JP2019036774A - 電子制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】送信するデータが増加することを抑制しつつ、必要なデータを効率よく送信することができる電子制御装置を提供する。【解決手段】電子制御装置1は、車両に搭載されるものであり、入力回路2、制御部3などを備えている。入力回路2は、車両に関するデータである車両データを入力する。制御部3は、優先度設定部5および送信データ作成部6を備えている。送信データ作成部6は、車両データのうち送信対象となるデータである送信対象データを外部装置7に送信する。優先度設定部5は、車両データのうち所定の設定用データに基づいて送信対象データの優先度を設定する。送信データ作成部6は、優先度設定部5により設定される優先度に基づいて送信するデータである送信データのデータ容量を調整する調整処理を実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載される電子制御装置に関する。
従来、車両に搭載される電子制御装置は、車両故障に関連する所定のデータを一定の周期毎に収集するようになっている。また、このような電子制御装置は、確定した異常情報については、そのデータをメモリなどに保存するように構成されている。そして、このような電子制御装置が搭載された車両がディーラなどに持ち込まれた際、その電子制御装置から外部装置に対し、上記データが送信されて収集されるようになっている。
上記構成において、車両の故障、不調などの原因解析の精度を現状よりも高めようとすると、現状よりも多くのデータを収集しなければならないことになる。昨今、ビッグデータ時代となり、それに伴い、電子制御装置から外部装置に対し、車両故障などに関連するデータをリアルタイムで送信する、といったことも行われている。特許文献1には、このような技術の一例が開示されている。
特開2016−119547号公報
しかし、電子制御装置から外部装置へと送信するデータを闇雲に増やし、一定間隔でデータ送信を行うと、データ通信量の増加に伴い通信回線にかかる負荷が増大する問題、外部装置において解析に不要なデータが大量に残る問題などが生じるおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、送信するデータが増加することを抑制しつつ、必要なデータを効率よく送信することができる電子制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の電子制御装置(1)は、車両に搭載されるものであり、入力部(2)、送信部(6)、優先度設定部(5)およびデータ調整部(6)を備える。入力部は、車両に関するデータである車両データを入力する。送信部は、車両データのうち送信対象となるデータである送信対象データを外部に送信する。優先度設定部は、車両データのうち所定の設定用データに基づいて送信対象データの優先度を設定する。データ調整部は、優先度設定部により設定される優先度に基づいて送信部により送信されるデータである送信データのデータ容量を調整する調整処理を実行する。
上記構成によれば、全てのデータがむやみに毎周期送信されるといったことがなくなることからデータ通信量が抑制され、サーバや通信回線にかかる負荷が軽減される。また、上記構成では、優先度に基づく送信データのデータ容量の調整が行われることから、例えば外部装置において解析に不要なデータが大量に送信されることが抑制される。したがって、上記構成によれば、送信するデータが増加することを抑制しつつ、必要なデータを効率よく送信することができるという優れた効果が得られる。
第1実施形態に係る電子制御装置および周辺の構成を模式的に示す図 第1実施形態に係る優先度設定部の処理内容を模式的に示す図 第1実施形態に係る送信データ作成部の処理内容を模式的に示す図 第1実施形態に係る定常時における送信バッファの状態を模式的に示す図 第1実施形態に係る1つのセンサの優先度が高められた場合における送信バッファの状態を模式的に示す図 第1実施形態に係る3つのセンサの優先度が高められた場合における送信バッファの状態を模式的に示す図 第2実施形態に係る4つのセンサの優先度が高められた場合における送信バッファの状態を模式的に示す図 第3実施形態に係る4つのセンサの優先度が高められた場合における送信バッファの状態を模式的に示す図
以下、本発明の複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
図1に示す電子制御装置1(以下、ECU1と呼ぶ)は、車両に搭載されるものであり、入力回路2、制御部3および出力回路4などを備えている。ECU1には、車両に搭載された各種のセンサから出力される車両の情報を表す信号Sa、車両に搭載された各種のアクチュエータによる車両の制御状態を表す信号Sbなどが与えられている。
信号Sa、Sbは、いずれも車両に関するデータである車両データを表す信号であり、入力回路2を介してECU1に入力される。つまり、ECU1は、入力回路2を介して車両データを入力するようになっている。このように、本実施形態では、入力回路2は、車両データを入力する入力部に相当する。
制御部3は、CPU、ROM、RAMなどを含むマイクロコンピュータなどから構成されている。制御部3は、優先度設定部5および送信データ作成部6を備えている。優先度設定部5および送信データ作成部6は、制御部3のCPUがROMなどに記憶されたプログラムを実行することにより実現されている、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、優先度設定部5および送信データ作成部6を、ハードウェアにより実現する構成としてもよい。
優先度設定部5は、入力回路2を介して入力される車両データのうち外部装置7に送信する送信対象となるデータの優先度を設定する。以下では、このような送信対象となるデータのことを送信対象データと呼ぶ。外部装置7は、ECU1の外部の装置であり、例えば車両の走行情報などの各種情報を収集して管理するセンターのサーバなどである。外部装置7は、ECU1から送信される送信データを用いて各種の解析を実行する。本実施形態では、送信対象データは、外部装置7による解析の対象となるセンサおよびアクチュエータから出力される信号Sa、Sbに対応したデータとなっている。
優先度設定部5による優先度の設定は、車両データのうち所定の設定用データに基づいて行われる。上記設定用データとしては、例えば、車両の走行距離または車両に搭載される各種のハードウェアの経年数や駆動回数といったハードウェア情報、外気温または大気圧といった車両が走行している環境に関する情報である環境情報、車両の各種の状態に関する情報である車両状態情報などを表すデータを挙げることができる。
このような優先度は、送信対象データ毎に設定されるようになっている。また、優先度の設定条件は、車両データ毎に予め定められている。すなわち、設定用データのうちのいずれを利用して、どのような条件で優先度を設定するかについては、対象とするセンサおよびアクチュエータ毎に予め定められている。優先度設定部5は、設定した優先度を表す信号Scを送信データ作成部6へ出力する。
送信データ作成部6は、入力回路2を介して入力される車両データのうち送信対象データを、所定のサンプリング周期でサンプリングして取得する。したがって、送信データ作成部6により取得される送信対象データは、サンプリング周期毎に最新のデータに更新されることになる。以下では、サンプリング周期のことをデータ取得間隔またはサンプリングレートとも呼ぶ。
送信データ作成部6は、取得した送信対象データから送信データを作成し、出力回路4を通じて外部装置7へ送信する。したがって、送信データ作成部6は、送信対象データを外部に送信する送信部に相当する。本実施形態では、ECU1から外部装置7へのデータ送信は、無線通信により行われるようになっている。そのため、出力回路4は、例えば無線通信を行うための通信インターフェースにより構成されている。
送信データ作成部6は、データ調整部としての機能も有する。すなわち、送信データ作成部6は、送信データを作成するにあたって、その送信データのデータ容量を調整する調整処理を実行する。なお、以下では、データ容量のことを、データ数、データ長、データサイズなどとも称する。上記調整処理は、信号Sc、つまり優先度設定部5により設定された優先度に基づいて行われる。
本実施形態の調整処理では、優先度に応じて送信対象データのデータ取得間隔つまり更新頻度が調整されることにより、送信データのデータ容量が調整されるようになっている。この場合、送信対象データのデータ取得間隔は、その優先度が高いほど短くなるとともに、その優先度が低いほど長くなるように調整される。
送信データ作成部6は、取得した送信対象データを格納する送信バッファを備えている。送信データ作成部6は、所定の送信周期毎に、送信バッファに格納された送信対象データを送信データとして、出力回路4を通じて外部装置7へ送信する。本実施形態では、調整処理は、この送信データの送信周期毎に実行される。
また、送信データ作成部6は、調整処理の実行後に作成された送信データのデータ容量が所定の最大容量を超えている場合、優先度および再調整用パラメータに基づいて送信データのデータ容量を調整する再調整処理を実行する。上記最大容量は、送信データ作成部6の送信バッファの容量に応じて定められるものであり、本実施形態では送信バッファの容量と同じ値に設定されている。
本実施形態では、送信対象となる車両データに対応したセンサおよびアクチュエータのそれぞれには、その車両における重要性を表す重要度が設定されている。そして、再調整処理に用いられる再調整用パラメータとして、上記重要度が用いられるようになっている。
次に、上記構成の作用について説明する。
[1]優先度設定部5により実行される処理
優先度設定部5により実行される処理の内容について、図2を参照しながら説明する。ステップS101では、送信対象データ毎に事前に定められた設定用データが取得される。ステップS102では、取得された設定用データに基づいて、各送信対象データの優先度について変更の必要があるか否かが判断される。
優先度を変更する必要がある場合、ステップS102で「YES」となり、ステップS103に進む。ステップS103では、該当する送信対象データの優先度が変更される。一方、優先度を変更する必要がない場合、ステップS102で「NO」となり、ステップS103が実行されることなく、つまり該当する送信対象データの優先度が変更されることなく、処理が終了となる。
設定用データがハードウェア情報である場合における優先度の変更に関する具体的な例としては、下記(a)〜(c)に示すようなものが挙げられる。
(a)耐久時間が仕様上の値を超えた場合、オートマチック・トランスミッション、つまりATリニアソレノイドのデータの優先度が高められる。
(b)走行距離が上限値を超えた場合、トランスミッション関連のデータの優先度が高められる。
(c)駆動回数が一定回数を上回った場合、そのハードウェアに関連するデータの優先度が高められる。
設定用データが環境情報である場合における優先度の変更に関する具体的な例としては、下記(d)、(e)に示すようなものが挙げられる。
(d)外気温から車両の現在位置が寒い地域であると判断される場合、CSS関連、つまり冷間始動関連のデータの優先度が高められる。
(e)大気圧から車両の現在位置が標高の高い地域であると判断される場合、圧力系の影響を受けるデータの優先度が高められる。
設定用データが車両状態情報である場合における優先度の変更に関する具体的な例としては、下記(f)〜(h)に示すようなものが挙げられる。
(f)車両の制御状態が定常状態から外れたとき、つまり定常状態からの差分が大きいとき、その制御状態に関するデータの優先度が高められる。
(g)エミッション技術の効果確認のため、その対象のデータが要求された場合、効果が確認できるデータの優先度が高められる。
(h)オフサイクルクレジット対象が動作している場合、その対象のデータの優先度が高められる。
[2]送信データ作成部6により実行される処理
送信データ作成部6により実行される処理の内容について、図3を参照しながら説明する。ステップS201では、優先度設定部5から出力される信号Scに基づいて、各送信対象データについての優先度が取得される。ステップS202では、ステップS201で取得された優先度に応じたデータ取得間隔でもって、各送信対象データが取得される。つまり、ステップS202では、送信対象データの取得処理と、優先度に応じて送信対象データのデータ取得間隔が調整されることにより送信データのデータ容量が調整される調整処理との両方が行われることになる。
ステップS203では、取得された全ての送信対象データのデータ長の合計である全体のデータ長が送信バッファの容量と同じ値に設定された最大容量以下であるか否かが判断される。全体のデータ長が最大容量以下である場合、ステップS203で「YES」となり、ステップS204に進む。
一方、全体のデータ長が最大容量を超える場合、ステップS203で「NO」となり、ステップS205に進む。ステップS205では、優先度および再調整パラメータに基づいて送信データのデータ容量が調整される再調整処理が実行される。ステップS205の実行後は、ステップS204に進む。ステップS204では、取得された送信対象データから送信データが作成される。ステップS206では、ステップS204で作成された送信データが、出力回路4を通じて外部装置7へと送信される。
[3]優先度に基づく調整処理および再調整処理の具体的な例
以下の説明では、5つのセンサA〜Eから出力される信号Saに対応したデータが送信対象データである場合を想定している。この場合、センサA〜Eの重要度は「E<D<C<B<A」の順に設定されており、センサAの重要度が最も高く、センサEの重要度が最も低くなっている。
また、この場合、送信データの送信周期は「1000ms」を想定し、1回に取得する送信対象データのデータサイズは「2バイト」を想定している。また、優先度に変更が加えられていないときの送信対象データのデータ取得間隔は「500ms」を想定している。上記構成において、送信バッファの容量、つまりサイズは、定常時における全体のデータ長に対し、余裕のある容量が確保されている。具体的には、送信周期毎に送信できる送信バッファのサイズの最大値は「30バイト」を想定している。
(3−1)定常時
定常時、各送信対象データについて優先度の変更はないと考えられる。したがって、定常時、センサA〜Eに対応した送信対象データのそれぞれの優先度は全て同じであり、データ取得間隔は全て「500ms」である。この場合、センサA〜Eに対応した送信対象データは、取得された順に送信バッファに格納される。
具体的には、図4に示すように、センサA〜Eの順に、2周期分の送信対象データが格納される。その結果、定常時、送信バッファは、確保された30バイトの範囲内の「20バイト」が使用されることとなる。つまり、定常時、全体のデータ長が最大容量以下に収まることになり、再調整処理は実行されない。
(3−2)センサAの優先度上昇時(全体のデータ長≦最大容量)
センサAの優先度が高められると、センサAに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「250ms」に変更される。その結果、図5に示すように、センサAに対応した送信対象データのサイズが「8バイト」となり、全体のデータ長が「24バイト」となる。しかし、この場合も、全体のデータ長が最大容量以下に収まることになり、再調整処理は実行されない。
(3−2)センサA、B、Dの優先度上昇時(全体のデータ長>最大容量)
センサA、B、Dの優先度が高められると、センサA、B、Dに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「250ms」に変更される。その結果、図6の上段に示すように、センサA、B、Dに対応した送信対象データのサイズがそれぞれ「8バイト」となり、全体のデータ長が「32バイト」となる。この場合、全体のデータ長が最大容量を超えることになるため、再調整処理が実行される。
再調整処理では、全体のデータ長が最大容量に収まるようになるまで、重要度の低いものから順にデータ取得間隔が長くなるように変更が行われる。この場合、最も重要度の低いセンサEに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「1000ms」に変更される。その結果、図6の下段に示すように、センサEに対応した送信対象データのサイズが「2バイト」となり、全体のデータ長が確保された30バイトの範囲内の「30バイト」に収まる。したがって、他の送信対象データのデータ取得間隔の変更は行われることなく、これにて再調整処理が終了となる。
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
本実施形態では、ハードウェア情報、環境情報、車両状態情報などの設定用データに基づいて送信対象データの優先度が設定され、その優先度に基づいて送信データのデータ容量が調整されるようになっている。このようにすれば、全てのデータがむやみに毎周期送信されるといったことがなくなることからデータ通信量が抑制され、サーバや通信回線にかかる負荷が軽減される。また、上記構成では、例えば外部装置において解析に不要なデータが大量に送信されることが抑制される。したがって、本実施形態のECU1によれば、送信するデータが増加することを抑制しつつ、必要なデータを効率よく送信することができるという優れた効果が得られる。そのため、外部装置7は、データ通信量の増加を抑制しつつ、必要なデータを効率よく収集することができる。
優先度の設定に用いられる上記各情報は刻一刻と変化するものであることから、各送信対象データの優先度についても同様に変化する。そこで、本実施形態では、送信データの送信周期毎に調整処理が実行されるようにしている。このようにすれば、上記各情報の変化が優先度の設定および送信データのデータ容量の調整に速やかに反映され、その結果、上述した効果が最大限に得られるようになる。
本実施形態の調整処理では、優先度に基づいて送信対象データの更新頻度が調整されることによりデータ容量が調整されるようになっている。具体的には、優先度が高い送信対象データほど更新頻度が短くなり、優先度が低い送信対象データほど更新頻度が長くなるようになっている。なお、本実施形態において、優先度は、そのデータの送信先である外部装置7での必要性を反映したものであると言える。
そのため、上記構成によれば、その時点において外部装置7での必要性が高いデータについては高いサンプリングレートで取得されるともに、必要性が低いデータについては比較的低いサンプリングレートで取得されることになる。したがって、上記構成によれば、外部装置7での解析の精度を良好に維持しつつ、不要なデータによるデータ通信量の増加を低減するとともに不要なデータが大量に残ることを防止することができる。
本実施形態では、優先度設定部5による優先度の設定条件は、車両データ毎に定められている。したがって、本実施形態によれば、車両に搭載される様々なセンサおよびアクチュエータ毎に、それらから出力されるデータの優先度を変更する条件などを個別にすることができる。
送信データ作成部6は、調整処理の実行後に、送信データのデータ容量が最大容量を超えている場合、優先度および再調整用パラメータに基づいてデータ容量を調整する再調整処理を実行するようになっている。このようにすれば、優先度に基づく調整処理が実行された結果、送信データのデータ容量が送信バッファの容量に応じて定められた最大容量を超えた場合でも、再調整処理によって、送信データのデータ容量を最大容量に収めることができるため、データ通信量が過剰になることが抑制される。
また、本実施形態では、再調整用パラメータとして、送信対象となる車両データに対応したセンサおよびアクチュエータの重要度が用いられるようになっている。このようにすれば、再調整処理において、重要度の高いデータの更新頻度を短いものに維持しつつ、重要度の低いデータの更新頻度を長くするといった調整を行うことが可能となる。なお、本実施形態において、重要度は、優先度と同様に、そのデータの送信先である外部装置7での必要性を反映したものであると言える。したがって、上記構成によれば、外部装置7での解析の精度を良好に維持しつつ、不要なデータによるデータ通信量の増加を低減するとともに不要なデータが大量に残ることを防止することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図7を参照して説明する。
第2実施形態では、再調整処理の内容が、第1実施形態と異なっている。なお、構成については第1実施形態と共通するので、図1なども参照しながら説明する。
本実施形態では、優先度設定部5は、所定の送信対象データについて優先度を高めた場合、その状態が維持されている維持時間を計測する処理を実行するようになっている。そして、本実施形態では、再調整処理に用いられる再調整用パラメータとして、上記重要度に加え、上記維持時間が用いられるようになっている。
このような本実施形態における再調整処理の具体的な例について、図7を参照して説明する。センサA、B、C、Dの優先度が高められると、センサA、B、C、Dに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「250ms」に変更される。その結果、図7の上段に示すように、センサA、B、C、Dに対応した送信対象データのサイズがそれぞれ「8バイト」となり、全体のデータ長が「36バイト」となる。この場合、全体のデータ長が最大容量を超えることになるため、まず重要度を再調整用パラメータとして用いた再調整処理が実行される。
重要度を用いた再調整処理では、最も重要度の低いセンサEに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「1000ms」に変更される。その結果、図7の中段に示すように、センサEに対応した送信対象データのサイズが「2バイト」となる。しかし、このとき、全体のデータ長は、「34バイト」であり、確保された30バイトの範囲内には収まっていない。そこで、維持時間を再調整用パラメータとして用いた再調整処理が実行される。
この場合、センサA、B、C、Dのうち、センサAの維持時間が最も長いものとする。そうすると、維持時間を用いた再調整処理では、最も維持時間の長いセンサAに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「500ms」に変更される。その結果、図7の下段に示すように、センサAに対応した送信対象データのサイズが「4バイト」となり、全体のデータ長が確保された30バイトの範囲内の「30バイト」に収まる。したがって、他の送信対象データのデータ取得間隔の変更は行われることなく、これにて再調整処理が終了となる。
以上説明したように、本実施形態では、所定の送信対象データについて優先度が高められた状態が維持されている維持時間が計測され、再調整処理に用いられる再調整用パラメータとして、第1実施形態と同様の重要度に加えて上記維持時間が用いられるようになっている。維持時間が比較的長い送信対象データは、外部装置7において既に十分に収集できている可能性が高いと考えられる。一方、維持時間が比較的短い送信対象データは、外部装置7において未だ十分に収集できていない可能性が高いと考えられる。そこで、本実施形態の再調整処理では、維持時間が長い送信対象データのデータ取得間隔を長くすることによりデータ容量の調整を行うようにしている。このようにすれば、解析などで必要なデータのサンプリングレートを低下させることなく、送信データのデータ容量を最大容量に収めてデータ通信量が過剰になることを抑制することができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について図8を参照して説明する。
第3実施形態では、再調整処理の内容が、第1実施形態と異なっている。なお、構成については第1実施形態と共通するので、図1なども参照しながら説明する。
本実施形態では、送信データ作成部6は、優先度設定部5により設定された優先度に応じて送信対象データについて重み付けを行うようになっている。そして、再調整処理に用いられる再調整パラメータとして、上記重要度に加え、上記重み付けが用いられるようになっている。
このような本実施形態における再調整処理の具体的な例について、図8を参照して説明する。センサA、B、C、Dの優先度が高められると、センサA、B、C、Dに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「250ms」に変更される。その結果、図8の上段に示すように、センサA、B、C、Dに対応した送信対象データのサイズがそれぞれ「8バイト」となり、全体のデータ長が「36バイト」となる。この場合、全体のデータ長が最大容量を超えることになるため、まず重要度を再調整用パラメータとして用いた再調整処理が実行される。
重要度を用いた再調整処理では、最も重要度の低いセンサEに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「1000ms」に変更される。その結果、図8の中段に示すように、センサEに対応した送信対象データのサイズが「2バイト」となる。しかし、このとき、全体のデータ長は、「34バイト」であり、確保された30バイトの範囲内には収まっていない。そこで、重み付けを再調整用パラメータとして用いた再調整処理が実行される。
この場合、優先度が高められたセンサA〜Dの重みと優先度が高められていないセンサEの重みとが「2:1」となるように、重み付けが行われるものとする。この重み付けは、各送信対象データの送信バッファに格納されるデータ数、つまり格納数に反映される。ここでは、このような重み付けを考慮しつつ、さらに全体のデータ長が最大容量に収まるように、各送信対象データの格納数は、下記(1)式および(2)式に示すように決定される。ただし、センサA〜Dに対応した送信対象データの格納数をN1とし、センサEに対応した送信対象データの格納数をN2とする。
N1=(30バイト×2)/(2+2+2+2+1)≒6バイト …(1)
N2=(30バイト×1)/(2+2+2+2+1)≒3バイト …(2)
そして、このようにして決定された格納数に応じて各送信対象データのデータ取得間隔が変更される。すなわち、センサA〜Dに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「333ms」に変更されるとともに、センサEに対応した送信対象データのデータ取得間隔が「666ms」に変更される。
その結果、図8の下段に示すように、センサA〜Dに対応した送信対象データのサイズが「6バイト」になるとともに、センサEに対応した送信対象データのサイズが「3バイト」になり、全体のデータ長が確保された30バイトの範囲内の「26バイト」に収まる。したがって、これにて再調整処理が終了となる。
以上説明したように、本実施形態では、送信データ作成部6は、優先度に応じて送信対象データについて重み付けを行うようになっている。そして、再調整処理に用いられる再調整パラメータとして、第1実施形態と同様の重要度に加えて上記重み付けが用いられるようになっている。具体的には、本実施形態の再調整処理では、重み付けが大きい送信対象データほど送信バッファにおける格納数が多くなり、重み付けが小さい送信対象データほど送信バッファにおける格納数が少なくなるように調整が行われる。このような再調整処理によっても、解析などで必要なデータのサンプリングレートを低下させることなく、送信データのデータ容量を最大容量に収めてデータ通信量が過剰になることを抑制することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
調整処理を実行するタイミングは、送信データの送信周期毎に限らずともよく、適宜変更可能である。
調整処理としては、優先度に基づいて送信対象データの更新頻度が調整されることによりデータ容量が調整されるものに限らずともよく、その具体的な処理内容は適宜変更可能である。
優先度の設定条件は、車両データ毎に個別に定められていなくともよく、例えば互いに関連のある複数の車両データについて、優先度の設定条件を同じ条件に設定してもよい。
第2実施形態では、再調整処理に用いられる再調整用パラメータとして、重要度に加えて維持時間が用いられるようになっていたが、重要度に代えて維持時間を用いてもよい。
第3実施形態では、再調整処理に用いられる再調整用パラメータとして、重要度に加え重み付けが用いられるようになっていたが、重要度に代えて重み付けを用いてもよい。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
1…電子制御装置、2…入力回路、5…優先度設定部、6…送信データ作成部。

Claims (8)

  1. 車両に搭載される電子制御装置(1)であって、
    前記車両に関するデータである車両データを入力する入力部(2)と、
    前記車両データのうち送信対象となるデータである送信対象データを外部に送信する送信部(6)と、
    前記車両データのうち所定の設定用データに基づいて前記送信対象データの優先度を設定する優先度設定部(5)と、
    前記優先度設定部により設定される優先度に基づいて前記送信部により送信されるデータである送信データのデータ容量を調整する調整処理を実行するデータ調整部(6)と、
    を備える電子制御装置。
  2. 前記データ調整部は、前記送信データの送信周期毎に前記調整処理を実行する請求項1に記載の電子制御装置。
  3. 前記調整処理では、前記優先度に基づいて前記送信対象データの更新頻度が調整されることにより前記データ容量が調整される請求項1または2に記載の電子制御装置。
  4. 前記優先度設定部による前記優先度の設定条件は、前記車両データ毎に定められている請求項1から3のいずれか一項に記載の電子制御装置。
  5. 前記データ調整部は、前記調整処理の実行後に、前記データ容量が、前記送信部が備える送信バッファの容量に応じて定められる前記最大容量を超えている場合、前記優先度および再調整用パラメータに基づいて前記データ容量を調整する再調整処理を実行する請求項1から4のいずれか一項に記載の電子制御装置。
  6. 前記車両データのそれぞれには、そのデータの前記車両における重要性を表す重要度が設定されており、
    前記再調整処理では、前記再調整用パラメータとして前記重要度が用いられる請求項5に記載の電子制御装置。
  7. 前記優先度設定部は、所定の前記送信対象データについて前記優先度を高めた場合、その状態が維持されている維持時間を計測する処理を実行し、
    前記再調整処理では、前記再調整用パラメータとして前記維持時間が用いられる請求項5または6に記載の電子制御装置。
  8. 前記データ調整部は、前記優先度に応じて前記送信対象データについて重み付けを行うようになっており、
    前記再調整処理では、前記再調整用パラメータとして前記重み付けが用いられる請求項5または6に記載の電子制御装置。
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