(実施の形態1)
以下、実施の形態に係る照明システム等について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
[1−1.照明システムの構成]
図1は、実施の形態1に係る照明システム100を示す概略図である。図2は、照明システム100の構成を示すブロック図である。
まず、図1および図2を参照しながら照明システム100の通信系統について説明する。
照明システム100は、例えば、複数の照明器具1、2、3および4と、無線コントローラ21と、設定器30とを備えている。なお、照明システム100は、無線コントローラ21と異なる他の無線コントローラ22を備え、これらの無線コントローラ21、22を統括する上位コントローラを備えていてもよい(図示省略)。また、複数の照明器具1〜4は、4台に限られず、建物の造営材である天井などに100台以上設置されることがある。以下において、複数の照明器具1〜4のうち、照明器具1または4を代表例に挙げて説明する場合がある。
照明器具1と無線コントローラ21とは、無線r1によって通信可能となっている。無線r1による通信方式としては、例えば、920MHz帯または2.4GHz帯の周波数を利用した特定小電力無線、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または、WiFi(登録商標)などの方式が用いられる。
設定器30と無線コントローラ21とは、無線r3によって通信可能となっている。無線r3による通信方式としては、無線r1と同様の方式が用いられる。
設定器30は、赤外線通信i1によって照明器具1と通信可能となっている。具体的には、設定器30は、指向性を有する通信の一例である赤外線通信i1を用いて照明器具1に信号を送信することができる。複数の照明器具1〜4は、設定器30からの赤外線信号を個別に受信することができるように、例えば、5mほど間隔をあけて天井に設置されている。図1に示されるように、照明器具1の近くに設定器30を位置させ、照明器具1に向けて赤外線通信i1で信号を送ることで、対象とする照明器具1のみに情報を伝達することができる。なお、赤外線通信i1に限られず、レーザ光またはNFC(Near Field Communication)など1対1で対応をとることが可能な無線を用いて、照明器具1に対して個別に信号を送信してもよい。
また、設定器30と照明器具1とは、無線r2によって通信可能となっている。無線r2による通信方式としては、無線r1と同様の方式が用いられる。
本実施の形態では、各照明器具1〜4と無線コントローラ21とのペアリングがそれぞれ実行され、例えば、照明器具4と無線コントローラ21とのペアリングが失敗した場合に、照明器具4と設定器30とでペアリングが実行される。以下において、各照明器具1〜4と無線コントローラ21との間でそれぞれ実行されるペアリングを第1のペアリングと呼び、例えば、照明器具4と設定器30との間で実行されるペアリングを第2のペアリングと呼ぶこととする。
次に、照明システム100を構成する照明器具1、無線コントローラ21および設定器30の各構成について説明する。
無線コントローラ21は、各照明器具1〜4の点灯を無線で制御するコントローラである。無線コントローラ21は、照明器具1および設定器30のそれぞれと通信する通信部20bと、通信部20bに接続された制御部20cとを備えている。
通信部20bは、アンテナおよび無線モジュールなどにより構成されている。通信部20bは、前述したように、無線r1によって照明器具1と通信可能である。
制御部20cは、CPU(central processing unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(read only memory)などにより構成される。制御部20cには、無線コントローラ21の識別情報が通信用のアドレスとして記憶されている。識別情報の例としては、MAC(Media Access Control address)アドレスなどが挙げられる。制御部20cは、無線r1を用いて、照明器具1と第1のペアリングを実行するように構成されている。
照明器具1は、例えば、LED(Light Emitting Diode)ライトである。照明器具1は、信号受信部10aと、通信部10bと、点灯部10dとを備え、また、信号受信部10a、通信部10bおよび点灯部10dのそれぞれに接続された制御部10cを備えている。
信号受信部10aは、例えば、赤外線検出器であり、設定器30から赤外線通信i1で送信された第1の指示信号を受信する。第1の指示信号とは、照明器具1と無線コントローラ21とのペアリングを開始する指示信号である。第1の指示信号には、第1のペアリングの相手である無線コントローラ21の識別情報と、第2のペアリングの相手である設定器30の識別情報などが含まれている。
通信部10bは、アンテナおよび無線モジュールなどにより構成されている。通信部10bは、前述したように、無線r1によって無線コントローラ21と通信可能であり、また、無線r2によって設定器30と通信可能である。
点灯部10dは、例えば、白色光、赤色光、緑色光または青色光を発する複数の発光ダイオードを含んでいる。
制御部10cは、CPU、RAMおよびROMなどにより構成される。制御部10cには、照明器具1の識別情報が記憶されている。制御部10cは、例えばペアリングの設定作業中において、設定器30から送信される点灯信号に基づいて、点灯部10dを点灯制御する。
制御部10cは、設定器30から送信された第1の指示信号に基づいて、無線コントローラ21と第1のペアリングを実行する。その際、制御部10cは、第1のペアリングの結果または過程に関する情報を取得するように構成されている。具体的には、制御部10cは、第1のペアリングの結果として、第1のペアリングの成否に関する情報を取得する。また、制御部10cは、第1のペアリングの過程に関する情報として、その情報を取得するために無線コントローラ21と複数回の通信可否確認を行い、その通信可否確認に関する情報を取得する。また、制御部10cは、電波強度を計測する計測部を有しており、第1のペアリングの過程に関する情報として、無線コントローラ21の電波強度を計測し、その電波強度に関する情報を取得する。
制御部10cは、取得した第1のペアリングの結果および過程に関する情報に基づいて、設定器30との第2のペアリングを実行すべきか否かの判断を行い、第2のペアリングを実行すべきと判断した場合に、設定器30と第2のペアリングを実行する。第2のペアリングは、第1のペアリングが失敗または不安定な状態である場合に、設定器30に対して第1のペアリングの結果および過程に関する情報を通知するために実行される。
具体的には、制御部10cは、第1のペアリングの結果が失敗である場合は、第1のペアリングの結果が失敗であるという失敗情報を設定器30に送信する。また、制御部10cは、第1のペアリングの過程における複数回の通信可否確認のうち1回以上の失敗がある場合に、通信可否確認に関する情報を設定器30に送信する。また、制御部10cは、第1のペアリングの過程における電波強度が基準値よりも小さい場合に、電波強度に関する情報を設定器30に送信する。
本実施の形態では、制御部10cは、第1のペアリングの結果または過程に関する情報に基づいて、第2のペアリングを実行すべきか否かを判断し、第2のペアリングを実行すべきと判断した場合に第2のペアリングを実行する。例えば、照明器具1〜4のうち照明器具4と無線コントローラ21とのペアリングが失敗した場合に、上記第2のペアリングが実行されることによって、照明器具4の制御部10cは、設定器30に第1のペアリングの結果または過程に関する情報を送信することができる。
設定器30は、例えば、タブレットパソコンなどの操作端末である。設定器30は、信号送信部30aと、通信部30bと、表示部30dとを備え、また、信号送信部30a、通信部30bおよび表示部30dのそれぞれに接続された制御部30cを備えている。
信号送信部30aは、例えば、赤外線発信器であり、前述した第1の指示信号を赤外線通信i1で発信する。通信部30bは、アンテナおよび無線モジュールなどにより構成されている。通信部30bは、無線r2によって照明器具1と通信可能である。表示部30dは、例えばタッチパネルであり、制御部30cの出力を表示する機能および利用者からの入力を受け付ける機能を備えている。
制御部30cは、CPU、RAMおよびROMなどにより構成される。制御部30cには、設定器30の識別情報が記憶されている。また、制御部30cには、無線r3などを用いて事前に取得した無線コントローラ21の識別情報が記憶されている。
制御部30cは、信号送信部30aを介して、第1のペアリングを開始する指示である第1の指示を、照明器具1に送信する。また、制御部30cは、通信部30bを介して、例えば照明器具4から第1のペアリングの結果または過程に関する情報を受信した場合に、受信したこれらの情報を表示部30dに出力する。
本実施の形態における各照明器具1〜4の制御部10cは、第1の指示信号を受信した後に無線コントローラ21との第1のペアリングを実行する。そして、第1のペアリングの結果または過程に関する情報に基づいて、設定器30との第2のペアリングを実行すべきか否かを判断し、第2のペアリングを実行すべきと判断した場合に設定器30との第2のペアリングを実行する。
例えば、照明器具4と無線コントローラ21との第1のペアリングが失敗した場合、照明器具4と新たにペアリングさせる無線コントローラ22をどの場所に設置するのかを決める必要がある。本実施の形態では、第1のペアリングが失敗した場合に照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行されるので、例えば、設定器30を照明器具4から引き離し、この引き離した位置にて設定器30を用いて照明器具4の点灯可否を確認することができる。これにより、照明器具4を通信制御することが可能な領域を把握することができる。そして、この通信制御することが可能な領域を、他の無線コントローラ22の設置候補場所とすることで、増設する無線コントローラ22の設置場所を適切に決めることができる。
また、例えば、照明器具4と無線コントローラ21との第1のペアリングが不十分である場合、利用者は、照明器具4と無線コントローラ21との第1のペアリングの結果または過程に関する情報を予め把握しておけば、その結果または過程に対応して起こり得る事態について、事前に対処策を講ずることができる。本実施の形態では、照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行されるので、第1のペアリングの結果または過程に関する情報を設定器30にて取得し、表示することができる。このように、設定器30に第1のペアリングの結果または過程に関する情報が表示されることで、利用者は、上記のペアリングに関する情報を把握することができ、不安定な通信状態が発生しにくいように対処策を講ずることができる。
[1−2.照明システムのペアリング方法]
次に、実施の形態1に係る照明システム100のペアリング方法について説明する。
図3A、図3B、図3C、図3Dおよび図3Eは、照明システム100において、ペアリング作業を行う様子を順に示す図である。図4は、照明システム100のペアリング方法を示すフローである。図5は、照明システム100の設定器30の表示部30dを示す図である。
ペアリング作業を開始する直前において、各照明器具1〜4は100%点灯の状態となっている。この状態から、各照明器具1〜4に対してペアリングの設定作業を行う。
まず、図3Aおよび図4に示すように、照明器具1の下に設定器30を配置し、設定器30から照明器具1に、前述した第1の指示信号を送信する。この第1の指示信号には、無線コントローラ21の識別情報および設定器30の識別情報などが含まれている。
照明器具1は、第1の指示信号を受信することで、無線コントローラ21と第1のペアリングを実行する。具体的には、照明器具1と無線コントローラ21とが、互いの識別情報を交換することで通信の確立を行う。ここで、照明器具1は、第1のペアリングの結果または過程に関する情報に基づいて、設定器30との第2のペアリングを実行すべきか否かを判断する。この実施の形態では、第1のペアリングが成功し、第2のペアリングは不要であると判断される。第1のペアリングが成功すると、照明器具1はペアリング設定前の状態から変化し、例えば下限点灯の状態となる。
次に、照明器具1の隣に位置する照明器具2の下に設定器30を配置し、上記と同様に照明器具2に第1の指示信号を送信する。この実施の形態では、照明器具2と無線コントローラ21との第1のペアリングが成功し、第2のペアリングは不要であると判断される。同様に、照明器具3についても無線コントローラ21との第1のペアリングが成功し、第2のペアリングは不要であると判断される。
次に、図3Bおよび図4に示すように、照明器具4の下に設定器30を配置し、設定器30から照明器具4に、第1の指示信号を送信する。
照明器具4は、第1の指示信号を受信することで、無線コントローラ21と第1のペアリングを実行する。照明器具4は、第1のペアリングの結果または過程に関する情報に基づいて、設定器30との第2のペアリングを実行すべきか否かを判断する。この実施の形態では、無線r1による第1のペアリングが不十分であり、第2のペアリングが必要であると判断される。そして、無線r2を用いて照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行される。具体的には、照明器具4と設定器30とが、互いの識別情報を交換することで通信の確立を行う。
また、照明器具4は、第2のペアリングが実行される際またはその直後に、第1のペアリングの結果または過程に関する情報を設定器30に送信する。
第2のペアリングが実行されることで、設定器30は、送信された第1のペアリングの結果または過程に関する情報を受信し、また、受信したこれらのペアリングに関する情報を表示部30dに表示する。表示部30dには、図5の(a)に示すように、照明器具4にて第1のペアリングの不良が発生したという情報、および、設定器30との第2のペアリングが実行されたという情報が表示される。
次に、図3Cおよび図4に示すように、照明器具4の下の位置で、設定器30にて照明器具4を点灯制御できるかを確認する。具体的には、図5の(a)にて「器具04」のアイコンに触れることで、図5の(b)に示す操作画面を開き、「ON」または「OFF」のアイコンに触れることで、照明器具4に点灯信号を送信する。この点灯信号は、無線r1と同じ周波数帯を有する無線r2によって送信される。ONまたはOFFの入力に応じて照明器具4が点灯または消灯することで、設定器30にて照明器具4を点灯制御できることが確認される。なお、図3Cに示す点灯確認を省略し、次に示す工程を行うことも可能である。
次に、図3Dおよび図4に示すように、設定器30を移動させて照明器具4から引き離し、設定器30にて照明器具4を点灯制御できるかを確認する。具体的には、図5の(c)に示す操作画面の「ON」または「OFF」のアイコンに触れることで、設定器30から照明器具4に点灯信号を送信する。この点灯信号は、無線r2によって送信される。このONまたはOFFの入力に応じて照明器具4が点灯または消灯することを確認することで、照明器具4から離れて位置する設定器30から無線r2を用いて照明器具4を点灯制御できることがわかる。照明器具4の点灯制御が可能な上記の位置に他の無線コントローラ22を増設することで、他の無線コントローラ22の設置場所を適切に決めることができる。なお、照明器具4以外にも第2のペアリングを行った他の照明器具が存在する場合は、他の照明器具についても同様に点灯制御を確認し、他の照明器具を含めて点灯制御可能な場所に無線コントローラ22を設置すればよい。
次に、無線コントローラ22を増設した後、図3Eおよび図4に示すように、照明器具4の下に設定器30を再び配置し、設定器30から照明器具4に、第1の指示信号を再び送信する。ここで示す第1の指示信号とは、照明器具4と無線コントローラ22とのペアリングを開始する指示信号である。この第1の指示信号には、第1のペアリングの相手である無線コントローラ22の識別情報などが含まれている。
照明器具4は、第1の指示信号を受信することで、無線コントローラ22と第1のペアリングを実行する。これにより、照明器具4と無線コントローラ22とが、互いの識別情報を交換して通信の確立を行う。第1のペアリングが成功すると、照明器具4はペアリング設定前の状態から変化し、例えば下限点灯の状態となる。これにより、照明システム100における照明器具4のペアリングを終えることができる。
本実施の形態では、例えば、照明器具4の第1のペアリングの結果または過程に基づいて、照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行される。そのため、設定器30を用いて、照明器具4から離れた位置にて照明器具4の点灯可否を確認することができ、照明器具4の通信制御可能な領域に関する情報を取得することができる。そして、この通信制御可能な領域を、増設する無線コントローラ22の設置候補場所とすることで、無線コントローラ22の設置場所を適切に決めることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る照明システム100Aについて説明する。実施の形態2に係る照明システム100Aは、第1のペアリングの過程に関する情報として、設定器30が通信可否確認に関する情報を表示する点で、実施の形態1と異なっている。
図6Aは、照明システム100Aのペアリング方法を示すフローである。図6Bは、照明システム100Aの設定器30の表示部30dを示す図である。
照明器具1〜3に関するペアリングについては、実施の形態1と同様であるので説明を省略し、照明器具4に関するペアリングについて説明する。
図6Aに示すように、照明器具4は、第1の指示信号を受信することで、無線コントローラ21と第1のペアリングを実行する。照明器具4は、第1のペアリングの過程に関する情報に基づいて、設定器30との第2のペアリングを実行すべきか否かを判断する。
実施の形態2では、ペアリングの結果としては成功であるが、ペアリングの過程において通信不可である状態が存在し、第2のペアリングが必要であると判断される。具体的には、第1のペアリングの過程における複数回の通信可否確認のうち1回以上の失敗がある場合に第2のペアリングが必要であると判断される。そして、無線r2を用いて照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行される。
照明器具4は、第2のペアリングが実行される際またはその直後に、第1のペアリングの過程に関する情報を設定器30に送信する。
設定器30は、送信された第1のペアリングの過程に関する情報を受信し、また、受信したこれらのペアリングに関する情報を表示部30dに表示する。表示部30dには、図6Bの(a)に示すように、無線コントローラ21との第1のペアリングが成功したという情報、および、設定器30との第2のペアリングが実行されたという情報が表示される。また、表示部30dには、「詳細表示」のアイコンが表示される。この「詳細表示」に触れることで、図6Bの(b)に示す通知画面が開き、この画面内に通信可否確認内容が表示される。図6Bの(b)では、2回の通信可否確認を行ったうち、1回目はタイムアウトで失敗し、2回目は成功したという情報が示されている。
実施の形態2の照明システム100Aでは、照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行されるので、第1のペアリングの過程の情報である通信可否確認に関する情報を設定器30にて取得し、表示することができる。このように、設定器30に第1のペアリングの過程の通信可否確認に関する情報が表示されるので、利用者は、照明システム100Aに不安定な通信状態が発生しにくいように対処策を講ずることができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る照明システム100Bについて説明する。実施の形態3に係る照明システム100Bは、第1のペアリングの過程に関する情報として、設定器30が電波強度に関する情報を表示する点で、実施の形態2と異なっている。
図7Aは、照明システム100Bのペアリング方法を示すフローである。図7Bは、照明システム100Bの設定器30の表示部30dを示す図である。
図7Aに示すように、照明器具4は、第1の指示信号を受信することで、無線コントローラ21と第1のペアリングを実行する。照明器具4は、第1のペアリングの過程に関する情報に基づいて、設定器30との第2のペアリングを実行すべきか否かを判断する。
実施の形態3では、ペアリングの結果としては成功であるが、ペアリングの過程において電波強度の弱い状態が存在し、第2のペアリングが必要であると判断される。具体的には、第1のペアリングの過程における電波強度が基準値よりも小さい場合に第2のペアリングが必要であると判断される。そして、無線r2を用いて照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行される。
照明器具4は、第2のペアリングが実行される際またはその直後に、第1のペアリングの過程に関する情報を設定器30に送信する。
設定器30は、送信された第1のペアリングの過程に関する情報を受信し、また、受信したこれらのペアリングに関する情報を表示部30dに表示する。表示部30dには、図7Bの(a)に示すように、無線コントローラ21との第1のペアリングが成功したという情報、および、設定器30との第2のペアリングが実行されたという情報が表示される。また、表示部30dには、「詳細表示」のアイコンが表示される。この「詳細表示」に触れることで、図7Bの(b)に示す通知画面が開き、この画面内に電波強度確認内容が表示される。図7Bの(b)では、3回の電波強度の確認を行ったうち、1回目および2回目の電波強度が弱く、3回目の電波強度が中程度であるという情報が示されている。
実施の形態3の照明システム100Bでは、照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行されるので、第1のペアリングの過程である電波強度に関する情報を設定器30にて取得し、表示することができる。このように、設定器30に第1のペアリングの過程の電波強度に関する情報が表示されるので、利用者は、照明システム100Bに不安定な通信状態が発生しにくいように対処策を講ずることができる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る照明システム100Cについて説明する。実施の形態4に係る照明システム100Cは、無線コントローラ22を増設した後に、無線コントローラ22に対してペアリングを開始する信号を送信する点で、実施の形態1と異なっている。
図8Aは、照明システム100Cにおいて、ペアリング作業を行う様子を示す図である。図8Bは、照明システム100Cのペアリング方法を示すフローである。図8Cは、照明システム100Cの設定器30の表示部30dを示す図である。
図8Aは、照明器具1〜4と異なる照明器具6、7、8について、無線コントローラ21との第1のペアリングを試みたが失敗し、設定器30との第2のペアリングが実行され、その後、照明器具6〜8と通信可能な場所に無線コントローラ22が増設された状態を示している。ここでは、上記の状態から複数の照明器具6〜8と無線コントローラ22とのペアリングを一挙に行う例について説明する。
まず始めに、ペアリング相手を指定するための操作を行う。図8Cに示すように、設定器30の表示部30dには、複数の照明器具のうちの照明器具4、6、7および8と無線コントローラ21との第1のペアリングが失敗したという情報が示されている。また、表示部30dには、照明器具4、6、7、8について、設定器30との第2のペアリングが実行されたという情報が表示されている。ここで、これからペアリングを行う対象器具を指定するため、表示部30d上にて、例えば照明器具4、6〜8のうちの照明器具「06、07、08」を選択する。また、照明器具6〜8のペアリング相手として無線コントローラ「22」を選択する。
そして、図8Aおよび図8Bに示すように、無線コントローラ22の近くに設定器30を配置し、設定器30から無線コントローラ22に第1の指示信号を送信する。ここで示す第1の指示信号とは、指定された照明器具6、7、8のそれぞれと無線コントローラ22とのペアリングを開始する指示信号である。この第1の指示信号には、第2のペアリング時に取得した照明器具6〜8の識別情報などが含まれている。これらの照明器具6〜8の識別情報は、無線r2を用いて設定器30から無線コントローラ22に一括して送信される。なお、無線コントローラ22が赤外線を検出可能な信号受信部を有している場合は、設定器30は、赤外線通信i1によって第1の指示信号を一括して送信してもよい。
無線コントローラ22は、一括送信された第1の指示信号を受信することで、照明器具6〜8のそれぞれと第1のペアリングを一挙に実行する。
本実施の形態では、増設した他の無線コントローラ22に、複数の照明器具6〜8の識別情報が一括して送信される。これにより、無線コントローラ22と照明器具6〜8とのペアリングを一挙に行うことができ、ペアリング作業を効率化することができる。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係る照明システム100Dについて説明する。実施の形態5では、照明システム100Dの通信状態を改善するために中継器40を設置する点で、実施の形態1と異なっている。
図9A、図9Bおよび図9Cは、照明システム100Dにおいて、ペアリング作業を行う様子を順に示す図である。図9Dは、照明システム100Dのペアリング方法を示すフローである。図9Eは、照明システム100Dの設定器30の表示部30dを示す図である。
図9Aは、照明器具4について、無線コントローラ21との第1のペアリングを試みたが失敗し、設定器30との第2のペアリングが実行された状態を示している。ここでは、上記の状態から中継器40の設置場所を決め、中継器40を設置した後に、照明器具4と無線コントローラ21とのペアリングを行う例について説明する。
まず、図9Aおよび図9Cに示すように、設定器30を移動させて、設定器30を照明器具4と無線コントローラ21との間に配置する。そして、設定器30にて照明器具4を点灯制御できるか、また、設定器30と無線コントローラ21との間で通信が可能であるかを確認する。
具体的には、設定器30を移動させた後、図9Eの(b)に示す操作画面の「ON」または「OFF」のアイコンに触れることで、設定器30から照明器具4に点灯信号を送信する。このONまたはOFFの入力に応じて照明器具4が点灯または消灯することを確認することで、設定器30の位置から無線r2を用いて照明器具4を点灯制御できることがわかる。また、図9Eの(c)に示す操作画面の「実行」のアイコンに触れることで、設定器30から無線コントローラ21との通信確認を行う。例えばこの「実行」の入力に応じて、無線コントローラ21のパイロットランプが点灯または消灯することを確認することで、設定器30の位置から無線r3を用いて無線コントローラ21と通信できることがわかる。これらによって、照明器具4の点灯制御が可能で、かつ、無線コントローラ21との通信が可能な場所を中継器40の設置候補場所とすることができる。
次に、中継器40を設置した後、図9Bに示すように、中継器40の下に設定器30を配置し、中継器40と無線コントローラ21とのペアリングを開始する指示信号である第1の指示信号を、設定器30から中継器40に送信する。中継器40は、第1の指示信号を受信することで、無線コントローラ21と第1のペアリングを実行する。
また、図9Cに示すように、照明器具4の下に設定器30を配置し、設定器30から照明器具4に第1の指示信号を送信する。照明器具4は、第1の指示信号を受信することで、中継器40との第1のペアリングを実行する。これらにより、中継器40を介して、照明器具4と無線コントローラ21とが通信可能となる。
本実施の形態では、例えば照明器具4について、第1のペアリングが失敗した場合に、設定器30との第2のペアリングが実行される。そのため、例えば、設定器30を移動させ、その移動させた位置にて照明器具4の点灯可否および無線コントローラ21の通信状態を確認することで、照明器具4と設定器30との通信可能な領域、および、無線コントローラ21と設定器30との通信可能な領域をほぼ同時に把握することができる。そして、この通信可能な領域を、中継器40の設置候補場所とすることで、中継器40の設置場所を適切に決めることができる。
(効果等)
本実施の形態に係る照明システム100は、複数の照明器具1〜4と、複数の照明器具1〜4と通信する無線コントローラ21と、複数の照明器具1〜4と通信する設定器30とを備える。設定器30は、複数の照明器具1〜4のそれぞれと無線コントローラ21とのペアリングを開始する第1の指示信号を送信する信号送信部30aを備える。複数の照明器具1〜4のそれぞれは、第1の指示信号を受信する信号受信部10aと、第1の指示信号を受信した後に無線コントローラ21との第1のペアリングを実行し、第1のペアリングの結果または過程に関する情報に基づいて、設定器30との第2のペアリングを実行すべきか否かを判断し、第2のペアリングを実行すべきと判断した場合に設定器30との第2のペアリングを実行する制御部10cとを備える。
これによれば、例えば、照明器具4の第1のペアリングの結果または過程に基づいて、照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行される。そのため、設定器30を用いて、照明器具4から離れた位置にて照明器具4の点灯可否を確認することができ、照明器具4の通信制御可能な領域に関する情報を取得することができる。そして、この通信制御可能な領域を、増設する無線コントローラ22の設置候補場所とすることで、無線コントローラ22の設置場所を適切に決めることができる。
また、例えば、照明器具4の第1のペアリングの結果または過程に基づいて、照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行されるので、第1のペアリングの結果または過程に関する情報を設定器30に送信し、その情報を設定器20に表示することができる。このように、第1のペアリングの結果または過程に関する情報を取得し、設定器30に表示することで、利用者は、照明システム100に不安定な通信状態が発生しにくいように対処策を講ずることができる。
また、複数の照明器具1〜4のそれぞれは、設定器30と通信する通信部10bを備え、制御部10cは、第2のペアリングを実行すべきと判断した場合に、第1のペアリングの結果または過程に関する情報を通信部10bを介して設定器30に送信し、設定器30は、送信された第1のペアリングの結果または過程に関する情報を表示する表示部30dを備えていてもよい。
このように、第1のペアリングの結果または過程に関する情報を取得し、設定器30に表示することで、利用者は、照明システム100に不安定な通信状態が発生しにくいように対処策を講ずることができる。
また、制御部10cは、第1のペアリングの結果が失敗である場合に、第2のペアリングを実行すべきと判断し、かつ、第1のペアリングの結果に関する情報である失敗情報を通信部10bを介して設定器30に送信し、設定器30の表示部30dは、送信された失敗情報を表示してもよい。
このように、第1のペアリングの結果である失敗情報を取得し、設定器30に表示することで、利用者は、照明システム100に不安定な通信状態が発生しにくいように対処策を講ずることができる。
また、制御部10cは、第1のペアリングの過程において複数回の通信可否確認を行い、複数回の通信可否確認のうち1回以上の失敗がある場合に、第2のペアリングを実行すべきと判断し、かつ、第1のペアリングの過程に関する情報である通信可否確認の情報を通信部10bを介して設定器30に送信し、設定器30の表示部30dは、送信された通信可否確認の情報を表示してもよい。
このように、第1のペアリングの過程である通信可否確認に関する情報を取得し、設定器30に表示することで、利用者は、照明システム100に不安定な通信状態が発生しにくいように対処策を講ずることができる。
また、制御部10cは、第1のペアリングの過程において電波強度が基準値よりも小さい場合に、第2のペアリングを実行すべきと判断し、かつ、第1のペアリングの過程に関する情報である電波強度の情報を通信部10bを介して設定器30に送信し、設定器30の表示部30dは、送信された電波強度の情報を表示してもよい。
このように、第1のペアリングの過程である電波強度に関する情報を取得し、設定器30に表示することで、利用者は、照明システム100に不安定な通信状態が発生しにくいように対処策を講ずることができる。
また、設定器30は、照明器具1〜4と通信する通信部30bと、照明器具1〜4の点灯を制御する制御部30cとを備え、設定器30の制御部30cは、第2のペアリングが実行された後に、当該通信部30bを介して、複数の照明器具1〜4のうち第2のペアリングを行った照明器具(例えば照明器具4)に点灯信号を送信してもよい。
このように、設定器30を用いて照明器具4の点灯可否を確認することで、照明器具4の通信制御可能な領域を把握することができる。そして、この通信制御可能な領域を、増設する無線コントローラ22の設置候補場所とすることで、無線コントローラ22の設置場所を適切に決めることができる。
また、設定器30の制御部30cは、第2のペアリングが実行された後に、無線コントローラ21との通信確認を行ってもよい。
これにより、無線コントローラ21および設定器30の通信制御可能な領域を把握することができる。そして、この通信制御可能な領域を、中継器40の設置候補場所とすることで、中継器40の設置場所を適切に決めることができる。
また、設定器30の制御部30cは、第2のペアリングが実行された後に、無線コントローラ21と異なる他の無線コントローラ22に、当該通信部30bを介して、複数の照明器具1〜4のうち第2のペアリングを行った照明器具(例えば照明器具4)の識別情報を送信してもよい。
これによれば、無線r2を用いて無線コントローラ22と照明器具4とのペアリングを行うことができる。
また、第2のペアリングを行った照明器具6〜8が複数存在し、設定器30が上記識別情報を複数有する場合に、設定器30の制御部30cは、他の無線コントローラ22に、当該通信部30bを介して、複数の識別情報を一括送信してもよい。
これによれば、無線コントローラ22と複数の照明器具6〜8とのペアリングを一挙に行うことができるので、ペアリング作業を効率化することができる。
本実施の形態に係る照明器具(例えば照明器具4)は、また、無線コントローラ21および設定器30と通信する照明器具4であって、無線コントローラ21とのペアリングを開始する第1の指示信号を受信する信号受信部10aと、第1の指示信号を受信した後に無線コントローラ21との第1のペアリングを実行し、第1のペアリングの結果または過程に基づいて、設定器30との第2のペアリングを実行すべきか否かを判断し、第2のペアリングを実行すべきと判断した場合に設定器30との第2のペアリングを実行する制御部10cとを備える。
これによれば、例えば、照明器具4の第1のペアリングの結果または過程に基づいて、照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行されるので、照明器具4から離れた位置にて照明器具4の点灯可否を確認し、照明器具4の通信制御可能な領域に関する情報を取得することができる。そして、この通信制御可能な領域を、増設する無線コントローラ22の設置候補場所とすることで、無線コントローラ22の設置場所を適切に決めることができる。
本実施の形態に係る照明システム100のペアリング方法は、複数の照明器具1〜4と、複数の照明器具1〜4と通信する無線コントローラ21と、複数の照明器具1〜4と通信する設定器30とを備える照明システム100のペアリング方法であって、複数の照明器具1〜4のそれぞれに、照明器具1〜4と無線コントローラ21とのペアリングを開始する第1の指示信号を送信し、第1の指示信号が送信された後に照明器具1〜4と無線コントローラ21との第1のペアリングを実行し、第1のペアリングの結果または過程に基づいて、照明器具1〜4と設定器30との第2のペアリングを実行すべきか否かを判断し、第2のペアリングを実行すべきと判断した場合に第2のペアリングを実行する。
これによれば、例えば、照明器具4の第1のペアリングの結果または過程に基づいて、照明器具4と設定器30との第2のペアリングが実行される。そのため、設定器30を用いて、照明器具4から離れた位置にて照明器具4の点灯可否を確認することができ、照明器具4の通信制御可能な領域に関する情報を取得することができる。そして、この通信制御可能な領域を、増設する無線コントローラ22の設置候補場所とすることで、無線コントローラ22の設置場所を適切に決めることができる。
また、第2のペアリングが実行された照明器具(例えば照明器具4)に、無線コントローラ21と異なる他の無線コントローラ22とのペアリングを開始する第1の指示信号を送信し、第1の指示信号が送信された後に当該照明器具4と他の無線コントローラ22とのペアリングを実行してもよい。
これによれば、第1の指示信号を用いて無線コントローラ22と照明器具4との第1のペアリングを行うことができる。
(その他の形態)
以上、照明システム100、100A、100B、100C、100D等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
実施の形態1では、無線コントローラで照明器具の調光または調色を制御するために第1のペアリングを行う例を示したが、ペアリングを行う目的はそれらに限られない。例えば、無線コントローラと照明器具との間で互いの識別情報を交換し、一時的にペアリングを行うことで互いの通信状態を確認する場合も本発明で示すペアリングに含まれる。