JP2019038970A - セルロースナノファイバー粉体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、簡易な操作により、水または有機媒体に対する分散性に優れたCNF粉体を製造する方法を提供することを目的とする。【解決方法】下記(a)〜(c)の工程を有するセルロースナノファイバー粉体の製造方法により、水および有機媒体に対する分散性に優れ、比表面積の大きなCNF粉体が製造でき、該CNF粉体は、種々の樹脂等と混合することで、優れた複合材料を製造することができる。(a)セルロースナノファイバー水分散体と炭酸アンモニウムとの混合分散液を得る工程。(b)前記混合分散液を乾燥させてセルロースナノファイバーと炭酸アンモニウムとの乾燥固形物を得る工程。(c)前記乾燥固形物を加熱して炭酸アンモニウムを分解させて、セルロースナノファイバー粉体を得る工程。【選択図】図1
Description
本発明は、セルロースナノファイバー粉体の製造方法に関する。さらに詳しくは、水および有機溶剤への分散性に優れたセルロースナノファイバー粉体の製造方法に関する。
セルロースナノファイバー(以下、CNFという。)は、主としてパルプを水媒体中で機械的および/または化学的解繊処理を行うことで得られ、太さがナノメートルオーダーでアスペクト比の高いセルロース繊維である。
CNFは鉄の1/5という軽量であるが、鉄の5倍の強度があり、熱膨張率が低く、低温から高温まで弾性率が変化しない特徴を有する。そのため、CNFを用いた複合材料は軽量、高強度、低熱膨張率および温度変化に強い材料であると期待されている。
また、CNFは天然の材料であるため、環境に優しく、焼却廃棄が可能であり、カーボンナノファイバーに比べ安価であるという利点を有する。さらに、CNFは種々の優れた特性を有しており、その特性を利用して様々な用途開発が行われている。
CNFは鉄の1/5という軽量であるが、鉄の5倍の強度があり、熱膨張率が低く、低温から高温まで弾性率が変化しない特徴を有する。そのため、CNFを用いた複合材料は軽量、高強度、低熱膨張率および温度変化に強い材料であると期待されている。
また、CNFは天然の材料であるため、環境に優しく、焼却廃棄が可能であり、カーボンナノファイバーに比べ安価であるという利点を有する。さらに、CNFは種々の優れた特性を有しており、その特性を利用して様々な用途開発が行われている。
しかしながら、水に分散しているCNFを乾燥させた固形物は、微細なセルロース繊維間に水素結合が形成されるため、この乾燥固形物に水を加えても乾燥前の状態に復元しない。そのため、CNFは水に分散している状態で製造され、乾燥させずに湿潤状態のままで各種用途に使用されている、CNFの水への分散濃度は、一般的には1〜20%程度と低く、例えば、樹脂と複合化させる場合には大量の水の除去が必要となる。
また、樹脂中でパルプを解繊する場合、樹脂は一般的に粘度が高いため強力な機械力や加熱が必要であるため、着色等の変質が生じやすい。また、酸化処理により化学的に解繊したCNFは親水性が高いため、触媒や酸化剤の除去あるいは親水性の高いCNFを疎水性の樹脂に分散させるため表面処理が必要になるなど、CNFは工業的に取り扱いにくい材料である。
これらの問題を改良するために、乾燥前と同等な再分散性を有するCNF固形物を得る方法が検討され、CNFの水性懸濁液のpHを9〜11に調整した後に、脱水および乾燥させるCNFの乾燥固形物の製造方法(特許文献1)、CNFに対して水溶性高分子を5〜300重量%含有させて乾燥させるCNFの乾燥固形物(特許文献2)、およびCNFとヒドロキシ酸類を含むCNF含有乾燥体(特許文献3)などが検討されている。
さらに、化学変性したCNFにおいて、一旦乾燥させた場合であっても、未乾燥状態から調製した場合と同様に溶媒中で容易にナノ分散させる方法として、化学変性したCNF分散体を乾燥させて得られたCNFの乾燥固形物を熱水で処理した後、溶媒に分散させたCNF分散体(特許文献4)、および酸化セルロース繊維を解繊してCNF分散体とした後、還元剤を含む反応液中で還元するCNF分散体(特許文献5)などが検討されている。
さらに、化学変性したCNFにおいて、一旦乾燥させた場合であっても、未乾燥状態から調製した場合と同様に溶媒中で容易にナノ分散させる方法として、化学変性したCNF分散体を乾燥させて得られたCNFの乾燥固形物を熱水で処理した後、溶媒に分散させたCNF分散体(特許文献4)、および酸化セルロース繊維を解繊してCNF分散体とした後、還元剤を含む反応液中で還元するCNF分散体(特許文献5)などが検討されている。
しかしながら、上記先行技術文献におけるCNF固形物を得る方法では、固形物中にCNF以外の添加物が残留するため、CNFの純度が低下したり、また、再度の化学変性を行う必要性がある。
本発明は、上記の状況を鑑み、簡易な操作により、水または有機媒体に対する分散性に優れたCNF粉体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、CNF水分散体に炭酸アンモニウムを混合させた後、加熱により炭酸ナトリウムを分解させることにより、前記課題を解決するCNF粉体が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1発明は、下記(a)〜(c)の工程を有するCNF粉体の製造方法である。
(a)CNF水分散体と炭酸アンモニウムとの混合分散液を得る工程。
(b)前記混合分散液を乾燥させてCNFと炭酸アンモニウムとの乾燥固形物を得る工程。
(c)前記乾燥固形物を加熱して炭酸アンモニウムを分解させて、CNF粉体を得る工程。
(a)CNF水分散体と炭酸アンモニウムとの混合分散液を得る工程。
(b)前記混合分散液を乾燥させてCNFと炭酸アンモニウムとの乾燥固形物を得る工程。
(c)前記乾燥固形物を加熱して炭酸アンモニウムを分解させて、CNF粉体を得る工程。
第2発明は、前記工程(a)における混合分散液において、CNF1質量部に対して、炭酸アンモニウムが30〜100質量部の割合である第1発明に記載のCNF粉体の製造方法である。
また、第3発明は、前記工程(b)における乾燥温度が20〜50℃である第1発明または第2発明に記載のCNF粉体の製造方法である。
また、第4発明は、前記工程(c)において、工程(b)で得られた乾燥固形物を粉砕した後、得られた粉砕物を加熱して炭酸ナトリウムを分解させる第1発明〜第3発明のいずれかに記載のCNF粉体の製造方法である。
また、第5発明は、前記粉砕物の大きさが1〜250μmである第4発明に記載のCNF粉体の製造方法である。
さらに、第6発明は、前記工程(c)における加熱温度が50〜150℃である第1発明〜第5発明のいずれかに記載のCNF粉体の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、水および有機媒体に対する分散性に優れ、比表面積の大きなCNF粉体が得られるため、本発明の製造方法で得られるCNF粉体は、種々の樹脂等と混合することで、優れた複合材料を製造することができる。
本発明におけるCNFとしては、特に限定はなく、セルロースを主体とした原料、例えば、パルプ、天然セルロース、再生セルロース等を、化学的あるいは機械的な解繊処理によりナノ化したものが挙げられ、一般的に繊維幅がナノサイズの微細繊維を含むセルロース繊維である。
また、本発明におけるCNFには解繊される前のセルロースが含まれていてもよいが、本発明の目的から出来るだけCNF以外が含まれないものが好ましい。
また、本発明におけるCNFには解繊される前のセルロースが含まれていてもよいが、本発明の目的から出来るだけCNF以外が含まれないものが好ましい。
以下、本発明の製造方法における、(a)〜(c)の工程について詳細に説明する。
(1)工程(a)は、CNF水分散体と炭酸アンモニウムとの混合分散液を得る工程である。
CNF水分散体とは、前記CNFを水または水を含む混合液に分散させたものであり、水を含む混合液としては、水と混合性の良いアルコール類などの混合液が挙げられるが、水単独に分散させるのが好ましい。なお、CNF水分散体として、市販されているセルロース濃度が0.1〜20質量%のCNF水分散体をそのまま使用することができる。
(1)工程(a)は、CNF水分散体と炭酸アンモニウムとの混合分散液を得る工程である。
CNF水分散体とは、前記CNFを水または水を含む混合液に分散させたものであり、水を含む混合液としては、水と混合性の良いアルコール類などの混合液が挙げられるが、水単独に分散させるのが好ましい。なお、CNF水分散体として、市販されているセルロース濃度が0.1〜20質量%のCNF水分散体をそのまま使用することができる。
炭酸アンモニウムは粉末の状態で混合させても、適当な濃度の水溶液の状態で混合させても良い。取り扱い易さから、粉末の状態で混合させることが好ましい。
また、炭酸アンモニウムの添加方法については特に限定はなく、何回かに分けて添加を行う方法、粉末と水溶液を別々に添加する方法等が挙げられる。
炭酸アンモニウムと混合する前のCNF水分散体の濃度が低い場合は、炭酸アンモニウムを粉末の状態で混合しても良いが、濃度が高く半固体状態の場合は、炭酸アンモニウム水溶液を用いると混合作業が容易となる。
また、炭酸アンモニウムの添加方法については特に限定はなく、何回かに分けて添加を行う方法、粉末と水溶液を別々に添加する方法等が挙げられる。
炭酸アンモニウムと混合する前のCNF水分散体の濃度が低い場合は、炭酸アンモニウムを粉末の状態で混合しても良いが、濃度が高く半固体状態の場合は、炭酸アンモニウム水溶液を用いると混合作業が容易となる。
混合分散液を得る工程において、CNFの再凝集を防ぎ、均一に分散させるためスラリーの混合に適した撹拌機を用いることが好ましい。該撹拌機としては、例えば、自転公転撹拌機、ボールミル、ディスクミルおよびロールミル等が挙げられ、これらの中でもボールミルおよびディスクミルを用いることが好ましい。
前記混合分散液において、分散液中のCNF1質量部に対して、炭酸アンモニウムが30〜100質量部の割合で混合することが好ましく、40〜80質量部であることがさらに好ましい。30質量部未満では、混合分散液濃度が高くなるため、次工程において乾燥後の粉砕が困難となると共に、乾燥物中のセルロースが再凝集しやすくなり、100質量部を超えると大過剰の炭酸アンモニウムを除去するため効率が悪くなる。
また、分散液中の水分濃度は、30〜90質量%であることがスラリー混合の作業性の面で効率的である。水分濃度が90質量%を超えると工程(b)における乾燥でエネルギー使用が増加し、30質量%未満であるとスラリー濃度が高くなり、攪拌などの作業性が悪くなる。
また、分散液中の水分濃度は、30〜90質量%であることがスラリー混合の作業性の面で効率的である。水分濃度が90質量%を超えると工程(b)における乾燥でエネルギー使用が増加し、30質量%未満であるとスラリー濃度が高くなり、攪拌などの作業性が悪くなる。
炭酸アンモニウムを混合する時の液温は特に限定はないが、取り扱いの面から、10〜30℃であることが好ましい。なお、液温が50℃を超えると炭酸ナトリウムが分解する恐れがあるので好ましくない。
(2)工程(b)は、前記CNFと炭酸アンモニウムとの混合分散液を乾燥させて、CNFと炭酸アンモニウムとの乾燥固形物を得る工程である。
乾燥方法としては特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥および噴霧乾燥等の公知の方法で行うことができる。これらの中でも、加熱乾燥および真空乾燥が好ましい。
乾燥方法としては特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥および噴霧乾燥等の公知の方法で行うことができる。これらの中でも、加熱乾燥および真空乾燥が好ましい。
炭酸アンモニウムは58℃で熱分解するため、熱分解を抑制しながら水分を除去するため、乾燥温度は20〜50℃を維持することが好ましい。20℃未満では乾燥が遅くなり、50℃を超えると炭酸アンモニウムの熱分解が進みやすくなる。
乾燥により水分を除去すると乾燥固形物が塊状になるため、後工程の熱分解を効率よく実施するため、乾燥固形物を粉砕することが好ましい。粉砕後の粒子の大きさは1〜250μmであることが好ましく、1〜100μmであることがさらに好ましい。
粉砕粒子の大きさは、目開きが1〜250μmの篩で分級できるものとする。
乾燥固形物の粒子を1μm未満まで粉砕するとセルロース繊維の切断が発生しやすくなり、250μmを超えると熱分解の効率が悪くなり、最終的に得られるCNF粉体の分散性が低下する。
粉砕粒子の大きさは、目開きが1〜250μmの篩で分級できるものとする。
乾燥固形物の粒子を1μm未満まで粉砕するとセルロース繊維の切断が発生しやすくなり、250μmを超えると熱分解の効率が悪くなり、最終的に得られるCNF粉体の分散性が低下する。
前記乾燥固形物の粉砕については、ボールミル、ディスクミルおよびロータミル等の粉砕機を用いることができる。例えば、レッテェ社製超遠心粉砕機ZM200を用いた場合、目開きが80μmのスクリーンを用いることで、過剰に微粉砕されてアスペクト比が低下したCNFの生成を防止することができる。
(3)工程(c)は前記乾燥固形物を加熱して炭酸アンモニウムを分解させてCNF粉体を得る工程である。
必要に応じて粉砕して篩を通過した乾燥固形物を加熱することにより炭酸アンモニウムを熱分解させて、綿状の嵩高いCN粉体を得ることができる。
炭酸アンモニウムを分解させる際の加熱温度は50〜150℃であることが好ましい。この範囲であれば、炭酸アンモニウムの熱分解が進む易く、セルロースの着色も生じない。
必要に応じて粉砕して篩を通過した乾燥固形物を加熱することにより炭酸アンモニウムを熱分解させて、綿状の嵩高いCN粉体を得ることができる。
炭酸アンモニウムを分解させる際の加熱温度は50〜150℃であることが好ましい。この範囲であれば、炭酸アンモニウムの熱分解が進む易く、セルロースの着色も生じない。
前記(a)〜(c)の工程により製造されたCNF粉体は、(メタ)アクリルモノマー、ポリオール、エポキシ樹脂等の反応性材料と混合させてポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂等の原料としたり、直接ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂あるいは塗料、接着剤等の組成物と混合させたりして複合材料とすることが出来る。混合させる方法等は、CNFと樹脂を混合させて複合材料を製造する公知の方法が適用できる。
前記複合材料には、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよく、添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、充填剤、着色剤、強化剤、離型剤、難燃剤、熱可塑性樹脂、界面活性剤、触媒、安定剤および顔料などが挙げられる。
前記複合材料には、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよく、添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、充填剤、着色剤、強化剤、離型剤、難燃剤、熱可塑性樹脂、界面活性剤、触媒、安定剤および顔料などが挙げられる。
以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
炭酸アンモニウム50gと水50gを混合して50質量%の炭酸アンモニウ
ム水溶液を調製した。
モリマシナリー社製CNF水分散液(濃度5質量%)100gに前記炭酸アンモニウム水溶液を50g加えて、シンキー社製自転公転攪拌機ARE−310を用いて、1800rpmで5分間攪拌混合した。さらに、前記炭酸アンモニウム水溶液を50g加えて、前記自転公転攪拌機で5分間混合した。
次に、炭酸アンモニウム粉体を250g加えて、前記自転公転攪拌機で15分間混合し、CNFおよび炭酸アンモニウムを含むスラリーを得た。
得られたスラリーをバット上に薄く塗り広げ、40℃で2日間真空乾燥させ、炭酸アンモニウムにCNFが分散した固体を得た。
得られた固体を大阪ケミカル社製高速粉砕機ワンダーブレンダーWB−1で5分間粉砕し、目開き20μmの篩を通過した粉体を得た。さらに、篩上に残った固体についてWB−1による粉砕と篩分けを繰り返すことで全量篩を通過した粉体を得た。
得られた粉体を、真空乾燥器中で60℃から徐々に昇温させながら、最終的に100℃で10時間加熱し、炭酸アンモニウムを熱分解させて、綿状の嵩高い粉体を4.97g得た。得られたCNF粉体の比表面積をBET法によって測定した結果を表1に示す。
<実施例1>
炭酸アンモニウム50gと水50gを混合して50質量%の炭酸アンモニウ
ム水溶液を調製した。
モリマシナリー社製CNF水分散液(濃度5質量%)100gに前記炭酸アンモニウム水溶液を50g加えて、シンキー社製自転公転攪拌機ARE−310を用いて、1800rpmで5分間攪拌混合した。さらに、前記炭酸アンモニウム水溶液を50g加えて、前記自転公転攪拌機で5分間混合した。
次に、炭酸アンモニウム粉体を250g加えて、前記自転公転攪拌機で15分間混合し、CNFおよび炭酸アンモニウムを含むスラリーを得た。
得られたスラリーをバット上に薄く塗り広げ、40℃で2日間真空乾燥させ、炭酸アンモニウムにCNFが分散した固体を得た。
得られた固体を大阪ケミカル社製高速粉砕機ワンダーブレンダーWB−1で5分間粉砕し、目開き20μmの篩を通過した粉体を得た。さらに、篩上に残った固体についてWB−1による粉砕と篩分けを繰り返すことで全量篩を通過した粉体を得た。
得られた粉体を、真空乾燥器中で60℃から徐々に昇温させながら、最終的に100℃で10時間加熱し、炭酸アンモニウムを熱分解させて、綿状の嵩高い粉体を4.97g得た。得られたCNF粉体の比表面積をBET法によって測定した結果を表1に示す。
<実施例2>
モリマシナリー社製CNF水分散液(濃度5質量%)100gに炭酸アンモニウム粉体を250g加えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、綿状の嵩高い粉体を4.90g得た。得られたCNF粉体の比表面積をBET法によって測定した結果を表1に示す。
モリマシナリー社製CNF水分散液(濃度5質量%)100gに炭酸アンモニウム粉体を250g加えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、綿状の嵩高い粉体を4.90g得た。得られたCNF粉体の比表面積をBET法によって測定した結果を表1に示す。
<比較例1>
モリマシナリー社製CNF水分散液(濃度5質量%)をそのままアルミカップに薄く塗り広げて、100℃の温度で乾燥させた。得られた乾燥物は薄い紙状の固体であった。得られた固体の比表面積をBET法によって測定した結果を表1に示す。
モリマシナリー社製CNF水分散液(濃度5質量%)をそのままアルミカップに薄く塗り広げて、100℃の温度で乾燥させた。得られた乾燥物は薄い紙状の固体であった。得られた固体の比表面積をBET法によって測定した結果を表1に示す。
<水への分散性の評価>
モリマシナリー社製CNF水分散液(濃度5質量%)および実施例1で得られた粉体を、それぞれ水で1質量%に希釈した後、ヒールッシャー社製超音波分散処理装置UP400Sを用いて、50℃で20分間処理した後、東機産業社製E型粘度計TVE−22HとロータNo.1を用いて、100rpm、25℃の条件で粘度を測定した。
表2に示すとおり、実施例1で得られたCNF粉体の粘度は、モリマシナリー社製CNFとほぼ同じであり、水への分散性に優れることがわかる。
モリマシナリー社製CNF水分散液(濃度5質量%)および実施例1で得られた粉体を、それぞれ水で1質量%に希釈した後、ヒールッシャー社製超音波分散処理装置UP400Sを用いて、50℃で20分間処理した後、東機産業社製E型粘度計TVE−22HとロータNo.1を用いて、100rpm、25℃の条件で粘度を測定した。
表2に示すとおり、実施例1で得られたCNF粉体の粘度は、モリマシナリー社製CNFとほぼ同じであり、水への分散性に優れることがわかる。
<溶剤および樹脂への分散性>
実施例1、実施例2および比較例1で得られた固体を、溶剤としてエチレンカーボネート、樹脂として旭化成ケミカルズ社製ポリカーボネートジオールT−6001を用いて分散させた結果を表3に示す。
実施例で得られた粉体は、エチレンカーボネートおよびポリカーボネートジオールに均一に分散したのに対し、比較例1で得られた固体は大部分が紙状のままで分散性が不良であった。それぞれの分散性を示す写真を図1〜図4に示す。
実施例1、実施例2および比較例1で得られた固体を、溶剤としてエチレンカーボネート、樹脂として旭化成ケミカルズ社製ポリカーボネートジオールT−6001を用いて分散させた結果を表3に示す。
実施例で得られた粉体は、エチレンカーボネートおよびポリカーボネートジオールに均一に分散したのに対し、比較例1で得られた固体は大部分が紙状のままで分散性が不良であった。それぞれの分散性を示す写真を図1〜図4に示す。
なお、表3における略号は以下の通りである。
EC:エチレンカーボネート
PCD:ポリカーボネートジオールT−6001
EC:エチレンカーボネート
PCD:ポリカーボネートジオールT−6001
Claims (6)
- 下記(a)〜(c)の工程を有するセルロースナノファイバー粉体の製造方法。
(a)セルロースナノファイバー水分散体と炭酸アンモニウムとの混合分散液を得る工程。
(b)前記混合分散液を乾燥させてセルロースナノファイバーと炭酸アンモニウムとの乾燥固形物を得る工程。
(c)前記乾燥固形物を加熱して炭酸アンモニウムを分解させて、セルロースナノファイバー粉体を得る工程。 - 前記工程(a)における混合分散液において、セルロースナノファイバー1質量部に対して、炭酸アンモニウムが30〜100質量部の割合である請求項1に記載のセルロースナノファイバー粉体の製造方法。
- 前記工程(b)における乾燥温度が20〜50℃である請求項1または請求項2に記載のセルロースナノファイバー粉体の製造方法。
- 前記工程(c)において、工程(b)で得られた乾燥固形物を粉砕した後、得られた粉砕物を加熱して炭酸ナトリウムを分解させる請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースナノファイバー粉体の製造方法。
- 前記粉砕物の大きさが1〜250μmの範囲である請求項4に記載のセルロースナノファイバー粉体の製造方法。
- 前記工程(c)における加熱温度が50〜150℃である請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースナノファイバー粉体の製造方法。
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