dは、図6Bの(c)に示すように、制御部30cから出力された確認通知の内容「復旧しない照明コントローラをペアリングの対象から外しますか」を表示する。また、制御部30cは、表示部30d上に、確認通知に対する確認結果を受け付ける入力部30bを表示させる。これにより表示部30dでは、入力部30bである2つのアイコン「ペアリングの対象から外す」、「対象外とせずに中断」を表示する。
作業者は、2つのアイコンを確認し、入力部30bにて確認結果の入力を行う。「対象外とせずに中断」が入力された場合(S28のN)は、ペアリング作業を中断して、不具合を有する照明コントローラ20を完全に復旧させる。
一方、制御部30cは、上記確認通知に対する確認結果として、「ペアリングの対象から外す」という確認結果を取得した場合に(S28のY)、その照明コントローラ20をペアリングの対象から外して確認工程S30を終える(S29)。制御部30cは、ペアリングの対象から外された照明コントローラ20を、照明システム100のレイアウト情報として記憶する。
このように、照明コントローラ20の通信に関する確認工程S20によって、通信経路L2に異常がないにもかかわらず不通信である照明コントローラ20、すなわち通信に不具合を有する照明コントローラ20をペアリングの対象から除外することができる。
次に、照明器具10の通信に関する確認を行う。なお、照明コントローラ20の通信に関しては、確認工程S20にて不具合が取り除かれているので、確認工程S20では主に照明器具10の通信に関する確認が行われる。
図7Aは、照明器具10の通信に関する確認工程S30を示すフローチャートである。図7Bは、確認工程S30における、端末装置30の表示部30dおよび入力部30bを示す図である。
まず、照明コントローラ20と照明器具10との通信可否(第2の通信可否)を確認するため、端末装置30から照明コントローラ21および照明コントローラ22、23を介して照明器具10に点滅指示信号を送信する(S31)。照明コントローラ20と照明器具10との通信に異常がなければ、この点滅指示信号の送信によって、全ての照明器具10の点灯部10dが点滅する。
端末装置30の制御部30cは、照明器具10の通信に関する確認通知を出力する(S32)。表示部30dは、図7Bの(a)に示すように、制御部30cから出力された確認通知の内容「全ての照明器具が点滅しているか確認してください」を表示する。また、制御部30cは、表示部30d上に、確認通知に対する作業者の確認結果を受け付ける入力部30bを表示させる。これにより表示部30dは、入力部30bである2つのアイコン「点滅している」、「点滅していない」を表示する。
作業者は目視によって、設置されている全ての照明器具10が点滅しているか否かを確認し、入力部30bにて確認結果の入力を行う。
制御部30cは、入力部30bを介して上記確認結果を受け付け(S33)、不通信である照明器具10の有無を判断する(S34)。具体的には、2つのアイコンのうち「点滅している」が入力されると、全ての照明器具10が通信可能であると判断し(S34のN)、照明器具10の通信に関する確認工程S30を終える(S39)。一方「点滅していない」が入力されると、点滅していない照明器具10が存在し、その照明器具10が不通信であると判断する(S34のY)。
制御部30cは、上記のように「点滅していない」という入力を受け、不通信である照明器具10が存在する確認結果を取得した場合、その照明器具10をペアリングの対象から外すか否かを確認する確認通知を出力する。表示部30dは、図7Bの(b)に示すように、制御部30cから出力された確認通知の内容「点滅しない照明器具をペアリングの対象から外しますか」を表示する。また、制御部30cは、表示部30d上に、確認通知に対する確認結果を受け付ける入力部30bを表示させる。表示部30dは、入力部30bとして2つのアイコン「ペアリングの対象から外す」、「対象外とせずに中断」を表示する。
作業者は、2つのアイコンを確認し、入力部30bにて確認結果の入力を行う。「対象外とせずに中断」が入力された場合(S38のN)は、ペアリング作業を中断して、不具合を有する照明器具10を完全に復旧させる。
一方、制御部30cは、上記確認通知に対する確認結果として、「ペアリングの対象から外す」という確認結果を取得した場合に(S38のY)、その照明器具10をペアリングの対象から外して確認工程S30を終える(S39)。制御部30cは、ペアリングの対象から外された照明器具10を、照明システム100のレイアウト情報として記憶する。
このように、照明器具10の通信に関する確認工程S30では、不通信である照明器具10、すなわち不具合を有する照明器具10をペアリングの対象から除外することができる。
次に、図4に示すように、照明器具10と照明コントローラ20とのペアリングを行う。
端末装置30の制御部30cは、第2の通信可否の確認通知に対する確認結果として、少なくとも1組の照明コントローラ20と照明器具10とが通信可能である確認結果を取得した場合に、当該少なくとも1組の照明コントローラ20と照明器具10とをペアリングさせる通知を出力する。具体的には、端末装置30が、照明コントローラ20を介して各照明器具10のアドレスを取得し、照明器具10のアドレスと照明コントローラ20のアドレスとを関連付けて1台ずつペアリングを行う。その際、上記確認工程S10〜S30において、ペアリングの対象から外された照明器具10および照明コントローラ20は、ペアリングが実行されない。ペアリングが成立した照明器具10の点灯部10dおよび照明コントローラ20のランプ20dは、点滅状態から下限点灯(例えば30%点灯)状態に変化する。上記ステップS10〜S40を経て、照明システム100のペアリングが終了する。
[1−4.効果等]
本実施の形態に係る照明システム100は、複数の照明器具10と、複数の照明器具10と通信する1以上の照明コントローラ20と、複数の照明器具10および1以上の照明コントローラ20の不具合有無を確認させる確認通知を出力する制御部30cと、制御部30cから出力された確認通知を表示する表示部30dとを備える。制御部30cは、複数の照明器具10と1以上の照明コントローラ20とのペアリングが行われる前に、複数の照明器具10および1以上の照明コントローラ20の電源に関する確認通知を出力し、電源に関する確認通知を出力した後であってペアリングが行われる前に、複数の照明器具10および1以上の照明コントローラ20の通信に関する確認通知を出力する。
このように、制御部30cが、電源および通信に関する確認通知を出力し、表示部30dがそれらの確認通知を表示することで、作業者に照明器具10および照明コントローラ20の状態把握を促すことができる。これにより、照明器具10および照明コントローラ20の電源および通信の状態を把握することができ、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。また、通信に関する確認よりも前に電源に関する確認を行うことで、後に行う通信に関する確認作業を効率化することができる。
照明システム100は、さらに、電源に関する確認通知に対する確認結果、および、通信に関する確認通知に対する確認結果を受け付ける入力部30bを備え、制御部30cは、入力部30bを介して、確認結果のそれぞれを取得してもよい。
これによれば、制御部30cは、入力したそれぞれの確認結果に応じて、照明器具10または照明コントローラ20に関する次の確認通知を出力することができる。
また、制御部30cは、電源に関する確認通知に対する確認結果として、複数の照明器具10および1以上の照明コントローラ20のうち非通電状態の照明器具10または照明コントローラ20が存在する確認結果を取得した場合に、非通電状態の照明器具10または照明コントローラ20の電源線L1の配線経路を確認させる確認通知を出力してもよい。
このように、制御部30cが電源線L1の配線経路に関する確認通知を出力することで、作業者に電源線L1の状態把握を促すことができる。これにより、照明器具10および照明コントローラ20の電源線L1の状態を把握することができ、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
また、制御部30cは、電源線L1の配線経路の確認通知に対する確認結果として、電源線L1の配線経路に異常がない確認結果を取得した場合に、非通電状態の照明器具10または照明コントローラ20を、ペアリングの対象から外すか否かを確認させる確認通知を出力してもよい。
このように、制御部30cが、非通電状態の照明器具10または照明コントローラ20をペアリングの対象から外すか否かを確認することで、ペアリング作業における作業者の選択肢を増やすことができ、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
また、制御部30cは、ペアリングの対象から外すか否かの確認通知に対する確認結果として、非通電状態の照明器具10または照明コントローラ20をペアリングの対象から外す確認結果を取得した場合に、当該照明器具10または当該照明コントローラ20をペアリングの対象から外してもよい。
このように、不具合を有する照明器具10または照明コントローラ20をペアリングの対象から外すことで、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
さらに、複数の照明器具10および1以上の照明コントローラ20のそれぞれと無線通信する端末装置30を備え、端末装置30は、制御部30c、表示部30dおよび入力部30bを備えていてもよい。
これによれば、端末装置30にて、上記に示した制御出力、表示および入力を行うことができる。
また、制御部30cは、電源に関する確認通知に対する確認結果として、1以上の照明コントローラ20のうち通電状態の照明コントローラ20が存在する確認結果を取得した場合に、通電状態の照明コントローラ20と端末装置30との第1の通信可否を確認させる確認通知を出力してもよい。
このように、制御部30cが、照明コントローラ20の通信可否に関する確認通知を出力することで、作業者に照明コントローラ20の状態把握を促すことができる。これにより、照明コントローラ20の通信の状態を把握することができ、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
また、制御部30cは、第1の通信可否の確認通知に対する確認結果として、不通信である照明コントローラ20が存在する確認結果を取得した場合に、不通信である照明コントローラ20の通信経路を確認させる確認通知を出力してもよい。
このように、制御部30cが、照明コントローラ20の通信経路L2に関する確認通知を出力することで、作業者に通信経路L2の状態把握を促すことができる。これにより、照明コントローラ20の通信経路L2の状態を把握することができ、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
また、制御部30cは、通信経路L2の確認通知に対する確認結果として、不通信である照明コントローラ20の通信経路L2に異常がない確認結果を取得した場合に、不通信である照明コントローラ20を、ペアリングの対象から外すか否かを確認させる確認通知を出力してもよい。
このように、制御部30cが、不通信の照明コントローラ20をペアリングの対象から外すか否かを確認することで、ペアリング作業における作業者の選択肢を増やすことができ、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
また、制御部30cは、不通信である照明コントローラ20をペアリングの対象から外すか否の確認通知に対する確認結果として、当該照明コントローラ20をペアリングの対象から外す確認結果を取得した場合に、当該照明コントローラ20をペアリングの対象から外してもよい。
このように、通信に不具合を有する照明コントローラ20をペアリングの対象から外すことで、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
また、制御部30cは、第1の通信可否の確認通知に対する確認結果として、端末装置30と少なくとも1つの照明コントローラ20とが通信可能である確認結果を取得した場合に、少なくとも1つの照明コントローラ20と複数の照明器具10との第2の通信可否を確認させる確認通知を出力してもよい。
このように、制御部30cが、照明コントローラ20と照明器具10との通信可否に関する確認通知を出力することで、作業者に照明器具10の状態把握を促すことができる。これにより、照明器具10の通信の状態を把握することができ、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
また、制御部30cは、第2の通信可否の確認通知に対する確認結果として、複数の照明器具10のうち不通信である照明器具10が存在する確認結果を取得した場合に、不通信である照明器具10をペアリングの対象から外すか否かを確認させる確認通知を出力してもよい。
このように、制御部30cが、不通信の照明器具10をペアリングの対象から外すか否かを確認することで、ペアリング作業における作業者の選択肢を増やすことができ、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
また、制御部30cは、不通信である照明器具10をペアリングの対象から外すか否かの確認通知に対する確認結果として、当該照明器具10をペアリングの対象から外す確認結果を取得した場合に、当該照明器具10をペアリングの対象から外してもよい。
このように、通信に不具合を有する照明器具10をペアリングの対象から外すことで、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
制御部30cは、第2の通信可否の確認通知に対する確認結果として、照明コントローラ20および照明器具10を1組とする少なくとも1組の照明コントローラ20および照明器具10が通信可能である確認結果を取得した場合に、当該少なくとも1組の照明コントローラ20および照明器具10をペアリングさせる通知を出力してもよい。
これによれば、不具合を有する照明器具10および照明コントローラ20をペアリングの対象から外した状態でペアリングすることができるので、照明システム100におけるペアリング作業の作業効率を向上することができる。
本実施の形態に係る端末装置30は、照明器具10と照明コントローラ20とのペアリングを実行させる端末装置30であって、複数の照明器具10および1以上の照明コントローラ20の不具合有無を確認させる確認通知を出力する制御部30cと、制御部30cから出力された確認通知を表示する表示部30dとを備える。制御部30cは、照明器具10と照明コントローラ20とのペアリングを実行させる前に、複数の照明器具10および1以上の照明コントローラ20の電源に関する確認通知を出力し、電源に関する確認通知を出力した後であってペアリングを実行する前に、複数の照明器具10および1以上の照明コントローラ20の通信に関する確認通知を出力する。
このように、端末装置30の制御部30cが、電源および通信に関する確認通知を出力し、表示部30dがそれらの確認通知を表示することで、作業者に照明器具10および照明コントローラ20の状態把握を促すことができる。これにより、照明器具10および照明コントローラ20の電源および通信の状態を把握することができ、照明器具10と照明コントローラ20とのペアリング作業の作業効率を向上することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1の各工程の後に照明器具10の診断を行い、照明器具10に関する不具合を解消する形態である。
図8Aは、実施の形態2に係る照明システム100のペアリング方法を示す全体フローである。図8Bは、実施の形態2に係る照明システム100のペアリング方法における、照明器具10の診断工程S50を示すフローチャートである。
図8Aに示すように、照明器具10の診断工程S50は、実施の形態1のペアリング工程S40を終えた後に実行される。
図8Bに示すように、制御部30cは、ペアリングの対象外となった照明器具10と端末装置30との通信可否(第3の通信可否)を確認させる確認通知を出力する(S51)。
具体的には、実施の形態1にてペアリングの対象外となった照明器具10に対して、端末装置30から点灯指示信号を送信する。この点灯指示信号は、ペアリングの対象外となった照明器具10の近くに端末装置30を移動させ、無線r3を用いてブロードキャストで送信される。なお、実施の形態1にてペアリングが成立している照明器具10は、この点灯指示信号に従わないように設定されている。
制御部30cは、第3の通信可否の確認通知に対する確認結果を受け付ける(S52)。そして、端末装置30とペアリングの対象から外された照明器具10とが通信可能であるという確認結果を取得した場合に(S53のY)、当該照明器具10と照明コントローラ20との通信経路を確認させる確認通知を出力する(S54)。照明器具10と照明コントローラ20との通信経路の確認とは、例えば、照明器具6がペアリングの対象から外された場合に、照明器具6と照明コントローラ22との距離が遠すぎないか、または通信を妨げる障害物が間にないかを確認することである。
作業者は、上記確認を行った後、必要に応じて通信経路の確保を行う(S55)。例えば、照明器具6と照明コントローラ22との間に障害物がある場合は、その障害物を取り除く。また、照明器具6と照明コントローラ22との距離が遠すぎる場合は、照明器具6と照明コントローラ22との間に中継器となる他の無線コントローラを挿入する。これらの対策を施すことで、照明器具6と照明コントローラ22との通信に関する不具合を解消することがきる。
また、制御部30cは、第3の通信可否の確認通知に対する確認結果として、端末装置30とペアリングの対象から外された照明器具10とが通信不可である確認結果を取得した場合に(S53のN)、当該照明器具10を修理または交換させる通知を出力する(S56)。作業者は、ペアリングの対象から外された照明器具10を修理または交換することで、照明器具10と照明コントローラとの通信に関する不具合を解消することができる。
実施の形態2に係る照明システム100では、制御部30cは、不通信である照明器具10をペアリングの対象から外すか否かの確認通知の確認結果として、当該照明器具10をペアリングの対象から外す確認結果を取得した場合に、当該照明器具10と端末装置30との第3の通信可否を確認させる確認通知を出力する。
このように、ペアリングの対象から外された照明器具10と端末装置30との通信可否の確認を通知することで、照明器具10の故障診断が可能となる。
また、制御部30cは、第3の通信可否の確認通知に対する確認結果として、当該照明器具10と端末装置30とが通信可能である確認結果を取得した場合に、当該照明器具10と照明コントローラ20との通信経路を確認させる確認通知を出力する。
このように、照明器具10と照明コントローラ20との通信経路を確認することで、通信不可となっている原因への対策を講じることが可能となり、照明器具10と照明コントローラ20との通信に関する不具合を解消することがきる。
また、制御部30cは、第3の通信可否の確認通知に対する確認結果として、当該照明器具10と端末装置30とが通信不可である確認結果を取得した場合に、当該照明器具10を修理または交換させる通知を出力する。
このように、ペアリングの対象から外された照明器具10を修理または交換することで、照明器具10と照明コントローラとの通信に関する不具合を解消することができる。
(その他の形態)
以上、照明システム100について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
実施の形態1の図5Cでは、表示部30dに表示された照明器具10のマークを見ながら、ペアリングの対象から外すべき照明器具を選択しているが、それに限られない。例えば、表示部30dに照明器具10のリスト表を表示し、そのリスト表を用いて照明器具を選択してもよい。
実施の形態1では、照明コントローラ20の通信に関する確認工程S20と照明器具10の通信に関する確認工程S30とで、照明コントローラ20および照明器具10を別々の場面で点滅させているが、それに限られず、これらの機器を一斉に点滅させてもよい。また、照明器具10および照明コントローラ20をエリアごとに分け、エリアごとに通信確認を行ったり、ペアリングを行ったりしてもよい。また、照明器具10と照明コントローラ20との点灯状態(点灯、消灯、点滅、調光または調色)が異なるように点灯制御してもよい。
実施の形態1では、照明コントローラ21、22、23のそれぞれが互いに有線で接続されている例を示したが、それに限られず、互いに無線で接続されていてもよい。その場合であっても、通信に関する確認工程S20を同様に行うことができる。
実施の形態1のペアリング工程では、無線r3を用いて照明器具10と照明コントローラ20との関連付けを行っているがそれに限られない。例えば、端末装置30および各照明器具10が赤外線通信する機能を有している場合は、赤外線通信を利用して1台ずつペアリングを行ってもよい。